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博 士 ( 農 学 ) 加 藤 澄 . 恵

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 加 藤 澄 . 恵

学 位 論 文 題 名

  Mal s属 お よ び Gり cz,ne属 植 物 に お け る     L

ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ム の 変 異 機 構 の 分 子 的 解 析

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  本 研 究 で は 、Malus属 植 物 お よ びGlycine属 植 物 に お け る 系 統 分 化 お よ び 栽 培 型 の 進 化 を 細 胞 質 ゲ ノ ム の 観 点 か ら 解 明 す る た め 、Malus属 植 物 で は 新 旧 栽 培 品 種 や 近 縁 野 生 種 を 、 ま た 、Glyce属 植 物 に お い て は 、s〇 . 加亜 属の ダイ ズ( 町cem鎖 くL. ) Merr.) とそ の祖 先野 生種 とさ れる ツル マメ (GsojSieb.efZucc.) を供 試し 、心LP 分 析 に よ る ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ム 多 型 を 調 べ る と と も に そ の 変 異 機 構 を 検 討 し た 。

1 Malus属 植 物 に お け る ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ム 多 型 の 解 析

  MJ螂 属 植 物 の ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ム の 多 様 性 を 明 ら か に す る た め に 、75種 の り ン ゴ 新 旧 品 種 お よ び 台 木 株 な ら び に811系 統 の 近 縁 野 生 種 に つ い て 、 ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ム に 関 す るRFLP分 析 を 試 み た 。 そ の 結 果 、 供 試 遺 伝 子 型 の ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ム は 、AJ10型 に 分 類 す る こ と が で き た 。4型 に 分 類 さ れ て い る 葉 緑 体 ゲ ノ ム の 内 、I型 、II型 、m型 は ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ムA型 、B型 、C型 に そ れ ぞ れ 対 応 し 、IV型 はDJ7群 に 細 分 さ れ た 。 他 の 植 物 種 に お け る 事 例 と 同 様 、AJ 属 に お い て も ミ ト コ ン ド リ ア が 葉 緑 体 よ り 大 き ぃ ゲ ノ ム 変 異 を 示 し た 。 ヨ ー ロ ッ パ M甜 郷 属 自 生 種 よ り 育 成 さ れ た 台 木 株 に は 、MaJ郷 属 栽 培 品 種 に お け る の と 同 様 の ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ム の 分 化 が 見 い だ さ れ た 。 こ の 結 果 は 、 異 な る ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ム を 有 す る 複 数 の 祖 先 型 か ら 、 多 元 的 系 譜 を 辿 っ てAJ螂 属 栽 培 種 が 出 来 上 が っ た こ と を 示 唆 し て い る 。

  ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ムA型 お よ びC型 を そ れ ぞ れ 代 表 す る 「 ゴ ー 少 デ ン デ リ シ ャ ス 」 お よ び 「 デ リ シ ャ ス 」 のaや 夕 領 域 を ク ロ ー ン 化 し 、 そ れ ら の 構 造 を 比 較 解 析 し た 。 「 デ リ シ ャ ス 」 由 来 のaゆ 夕 遺 伝 子 は246塩 基 対 か ら な り 、 同 じ ス ト ラ ン ド の 下 流 に naガ エ キ ソ ンabが 同 定 さ れ 、 両 遺 伝 子 は 共 転 写 さ れ る こ と を 明 ら か に し た 。 ま た 、aヤ 夕 ORF中 の8箇 所 で CUエ デ ィ テ イ ン グ が 起 こ り 、 そ の う ち の7 所 の エ デ ィ テ イ ン グ は ア ミ ノ 酸 変 化 を 伴 う 。 残 り1箇 所 で は 終 止 コ ド ン が 形 成 さ れ る た め 、 実 際 に 合 成 さ れ る ポ リ ペ プ チ ド は 、 ゲ ノ ムDNAに 基 づ ぃ て 推 定 さ れ る 配 列 に 比 ぺ て8ア ミ ノ 酸 残 基 短 く な る 。 「 ゴ ー ル デ ン デ リ シ ャ ス 」 由 来 のaや ゥ 座 に お い

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て は、 「デ リシ ャス 」の 対応 域と 比較 して 、5憐 接域 に4箇 所の 塩基 置換 が認められ た。

  「ゴ ール デン デリ シャ ス」 のミ 卜コ ンド リア ゲノ ムに存 在す るatp9偽 似コピー配 列 の構 造を 解析 した 。こ の領 域に 含ま れるatp9配列 におぃ ては 、翻 訳開 始コドンに 始 ま るN末 端 配 列 は 保 存 さ れて い る も の の 、 開 始 コ ド ンか ら92 bp目 よりatp9配列 と の相 同性 が失 われ 、偽 遺伝 子化 して いた 。この砂atp9 ‑1配列の上流には、さらに rps12およびゅnad3が配置されている。「ゴー´レデンデリシャス」のミ卜コンドリア ゲ ノ ム 上 に は 、 イ ン タ ク ト なnad3 ‑rps12ア レ ン ジ メ ン ト が 別 に 存 在 す る 。   rゴ ール デン デリシャス」由来のゅnad3 ‑ rps12 ‑砂atp9 ‑1アレンジメントの生起 機 構を 次の よう に推 定し た。 すな わち 、祖 先型 のミ トコン ドリ アゲ ノム 上に、nad3 お よ びatp9遺 伝 子 コ ー ド 域 内 に 含 ま れ る 数bp〜 数 十bpの配 列が 反復 して 存在 し、

進 化 の 過 程 で 、 こ の 反 復 配 列 を 介 し た 相 同 組 換 え がそ れぞ れの 遺伝 子領 域で 起こ り 、砂nad3 ‑ rps12アレンジメントとゅatp9−1が産み出され、さらに、Ips12下流域 とt/)atp9 ‑1上 流域 にお ぃて 反復 配列 を介 した 相同 組換え が起 こる こと により、ゆ na(B‐ゆj2一砂aやタ―1アレンジメントカf生じた。

  「デリシャス」と「ゴー´レデンデリシャス」が共有する.aや夕配列の構造を解明す る ため に、 「ゴ ー´レデンデリシャス」より対応域をクローン化し、構造解析を行っ た 。そ のaやタ 配列 は、 エディ ティ ング によ って 実際 には 翻訳 終止 暗号 となるCGAコ ド ン か ら 上 流171bpと そ の 下流3bpの み を 保 存 す るapタ 偽似 コピ ー( ゆaア 夕‐2) で あっ た。 また 、ゆaヰ 9ー2配列の上流にはnaガエキソンcが、下流には甲げおよび 砂霤塔j4が配置されていた。

2. Glyc加e属sCカ 亜 属 に お け る ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ム 多 型 域 の 構 造 解 析   讎炸 加e属R沺 亜属 のミ 卜コ ンドリ アゲ ノム の分 化お よび 進化 過程を解明するため に 、c鰍 ロ およ びap6遺伝 子域 の構 造多 型に 注目 し、代 表的 な5型の ミト コン ドリア DNAの 多 型 域 を クロ ー ン 化 し て 、 制 限 酵 素 切 断 地 図 の 作 成 お よ び 塩 基 配列 分析を 行 った 。

  ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ムIVb型 とI型 、II型 、m型 お よ びV型 と の 間 でc〇xUクロー ン の制 限酵 素切 断地 図を 比較 すると 、c餌Hコード領域および3|隣接域については、

5種のク ロー ン間 で差 異が 認め られ なかった。、これに対して、5t上流域には著しぃ 構 造変 異が 見い ださ れた ため 、c鍬 口座5t端ならびにその上流域の塩基配列を決め、

IVb型の 対応 域と 比較 した 。そ の結 果、IVb型のcoxロ遺伝子上流に配置されたtRNA… 遺 伝 子 は 、II型 、m型 お よ びV型 に お い ても 対応 領域 に保 存さ れて おり 、特 にII型 とm型 で は 、 組 換 え サ イ ト がtRNA… 遺 伝 子 配 列 の そ れ ぞ れ78bpお よ ぴ7bp上 流 に 位 置 し た 。I型 で はcoxH座 のATG開 始 コ ド ン よ り 数 え て28bp目 か らIVb型 と の 相 同 性 が 失 わ れ る た め 、tRNAfM 遺 伝 子 がc鍛 口 上 流 域 に 存 在 し な い 。

(3)

  atp6配列を含む領域をクローン化し、分子構造を解析した。m型から単離された 2種のatp6クロ ーンは、IVb型のatp6 copylおよびcopy2とそれぞれ全く区別でき なかった。I型において、atp6プローブとのRFLP分析で検出された、5.0 kbp BamHI 断 片の制限酵素切断地図は、IVb型のatp6 copy1の地図と一致した。V型に含まれ る2種のarp6配列のうちcopy1は、IVb型のatp6 copy1と同一の5|隣接域を有する が 、3t隣接域の構造は異なった。copy2は3t下流域に関してはcopy1と区別がっか ないが、5|側は著しく相違した。II型には、V型のatp6 copy1と同一の3|隣接域を 有 し、5| 隣接域の構造が異なるcopy lAと、copy lAのORF内で再編成が生じ、偽 遺伝子化したcopy lBが見いだされた。

  制限酵素切断地図の比較とサザンブロット分析を通じて、II型を特徴づけるcoxH 上 流域の配列 は、ミトコ ンドリアゲ ノムI型 、m型、IVb型お よびV型 よルクロー ン化されたatp6 copy1上流域と相同性の高いことが見いだされた。一方、II型のatp6 上流域については、ORFの51端を含む4種類のHindIIIクローン(1.6 kbp、4.0 kbp、 6.1 kbp、8.6 kbp)が単離されたが、これらのうち、4.0 kbpおよび6.1 kbpクローン はIVb型およびV型のcoxロ5|隣接域と、1.6kbpクローンはm型のc鍛ロ5.隣接域と 相同な配列をそれぞれ持っていた。n型のaゆ65|隣接域においては、IVb型のaや6 copy1(GrabauefaJ.1988)、c鍬ロ(Grabau1987)、およびn型のc弧ロの3者の5t上流 域 に共通する328bpの配列 のうち、5t側の299bpと3|側の23bpが、706bpの由来 不明配列によって隔てられて存在した。

  これらの分析結果をもとに、¢yc而e属剛a亜属のc餓ロおよびaり6遺伝子上流域 における構造変異の生起機構を次のように考察した。n型の祖先型ゲノムにおいて、

c鍛ロ、aや6両遺伝子上 流域に共通 する23bp配列間で相同組換えが生じ、I型、m 型 、IVb型あ るいはV型に見られ るaり6copy1のアレンジメン卜が産み出されたと 考えられる。これとは別に、299bpの相同配列を介した組換えが、n型の祖先型のミ 卜 コンドリア ゲノムのc鍛ロおよ びaや6上流域間で起こり、その結果、IVb型とV 型、またはm型のc鍬口上流域が生じた。また、c〇x口上流配列が、aア6copy1上流 域以外の領域にも反復して存在することが示された。G亅ル而e属Sc沺亜属のミトコン ドリアゲノムの進化過程において、c餌瓜aや6両遺伝子の上流域をはじめミトコン ドリアゲノム上に散在する反復配列を介した組換えが生じることにより、cQx瓜aヤ6 両 遺 伝 子 域 に 多 様 な 構 造 変 異 が も た ら さ れ る も の と 考 え ら れ る 。

(4)

学 位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

  Mal

s

属 お よ び

G

cz,ne

属 植 物 に お け る

    L

ミ ト コ ン ド リ ア ゲ ノ ム の 変 異 機 構 の 分 子 的 解 析

  

本 論 文は 、 図

30

、 表

6

、 引 用 文 献

83

を 含 み 、

4

章 か らな る総 頁数

108

の和 文 論文である。別に、参考論文6編が添えられている。

  

高等植物は、核、ミトコンドリアおよび葉緑体の3種のゲノムに、遺伝情報を分散 して収容している。その内、ミトコンドリアおよび葉緑体のゲノムにコードされてい る遺伝情報は、被子植物の大多数において母性遺伝に従う。それゆえ、ミトコンドリ アおよび葉緑体のゲノムの構造変異を解析することによって、特定の植物種の起源を 母系の系譜をたどって推定することが可能であり、野生植物から栽培植物への進化と その機構を解明するための有用な知見が得られる。

  

本研究は、Malus属およびGl ycine属植物におけるミトコンドリアゲノムの多型を

RFLP

分析により明らかにし、そのゲノムの変異機構の分子的解析を行い、両属植物 における系統分化および栽培種成立の過程を細胞質ゲノムの情報から解明することを 目的とした。

  Malus

属植物のミトコンドリアゲノムの多様性を明らかにするために、リンゴの品 種、在来種、台木株およびその近縁野生種について、ミトコンドリアゲノムに関する

RFLP

分析 を行っ た結 果、 供試 植物の ミトコンドリアゲノムをA〜Jの

10

型に分類 することができた。他の植物種における事例と同様、Maんs属植物においてもミトコ ンドリアにおいて葉緑体より大きいゲノム変異が観察された。また、異なるミトコン ドリアゲノムを有する複数の祖先種が観察され、現在のりンゴの栽培種は多元的に成 立したことが示唆された。

  

ミトコンドリアゲノム

A

型およびC型をそれぞれ代表する「ゴールデンデリシヤ ス」および「デリシギス」のatp9領域をクローン化し、それらの構造を比較解析し た。「デリシヤス」由来のatp9遺伝子は246塩基対からなり、同じストランドの下 流にnad5エキソンaとbがコードされていることをっきとめ、さらに、両遺伝子は

也 雄夫 義 芳哲 本野 上 島佐 三 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(5)

共 転写 され てい るこ と明 らか にした 。「 ゴー ルデ ンデ リシ ヤス 」由 来のatp9遺伝子 に おい ては 、「 デリ シヤ ス」 におけ るそ の対 応域 と比 較し て、5 隣 接域 に4箇所の 塩 基置 換が 認め られ た。 「ゴ ールデ ンデ リシ ヤス 」の もう 一方 のatp9配 列に おいて は 、 翻 訳 開 始 コ ド ン に 始 まるN末 端配列 は保 存さ れて いる もの の、 開始 コド ンか ら 92 bp目 よ りatp9配 列 と の 相 同性 が失わ れ、 偽似 コピ ー配 列の 構造 を持 つこ とを 明 ら かに した 。こ のatp9偽 似コ ピー配 列の 生起 機構 は、 反復 配列 を介 した 相同 組換え によって説明された。

  次に 、Gl ycine属 のミトコンドリアゲノムの系統分化および栽培種の進化過程を解 明するために、Gl ycine属Soja亜属のダイズ(G.max (L.) Merr.)とその祖先野生種と されるツルマメ(G. soja Sieb. et Zucc.)を供試し、cox〃およぴaゆ6の両遺伝子域の 構 造多 型に 注目 し、 代表 的な5型の ミト コン ドリ アDNAの多 型域 をク ロー ン化 して、

制 限酵 素切 断地 図の 作成および塩基配列分析を行った。その結果、これらの多型は、

塩 基置 換に 起因 する ものではなく、いずれもゲノム上の相同配列を介した再編成によ って生じたことを明らかにした。

  制限 酵素 切断 地図 の比較とサザンブロット分析を通じて、Sみa亜属のミトコンドリ ア ゲ ノ ム のII型 を 特 徴 づ け るcox口 上 流 域 の 配 列 は 、I型 、m型 、IVb型 お よ びV 型 よ ル ク ロ ー ン 化 さ れ たaゆ6copy1上流 域と 相同 性の 高い こと が見 いだ され た。 一 方 、II型 のaゆ6上 流 域 に は 、m型 、IVb型 お よ びV型 のcDxロ5 隣 接 域と 相 同 な 配 列が 存在 した 。GJycme属Sガa亜属 のミ トコ ンド リア ゲノ ムの 進化 過程 にお いて、

coxロとaゆ6の両 遺伝 子の 上流 域を はじ め、 ミト コンドリアゲノム上に散在する反復 配 列を 介し た組 換え が生 じる ことに より 、cox〃 とaゆ6の両遺伝子域に多様な構造変 異がもたらされたものと考えられる。

  本研 究は 、MaJus属 およ びGJル血e属に おけ るミ トコ ンド リア ゲノ ムの 多型 を明ら か にし 、そ の変 異機 構を分子的に明らかにした。この成果は、学術上の貢献が大きく 学 会に おい ても 高く 評価されており、また、両属における栽培種の成立過程の分子生 物学的解明の端緒を開いた。

  よ っ て 、 審 査 員 一 同 は 、 最 終 試 験 の 結 果 と合 わ せ て 、 本論 文の 提出 者加 藤澄 恵 は 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 充 分 な 資 格 が あ る も の と 認 定 し た 。

参照

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