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博 士 ( 薬 学 ) 国 安 明 彦 学 位 論 文 題 名

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博 士 ( 薬 学 ) 国 安 明 彦

学 位 論 文 題 名

´ 心 筋 Ca チ ャ ン ネ ル 及 び Ca 放 出 チ ャ ン ネ ル の      機 能 部 位 構 造 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  心臓は生まれてから死ぬまでたゆまず収縮・弛緩を続ける臓器である。心筋の収縮弛緩は生体 内情報伝達物質であるCaz゛の周期的動員除去によっている。このCa2゛の動員では形質膜の脱 分極が起こってから細胞内Ca2゛ストア筋小胞体からCaz゛が放出されるまでの間が主要な経路 である。この過程で重要な役割を果たしている分子が形質膜の電位依存性Caチャンネルと筋小 胞体のCa誘発性Ca放出チャンネルである。

  本研究において筆者は,Ca2゛動員に主要なニっの分子にっいて心筋のものに焦点をあて,そ の 分 子 構 造 や 機 能 構 造 部 位 に っ い て 調 べ た 。 そ の 概 要 を 以 下 に 示 す 。   まず心筋電位依存性Caチャンネルのサブュニット構成を調ベ,その分子性状を明らかにした。

心筋電位依存性Caチャンネルを構成するサブュニッ卜コンポーネントは基本的には骨格筋チャ ンネ ルと同様,ば1,a2,ロ,ア ,6の5種類のサブュニットから構成されるが,骨格筋に比 べか なルヘテロナょ複合体を形成していた。これらどのサブュニットもプ口テインチナーゼA

(PKA)によってりン酸化されな かったことから,心筋細胞にPKAを注入したとき観察され るL型Ca電流の顕著な増大は,PKAによるチャンネルタンパク の直接リン酸化を介さないで 起こっている可能性が示唆された。

  第2に代 表的Ca拮抗 薬1,4一 ジヒ ド口ピリジン(DHP)の結合 部位を光アフアニティー ラベ ル法にてCaチャンネルalサブ ュニット上20所の部分を心 筋では初めて同定した。それ ら は骨 格 筋チ ャン ネル 上 のDHP結合 部 位と 対応 する り ピ― トmのS5一S6リン カ一 部とり ピー ト1VのS6を含む領域であった 。したがって両チャンネルのDHP結合親和性の違いは結合 部 位 構 造 中 の 所 々 に み ら れ る ア ミ ノ 酸 置 換 に よ る も の と 考 え ら れ た 。   第3に精製したりアノジン受容体をりポソームに組み込んだ再構成実験系を確立し,これを用 いて りン酸化による機能変化を調 べた。その結果,PKA,カルモジュリンキナーゼ(CaMK) によって受容体がりン酸化され,このときCa放出チャンネルの開口確立が増大することを明ら

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かに した 。PKAに よる 活 性化 は電気生理学的実 験からも確認できた。CaMKのみならずPKA によってもCa2゛放出能が変化することを見いだした。

  さらに,それぞれの蛋白質リン酸化酵素でルン酸化される部位をりアノジン重要の一次構造上 で明 らかにした。PKAはSer2031を,CaMKはSer2809をりン酸化していた。こ のりン酸化部 位にはE‑Fハンド,カルモジュリン結合部位など活性調節部位が存在することから,ルン酸化 部位近傍はりアノジン受容体の機能調節上,重要な領域を構成していることが示唆された。また 両リン酸化部位は一次構造上700残基以上もはなれているが,抗ペプチド抗体による解析から高 次構造上で接近していると考えられた。

  本研究においてポリアクリルアミドゲル電気泳動後の[.|H]標識ベプチドフラグメントを polyvinylidene difluorideに転写した後,imaging plateを用いるラジオルミノク゛ラフィに よって検出する手法を開発した。従来のフルオ口グラフアに比ベ高感度かつ短時間でオートラジ オグラフアが達成できた。

  形質膜および筋小胞体Caチャンネルタンパク質の構造と機能にっいて,上記のようないくつ かの新しい知見を得ることができた。この結果を指標に今後さらにチャンネル機能と構造相関に っいてsiteーdirected mutageneslsなどの遺伝子工学的研究により詳細な解析が行われるもの と期待される。

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授    野 村 靖 幸 教 授    栗 原 堅 三 助 教 授    中 山    仁 助 教 授    徳 光 幸 子

  刺激を受けた筋細胞が最終的に細胞応答としての収縮ヘ到達する過程,いわゆる興奮一収縮連 関では生体内情報伝達物質Caa゛が深く関与しており,その詳細な分子構造の解明が重要な課題 となっている。この細胞内Ca"゛動員において重要な役割を担う分子が,形質膜の電位依存性 Caチャ ンネルと筋小胞体のCa誘発性Ca放出チャンネル(二二リアノジン受容体)である。本 研究は,同じ筋細胞ながら骨格筋に比べて研究が遅れている心筋の上記2っのCaチャンネル分

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子をと りあげ ,分子 構造と 機能 部位, および 機能調 節機 構にっ いて主 に生化学的手法によって検 討し, 以下の ような 新しい 知見 を得た もので ある。

  (1) 心筋Caチ ャ ンネ ル と サブュ ニット 構成 の分子 性状: 骨格筋 のL型Caチ ャンネ ルは十 分に 精製 さ れ , サ ブュ ニ ッ ト 構 成も判 明して いるが ,心 筋の同 チャン ネルの 構成 にっい ては,cDNA の塩 基 配 列 か ら一 次 構 造 が 解析さ れたalサブュ ニット 以外に はよく わか ってい なかっ た。申 請 者は ブ 夕 心 筋Caチ ャ ン ネ ル複 合 体 を 認 識す る が 特 異性が 異な る2種 類の 抗体を 用いて 解析し , その サ ブ ュ ニ ット 構 成 を 明 らかに した。 その結 果, 基本的 には骨 格筋の もの と同様 ,al,a2, ロ, ア ,6の5種 類 の サ ブ ュニ ッ ト で 構 築さ れ る が ,2種 類 の 口 と3種 類 の ァが存 在する 。さ ら にロ1には 分子両 のコ ンポー ネント がジス ルフア ド結 合した 成分が15→20% 存在す るとい った よ うに, 骨格筋 に比べ かなル ヘテ 口な分 子構築 である こと が判明 した。 さらに この解析法を応用し て 従 来 判 然と し な か っ た問 題 , 心 筋Caチ ャ ン ネ ルが 直 接PKAで り ン 酸 化 され る か 否 か を検 討 し,そ の可能 性は極 めて低 いこ とも示 した。

  (2)心筋Caチャン ネル の結合 部位: 降圧薬 ,抗 不整脈 薬として臨床的にも汎用される代表的な Ca拮 抗 薬DHP誘 導 体 は , 心 筋Caチ ャ ン ネ ル を ー っ の 主要 夕 ― ゲ ッ ト とし て い る が ,Caチ ャ ンネ ル 一次 構造上 どこに 結合す るのか は不 明であ った。 申請者 は[ ′IH]diazipineを 用いた 光 ア フ ィ ニ テイ ラ ベ ル 法 によ っ て ブ 夕 心 筋Caチ ャ ンネ ル のalサブ ュ ニ .yトを 特 異 的 に ラベ ル し,切 断特異 性の高 いプロ テア ーゼ消 化した 後,ラ ベル ペプチ ド断片 をチャ ンネルタンパクの上 の特定 の一次 構造を 特異的 に認 識する 種々の 抗ペプ チド 抗体で 探索し た。そ の結果,主要ラベル 部 位 は り ピ ― トmのS5一S6ル ン カ ー 部 分 と り ピ ― トIS6を 含 む 部 分 の2箇 所 で あ る と 特 定 で き , 心 筋Caチ ャ ン ネル 上 のDHP結 合 部 位 を 初め て 同 定 し た。 そ の2箇 所tま , 既 に 同定 さ れ ている 骨格筋 チャン ネルと 対応 する部 位であ ったこ とか ら,両 者の比 較によ り,結合部位を構成 する ア ミ ノ 酸 の多 少 の 違 い が両 チ ャ ン ネ ルのDHPに対 する結 合親和 性の 違いを もたら すとの 考 察がで きた。

  (3)リア ノジン受容体のりン酸化による活性調節:ブ夕心筋から精製したりアノジン受容体をり ポソ ー ムに 埋め込 む再構 成系を 確立し た。 この経 緯にお いて受 容体 を2種 のプ 口テイ ンキナ ーゼ でりン 酸化し た時の効果を^。 Ca2゛インフラックスアッセイと[ H]リアノジン結合で調べた。

PKA,CaMKで も各 々30%の 活 性 上 昇 が みら れ , 両 酵 素で 処 理 す る と相 加 的 な 活 性上 昇 が 認 め られた 。平面 膜法に よる単 一チ ャンネ ル記録 により この 活性上 昇はチ ャンネ ル開口確率の増大に よるこ とが明 らかに なった 。

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  (4) リアノジン受容体リン酸化部位の同定:上記活性上昇をもたらすりン酸化部位を,リン酸化 部位 指向 性抗体 および 単離し た[ °2P]標識ペプチドのアミノ酸配列分折によって解析した結果,

PKAはSer―2031を ,CaMKはSer―2809を そ れ ぞ れ り ン 酸 化し て い る こ とを 明 ら か に した 。 こ れ ら の部 位 近 傍 に はCa2゛ 結 合サ イ ト と み なさ れて いるEーFハンド 構造 やカル モジュ リン結 合 部位 が認め られ, さら に上記 抗体を 用いた 実験 から,2っ のりン 酸化部 位は高 次構造 上で 近接 して 存在 するこ ともわ かった 。し たがっ て,同 定した りン酸 化部 位近傍 は本受容体機能に深く係 る構 造体 が局在 してい ること が示 された 。

  以 上の よ う に , 本研 究 は筋 細胞の 興奮― 収縮関 連機 序の中 でもCa動 員に 主要な 役割を 果たし て い る ニっ の 分 子 , 電 位依 存 性Caチ ャ ン ネ ル とCa放 出 チ ャン ネ ル を とり あげ, 前者で はその サ ブ ュ ニッ ト 組 成 とDPH結 合 部 位を 初 め て 同 定し ,ま た後者 ではり ン酸化 によ ってチ ャンネ ル 機能 が上 昇する こと並 びにそ のり ン酸化 部位を 明らか にする ,と いった 成果を挙げた。ここで得 られ た新 知見は この分 野の研 究に 資する もので あり, 博士( 薬学 )の学 位を授与するに足る内容 をも っも のと認 定した 。

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