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腎炎症例研究 32 巻 206 年 血算 WBC 9300 /μl RBC /μl (37 加温 ) Hb 9.2 g/dl MCV 00.4 fl Plt /μl 生化学 TP 7.4 g/dl Alb 4.3 g/dl GOT 302 U/L GPT 266 U/L L

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Academic year: 2021

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背  景

・ 腎ヘモジデローシスは主に発作性夜間ヘモグ ロビン尿症における急性腎障害・慢性腎臓病 の原因として広く知られている。 ・ 今回我々は寒冷凝集素症に伴う溶血発作によ る腎ヘモジデローシスにより急性腎障害を来 した症例を経験し,またその腎病理所見を得 たので報告する。

症  例

症 例:67歳男性 毎日ビール1L・焼酎1杯は必ず飲酒。 X-3年冬 屋外での寒冷曝露で指先の痛み・  色調変化および尿の濃染を自覚した。 健康診断ではT-Bil 3.5 mg/dlと高値。その他 異常の指摘はなかった。 X年12月 1週間連続で更なる大量飲酒。 その翌日から全身倦怠感,起床時より皮膚の黄 染を認めた。内科外来を受診し,入院となった。 既往歴:17歳:虫垂切除術 内服歴:テプレレノン,ラフチジン,ドンペ リドン 家族歴:弟:B型肝炎 生活歴:20-40歳台には1晩で日本酒1升飲む こともあった。ここ数年は毎日ビール1L+焼酎 1杯。 入 院 時 現 症: 身 長 169 cm, 体 重 71.4 kg, BMI 25.0 kg/m2 バイタルサイン:血圧 132/73 mmHg,脈拍 100/分 整,体温39.5℃, 頭頸部:眼瞼結膜蒼白,眼球結膜黄染,咽頭 発赤なし,頸部リンパ節腫脹なし 胸 部:呼吸音正常,ラ音なし,心音 Ⅰ→Ⅱ→Ⅲ- Ⅳ- 雑音なし 腹 部:平坦・軟,圧痛なし,腸雑音異常なし 四 肢:下腿浮腫なし,関節腫脹・圧痛なし 皮 膚:全身皮膚黄染著明,明らかな皮疹なし

寒冷凝集素症に伴う溶血発作による

急性尿細管障害の一例

竹 村 浩 至

1

  長谷川詠子

1

  乳 原 善 文

1

  今 福   礼

1

  川 田 真 宏

1

葉 末   亮

1

  長谷川純平

1

  住 田 圭 一

1

  上 野 智 敏

1

  関 根 章 成

1

稲 永 淳 一

1

  三 瀬 広 記

1

  平松里佳子

1

  諏訪部達也

1

  早 見 典 子

1

星 野 純 一

1

  澤   直 樹

1

  高 市 憲 明

1

  山 本   豪

2

  大 橋 健 一

3

藤 井 晶 子

3

  藤 井 丈 士

3  病理コメンテータ  

 城   謙 輔

4

 山 口   裕

5

(2)

【血算】 WBC 9300 /μl RBC 271×104 /μl (37℃加温) Hb 9.2 g/dl MCV 100.4 fl Plt 25.1×104 /μl 【生化学】 TP 7.4 g/dl Alb 4.3 g/dl GOT 302 U/L GPT 266 U/L LDH 1148 U/L ALP 310 U/L γ-GTP 440 U/L T-Bil 45.1 mg/dl D-Bil 30.1 mg/dl UN 24 mg/dl Cr 1.39 mg/dl Na 138 mEq/l K 4.5 mEq/l Cl 102 mEq/l Ca 9.7 mg/dl P 1.2 mg/dl Fe 198 μg/dl フェリチン 2172 μg/l TIBC 263 μg/dl 【凝固】 PT-INR 1.25 APTT 22.5 秒 【感染症】 HBs抗原 陰性 HCV抗体 陰性 HIV抗体 陰性 【その他】 ハプトグロビン 感度以下 IgA 298.1 mg/dl IgG 1395 mg/dl IgM 282.6 mg/dl 免疫固定法 M蛋白+ IgM-κ CH50 25 U/ml C3 80 mg/dl C4 7 mg/dl 抗核抗体 <40 倍 RA 6 IU/ml 抗ds-DNA抗体 27 EU MPO-ANCA <10 EU PR3-ANCA <10 EU 直接クームス 陽性 間接クームス 陰性 sIL2-R 345 U/ml 血液検査 図 2 尿検査㻌㻔㻰㼍㼥㻌㻝㻕㻌 比重㻌 㻝㻚㻜㻝㻜㻌 蛋白定量㻌 㻞㻥㻠㻚㻜㻌 㼙㼓㻛㼐㼘㻌 pH 㻢㻚㻜㻌 クレアチニン㻌 㻥㻣㻌 㼙㼓㻛㼐㼘㻌 蛋白㻌 㻞㻗㻌 尿蛋白㻌 㻟㻚㻜㻟㻌 g/gCre 糖㻌 㻙㻌 α 㻝㻹㻳㻌 㻠㻤㻚㻤㻌 㼙㼓㻛㼘㻌 ケトン体㻌 㻙㻌 α 㻝㻹㻳㻌 㻡㻜㻚㻟㻝㻌 㼙㼓㻛㼓㻯㼞㼑㻌 潜血㻌 㻞㻗㻌 β 㻞㻹㻳㻌 㻝㻜㻠㻟㻟㻌 μ 㼓㻛㼘㻌 ウロビリノーゲン㻌 㻞㻗㻌 β 㻞㻹㻳㻌 㻝㻜㻚㻤㻌 mg/gCre ビリルビン㻌 㻟㻗㻌 㻺㻭㻳㻌 㻝㻟㻌 㼁㻛㼘㻌 沈渣白血球㻌 㻙㻌 㻺㻭㻳㻌 㻝㻟㻚㻠㻌 㼁㻛㼓㻯㼞㼑㻌 沈渣赤血球㻌 㻝㻙㻠個 㻛㻴㻼㻲㻌尿中㻹蛋白㻌 陽性(κ 型)㻌 図 1 1、血算 通常検査にて血球が凝集し赤血球数が測定不可 ⇨ 37℃加温にて測定可能 2、クームス試験 ①直接クームス試験:陽性 抗補体のみ陽性 + 抗IgGは陰性 ②間接クームス試験:陰性 同時に行った22℃生理食塩水法で自己血球を含 む全ての血球試薬に対し強い凝集 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌

寒冷凝集素㻌

65536倍

(3)

胸部レントゲン検査

肺野異常なし、心胸郭比 43%、両側CP angle 鋭 図 3

腹部CT

両側腎萎縮なし、両側腎嚢胞 胆道閉塞所見は認めない 図 4

腹部MRI

腎萎縮なし、両側腎嚢胞を認める 腎皮質の明らかな信号低下は認めない 図 5 図 6

入院後経過

Day 0㻌 血清Cre 1.39 mg/dl, BUN 24 mg/dl (BW 70.1 kg) Day 1㻌 血清Cre 4.08 mg/dl, BUN 46 mg/dl Day 2㻌 血清Cre 6.34 mg/dl, BUN 63 mg/dl (BW 71.4 kg) ⇨㻌 同日㻌 腎生検・骨髄生検㻌 を施行 図 7

骨髄検査結果

【骨髄塗抹】

Lymphoid cell 1.4%, plasma cell 0.6%, Compatible with lymphoplasmacytic lymphoma 【Flow cytometry】 リンパ球の約20%がCD5dim+, CD10-, CD19+, CD20+, CD22+, CD23+, HLADR+, κ+/λ- の腫瘍細胞 赤血球・好中球ともCD55, CD59の発現はコントロールと 差を認めず。㻌 【骨髄生検】㻌

Small B cell lymphoma, low grade, involving the bone marrow ⇨㻌 原発性マクログロブリン血症㻌 の診断 図 8

E-M

皮質 : 髄質 = 10 : 0 糸球体全節性硬化 1/51 間質の線維化・尿細管の萎縮はごく軽度、間質炎なし

(4)

PAS

糸球体については minor glomerular abnormalities 近位尿細管に 褐色顆粒? 図 9

PAM

図 10

HE

近位尿細管に 褐色顆粒 近位尿細管において上皮細胞の核の減少、基底膜からの脱落など認める 図 11 図 12

PAS

近位尿細管において核の減少、細胞の平低化、 細胞の基底膜からの脱落、刷子縁の消失など認める 図 13

Prussian-blue

近位尿細管に特異的に青く染色されるヘモジデリン沈着を認める 図 14

Prussian-blue

近位尿細管に特異的に青く染色される、ヘモジデリン沈着を認める 糸球体にはヘモジデリン沈着は明らかでない

(5)

IgG IgA C3 C4 C1q IgM 有意所見なし 図 15 近位尿細管に鉄顆粒と思われる顆粒を内包したライソゾームが散見される 尿細管の刷子縁消失を認める 図 16 図 17 図 18 図 19 近位尿細管 正常細胞構造が保たれていない 大小様々なvacuoleを認め、内部にミトコンドリアの膜様構造や鉄顆粒を含む 図 20

本症例の病理所見のまとめ

• 間質の線維化はごく軽度 • minor glomerular abnormality

• 近位尿細管に急性尿細管壊死(ATN)の所見 • 近位尿細管に特異的に、HE・PAS染色で褐色、 Prusiaan-blue染色で青色に染色される顆粒 の存在を認める • 電子顕微鏡にて近位尿細管内に鉄顆粒を含 むライソゾームを多数認める。ミトコンドリア大 小不同や内部にミトコンドリアの膜様の構造 を含むように見えるvacuoleを認める

(6)

原発性マクログロブリン血症 寒冷凝集素症 溶血発作 腎ヘモジデローシス 急性尿細管障害 Dexamethasone Dexamethasone 血漿交換 血液透析 Dexamethasone Dexamethasone Rituximab アルコール 多飲 図 21 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 1 2 3 4 6 8 10 12 14 16 19 21 23 26 28 30 33 36 Cre Hb T-Bil Cre (mg/dl) Hb (g/dl) 骨髄生検腎生検 T-Bil(mg/dl) 血漿交換 血液透析 DEX 40mg RXM 700mg 図 22 原発性マクログロブリン血症 寒冷凝集素症 溶血発作 腎ヘモジデローシス 急性尿細管障害 図 23 図 24 寒冷凝集素症 㻌 通常IgM抗体 㻌 貪食細胞や傷害性細胞にはIgM受容体は存在せず、補体による赤 㻌 血球膜融解が溶血の主病態となる。 ①特発性㻌 単クローン性 ②続発性 㻌 ・感染症(マイコプラズマなど)㻌 多クローン性 㻌 ・血液疾患(MGUS、CLL、リンパ腫など)㻌 単クローン性 直接クームス 直接クームス + 直接クームス 直接クームス (特異的) IgG ± 補 体 IgG ± 補 体 補体 補体 寒冷凝集素 温式AIHA 温式AIHA DL抗体 DL抗体 寒冷凝集素症 寒冷凝集素症 発作性寒冷 症 発作性寒冷 ヘモグロビン尿 症 薬剤性 + 自己免疫性溶血性貧血診療の参照ガイド 図 25 原発性マクログロブリン血症 寒冷凝集素症 溶血発作 腎ヘモジデローシス 急性尿細管障害 図 26 大量溶血でハプトグロビンが飽和 近位尿細管 megallin cubilin NO NO 2NO3- ✖㻌 糸球体 cast ヘモグロビン尿 ウロビリノゲン尿 ヘモグロビン尿 ビリルビン尿 ウロビリノゲン尿 + ヘム㻌 㻌 グロビン 鉄 2量体 4量体 ハプトグロビン 網内系 ヘム㻌 㻌 + グロビン ビリルビン 赤血球 ヘモグロビン ヘム・鉄の cytotoxity Cast formation ⇨㻌 obstruction NO↓ ⇨㻌renal flow

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腎ヘモジデローシス

Pathogenesis

① NO ↓ ⇨ renal blood flow ↓ ② Heme cytotoxicity 上皮細胞において

・脂質酸化・蛋白変性・細胞骨格の不安定化

・caspaseやcathepsinなどの細胞傷害性の酵素を活性化する㻌 ・monocyte chemoattractant protein-1 などのchemokineを惹起する ・ミトコンドリアの膜はlipid-richでhemeが容易に通過し、呼吸が完全 停止する。ミトコンドリア内で生成されたperoxidesによりhemeからiron を放出しcytochrome Cの放出を介してapoptosisが誘導される 㻌

③ Cast formation ⇨ obstruction

・上皮細胞のheme proteinへの暴露時間が長くなり、 uptakeが増加 Primer on Kidney diseases 5th ed. Am J Kidney Dis. 2010; 55(1): e1-e5 J Am Soc Nephrol 18: 414–420, 2007 図 27

腎ヘモジデローシス

過去に報告のある腎ヘモジデローシスの症例 • 溶血発作 㻌 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) 㻌 鎌状赤血球症クリーゼ 㻌 不適合輸血 • 機械的溶血 㻌 人工弁置換後 • 鉄過剰 㻌 原発性ヘモクロマトーシス 㻌 サラセミア㻌

Am J Kidney Dis. 2001 Feb;37(2):E17. Ren Fail, 2014; 36(5): 814-816 Am J Kidney Dis . 2010 October ; 56(4): 780–784. Pediatr Nephrol. 2008 Oct;23(10):1847-51 Kidney International (2012) 81, 709 etc

図 28

腎ヘモジデローシスのMRI

Nephrol Dial Transplant (1999) 14: 1586–1589 図 29

図 30

Heme-protein induced renal injury

• glycerolの筋注により横紋筋融解・溶血を生じたratモデルの heme-protein induced renal injury

Kidney International, Vol. 53 (1998), pp. 100–111

図 31

腎ヘモジデローシスによるAKI

• PNHや心臓弁手術後の溶血による報告のみ • 近位尿細管に急性尿細管壊死(ATN)の所見 • 近位尿細管上皮細胞の細胞質内にHE・PAS染色にて 褐色、Prussian-blue染色にて青色に染色されるヘモジデ リン沈着を認める • 電子顕微鏡所見では、鉄顆粒、鉄顆粒を取り込んだ ライソゾームの像を認める。 • (尿細胞診:変性尿細管上皮細胞にヘモジデリンを検 出することもある) Am J Kidney Dis. 2010 October ; 56(4): 780–784

Am J Kidney Dis. 2001 Feb;37(2):E17 Am J Kidney Dis. 2008; 52(5): 1010-1015 図 32 • 本症例は寒冷凝集素症に伴う溶血発作に より急性腎障害(AKI)を来した1例である。 • 病理所見からは、近位尿細管におけるヘモ ジデリン沈着に伴う尿細管障害がその主病 態であると推察された。 • 腎ヘモジデローシスは報告例のほとんどが PNHもしくは弁置換術後であり、寒冷凝集素 症による溶血発作に合併した本症例は貴重 な1例である。

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Reference

1, AIHAの診断基準と診療の参照ガイド作成のためのワーキンググ ループ. 自己免疫性溶血性貧血診療の参照ガイド

2, R.Rother et al. JAMA. 2005;293(13):1653-1662.

3, Nath, KA.; Murali, NS. Myoglobinuric and hemoglobinuric acute kidney injury. In: Greenberg, A.,editor. Primer on Kidney Diseases. 5. Philadelphia, PA: Saunders Elsevier; 2009. p.298-304.

4, K. Chow et al. Am J Kidney Dis. 2001 Feb;37(2):E17. 5, P. Hsiao et al. Am J Kidney Dis. 2010; 55(1): e1-e5 6, M.Tracz et al. J Am Soc Nephrol 18: 414–420, 2007 7, Q. Qian et al. Am J Kidney Dis . 2010 October ; 56(4): 780–784. 8, S.Ozkurt et al. Ren Fail, 2014; 36(5): 814-816

9, L.calazans et al. Kidney International (2012) 81, 709 10, K.Nath et al. Kidney International, Vol. 53 (1998), pp. 100–111 11, V. Smolkin et al. Pediatr Nephrol. 2008 Oct;23(10):1847-51. 12, B. Conception et al. Am J Kidney Dis, 2008; 52(5): 1010-1015

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 入院時のハプトグロビンは感度以下,また, 免疫グロブリンに関しては,IgMが282と高値 を認めておりました。また,免疫固定法でM 蛋白が陽性,IgM-κ型が検出されていました。 また,直接クームス陽性を認めておりました。  血算の測定に関してですが,通常検査で血球 が凝集しており,赤血球数が測定不可,37度 加温で測定可能でした。また,クームス試験に 関しては,直接クームスで陽性,抗補体のみ陽 性,また,間接クームスは陰性で,同時に行っ た不規則抗体検査の際の22℃生理食塩水法で 自己血球を含む全ての血球試薬に対して,強い 凝集を示し,その後,確認として検査された寒 冷凝集素が6万5536倍と高値を認めていまし た。  尿検査ですが,入院当日は尿検査が採取され ておらず,翌日に採取した尿検査は,蛋白2(+), 潜血2(+)。ただ,潜血2(+)については,沈 渣の赤血球は1から4個,またウロビリノーゲ ンが2(+),ビリルビンが3(+)を認めていま した。  蛋白に関しては,gCreで3.03g,また各種尿 細管障害のマーカーは上昇を認めていました。 尿中のM蛋白κ型も検出されています。  胸部レントゲン所見ですけれども,特記事項 は認めませんでした。腹部CTにて,両側腎萎 縮はありませんでした。腎嚢胞を両側に認めま した。また,胆道閉塞所見などはありませんで した。  当初,ビリルビンが上昇していて,肝酵素も 上昇しているということで,腹部のMRIを施 行して,特に腎臓の萎縮はなく,両側の腎嚢胞 を認める同様の所見で,また,腎皮質の明らか な信号の低下は認めませんでした。  入院後の経過です。入院当日Cre1.39mg/dl, 翌日4.08mg/dl,翌々日が6.34mg/dlと日に日に 腎機能障害の進行を認め,同日腎生検,また, 骨髄生検も施行いたしました。  骨髄検査の結果ですが,リンパ形質細胞リン パ腫に合致する所見で,PNHのような骨髄不

討  論

竹村 よろしくお願いします。虎の門病院腎セ ンターの竹村です。今回,「寒冷凝集素症に伴 う溶血発作による急性尿細管障害の一例」を発 表させていただきます。  背景ですけれども,腎ヘモジデローシスは, 主に発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)にお ける急性腎障害や,慢性腎臓病の原因として広 く知られています。今回,われわれは,寒冷凝 集素症に伴う溶血発作による腎ヘモジデローシ スによりAKIを来した症例を経験しましたの で,報告させていただきます。  症例は67歳男性,毎日ビール1リットル,焼 酎1杯は必ず飲酒するという大酒家です。入院 の3年前の冬から,屋外での寒冷暴露で指先の 痛みや,色調変化,尿の濃染を知覚されたとい うことでした。  その後,健康診断で,T-Bil 3.5mg/dlと高値 を指摘されていましたが,その他,特に異常の 指摘はありませんでした。入院の年,12月に1 週間連続で普段よりもさらなる大量飲酒をさ れ,翌日から全身倦怠感,起床時より皮膚の黄 染を認めました。そして内科外来を受診され, 入院となりました。  既往歴,内服歴,家族歴などは記載のとおり です。生活歴に関しては,先ほど申したとおり の大酒家です。  入院時現症ですけれども,BMI25の肥満,ま た,入院時脈拍100と頻脈を認め,体温39度5 分と発熱を認めました。眼瞼結膜は蒼白,眼球 結膜の黄染,また,全身の皮膚黄染は著明でし た。  入院時の血液検査の所見ですが,Hb 9.2g/dl の貧血を認めました。また,GOT,GPTとも 300前後,LDH 1248と著明な高値を認めまし た。また,T-Bil 45.1mg/dl,D-Bil 30.1mg/dlと 高 値 を 認 め て い ま し た。 入 院 時 は,Creが 1.39mg/dl,尿素窒素は24mg/dlと腎障害を認 めていました。

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 こちらも近位尿細管ですけれども,正常の細 胞構造は保たれておらず,また,大小さまざま なvacuoleが認められておりまして,内部にミ トコンドリアの膜様構造なのか,また鉄などを 含んでいるのかというふうに見える部分があり ました。  本症例の病理所見のまとめですけれども,間 質の線維化はごく軽度であり,minor glomeru-lar abnormality。ただ,近位尿細管にATNの所 見を認め,また,特異的にHE,PASで褐色, プルシアンブルーで青色に染色される顆粒の存 在を認めました。電子顕微鏡にて,近位尿細管 内に顆粒を含むライソゾームを多数認めており ました。  これらから腎ヘモジデローシスという診断に 致りました考察です。  本症例は,原発性マクログロブリン血症から 続発した寒冷凝集素症に伴って溶血発作が起き て,腎ヘモジデローシスを来たし,急性尿細管 障害を来した症例だと考えられました。寒冷凝 集素症から溶血発作を起こすにあたって,もし かするとアルコール多飲が関連している可能性 があると考えられました。  治療としては,寒冷凝集素症,原発性マクロ グロブリン血症に対して,デキサメタゾン投与, 血漿交換,リツキサン投与を施行しています。 また,AKIに対して,血液透析を一時的に施行 しました。  こちらが入院後の経過ですが,血液透析に関 しては,3回で離脱をしています。血漿交換4回, その後リツキサンを投与しており,その後,腎 機能は最終的にはCreが1まで改善しており, ヘモグロビンに関しても安定を認めておりま す。ビリルビンに関しても,その後,改善を認 めています。  各種病態の考察ですけれども,寒冷凝集素症 では通常IgM抗体が関与し,感染症などに伴う ものは多クローン性ですけれども,その他特発 性,また,今回のような血液疾患に伴う場合は 単クローム性です。 全の所見や,CD55,CD59陽性細胞の増加は認 めませんでした。また,リンパ形質細胞性リン パ腫(LPL)の骨髄浸潤を認めており,結果, 原発性マクログロブリン血症の診断となってい ます。  腎生検の結果ですが,Elastica-Massonで皮質 が10割,糸球体の全節硬化は51個中の1個の みでした。また,間質の線維化や,尿細管の萎 縮はごく軽度,間質炎は認めませんでした。  PAS染色ですが,糸球体に関しては,minor glomerular abnormality,ここの示したところに, 近位尿細管に褐色の顆粒を認めます。続きまし て,PAMに関しても同様の所見です。minor glomerularはabnormalityの範疇でした。  そして,HEですが,近位尿細管において, 上皮細胞の核の減少,また,基底膜からの脱落 などを認めておりました。そして,中心近くで すけれども,やはり褐色顆粒が認められる。  続きまして,尿細管のPAS染色の所見ですが, やはり近位尿細管において,核の減少,細胞の 平低下,基底膜からの脱落,また,刷子縁の消 失などを認めておりました。  この褐色顆粒は何なのかということで,プル シアンブルー染色を行ったところ,近位尿細管 に特異的に青く染色されるヘモジデリン沈着を 認めました。  こちらもプルシアンブルー染色ですが,同様 に特異的に青く染色されている。糸球体には, 特にヘモジデリン沈着は明らかではありませ ん。  IF所見ですけれども,特に有意な所見は認め ませんでした。  電子顕微鏡の所見ですけれども,近位尿細管 に鉄顆粒と思われるライソゾームが散見されま す。また,こちらは近位尿細管ですけれども, 刷子縁の消失を認めています。  そして,その拡大ですけれども,鉄顆粒を内 包したライソゾームが多数認められていて,さ れに拡大すると,このようなかたちに見えてき ます。

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いのですけれども,腎ヘモジデローシスのMRI ということで,この症例の最初のほうでMRI を示しましたが,ヘモジデリンの沈着が大量に なると,このように周りが黒く抜けるような MRI所見が得られるということでしたが,本症 例では認めていません。  こちらは,過去に報告のあるラットによる実 験モデルです。グリセオールを筋注して,横紋 筋融解溶血を生じさせたラットの腎生検の電顕 所見です。本症例の電子顕微鏡所見に極めて類 似した所見が得られており,ミトコンドリアが 膨化しているものや,こういったvacuoleが認 められるといった所見が得られていました。  過去の各症例をまとめた腎ヘモジデローシス によるAKIの所見です。PNHや,心臓弁手術 後の溶血による報告が大半であり,近位尿細管 にATNの所見,細胞質内にHE,PASで褐色, プルシアンブルーで青に染色されるヘモジデリ ン沈着を認め,電子顕微鏡所見で,鉄顆粒を取 り込んだライソゾームが散見される。  また,報告はほとんどなかったのですが,尿 細胞診で変性尿細管上皮細胞にヘモジデリンを 検出することもあるということで,本症例に関 しては,3年前の健診の時点で尿細胞診が提出 されていましたが,それを染め直したところ, 明らかなヘモジデリン沈着を伴うような尿細管 上皮細胞は認めておりませんでした。  本症例は,寒冷凝集素症に伴う溶血発作によ り,AKIを来した一例で,病理所見からは,近 位尿細管におけるヘモジデリン沈着に伴う尿細 管障害が主病態であると推察されました。その 報告例のほとんどは,PNHもしくは弁置換術 後であり,本症例のように寒冷凝集素症による 溶血発作に合併した症例というのは貴重な一例 だと考え,報告させていただきました。 座長 竹村先生,どうもありがとうございまし た。貴重な症例をありがとうございます。これ は年末に来られてすぐ治療ということなのです けれども,これは個人的な興味なのですけれど も,外来で診ていつごろ気付いたのですか。こ  下に示しているのは,今回と同様に寒冷凝集 素症の診断に至るフローチャートです。今回, 溶血発作から腎ヘモジデローシスを来して尿細 管障害を来した病態に関しても,考察しました。 簡単なシェーマですけれども,もともと赤血球 が血中に存在していて,それが溶血した際に, 本来四量体のヘモグロビンが放出されます。  それが二量体に分解され,本来であればハプ トグロビンに結合して,網内系に取り込まれて 処理されるところが,大量溶血でハプトグロビ ンが飽和し,血中に四量体,二量体それぞれ存 在することとなります。  四量体は糸球体を通過しませんが,二量体に 関しては,糸球体を通過し,その後,近位尿細 管のメガリン,キュビリンレセプターで取り込 まれ,そこでヘムとグロビンに分かれ,そして 鉄に変換される。  また,そこを通過したヘモグロビンに関して は,cast形成を起こすことがあります。そこも 通過すると,結果的にヘモグロビン尿,また, その他溶血に伴ってビリルビン尿,ウロビリ ノーゲン尿が認められます。  腎障害の機序としては,二量体のヘモグロビ ンが,一酸化窒素(NO)のスカベンジャーと しての役割を果たし,灌流を落とす。また,ヘ ムや鉄が直接細胞毒性を持つ。また,cast for-mation自体がobstructionを来して,腎障害を来 す。この三つの機序が言われています。  こちらが先ほどの記載したものです。過去に 報告のある腎ヘモジデローシスの症例ですが, 溶血発作に伴うものであればPNHの報告は多 数あり,また,鎌状赤血球症クリーゼや,不適 合輸血など,また,機械的溶血に関しては,人 工弁置換術後,弁手術後が幾つか報告があり, また,鉄過剰に関して,原発性ヘモクロマトー シスや,サラセミアに伴う大量輸血といった報 告があります。ただ,この中でもAKIの報告が あるものに関しては,PNH,人工弁置換術後が ほとんどでした。  こちらは,病態としてあまり大きく関連しな

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【スライド06】  鉄染色をすると,これは主に近位尿細管です が,Feの鉄イオンが陽性に出てまいります。 【スライド07】  一部は,近位尿細管の管腔内に脱落した細胞 が鉄顆粒陽性に見られます。 【スライド08】  HEで見ますと,もしこれがヘモジデリンだ とすると黄褐色調の顆粒が見えるはずですけれ ども,本症例ではほとんど見えないです。 【スライド09】  糸球体は45個。虚脱糸球体が4%ありますけ れども,ほぼ正常です。糸球体の腫大もありま せん。 【スライド10】  間質ですけれども,尿細管萎縮は約20%で すが,同域に炎症細胞浸潤はない。 【スライド11】  この症例は,確かに直接ビリルビンが主体で, 溶血性の黄疸があったということで,ビリルビ ン円柱はあったと思います。 【スライド12】  急性尿細管壊死はほとんどないです。ただ, 先ほど示しましたように,近位尿細管の中に脱 落細胞があるので,背景として急性尿細管壊死 があったと思いますが,形態的に見るacute tu-bular necrosisは,ごく軽度だと思います。 【スライド13】   こ の 症 例 で は ビ リ ル ビ ン 円 柱 とTamm-Horsfall蛋白の鬱滞が遠位尿細管管腔を中心に 見られると思います。 【スライド14】  血管系は特に異常ありません。 【スライド15】  免疫グロブリンは全部陰性で,補体C3も陰 性だろうと思います。 【スライド16】  糸球体の電顕ですけれども,dense depositは なく,collapseを起こしている糸球体ですので, 糸球体の毛細血管係蹄がwrinklingを起こして れが疑わしいと。 竹村 この症例に関しては,当初はGOT,GPT がかなり上昇していて,ビリルビンも上がって いて,黄疸もあってということで,最初は肝臓 内科に入院され,その後,腎機能障害が進行し, また,各種検査結果で溶血性貧血が疑われると いうことで,腎臓内科,血液内科に紹介になっ たという経緯があります。 座長 常温のものを点滴すると,それでどんど ん悪くなってしまうとかいうことはないです か。入院すると,常温の点滴とかをすると思う のですけれども,室温のものをぼんぼん入れる と30℃ないわけじゃないですか。それで,溶 血がどんどん進んでしまったとか。入院後クレ アチニンが急激に。最後は破綻して入院したの かもしれませんけれども,何か急に悪くなって いるような感じがあるので,いいとか悪いとか そういう問題ではないのですけれど。 竹村 入院中,しばらくは点滴をしていたかと 思うのですけれども,その間でずっと悪化傾向 は認めておらず,2日目,3日目でピークを迎 えて,改善していることを考えると,必ずしも そういうのはないのではないかと思いますが, 詳しくはわかりません。 座長 城先生,よろしくお願いします。 【スライド01】  糸球体には異常がないということで形態的に は問題ないと思います。 【スライド02】  糸球体は,どう見ても正常な糸球体です。 【スライド03】  尿細管上皮も,ヘモジデローシスがあるかと いうと,あまりはっきりしない。 【スライド04】  PAM染色でみますと,ライソゾームが腫大 してくると嗜銀性の細顆粒が尿細管上皮に強く 出てくるのですけれども,ちょっと銀の押しが 弱いのではないかと思います。 【スライド05】  糸球体には異常がないです。

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で染まってきたのだろうと思います。 【スライド25】  近位尿細管から溶血した直接ビリルビンが再 吸収されて,ヘムとglobulinに分かれた結果の ライソゾームにとり込まれた変化だと思いま す。 【スライド26】  この所見と,巨大ミトコンドリアとどう関係 があるのか。そこら辺が,私もちょっと勉強不 足でわかりません。ミトコンドリアの関与が何 らかの形であると思います。 【スライド27】  鉄顆粒のヘモジデリンが,ライソゾーム内で あることは,間違いないと思います。 【スライド28】  これはミトコンドリアだろうと思います。 【スライド29】  ここにcristaeがあって。 【スライド30】  これもミトコンドリアと思います。 【スライド31】  免疫染色で軽度にIgAが染まっていました が,電顕的にそれを裏付ける所見がないので, IgA腎症は否定的と思います。一方,急性尿細 管障害がヘモジデリン沈着によって起こった症 例だと思います。 【スライド32】  原発性マクログロブリン血症が背景としてあ るのですけれども,骨髄の変化が,ちょっと僕 には納得できません。しかし寒冷凝集反応を誘 発した症例があるのだなと初めて経験しまし た。 【スライド33】  発作性夜間血色素尿症,あるいは異形輸血で 急性腎不全が起こる病態があります。これらの 症例ではスライドのように,HEで茶色っぽく 見えます。そこを染めますと鉄が陽性です。か なりcoarseな顆粒ですね。こういうものがヘモ ジデリン顆粒としてHEでも分かるのが普通な のですけれども,この症例はHEでほとんど茶 おりますが,これは異常な変化とは言えません。 【スライド17】  内皮が破裂していますけれども,新鮮な組織 が食塩を浸したガーゼに触れるとこういうふう に内皮が破裂してきます。 【スライド18】  この内皮あるいは上皮の膨張は恐らくartifact だと思います。 【スライド19】  artifactを異常所見として捉えるとまずいです ので,やはり固定前の処理をちゃんとしてほし いと思います。 【スライド20】  dense depositはありません。 【スライド21】  尿細管ですけれども,巨大ミトコンドリアな のか,ペリオキシソームの腫大なのかというこ とが問題です。例えば,light chainが尿細管に 沈 着 し て く るlight chain tubulopathyに お い て も,ライソゾームに蓄積する場合と,巨大ミト コンドリアへの転化と,どうも両方あるみたい です。ミトコンドリアは本来はエネルギーの産 生場所で,cristaeを認めるのですけれども,こ の症例の異常所見にミトコンドリアの関与も否 定できないと思います。 【スライド22】  cristaeは,あまりきちんと見えない。山口先 生の意見をお聞きしたいです。このmatrixの densityからいうと,ミトコンドリアのdensity と同じです。  ということは,やっぱりこの変化はミトコン ドリアに生じた変化ではないかと思います。 【スライド23】  それがヘムの取り込みとどう関係があるのか が,よく分かりません。ここら辺の考察は,論 文にされるときに,お願いしたいと思います。 【スライド24】  ヘムの鉄がこのライソゾームに捉えられて, 鉄顆粒として見えるところがライソゾームにあ ることも所見です。こういうところが,鉄染色

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はいる。 【スライド08】  ライソゾームだと,城先生のお話のように secondary lysosomeなので,PAMの顆粒をとっ てくるのですが,ヘモジデリンなのかなと。近 位 尿 細 管 で す。 糸 球 体 も, 鉄 染 色 で 一 部, podocyteが陽性になっているのですが,second-ary lysosomeだと,少し顆粒が出てくることが あるが,はっきりしないです。 【スライド09】  こういう円柱,上皮内に取り込んだようなと ころもあります。 【スライド10】  このへんは上皮の脱落が際立って,peritubu-lar capil このへんは上皮の脱落が際立って,peritubu-laritis的なものもあって,尿があまり出 なかったのかもしれないですが。 【スライド11】  ヘモジデリン沈着の上皮,あるいは,顆粒円 柱と言ったほうが。赤血球円柱とはちょっと言 えないです。 【スライド12】  この鉄染色でびまん性にきれいに出るとは, 思いもよらなかったのです。近位系に主体で, 少し濃淡があって,糸球体もpodocyteに付いて いる印象です。 【スライド13】  髄質のところも,近位尿細管主体にある。強 い発作がmassiveに起きた感じなのでしょうか。 【スライド14】  糸球体はあまりよく出ていないです。顆粒円 柱と一緒になっているところもありますから, 脱落してきたものが遠位系に少しcastとしてた まってきていると思います。 【スライド15】  少し濃淡があって,ヘモジデリンとして分か ると,こういう顆粒がはっきりしてくるのです。 何となくbrush borderに沿ってちょっと出てい る感じもあるのです。brush borderが強い場所 があります。電顕でbrush borderに直接鉄の顆 粒が付いている所見がありますので,そんなと 色っぽい変化がなかった。鉄染色で染めてみま すと,ごろごろした粗な顆粒ではなくて,細か い顆粒が尿細管上皮の中に見られるということ で,発作性夜間血色素尿症と,今回のものは, 沈着の様子が違うのではないかと思います。  以上です。 座長 城先生,ありがとうございます。続きま して,山口先生,よろしくお願いします。 山口 本当にきれいな例で,私も初めてこうい う症例に出合いました。 【スライド02】  確かにぱっと見には,HEでも見ても近位尿 細管に大した変化はないのです。赤血球円柱, あと,これがビリルビン円柱と思います。近位 尿細管上皮は,大きな差はないのですよね。 【スライド03】  Massonで見て,一部脱落した上皮が見られ て,上皮の扁平化がありますので,ATNを示 唆する所見です。糸球体は虚脱しているぐらい で,大きな所見はありません。peritubular capil-laryに何となく細胞がいるのですが,それが何 なのかは分かりません。あとは,赤血球円柱ぐ らいです。 【スライド04】  PASで見ても糸球体はきれいですし,遠位系 はヘモジデリンと分かる上皮の脱落と,上皮内 への沈着が一部にはある。これは,ビリルビン の円柱なのか,色が普通の色と違うので,その 可能性もあると思います。 【スライド05】  regenerativeな変化はどうでしょうか。brush borderは意外とよく保たれている。場所によっ ては脱落しているところもあります。 【スライド06】  赤血球円柱と言ったほうがいいのか,顆粒状 の円柱です。赤血球とは限らないです。顆粒状 の円柱で,上皮には変化がないです。 【スライド07】  何かあったように思うのですが,糸球体も虚 脱して,peritubular capillaryがちょっと開いて

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【スライド23】  これは,hemolysisによる ARFで,これはヘ モジデローシスがよく分かります。鉄が近位系 に出ている症例です。 【スライド24】  電顕はこんな感じです。だいぶくっついて大 きく育っていますので,大きくなると,光顕で も 分 か る。giant mitochondriaで,mitochondria の異常も来してくると思います。 【スライド25】  HEMが悪いことをするということで,いろ いろな障害を起こしてくるようです。  以上です。 座長 どうもありがとうございました。きれい にまとまっていますので。すみません、時間が 迫っていますので、第3演題のほうに移らせて いただきます。竹村先生、どうもありがとうご ざいました。 ころを見ていると思います。糸球体にちょっと 出かかっています。 【スライド16】  これは何か顆粒状にちょっと出ているので す。 【スライド17】  強拡大になりbrush borderが黒く出ているの です。cubilinとmegalinにくっついているとい うことなので,レセプターがbrush borderにあ るわけで,そこから取り込んで,こういうふう にsecondary lysosomeに濃縮されて大きくなっ ていると思います。  いろいろなoxidant stressが来ますので,ミト コンドリアにも影響がある。これは幼弱な上皮 です。核小体がはっきりしています。 【スライド18】  これはgiant mitochondriaでいいと思います。 ミトコンドリアの形が不正になってしまって, sphericalになったり,とんがった。ですから, ミトコンドリアの異常を来している。dense materialなものがbrush borderにくっついてい る。これは,もしかしたら鉄がくっついている と思います。 【スライド19】  こういうような濃縮して,鉄のHEMが集まっ ている状態だろうと思います。 【スライド20】  遠位系はあまり,second lysosomeはあるので すが,はっきりした取り込みは目立たないと思 います。 【スライド21】  糸球体を見たのですが,podocyteに取り込ま れているところは,見た感じでははっきりしな かった。 【スライド22】

 ヘモジデローシスで主にproximal tubular cell で,regenerativeなdistal,hemosiderin cast, あ るいはgramelar castが詰まっている。鉄顆粒に よるびまん性の近位尿細管障害と。円柱などに よる二次的な遠位系の障害と思います。

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寒冷凝集素症に伴う溶血発作による 急性尿細管障害の一例 虎の門病院 腎センター・血液内科・病理部 竹村浩至 先生、長谷川詠子 先生、乳原善文 先生、今福 礼 先生、川田真宏 先生、 葉末 亮 先生、長谷川純平 先生、住田圭一 先生、上野智敏 先生、関根章成 先生、 稲永淳一 先生、三瀬広記 先生、平松里佳子 先生、諏訪部達也 先生、早見典子 先生、 星野純一 先生、澤 直樹 先生、高市憲明 先生、山本 豪 先生、大橋健一 先生、 藤井晶子 先生、藤井丈士 先生 東北大学大学院・医科学専攻・病理病態学講座 城 謙輔 第63回 神奈川腎炎研究会2015年2月21日(土)15:30~19:45 横浜シンポジア  城先生 _01 城先生 _02 城先生 _03 城先生 _04 城先生 _05 城先生 _06

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城先生 _07 城先生 _08 <光顕> 標本5は切片採取。 糸球体 全ての糸球体(45個) 全節性硬化はありません。全ての糸球体において、 メサンギウム細胞増多ならびに管内性細胞増多や半月体形成、 分節性硬化、癒着はありません。虚脱を2/45個(4%)糸球体基底膜の肥厚はなく、 PAM染色にて二重化ならびにspike・bubblingも見られません。 糸球体の腫大はありません(200μm)。 尿細管・間質 尿細管の萎縮ならびに間質の線維性・浮腫性拡大を軽度に認めますが(20%)、 炎症細胞浸潤はありません(0%)。 遠位尿細管にビリルビン円柱が散見されます。 また、近位尿細管に鉄染色:陽性の細顆粒が広範に見られます。 しかし、近位尿細管の急性尿細管壊死は軽度です。 一部にTamm-Horsfall 蛋白の鬱滞が遠位尿細管を中心に見られます。 血管系 小葉間動脈に高度の内膜の線維性肥厚を認め、輸入細動脈に軽度の内膜の 硝子様肥厚を認めます。 城先生 _09 城先生 _10 G M A C3 C1q C3 城先生 _11 城先生 _12

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城先生 _13 城先生 _14 城先生 _15 城先生 _16 城先生 _17 城先生 _18

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城先生 _19 城先生 _20 <免疫染色> IgM・C3が優勢で、IgAがメサンギウム領域に顆粒状に陽性です。 軽症型IgA腎症の合併が疑われます。 <電顕診断> 糸球体にはdense depositがなく、免疫染色で疑われたIgA腎症を示唆する 所見はありません。尿細管が撮影されており、 近位尿細管内のライソゾームにヘモジデリンの貧食が見られます。  免疫染色にて軽症型IgA腎症を疑いましたが、 電顕にてそれを裏付ける所見はありませんでした。 以上の所見から、病変の主体は近位尿細管領域の鉄染色:陽性の細顆粒で、 おそらくヘモジデリン沈着による急性尿細管障害と診断します。   城先生 _21 城先生 _22 67歳 男性   臨床診断 溶血性貧血、急性腎不全、寒冷凝集素:陽性、低悪性度B細胞性リンパ腫 原発性マクログロブリン血症 病因分類 原発性糸球体疾患 病型分類 ヘモジデリンの近位尿細管領域への沈着による急性尿細管障害 IF診断 軽症型IgA腎症合併の疑い 電顕診断 正常糸球体、近位尿細管ヘモジデリン沈着 皮質:髄質=10:0 糸球体数:45個、全節性硬化:0個、 メサンギウム細胞増殖:0個、管内性細胞増多:0個、 半月体形成:0個(細胞性半月体:0個、線維細胞性半月体:0個、線維性半月体:0個) 分節性硬化:0個、癒着:0個、虚脱: 2個、未熟糸球体:0個 城先生 _23 Fig.10.ヘモグロビン円柱(hemoglobin cast): 溶血 光顕的には、ヘモグロビン円柱は鉄染色陽性で、 鉄染色陽性の褐色調ヘモグロビン顆粒は 尿細管上皮胞体内に広汎に認められる(図10)。 臨床的には、発作性夜間血色素尿症や異型輸血に伴う溶血後の 急性腎不全の病態に見られる。 城先生 _24 Fig10.ヘモグロビン円柱(hemoglobin cast)鉄染色陽性

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II-2:寒冷凝集素症に伴う溶血発作による急 性尿細管障害の1例(虎の門、腎センター) 症例:67歳、男。3年前より冬外に出ると指先の痛み と尿の色が濃くなる事を自覚。皮膚黄染を主訴に来 院、T-bil 45.1(D-bil 30.1mg/dl), Hb 9.2 g/dl, ハフトグロ ビン感度以下、直接クームス陽性、寒冷凝集素陽性 (65536倍)と溶血性貧血を認め、M 蛋白陽性(IgMκ 型)。Cr 1.39 -4.08 mg/dl, UP 3.03g/gCr, URBC 1-4で急 性腎障害が進行。低悪性度B細胞性リンパ腫で原発 性マクログロブリン血症と診断。 臨床病理学的問題点: 1.溶血発作による近位尿細管障害で良いか? 2.寒冷凝集素症との関係は? 山口先生 _01 山口先生 _02 山口先生 _03 山口先生 _04 山口先生 _05 山口先生 _06

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山口先生 _07 山口先生 _08 山口先生 _09 山口先生 _10 山口先生 _11 山口先生 _12

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山口先生 _13 山口先生 _14 山口先生 _15 山口先生 _16 C3 IgM IgA 山口先生 _17 山口先生 _18

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山口先生 _19

山口先生 _20

山口先生 _21

山口先生 _22

㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 病㻌 理㻌 診㻌 断(63-II-2)

1. Hemosiderosis of the proximal tubular cells, diffuse 2. Regenerative change of the distal tubular cells with granular and bile casts, mild

cortex/medulla= 9/1, global sclerosis/glomeruli= 1/47 㻌 光顕では、糸球体には虚脱傾向を認めます。 㻌 尿細管系には近位尿細管上皮にベルリン青染色でびまん性に陽性を呈し、時大きな顆粒状 陽性を認めます。遠位尿細管上皮に軽度の再生性変化を認め、上皮の剥脱を稀に伴い、顆 粒或いは胆汁円柱が散在して見られます。 㻌 間質には好中球などの軽度の傍尿細管毛細血管炎が散見され、一部に単核球浸潤が見ら れます。 㻌 中位動脈壁では一部に軽度の線維性内膜肥厚が見られ、軽度の細動脈硝子化を認めます。

㻌 蛍光抗体法では、IgM(+), C3(+), IgA(±): mesangial patternです。 㻌 電顕では、近位尿細管上皮にdense materialsを含む二次リソソームが散在し、刷子縁深部に もdense materialsの付着を認め、球状化や巨大のミトコンドリアを伴い、一部で上皮の部分的 な変性脱落を認めます。遠位上皮に軽度の二次リソソームが見られます。糸球体にはGBMに 内皮下浮腫が軽度見られ、内皮の腫大を軽度認めます。メサンギウム域にはGBM虚脱による メサンギウム基質増加が軽度見られます。脚突起癒合が疎らに見られます。 㻌 以上、上記の診断で、溶血発作で鉄顆粒沈着によるびまん性近位尿細管傷害と円柱などに よる遠位上皮障害と思われます。 山口先生 _23 山口先生 _24

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