• 検索結果がありません。

歩車分離制御移行後の利用者意識に関する調査分析

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "歩車分離制御移行後の利用者意識に関する調査分析"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)IV-003. 土木学会中部支部研究発表会 (2008.3). 歩車分離制御移行後の利用者意識に関する調査分析. 1. はじめに 信号交差点で多発する横断歩行者・自転車(以下,横 断者とする)と右左折車との交通事故の問題に対して, 近年,横断者と自動車交通を分離する歩車分離式信号制 御(以下,歩車分離制御)の導入が進められている. 本研究ではアンケート調査データを用いて,歩車分離 制御導入に対する利用者評価構造を交通手段別に明らか にし,よりよい交差点改良を検討するための基礎的資料 の作成を目的とする.. 名古屋工業大学. 学生会員. 名古屋工業大学大学院. 正会員. 鈴木 弘司. 名古屋工業大学大学院. 正会員. 藤田 素弘. 制御移行前 至 名駅南2. ○増山. 淳. 制御移行後 至 名駅南2. N. N. 至 若宮北. 至 若宮北. 至 下広井町. 至 下広井町. 信号の流れ図 ①. 54 (42). 信号の流れ図. 至 水主町 ③. ②. ④. 66 (54). 11. ①. 11. 至 水主町 ③. ②. 49 (37). ④. 44 (32). 17. 14. ※ 上記は車両青時間[s]を示し,()は歩行者青時間[s]を示す サイクル長は移行前後ともに160[s]. 2. 調査概要及び対象交差点 本研究で対象とする名古屋市内にある名駅南 3 丁目交 差点は自転車と自動車による事故が昨年1年間で14件発 生し(総事故件数 27 件) ,県内で最多(総事故件数では ワースト 2)となっており, 2007 年 9 月 28 日より歩車 分離制御に移行された交差点である.図-1 に制御移行前 後の車線運用及び信号現示の状況を示す. 本研究では歩車分離制御移行後 1 月程度経過した段階 で街頭アンケートを実施し,歩車分離制御の有用性(交 通安全対策,交通渋滞策)を中心に調査している.アン ケートの調査概要および回答者の属性を表-1 に示す.な お本稿では制御移行の総合評価について主に分析する. 3. 歩車分離制御移行前のヒヤリハット経験 図-2 に示すように,回答者の約 3 分の 1 がヒヤリハッ ト経験有りと回答している.中でも図-3 に示すように, 昨年度最も事故件数が多かった交差点南側の横断歩道に て「3 回以上経験した」という回答が最も多く,また, 表-2 に示すように南側でのヒヤリハットの約7 割が左折 車との接触によるものであることがわかる.前述した事 故実績およびこれらのヒヤリハット経験から制御変更前 の本交差点の危険度は高かったことがわかる.. 図-1 歩車分離制御移行前後の車線運用及び現示階梯図 表-1 調査概要および回答者属性 期間 対象交差点 時間帯 調査内容. アンケート 内容. 2007年11月8日(木)~9(金),19日(月) 名駅南3丁目交差点 10:00~12:00(11/8,19),14:00~17:00(11/8,19) 横断者に対する街頭アンケート 有効回答数 92部 (男性:56名,女性:36名) ○回答者自身に関して 年齢,性別,家族構成 本交差点の利用頻度,交通手段,利用する時間帯 ○歩車分離制御移行前の状況に関して 制御移行前のヒヤリハット経験有無 ○歩車分離制御移行に関して 制御移行を知った時期,有用性(交通安全対策・交通渋滞対策) 総合的な評価(満足~不満の5段階評価) ○歩車分離制御移行後の状況に関して 交通渋滞・交通安全,ヒヤリハット経験の有無 信号の設定,交差点構造 その他運用代替案についての是非. 回答者年代 10代以下 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 N=92 6.5% 19.6% 13.0% 16.3% 13.0% 17.4% 14.1% 利用時間 0時-7時 7時-10時 10時-16時 16時-19時 19時-24時 N=153 5.2% 24.8% 38.6% 22.9% 8.5% 利用頻度 まったく使わない 毎日 2,3日に1回 1週間に1回 ほとんど使わない N=90 15.6% 2.2% 38.9% 34.4% 8.9% シニアカー その他 交通手段 自動車 自転車 徒歩 N=127 22.0% 43.3% 31.5% 0.0% 3.1% 12. 16 17%. 10. 10. 20 22%. 8 5. 6 56 61%. 4. 3. 3. 2. 1. 2. 3. 1. 0 北側. 1度もなかった. -271-. 東側. 1,2回程度あった. 3回以上あった. 図 2移行前ヒヤリハット経験 改良前ヒヤリハット経験 図-2. 4. 歩車分離制御の有用性 歩車分離制御の有用性に関する評価を図-4 に示す.こ れより,回答者の 9 割以上が安全対策として有用と認め ていることがわかる.また,図-5 に示すように交通手段 別に見ても 7 割以上が有用であると回答していることか らも歩車分離制御の安全対策としての有用性は認められ たといえる.. 南側. 西側. 1,2回程度あった. 3回以上あった. 図 3 移行前ヒヤリハット経験箇所 改良前ヒヤリハット経験箇所 図-3. 表-2 移行前ヒヤリハット経験分布 項目 東行き 西行き 青時間 信号 タイミング 点滅以降 対左折車 ヒヤリ 対右折車 ハット 対歩行者 対象 対自転車 進行方向. 北側 3 1 3 1 3 3 0 0. 南側 9 8 15 0 11 5 0 0. 北行き 南行き 青時間 点滅以降 対左折車 対右折車 対歩行者 対自転車. 東側 2 1 2 0 1 0 0 1. 西側 2 2 4 0 4 0 0 0.

(2) IV-003. 土木学会中部支部研究発表会 (2008.3). 一方,渋滞対策としての評価は交通手段別に異なる結 果となった.図-6 より自動車利用の回答者の 7 割は有用. 交通安全対策:81. でないと評価しており,一方,自転車・徒歩を選択した. 交通渋滞対策:57. 回答者は半数以上が有用と回答している.これは,本交. 63. 11 0%. 差点の運転経験の有無によって回答が分かれたことによ. 10%. 15. 17 20%. 非常に有用. 30%. 17 40%. やや有用. 50%. 60%. 12 70%. あまり有用でない. 21. 80%. 90%. 100%. 有用でない. 図-4 歩車分離制御移行の有用性(交通手段別). るものと考えられる.. 全体(112). 85. 自動車利用(29). 5. 歩車分離制御移行に関する総合的な評価. 20. 自転車(46). 歩車分離制御移行に関する総合的な評価を図-7 に示 す.これより全体の約 4 分の 3 が満足と評価しているこ. 10%. 20%. 非常に有用. 全体(80). 自転車(33). により新たに生じた負荷が影響していると考えられる.. 徒歩(23). 6. 歩車分離制御に対する交通手段別総合評価モデル. 7. 被説明変数として総合評価(満足:5 点,やや満足:4. 徒歩(32). 点,どちらとも言えない:3 点,やや不満:2 点,不満:. 10%. 9. 20%. 30%. やや有用. 21. 9. 8. 5 40%. 50%. 6. 60%. 70%. あまり有用でない. 80%. 90%. 100%. 有用でない. 19. 18. 8 11. 20%. やや満足. 30%. 10 8. 21 10%. 11. 10. 19. 6 40%. 50%. 60%. どちらとも言えない. 説明変数 定数 制御移行後の交通安全:前より良くなった 制御移行後の交通安全:前より悪くなった 本交差点利用頻度:高頻度利用 (毎日/2,3日に1回利用=1,他回答=0) 利用時間: 7時~16時 (7時-10時/10時-16時=1,他回答=0) アンケート実施以前に制御変更既知 (知らなかった=0,他回答=1) 制御移行前:ヒヤリハット経験有り (1,2回程度/3回以上あった=1,他回答=0) 制御移行後:ヒヤリハット経験無し (1度もなかった=1,他回答=0) 交差点改良:歩行者青時間増加賛成 (賛成/どちらかと言えば賛成=1,他回答=0) 年齢:50代-70代 (50代/60代/70代=1,他回答=0) 交通手段:徒歩(日中) (徒歩かつ7時-10時/10時-16時=1,他回答=0) 交通手段:自転車(夜間) (自転車かつ16時-19時/19時-24時/0時-7時=1,他回答=0). 高いことがわかる.歩車分離制御移行により通行権が分. 修正済みR2 F値 有意確率 サンプル数. けられ,青時間中のヒヤリハットが実質起こらなくなっ たことが影響していると考えられる.歩行者青時間の増 加に賛成とすると評価が下がることについては図-1 に. 100%. 5. 70%. 80%. やや不満. 01. 90%. 0 100%. 不満. 表-3 交通手段別総合評価モデルのパラメータ推定結果. これより,交通手段別によって同じ変数でも総合評価. 利用者は制御移行後にヒヤリハット経験がないと評価が. 90%. 図-7 歩車分離制御移行の総合的評価(交通手段別). いて分析を行った.表-3 に交通手段別の分析結果を示す.. ット経験がある利用者ほど高評価であり,さらに自転車. 80%. 7. 30. 満足. 用時間,交通手段,属性,ヒヤリハット経験の有無を用. また,自動車・自転車利用者は制御変更前のヒヤリハ. 70%. 01. 有用でない. 23. 11. 0%. 1 点) ,説明変数として制御移行後の状態,利用頻度,利. ていることが原因だと考えられる.. 60%. 9. 全体(101). 自転車(39). で示した歩車分離制御移行によって交通流に悪影響が出. 50%. 9. 3. 自動車利用(30). 影響を与える要因を交通手段別に明らかにする.今回,. わかる.特に自動車利用者の値は大きいが,これは 4 章. 2 0. 図-6 交通渋滞対策としての有用性(交通手段別). 前章までで交通手段別に利用者評価が異なることが示. では符号が負であり頻度が高いほど低評価であることが. 40%. あまり有用でない. 5. 非常に有用. 頻度が高いほど高評価であるが,自動車・自転車モデル. 2 1 5. 23. 3. 0%. 徒歩モデルにおいてパラメータの符号が正であり,利用. 30%. やや有用. 13. 自動車利用(24). の左折待ち時間が多い」など歩車分離制御になったこと. に与える影響が異なることがわかる.高頻度利用者は,. 9. 図-5 交通安全対策としての有用性(交通手段別). の割合は,自転車・徒歩の回答者よりも低いことがわか. された.そこで本章では重回帰分析を用いて総合評価に. 4 2. 31 0%. とがわかる.しかし,自動車利用の回答者における満足 る.これは, 「隣接する交差点との連動が悪い」 , 「東→西. 34. 徒歩(37). 21 7. 自動車 β t値 10.014 -0.209 -1.330. 自転車 β t値 4.392 0.398 2.357 -0.311 -1.870. 徒歩 β t値 7.516 0.474 2.304 -. -0.368. -2.348. -0.313. -1.720. 0.346. 1.635. -0.162. -1.015. 0.458. 2.854. -0.349. -1.729. -. -. -0.309. -1.939. -0.265. -1.338. 0.481. 3.134. 0.461. 2.356. -. -. -. -. 0.193. 1.166. -. -. -. -. -0.242. -1.449. -. -. -. -. -. -. -0.228. -1.178. -0.024. -0.157. -. -. -. -. -0.189. -1.233. -. -. -. -. 0.427 4.353 0.005 30. 0.387 3.289 0.014 35. 0.235 2.536 0.062 26 ※ β = 標準化係数. 7. 終わりに. 示すように,横断時間が短縮され,横断時間が不足して. 本研究では,歩車分離制御移行後の利用者意識に関す. いることが影響していることが考えられる.また,アン. るアンケート調査結果に基づき歩車分離制御が利用者評. ケート実施以前に歩車分離制御移行を認知していたとす. 価に与える影響について分析を行った.今後はより精度. る変数に対しては自転車・徒歩共に負の値となっている.. の高い総合評価モデルの構築を目指すとともに,歩車分. これは歩車分離に期待していた効果をあまり得ることが. 離制御に対するドライバーの評価,周辺住民の評価につ. できなかったことが影響していると考えられる.. いても検討する. -272-.

(3)

参照

関連したドキュメント

使用性 走行性 通常時の走行性(路面の健全性,剛度) 路面の平坦度,桁のたわみ 通常時の列車走行性,乗り心地 桁のたわみ 歩行性

飽和交通流率の基本値変動の実態解析* Analysis for Fluctuation of The Base Saturation Flow Rate among Signalized Intersections

横断歩行者の信号無視者数を減少することを目的 とした信号制御方式の検討を行った。信号制御方式

その結果,自由旅行速度は,軽快車 16.8km/h ,電動アシスト付き自転車 18.6km/h となり約 2km/h の差が 生じた.ただし軽快車を

我が国の大都市圏における都市鉄道整備は,運輸政策 審議会(以下,運政審)での答申をもとに進められてき た. 1980

(CER)を加え,1時間半撹拌し 10 分間の遠心分離を 行った.CER を取除き,再度 14000G で 10 分間,遠心 分離を行い液相 EPS を抽出した.再度遠心分離を 10 分

装材 の物理 的な 検討... of

世界的に見ても、 IRTAD( 国際道路事故統計機関 ) の調査 で、自転車事故の死亡者数の順にみて、調査対象30か国