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ATLAS 実験における重心系エネルギー13 TeV での陽子陽子衝突によるグルイーノ対生成チャンネルを用いた長寿命チャージーノ探索

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

Search for Long-lived Chargino via Gluino

Pair Production in pp Collisions at

s

= 13

TeV with the ATLAS Detector

ATLAS

実験における重心系エネルギー

13 TeV

での陽子陽子衝突による

グルイーノ対生成チャンネルを用いた

長寿命チャージーノ探索)

小坂井 千紘

これまでのさまざまな素粒子物理学実験の結果は、標準理論によって説 明することができ、標準理論の予言する最後の粒子であるヒッグスボゾンも 2012年に発見された。しかし、標準理論は暗黒物質が説明できない、重力が 含まれないなどの問題があり、万物の理論と言えるものではない。標準理論 を超える新物理が必ず存在するはずである。超対称性理論は、標準理論を超 える理論の中で特に有望なものの一つである。超対称性理論のモデルの中で も、もっとも軽い超対称性粒子が W ボゾンのパートナーの中性ウィーノで あるモデルは、宇宙論的にも観測と矛盾がなく特に魅力的である。これらの モデルでは、2番目に軽い超対称性粒子が荷電ウィーノで、中性ウィーノと ほとんど縮退することが予言されている。荷電ウィーノが生成されると中性 ウィーノとパイオンに主に崩壊するが、縮退のために荷電ウィーノの寿命は 0.2ナノ秒程度と長寿命になる。飛跡は数センチ程度になるため、荷電ウィー ノを直接内部飛跡検出器で再構成できる可能性がある。崩壊生成物のうち中 性ウィーノは ATLAS 検出器では捕らえられず、荷電パイオンは運動量が低す ぎて再構成できない。そのため、荷電ウィーノの飛跡は崩壊点で消失したか 1

(2)

2 のような短い飛跡となる。このような消失飛跡は荷電ウィーノ特有の信号で ある。この論文では、ATLAS 実験における LHC の重心系エネルギー 13 TeV での陽子陽子衝突によるグルイーノ対生成チャンネルを用いた長寿命ウィー ノ探索について論じる。使ったデータは、ATLAS で 2015 年から 2016 年にか けて取得されたもので、積分ルミノシティ 36.1 fb−1に当たる。グルイーノ対 生成から、グルイーノが荷電ウィーノまたは中性ウィーノと、2本のジェット に崩壊するチャンネルに焦点を当てた。この探索で初めて、ピクセルトラッ クレットというピクセル検出器の4つのヒットのみから再構成された短い飛 跡を利用した。ピクセルトラックレットは、 ATLAS の標準の飛跡再構成の後 に使われなかったヒットを利用して、この短い飛跡に最適化して改めて再構 成し直している。標準の飛跡再構成では 30 cm 以上の飛跡にしか感度がほぼ なかったのに対し、ピクセルトラックレットでは 12 cm 以上の飛跡を捉える ことができるため、予想される信号の数を大幅に増やすことができる。バッ クグラウンドは、電子・ミューオン・ハドロンでうまく再構成できず消失飛跡 に見えるものと、間違ったヒットを組み合わせて消失飛跡として再構成して しまうものがある。主要なバックグラウンドは電子とハドロンである。バッ クグラウンド推定では、ピクセルトラックレットの短さによる運動量分解能 の低さをスメアリングによって再現したり、電子が消失飛跡となる比率を測 定するときの手法でカロリメータクラスターを使うなど、ピクセルトラック レットを使うために従来の解析手法から更新されている。観測されたピクセ ルトラックレットの横方向運動量分布は、最尤法を用いた統計解析の結果、 背景事象のみの仮説と一致した。荷電ウィーノの寿命を 0.2 ナノ秒と仮定し たとき、直接生成チャンネル探索による上限である荷電ウィーノ 460 GeV で、 グルイーノ質量 1650 GeV 以下を棄却した。また、荷電ウィーノとグルイー ノの質量差が 100 GeV の領域において、荷電ウィーノ質量 1050 GeV 以下を 棄却した。さらに、荷電ウィーノの寿命を 1.0 ナノ秒と仮定したとき、荷電 ウィーノ 580 GeV で、グルイーノ質量 1750 GeV 以下を棄却した。また、荷 電ウィーノとグルイーノの質量差が 100 GeV の領域において、荷電ウィーノ 質量 1200 GeV 以下を棄却した。特に PGM モデルにおいて、荷電ウィーノ の寿命を 0.2 ナノ秒と仮定したときにグルイーノ質量 1500 GeV 以下、1.0 ナ ノ秒と仮定したときにグルイーノ質量 1600 GeV 以下を完全に棄却した。

参照

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