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英独仏における外国人問題への取り組み及びその課題に関する調査研究

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平成 18 年度内閣府経済社会総合研究所委託調査

英独仏における外国人問題への取り組み及び

その課題に関する調査研究

報告書

(2)

◇ ◇ 目 次 ◇ ◇

I. 本調査研究の枠組み ... - 1 - 1. 背景 ... -1- 2. 調査の目的と目標 ... -1- 3. 調査の進め方 ... -2- II. 我が国における外国人問題への取り組みと課題 ... - 4 - 1. 外国人問題への取り組みの概要... -4- 2. 我が国における外国人の在留状況 ... -6- 3. 政策・施策・制度、そして運用組織体制の現状と変遷 ... -9- 4. 我が国の外国人労働者の受入、在留管理、社会的統合に係る課題について ... -15- III. 英国における外国人問題への取り組みと課題 ... - 16 - 1. 歴史的・社会的背景 ... -16- 2. 外国人問題の現状 ... -19- 3. 課題・問題点と対応 ... -27- IV. 独国における外国人問題への取り組みと課題 ... - 33 - 1. 歴史的・社会的背景 ... -33- 2. 外国人問題の現状 ... -35- 3. 課題・問題点 ... -43- V. 仏国における外国人問題への取り組みと課題 ... - 50 - 1. 歴史的・社会的背景と特徴 ... -50- 2. 外国人問題の現状と対応 ... -53- 3. 課題・問題点と対応 ... -69- VI. 各国の取り組みと課題等に関する比較・整理 ... - 71 - 1. 外国人に関する各国統計比較 ... -71- 2. 各国の取り組みや課題の比較対照と整理... -74- 3. 我が国の課題解決に参考となる他国の取り組み事項 ... -80- VII. 参考資料 ... - 82 - 1. 日本語文献 ... -82- 2. 外国語文献 ... -83-

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I. 本調査研究の枠組み

1.背景

我が国に在留する外国人は増加基調にあり、平成2(1990)年から平成 17(2005) 年の 15 年間で約2倍に増加して 200 万人を超えた。総人口に占める比率も年々高まり つつあり、平成 17(2005)年には 1.57%を占めるに至っている。このような現状を受 け、出入国・在留管理、社会的統合の仕組み、外国人労働者対策等、さまざまな観点 から外国人問題への取り組みについて議論がなされており、内閣府規制改革・民間開 放推進会議「規制改革・民間開放推進に関する第3次答申-さらなる飛躍を目指して -」(平成 18 年 12 月 25 日)においても、国際経済連携分野におけるさまざまな提言 が行われたところである。 また、諸外国においても、外国人問題、移民問題は、政治的、経済的、社会的に重 要な問題として取り組まれているが、特に欧州においては、独国では 2005 年1月に移 民法、仏国では 2006 年7月に改正移民法がそれぞれ施行され、英国においても、2006 年3月に出入国管理におけるポイント制度の本格的導入内容が発表され、それに対応 して同年 11 月には高度技能者に対する適用ルールが変更される等、法的枠組みや制度 の見直しが相次いでいるところである。 また、平成 18(2006)年7月のG8サミットの議長総括において、「教育を効果的 な手段の1つとして、移民の受入国及びその社会への社会的・経済的統合を促進する ことを決意した」とうたわれる等、社会的統合の問題が徐々に注目されるようになっ てきた。このような状態のなかで、先進的な取り組みを示す欧州各国のなかでも、近 年、大きな制度変更のあった英国、独国、仏国における外国人問題に対する枠組み、 実施の態様、経済・社会に対する影響等を把握することは、我が国が外国人問題へ取 り組む上でも参考となり、大きな意味があるものと考えられる。

2.調査の目的と目標

本業務においては、英国、独国、仏国を対象とした調査を実施し、下記のような整 理・分析を行うものとする。 1. 外国人問題、移民問題の歴史的・社会的背景、特徴、問題点、基本的政策等の整理 2. 英国「ポイント制度」(2006 年3月)、独国「移民法」(2005 年1月)、仏国「改 正移民法」(2006 年7月)の概要、問題点、課題、評価の整理及び各国の比較 3. 我が国における外国人問題への取り組みとの関連で参考となる事項の論点整理と解 説

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3.調査の進め方

(1)調査の流れ 本業務で取り扱う内容は、近年変更がなされた、またはなされつつあるものが中心 となるため、既存調査等の収集・整理に加え、英国、独国、仏国において関係機関や 有識者を対象に訪問取材を行うこととし、その結果を取りまとめることとした。 調査の流れは下図の通りである。 図表- 1 本業務における調査の流れ ■計画・準備 1.既存調査等の収集・整理 2.英独仏における取り組みの取材 ■中間報告取りまとめ 3.我が国に参考となる事項の論点整理と解説 ■最終報告取りまとめ

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(2)調査における取材行程 本業務において、訪問取材にご協力いただいた機関・組織と、訪問行程は下表の通 りである。 図表- 2 本業務における取材協力先と行程 A 独国・仏国 日時 訪問先

・ Beauftragter für Integration und Migration des Senats von Berlin ・ 在独日本大使館

平成 18(2006)年 10 月 23 日

・ Bundesministerium des Innern (BMI) 平成 18(2006)年

10 月 24 日 ・ Stiftung Wissenschaft and Politik (SWP)

平成 18(2006)年

10 月 25 日 ・ Bundesamt für Migration und Flüchtlinge (BAMF)

・ 在仏日本大使館 平成 18(2006)年

10 月 26 日 ・ Agence national de l'accueil des étrangers et des migrations

(ANAEM)

・ Direction de la population et des migrations (DPM) 平成 18(2006)年

10 月 27 日

・ Organisation for Economic Co-operation and Development (OECD)

B 英国

日時 訪問先

・ Action for Social Integration (ASI) 平成 18(2006)年

11 月 13 日

・ Immigration & Nationality Directrate, Home Office (IND) 平成 18(2006)年

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II. 我が国における外国人問題への取り組みと課題

1.外国人問題への取り組みの概要

(1)制度の概要 我が国では、定められた在留資格に基づいて外国人を受入、各資格の在留期間と許 容される活動内容の中で在留管理を行っている。 図表- 3 在留期間からみた外国人の在留資格 在留期間 在留資格(下線は原則として就労可能なもの) 無制限 永住者 3年または1年 教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、 教 育 、 技 術 、 人 文 知 識 ・ 国 際 業 務 、 企 業 内 転 勤 、 技 能 、 日 本 人 の 配 偶 者 等 、 永 住 者 の 配 偶 者 等 、 定 住 者 の 一 部 ( 入 管 法 第 7 条 1 項 第 2 号 の 告示で定める地位を認められる者) 3年、2年、6月 または3月 家族滞在 3年、1年または 6月 特 定 活 動 の 一 部 ( 入 管 法 第 7 条 1 項 第 2 号 の 告 示 で 定 め る 地 位 を 認 め られる者) 最長3年 3 年 以 内 で 個 別 に指定 定 住 者 の 一 部 ( 入 管 法 第 7 条 1 項 第 2 号 の 告 示 で 定 め る 地 位 を 認 め ら れる者以外) 最長2年 2年または1年 留学 1年または6月 就学、研修、文化活動 1年、6月、3月 または 15 日 興行 最長1年 1 年 以 内 で 個 別 に指定 特 定 活 動 の 一 部 ( 入 管 法 第 7 条 1 項 第 2 号 の 告 示 で 定 め る 地 位 を 認 め られる者以外) 最長 90 日 90 日、30 日また は15日 短期滞在 個別に指定 外交、公用 資料)出入国管理及び難民認定法より作成 図表- 4 活動の制限の有無からみた外国人の在留資格 活動の制限の有無 在留資格 就労可能 教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教 育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能 活動に制限 のある資格 原則就労 不可能 外交、 公用、 文化活動、 短期滞 在、留 学、就 学、研 修、家 族滞在 、特 定 活動(法務大臣が個別に指定) 活動に制限のない資格 (就労も可能) 永住者(法務大臣が認める者)、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、 定住者(法務大臣が特別な理由を考慮して指定) 資料)出入国管理及び難民認定法より作成

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(2)運用組織体制の概要 A 各省庁の所管施策 外国人問題に関する各省庁の所管施策を分野ごとにみると、受入政策は、法務省が 所管し、在留資格ごとの在留期間や上陸基準等を法及び法務省令で定めている。在留 管理は、出入国審査時の在留資格に定められた在留期間と活動範囲に基づき法務省が 外国人登録制度により行っている。ただし、実際の制度運用は後述する通り法定受託 事務として市町村が行っている。 社会的統合及びそのほかの分野については、外務省、総務省、文部科学省、厚生労 働省、警察庁が、それぞれの所管分野の中で医療福祉、教育、就労支援、職業訓練、 犯罪対策等の生活関連支援施策と多文化共生のための施策を実施している。 図表- 5 外国人問題に関する各省庁の所管施策 資料)外国人労働者問題関係省庁連絡会議 ホームページ資料より作成 B 国と地方の役割分担 外国人問題に係る施策における国と地方の役割分担は分野ごとに大きく異なる。 受入政策に関しては、政策決定は法務省を中心とした国によってなされ、出入国管 理も法務省が所管し、直接制度運用を行っている。その後の国内での外国人登録は、 制度は法務省が所管し運用を行っているが、実際の業務は法定受託事務として市町村 が行っている。在留管理についても同様に、各地域の入国管理局が制度運用を行い、 市町村がその直接の業務を法定受託事務として行う。 これに対し、社会的統合については、各省庁がそれぞれの所管分野において施策を 展開しており、特に総務省においては、

地域における多文化共生施策の推進に向け

た「

多文化共生推進プログラム」(平成 18 年3月)の策定や地方公共団体の在住外 ・出入国審査(上陸審査) (在留資格の変更、期間更新等) ・外国人登録制度の運用 ・在留資格ごとの在留期間や上陸 基準の規定 法務省 ・外国人研修・技能実習制度の適 正かつ円滑な推進 経済産業省 ・開発途上国に対する技術者養成 等を通じた支援 国土交通省 ・外国人の犯罪被害の防止 ・国際犯罪に対する対策 ・外国人による犯罪対策 警察庁 ・外国人児童生徒等の教育の充実 ・日本語教育の充実のための支援 ・留学生、就学生との交流支援 ・義務教育課程への受入 文部科学省 ・外国人労働者の雇用状況の把握 ・外国人労働者の雇用主に対する 啓発指導 ・外国人研修・技能実習制度の適 正かつ円滑な推進 ・外国人求職者等に対する対応 ・難民に対する雇用対策の推進 ・外国人に対する保健・医療サービ スの充実(国民年金、厚生年金 保険、国民健康保険等) 厚生労働省 ・外国人研修・技能実習制度の適 正かつ円滑な推進 農林水産省 ・多文化共生プログラム策定等 地方公共団体の多文化共生への 取り組みを促進・支援 ・地方公共団体の在住外国人対策 事業に対し、地方交付税措置を 実施 総務省 ・各種シンポジウムの実施 ・外務省在外公館における査証の 発給 外務省 ・外国人労働者問題関係省庁連絡 会議の議長及び庶務 内閣官房 その他 社会的統合 在留管理 受入政策 ・出入国審査(上陸審査) (在留資格の変更、期間更新等) ・外国人登録制度の運用 ・在留資格ごとの在留期間や上陸 基準の規定 法務省 ・外国人研修・技能実習制度の適 正かつ円滑な推進 経済産業省 ・開発途上国に対する技術者養成 等を通じた支援 国土交通省 ・外国人の犯罪被害の防止 ・国際犯罪に対する対策 ・外国人による犯罪対策 警察庁 ・外国人児童生徒等の教育の充実 ・日本語教育の充実のための支援 ・留学生、就学生との交流支援 ・義務教育課程への受入 文部科学省 ・外国人労働者の雇用状況の把握 ・外国人労働者の雇用主に対する 啓発指導 ・外国人研修・技能実習制度の適 正かつ円滑な推進 ・外国人求職者等に対する対応 ・難民に対する雇用対策の推進 ・外国人に対する保健・医療サービ スの充実(国民年金、厚生年金 保険、国民健康保険等) 厚生労働省 ・外国人研修・技能実習制度の適 正かつ円滑な推進 農林水産省 ・多文化共生プログラム策定等 地方公共団体の多文化共生への 取り組みを促進・支援 ・地方公共団体の在住外国人対策 事業に対し、地方交付税措置を 実施 総務省 ・各種シンポジウムの実施 ・外務省在外公館における査証の 発給 外務省 ・外国人労働者問題関係省庁連絡 会議の議長及び庶務 内閣官房 その他 社会的統合 在留管理 受入政策

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国人対策事業に対する地方交付税措置等、地方公共団体の取り組みの促進、支援を行 っている。しかし、全省庁の分野を横断する体系的、統一的な社会統合政策は確立さ れておらず、一般の市町村行政の一環として、外国人住民に対する多文化共生のため の施策や、外国人子女を対象とした日本語教育、生活支援サービス全般における外国 人への配慮等を、各地域の政策方針に沿って市町村が主体的に行っているのが現状で ある。 図表- 6 外国人施策に関する国と地方の役割分担 外務 省 国 地方自治体 受入政策 ※1 在留管理 ※2 社会的統合 総務 省 文部科学省 厚生 労働 省 市町村 ・国として社会統合政策を実施していない。 ・外国人居住者が多い地域では、外国人 子女を対象に独自の言語教育を実施。 ・国は市町村の取り組みの支援等を実施。 市町村B ・居住地変更に伴う外国人 登録原票の移動※2 法務省 (法務大臣) 地方入国 管理局 地方入国 管理局 (空海港) ・出国通知※1 ・登録証明書 の送付※2 ・登録証明書 調製依頼※2 ・登録証明書調製 データの送信※2 ・外国人登録写票の 送付※2 ・登録証明書交付、 変更登録報告※2 ・閉鎖報告※2 入国管理局 ・認定証明書申請※1 ・上陸申請※1 ・認定証明書交付※1 ・上陸許可※1 在外日本 大使館 (総領事館) ・外国人登録原票の作成※2 ・登録証明書の交付、 写しの請求等※2 市町村A ・査証申請、取得※1 資料)総務省「住民基本台帳カードの利活用手法等に関する検討会」第4回検討会資料より作成

2.我が国における外国人の在留状況

(1)外国人入国者、外国人登録者数の推移 平成 17(2005)年に、我が国に入国した外国人は 745 万 103 人である。また、1990 年代前半にかけて、外国人入国者数はほぼ横ばいで推移していたが、1990 年代後半か ら急激な増加傾向にある。 図表- 7 外国人入国者数の推移 7 4 5 3 5 0 0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 8 0 0 1 9 9 0 9 1 9 2 9 3 9 4 1 9 9 5 9 6 9 7 9 8 9 9 2 0 0 0 0 1 0 2 0 3 0 4 2 0 0 5 (年) (万人) 資料)財団法人入管協会「出入国管理関係統計概要」(平成 16 年)、法務省大臣官房司法法制部「第 45 回出入国管理統計年報」(平成 18 年版)より作成 一方、外国人登録者数は、1989 年の出入国管理及び難民認定法改正により専門的技 術分野の外国人受入促進に向けた在留資格の見直しや、日系人への就労制限のない在 留資格付与等が導入されたこと等から 1990 年代以降漸増傾向にあり、平成2(1990) 年からの 15 年間に約2倍に増加し、平成 17(2005)年には 200 万人超となっている。 なお、平成 17(2005)年時点の外国人登録者数は、我が国の総人口の 1.57%を占めて いる。

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図表- 8 外国人登録者数と対総人口比率の推移 7 8 2 0 1 0 .6 7 1 .5 7 0 5 0 1 0 0 1 5 0 2 0 0 2 5 0 1 9 8 0 8 1 8 2 8 3 8 4 1 9 8 5 8 6 8 7 8 8 8 9 1 9 9 0 9 1 9 2 9 3 9 4 1 9 9 5 9 6 9 7 9 8 9 9 2 0 0 0 0 1 0 2 0 3 0 4 2 0 0 5 (年) (万人) 0 .0 0 0 .2 0 0 .4 0 0 .6 0 0 .8 0 1 .0 0 1 .2 0 1 .4 0 1 .6 0 1 .8 0 (%) 外国人登録者数 総人口に占める比率 資料)財団法人入管協会「在留外国人統計」(平成 18 年版)より作成 (2)外国人登録者の内訳 我が国の外国人登録者を出身地域別にみると、アジア地域出身の者が全体の約3/ 4を占めており、ついで多い南米地域からの出身者とあわせると、全体の9割超を占 めている。 また、外国人登録者の国籍別の内訳では、アジア地域においては韓国・朝鮮が最も 多く、全体の 29.8%を占め、ついで中国が 25.8%となっている。一方、南米地域にお いては、ブラジルが最も多く、全体の 15.0%を占めている。 図表- 9 出身地域別の外国人登録者比率(平成17年) オセアニア, 0 .8 % 無国籍, 0 .1 % 南米, 1 8 .7 % 北米, 3 .2 % ヨーロッパ 2 .9 % アフリカ 0 .5 % アジア, 7 3 .8 % 資料)財団法人入管協会「在留外国人統計」(平成 18 年版)より作成 図表- 10 国籍(出身地)別の外国人登録者比率(平成17年) 米国, 2 .5 % その他, 1 4 .8 % ペルー, 2 .9 % フィリピン, 9 .3 % 中国, 2 5 .8 % ブラジル, 1 5 .0 % 韓国・朝鮮, 2 9 .8 % 資料)財団法人入管協会「在留外国人統計」(平成 18 年版)より作成

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外国人登録者を在留資格別にみると、特別永住者資格を有する者が最も多く全体の 22.5%を占め、永住者 17.4%とあわせ、全体の約4割を占めている。また、我が国 に おいて活動に制限のない特別永住者1、永住者2、定住者3、日本人の配偶者等、永住者 の配偶者等の在留資格で滞在する者が、全体の約7割を占めている。 図表- 11 在留資格別の外国人登録者比率(平成17年) その他 1 0 .4 % 家族滞在 4 .3 % 人文知識・ 国際業務 2 .7 % 留学, 6 .4 % 日本人の配偶者等, 1 2 .9 % 永住者, 1 7 .4 % 定住者, 1 3 .2 % 特別永住者, 2 2 .5 % 研修, 2 .7 % 興行, 1 .8 % 技術, 1 .4 % 就学, 1 .4 % 教授, 0 .4 % 教育, 0 .5 % 永住者の配偶者等, 0 .6 % 企業内転勤, 0 .6 % 技能, 0 .8 % 資料)財団法人入管協会「在留外国人統計」(平成 18 年版)より作成 都道府県別の内訳では、東京都が最多の 17.3%であり、ついで大阪府 10.5%、愛知 県 9.7%となっている。また、上位 10 都府県の外国人登録者数の合計で、全国総数の 約7割を占めている。 図表- 12 都道府県別の外国人登録者比率(平成17年) その他, 3 0 .1 % 茨城県, 2 .5 % 京都府, 2 .7 % 静岡県, 4 .6 % 東京都, 1 7 .3 % 愛知県, 9 .7 % 大阪府, 1 0 .5 % 神奈川県 7 .5 % 埼玉県 5 .2 % 千葉県, 4 .8 % 兵庫県 5 .0 % 資料)財団法人入管協会「在留外国人統計」(平成 18 年版)より作成 1特別永住者:「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」 により規定される本邦での永住を希望する者。戦前から引き続き本邦に在留していた外国人及びその 子孫がこれに該当する。 2永住者:法務大臣が永住を認める者。長期間日本に滞在した実績があり日本に利益のある優良な外国人 がこれに該当する。 3定住者:法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者。海外で生まれた日 本人の実子(外国籍)がこれに該当する。

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3.政策・施策・制度、そして運用組織体制の現状と変遷

(1)受入政策の変遷と現状 A 政策・施策・制度の現状と変遷 a) 基本的考え方 我が国の外国人の受入政策は、専門的、技術的分野の外国人はこれを積極的に受け 入れる一方、専門的、技術的とは評価されていない分野の外国人労働者については、 これを受け入れないことを基本としている。また、不法就労者等好ましくない外国人 については、これを排除することとして対策の強化が進められてきた。 図表- 13 外国人受入政策の変遷と現状 資料)各種資料より作成 b) 専門的、技術的分野の外国人労働者の受入 我が国においては、専門的、技術的分野の外国人労働者については積極的に受け入 れることとしている。これは、歓迎すべき外国人の受入を積極的に進めるというだけ でなく、我が国の国際競争力強化の観点からも、専門知識や技術等を有する高度人材 を確保することを目指して進められている。 こうした観点から、27 の在留資格のうち、就労が認められる専門的、技術的分野の 14 の在留資格が設定されており、その認定基準は基準省令により個別に設定されてい る。近年、こうした分野の外国人労働者を一層円滑に受け入れる観点から、「国際業 務」「研究」「投資・経営」「IT」等の分野で認定の資格要件の見直しが進められ ている。 また、専門的、技術的分野の外国人受入の拡大とともに、我が国と諸外国との相互 理解や交流促進の観点から、我が国で専門的知識や技術を学ぶ留学生、就学生の受入 や「研修」分野での受入についても、その円滑化に向けた取り組みが進められている。 *専門的、技術的 分野の外国人労働者の 選択的受入 ~1980年代 1990年代 *専門的技術的分野の外国人労働者 受入の促進、円滑化 1989年入管法改正 1992年第1次出入国管理基本計画 1999年入管法基準省令改正 ①国際業務に関わる報酬要件の見直し ②「研究」の在留資格に係る経歴要件の 緩和 *専門的、技術的分野の外国人労働者 受入の一層の促進、円滑化 2000年 第2次出入国管理基本計画 外国人労働者の円滑な受入 2000年 「投資・経営」の基準に係るガイドライン 「投資・経営」の在留資格の基準は例示であり 、 これを満たさなくとも良いこととした。 2001年 入管法基準省令改正 IT分野で国内資格と相互認証された諸外国の試験に 合格した者は経歴要件を不適用 2002年~ 構造改革特別区域法 特定認定地域に対し適宜入管法等の特別措置を実施 *日系人への就労制限のない入国を許可 1989年 入管法改正 *好ましくない外国人の排除 1992年 第1次出入国管理基本計画 2000年代 *不法滞在者対策の強化 2000年 第2次出入国管理基本計画 強力かつ効果的な不法滞在者対策の実施 2005年 不法就労防止のため「興行」査証の発給基準を厳格化 *研修・技能実習制度の適正かつ円滑な推進 2000年 第2次出入国管理基本計画 研修・技能実習制度の適正かつ円滑な推進

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c) 単純労働者の受入 専門的、技術的とは評価されていない、いわゆる単純労働者の受入については、現 在もこれを受け入れないことを基本としている。 ただし、我が国の人口が減少に転じ、将来の労働力人口の減少が確実となる中で、 単純労働者の受入についても、正負両面からその効果を検証しつつ今後の政策のあり 方を検討すべきとの議論もみられる。 また、外国人であっても、日本人の配偶者、永住者(p .8 脚 注 2 )及びその配偶者等、定 住者( p .8 脚 注3)には活動の制限がなく、単純労働分野にも就労可能であるが、日系人 には日本人の配偶者等や定住者としての地位が付与されているほか、研修生、実習生 にも一時的な就労が認められていることから、実態としては単純労働分野においても 就労を認められた外国人を受け入れている状況にある。 d) 好ましくない外国人の排除 不法就労者等好ましくない外国人については、これを排除することを基本として対 策の強化が進められてきた。 近年では、平成 17(2005)年に「興行」査証の発給基準を厳格化することで、当該 目的で入国した外国人が本来の目的にそぐわない活動をするケースを抑制している。 e) 教育機関、企業における受入の適正化 留学生、就学生、研修生について、受入先の教育機関や企業における受入姿勢や体 制に問題があり、外国人が不利益を被ったり、これらの目的で入国する外国人の中で、 国内において本来の目的にそぐわない活動をするケースがみられる。このため、教育 機関における適切な入学者選抜の実施や在籍管理の実施、企業における研修・技能実 習制度の適正化等、制度運用の適正化に向けた取り組みが進められている。 f) 近年の動向 平成 18(2006)年に出された内閣府規制改革・民間開放推進会議の第3次答申では、 今後の人口減をふまえ、「現在は専門的・技術的分野と評価されていない分野におけ る外国人労働者の受入についても、その問題点にも留意しつつ、同時並行的に具体的 な検討を行うべき」との提言を行っている。なおこの提言は、平成 17(2005)年3月 に策定された第3次出入国管理基本計画の流れを汲むものであり、同計画においても、 専門的、技術的分野の外国人労働者の受入の推進に加え、人口減少時代への対応とし て、「我が国の産業及び国民生活に与える正負両面の影響を十分勘案」しつつ検討を 行うこととされている。 具体的には、現行の在留資格を見直すとともに、我が国の高等学校卒業相当以上の 学歴/日本語能力試験2級以上合格/3年程度の実務経験(研修・技能実習の修了を 含む)等を含む各種要素について、ポイント制度の導入検討の必要性を指摘している。 また、外国人の受入拡大に関する点に加え、予想を上回る外国人の流入に対する事前・ 事後規制の仕組みの必要性について、あわせて指摘を行っている。

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このほか、これまで我が国が受入を認めてきた外国人について、技能実習に係る個 別の在留資格の整備、企業内転勤における活動範囲の見直しや高度人材の移入促進に 資する在留期間の引き上げや、再入国許可制度の見直し等の提言を行っている。 B 運用組織体制の現状 受入政策に関する政策決定は法務省を中心とした国によってなされており、Aで整 理した政策は全て市町村における実態をふまえて法務省が検討、策定している。出入 国管理に関する事務についても在外日本大使館でのビザ発給から入国に際しての上陸 審査まで国が直接制度運用を行っている。 その後の国内での外国人登録は、法務省が所管、運用する制度に基づいて、実際の 業務を法定受託事務として市町村が行っている。市町村では外国人登録原票を作成し、 外国人に対し登録証明書を交付するとともに、外国人登録写票を国に送付し、登録証 明書の交付を国に報告することとなっている。 (2)在留管理制度の変遷と現状 A 政策・施策・制度の現状と変遷 a) 基本的考え方 我が国では、「出入国管理及び難民認定法」に基づく出入国管理制度、また「外国 人登録法」に基づく外国人登録制度により在留管理が行われている。前者は入国時の 審査、後者は滞在中の管理を行うものである。 b) 出入国管理制度の概要 昭和 26(1951)年に制定された「出入国管理及び難民認定法」に基づき、法務省の 所管の下、同省入国管理局が運用する出入国管理制度では、我が国に外国人が入国す る場合、査証免除協定を結んでいる国の外国人以外は、海外にある日本国大使館にて 取得した査証のある有効な旅券を所持し、空海港の地方入国管理局において上陸許可 の証印を受けなければならない。 c) 滞在中の在留管理の概要 我が国では、昭和 27(1952)年に制定された「外国人登録法」に基づき、外国人の 滞在中の管理が行われている。同法は「外国人の居住関係及び身分関係を明確ならし め」ることで公正な管理を行うことを目的とし、その具体的な事務は、同法施行令に よる法定受託事務として市区町村が実施している。 同法が定める在留管理では、入国後 90 日を超えて国内に滞在する外国人、日本国内 で出生あるいは日本国籍を離脱した外国人を、登録制度の対象としている。なお、国 内で出生あるいは日本国籍を離脱した外国人については、出生・離脱後、60 日以内に 外国人登録申請を行う必要がある。 また、外国人登録制度は、対象となる外国人の氏名、生年月日、性別、国籍、旅券 番号、在留資格・期間、世帯主の氏名・続柄等の情報を登録するものである。なお、

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登録は個人単位で管理され、世帯単位で登録・管理される住民基本台帳とは、情報管 理の単位が異なる。 在留中の外国人の活動は在留資格により規定されており、国内における外国人の就 労等の諸活動は、在留資格ごとに定められた範囲内においてのみ認められる。 d) 近年の動向 内閣府規制改革・民間開放推進会議の第3次答申(平成 18 年 12 月 25 日)では、外 国人の在留状況に関する情報を関係機関で相互に紹介・提供する仕組みの整備、住民 基本台帳制度を参考とした、適法な在留外国人の管理を行う台帳制度への外国人登録 制度の改変について、平成 21(2009)年の通常国会までに関係法案を提出し、対応す べきとの提言を行っている。なお、現行の外国人登録証明書に代わる在留カードを発 行する場合は、あわせて、在留資格認定証明書や就労資格証明書の機能を上乗せする ことも検討し、在留管理の合理化を図るべきとの指摘を行っている。また、第3次出 入国管理基本計画(平成 17 年3月)では、外国人登録事務のオンライン化により、事 務の簡素化・合理化を図ることを検討するとしている。 さらに、同会議では、不法就労者を雇用する事業主への厳格な対処等、外国人の雇 用状況の管理等の徹底を図るとともに、留学生を受け入れる教育機関についても、在 籍状況の報告制度の実効性を高めることの必要性を論じている。このほか、我が国の 在留管理においては、永住者の在留資格を有する者は在留期間等の制限を受けないた め、そのほかの在留資格との間で権利・義務関係の均衡を図ることの必要性を指摘し ている。なお、第3次出入国管理基本計画には、永住許可要件の明確化、透明化を図 る旨が明記されている。 B 運用組織体制の現状 外国人登録申請の対象となる外国人は、居住する市町村において登録申請を行い、 それを受け、市区町村は登録原票を作成し、地方入国管理局に対して登録証明書調製 依頼を行う。その後、地方入国管理局は登録証明書を市区町村に送付し、それを受け た市区町村は当該外国人に登録証明書を交付する。なお、登録原票は市区町村が管理 し、地方入国管理局に送られた登録証明書の調製データや市区町村による登録証明書 の交付情報は、法務省に送付・報告される。 なお、外国人登録法では、登録内容に変更が生じた場合、居住する市区町村に対し、 一定の期間内に変更登録申請を行うことが定められている。また、他市区町村へ転居 する場合、当該外国人は転出先の市区町村にて変更登録申請を行い、それを受け、転 出元の市区町村にて管理されていた登録原票は転出先の市区町村に送られる。 さらに、登録情報の定期的な確認を行うため、原則として、新規登録または新たに 外国人登録証明書の交付を受けた時に 16 歳以上の外国人は5回目、永住者及び特別永 住者の場合は7回目の誕生日から 30 日以内、また、16 歳未満の場合は 16 歳の誕生日 から 30 日以内に、居住する市区町村に登録確認の申請を行うことが定められている。 このほか、外国人登録法では、出国時、死亡、帰化時に当該外国人の保有する登録

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証明書を返納することが定められている。特に、外国人が出国する場合、出国する出 入国港で入国審査官に登録証明書を返納することが定められており、その後、外国人 の出国に関する情報は、地方入国管理局から当該外国人が居住していた市区町村に通 知される。 図表- 14 外国人登録の届出について 届出の種類 対象者 届出の期間 新規入国者 上陸した日から 90 日以内 新たに出生した子ども 出生した日から 60 日以内 新規登録 日本国籍でなくなった者 日本国籍でなくなった日から 60 日以内 居住地を変更した場合 新居住地に移転後 14 日以内 氏名/国籍/職業/在留資格・期間/勤務所また は 事 務 所 の 名 称 及 び 所 在 地 /の い ず れ か に 変 更が生じた場合 変更が生じた日から 14 日以内 変更登録 世 帯 主 の 氏 名 / 世 帯 主 と の 続 柄 / 旅 券 の 取 得 ・ 更 新 /国 籍 の あ る 国 に お け る 住 所 ま た は 居 所 /通 称 名 等 の 登 録 事 項 に 変 更 が 生 じ た 場 合 変更が生じた後、最初の登録証明書の交付を 伴う申請を行うまで(申請時) 引換交付 登録証明書を著しくき損、または汚損した場 合、登録証明書の裏面記載欄の全てに記載が あり、追記できない場合 再交付 登録証明書の紛失、盗難または滅失した場合 登録証明書の紛失、盗難、滅失を知った日か ら 14 日以内 確認申請 ( 切 替 交 付) 外国人登録をしており、登録証明書の切替対 象となる者 新 規 登 録 ま た は 登 録 後 に 確 認 を 受 け た 際 、 (1)16 歳以上の者は、原則、5回目(永住 者または特別永住者は7回目)の誕生日から 30 日以内、(2)16 歳未満の者は 16 歳の誕 生日から 30 日以内、(3)16 歳以上の者で、 誕 生 日 以 外 に 次 回 確 認 申 請 の 基 準 日 を 定 め られた場合は、その日から 30 日以内 出国する場合 出国する出入国港の入国審査官に返納 外国国籍ではなくなった場合 変更が生じた日から 14 日以内 返納 死亡した場合 死亡した日から 14 日以内 資料)「外国人登録法」、各市町村ホームページより作成 (3)社会的統合政策の変遷と現状 A 政策・施策・制度の現状と変遷 a) 基本的考え方 我が国では、国による外国人の社会的統合政策は実施されていない。ただし、外国 人居住者の多い市町村では、外国人子女等を対象に言語教育を実施する等、独自の取 り組みが行われている。また、あわせて各地の国際交流協会等では、在留外国人に対 する日本語を学ぶ機会を提供している。 b) 制度の概要 我が国では、国による体系的な社会的統合政策は実施されておらず、多文化共生や 外国人の雇用対策の一環として、各省庁が個別に取り組む事業に限られる。 これに対し、外国人居住者の多い地域では、外国人子女等を対象とした言語教育、 文化慣習に関する講習等を独自に実施している。また、地方自治体レベルでは、行政

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機関における多言語対応の窓口の設置、賃貸契約に必要な保証人の肩代わり等、外国 人の生活支援に係る取り組みが行われている。 このほか、外国人居住者の多い地方自治体を中心に、平成 13(2001)年に「外国人 集住都市会議」が設立され、外国人の社会的統合のための施策に関する情報交換、さ らには国や県等に対する各種提言が行われている。 図表- 15 外国人集住都市会議の参加自治体の概況 都市名 総人口(人) 外国人 登録者数(人) 外国人比率 (% ) 外国人登録者 (国籍別第1位) 外国人登録者 (国籍別第2位) 外国人登録者 (国籍別第3位) 群馬県 太田市 2 1 8 ,0 3 3 8 ,7 9 2 4 .0 ブラジル フィリピン ペルー 群馬県 大泉町 4 2 ,1 6 5 6 ,6 7 6 1 5 .8 ブラジル ペルー 中国 長野県 上田市 1 6 1 ,4 6 1 6 ,2 7 0 3 .9 ブラジル 中国 ペルー 長野県 飯田市 1 1 0 ,7 3 9 3 ,1 4 6 2 .8 ブラジル 中国 フィリピン 岐阜県 大垣市 1 6 6 ,3 4 2 6 ,9 1 0 4 .2 ブラジル 中国 韓国・朝鮮 岐阜県 美濃加茂市 5 3 ,5 5 0 5 ,1 4 6 9 .6 ブラジル フィリピン 中国 岐阜県 可児市 1 0 1 ,2 4 4 6 ,2 8 1 6 .2 ブラジル フィリピン 韓国・朝鮮 静岡県 浜松市 8 1 7 ,5 4 8 3 0 ,7 7 2 3 .8 ブラジル 中国 フィリピン 静岡県 富士市 2 4 3 ,2 8 7 4 ,6 4 0 1 .9 ブラジル 中国 韓国・朝鮮 静岡県 磐田市 1 7 5 ,2 6 3 9 ,0 3 1 5 .2 ブラジル 中国 フィリピン 静岡県 湖西市 4 5 ,8 0 0 3 ,5 9 7 7 .9 ブラジル ペルー インド 愛知県 豊橋市 3 7 9 ,4 8 4 1 8 ,5 7 7 4 .9 ブラジル 韓国・朝鮮 フィリピン 愛知県 岡崎市 3 6 7 ,8 5 0 1 0 ,7 0 6 2 .9 ブラジル 韓国・朝鮮 中国 愛知県 豊田市 4 1 2 ,2 0 7 1 4 ,6 6 0 3 .6 ブラジル 中国 韓国・朝鮮 愛知県 西尾市 1 0 6 ,0 8 3 4 ,8 1 4 4 .5 ブラジル 韓国・朝鮮 ペルー 三重県 四日市市 3 1 0 ,7 1 0 9 ,0 4 4 2 .9 ブラジル 韓国・朝鮮 中国 三重県 鈴鹿市 1 9 9 ,9 7 5 9 ,1 9 5 4 .6 ブラジル ペルー 韓国・朝鮮 三重県 伊賀市 1 0 3 ,0 0 5 4 ,7 9 4 4 .7 ブラジル 中国 韓国・朝鮮 (愛知県 小牧市) 1 5 1 ,2 8 8 8 ,3 0 5 5 .5 ブラジル ペルー 中国 (三重県 津市) 2 9 1 ,4 0 7 8 ,2 4 0 2 .8 ブラジル 中国 フィリピン (滋賀県 湖南市) 5 6 ,4 6 3 3 ,2 7 4 5 .8 ブラジル ペルー 韓国・朝鮮 注釈)掲載値は 2006 年4月1日時点。括弧内の都市はオブザーバーとして参加している都市を示す。 資料)外国人集住都市会議ホームページ掲載情報より作成 c) 近年の動向 内閣府規制改革・民間開放推進会議の第3次答申では、在留外国人の社会的統合、 多文化共生社会の実現に向け、地域日本語教育支援事業や日本語を第2言語として学 習するカリキュラム(JSLカリキュラム)の開発だけでなく、受入機関や送出国の 関与、支援について幅広い検討を求めている。 また、不就学の外国人子女の問題に対し、各種支援事業の実施に加え、外国人児童・ 生徒に学習機会を確保するため、関係機関の間で負担調整を図り、検討を行う必要が あることを指摘している。 なお、平成 17(2005)年度より、文部科学省では、教育委員会や学校が外国人登録 を行う市区町村担当課、民間事業者、NPO等の機関と連携し、不就学児童・生徒の 実態を把握し、就学支援のあり方を研究する「不就学外国人児童生徒支援事業」を実 施している。

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4.我が国の外国人労働者の受入、在留管理、社会的統合に係る課題について

ここまでの検討結果を総括すると、我が国の外国人労働者の受入、在留管理、社会 的統合に係る課題は以下の通り整理される。 (1)受入制度に係る課題 ・受入を認めている専門的、技術的分野の労働者の認定基準は、基準省令により各個 別に設定されており、外国人労働者受入認定基準の体系性、統一性が不十分である。 ・日系人は就労の制限のない在留資格が付与されるため、実質的には外国人労働者受 入の管理が困難となっている。 (2)在留管理制度に係る課題 ・入国後の勤務先変更や退職、通学先変更や退学に関する報告義務がないため、入管 では的確な把握を行うことが難しい。 ・外国人登録の内容に変更が生じた場合に、いくつかの項目については変更登録の義 務があるが、必ずしも十分に履行されていない。 ・在留管理(状況把握)が入国審査時、更新時、登録内容に変更が生じた場合に限ら れ、その間の状況が適切に把握できない。 ・外国人登録と出入国管理が一体的に管理されていない。 (3)社会的統合に関する国内の課題と海外調査のポイント ・日本では、外国人への体系的な社会的統合政策が実施されていない。 ・外国人子女に対する教育に関する統一的な制度がない。

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III. 英国における外国人問題への取り組みと課題

1.歴史的・社会的背景

英国は、かつて世界中に植民地を有する「日の沈まない帝国」と呼ばれ、植民地が 独立した後も、それらを英連邦(British Commonwealth of Nations)として統率してき た。これを背景に、かつての宗主国として英連邦の市民権保有者を受け入れてきた歴 史があり、長年の間、移民に対して多くの関心を払ってこなかったとされる。 英国における移民・外国人施策の特徴は、20 世紀前半における英連邦以外からの移 民規制、20 世紀後半における英連邦諸国も含めた規制強化、21 世紀に入ってからの国 際競争力向上のための高度技能者や熟練労働者を対象とした選択的規制緩和路線に大 別されると考えられる。 (1)英連邦以外からの移民規制 英国では、19 世紀のアイルランド人、19 世紀後半から 20 世紀初頭のユダヤ人の大 量流入を受けて、20 世紀初頭には 1905 年外国人法(Aliens Act)、1914 年国籍と外国 人の地位に関する法(British Nationality and Status of Aliens Act)、1914 年外国人制限 法(Aliens Registration Acts、1919 年改正)と、国籍や移民に関する英国の主要な法が 次々と制定された。

し か し 、 こ れ ら の 法 は 、 外 国 人 を 対 象 と し た も の で あ る た め 、 英 国 臣 民 ( British Subject)の身分を有する英連邦からの移民に対しては効力が及ばなかった。

(2)英連邦も含めての移民規制強化

1948 年英国国籍法(British Nationality Act)において、英連邦市民には、自動的に英 国における居住及び労働の権利が与えられた。そのため、経済発展につれて非熟練労 働力が必要とされた 1950 年代に、新英連邦諸国(1945 年以降に独立した旧植民地国、 具体的には西インド諸島、インド、パキスタン等)から大量の移民が流入した結果、 移民と以前からの英国民の間で摩擦が発生するようになった。1958 年に人種暴動が発 生したことを契機として 1962 年英連邦移民法(Commonwealth Immigrants Act)が成立、 労働許可(Work Permit)制度の導入により英連邦諸国からの移民にも制限が課され、 以降、漸次、受入の厳格化が進んでいる。 既存の法を整理して成立した 1971 年移民法(Immigration Act)では、居住権(Right of Abode)の有無による移民の区別が設けられ、自身かいずれかの親が本土生ま れ で ある者に限り居住権が付与されたことで、単純労働目的の移民が減少したとされる。 さらに、家族呼び寄せによる入国が抜け穴となっているとの指摘を受けて、1981 年英 国国籍法(British Nationality Act)では、両親のいずれもが本土生まれである場合を除 き、自身が本土生まれであっても自動的には市民権が付与されないこととなり、英国 への移民の門戸はより狭いものとなった。

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(3)移民政策の転換―高度技能者や熟練労働者を対象とした選択的規制緩和― 近年における経済成長の持続と、高齢化に伴う労働力人口の不足は、失業率の低下 につながり、専門分野の技能労働者、熟練労働者だけでなく、非熟練労働者について も、深刻な労働力不足につながった。これを受けて 2000 年に労働許可制度を改正、2001 年に開始して 30 年ぶりに移民規制を緩和した。さらに国際競争力維持・向上のため、 2002 年には高度技能者を対象とした「高度技能移民プログラム(Highly Skilled Migrant Programme; HSMP)」を導入する等、英国でも高度技能者や熟練労働者を対象に、移 民に対する規制の緩和措置をとりはじめた。 また、時々の需要にあわせて必要な制度を策定していたため、受入区分が巨大で複 雑なものとなった4ことで、入国審査官の判断の統一や、手続きの簡素化を課題として 抱えている。そこで、2005 年には国境管理5箇年計画を策定し、先端技術の活用や、 受入・在留制度の簡素化、客観性の向上、管理の強化等を進めている。 図表- 16 英国における移民政策関係の主要な法と近年の施策の変遷 年 名称 1905 外国人法(Aliens Act) ※就労が不可能になった段階で国外退去

1914 国籍と外国人の地位に関する法(British Nationality and Status of Aliens Act)

※英国国籍と外国人の地位を規定

1914 外国人制限法(Aliens Registration Acts)

※出入国管理の強化

1919 外国人制限法(Aliens Registration Acts)

※英連邦以外からの移民に対する規制強化

1948 英国国籍法(British Nationality Act)

※英連邦市民に居住と労働の権利を自動付与

1962 英連邦移民法(Commonwealth Immigrants Act)

※英連邦諸国からの移民も規制対象として労働許可制度導入。以降、漸次受入厳格化

1971 移民法(Immigration Act)

※既存の法律を整理統合し、居住権の有無による移民規制

1981 英国国籍法(British Nationality Act)

※市民権の自動付与中止 2000 労働許可制度の改正 ※技能労働者不足を補うため、30 年ぶりに移民規制を緩和 2002 高度技能移民プログラム(HSMP)の導入 ※高度技能者受入拡大のため、ポイント制度の導入 2003 高度技能移民プログラム(HSMP)の見直し ※高度技能者受入拡大のため、基準点を緩和

「国境管理(Controlling our borders)」-国境管理5箇年計画 ※入国管理行政の課題と改革方針の公表

2005

受入制度見直し案「選択的受入(Sellective Admission)」

※5箇年計画の方針に沿って、制度の単純化やポイント制度の導入案を提示 議会討議資料「ポイント制度(A Points-Based System)」

※「選択的受入」に対する意見をふまえて導入される、新しい受入制度の説明 2006 HSMPの改正 ※ポイント制度の第1区分(Tier1)に対応した点数制度に改正 資料)英国内務省移民国籍局資料等より作成 4

英国内務省「Selective Admission: Making Migration Work for Britain」(2005 年7月)には、受入区分は 70 種類を上回るとの記述がある。

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なお、近年の政策転換をふまえ、本調査の調査対象である議会討議資料(Command Paper)「ポイント制度」に関連する動きを整理すると、次図のようになる。 図表- 17 ポイント制度の変更と検討・計画に関連する文書の流れ 2 0 0 2 年 2 0 0 3 年 2 0 0 5 年 2 0 0 6 年 制 度 変 更 関 連 文 書 高度技能移民プ ロ グラ ム ( H S MP ) の導入 国境管理5 箇年計画 「 選択的受入」 「 ポイ ン ト 制度」議会討議資料 H S MP の基準点見直し ( 緩和) H S MP に新配点表導入 資料)英国内務省移民国籍局資料等より作成

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2.外国人問題の現状

(1)基本的政策・態度

英国における基本的な移民政策は、国際競争力の向上のために高度技能者を積極的 に受け入れるとともに、非熟練労働者については原則として受け入れないというもの である。

ただし、欧州経済地域(European Economic Area; EEA)協定5

によって、EEA域内 では人の移動の自由が原則として認められているため、EEA諸国市民は非熟練労働 者受入政策の例外となっている。英国は、2004 年欧州連合(European Union; EU)新 規加盟国のうち東欧8か国(Accession 8; A8)からも労働力を受け入れており6、非熟 練労働者を受け入れない措置は、事実上、EEA諸国以外からの移民を制限するもの となっている。 A 移民の定義 英国では、移民(international migration)の定義は、国際連合の定義(到着以前に1 年間以上外国に在住していた者のうち、入国時に1年間以上の滞在意図を表明した者) に対応7 している。そのため、英国籍者であっても移民に含まれる場合がある。 なお、国籍は基本的に生地主義によっており、両親が英国籍か定住者である英国出 生者、両親が血統以外の理由で英国籍を有する海外出生者は、英国籍を取得できる。 B 移民や外国人に対する基本的態度 近年は大幅な移民流入超過の状態にあるが、失業率は長年低下を続け、直近も低い 水準で推移している。そのため、移民と失業を結びつけた議論は多くなく、移民の多 い地域は豊かな地域と認識されることも多い。犯罪件数も減少しており、移民と犯罪 を関連付けた議論も多くない。 歴史的・社会的背景で述べたように、英国は長年の間移民受入国家であり続けたこ と、また主要な流入元が英連邦諸国であったことから、移民側に英国に対する理解や 尊敬もあった。そのため、移民を社会的統合する必要性が大陸諸国に比べて高くなく、 必ずしも英国への同化を求めないとする考え方が主流であった。 ただし、近年の流入者は東欧諸国をはじめ英連邦以外の国々が中心となっており、 状況は少しずつ変化しつつある。また、2005 年のロンドンテロ事件の犯人が、移民子 孫の英国人であったことを受け、英国人らしさ(Britishness)とは何かとする議論が発 生している。 5

EUと欧州自由貿易連合(European Free Trade Association; EFTA)諸 国(除スイス)の協定。スイスに 対しても、二国間協定(EC-Swiss Bilateral Agreements of 1999)によって、人の移動の自由は認められ ており、「ポイント制度」に関連した一連の文書には記載はないが、同様に取り扱われる。

6

2004 年以降のEU新規加盟国(除マルタ、キプロス)に対しては労働者の移動に移行措置が認められ ているが、英国は 2007 年新規加盟のブルガリアとルーマニアに対してのみ移行措置を適用している。

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(2)統計からみた移民の現状

統計に基づき、英国の近年の移民の現状を整理する。

通常は、いずれの国においても、出入国管理官の許可がなければ入国できないのが 大原則であるが、英国の出入国統計には、EEA諸国の市民の移動と、共通旅行区域 (Common Travel Area)協定に基づいたアイルランドとの移動において例外が存在す る。その上、英国においては、市民や在留外国人に対する普遍的強制的な登録制度が なく、ほかの欧州諸国でみられるような、登録に基づいた網羅的な統計が作成できな い。そのため、国際移動統計も推定に基づいているが、共通旅行区域が対象に含まれ ていないため、最も重要な移民送出国と考えられるアイルランドからの移民統計が不 十分となっている。 これに加えて、法や慣行の変化に伴い、統計上の用語の定義も頻繁に変更されるこ とから、さまざまな論文、文献等においても統計からの実態把握の困難さが指摘され ている8ことにも留意が必要である。 A 流入 近年の英国では移民の流入数が大幅に増加して 2004 年には 58 万人に達しており、 近年の流入水準は史上最大といわれている。 図表- 18 英国における移民流入・流出数の推移 0 1 0 0 2 0 0 3 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 (千人) 流入(In flo w ) 流出(O u tflo w ) 増減(n et flo w ) (年)

資料)英国国立統計局「Control of Immigration: Statistics United Kingdom」(2006 年8月)より作成

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David A Coleman(福田亘考、千年よしみ訳)「英国の移民政策」『人口問題研究』55-4(平成 11 年 12 月)国立社会保障・人口問題研究所等

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近年の失業率は 1998 年(6.3%)から 2004 年(4.8%)までの間、低下基調であった。 図表- 19 英国における失業率の推移 4 .8 5 .0 5 .2 5 .1 5 .5 6 .0 6 .3 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 (%) (年)

資料)国際通貨基金(IMF)「World Economic Outlook」(2006 年)

B 在留 英国における移民出身国は、地理的に近接しつながりも深いアイルランドが 12.9% を占めて最も多く、英連邦諸国からの移民も多い。しかし、米国、独国、仏国等の英 連 邦 諸 国 以 外 の 先 進 国 も 上 位 に あ り 、 ま た 国 単 位 で の 移 民 数 が 少 な い 「 そ の 他 」 が 44.1%を占め、多国籍化が進んでいることが特徴である。 図表- 20 英国における移民出身国(2004年) アイルランド, 1 2 .9 % インド, 6 .0 % アメリカ, 4 .7 % イタリア, 4 .2 % ドイツ, 3 .4 % フランス, 3 .3 % 南アフリカ, 3 .2 % パキスタン, 3 .0 % ポルトガル, 2 .9 % オーストラリア, 2 .8 % ジンバブエ, 2 .6 % バングラディッシュ, 2 .4 % ポーランド, 1 .7 % ナイジェリア, 1 .5 % スペイン, 1 .4 % その他, 4 4 .1 %

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移民の出身地域としては、歴史的経緯から英連邦諸国の出身者が多いが、近年の流 入状況をみるとEU諸国の出身者が増加しており、2003 年の 64 千人が 2004 年には 117.3 千人と 1.83 倍となっている。その中心はA8であり、特にポーランドからの移 民が多い。 図表- 21 英国における国籍別移民流入・流出数(2004年) -1 5 0 -1 0 0 -5 0 0 5 0 1 0 0 1 5 0 2 0 0 2 5 0 英国 EU諸国 英連邦諸国 そのほか 流入 流出 増減 (千人)

資料)英国国立統計局「Control of Immigration: Statistics United Kingdom」(2006 年8月)より作成 図表- 22 東欧8か国(A8)の労働者による登録申請者数(2006年6月時点) 0 5 0 1 0 0 1 5 0 2 0 0 2 5 0 3 0 0 チェコ エストニア ハンガリー ラトビア リトアニア ポーランド スロバキア スロベニア (千人)

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英国人口に比して、移民の年齢構成は生産年齢(18~49 歳)の占める比率が高く、 移民は労働力人口の増加に寄与しているとされる。 また、職種構成をみると、1998~2003 年に流入した移民の 43.4%が高度技能の業務 に就き、22.7%が簡易業務に従事しているが、これは英国全体での数字とほぼ同程度 である。しかし、2004 年にEUに新規加盟した国から流入した移民だけでみると、高 度技能の業務の比率は 10.9%であり、簡易業務が 61.8%である。 図表- 23 英国における移民の年齢別・職種別構成 人口構成 2 0 0 6 年 第1四半期 1 9 9 8 -2 0 0 3 年 に来た移民 2 0 0 4 -2 0 0 5 年 に来た移民 2 0 0 4 -2 0 0 5 年に 新規EU加盟国から 来た移民 総数(千人) 5 8 ,9 8 7 1 ,4 3 4 8 1 5 2 0 0 1 8 -2 4 歳 5 ,2 6 7 1 9 9 1 9 6 6 6 8 .9 % 1 3 .9 % 2 4 .0 % 3 3 .2 % 2 5 -3 4 歳 7 ,6 3 8 5 9 9 2 8 9 7 8 1 2 .9 % 4 1 .8 % 3 5 .5 % 3 8 .8 % 3 5 -4 9 歳 1 3 ,1 3 2 3 2 0 1 2 4 2 4 2 2 .3 % 2 2 .3 % 1 5 .2 % 1 2 .1 % 生産年齢人口 3 6 ,7 2 3 1 ,1 8 3 6 5 0 1 7 6 6 2 .3 % 8 2 .5 % 7 9 .7 % 8 7 .8 % 1 )生産年齢人口のうち、労働力人口に該当し ないフルタイムの学生 1 ,8 4 8 1 0 3 7 9 ※3 生産年齢人口に占める% 5 .0 % 8 .7 % 1 2 .2 % 2 )生産年齢人口のうち就業者 2 7 ,3 3 2 7 7 6 4 1 2 1 4 2 生産年齢人口に占める% 7 4 .4 % 6 5 .6 % 6 3 .5 % 8 0 .9 %  a :専門的・管理的業務(高度技能)※1 1 1 ,6 0 0 3 3 7 1 4 6 1 5 就業者に占める% 4 2 .4 % 4 3 .4 % 3 5 .3 % 1 0 .9 %  b :中間的業務 1 0 ,5 7 7 2 6 3 1 1 5 3 9 就業者に占める% 3 8 .6 % 3 3 .9 % 2 7 .9 % 2 7 .3 %  c:加工製造・機械技師等(簡易業務) 5 ,1 7 4 1 7 6 1 5 2 8 8 就業者に占める% 1 8 .9 % 2 2 .7 % 3 6 .8 % 6 1 .8 % 平均給与(£/週)  a :専門的・管理的業務(高度技能)※1 , 2 5 8 2 6 3 1 6 2 0 3 1 7   各カテゴリーの平均の標準偏差 ※4 5 .3 4 5 .9 5 8 .8 6 3 .7  b :中間的業務 2 6 6 2 9 6 2 4 3 2 2 4   各カテゴリーの平均の標準偏差 ※4 2 .6 1 7 .4 1 8 .0 2 2 .0  c:加工製造・機械技師等(簡易業務) ※2 2 5 2 2 4 5 2 3 3 2 3 8   各カテゴリーの平均の標準偏差 ※4 3 .7 1 6 .8 1 6 .3 1 7 .4 外国人移民 注釈)※1:専門職に関連・付随する職業を含む ※2:雇用されており生産年齢にある者 ※3:サンプル数が小さすぎるため省略 ※4:各カテゴリーの構成や統計調査上の階層を考慮せず重み付けした平均値の標準誤差を示す 資料)英国内務省移民国籍局資料

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(3)施策・制度 A 出入国管理 EEA諸国以外の国々の市民が6か月以上滞在する場合は、事前に入国査証(Entry Clearance)を取得しなくてはならない。入国査証申請の9割超が就業や事業等の労働 に関連する非定住目的、残りが定住者の家族等の定住目的として位置付けられている。 労働可能な入国査証の代表的なものとしては下表のようなものが挙げられる。 図表- 24 入国査証(Entry Clearance)による代表的な労働者受入制度 制度名 対象 オペア(Au Pair) 住み込み家事手伝いとして英語を学ぶ 17~27 歳の独身者 経営者 £200 千以上の自己資金を投資して、国内労働者2人以上の 雇用を生み出す経営者 ○高度技能移民プログラム(HSMP) 学歴、職歴、年収、業績、特別加点の5つの分野での獲得点 数が規程の得点を上回る高度技能人材 起業家 科学技術分野関連事業を起ち上げようとする起業家 投資家 £百万以上の自己資金を投資する投資家 ユース・エクスチェンジ・スキーム 旅行に付随の範囲で単純労働する 17~27 歳の英連邦市民 科学・工学科目修了者スキーム 認定教育機関において工学等を修了した留学生 代表駐在員 国外企業の支店設立準備駐在員(1名のみ) ●季節農業等労働者制度(SAWS) 季節農業労働に従事する者 英国由来外国人(UK Ancestry) 英国出生した祖父又は祖母を持つ 17 歳以上の英連邦出身者 注釈)制度名の冒頭●は数量割当制度、○はポイント制度 資料)英国内務省移民国籍局資料等より作成

◆高度技能移民プログラム(Highly Skilled Migrant Programme; HSMP)

本調査の主要な関心である、英国におけるポイント制度に基づいた移民プログラム は、現在、HSMPのみである。HSMPについては後述するが、2006 年 11 月に配 点表が見直され、12 月から新基準で実施されている。

◆季節農業等労働者制度(Seasonal Agricultural Workers’ Scheme; SAWS) EEA諸国以外に居住する 18 歳以上の全日制学生(ルーマニアとブルガリア国籍者 は学生でなくとも可)が季節農業労働に従事するために入国することを許可する仕組 みで、数量割当制(quota-based)である。 2007 年の割当は 16,250 人だが、EU加盟国でありながら労働者の移動に対する移行 措置の対象となっているルーマニアとブルガリアに、うち4割が割り当てられる。ま た、2008 年以降は全てがこの2か国に割り当てられる予定となっており、この2か国 の移行措置が終了する 2010 年末をもって制度も終了する。 英国内務省移民国籍局からの委託を受けたオペレーターによって運営される。労働 者は農業労働者や飼育者として派遣先の農場でのみ労働することが認められ、5週間 ~半年の在留が認められるが、期間が終了次第に出国しなくてはならない。

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外国人労働者については、入国査証によるほか、雇用主が申請する労働許可制度に よる受入がある。労働許可の申請にあたっては、指定された労働力不足業種等を除き、 雇用者は労働市場テスト(Resident Labour Market Test)によって、適切な広告媒体に 4週間募集広告を掲載し、EEA諸国の労働者では代替できないことを証明する必要 がある。また、労働許可の申請が受理された場合、別途、入国査証等の所定の在留許 可を得る必要がある。 図表- 25 労働許可証(Work Permit)による代表的な労働者受入制度 制度名 対象 ビジネス及び商務 企業内転勤、役員級、対英投資者、労働力不足業種 資格能力を要求する職(労働市場テスト必要) 職業訓練・研修制度 職業訓練や研修を目的とするEEA域外出身者 スポーツ及び芸能 一定の技能を有する芸能人、スポーツ選手(原則労働市場テスト必要) インターンシップ 以前に同じ雇用主でインターンシップを受けたことがない学生 ●業種別割当制(SBS) 食品製造業に就くブルガリアとルーマニアからの単純労働者 注釈)制度名の冒頭●は数量割当制度 資料)英国内務省移民国籍局資料等より作成 B 在留管理 入国後に滞在理由や期間等に変更があった場合は、英国内務省移民国籍局に居住許 可証(UK Residence Permit)を申請することになるが、外国人登録のような在留管理 的制度は一部の例外を除き存在しない。 一部の例外とは、当局の指定した要注意国(旧共産諸国及び中東や南米のテロ頻発 国)からの移民を対象とした登録制度と、A8を対象とした労働者登録制度(Worker Registration Scheme; WRS)であり、いずれも日本人は対象となっていない。 C 社会的統合 入 国 時 に 英 語 力 を 要 求 す る ほ か 、 難 民 に 対 し て は 個 人 統 合 プ ロ グ ラ ム ( Personal Integration Programme)等を用いて社会的統合が円滑に進むように配慮しているが、一 般の移民については、歴史的経緯からも英国は社会的統合の優先度が低い。 (4)運用組織体制

英 国 で は 、 英 国 内 務 省 ( Home Office)の部局 である移民 国籍局(Immigration and Nationality Directorate; IND)において移民問題の政策・施策レベルの決定が行われる。 社会的統合の実施にあたっては、地方政府への委託のほか、英国お得意の公民連携 事業(Public Private Partnership; PPP)の枠組みによる民間委託も活用されており、そ の中心となるのは慈善団体(Charity)である。

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図表- 26 英国における外国人問題の運用組織体制の概略

内務省移民国籍局 (Immigration and Nationality Directorate, Home Office) 移民受入、在留管理、社会統合の政策・施策の検討 中央政府 移民受入 移民の定義:国際連合の定義に準じる (到着以前に1年間以上外国に在住しており、入国 時に1年間以上の滞在意図を表明した者) ※英国籍者であっても移民の定義にあてはまる場 合がある 在留管理 地方政府 民間 地方自治体 一般的な行政サービスの一環として、教育、住宅を提供 中央政府からの委託による施策の実施 スコットランド、ウェールズ 一定の自治権を有し、独立した議会・政府等 によって異なる内政方針 民間団体 競争入札等による中央政府からの受託によって事業を 実施 慈善団体の場合は、企業や個人の寄付金を活用して、 団体の目的に応じた独自活動も実施 社会統合 PPPの枠組み等によって、実施段階は委託 政策・施策の決定においては、移民受入、在留管理、 社会統合の全てについて、中央政府が主体だが、実施 は、地方自治体や民間団体への委託によっている。

A 英国内務省移民国籍局(Immigration and Nationality Directorate; IND) ロンドン郊外の Croydon に所在し、帰化、難民申請に加えて移民に係る問題を扱い、 外国人問題、移民問題を所管している。移民国籍局は8部局で構成されている。 B 慈善団体(Charity) 英国の民間非営利部門(Voluntary Sector)の主体は慈善団体と呼ばれ、我が国の公 益法人や公益信託、特定非営利活動法人(NPO)に相当する。広義には、政党、労 働組合、クラブ等も含まれ、関心、活動範囲や組織構造も多岐・多様である。 慈善団体として認められるには、組織が私的利益のためでなく、公的利益のための 目的を持つことが必須要件である。慈善団体の登録、規制、監査等の権限を有するの は、慈善団体委員会(Charity Commission)と呼ばれる政府部門の組織であり、登録 されれば、各種税制において優遇措置を受けることができる。

◆ASI(Action for Social Integration)の場合

慈善団体であるASI(Action for Social Integration)は、ロンドン郊外の Edmonton Green に立地する有限責任の会社組織(Private Limited Company by guarantee)で、難民 や社会的少数者の生活に対する支援を行うことを主目的としている。英国には同様の 活動を行う団体は多数あるが、多くは国別・地域別等で特定の社会的少数者を対象と した活動であり、ASIは国・地域を横断的に対象としている点で特徴がある。

平均的な慈善団体は、公的資金からの財源がおよそ半分、個人・企業等の民間資金 からの財源が半分とのことだが、ASIでは、中央政府による社会的統合政策に対応 した事業提案の募集(Call for Proposal)に対して、適切な事業提案を行い受託するこ とで毎年の活動資金の 35%を確保しているほか、宝くじ基金からの活動資金が同程度 あることから、平均的な慈善団体に比べると公的資金の占める割合が高い。

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3.課題・問題点と対応

(1)課題・問題点 国境管理5箇年計画、「選択的受入」から整理すると、英国において大きな課題と されているのは、受入制度の簡素化、労働許可と在留許可の一本化、受入判断の客観 性の担保、強力な在留管理の実施の4点である。 A 受入制度の簡素化 その時々の需要にあわせて必要な制度を策定していたため、受入制度の仕組みが膨 大な数になり、さらに、相次ぐ制度の改編で、制度そのものが極度に複雑化している。 受入制度の簡素化を通じて、英国の移民政策全般の方針を明確にし、その目的を果 たすことができる柔軟な制度を構築する必要がある。 B 労働許可と在留許可の一本化 現状は、労働許可を取得した後に、指定の在留許可を取得する必要があるが、受入 制度の簡素化に対応して、5種類の区分の在留許可への一本化が提案されている。 なお、国境管理5箇年計画の時点では、4種類に区分することが提案されていたが、 「選択的受入」の時点で一時的労働者から学生が独立し、以降は5種類となっている。 C 受入判断の客観性の担保 制度が複雑化したことを受けて、入国管理官による可否の判断も難易度が高まって おり、その判断も主観的なものとなってきている。 これに対応して、簡素化された各区分に対する基準の明確化、客観性の担保のため、 ポイント制度の導入が提案されている。 D 強力な在留管理の実施 外国人登録制度等の強力な在留管理制度を有しておらず、管理がいきとどかない。 そのため、保証人制度の導入により、雇用者や大学による外国人管理の仕組みが提 案されている。 (2)対応 上記の課題A~Cに対しては受入制度の改善として、受入区分の簡素化とポイント制 度を導入するとして対応が進められている。同じくDは在留管理の改善として、保証 人制度を導入するとして対応が検討されている。

参照

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