工業塗装における
VOC排出削減自主的取り組みの考え方と
塗装現場の具体的VOC対策事例
〜現場で役⽴つ塗装機器洗浄時のシンナー削減、ゴミブツ対策〜2015年11月18日
国際⼯業塗装⾼度化推進会議 環境技術分科会会⻑
(有)久保井塗装工業所 窪井 要
埼玉県環境部大気環境課主催
化学物質対策セミナー
埼玉県マスコット「さいたまっち」今日伝えたいこと
⼯業製品の表⾯に塗料を⽤いて塗膜を
形成することを⾔う。その塗膜は⾦属やプラ
スチックのサビや劣化を防ぎ、保護し、製品
の耐久性向上とともに美観や機能を付与す
る。工業塗装が存在しなければ、日本の基
幹となる⾃動⾞産業や家電産業も存在し
はじめに「工業塗装とは」
今日伝えたいこと
しかし⼀⽅で、塗装の材料である塗料は
⽯油を主原料とする資源である。また別の
側面では、地球環境に負荷を与える化学
物質であることを意識しなければならない
そこでわれわれ工業塗装に携わる技術者
は、それらの資源を無駄なく⻑く使えるように
しなければならない
伝えたいコト
1.⾃⼰紹介〜はじめに
2.VOCとはなんぞや
(発生のメカニズム)
3.なぜVOC削減すべきなのか
4.今すぐできるVOC削減方法
5.むすびに
伝えたいコト
1.自己(IPCO)紹介〜はじめに
2.VOCとはなんぞや
(発生のメカニズム)
3.なぜVOC削減すべきなのか
4.今すぐできるVOC削減方法
5.むすびに
1. 自己紹介
・私は・・・ 窪井 要 (代表取締役) ・会社名:有限会社久保井塗装工業所 ・所 在:埼玉県狭山市中新田1083-3 ・設 ⽴:1965年(創業:1958年) ・事業内容:⼯業塗装全般(プラスチック・⾦属) ⾃動⾞内外装プラスチック部品塗装 プラスチック弱電製品・医療器塗装 試作塗装 店舗内外装部品塗装 量産品の塗装(UV/レーザーマーカー/電鋳マスク塗装ほか) ⾦型製作 成形加工 アッセンブリ加工 ・業界団体:国際⼯業塗装⾼度化推進会議(IPCO)環境技術分科会 会⻑ 日本塗装技術協会 理事 東京工業塗装協同組合 副理事⻑設立
50年の
国際⼯業塗装⾼度化推進会議とは
名 称:国際⼯業塗装⾼度化推進会議 理 念:地球環境の保全と共生
工業塗装と日本のものづくりの明るい未来を目指す
略 称:国際塗装会議
英語名:IPCO(International Promoting Council of Industrial Coating) 分科会:環境技術分科会(セミナー開催など主な活動を⾏っている)
安全対策分科会(今夏、東京都VOC対策セミナーで講演を担当) 所在地:東京都新宿区矢来町3番地(塗料報知新聞社内)
IPCOを推進するメンバー
議 ⻑:⽊下 真生:日本塗装機械工業会(CEMA)会⻑ 副議⻑:渡邊 忠彦:日本パウダーコーティング協同組合(JAPCA)理事⻑ 副議⻑:窪井 要:日本塗装技術協会(JCOT)理事 相談役:福田良介:JAPCA専務理事 代表幹事:平野 克己:CEMA専務理事 幹 事:窪井 要(兼任) 幹 事:内山 貴識:CEMA理事 幹 事:高橋 大:JAPCA幹事 幹 事:魚谷 英美(アースクリーンテクノ) 幹 事:⽯井信⾏(⼤塚刷⽑製造株式会社)IPCOを推進するメンバー
幹事(事務局⻑):有馬 弘純(塗料報知新聞社) アドバイザー: 木下 稔夫(東京都産業技術研究センター) 坂井 秀也(坂井技術士事務所) 藤井 俊治(三菱テクノリサーチ) 田村 吉宣(元いすゞ⾃動⾞) 片山 眞司(ランズバーグ・インダストリー:ビジネスコンサルタント) 奴間 伸茂(高分子学会フェロー) ⾏ 政 : 関東経済産業局、東京都環境局、埼玉県環境部 学 校 : 東京大学、明治大学等数々の大学 産業界 : 塗装関連企業IPCOのしてきたこと
日本塗装機械工業会・CEMAと工業塗装業者の組合という縦割りの組織に横 串が刺さり、それぞれの強みを⽣かして⾏動を開始 《これまでの活動実績についての説明》 1. 2007年よりVOC削減方法の考案と、実施・検証、セミナーを開催し啓発 2. 2009年より「サポイン21部会」を⽴ち上げ、経産省の指定する、「中⼩企 業の⾼度基盤技術」に「塗装技術」を指定してもらうための⾏動開始 3. 2010年、「1.」を続けた結果、環境省より「平成22年度揮発性有機化合 物(VOC)対策功労賞」と「平成22年度⼤気汚染防⽌推進⽉間表彰」を 受賞 4. 2012年4月16⽇、「塗装技術」が⾼度な基盤技術に指定されたことが官 報に掲載された。このことにより、「塗装技術」の⾼度化に関わる研究開発に 対し、国から支援されるこことなったはじめに〜⼯業塗装に携わるものとして
「地球は一つです」
工業塗装に携わるものとして、次の世代に
出来るだけ良いコンディションの「地球」をバ
トンタッチすることが、今を生きる者の責務で
あると考え、「工業塗装のあるべき姿」を目
指し⾏動する
伝えたいコト
1.自己(IPCO)紹介〜はじめに
2.VOCとはなんぞや
(発生のメカニズム)
3.なぜVOC削減すべきなのか
4.今すぐできるVOC削減方法
5.むすびに
2. VOCとはなんぞや
VOC=揮発性有機化合物
(Volatile Organic Compounds)
塗料、インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、
シンナーなどに含まれるトルエン、キシレン、
酢酸エチルなど「有機溶剤」をさす
スプレー塗装の場合、塗装可能な塗料
粘度に調整するため必要不可⽋
2-1.VOCの発生源
2-2.塗装におけるVOC発生のメカニズム(塗装工程)
塗着しなかった 塗料中のVOC:① 微粒化された塗料 の塗着工程中に 揮発したVOC:② 塗装ブースダクトからの排出:①+② 被塗物に塗着した 塗料中のVOC:③2-3.塗装におけるVOC発生のメカニズム(工場全体)
ス プ レ ー 塗 装 塗 装 ブ ー ス ダ ク ト か ら の V O C 排 出 塗装ブース本日、伝えたいコト
1.自己(IPCO)紹介〜はじめに
2.VOCとはなんぞや
(発生のメカニズム)
3.なぜVOC削減すべきなのか
4.今すぐできるVOC削減方法
5.むすびに
3. なぜVOC削減すべきなのか
経済産業省では、「VOCが大気中に出て⾏くとNO
Xとともに太陽
光を受けて光化学オキシダントを生成します。光化学オキシダント
は、目や喉への刺激等の人的被害だけでなく、農作物等の植物被
●石油枯渇問題
(あと50年で採算採掘終了!?)
●気象変動に関する政府間パネル(IPCC)
第5次統合報告書
(気候システムに対する人間の影響は明瞭、
地球が許容できるCO
2はあと30年分)
・・・などなど
3-1.地球環境についての最新トピックス
3-2.労働安全衛⽣⽬線で⾒るVOC
有機溶剤中毒
≪急性中毒≫
⾼濃度の蒸気を吸うと頭痛、めまい、吐き気
場合によっては中毒死
≪慢性中毒≫
有機溶剤蒸気を吸い肺から体内へ
触れることで皮膚から体内へ入り、
血液に入り込み全身に回り脳や神経に結合蓄積され
やすく精神・神経障害を発症したり、皮膚炎、粘膜炎、
上気道炎に(大阪の胆管癌問題は有名)
3-3.⽕災予防(溶剤塗装⽕災の成⽴条件)
「第4類危険物 」≒ 「引火性液体 」 (≒ 溶剤 ≒VOC) である
溶剤塗装に火災はつきもの。 安心・慢心は禁物
酸素
可燃物(危険物)
点火源(火種)燃焼
火災
溶剤塗装は可燃物である危険物第4類を扱っており、火種があれば燃焼する 消火出来ずに延焼すれば火災になる本日、伝えたいコト
1.自己(IPCO)紹介〜はじめに
2.VOCとはなんぞや
(発生のメカニズム)
3.なぜVOC削減すべきなのか
4.今すぐできるVOC削減方法
5.むすびに
4-1. 溶剤洗浄オケにフタをする
作業後
作業中
4-1. 溶剤洗浄オケにフタをする
作業中は開放
作業終了時はフタをする
4-1. 溶剤洗浄オケにフタをする
徹底的にフタをする! フタをし忘れないための工夫も重要
洗浄用容器にフタを付けてしまうこともその方法
塗装に⽤いられた塗料の固形分質量と被塗物に
塗着した塗料の固形分質量との⽐を百分率で⽰すもの。
塗装ブースへ 塗着しなかった 塗料(廃棄物) 塗料の噴出 塗着効率(%)= スプレーガンから噴出した塗料の固形分質量 被塗物に塗着した塗料の固形分質量 ×1004-2. 塗着効率を上げる
4-2. 吹き付け⾓度による塗着率の変化
吹き付け⾓度 90 ° 塗着効率 43% 光沢度(Gs) 94% 膜厚(μm) 23 吹き付け⾓度 約60° 約45° 塗着効率 36% 26% 光沢度(Gs) 90% 37% 膜厚(μm) 20 16使⽤塗料:メラミン樹脂塗料
(20秒NK-2)
被塗物
:アルミ板
(30×40cm) ノズル口径:
1.3mm
吹き付け圧⼒: 0.25MPa 重⼒式
垂直距離:約 20cm
4-2.塗着効率向上のため静電塗装化
塗装:20μ塗装 比重1.2使⽤塗料
m
2当り
20×1.2÷0.4
=
60g
使⽤塗料
m
2当り
20×1.2÷0.5
=
48g
差12g
元の塗料の
塗料代:72万円/年減
あ
ま
っ
た
お
金
で
静
電
ガ
ン
が
買
え
40%の手吹ガン→50%の静電ガン
100 100 100 100 100 100 100 100 100 900 400 233 150 100 67 1000 500 333 250 200 167 143 125 111 100 100 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 塗着効率(% ) 塗着した固形分(塗膜) 飛散した固形分(廃棄物) 有機溶剤 (VOC成分)