H 形鋼を芯材とするソイルセメント杭に関する研究(その 3)
- 鉛直支持力 -
鉄建建設(株) 正○尻無濱昭三,安藤建設(株) 根本 恒 五洋建設(株) 竹内 博幸,(株)錢 高 組 森本 敏幸
1. はじめに
土留め壁の本体利用により基礎構造の合理化,環境負荷の低減ができる,H形鋼を芯材とするソイルセメ ント杭工法 1)を開発した。本報では,この杭の鉛直支持力特性を把握するために実施した鉛直載荷試験につ いて報告する。
2. 試験概要
実施した鉛直載荷試験の一覧を表 1に,試験杭 および試験を実施した地盤の概要を図 1に示す。
先 端 地 盤 は 砂 礫(No.1)砂(No.3,4)シ ル ト(No.2,5,6)
の3種類で,No.3,4とNo.5,6では単杭と標準施工
単位の3連杭(芯材ピッチ:450mm)との比較を行っ ている。杭径は削孔長に対する施工精度確保を考
慮して決定した。なお,No.1~4は杭先端に荷重を伝達させるためのフリクションカット材を塗布している。
ソイルセメントは先端部目標強度5N/mm2,一般部1N/mm2として,本工法の実績に基づく配合,水準で施 工したが,試験場2で試験施工した杭からコア採取した試料の一軸圧縮強度の平均値は18.4kN /m2,5.2kN/m2 であった。試験時は,杭頭荷重,杭頭沈下量に加え,先端沈下量も直接測定している。軸方向力(周面摩擦力) 分布は芯材に貼付したひずみゲージの測定値から,芯材とソイルセメントのひずみを同じとして求めた。ソ イ ル セ メ ン ト の 変 形 係 数 は 試 験 施 工 杭 コ ア 試 料 の 実 測 E50 を 用 い た 。 載 荷 方 式 は 地 盤 工 学 会 基 準(JGS
1811-2002)「杭の押込み試験方法」に準拠し,載荷は9~12段階・4~5サイクルで計画した。
3. 試験結果
No.1~No.5の杭頭荷重-杭頭沈下量関係を図2に示すが,いずれの杭でも芯材下のソイルセメントの圧潰
や芯材-ソイルセメント間の付着切れといった脆性的な破壊は認められず,芯材から付着およびシアコネク タの支圧を介して,ソイルセメント-地盤へと荷重が伝達できることを確認した。
杭先端荷重度-先端沈下量関係について,試験結果および宇都 2)の提案に基づくワイブル分布曲線による 推定を図3に示す。ここで,先端地盤が砂・砂礫の場合は荷重度-沈下量の関係はほぼ一致しており,杭径 の影響および3連としたことによる群杭効果は認められなかった。先端地盤がシルトの場合は杭径が小さい
キーワード: 杭基礎,支持力,ソイルセメント
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表1 鉛直載荷試験一覧 断面形状 削孔長
芯材長(m) 芯材寸法 シア コネクタ
試験場・
先端地盤 1φ900×3連 41.4(41.0) H-428×407×20×35 48×φ19 砂礫 2φ900×3連 29.5(27.3) H-582×300×12×17 20×φ13 3
シルト 3φ650×単杭34.5(32.9) BH-300×300×22×32 48×φ16 細砂 4φ650×3連 34.5(32.9) BH-300×300×12×25 48×φ16 細砂 5φ650×単杭19.8(18.0) H-400×400×13×21 20×φ13 シルト 6φ650×3連 19.8(18.0) H-390×300×10×16 20×φ13
2 シルト
試験場2(茨城県境町)
深度
(m) 土質区分 N値
盛土 - 21-30 5 粘土 細砂 互層 2 細砂 30-53
砂質 4-6 シルト 6-13 -1.8
8.9 -16.7
-27.0
-32.8 細砂 >60 試験場3(茨城県猿島町)
深度
(m) 土質区分 N値
盛土 -
14 1 粘性土
細砂 互層 1-6 細砂 14-57 シルト
質細砂16-36 9-12 砂質 シルト 6-13
シルト 3-7 -1.7
-9.7 -16.8
-26.9 -31.0
-40.9 砂礫 >60 -41.4 -41.0
-36.4 一般部
ひずみゲージ
フリクションカット
No.1 No.2
-29.5-27.3 -23.5 芯材
先端部
▽GL
-34.5 -32.9 -28.5 No.3 No.5 No.4 No.6
-19.8 -18.0 -13.8
図1 試験地盤および試験杭の概要 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)
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単杭の荷重度が最も低かったが,これは,先端以深の地盤の強度やシルトの内部摩擦角(載荷荷重による拘束 効果)などの複合的な影響が考えられる。
図 4 に,試験結果と,ソイルセメントを杭体として日本道路協会「道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編
(2002)」の(A)鋼管ソイルセメント杭の支持力式(式1) および(B)場所打ち杭の支持力式(式2)を用いて算定した
杭先端極限支持力度qd,最大周面摩擦力度fiの比較を示す。併せて,日本建築センター「建築物のための改 良地盤の設計及び品質管理指針(2002)」の(C)深層混合改良体の支持力式(式3)による値も示した。
(A) qd=150N(<7,500:砂),200N(<10,000:砂礫), fi = 10N(<200:砂),C(<200:粘性土) (式1) (B) qd=3,000(砂),5,000(砂礫),3qu(粘性土), fi = 5N(<200:砂),C(<150:粘性土) (式2) (C) qd = 75N(<4,500:砂・砂礫), 6C(粘性土), fi = 10/3N(<100:砂),C(<100:粘性土) (式3) 試験杭の載荷試験結果は,式1のfiを除けば,推定式により算定した値と同等か上回っており,本工法の 鉛直支持力は,これらの推定式により評価できることが確認された。
また,表 2,図 2にはこれらの推定式により算定した極限支持力と試験結果による極限支持力との比較を 示すが,試験結果は検討した推定値より,十分な余裕を持って上回ることを確認した。
4. まとめ
鉛直載荷試験により,本工法では芯材を介してソイルセメント-地盤へ荷重を確実に伝達できること,お よび砂,砂礫,粘性土の3種類の先端地盤に対し,鉛直支持力は,鋼管ソイルセメント杭,場所打ち杭ある いは地盤改良のいずれの支持力推定方法を用いても安全側に評価できることを確認した。
本報告は青木建設,淺沼組,安藤建設,
大木建設,奥村組,鴻池組,五洋建設,住 友建設,錢高組,鉄建建設,戸田建設,西 松建設,松村組,三井建設の 14 社による 共同研究の成果をまとめたものである。
[参考文献] 1)平澤他,「同題(その1)」土木学会第58
回年次学術講演会(投稿中), 2)宇都他「杭の載荷試 験結果の整理方法」,基礎工,pp.21-30,1982.9
表2 極限支持力算定式と試験結果の比較
算定値(下段先端) (kN) (A) (B) (C)
試験結果 (kN) No.1 18,180
(15,886) 10,744 (8,456) 8,267
(5,973) 24,536
No.2 - 4,440
(999) 3,272
(999) 12,881 No.3 4,826
(3,513) 2,304 (990) 2,307
(1,493) 6,728 No.4 10,908
(8,313) 5,205 (2,610) 5,509
(3,897) 14,055
No.5 - 3,384
(209) 2,532
(209) 6,568
No.6 - 6,834
(553) 4,917
(553) 10,291
図2 杭頭荷重-杭頭沈下量関係 図3 先端荷重度-先端沈下量関係
0
20
40
60
80
100
0 10,000 20,000 30,000 杭頭荷重 (kN)
杭頭沈下量 (mm)
No.1(φ900×3連) No.3(φ650×単杭) No.4(φ650×3連)
0
20
40
60
80
100
0 5,000 10,000 15,000 杭頭荷重 (kN)
No.2 (φ900×3連) No.5 (φ650×単杭) No.6 (φ650×3連)
0
50
100
150
0 5,000 10,000
先端荷重度(kN/m2)
先端変位量(mm)
No.1 No.3 No.4
150N (No.3,4)
200N (No.1)
0
50
100
150
0 1,000 2,000
先端荷重度(kN/m2)
No.2 No.5 No.6 3qu
図4 qd,fi推定式と試験結果の比較
0 2,500 5,000 7,500 10,000 12,500
30 40 50 60 70
N値 先端支持力度 qd (kN/m2)
先端:砂礫,砂(No.1,No.3,No.4)
0 500 1,000 1,500
100 150 200 250
qu (kN/m2) 先端支持力度 qd (kN/m2 ) 先端:粘性土
(No.2,No.5, No.6)
0 100 200 300
0 50 100 150 200 250
C (kN/m2) 周面摩擦応力度 fi (kN/m2) 周面:粘性土 0
100 200 300
0 10 20 30 40 50 60
N値 周面摩擦応力度 fi (kN/m2 ) 周面:砂質土
(A)砂礫
(A)砂
□試験結果:砂礫
○試験結果:砂 ○試験結果
(C)
(B)砂礫
(B)砂 (B)
(C)
(A)
(C) (B)
(A)
(C) (B)
○試験結果 ○試験結果
No.3(C
) ▼
No.4(C
) ▼
No.1(C
) ▼
No.5(B
) ▼
No.4(B)▲ No.2(B)▲
土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)
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