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Eating Disorder Diagnostic Scale DSM-5 version日本語版の信頼性及び妥当性の検討

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-50

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-Eating Disorder Diagnostic Scale DSM-5 version

日本語版の信頼性及び妥当性の検討

栗林 千聡1,2)、武部 匡也3)、上田 紗津貫1)、○豊吉 淳央5)、Eric Stice4)、佐藤 寛5) 1 )関西学院大学大学院文学研究科、 2 )日本学術振興会特別研究員、 3 )立正大学心理学部、 4 )オレゴン研究所、 5 )関 西学院大学文学部 問題 摂食障害は,死亡リスクの上昇など非常に重要な疾 患を招く精神疾患である。近年,摂食障害の疫学調 査,予防および治療の研究は発展しており,その背景 にはアセスメント法の発展がある。世界的に最も利用 されている診断基準の一つであるDSMに基づいて作成 された自己報告式の尺度として,Eating Disorder Diagnostic Scale (EDDS;Stice, 2000) がある。 EDDSはDSM-IVに基づく摂食障害の自己評価式の質問紙 であり,エビデンスに基づく摂食障害のアセスメント として海外では高く評価され,その使用が推奨されて いる (Sysko, 2008)。

EDDSは,回答者が神経性やせ症 (神経性無食欲症: Anorexia Nervosa, AN),神経性過食症 (神経性大食 症:Bulimia Nervosa, BN),過食性障害 (むちゃ食い 障害:Binge Eating Disorder, BED) の診断基準に該 当するか否かを判断することのできる採点アルゴリズ ムを有しているため,摂食障害の症状の程度をアセス メントするだけでなく,診断にも役に立つDSM-IVに基 づくEDDSの日本語版尺度は,井上ら (2013) によって 発表されており,信頼性と妥当性が検討されている。 本研究では, 1 .EDDS-DSM-5 version日本語版を作成 し, その信頼性と妥当性を検討すること, 2 .作成し たEDDS日本語版-DSM-5 versionの採点アルゴリズムを 使用し,DSM-5の診断基準を用いて大学生における摂 食障害の有病率推定を行うことを目的とする。その 際,生活阻害度の有無によってどの程度摂食障害の有 病率が変化するのかを比較する。 方法 調査対象者 近畿圏の大学に所属する381名 (男性41名,女性340 名,平均年齢19.87歳,標準偏差1.13歳) に回答を求 めた。その際68名にはEDDS DSM-5 version日本語版に 加えてEating Attitude Test-26 (EAT-26;向井ら, 1994) 及 びThree-Factor Eating Questionnaire (TFEQ;安達ら, 1992) への回答も求め,更に89名に は再調査を行った。 調査手続き 2017年 6 月から11月にかけて実施した。再検査は 1 回目の配布から 2 週間の間隔を空けて実施した。大学 の講義終了時に質問紙を一斉に配布し,記入させた後 その場で回収した。 調査材料 1 .EDDS DSM-5 version日本語版 先述の井上ら (2013) の尺度をもとに,いくつかの 修正が加えられた。初潮後の女性における無月経の項 目を診断要件から削除し,BMIについてはEDDS DSM-5 原版が17.5未満を採用していたため,原版著者との検 討の上で暫定的にそのままの基準を用いた。また,過 食の頻度が「過去 3 ヶ月で平均して週 2 回以上」から 「過去 3 ヶ月で平均して週 1 回以上」に,過食の頻度 が「過去 6 ヶ月で平均して週 2 日以上」から「過去 3 ヶ月で平均して週 1 回以上」に修正された。これら の変更を反映し,23項目で構成されたものを使用し た。 2 .Eating Attitude Test-26 (EAT-26) (向井 ら, 1994)

神経性無食欲症患者に特徴的な摂食態度や食行動な どの臨床症状をもとに作成された質問紙で,全26項目 に対して 6 件法で回答を求めた。

3 .Three-Factor Eating Questionnaire (TFEQ) 日 本語版 (安達ら, 1992) 摂食障害に限定せず,食行動を包括的に測定する質 問紙で,全51項目から構成されている。TFEQは 3 因子 構造「自発的食事制限」21項目,「脱抑制」16項目,「空 腹感」14項目からなる。 倫理的配慮 調査への参加は自由意志であること,個人が特定さ れることはないこと,調査への参加の有無が成績など には影響しないことを口頭で説明し,同意が得られた ものに対して調査を実施した。本研究は筆頭演者の所 属先の大学内研究倫理委員会の承諾を得て実施した。 結果 1 .妥当性の検討 EDDS-DSM-5 version日本語版の妥当性を検討するた め,EDDSの合計値と上記のその他 2 つの尺度それぞれ の合計値との間で相関分析を行った (Table 1)。その 結果,EDDS-DSM-5 version日本語版とEAT-26 (r = .71, p <.001),TFEQ (r = .65, p < .001) の間で 中程度以上の有意な正の相関が認められた。 2 .信頼性の検討 EDDS-DSM-5 version日本語版の内的整合性を検討す るためにCronbachのαを算出した。その結果,α =

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-50 397 -.88であった。次に再検査信頼性を測定するため,調 査対象者の検査・再検査間でのEDDS-DSM-5 version日 本語版について相関係数を算出したところ,r = .81 (p < .001) であり,十分な再検査信頼性が示された。 3 .DSM-5における摂食障害の有病率推定 大学生の摂食障害の有病率推定を行うために,EDDS の採点アルゴリズムを用いて検討を行った (Table 2)。生活阻害度を含めて算出したところ,神経性やせ 症は1.57%,神経性過食症は0.26%,過食性障害は2.1%, 非定型神経性やせ症は1.31%,神経性過食症 (頻度が 低い,および/または期間が短い)は 0 %,過食性障害 (頻度が低い,および/または期間が短い)は 0 %,排 出性障害は 0 %,夜間食行動異常症候群は2.89%であっ た。生活阻害度を含めずに算出したところ,神経性や せ症は1.57%,神経性過食症は1.05%,過食性障害は 2.62%,非定型神経性やせ症は1.57%,神経性過食症 (頻度が低い,および/または期間が短い) は 0 %,過 食性障害(頻度が低い,および/または期間が短い) は 0 %,排出性障害は 0 %,夜間食行動異常症候群は 3.41%であった。 考察 本研究の目的は,EDDS日本語版-DSM-5 versionを作 成し, その信頼性と妥当性を検討すること,および EDDSの採点アルゴリズムを使用し,DSM-5の診断基準 を用いて大学生における摂食障害の有病率推定を行う ことであった。本研究で作成したEDDS日本語版-DSM-5 versionは,十分な内容的妥当性,EAT-26とTFEQとの 相関関係による収束的妥当性,および高い α 係数に よる内的整合性と 2 週間の間隔を空けての再検査信頼 性が確認された。またDSM-5の診断基準を用いて大学 生における摂食障害の有病率が推定された。 DSM-5における摂食障害各症状の有病率を推定した ところ,過食性障害,非定型神経性やせ症,夜間食行 動異常症候群の 4 つの項目で,生活に障害をきたす程 度の症状を伴う有病率において 1 %以上の数値を示し た。特に過食性障害において生活への支障の有無に関 わらず 2 %を超える数値を示していたのは,これまで 焦点が当てられることが少なかった過食への研究が進 むきっかけになりうるという点で興味深い。これまで 摂食障害の研究においては,海外の代表的な予防プロ グラムであるBody Project (Stice, 2000) がやせ願 望からきたされる拒食の症状に焦点を置いたものに なっていることなど,「食べないこと」,「痩せること」 に重点を置いた研究が行われることが多かった。今回 の結果から,より多岐にわたる症状に視点を向けた研 究を行っていくことが求められるだろう。

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