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複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 糖尿病腎症 9 CQ9-1 尿中アルブミン測定は糖尿病腎症の早期診断に有用か? ステートメント 尿中アルブミン測定は, 糖尿病腎症の早期診断として有用である 1). 推奨グレード A

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全文

(1)

糖尿病腎症は,長期的な高血糖の曝露による代謝異常と血行動態の変化によって腎機能低

下と組織障害をきたす糖尿病特有の血管合併症と考えられている.典型的な腎症の自然経過

では,初期に糸球体過剰濾過がみられ,その後,微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿へ

と進行する.尿蛋白の増加に伴い徐々に腎機能の低下が進行し,最終的に腎代替療法が必要

な腎不全状態に至る.微量アルブミン尿は糸球体における基底膜のアルブミンの透過性の亢

進と尿細管による再吸収の障害に関連して生じる

a)

.微量アルブミン尿は,腎症の比較的早期

にみられる所見であることから,腎症の病期分類においては,尿中アルブミン・クレアチニ

ン比 30 mg/g・Cr 以上を陽性とし,30〜299 mg/g・Cr を早期腎症(第 2 期)と定義している

b)

微量アルブミン尿は透析導入,腎移植,推算糸球体濾過率(estimated glomerular filtration

rate:eGFR)半減の腎イベントと顕性腎症への進展のリスクである

1, 2)

しかし,尿中アルブミン排泄量は採尿条件によって変動することから,早期腎症の診断に

際しては複数回の検査を施行する必要がある.また,糖尿病に特異的なマーカーではなく高

血圧,メタボリックシンドロームなどでも生じること,微量アルブミン尿が出現する前に糸

球体基底膜の肥厚など腎組織障害を認める報告が散見されており,より早期における特異的

な診断マーカーの探索が求められている

c)

.レビューの結果から,プロテオミクス,メタボロ

ミクスなどの新たな手法による検討,microRNA,細胞外基質の断片,

γ

GTP

(guanosine

triphosphate), NGAL( neutrophil gelatinase-associated lipocalin), KIM-1( kidney injury

molecule

1),L-FABP(liver-type fatty acid binding protein),Ⅳ型コラーゲン,トランスフェ

リンなど

d)

が候補としてあげられているが,現行の尿中アルブミン排泄量を基準とした病期

分類に対しての関連性を検討しているにとどまり,どれも微量アルブミン尿を凌駕したマー

カーには成り得ていない.

1 型糖尿病,2 型糖尿病患者には正常アルブミン尿期であっても,腎機能低下症例が存在す

ることが報告されている

d)

.日本でも腎生検の検討で,正常アルブミン尿期であっても,典型

的な糖尿病腎症の病理所見があること,腎硬化症の要素がある症例があることが判明してき

e, f)

.これに関して,高血圧症,脂質異常症などの合併症の影響,単純に高血糖由来の障害と

判断することが困難であり,理解を複雑にしている.

微量アルブミン尿は早期診断のマーカーとして,世界的にコンセンサスを得ている.上記

のとおり問題点はあるが,微量アルブミン尿以外に優れた早期診断のマーカーは確立してい

ない.今後,糖尿病腎症の成因,病態,病理学的な検討を踏まえた腎症の定義を再確認し,

より高感度・特異的なマーカーの抽出が望まれる.

糖尿病腎症

9

CQ9-1

尿中アルブミン測定は糖尿病腎症の早期診断に有用か?

【ステートメント



尿中アルブミン測定は,糖尿病腎症の早期診断として有用である

1)

【推奨グレード A】

(合意率 100%)

(2)

腎機能を評価する方法には,イヌリンクリアランスや内因性 Ccr が用いられる.イヌリン

クリアランスは GFR を測定する標準的な方法であるが,イヌリンの負荷を行うため手技が煩

雑である.Ccr は 24 時間蓄尿を行って測定するため,蓄尿が正確に行われないと検査値は不

正確となる.これらの方法に代わる簡便な方法として Scr をもとにした eGFR が広く用いら

れている.

クレアチニンクリアランス(Ccr)

24 時間蓄尿による Ccr によって腎機能を測定できる.

Ccr

(mL/min)=Ucr(mg/dL)× UV(mL/日)/Scr(mg/dL)× 1,440(min/日)

(Ucr:尿中クレアチニン,UV:24 時間尿量,Scr:血清クレアチニン[酵素法])

この方法では,蓄尿が確実に行われなければ,検査値は不正確となる.

クレアチニンが尿細管で分泌されるため,Ccr は GFR よりも約 30%高い値となる

h)

イヌリンクリアランス

イヌリンを負荷してクリアランスを測定する最も標準的な腎機能評価法である.手技が煩

雑であるため,正確に腎機能を評価する必要がある場合に用いる.

推算糸球体濾過率(eGFR)

1)Ccr やイヌリンクリアランスの代わりに腎機能を評価する簡便な方法として eGFR が用

いられる.

日本人成人の血清クレアチニン値に基づく eGFR は以下の式で計算される

g)

eGFR

(mL/min/1.73m

2

)=194 × Scr(mg/dL)

-1.094

×

年齢

-0.287

(女性は × 0.739)

この推算式では,75%の症例が実測 GFR ± 30%の範囲に入る.

筋肉量の減少が存在する場合は,eGFR はより高く計算される.

2)クレアチニンの代わりに血清シスタチン C(Cys-C)を用いた GFR 推算式を用いること

も可能である

i)

男性:eGFRcys-c(mL/min/1.73m

2

)=104 × Cys-C

-1.019

×

0.996

年齢

-8

女性:eGFRcys-c(mL/min/1.73m

2

)=104 × Cys-C

-1.019

×

0.996

年齢

×

0.929-8

血清 Cys-C 値は筋肉量や食事の影響を受けにくい.

Q9-2

腎機能の評価は何を指標にして行うか?

【ステートメント



腎機能の評価は,酵素法で測定した血清クレアチニン(serum creatinine:Scr)をもとに

した eGFR を用いる

g)



eGFR よりも,イヌリンクリアランスまたはクレアチニンクリアランス(creatinine

clear-ance:Ccr)を用いるほうが,腎機能をより正確に評価できる.

(3)

CQ9-3

糖尿病腎症に血糖コントロールは有効か?

【ステートメント



早期腎症における血糖コントロールは腎症の進行を抑制するために有効である

3, 4)

【推奨グレード A】

(合意率 90%)



顕性腎症における血糖コントロールは腎症の進行を抑制する可能性がある

5)

【推奨グレード B】

(合意率 90%)

1 型糖尿病患者を対象とした DCCT

6)

,2 型糖尿病患者を対象とした UKPDS

7)

,Kumamoto

Study

3)

の結果から,HbA1c 9.0%前後より HbA1c 7.0%前後に血糖値をコントロールしたほ

うが,腎症発症,進展を有意に抑制させることが証明されている.また,より厳格な目標血

糖値を設定した ADVANCE

4)

,ACCORD

8)

,VADT

9)

でも,同様に血糖コントロールは腎症の

発症,進展を有意に抑制した.これらの試験は微量アルブミン尿陰性患者または陽性でも腎

機能低下のない患者,つまり腎症 1 期から 2 期を対象としている.そして,腎症の発症,進

展の評価は,多くが尿中アルブミン定量による判定である.Scr 倍化,末期腎不全(end-stage

renal disease:ESRD)への移行などは有意差が得られなかったものもあるが,近年,

ADVANCE

サブ解析の報告では

10)

,血糖コントロールをすることにより ESRD の発症を有意

に抑制しており,腎機能低下がみられない患者における血糖コントロールは有効である.

一方,腎機能低下症例において,血糖コントロールが有効かどうかについては,ランダム

化比較試験(randomized controlled trial:RCT)による検討はされておらず,観察研究の結果

のみでありエビデンス不足である

j)

.eGFR 60 mL/min/1.73m

2

未満の糖尿病患者を対象とした

検 討 で は , HbA1c 7.0%未 満 に 比 べ て HbA1c 9.0%超 の 血 糖 コ ン ト ロ ー ル は eGFR

25 mL/min/1.73m

2

以上の患者では ESRD へのリスクとなる.また,この血糖コントロール

の影響力は eGFR が低下するほど弱くなる傾向にある.さらに,HbA1c 6.5%未満の厳格な血

糖コントロールは死亡率を増加させることが報告された

5)

腎機能低下症例では,腎臓における糖新生の低下,インスリン代謝の低下およびクリアラ

ンスの低下などにより低血糖が生じやすくなる.また,尿毒素性物質などによって引き起こ

されるインスリン抵抗性の増加ないしは経口血糖降下薬の多くが腎排泄であるため,用量調

節が必要であったり,使用の制限などもあり,血糖コントロールが十分に行われない

k)

.その

ため,腎機能障害のない症例と比べて,腎機能低下症例では実臨床において血糖コントロー

ルが難しくなる.さらに,腎機能低下症例では貧血やエリスロポエチン製剤の使用などによっ

て,血糖値を適切に HbA1c が反映しない例も存在するため,血糖コントロールの指標,目標

についても議論されているところである.近年,インクレチン関連薬が登場して腎機能低下

症例における血糖コントロールがしやすくなってきてはいるが,適切な血糖コントロールの

指標の検討も含めて,腎機能低下症例における血糖コントロールについて,今後のエビデン

スの集積が必要である.

(4)

糖尿病腎症における血圧コントロールや降圧薬を使用した臨床研究は数多く存在する.登

録症例の規模,RCT,コホートなどの研究デザイン,観察評価項目などの違いはあるが,血

圧を低下させることで,微量アルブミン尿,蛋白尿といったサロゲートマーカーを使用した

腎症の発症・進展の抑制,さらに ESRD,透析導入など腎死といわれるエンドポイントも抑

制される方向に向かっており,腎症病期にかからず血圧コントロールは腎症進展抑制のため

に重要と考えられる.

具体的には,1 型糖尿病患者にラミプリルを用いて目標平均血圧を 92 mmHg 以下の群と

100〜107 mmHg の群に分け 2 年間観察した結果がある

14)

.平均血圧は 2 年間で 6 mmHg の差

が保持され,蛋白尿の程度を有意に抑制した.2 型糖尿病患者を対象とした試験では,

UKPDS38

11)

,ADVANCE

15)

が あ る . UKPDS38 で は 目 標 血 圧 150/85 mmHg 未 満 ,

180/105 mmHg 未 満 の 2 群 に 分 け ,最 終 的 な 平 均 血 圧 は そ れ ぞ れ 144/82 mmHg,

154/87 mmHg であった.血圧高値群に比べて血圧低下群では 6 年後の尿中アルブミン

50 mg/L 以上の発症を 29%低下させ,300 mg/L 以上の発症を 39%低下させた.ADVANCE

では開始時の血圧に関係なく,ペリンドプリル・インダパミド併用治療群とプラセボ群に分

け て ,平 均 4.3 年 間 治 療 観 察 し た 結 果 ,実 薬 群 で は 134.7/74.8 mmHg,プ ラ セ ボ 群

140.3/77.0 mmHg に比較して有意な低下を認め,腎症 2 期の発症,腎症 3 期への進展を有意

に抑制した.また,正常血圧患者を対象とした 1 型,2 型糖尿病患者での検討でも,同様に

血圧が低下した群で腎イベントを抑制している

16〜19)

上記は尿中アルブミンを主体とするサロゲートマーカーによる評価であったが,Scr 倍化,

ESRD,死亡のエンドポイントを検討した結果としては,IDNT

13)

と RENAAL

20)

がある.両

者とも Scr が 1.6〜1.9 mg/dL と腎機能が低下した腎症 3〜4 期の 2 型糖尿病患者における RCT

である.IDNT では実薬群でプラセボ群と比べて血圧の低下とともに,Scr 倍化を有意に抑制

した.RENAAL では実薬群でプラセボ群と比べて Scr 倍化,ESRD を有意に抑制している.

その他,対照群と比べて実薬群で血圧が低下した報告を抽出したが,上記同様に血圧が低

下した群が改善傾向を示していた

12, 21〜25)

しかし,今回検索した結果の多くがレニン・アンジオテンシン系(renin-angiotensin

sys-tem:RAS)阻害薬を使用した検討であり,RAS 阻害薬が持つ付加的な効果(詳細は CQ9-6 参

照)を除外できていない.また,降圧目標に関しては検討しておらず,現状のガイドラインを

参照にされたい.

CQ9-4

糖尿病腎症に血圧コントロールは有効か?

【ステートメント



糖尿病腎症に血圧コントロールはすべての病期で有効である

11〜13)

【推奨グレード A】

(合意率 95%)

(5)

糖尿病腎症において脂質異常は増悪因子のひとつであるが,介入による脂質改善が腎イベ

ントを抑制するかどうかについて検討した報告は少ない.脂質介入の試験の多くが主要評価

項目を心血管イベントとしており,さらに腎イベントを副次評価としても,尿中アルブミン・

尿蛋白定量が含まれていないことが多い.

腎症 3 期までの 2 型糖尿病 2,838 人に対して,アトルバスタチンを 3.9 年間投与したプラセ

ボ比較試験の結果では,アトルバスタチン群はプラセボ群と比べて,eGFR の低下速度を年間

0.18 mL/min/1.73m

2

改善し,そのなかでも開始時点で微量アルブミン尿が認められた患者で

は年間 0.38 mL/min/1.73m

2

の改善を認めた.微量アルブミン尿自体に対しては,アトルバス

タチンはプラセボに比べて,有意な影響を与えなかった

26)

.また,スタチンの効果を検討し

た 27 件 39,704 人を対象としたメタアナリシスの結果から,スタチン群はプラセボ群に比べ

て,eGFR の低下速度を年間 1.22 mL/min/1.73m

2

改善し,微量アルブミン尿,蛋白尿につい

てもプラセボ群と比べて 42%有意に低下した.しかし,糖尿病患者のみを対象とした 9 件(合

計 296 人)における群別化解析では,eGFR の低下速度を年間 3.24 mL/min/1.73m

2

改善した

が統計学的な有意差はなかった

28)

.小規模の検討ではスタチンにおけるアルブミン尿抑制効

果が報告されている

27, 29, 30)

フィブラートに関しては,腎症 3 期までの 2 型糖尿病 314 人に対して,フェノフィブラー

トを 38 ヵ月投与した試験のサブ解析がある.その結果,フェノフィブラート群はプラセボ群

と比べて,腎症の発症と腎症病期の進行を有意に抑制した

31)

.また,2 型糖尿病 9,795 人に対

してフェノフィブラートを 5 年間投与した試験のサブ解析の結果では,フェノフィブラート

群はプラセボ群と比べてアルブミン尿を有意に減少させ,病期進展を抑制し,寛解を増加さ

せた.ESRD,透析導入,腎移植,腎死に対する影響は同等であった

32)

.両者と ACCORD を

合わせたメタアナリシスでは,フィブラート群はプラセボ群に比べて,病期進展を 14%低下

させた

33)

まとめると,スタチン,フィブラートともにアルブミン尿抑制効果を示す可能性がある.

スタチンは eGFR 低下の抑制が期待されるが,フィブラートには開始直後の GFR の低下,Scr

の増加が認められる.また,腎機能低下に伴い禁忌となる場合もあるため注意する.GFR の

変化のメカニズムは不明であり,今後の課題である.

現状,腎症への脂質コントロールに関するエビデンスは乏しく,今後,エゼチミブも含め

て臨床試験の集積が必要である.

CQ9-5

糖尿病腎症に脂質コントロールは有効か?

【ステートメント



糖尿病腎症における脂質コントロールは,腎機能の低下がない腎症の進行抑制に対して有効

である

26, 27)

【推奨グレード B】

(合意率 95%)

(6)

糖尿病腎症における血圧コントロールは重要(CQ9-4 参照)であるが,RAS 阻害薬(ACE 阻

害薬または ARB)には降圧作用以外に,微量アルブミン尿または蛋白尿を減少させる効果が

みられる.これらは多くの基礎研究と臨床研究によって証明されている

l)

腎症 2 期の 2 型糖尿病患者 332 人に対して,バルサルタン群とアムロジピン群に分け,同

等の目標血圧を設定し 24 週間の観察期間中における尿中アルブミン排泄量を比較した試験で

は,両群の血圧は同程度に低下したが,尿中アルブミン排泄量はバルサルタン群で開始時の

56%まで低下し,アムロジピン群では開始時の 92%までしか低下しなかった

36)

.この効果は

開始時の高血圧の有無にかかわらず同様に認められている.同様に腎症 1 期の 2 型糖尿病患

者を対象とした BENEDICT でも,観察期間中の血圧で補正後の腎症の発症率は,トランドラ

プリル投与群で有意に抑制されたが,ベラパミル投与群ではプラセボと有意な差はなかった

21)

サブ解析の結果,血圧低下と ACE 阻害薬の使用はお互い独立して微量アルブミン尿の発症を

抑制していた

37)

.その他,血圧を同等に下げた試験でも対照群と比べて有意にアルブミン尿

を低下させていた

34, 38, 39)

RAS

阻害薬投与群と非 RAS 阻害薬投与群の比較を行ったメタアナリシス

35)

の結果では,

RAS

阻害薬群のほうが尿中アルブミン濃度を有意に低下させていた.これは RAS 阻害薬によ

る血圧とは独立した抗蛋白尿効果であり,RAS 阻害薬以外の降圧薬は,血圧低下による蛋白

尿減少作用を示していると報告されている

40)

.そのため,RAS 阻害薬は,アルブミン尿,尿

蛋白が認められる糖尿病腎症において,他の薬剤に比べてより強い腎保護効果が期待される.

ACE

阻害薬と ARB の有効性の違いについては,腎症 2 期の 2 型糖尿病に対してテルミサ

ルタンとエナラプリルを 5 年間投与して比較した結果,血圧,GFR の変化,尿中アルブミン,

ESRD

発症,心血管イベント,全死亡すべてにおいて有意差がなかったと報告されている.

このため,ACE 阻害薬と ARB の効果は同等と考えられる

41)

.しかし,2 型糖尿病に対する腎

保護効果は両者で報告されているが,1 型糖尿病に対する効果は ACE 阻害薬で証明されてい

るものが主体である.

この解析では,RAS 阻害薬との併用薬剤の比較,ACE 阻害薬と ARB の併用,高用量 RAS

阻害薬の効果,尿蛋白陰性患者に対する効果については検討していない.

CQ9-6

糖尿病腎症における血圧コントロールの第一選択薬としてアンジオテ

ンシン変換酵素(ACE)阻害薬・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬

(ARB)は推奨されるか?

【ステートメント



糖尿病腎症における血圧コントロールの第一選択薬として,アンジオテンシン変換酵素

(ACE)阻害薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)が推奨される

34, 35)

【推奨グレード A】

(合意率 100%)

(7)

糖尿病腎症における食塩摂取制限の有効性に関して,食塩の過剰摂取により血圧が上昇し,

摂取制限により血圧が低下すること,また,食塩摂取制限によりアルブミン尿が減少した報

告があるが,その多くが少人数かつ短期的な研究である.

1 型糖尿病,2 型糖尿病における食塩摂取制限の効果について,13 件の RCT を用いてシス

テマティックレビューを行った報告がある.食塩摂取制限群と対照群における尿中ナトリウ

ム排泄量の差は,1 型糖尿病で平均 203 mmol/日(11.9 g/日),2 型糖尿病で平均 125 mmol/

日(7.3 g/日)であった.収縮期血圧と拡張期血圧はそれぞれ,1 型糖尿病では 7.1/3.1 mmHg,

2 型糖尿病では 6.9/2.9 mmHg 低下しており,食塩摂取制限により血圧の低下を介した腎保護

効果が期待される

42)

食塩摂取による血圧への影響,すなわち食塩感受性は正常アルブミン尿期と比べて,微量

アルブミン尿期以降では亢進している

43〜45)

.そのため,腎症の早期にはナトリウム負荷によ

り血圧が上昇するが,食塩摂取制限により糸球体内圧が低下することによって尿中アルブミ

ン排泄量が低下すると考えられる

46)

また,糖尿病腎症の降圧治療の第一選択薬である RAS 阻害薬の効果に食塩摂取量が関連し

ていることが報告されている.腎機能が低下した 2 型糖尿病を対象とした IDNT,RENAAL

の post-hoc 解析において,尿中ナトリウム排泄量が最も少ない症例では,ARB 投与群は非

ARB

投与群と比べて腎イベント抑制効果があり,eGFR の低下速度も ARB 非投与群より有意

に抑制された.この効果は尿中ナトリウム排泄量が多い症例では消失しており,食塩摂取量

は RAS 阻害薬の腎保護効果に影響を与える

47)

.ACE 阻害薬のアルブミン排泄量の抑制効果は

食塩摂取制限と利尿薬の併用で相加的な効果がみられる

48)

.一方,極端な食塩摂取制限は全

死亡,ESRD の発症を増加させることが,後ろ向き観察研究で報告されている

49)

以上のエビデンスより,糖尿病腎症における食塩摂取制限は,血圧を低下させるとともに

RAS

阻害薬の腎保護効果を増強するため有効であると考えられる.食塩感受性が亢進してい

る微量アルブミン尿期以降では特に食塩摂取制限が重要であるが,極端な食塩摂取制限は逆

に ESRD・死亡を増加させる可能性がある.

CQ9-7

糖尿病腎症に食塩摂取制限は推奨されるか?

【ステートメント



糖尿病腎症に食塩摂取制限は推奨される

42, 43)

【推奨グレード A】

(合意率 95%)

(8)

糖尿病腎症におけるたんぱく質摂取制限の有効性に関しては,尿蛋白・尿アルブミンを低

下させ,腎機能低下を抑制する報告がみられるが,多くの研究が 100 症例以下の研究であり,

エビデンスレベルは低い.

糖尿病腎症に対するたんぱく質摂取制限の有効性を ESRD と死亡をアウトカムとして示し

た研究は,顕性腎症を合併した 1 型糖尿病 82 人を対象に,たんぱく質摂取量 0.6 g/kg/日と

1.0 g/kg/日の 2 群に分けて 4 年間介入を行った試験のみであった.この研究の結果,たんぱ

く質摂取量 0.6 g/kg/日では 1.0 g/kg/日に比べて,ESRD または死亡を 23%低下させた

50)

その他の報告は,尿蛋白・アルブミン尿の変化,GFR による腎機能を評価したものである.

主に腎症 3 期の症例を対象として,たんぱく質摂取量 0.6〜0.8 g/kg/日で検討されており,腎

症 2 期では 0.8 g/kg/日に設定されているものが多い.少数例かつ短期的な報告ではあるが,

腎症 2 期における 0.6 g/kg/日のたんぱく質摂取限による有効性は証明されなかった

52)

.たん

ぱく質摂取制限によって,アルブミン尿,蛋白尿を減少させた報告は多いが,GFR の低下抑

制効果については有効性を示さなかった報告が多い

53〜60)

たんぱく質摂取制限の有効性を検討した試験では,試験期間,たんぱく質摂取制限の程度,

対象患者の腎症病期,たんぱく質摂取制限の達成度などが一定しておらず,統一された結論

に至っていない.上記のそれぞれの問題点について記載する.試験期間については,1 型糖尿

病に 4 週間の 0.6 g/kg/日のたんぱく質摂取制限と通常食の 2 群間で評価したあと,全症例に

通常食を 4 週間行った結果,たんぱく質摂取制限による GFR 低下,尿中アルブミン排泄量の

低下は通常食に変更後にいずれも開始時点まで復していた.この試験では,たんぱく質摂取

量の変化と尿中アルブミン排泄量の変化に相関を認めており,短期間の介入による効果は,

血行動態の変化など可逆的な変化も考慮する必要がある

61)

.たんぱく質摂取制限の程度につ

いては,ONTARGET サブ解析の結果で,たんぱく質摂取量 0.36 g/kg/日という高度の制限

が,たんぱく質 0.96 g/kg/日に比べて,腎障害のリスクおよび死亡のリスクになることが報

告されており

62)

,たんぱく質摂取制限によって摂取エネルギーが減少し,結果的に栄養状態

の悪化,異化亢進状態が腎症進展のリスクになる可能性がある.対象患者の腎症病期につい

ては,腎症 1〜3 期の 2 型糖尿病患者に対してたんぱく質摂取制限の有効性を検討した結果,

腎症 3 期では有効性を示したが,腎症 1 期,2 期では有意な差は認めなかった

63)

.比較的登録

症例数が大きく長期間の研究になると,目標としたレベルのたんぱく質摂取制限が達成され

ていない場合が多い

51, 64, 65)

.最近のメタアナリシスの結果では,たんぱく質摂取制限によって

対照群と比べて GFR の低下が抑制され,たんぱく質摂取制限の達成度が不良な試験ではその

効果は有意ではなかった

66)

糖尿病腎症におけるたんぱく質摂取制限は腎保護のために有効である可能性はあるが,エ

ビデンスレベルは低く,今後の臨床試験の集積が必要である.また,上記のとおり試験デザ

インにも課題が残っており,今後の検討が必要である.

Q9-8

糖尿病腎症にたんぱく質摂取制限は有効か?

【ステートメント



糖尿病腎症にたんぱく質摂取制限は有効である可能性がある

50, 51)

(9)

糖尿病腎症における貧血の原因としては,炎症,酸化ストレス,最終糖化産物(advanced

glycation endproducts:AGEs)などの種々の要因や間質の虚血による尿細管・間質の障害が

あげられており,この他にも,慢性胃炎による鉄吸収障害,メトホルミン,グリタゾン系,

RAS

阻害薬などの薬剤,赤血球の機能異常など,様々な原因が関連していると報告されてい

m)

顕性腎症を合併した 2 型糖尿病患者を対象に行われた RENAAL サブ解析において,Scr 倍

化または ESRD を予測する独立因子のひとつとして Hb が同定された

68)

.さらに,開始時の

Hb

濃度と ESRD の発症率との関連を検討した結果,Hb 濃度が最も高かった群に比べて Hb

濃度が低値であった群では,有意に ESRD への移行率が高かった

69)

.同様に前向きコホート

研究においても,貧血の進展が ESRD,Scr 倍化,GFR 低下のリスクとなることを報告してい

70〜75)

糖尿病腎症を対象として貧血の治療介入を行い,腎機能評価を主要評価項目とした試験は

極めて少ない.貧血を伴い eGFR 60 mL/min/1.73m

2

以上の 1 型と 2 型糖尿病患者 172 人を対

象として,エポエチン

β

投与群(目標 Hb 13〜15 g/dL)と通常加療群(目標 Hb 10.5〜

11.5 g/dL)の 2 群間で,副次評価項目である GFR,尿蛋白量を評価した試験がある.その結

果,最終の Hb 値はエポエチン

β

投与群 13.5 g/dL,通常加療群 12.1 g/dL であったが,両群

間には GFR の変化,尿蛋白量に有意差がなかった

76)

.また,糖尿病患者を半数含む慢性腎不

全患者(Scr 2〜4 mg/dL)を,Ht(hematocrit)30%以上の群と,Ht 30%以下でエリスロポエチ

ン投与群と非投与群の 3 群に分けて評価した結果,エリスロポエチン投与群では Ht 値の上昇

を認め,Ht 30%以上の群と同等の Ht 値となった.エリスロポエチン投与群では,Scr 倍化の

イベント発症率は未治療群と比べて有意に少なく,Ht 30%以上の群とは差はなかった

67)

.サ

ブ解析の結果,Scr 倍化の発症率は糖尿病患者と比べて非糖尿病患者でエリスロポエチン投与

により有意に少なく,糖尿病患者に対するエリスロポエチン治療による腎症進展抑制効果は

証明されなかった.現時点では糖尿病腎症患者のみを対象とした貧血治療の効果を腎イベン

トで検討した試験が少ないため,貧血治療が糖尿病腎症の進展抑制に有効かどうかは判断で

きなかった.しかしながら,貧血が腎症進展のリスクであることは観察研究によって明らか

にされており,貧血に対する治療を検討する.

Q9-9

貧血治療は糖尿病腎症の進行抑制に有効か?

【ステートメント



糖尿病腎症の進行抑制に対する貧血治療の有効性は明らかではない

67)

(10)

透析患者を含めた ESRD 患者では,心血管疾患による死亡が多いことは以前から知られて

いた.また,蛋白尿/アルブミン尿を呈する患者においても,冠動脈疾患,脳血管疾患,末梢

血管病などの心血管疾患の頻度が高いことが報告されていた.その後,アメリカ腎臓財団

(National Kidney Foundation:NKF)が発表した K/DOQI ガイドラインにおいて,慢性腎臓

病(chronic kidney disease:CKD)が心血管疾患のリスクファクターであることが明らかにさ

れ,心腎連関として注目されるようになった.日本においても,一般住民を対象とした疫学

研究の結果,CKD が心血管疾患のリスクファクターであることが明らかにされた

o)

心腎連関は,糖尿病患者においても明らかにされている.1 型糖尿病と 2 型糖尿病のいず

れにおいても,腎症合併患者では,腎症を合併しない患者に比べて,心血管疾患による死亡

の頻度が高い

p)

.また,糖尿病患者においても,アルブミン尿と GFR の低下は心血管イベン

ト,心血管死,全死亡の独立したリスクファクターとなっている

n)

.したがって,糖尿病腎症

患者では,腎症非合併糖尿病患者や非糖尿病 CKD と比べて心血管死のリスクが高いため,心

血管疾患を予防するための強い治療介入が必要となる.

心血管疾患以外の合併症に関しては,腎症患者では網膜症,足病変の合併頻度が高いこと

が知られている.最近の糖尿病腎症患者を対象とした解析でも,網膜症と腎症の合併には相

関がみられることが報告されている

q)

.これは,腎症と網膜症は,ともに糖尿病に伴う細小血

管症であり,両者が共通のリスクファクターを持つことによると推定される.また,足病変

と腎症の合併にも相関がみられることが報告されている

r)

Q9-10

糖尿病腎症はその他の合併症のリスクファクターとなるか?

【ステートメント



糖尿病腎症患者では,心血管疾患の合併率が高い.



糖尿病腎症患者では,心血管疾患による死亡の頻度が高い.



GFR の低下とアルブミン尿は,心血管疾患の独立したリスクファクターである

n)

(11)

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1)Katayama S et al, 2011 前向きコホート [レベル 2] 2)Wada T et al, 2014 後ろ向きコホート [レベル 3] 3)Ohkubo Y et al, 1995 RCT [レベル 1]

4)The ADVANCE Collabora-tive Group, 2008 RCT [レベル 1+] 5)Shurraw S et al, 2011 後ろ向きコホート研究 [レベル 3] 6)DCCT Research Group (DCCT), 1993 RCT [レベル 1+]

7)UKPDS Group (UKPDS 33), 1998 RCT [レベル 1+] 8)Ismail-Beigi et al (ACCORD), 2010 RCT [レベル 1+] 2型糖尿病(1,558人),平均年 齢58.5歳[日本人]. 2型糖尿病(4,328人),平均年 齢60.2歳[日本人]. 2型糖尿病(110人),腎症1〜2 期,平均年齢49歳[日本人]. 2型糖尿病(11,140人),平均 ACR 14〜 15mg/g・Cr,平 均 eGFR 78mL/min/1.73m2,平 均 年 齢66歳 ,ヨ ー ロ ッ パ 人 45%,アジア人37%[東アジア 人を含む]. GFR<60 の 糖 尿 病 患 者 (23,296人),平均年齢71.8歳, カナダ人. 1型糖尿病(一次予防:726人, 二次予防:715人)(計1,441 人),腎症1〜2期,平均年齢27 歳,アメリカ,カナダ人. 診 断 早 期2型 糖 尿 病(3,867 人),Scr 0.92mg/dL,平均年 齢54歳,白人81%,インディア ンアジア人10%. 2型糖尿病(10,251人),平均 eGFR 90mL/min/1.73m2,平 均 ACR 1.54mg/mmol,平 均 年 齢 62 歳 ,白 人 64%,黒 人 19%,アメリカ人,カナダ人. 開始時ACR 30mg/g・Cr未満 とACR 30〜150mg/g・Crの 群でACR 300mg/g・Cr以上に なるイベント数を比較検討した [平均8年間]. 開始時のeGFRとACRによっ て群別化し,腎イベント:透析導 入,移植,eGFRの半減の発症を 観察[平均7.0年間]. 通常インスリン療法[HbA1c (JDS)9.4%[HbA1c(NGSP) 9.8%]](55人)vs. 強化インス リン療法[HbA1c(JDS)7.1% [HbA1c(NGSP)7.5%]](55 人)[8年間]. 強化血糖コントロール群(グリ クラジド投与を中心とした) 5,571 人( HbA1c 6.5%)vs. 通常血糖コントロール群5,569 人(HbA1c 7.3%)[5年間]. HbA1c値で群別化し,死亡, ESRD,Scr倍化,心血管イベン ト,入院のイベントを比較. 通常インスリン療法[HbA1c 9.1%](730人)vs. 強化インス リン療法[HbA1c 7.2%](711 人)[平均6.5年間]. 通常治療群(HbA1c 7.9%)vs. 強 化 治 療 群( HbA1c 7.0%) [10年間]. 強 化 血 糖 コ ン ト ロ ー ル 群 (5,128人,HbA1c 7.2%)vs. 通 常 血 糖 コ ン ト ロ ー ル 群 (5,123人,HbA1c 7.6%)[平 均5年間]. ACR 300mg/g・Cr以上になる 年間発症率はACR 30mg/g・ Cr未 満 で0.23%,ACR 30〜 150mg/g・Crの群では1.85% とHR 8.45であった. ACRが多いほど腎イベントの 発症率は増加する.また,eGFR の 低 下 は 特 に ACR>300 mg/g・Cr以上では腎イベント 発症率を増加させる. 強化インスリン療法により微量 アルブミン尿期(RRR 56%), 顕性蛋白尿期(RRR 100%)へ の進行を抑制. 強化血糖コントロール群で新規 腎症発症または腎症の進行を 21%抑制. 血糖値が上昇するほど,死亡, ESRD,Scr倍化,心血管イベン ト,入院のイベントは増加する. HbA1c<7.0である症例と比 べて,HbA1c>9.0%の症例の ESRD発症のHRが増加するの は,開始時eGFR>25の症例で ある.15<eGFR<60の症例 においてHbA1c<6.5%では 死亡率はHbA1c 7%前後に比 べて増加する. 強化インスリン療法により,ア ルブミン尿期:尿中アルブミン 40mg/24hr以上(RRR 39%), 顕性蛋白尿期:尿中アルブミン 300mg/24hr 以 上 ( RRR 54%)への進行を抑制. 強化治療が,細小血管症の発症 (RRR 25%)を減らす.アルブ ミン尿,顕性蛋白尿,Scrの倍加 を抑制. 強化血糖コントロール群で腎症 発症,顕性腎症への進展を抑制. 腎不全への進行,Scrの倍化ま たはeGFR 20mL/min/1.73m2 以上の低下に関しては有意な差 はなし.

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対 象

方 法

結 果

アブストラクトテーブル

(16)

9)Dockworth W et al (VADT), 2009

RCT

[レベル 1+]

10)The ADVANCE Collabo-rative Group, 2013

RCT サブ解析

[レベル 3]

11)UKPDS Group (UKPDS 38), 1998 RCT [レベル 1+] 12)Makino H et al, 2007 RCT [レベル 1+] 13)Lewis EJ et al (IDNT), 2001 RCT [レベル 1+] 2型糖尿病(1,791人),平均血 清Cr(Scr)1.0mg/dL程度,平 均年齢60歳,非ヒスパニック系 白人63%,ヒスパニック系白人 15%,黒人15%,アメリカ. 2型糖尿病(11,140人),平均 ACR 14〜 15mg/g・Cr,平 均 eGFR 78mL/min/1.73m2,平 均 年 齢66歳 ,ヨ ー ロ ッ パ 人 45%,アジア人37%[東アジア 人を含む]. 高血圧,2型糖尿病(1,148人), 尿中アルブミン50mg/L以上 16〜18%,300以上3〜4%, 平均年齢56歳,白人86%,アジ ア系インド人5%,イギリス. 正常血圧または高血圧,2型糖尿 病(527人),腎症2期,平均年齢 61歳,[日本人]. 高血圧,2型糖尿病(1,715人), 腎症3期,1日尿蛋白平均2.9g, 平均Scr 1.6mg/dL,平均年齢 59歳 ,非 ヒ ス パ ニ ッ ク 白 人 73%. 強化血糖コントロール群(892 人,HbA1c 6.9%)vs. 通常血 糖 コ ン ト ロ ー ル 群(899人 , HbA1c 8.4%)[平均5.6年間]. 強化血糖コントロール群(グリ クラジド投与を中心とした) 5,571 人( HbA1c 6.5%)vs. 通常血糖コントロール群5,569 人(HbA1c 7.3%)[5年間]. 降 圧 目 標 <150/85mmHg (758人):カプトプリルまたは アテノロール vs. 降圧目標< 180/105mmHg(390人)アテ ノロール[8.4年間]. テルミサルタン80mg(168人) vs. テ ル ミ サ ル タ ン 40mg (172人)vs. プラセボ(174人) [1.3年間]. イルベサルタン(579人)vs. ア ムロジピン(569人)vs. プラセ ボ(569人)[平均2.6年間]. 強化血糖コントロール群で微量 アルブミン尿,顕性腎症への進 展を抑制.腎不全への進行,Scr の倍化,血清Cr(Scr)>3mg/dL には有意な差はなし. 強化血糖コ ン ト ロ ー ル 群で ESRD(透析導入,移植)発症 65%低下,微量アルブミン尿発 症9%低下,顕性蛋白尿30%低 下,1段階以上のアルブミン尿期 の進展を10%低下させ,1段階 以上のアルブミン尿期の改善を 15%増加させ,すべて有意で あった.腎死,ESRDまたは腎死 の複合エンドポイント,Scrの倍 化の評価は有意差なし. 最 終 平 均 血 圧 は 144/82 mmHg vs. 154/87mmHgで あった.厳格降圧群は6年目で 尿中アルブミン50mg/Lの発症 を29%低下させ,300mg/L以 上の発症を39%低下させた. Scr,Scr倍化については両群間 差はなかった. 血圧は テ ル ミ サ ル タ ン 群で 128/72mmHg,プラセボ群で 132/74mmHgとテルミサルタ ン群で低下した.腎症3期への進 展率はテルミサルタン80mg群 で16.7%,40mgで22.6%,プ ラセボ群49.9%と比べて有意 に抑制した.正常血圧症例でも, テ ル ミ サ ル タ ン 80mg 群 で 11%,40mgで21%とプラセ ボ群44.2%と比べて有意に抑 制した.腎症1期へのremission はテルミサルタン80mg群で 21.2%,40mgで12.8%とプラ セボ群1.2%と比べて有意に増 加した. 血 圧 は プ ラ セ ボ 群 144/80 mmHgと比べて,イルベサルタ ン群140/77mmHg,アムロジ ピン群141/77mmHgと低下 した.イルベサルタン群とアム ロジピン群では差がなかった. イルベサルタンは,Scr倍化, ESRD,死亡の複合エンドポイ ントをプラセボと比べて,20% 低下させ,アムロジピン群と比 べて23%低下させた.Scr倍化 はプラセボ群と比べて33%低 下,アムロジピン群と比べて 37%有意に低下させた.ESRD へ の 進行は 他の 群と 比べ て 23%低下させたが,有意差はな かった.全死亡については有意 差はなかった.

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対 象

方 法

結 果

(17)

14)Lewis JB et al, 1999 RCT [レベル 1] 15)Galan BE et al (ADVANCE サブ解析), 2009 RCT [レベル 1] 16) Schrier RW et al (nor-motensive ABCD), 2002 RCT [レベル 1] 17)Microalbuminuria Capto-pril Study Group, 1996

RCT

[レベル 1]

18)Laffel LMB et al, 1995 RCT

[レベル 1]

19)EUCLID study group, 1997 RCT [レベル 1] 1型糖尿病(129人),顕性アルブ ミン尿期,Scr 1.3〜1.4mg/dL, GFR 62〜64mL/min/1.73m2 尿蛋白1〜1.1g/日,平均年齢 37歳,白人95%. 2型糖尿病(11,140人),腎症2 期25%,腎症3期3.5〜37%, eGFR 78mL/min/1.73m2,平 均 年 齢66歳 ,ヨ ー ロ ッ パ 人 45%,アジア人27%[東アジア 人を含む]. 正常血圧,2型糖尿病(480人), 腎症2期20〜25%,腎症3期10 〜12%,Ccr 80以上,平均年齢 59歳,非ヒスパニック系白人 74%,アメリカ. 正常血圧,1型糖尿病(235人), 微量アルブミン尿期,Ccr 95 mL/min/1.73m2,アルブミン 排泄量57〜61μg/min,平均 年齢32歳,白人92%. 正常血圧,1型糖尿病(143人), 微量アルブミン尿期,Scr 1.1 mg/dL,尿中アルブミン排泄量 62μg/min,平均年齢33歳,白 人91.6%,アメリカ. 正常血圧,1型糖尿病(530人), 正常アルブミン尿期または微量 アルブミン尿期,平均年齢33 歳,ヨーロッパ. ラミプリルを用いて目標の平均 血圧を92mmHg以下(63人) vs. 100〜107mmHg(66人) [2年間以上]. ペリンドプリル+インダパミド ( 5,569 人 )vs. プ ラ セ ボ (5,571人)[平均4.3年間]. 血圧強化群(237人):拡張期血 圧開始時より10mmHg低下. ACE阻害薬エナラプリルまたは CCBニソルジピン vs. 対照群 ( 243 人 ):拡 張 期 血 圧 80〜 89mmHg.プラセボまたはエナ ラプリルまたはニソルジピン) [5年間]. カプトプリル(116人)vs. プラ セボ(119人)[2年間]. カプトプリル(67人)vs. プラセ ボ(70人)[2年間]. リシノプリル(265人)vs. プラ セボ(265人)[2年間]. 平均血圧は2年間で6mmHgの 差がみられた.蛋白尿は目標 92mmHg以下の群で535mg/ 日 ,100mmHg 以 上 の 群 1,723mg/日と有意に差がみら れた.GFRについては差はな かった. 血圧はペリンドプリル+インダ パ ミ ド 投 与 群 134.7/74.8 mmHg,プ ラ セ ボ 群 で 140.3/77.0mmHgであった. ペリンドプリル+インダパミド 投与群ではプラセボに比べて, 微量アルブミン尿の発症(HR 0.79),顕性期へ の 進展(HR 0.69)を有意に抑制した. 血圧強化群128mmHg vs. 対 照群137mmHgであり,血圧 10mmHgの違いでCcrは変化 がなかった.腎症2期,腎症3期 のイベントは少なくなる.ACE 阻害薬エナラプリル vs. CCB ニソルジピンの違いはなかっ た. 血圧はカプトプリル群がプラセ ボ群に比べて,2〜7mmHgほど 低下していた.顕性アルブミン 尿期への進展はカプトプリル群 7.2%,プ ラ セ ボ 群 21.9%, RRR 69.2%であった.また,年 間のアルブミン排泄量の増加も 有意に抑制した.Ccr低下はプ ラセボ群と比べて抑制されるも 有意ではない. 血圧はカプトプリル群はプラセ ボ 群 と 比 べ て ,平 均 血 圧 2.8mmHg有意に低下した.顕 性アルブミン尿期への進展はカ プトプリル群6.0%,プラセボ群 18.6%,RRR 67.8%と有意に 抑制した.尿中アルブミン排泄 量は カ プ ト プ リ ル 群で 年間 17.9%低下,プラセボ群で年間 11.8%増加した.Ccrの変化も カプトプリル群で4.9mL/min 抑制,プラセボ群で17.9mL/min 進行しており,有意差があった. 血圧は1ヵ月目でリシノプリル 群はプラセボ群と比べて,拡張 期血圧3mmHg低下しておりそ の後も血圧の差は保持されてい た.リシノプリル群はプラセボ 群と比べて,アルブミン尿を 2.2μg/min低下させた.正常ア ルブミン尿期では0.23μg/min と有意差はなかったが,微量ア ルブミン尿期では38.5μg/mi と有意差があった.

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対 象

方 法

結 果

(18)

20)Brenner BM et al (RENAAL), 2001 RCT [レベル 1+] 21)Ruggenenti P et al (BENEDICT), 2004 RCT [レベル 1+] 22)Haller H et al (ROADMAP), 2011 RCT [レベル 1+]

23)HOPE Study Group, 2000 RCT [レベル 1+] 24)Parving HH et al (IRMA2), 2001 RCT [レベル 1+] 25)Fogari R et al, 2002 RCT [レベル 1] 2型糖尿病(1,513人,日本人96 人を含む),腎症3期,平均Scr 1.9mg/dL, ACR 1,237〜 1,261mg/g・Cr,平均年齢60 歳,白人48%,アジア人16% [日本人を含む]. 高血圧,2型糖尿病(1,204人), 腎症1期,尿中アルブミン排泄量 5〜5.9μg/min,Scr 0.9mg/dL, 平均年齢62歳,イタリア. 2型糖尿病(4,447人),腎症1 期 ,血 圧136〜 137/80〜 81 mmHg,ACR 5.9〜6.3mg/g・Cr, eGFR 84〜85mL/min/1.73m2 平均年齢57歳,ヨーロッパ. 腎症2期(31〜33%),心血管病 ハイリスク糖尿病患者(97%2 型糖尿病)(3,577人),Scr 93 〜94μmol/L,平均年齢65歳, カナダ,アメリカ,ヨーロッパ, 南米国. 高血圧,2型糖尿病(590人),腎 症2期,尿中アルブミン排泄量 53〜 58μg/min,Ccr 108〜 110mL/min1.73m2程度,平均 年齢58歳,白人97%. 高血圧,2型糖尿病(309人),腎 症2期,Scr 1.0mg/dL,尿中ア ルブミン排泄量95〜98mg/ 日,平均年齢62歳,イタリア. ロサルタンカリウム(751人) vs. プラセボACE阻害薬または ARB以外の降圧薬(762人)[平 均3.6年間]. トランドラプリル+ベラパミル (300人),トランドラプリル (301人),ベラパミル(303人), プラセボ(300人)[平均3.6年 間]. オルメサルタン(2,232人)vs. プラセボ(2,215人)[平均3.2年 間]. ラミプリル(1,808人)vs. プラ セボ(1,769人)[4.5年間]. イルベサルタン 150mg(195 人)vs. 300mg(194人)vs. プ ラセボ(201人)[2年間]. アムロジピン(103人)vs. フォ シノプリル(102人)vs. アムロ ジピン+フォシノプリル(104 人)[4年間]. 血圧についてプラセボ群に比べ て,ロサルタン群は観察期間中 低めであった.ロサルタン群は Scr倍化,ESRD,死亡の複合エ ンドポイントをプラセボ群と比 べ て 抑 制 し た(16%RR,p= 0.02).また,Scr倍化について 25%リスクを低下,ESRDは 28%リスクを低下させ有意に 抑制したが,死亡に関しては有 意差なかった.さらに,ロサルタ ンはプラセボ群と比べて尿蛋白 量を35%低下した. 血圧はプラセボに比べて,併用 群,トランドラプリル単剤群で 有意に低下した.腎症2期発症 はトランドラプリル+ベラパミ ル5.7%,トランドラプリル群 6%,ベラパミル群11.9%,プラ セボ10%であった.開始時の因 子補正後では併用群でプラセボ と比べて61%リスクを低下,ト ランドラプリル単独群で53% リスクを低下と腎症2期への発 症を有意に抑制した.しかし,ベ ラパミル単独群では補正後もプ ラセボと有意な差はなかった. 血圧<130/80mmHg達成率 はオルメサルタン群80%,プラ セボ群で71%,血圧はプラセボ と比べて,オルメサルタン群で 収 縮 期 /拡 張 期 =3.1/1.9 mmHg低下した.腎症2期発症 (8.2%)はプラセボ(9.8%)と 比べ て 有意に 抑制し た(HR 0.77). 血圧はプラセボ群と比べてラミ プリル群で有意に低下した.ラ ミプリル群は腎症3期への進展 を 有 意 に 抑 制 し た( RRR 24%). イルべサルタン群はプラセボと 比べて有意に血圧を低下させた. イルベサルタンは腎症3期への 進展を抑制(150mg:HR 0.61, 300mg:HR 0.30),イルベサ ルタン投与で用量依存的にCcr の低下傾向はあるも3ヵ月後に は安定し3群間で有意差なし. 併用群では単剤群に比べて有意 に血圧を低下させた.3群とも尿 中アルブミン排泄量を低下させ たが,アムロジピン単剤より フォシノプリル単剤のほうがよ り早期にみられ,併用群が最も 有効であった.また併用群が最も

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方 法

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