• 検索結果がありません。

(1)横断歩行者・自転車のための 新たな注意喚起対策に関する報告

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "(1)横断歩行者・自転車のための 新たな注意喚起対策に関する報告"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)横断歩行者・自転車のための 新たな注意喚起対策に関する報告. 梶原. 一慶1・成岡. 1非会員. 国道交通省. 2非会員. 国道交通省. 茂義2・吉川. 誠一3・村井. 宏徳4・神戸. 信人5. 四国地方整備局 土佐国道事務所(〒780-0055 高知市江陽町 2番 2号) E-mail: kajiwara-k8810@skr.mlit.go.jp. 四国地方整備局 土佐国道事務所(〒780-0055 高知市江陽町 2番 2号) E-mail: naruoka-s8810@skr.mlit.go.jp 3非会員 国道交通省 四国地方整備局 土佐国道事務所(〒780-0055 高知市江陽町 2番 2号) E-mail: yoshikawa-s8813@skr.mlit.go.jp 4非会員 株式会社オリエンタルコンサルタンツ(〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-18) E-mail:murai@oriconsul.com 5正会員 株式会社オリエンタルコンサルタンツ(〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-18) E-mail:kanbe@oriconsul.com. 高知県直轄国道における右左折車と横断歩行者・自転車の事故が課題となっている国道56号河ノ瀬交差 点と須崎中学校前交差点において,横断中の歩行者・自転車事故を削減することを目的に横断歩行者・自 転車感知式注意喚起システムを設置した. 本稿では,河ノ瀬交差点と須崎中学校前交差点に導入した横断歩行者・自転車感知式注意喚起システム の概要を説明するとともに,システム設置前後の交通挙動データと利用者意識データをもとに,注意喚起 システムが道路利用者に与える効果について報告する.. Key Words : traffic safety,reminder system,effectiveness. 1. はじめに. いう)を検討した. このシステムを高知県の「事故ゼロプラン」の事故危. 高知県の直轄国道に位置する交差点で発生した死傷事 険区間及び通学路緊急合同点検対策箇所に位置づけられ 故は,横断歩道を横断する歩行者・自転車と右左折車に よる事故が全事故の約2割1)を占める.その横断中の歩行. ている国道56号の河ノ瀬交差点と須崎中学校前交差点へ,. 者・自転車事故の約3割1)は,ドライバーの歩行者・自転. 平成23年より社会実験として設置し,その後平成25年よ り本格運用として導入することとした.. 車に対する安全不確認,すなわちドライバーが右左折時 本稿では,導入した横断歩行者・自転車感知式注意喚 に横断中の歩行者・自転車の安全確認を怠ることによる 起システムの概要を説明するとともに,河ノ瀬交差点と ものである. 須崎中学校前交差点でのシステム設置前後の交通挙動デ ドライバーの安全不確認に対する有効な対策の一つと ータと利用者意識データをもとに,注意喚起システムが して,ドライバーへの注意喚起情報の提供が挙げられる. 道路利用者に与える効果について報告するものである. しかしながら,注意喚起情報の提供についてはドライバ ーの慣れや過度な情報提供による対策の陳腐化により効. 2. 注意喚起対策の概要と事故特性. 果の低下が懸念され,必要かつ適切なタイミングでドラ (1) システムの概要. イバーに注意喚起を行うことが重要である. これらを踏まえ,横断歩道を横断する歩行者・自転車. システムは図-1に示すように,ドライバーに対して注. の存在を感知してドライバーに対して注意喚起を行う ITS技術を活用した新たな注意喚起対策として横断歩行. 意喚起を行うものであり,横断歩行者・自転車を感知す る人感センサーと感知データを無線信号にて送受信し LED表示板及び道路鋲を点滅させる制御ボックスから構. 者・自転車感知式注意喚起システム(以下,システムと 1.

(2) 歩行者自転車用信号が赤信号. 歩行者自転車用信号が青信号. 表-1 交差点の事故特性 横断者注意. LED表示板. 横断者注意. 赤. 青 ①横断者が人感センサーを通過. 交差点. 事故特性. ・横断歩道を横断する歩行者・自転車と右左折車による死傷事故件数が、 当該交差点の全死傷事故の約6割を占める。 河ノ瀬 ・歩行者・自転車関連の死傷事故の約7割は西側横断歩道の流出部で発 交差点 生している。 ・平成24年度に実施された通学路の緊急合同点検において道路幅員が広 く,横断に対する危険性が指摘された。. 人感センサー. 道路鋲. ・隣接する須崎中学校や近隣の小学校,高等学校の通学路となっている。 須崎中 ・平成24年度に実施された通学路の緊急合同点検において,児童が多く横 学校前 断する北側と西側の横断歩道での横断歩行者・自転車と右左折車事故の 交差点 危険性が指摘された。 ②LED表示板及び 道路鋲が点滅. (市)潮江1号線 至 上町. ①交差点が大きく,右折する車両の 速度が高くなり,周囲の歩行者・ 自転車を見落としやすい。. 図-1 システムの概要 至 高知市街. 至 土佐市. 成される.特に,道路鋲は対象となるドライバーに照射. 西側横断歩道. するために指向性を持たせ,人感センサーは身長が低い 事故① 事故②. 児童にも対応するために,センサー部を上部と下部の2 箇所とするダブルセンサー方式とした.. 右折 左折 人対車両 追突 その他. ②交差点が大きく,左折する車両の 速度が高くなり,周囲の歩行者・ 自転車を見落としやすい。 (市)潮江1号線 至 春野町. システムの仕組みは,横断歩道の出入口に設置したど ちらか片側の人感センサーが歩行者・自転車の横断歩道. 【河ノ瀬交差点の歩行者・自転車事故】. 写真:歩行者が横断中に速度が高い 右左折車が存在. への流入を感知すると同時に,無線により感知データが. 西側横断歩道 の流出部以外 8件/4年,31%. 両側の歩道脇に設置した制御ボックス間で送受信され, 両側のLED表示板と道路鋲が点滅する.また,点滅した LED表示板と道路鋲は,人感センサーが横断歩道を流出. 西側横断歩道の流出部 18件/4年,69%. する歩行者・自転車の最後尾を感知するもしくは,一定 出典)イタルダデータ (H20-H23). 時間(歩行者の横断時間)を経過すると消灯させるとと もに,歩行者自転車用信号機と連動させ(赤信号データ の受信),赤信号時は点滅させない仕組みとした.. 図-2 河ノ瀬交差点の横断中事故の事故発生要因 (県)五井郷下分線 至 須崎駅. (2) 事故特性と事故発生要因. 交差点の事故特性は,表-1のとおりである.また,図-2 と図-3は,河ノ瀬交差点と須崎中学校前交差点で対象と. 道の駅. 事故①. 北側. した横断中の歩行者・自転車事故の事故発生要因を示し. 事故②. たものである.. 西側. 両交差点の横断中事故の事故発生要因は,①交差点面. 須崎中学校. 右折 左折 人対車両 追突 その他. 津野町. 積が大きく,右左折時の速度が高いこと,②ドライバー の歩行者・自転車の見落とし等の安全不確認,歩行者・ 自転車の優先意識の低下が考えられる.特に河ノ瀬交差 点は,北側(高知市中心部)からの右折車は2列となる ため,併走する右折車に気を取られたドライバーの歩行 者・自転車に対する安全不確認が顕著となり,横断中の 歩行者・自転車との事故が多い状況にある. 写真:歩行者が横断中に速度が高い 右左折車が存在. 図-3 須崎中学校交差点の横断中事故の事故発生要因. (3) システムの配置とそのねらい 図-4と図-5は,それぞれ河ノ瀬交差点,須崎中学校前. 横断中の歩行者・自転車事故を対象とし,また,人感セ. 交差点のシステム配置図を示したものである.. ンサーを横断歩道の出入口となる南側の歩道部と北側の. 河ノ瀬交差点では,西側横断歩道流出部で発生する北. 中央島に設置した.LED表示板は右折車用と左折車用を. 側から2列で進入する右折車および南側からの左折車と. それぞれ設置し,停止する右折車がLED表示板の点滅を 2. 至 四万十市. 至 高知市. 現場にシステム導入した河ノ瀬交差点と須崎中学校前. 交差点面積が大きく、右左折車 の速度が高くなり、周囲の歩行 者・自転車を見落としやすい.

(3) 横断者注意. 制御ボックス. (市)潮江1号線 至 上町. 表-2 調査概要. LED表示板『横断者注意』 (左折用). 調査期間・取得データ. 中央島部 調査項目. 調査内容 河ノ瀬交差点. 須崎中学校前交差点. 人感センサー ・調査日:システム設置前;H26.2.23(日) システム設置後;H26.2.25(火 ・分析時間:1h(17:00~18:00). ・調査日:システム設置前;H24.12.13(月) システム設置直後;H24.12.20(木) システム設置1ヶ月後;H25.1.28(木), H25.2.4-H25.2.12の4日間 ・分析時間:2h(朝7:30~8:30,夕16:00~17:00). ・調査日:システム設置前;H26.2.23(日) 3名のドライバーの システム設置後;H26.2.25(火) 視線の動きと1秒毎 ・調査時間:6h の座標データを観測 (朝7~9時、昼13~15時,夕15~17時). ・調査日:システム設置前;H24.12.13(月) システム設置直後;H24.12.20(木) システム設置1ヶ月後;H25.1.28(木), ・調査時間:6h (朝7~9時、昼13~15時,夕15~17時). 横断歩道との離隔L=50cm. 右左折車の 速度等を観測. ビデオ調査. 道路鋲『白色』. 至 土佐市. 道路鋲8基. アイマーク レコーダ調査 プローブ調査 横断者注意. LED表示板『横断者注意』 (右折用). 利用者 アンケート システムに対する 評価等の意見収集 調査 (歩行者・自転車). ・調査日:H26.2.25(火)、H26.3.7(金) ・対象者:河ノ瀬交差点の西側横断歩道 を横断する歩行者・自転車 ・取得サンプル:193サンプル. ・調査期間:9日間(H24.2.4~H24.2.12) ・対象者:須崎中学校の保護者・中学生, 新荘小学校の保護者 ・取得サンプル:210サンプル. 利用者 アンケート 調査 (ドライバー). ・調査期間:7日間(H26.3.4~H26.3.10) ・対象者:河ノ瀬交差点の西側横断歩道 を右折もしくは左折したドライバー ・取得サンプル:114サンプル. ・調査期間:9日間(H24.2.4~H24.2.12) ・対象者:検証対象とした右左折折走行を行った 須崎中学校の保護者・中学生, 新荘小学校の保護者 ・取得サンプル:79サンプル. 歩道部 (市)潮江1号線 至 春野町. 図-4 システム配置図(河ノ瀬交差点). システムに対する 評価等の意見収集. 横断者注意. ※須崎中学校前交差点の利用者アンケート調査の回収率はドライバーは26%,歩行者・自転車は72%である。 (県)五井郷下分線 至 須崎駅. [安全確認の有無の変化] LED表示板『横断者注意』 (左折用). 以前より歩行者・自転車を安全確認するようになった. 11件 79%. 【河ノ瀬】. 道路鋲『白色』. 以前より歩行者・自転車を安全確認しなくなった. 変わらない. 1件 7%. 2件 14%. 至 四万十市. 横断者注意. 横断者注意. 至 高知市. N=14. 14件 82%. 【須崎中学校】. N=17. LED表示板『横断者注意』 (右折用). 0%. 20%. 40%. 3件 18% 60%. 80%. 100%. 制御ボックス 横断者注意. 人感センサー. [安全確認動作の変化] 歩行者・自転車を確認するようになった. 【河ノ瀬】. 須崎中学校. 至 津野町 (至 新庄小学校). 減速する(ブレーキを踏む)ようになった. 7件 64%. N=11. N=14 0%. 20%. その他. 4件 36%. 8件 58%. 【須崎中学校】. 図-5 システム配置図(須崎中学校交差点). 変わらない. 3件 21%. 3件 21% 40%. 60%. 80%. 100%. 確認できる角度とした.左折車用のLED表示板は,中央 図-6 システムを認識したドライバーの安全確認行動変化. 島の先端に設置し,左折車がLED表示板の点滅を確認で きる角度とした.道路鋲は,流出側の横断歩道から 50cmの離隔を確保した位置に横断歩道と平行に8基を,. 交通挙動の変化,③歩行者・自転車の安心感等の観点か ら検証した.. 歩道側から右折車用と左折車用を2基ずつ交互に埋設し (2) 注意喚起システムの効果 た. システムの効果は,河ノ瀬交差点と須崎中学校前交差 須崎中学校前交差点では,横断する北側と西側の横断 点で実施したドライバーと歩行者・自転車へのアンケー 歩道での横断中歩行者・自転車と右左折の事故を対象と ト調査,アイマークレコーダ調査,プローブ調査および し,人感センサーを北側と西側の横断歩道の両脇となる ビデオ調査による画像解析の結果に基づき評価を行った. 歩道部に設置した.LED表示板は,右折車用と左折車用 を横断歩道脇にある道路照明柱にそれぞれ添架した. LED表示板の角度は,河ノ瀬交差点と同様に交差点内で. a) 安全確認行動の変化. 停止する右折車が確認可能な角度とした.道路鋲は,流. バーの安全確認行動の変化を示したものである.. 出側の横断歩道端に横断歩道と平行に8基を,交互に右. 両交差点ともに約80%のドライバーがLED表示板と道路. 折車用と左折車用となるように埋設した.. 鋲に気づき,システム設置前より横断歩行者・自転車の 安全確認を行うことが確認された(河ノ瀬:χ. 図-6は,LED表示板と道路鋲の点滅に気づいたドライ. 以上のシステムを構築し,横断中の歩行者・自転車と. 2(2,14)=0.00,p=0.00 須崎: χ2(2,17)=0.00,p=0.00).さらに,その ドライバーの安全確認動作の変化として,約60%のドラ. 右左折車の事故を削減するというものである.. 3. 注意喚起対策の効果. イバーが歩行者・自転車を確認し,河ノ瀬交差点では約 40%,須崎中学校前交差点では約20%のドライバーが減. (1) 検証調査の概要. 速するとの回答であった.このことから,ドライバーは LED表示板と道路鋲の点滅を確認し,歩行者・自転車の. 検証調査の概要を表-2に示す.システムの効果検証に あたっての調査は,河ノ瀬交差点では設置前1日,設置. 確認や減速などの安全確認行動が向上する傾向があるこ 後1日の延べ2日間,須崎中学校前交差点では設置前1日, とが分かった. 設置直後1日,設置1ヶ月後1日の延べ3日間実施した.検 証調査内容は,①ドライバーの安全確認行動の変化,② 3.

(4) b) 右折時の速度変化. 【河ノ瀬交差点の北から西への右折車の速度変化】 10. 図-7は,河ノ瀬交差点と須崎中学校前交差点のビ. -0.2. -0.8. -1.0. -1.6 -2.6. -3.1. -3.4. 右折車の平均速度(km/h). 50. デオ調査の画像解析によるシステム設置前後の右折 車の速度変化を示したものである.対象は,LED示板と 道路鋲の点滅時,すなわち右折時に歩行者・自転車が横. 0. -8.8 40. -10. 横断歩道手前【区間⑤】で の 右折車の速度が3.1km/h低下 30. -20 26.1 23.1. 22.0 21.3 11.3. 20.1 17.3 16.5. 20. 19.4. 19.3 17.7. 19.7 17.3. -30. 17.0 13.9 13.7. 断していた右折車とした. 10. システム設置前後の速度差(km/h). 車両の進行方向. 60. -40. 河ノ瀬交差点では,システム設置前に比べてシステム 0. -50. 設置後は各区間で速度が低下しており,特に,横断歩道. 区間⑧ 横断歩道. 区間⑦. 区間⑥ 区間⑤ 区間④ システムを確認できる範囲. 区間③. 区間②. 区間①. ↑ 右折停止線. 手前での右折車の速度が約3km/h低下している.須崎中 学校前交差点においても,システム設置直後,設置1ヶ 凡例 平均速度 システム設置直後 (H26.2.25). 平均速度 システム設置前 (H26.2.23). 月後ともに各区間で速度が低下し,横断歩道進入時の速 度が実験前に比べ約5km/h低下している.この速度低下. 速度差(システム設置直後-システム設置前). 60. 10. 2.5. の要因は,ドライバーが横断歩行者・自転車を確認する. - 0.1. -0.1. - 0.3. - 0.8. -1.4. -0.7. - 1.3. 右折車の平均速度(km/h). 50. 位置より手前でLED表示板と道路鋲の点滅を確認し急な 加速等を避けて,低速で横断歩道に進入したためと考え られる. また,須崎中学校交差点のシステム区間内と区間外に. 0. -0.4. - 1.1. - 1.2. - 1.6. - 1.8. -2.2. -3.7 40. 右折時の速度が 3.7km/h低下. 車両の進行方向. 30 25.123.7 21.4 20 15.8 13.6 13.5 13.2 11.5 11.2 11.4 11.3 10.4 10.2. - 5.5 -10 横断歩道進入時 の速度が5.5km/h低下 28.227.4 28.3 27.0 -20 25.2 24.5 26.4 22.8 23.0. 18.3 14.2. -30. 10. システム設置前後の速度差(km/h). 【須崎中学校前交差点の北から西への右折車の速度変化】. -40. おいて,システム設置前,設置直後,設置1ヶ月後にお 0. -50. ける速度抑制効果を検証するために,「設置前,設置直. 区間② ↑ 区間③. 区間①. 右折停止線. 区間④ 区間⑤ 区間⑥ システムを確認できる範囲. 区間⑦ 横断歩道. 区間⑧. 後,設置1ヶ月後」を被験者内要因とした一元配置分散 凡例 平均速度 システム設置前 N=3 平均速度 システム設置直後 N=13 平均速度 システム設置1ヶ月後 N=54 (H24.12.13) (H24.12.20) (H25.1.28,H25.2.12-15) 速度差(システム設置直後-システム設置前) 速度差(システム設置1ヶ月後-システム設置前). 分析を行った.その結果システム区間内においては,被 験者間に有意差が認められた(F(2,67)=3.13,p=0.00区間⑤の. 図-7 ビデオ調査の画像解析による右折時の速度変化. み記載).一方,システム区間外においては,被験者間に. 累積頻度(%). 有意差は認められなかった(F(2,60)=3.15,p=n.s.区間②のみ記. 100% 90%. 載).つまり,須崎中学校前交差点においてはシステム. 80%. 設置1ヶ月後においても継続的な速度抑制効果が発現し. 70% 60%. ていることを示唆している. 50%. 右折車が歩行者・自転車 と余裕をもってすれ違うようになった. 40%. c) 河ノ瀬交差点からみるすれ違い時間差の変化. 30%. 図-8は,河ノ瀬交差点の西側横断歩道流出部において,. 20%. 凡例 :システム設置前(H26.2.23) n= 48 :システム設置後(H26.2.25) n=104. 10%. 北から西へ向かう右折車と横断歩行者・自転車のすれ違 0% 0. い時間差の変化を示したものである.これは両者のすれ. 5. 10. 15. 20. 25. 30. 35. 40. 45. 50. 55. 60. 65. 70. 右折車と歩行者・自転車のすれ違い時間差(s). 違い時間の差が小さければ,両者が接近してすれ違って すれ違い時の距離が近い. すれ違い時の距離が離れている. いることを示し,システム設置後は,設置前に比べて右 図-8 すれ違い時間差の変化(河ノ瀬交差点). 折車と横断歩行者・自転車のすれ違い時間差の大きい割 安心. [LED表示板による安心感]. 合が増加した.つまり,右折車はシステムの点滅を確認 し,横断歩行者・自転車との距離を離し,より余裕を持 ってすれ違うようになったと考えられる.. 変わらない. 115件 60%. 【河ノ瀬】. 不安. 75件 39%. 2件 1%. N=192 ※無回答1件を除く. d) 横断歩行者・自転車の安心感. 138件 67%. 【須崎中学校】. N=205. 66件 32%. 1件 0%. ※無回答5件を除く. 図-9は,両交差点の横断歩行者・自転車のLED表示板. 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. と道路鋲による安心感の評価を示したものである.両交 [道路鋲による安心感] 安心. 変わらない. 不安. 差点ともに約60%以上の横断歩行者・自転車がLED表示 116件 61%. 【河ノ瀬】. 板による注意喚起により安心を感じるとの評価であった.. 71件 37%. N=191. 4件 2%. ※無回答2件を除く. 同様に道路鋲についても,約60%以上の横断歩行者・自 129件 63%. 【須崎中学校】. 転車が安心を感じるとの評価であり,LED表示板,道路. N=205. 74件 36%. 2件 1%. ※無回答5件を除く. 鋲ともに有意差が確認された.つまり,横断歩行者・自. 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 転車利用者に対しても影響を与えることが分かった.こ 図-9 歩行者・自転車のシステムによる安心感の変化. れらは,ドライバーの安全確認行動の変化が示すように 4. 100%.

(5) ドライバーが歩行者・自転車に対して,より安全確認す. ドライバーのみでなく,歩行者・自転車利用者といった. るようになり,減速して横断歩道に進入するようになっ. 道路利用者に対してもシステム効果を与えていることが. たためと考えられる.. わかった. 今後は,システム設置後の死傷事故件数による評価を 行うとともに,交差点交通量が多くかつ,横断者数も多. 4. おわりに. い横断歩道への導入を検討していく予定である. 本稿では,河ノ瀬交差点と須崎中学校前交差点に導入 した横断歩行者・自転車感知式注意喚起システムの効果. 謝辞:本論文の作成に際して,高知工科大学片岡源宗助手,株. 検証を行った.アンケート調査結果から,ドライバーは. 式会社キクテックをはじめとする多くの学識経験者に多大なご. 歩行者・自転車を確認し安全確認行動を行うようになり, 協力を頂いた.ここに記して感謝の意を表します. 歩行者・自転車は安心感を得られるようになった.また, ビデオ調査結果から,システムによる右折車の持続的な. 参考文献. 速度抑制効果や右折車と横断歩行者・自転車とのすれ違. 1) (公財)交通事故総合分析センター:平成20年から平成23年の事故別. い間隔の増加効果が得られた.. データ. 以上の結果から,注意喚起システム導入により,ドラ (2014. 8. 1 受付). イバーの安全確認行動の向上並びに速度抑制効果といっ た行動による変化,さらには,歩行者・自転車利用者の 安心感といった心理的作用の変化にも向上効果を及ぼす ことが示唆された.このことから,注意喚起システムは,. STUDY ON A NEW REMINDER SYSTEM FOR PEDESTRIANS AND BICYCLE USERS kazuyoshi KAJIWARA, shigeyoshi NARUOKA and seiti YOSHIKAWA and hironori MURAI and nobuto KANBE. 5.

(6)

参照

関連したドキュメント

世界的に見ても、 IRTAD( 国際道路事故統計機関 ) の調査 で、自転車事故の死亡者数の順にみて、調査対象30か国

聴覚障害者 視覚障害者 松葉杖をつく 児童歩行者 高齢歩行者 成人歩行者 並んで歩く 犬連れ ベビーカーを押す 自転車を押す キ ックスケ ー ター 自操の車いす 介助付車いす 電動車いす

[r]

自転車利用者 道路交通法等の遵守 94.1 自転車利用者 点検整備 94.1 自転車利用者 保険の加入勧奨 91.2 小中学校校長 安全教育 85.3 首長・自治体 安全教育・指導 79.4

義する.中心部は約 100m 単位の格子状街路網で構成さ れている.今回は特に札幌駅と大通公園を結ぶ,西二丁

路線6 路線 自転車歩行者道 (幅員狭い 幅員狭い,分離なし 分離なし) なし).. 路線2 路線 自転車歩行者道

A Study on Traffic Conflicts Between Right-Turning Vehicles and Pedestrians Based on Traffic Monitoring Information Recorded at the Signalized Intersection*. 内堀大輔 ** ・萩原亨

表-2 移行前ヒヤリハット経験分布 項目 東行き 西行き 青時間 信号 タイミング 点滅以降 対左折車 ヒヤリ 対右折車 ハット 対歩行者 対象 対自転車 進行方向.. 北行き 南行き 青時間