セラミックス
2012 年 5 月 15 , 22 , 29 日(火)
材料工学科 教授 永山 勝久
第 6, 7, 8 回目
CZ法による単結晶Siの製造法
CZ法を用いた単結晶Siの引き上げ機構
MCZ (Magnetic field applied CZ)法
:Si中融液中の対流制御を目的に 融液Siに磁場を印加する手法
大口径単結晶SiとSiウエハー
日本は世界第1位の大口径単結晶Siの生産量を有している
現在は、99.999999999%(11N)の超高純度と30cmの直径かつ長さ約 1mの大型単結晶Si製造に成功し、0.5~1mm程度に薄くスライスし、IC, LSI等の高密度集積回路をSiウエハー上に作製する
(2) 無機材料 [半金属B,Si,C・・・,酸化物,窒化物,ホウ化物,塩化物] の結合形式 “セラミックス” (単一元素) ◎ 「イオン結合」 ⇒陽(+)イオンと陰(-)イオン間の電気的引力に起因 代表例):NaCl = Na+ - Cl- (静電引力 = クーロン力) [ 定義 ] する化学結合様式 ◎ 「共有結合」 2つの 結合形式 11Na:1s22s22p6 3s1 e- 17Cl:1s22s22p63s2 3p5 [Ne] [Ar] ※ ○ イオン間に働く力 1) 陽イオン-陰イオン : 引力 2) 陽イオン-陽イオン : 斥力 ( 反発力 ) 3) 陰イオン-陰イオン : 斥力 ( 反発力 ) ◎3つのクーロン力・・・ 同種イオン間 イオン性結晶 ・・・ 全体として引力が斥力よりも大きくなる : +,- イオン間のクーロン引力 ( 静電引力 ) により,結晶を形成する ( 図1,図2参照) 結晶を構成 ( 引力=斥力 )
0 100 -100 -200 2 4 6 8 10 12 ∞ -e2/r 結合力=引力 弱い (両イオン間の 距離が遠い) クーロン引力: 2 2 r e F ポテンシャルエネルギー : r e F r 2 0
e : 電荷 r : イオン間距離 Naのイオン化 ポテンシャル Clの電子 親和力 ( イオン間距離 ) NaCl結晶のイオン間距離 最適距離 引力≧斥力 ポ テ ン シャルエ ネ ルギ ー k ca l/mol イオン間距離が極端に近くな ると,両原子 (両イオン) が 有する電子と原子核の陽電 荷間におけるクーロン引力が 増大し,ポテンシャルエネル ギーは急激に増大する (核外電子全て) 図1 Na+とCl-との クーロン引力によるポテンシャルエネルギー ポ テ ン シャ ルエ ネルギー 図2 イオン間距離と 引力 , 斥力 の関係 (引力と斥力の平衡関係) 引力 斥力 陽イオン,陰イオンがくっついている 陽イオン,陰イオンの電子雲が重なり合う 陽イオン,陰イオンが離れている (同種イオン間のポテンシャルエネルギー) r (:イオン間距離) 引力と斥力の 合成 ポテンシャル エネルギー ・最も安定な位置 = イオン間距離 合成ポテンシャルエネルギーの 極小値 = “イオン間距離” ・・・ 引力と斥力の最適距離 (安定) ・斥力+ 引力の最小値=イオン結合の特徴(:熱伝導機構)
( 高熱伝導性セラミックスと非熱伝導性セラミックス ) ◎イオン結合性結晶 (セラミックス) の熱伝導機構 熱伝導媒体 ・・・ 『フォノン(phonon)』 ○結晶中で規則配列する原子を “格子” と考え,格子位置での 原子の振動エネルギーを 「フォノン」 と定義 ( フォノン ・・・ “格子の振動” をエネルギーを持った 粒子 と仮定) = (振動子) 『量子』 熱伝導機構 ・・・ 「 アインシュタイン・モデル(バネ・モデル)」 (図 参照) ① 物体を端面 (片側) 加熱 ② 加熱面での原子振動の増大 (軽元素ほど大きい) ③ 隣接正負イオン間でのイオン結合を介して,格子振動が伝播 ( ⇒ フォノンの伝播) ・・・ “ 格子振動による伝播 ” ◎ 軽元素ほど格子振動は大きく、その伝播は容易 熱伝導率 : Al2O3 (約20W/m・K, Al原子量 : 27 ) ZrO2 (約 4W/m・K, Zr原子量 : 91 ) 5分の1 cf. 金属材料 自由電子が 熱の伝導体端面 加 熱 端面 加 熱 バネ バネ 軽元素 ・・・ 格子振動は大 熱伝導は容易 重元素 ・・・ 格子振動は小 (a) (b) 図3 熱伝導のモデル (アインシュタイン・モデル) : 結晶の左端から右端への 加熱に伴う格子振動に伴う熱伝導現象の説明 <熱伝導率 : 小> (a) 軽元素 (振動大,高熱伝導性) , (b) 重元素 (振動小)
アインシュタイン・モデル(イオン結合性結晶の熱伝導機構)
共有結合の特徴 : 特定の原子・原子間 での強い結合力であるため、方向によって 結合力は異なる(・・・異方性が大きい結合力) 共有結合>イオン結合,金属結合 【 共有結合性結晶の特徴 】 : ① 融点が高い ② 硬度が大きい ③ 高強度 ④ 原子間結合に異方性があるため,特定面で割れる ⑤ 拡散係数が小さい(・・・物質中の原子移動が困難) 【 代表的な共有結合性物質 】 ・・・ Ⅳ族元素 : C,Si,Ge,Sn 原子配列 : ダイヤモンド構造 [ : 図4 参照 ] ・・・一つの原子の周囲に4つの原子が存在し,正四面体を形成 中心の原子と四面体頂点の各原子が互いに4個の外核電子を出し合って, かつ,スピンが逆向きの電子対を形成 = 『sp3混成軌道』 [ :図5 参照 ] 図4 ダイヤモンド構造 sp sp2 sp3 sp3d sp3d2 sp3d3 配位数 2 3 4 5 6 7 図5 sp3混成軌道 (配位数と幾何学的な原子結合状態)
( :Ⅲ族原子位置, :Ⅴ族原子位置 )
半導体物質 ←
(共有結合性物質の代表)
◎半導体の推移 共有結合性結晶 ・最初のトランジスタ ; Ge (Ⅳ族元素) : Ge4+ ・現在の半導体 ; Si (Ⅳ族元素) : Si4+ ・今後の半導体 ; GaAs,InP (化合物) (Ⅲ‐Ⅴ族化合物) Ga,In ・・・ 3族元素 As,P ・・・ 5族元素 平均の原子価 : 4価 ⇒ Ge,Siと同様 GaAs,InP ・・・ 立方硫化亜鉛構造 <4面体構造を4つ有する> (InSb) (四面体構造を構成要素にもつ,立方晶型結晶) = ダイヤモンド結晶に類似 共有結合性結晶 四面体構造 が構成要素 “4配位構造” 図6 立方硫化亜鉛構造 (・・・Ga,In) (・・・As,P)『ニューセラミックスの概要』
『ニュ-セラミックス』・・・金属,プラスチックスに次ぐ第3の工業素材 歴史的背景:伝統的セラミックスからニュ-セラミックスへの変革[:図1.1参照] ① 伝統的セラミックス・・・『セラミックスの石器時代』 :石器(:地球が作った天然のセラミックス)→土器(:火の発見(~800万年前)に 起因して人間が人工的に作った最初のセラミックス) → 陶磁器( 窯業製品、珪酸塩工業製品 ) ② ニュ-セラミックス(ファインセラミックス)・・・『ニュ-石器時代(現代社会)』 ① と ② の決定的相異点 [:表1.1参照] ・・・伝統的セラミックス・・・天然原料, ニュ-セラミックス・・・人工原料 『ニュ-セラミックスの概念的定義』 精製,精密に調整された化学組成かつ微細均一粒子からなる人工原料を 使って、高度に制御された成形法及び焼結法による焼成品 新しい機能を有する次世代高機能材料(構造的特性,機能的特性)に発展伝統的 ニュー セラミックス セラミックス 原 料 天然 天然 人工 熱処理 (焼成) 加 工 (製品化) 石 器 人工 人工 人工 人工 天然 天然 表1.1 ニュ-セラミックスとオールドセラミックスの比較 図1.1 伝統的セラミックスから ニュ-セラミックスへの変革
『セラミックス』 の学術的定義
・・・ 『非金属無機固体材料』[:
表1.2
参照]
【元素の分類】:(1)金属性元素 (ex.Al,Zr,Ti,Pb など) (2)半金属性元素(ex.B,C,Si など) (3)非金属性元素(ex.O,N,F,S,Cl など)『非金属無機固体材料の定義と分類』
:①半金属性元素により構成される物質 (ex.ダイヤモンド,半導体Si,カ-ボン繊維,炭化ケイ素SiC, フラーレンC60, カーボンナノチューブ など) ②半金属性元素と金属元素及び 半金属元素と非金属性元素間の化合物 (ex.炭化チタンTiC,窒化ケイ素Si3N4, 窒化ホウ素BN など) ③金属性元素と非金属性元素間の化合物[:表1.3参照](ex.アルミナAl2O3,ジルコニアZrO2, シリカSiO2,
呼 称 材 料 原子間結合 金 属 金 属 金属結合 プラスチック 非金属・有 機物 共有結合 ファンデルワールス結 合 イオン結合 共有結合 セラミックス 非金属・無 機物・固体 表1.2 金属,プラスチックス,セラミックスの比較 表1.3 金属とセラミックスの物性比較例
物性
融点
電気比抵抗
材料
[℃]
[
Ω cm]
アルミニウム
Al
アルミナ
Al
2O
3金属
セラミックス
660
2,030
モース硬度
10
14以上
2.8×10
-83以下
9
日本 アメリカ ニュ-セラミックス High Technology Ceramics (新しいセラミックス) (高い技術を有するセラミックス) ファインセラミックス Advanced Ceramics (微細緻密・精密なセラミックス) (先端技術のセラミックス) ↓ 高度な技術を用いた 先端新素材・応用分野 [:図1.2,表1.4-1~3, 表1.6,図1.6,1.7 参照] ∴ ニュ-セラミックス ・・・知識集約的製品 (高機能・高付加価値) [参考]:表1.5,図1.3, 図1.4,図1.5 ・・・ニューセラミックス の市場規模,生産高, 輸出額,原料生産額 図1.2 ファインセラミックスの応用分野別比率 (平成20年度 のデータ) (社)日本ファインセラミックス 協会による 平成20年度 ・産業動向調査 より http://www.jfca-net.or.jp/ 出典:(社)日本ファインセラミックス協会 ⇒図1.6 ,1.7
代表的な応用例 ① 電・磁気 ・光学分野 ファインセラミックスの 代表的応用分野・機能 絶縁性 半導体 導電性 磁性 誘電性 ・圧電性 光学 集積回路用パッケーシ゚、半導体用各種基板 (電子デバイス用基板)、絶縁用製品 他 各種センサ材料、化合物半導体関連製品 電極、電池用部材、発熱体、サーミスタ、 バリスタ、超電導部品、その他 フェライト磁石、フェライト磁気ヘッド、メモリ部材、 薄膜磁気ヘッド、その他 コンデンサ素子、圧電体、水晶振動子 (各種超音波振動子など)、その他 光ファイバー、レーザー発振用素子、 特殊ガラス、光変換素子(LEDなど)、他
表1.4-1
ファインセラミックスの分類 【 ←
表1.6 参照
】
(社)日本ファインセラミックス協会・産業動向調査 より③ 熱的 ・半導体 ・原子力 関連分野 高温高強度 高温耐食性 半導体関連 原子力関連 その他 工具・高硬度 耐摩耗性 その他 WC工具、サーメット1)工具、セラミック工具、 ダイヤモンド工具、CBN工具、コーティング工具 (金属基材・WC基材・その他の基材)、他 ② 機械的 分野 粉体処理装置、ポンプ, 液体処理装置、 製紙装置紡錘装置、その他耐摩耗部材 精密機器部品、精密治具、食品加工装置 部品、炭素繊維複合部材、セラミック各種 複合部材、切削用セラミック部材、他 スパークプラグ、エンジン部材、その他 熱処理用治具、その他 半導体製造装置用部材、その他 各種原子力関連材料、その他 各種耐熱・断熱部材、その他
表1.4-2
ファインセラミックスの分類【 ←
表1.6 参照
】
ファインセラミックス の代表的応用分野・機能 代表的な応用例 (社)日本ファインセラミックス協会・産業動向調査 より 1) 金属の炭化物,窒化物等を 金属と複合化した超硬質材料④ 化学・生体生物 ・生活文化分野 化学 濃度センサー(酸素濃度測定用 センサ-)、セラミックフィルタター、 各種耐食容器・治具等、その他 生物・生体 生体材料(人工骨、人工関節、 人工歯根)、化粧品・医薬部品 他 生活文化 家電・住宅用材料、生活雑貨、 繊維・衣料、スポーツ・レジャー用品、 抗菌性セラミックス部材、表面処理材、 装身・装飾、その他 ⑤ 薄膜原料、 複合材料分野 セラミックス薄膜用ターゲット原料、 複合材料添加用セラミックス繊維 ・微粒子、表面処理用溶射材、他
表1.4-3
ファインセラミックスの分類【 ←
表1.6 参照
】
ファインセラミックスの 代表的応用分野・機能 代表的な応用例 (社)日本ファインセラミックス協会・産業動向調査 より 薄膜原材料、 繊維・微粒子 表面改質表1.5
ファインセラミックスの生産総額推移(億円)
表1.3
金属とセラミックスの物性比較例
• 表1.3
金属とセラミックスの物性比較例
ニューセラミックスの市場規模(生産総額)
:~1兆7,300億円(平成21年度,2009年度)
(2年前)図1.3
ニューセラミックスの応用分野別・生産高の推移
(社)日本ファインセラミックス協会・産業動向調査 より図1.4
ニューセラミックスの輸出総額
(社)日本ファインセラミックス協会・産業動向調査 より
図1.5
ニューセラミックス原料の生産額 (億円)
表1.6
ニュ-セラミックスの機能・材料・応用製品
機能大分類 機 能 酸化物セラミックス 非酸化物セラミックス 応用製品例 耐熱性 Al2O3 SiC, Si3N4 耐熱構造材
断熱性 ZrO2, SiO2 C 各種断熱材
伝熱性 BeO SiC(+ BeO) 基板
硬質・耐磨性 Al2O3 SiC メカニカル・シール・リング 切削性 Al2O3 TiC, TiN 切削工具 研磨性 ― B4C, ダイヤモンド 砥石,研磨材 生体適合性 Al2O3,アパタイト ― 人工骨 坦体性 コーディライト ― 触媒担体 耐食性 Al2O3 BN, TiB2, Si3N4 耐食部品 絶縁性 Al2O3 SiC(+ BeO) IC基板,パッケージ 導電性 ZrO2 SiC, MoSi2 抵抗発熱体 誘電性 ZrO2, BaTiO3 ― コンデンサ イオン伝導性 ZrO2, β -Al2O3 ― 酸素センサ,電池
半導性 SnO2, ZnO-Bi2O3 SIC ガス・センサ,バリスタ
圧電性 PZT, ZnO ― 着火素子,発振子 磁性 (Zn, Mn)Fe2O4 ― 磁心,記憶素子 蛍光性 Y2O3 ― 蛍光体 透光性 Al2O3 ― Naランプ 偏光性 PLZT ― 偏光素子 導光性 SiO2 ― 光ファイバ 原子炉材 UO2 UC 核燃料 減速材 BeO C 減速材 制御材 ― B4C 制御材 熱的機能 機械的性質 生物・化学的 機能 原子力関連 機能 光学的機能 電気・電子的 機能
図1.6
ニューセラミックス製品の一例
セラミックスの種類と用途
(-代表的なセラミックス材料-)
セラミックス材料の大分類:(1)酸化物系セラミックス
(2)非酸化物系セラミックス
1. 酸化物系セラミックス
『代表的な材料(金属酸化物を原料としたもの)』
:
Al
2O
3(アルミナ)
,
ZrO
2(ジルコニア)
,
MgO
(マグネシア),
SiO
2(シリカ),
TiO
2(チタニア),
Fe
3O
4(マグネタイト),
BaTiO
3(チタン酸バリウム),
Pb(Zr,Ti)O
3(ジルコン酸鉛),
UO
2(ウラニア),
PuO
2(プルトニウム)・・・
核燃料
注)Pb(Zr,Ti)O3(ジルコン酸鉛)セラミックス :圧電体セラミックス材料 の代表 『圧電性(piezoelectric effect)』 とは ①ある種の材料に圧力(応力)を加える電圧を発生する現象 ②ある種の材料に電気を流す(電圧を印加)と振動(変位)する現象 【代表材料】:水晶(クオーツ),PZTセラミックス(・・・誘電体の一種) 【応用例】 ① ガスコンロ,ファンヒターの点火スイッチ ② 水晶振動子(クオーツ時計), 魚群探知機, 超音波振動子, スピーカーなど各種振動用センサ素子①Alの酸化物を精製・調整し焼結したもの
②電気絶縁性,耐熱性,耐食性に優れる
③電子材料の基板として多用される(IC基板、ICパッケージ)
④耐摩耗性を利用した軸受け,シャフト
⑤化学的安定性,生体組織適合性を利用した人工骨,
人工歯,人工関節などの
生体材料
⑥軽量性とダイヤモンドに
次ぐ高硬度
⑦成形・加工の容易さ
(マシナブル・セラミックス)
アルミナAl
2O
3図 アルミナ製品(一例)
図 セラミックス多層基板(左:DRAM用,右:フラッシュメモリ用)
ジルコニア ZrO
2①耐熱性と耐食性に優れる(→溶融金属,ガスなどに反応しない) ②純物質状態では高温での結晶変態に伴う破壊を誘発するため、 安定化剤(酸化カルシウム)を添加して焼結し、『安定化ジルコニア』 として高温発熱体等に利用 (・・・酸素イオン伝導体⇒固体電解質:「燃料電池」) ③キュービックジルコニアCZは光の屈折率が2.17と天然ダイヤモンド の2.47に近いためダイヤモンドの代用品として用いられている 図 Cubic ZrO2 図 ジルコニア耐熱材料 Mg,Ca,希土類金属等 活性金属用溶解ルツボ
他の代表的な酸化物系セラミックス
(a) マグネシア:MgO
① 透過性セラミックスの代表的材料
(→
高圧ナトリウム灯用発光管
に利用)
② Pt,Niや希土類金属用の
溶解用ルツボ
として多用
(b) ベリリア:BeO
:熱伝導率に優れかつ絶縁性が良好であるため
IC回路の放熱基板
に利用(ただし金属同様、毒性がある)
(c) チタニア:TiO
2:硬度,引張り強さが大きい ⇒
『光触媒』
として発展
(d)フェライト:M
2+O・Fe
2O
3:
磁性体セラミックス材料
の代表
耐高温、高強度特性 ジェット機(戦闘機) 用窓ガラス (⇒ 修正液、修正テープ、白色塗料 等に使用)『光触媒』
は、TiO
2微粒子や薄膜
表面に太陽や蛍光灯などの光が当
たると、表面で強力な酸化力が生ま
れ、接触してくる有機化合物や細菌
などの有害物質を除去する
ことができる
「環境浄化材料」
「光触媒の5つの機能」
1.大気浄化
:工場や自動車から
の排ガス中の窒素酸化物(NOx)
や硫黄酸化物(SOx)などを除去
2.脱臭効果
:アンモニア、硫化水素
等の悪臭を除去(・・・空気清浄機)
3.浄水効果
:浄水,排水処理
(有機塩素化合物を分解除去)
4.除菌・抗菌効果
:細菌を分解
5.防汚効果
:表面に付着した汚れ
図 光触媒の5つの機能
(地球環境保護材料)
(=油分など)を分解除去
(d) チタン酸バリウム BaTiO
3:チタニア(TiO
2)を炭酸バリウムと反応させて焼結したもの
で、誘電率
*)が大きく、コンデンサ材料の代表的材料として
多用
*) 誘電体・・・電圧を付加した時には定常電流は流れないが、 電荷を蓄積することのできる材料[:コンデンサ] 誘電率:ε(比例定数)・・・D=εE 電束密度:D(・・・誘電体により形成されたコンデンサの単位 面積当りに蓄積される電荷量) 電界:E[V/m] 図 セラミックコンデンサ (・・・電子製品、IT産業に不可欠) 電磁気学の基礎2. 非酸化物系セラミックス
『代表的な材料』
(人工的に合成した新しい無機物を原料をとしたもの)
:Si
3N
4(窒化ケイ素),SiC(炭化ケイ素),BN(窒化ホウ素),
ZrC(炭化ジルコニウム),C(ダイヤモンド),炭素繊維
・・・フラーレンC
60,カーボンナノチューブ
『代表的な特性』
:共有結合が支配的であるため、高温強度・脆性に優れる
物質中最も強い化学結合 セラミックス最大の弱点(a) 窒化ケイ素Si
3N
4① 熱膨張率が小さく,かつ熱伝導率が大きいため、
熱衝撃に強い
② 高温強度は1473Kで約700MPa以上を示すため、
各種耐熱材料以外に高温用機械部品材としの応用が期待
(:切削工具,ガスタ-ビンの回転軸など
・・・cf.Niタ-ビン用基耐熱合金:1366K-300MPa
(ジェット機のタービンブレード・・・
金属の2倍以上
)
の代表材料)
セラミックス高温高強度材料の代表的物質
「セラミックスエンジン材料」用構造材料
高温での変形が金属とは異なり小さい
金属と同程度の高い値海底地震観測の現場を支えるファインセラミック材料
高い圧縮強度、耐食性、比重の小さい窒化ケイ素Si3N4は、深海用 耐圧容器,特に、世界一深いマリアナ海溝の11,000mの深海に、地震 計(自己浮上型海底地震計:海底で地震を観測・記録する装置,観測 終了後、本体のみを海面に浮かせ、船で回収し、地震データを解析) の保護用耐圧容器として使用されている(b) 炭化ケイ素SiC
① 伝熱性に優れるため、
高性能IC基板
に利用
② 硬度が大きい
③ Si
3N
4同様,耐熱材料として期待
④ 抵抗発熱体(通電により材料自体が高抵抗に起因して
発熱し高温になるもの)→ セラミックスファンヒーター
⑤
次世代パワー半導体
:電力(電圧)変換機器(インバーター)用半導体素子
⇒ 交流電圧を直流電圧に高効率に変換(ex.60Hz → 50Hz)
・・・SiをGaNやSiCといった化合物半導体で置き換える
ことで,Si製パワー半導体素子(以下,パワー素子)で
実現できない大幅な効率向上や小型化が見込めるため
例えば,送電システムや電車,ハイブリッド車,工場内の
生産設備,太陽光発電システムで利用するパワーコン
ディショナー,エアコンを始めとする家電,サーバー機や
パソコンなどの分野で使用する次世代用高性能半導体
素子材料としてGaNやSiCが今後の発展が期待される
図 次世代パワー半導体の用途・応用分野