九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
ヤオナグニトウジドウ・セイトノケイタイオヨ ビ%Fat
大柿, 哲朗
九州大学健康科学センター
中谷, 光代
九州大学健康科学センター
藤野, 武彦
九州大学健康科学センター
https://doi.org/10.15017/416
出版情報:健康科学. 6, pp.141-145, 1984-03-30. Institute of Health Science,Kyushu University バージョン:
権利関係:
資 料
与那国島児童•生徒の形態および形 Fat
大 柿 哲 朗 * 巾 谷 光 代 * 屑 長 野 武 彦 * H e i g h t , Weight and Body F a t t y Mass o f S c h o o l Boys
and G i r l s o f Yonaguni I s l a n d
T e t s u r o OGAKI*, M i t s u y o NAKAT ANI*
and Takehiko FUJINO*
与那国謁の児童•生徒の形態および身体組成の調査 測定を行なったので報告する。
I .
調 査 方 法 1. 対象者与那国島にあるすべての小・中挙校(小学校3'中 学校 2) の児童•生徒の全員を対象とした。年令・性 別の対象者数を表1に示した。
た。
表1 年令・性別の対象者数
年令(オ) 男 子 女 子
6 17 27
7 16 29
8 20 24
,
21 1910 18 30
11 18 17
12 20 13 13 22 21
14 22 19
15 4 5
計 178 204 2. 調査項目
本調査は昭和58年7月4日から 8日までに行なっ た。
(1) 身長
小・中学校の身体計測値(計測日:昭和58年4月) を資料として収集した。
(2) 体重
各学校の体重計を用い, 0.1kg単位で測定した。な お,測定は薄い碧衣を許した状態で行なった。
(3)皮下脂肪厚
栄研式皮脂厚計を用いて,右上腕三頭筋側中央部と 右肩甲骨直下部のニカ所を0.5麟単位で測定したoさら に,これらの部位から, Nagamine41およびBrozek51 の式を用いて,体脂肪率 (%Fat)を算出した。
以上の計測は全て一人の測定者によって行なった。
II. 結 果 お よ び 考 察
児童•生徒の身長,体重,皮下脂肪厚および %Fat の各値を表2に示した。
1 形態の他地区との比較
身長,体重については,沖縄県平均11(昭和57年度)
を基準(ゼロ)として,沖縄県平均と本調査値,波照 間島2)(測定日:昭和52年),福岡市3)9)(測定日:昭 和56年)の各平均値との差を,図1に示した。
(1) 身長
与那国島の児童•生徒は男子では,福岡市よりかな り小さく,また7オ・ 10オ・15オを除くいずれの年令 でも沖縄県平均より小さかった。しかし,波照間島よ
りは大きかった。
女子も福岡市よりかなり小さく,また9オ・13オを
* Institute of Health Science, Kyushu University 11, Kasuga 816, Japan
* *
Institute of Human Health and Wellfare, 1‑8‑15, Fujisaki, Sawara, Fukuoka, 814, Japan142
男子
年令(オ) 身 長(cm)
健 康 科 学 第6巻 表2 形 態 お よ び 身 体 組 成
体 重(kg) 皮 下 脂 肪 厚
上腕(疇) 肩甲骨(雁m) 彩 Fat(%) 6 114. 0士 4.6 19.8士 3.5 8.3士 2.1 4.9土 0.8 13.7士 1.6 7 122. 3土 6.0 24.0土 3.6 9. 3土 2.6 6.4士 2.0 15.3土 2.7 8 121. 7士 3.9 23. 7土 2.2 9.2士 2.9 5 8..土 1.5 14.8士 2.5 9 127. 7士 6.2 27 .8士 4.0 9. 5土 3.0 6.9土 1.8 15. 7土 2.7 10 136.0土 7.5 32.2土 6.2 10.8土 5.0 8.9士 4.0 17.4土 4.9 11 140.2土 5.5 34.2土 4.6 10.8士 3.2 7 .4土 2.2 16.8士 3.2 12 145. 7士 6.8 39.4土 6.4 9.2士 4.3 9.0土 3.4 15.9士 4.0 13 153.9士 5.9 45.1士 6.5 8.2土 3.3 8.0土 2.7 14.8土 2.9 14 15.8.3土 7.4 49. 0士 8.3 8.1土 2.5 9.4士 4.3 15.3土 3.6 15 166.6土 6.1 55.8土 8.2 6.4士 0.6 9.0土 1.2 10.9士 1.0
女子
年令(オ) 身 長(cm) 体 重(kg) 皮 下 脂 肪 厚
上腕(疇) 肩甲骨(瓢) % Fat (%) 6 113.0土 4.3 20.5士 2.3 10.9士 2.8 7.2士 2.6 19.5土 3.0 7 118. 7土 4.8 22. 2土 2.5 10.8土 3.0 7 .4土 3.2 19.4士 3.6 8 124. 4士 5.5 26.0土 生3 10.7土 2.8 7.6士 3.1 19.7土 3.3 9 131. 3士 8.0 31.5士 9.1 14.1土 5.7 11.2士 7.3 23.4土 8.0 10 136. 9士 6.8 31.9士 5.5 11.7士 3.3 9.2士 3.6 21.2士 3.8 11 142. 9士 6.4 38.8土 8.9 13.9士 5.1 12.9土 5.8 24. 7士 6.4 12 148.1士 6.7 39.7土 7.3 11.6土 3.9 11.8土 3.1 19.9士 4.3 13 152.8士 3.5 46. 5士 5.0 13.1土 3.5 13.4士 3.4 21.8土 4.2 14 152.5土 5.6 50.3士 7.0 17.4士 5.4 18.3士 5.5 27.8土 6.5 15 151.1士 2.7 48.5士11.1 18.5士 7.3 21.4土 6.3 30. 0士 9.1
除くいずれの年令でも沖縄県平均より小さかった。と くに, 15オでその差は著明であった。しかし,波照間 島より大きかった。
以上をまとめると,男女とも,沖縄県は福岡市と比 較するとかなり小さかったが,与那国島はその沖縄県 よりさらに小さい傾向にあった。しかし,日本最南端 の離島である波照間島より大きかった。
(2) 体 重
男子は7オ・ 10オを除くいずれの年令でも沖縄県よ り軽かった (0.7 kg 2.2kg)。しかし,波照間島より は6オ・ 8オおよび13オを除くいずれの年令でも重か った (0.2 kg 4. 3 kg)。なお,与那国島よりも大きか った沖縄県も,福岡市と比べろと小さかった (2.0 kg
4. lkg)。
女子は沖縄県と比べて,年令別の差が大きかった。
特に9オで3.1kg, 14オで2.3kgと沖縄県より重かった のと, 12オで2.9kgと軽かったのが目立っていた。し かし,波照間よりはいずれの年令でも重かった。与那 国島や沖縄県を福岡市と比べろと, 9オを除いて,男 子と同様に小さかった (2.4kg6.0kg)。
ところで,与那国島は沖縄本島から,最も離れた地 にあるが,与那国島の近くにあろ波照間島よりは大き な島であり,人口も多い。僻地度の高い順に並べると,
設照間島,与那国島,沖縄県,福岡市となる。僻地度 の高い地域ほど身長および体重で劣るとの報告2)があ るが,本結果でも同様の傾向が見られた。
2 身体組成
% Fatを 性 ・ 年 令 別 に 福 岡 市9)(測定日:昭和58 年)と比較して図2に示した。なお,特に根拠はない が,一般に用いられているように, 形 Fatをその大 小により三段階に分けて,各年令別にその人数を表3 に示した。すなわち,その区分は,男子の場合,ゃせ
呵 炉
C C
/へ~ \
4 ...
沖 縄 県 平 均
‑4‑o
噴い
︵
沖 縄 県 平 均
‑ a ‑
6
8 I 10'
1I 2 14 I6
8'
10 I 12 I 14 I男子 年 令 (オ)
女子 年 令 (オ) 図1 沖 縄 県 と の 体 格 差
︱
︱
3 0 仰
●ー● 与那国0‑0
福岡市. . . . m LL 20
ぷ
10
16 98
I
II
II 10 12 14
, . 6 I
I、I
II
II
I8 10 12 14
男子 年令(オ) 女 子
図2 与那国島と福岡市の彩Fatの比較
年令(オ)
144 健 康 科 学 第6巻
で福岡市より大きく,その他の年令群では福岡市の方 が大きかったが, %Fatの大小に両地区間で一定の 傾向は認められなかった。男子と比較すろと,女子は 両地区とも年令とともに%Fatが上昇する傾向が見
られた。
%Fatをその大きさにより三段階に区分して, 福 岡市の場合と比較すると,男子の場合, 「普通」の割 合が90.4%で福岡市の74.9%より多かった。逆に「や せ」 「肥満」の割合は,与那国島ではそれぞれ0.5%, 9.0%にしか認められなかったのに対し,福岡市では,
4.0%, 21.1%と大きかった(図3)。
女子の場合は, 「普通」 (44.1%)よりも「やせ」
(46.6%)の方が多く,その`やせ、の割合は,福岡 市の「やせ」 (30.7%)の割合よりも大であった。逆 に, 「肥満」は9.3%で,福岡市 (15.7%)より少な かった。
(10%未満)・普通 (10% 20%)・肥満 (20%以上), なお,福岡市における女子の年令別の「やせ」の割 女子の場合,ゃせ (20%未満) ・普通 (20% 30%) 合は, 12オ (19.2%)が最も多く,次いで6オ (15.1
・肥満 (30%以上)とした。また,全児童•生徒のゃ %"), 15オ (12.3%)の順で,年令との関係は一定で せ・普通・肥満の割合を,福岡市9)と比較して図3に なかったが,与那国島の場合(表3)は,「やせ」が最
示した。 も多かった7オ (76%)を最高に,年令が進むにつれ
男 子 の %Fatは10オを除くいずれの年令でも福岡 て「やせ」の割合が少なくなっていた。 「肥澁」は福 市より小さく, その形Fatの差は1.4% 5.7%であ 岡市の場合,年令とともに増加する傾向にあり, 14オ った(図2)。なお,最も大きな %Fatを示した年令 では20.5%, 15オでは23.3%となっていた。しかし,
群は,与那国島で10オ(17.4%)であり,福岡市では12 与那図島の場合は, 肥蘭いが少なく,また対象者数 オ (21.6%)であった。また,両地域とも,それ以後 も少なかったので,年令との関係では一定の傾向は見 は年令とともに減少傾向が見られた。 られなかった。
女子の場合は,与那国島が9オ・11オ・14オ・ 15オ 皮下脂肪厚あるいは体脂肪率は,地域差や食生活,
0 25 50 75 100
男 子 (%)
表3 %Fat別 の 人 数
男 子 ( 人 )
i
女 子 ( 人 ) 年令(オ)10
彩
10‑ 2̲0彩 20% 20‑ 3、0彩 未満 20形 以 上 未 満 30彩 以 上 6 17 , ‑ 16 11 7 14 2 22 6 1 8 19 ' 1 17 7,
19 2 8 8 3 10 13 5 11 18 1 11 16 2 4,
4 12 19 1 6 7 13 21 1 8 12 1 14 20 2 2 10 7 15 1 3 1 2 2i
計 1 161 ¥ 16 ¥ 95 9
。¥
19ーぃー
国 市 子 国 那 岡 女 那 与 福 与
9 鵬 /
‑
福 岡 市
a : . : : :
せ 通 や
● ロ
普・
( 男 子 の 場 合 %Fat, (10%女 子 の 場 合 く20%)/I II 10 20%
, 、
20 30%) 肥満 (、
'I II ;,, 20 % II ~30 % )図3 与那国島と福岡市の形Fat別出現率の比較
運動などの生活様式と密接な関係があると考えられて
いる6)7)8)。しかし,本調査では詳細な食生活や生活環
境等を調査していないのでそれらと体脂肪との関連は 今後の課題としたい。
(文責:中谷光代)
謝 辞
閾査にあたり.御協力頂いた与那国島の各学校の養 護教諭および九大第一内科の林.野村の両医師に心か ら感謝いたします。
引用文献
1)文部省:昭和57年度・学校保健統計調査報告書.
1983.
2)大柿哲朗,杉浦正輝:沖縄県離島住民の保健医療 情報の収集・評価ならびにその対策に関する研究 第
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章体格体力に関する調査. トヨタ財団助成研究 報告書.23‑40, 1979.3)緒方尚子・都城桂子:学童の健康増進に関する研 究(第一報). 中村学園研究紀要, 14: 187‑192,
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4) Nagamine, S., : Methods for measure‑
ments, skinfold thickness. Evaluation of Body Fatness by Skinfold Measurements.
JIBP SYNTHESIS, 4: 16‑22, 1975. 5) Brozek, J., Grande, F., Anderson,
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T.and Keys, A., : Densitometric analysis of body composition : revision of some quan‑
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8)今野和子,岡部弘道:児童の皮下脂肪厚と形態発 育との関係について.九州大学体育学研究, 4(5): 43‑47, 1972.
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