診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護 対象 : LabCorp. v. Metabolite 米国最高裁決定(
二○○六)の意義
著者 井関 涼子
雑誌名 同志社法學
巻 59
号 3
ページ 1‑53
発行年 2007‑09‑30
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011317
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象同志社法学 五九巻三号
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象
― LabCorp. v. Metabolite
米国最高裁決定(二〇〇六)の意義―
井 関 涼 子
(三九) 目 次
1.はじめに 義意の定決件本⑸ 判 ⑷ 裁の所判断 為行の者事当⑶ 容の権許特⑵ 内 要概⑴ etorp. v. MCaboliteLab2.件事
る見解 き明⑵ 本件発はす特許権の保護対象 とべはといなすで 意見 ⑴ 政府の書 teolietMv. p. orCabLab3細巡.事を件る議論の詳 場れを支持する立とでもないいしての見ず解⑷ ⑶ 本件特許権は有効であるとる見解す
論に 技術分野⑷ よ区別の理る 則現然自、 法然自⑶ 、象ア抽象的アイデとしての検討 検討の ク⑵ バイオてテノロジーとし ⑴ 医療方法としての検討 ――4範の象対護保の権許特囲察 考. し自 ⑶ 発明の義の「定然件法見の直要」則 発題問の護保許特の明途機るす連関に品食性能⑵ 用 技医療特術の許 ⑴ 5唆示のへ法本日.
6.おわりに
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象二同志社法学 五九巻三号 (三九二)
1
.はじめに 二〇〇五年から翌年にかけて、米国の特許関係者の間で最も注目されていた訴訟は、L ab C or p. v. M et ab oli te
事件 (以(下、 1)
M et ab oli te
事件と略称)であった。最高裁が、旦はce rti or ar i
(裁量上訴)を認めながら、最終的にはこれが不適切であったとして却下し実体的判断を下さなかったためか、あるいは、この訴訟の意義が正しく伝わらなかったのか、我が国ではあまり注目されなかったように見えるが、特許権の保護対象について、半世紀ぶりに最高裁が判断しようと乗
り出し、米国ビジネス界の鋭い意見対立が噴出した事件であり、今後の米国特許制度の動向を見極める上で非常に重要な意義を有するものである。本件で問題となった特許権は、病気の診断方法にかかる発明を対象とするものであり、我
が国で現在論争中である医療方法に対する特許の問題はもとより、バイオテクノロジーに特許を与える範囲についても、我が国での議論に示唆を与えるものである。米国で論じられたように、さらにビジネス方法特許をも含んで、特許
権の保護対象は何かという特許制度の根幹をなす問題を突きつけている。 日本特許法では、特許権の保護対象となる「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」
であるという定義規定を設けている(特許法二条項)。この定義は、二〇世紀初頭のドイツの学説に淵源を持つとされ、その自然権的な発想が現行特許法には適合しない (
自然と学科るす究探を理真し識認を自、るいてしと提前、はいるあ、 2)
然を加工し物を製作する技術を峻別することが、今日では科学技術の成立により無意味となったこと (
、然るところである。特に、「自法て則の利用」の要件についてはいれ解や行法に即したさ釈、再検討を要すると主張 と理由をして、現 3)
コンピュータ・プログラム自体は計算式としてこれを満たさないと解されてきたため、プログラムに関する特許権付与の現実的必要との間の調整に特許庁は腐心してきた。そして、二〇〇〇年頃にビジネス方法特許が問題になったこと等
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象三同志社法学 五九巻三号 をきっかけとして、二〇〇二年には「プログラム」を物の発明に含むとする特許法の改正が行われた際、自然法則要件の撤廃の主張についても審議会では議論されたが、結論として、同要件をはじめ、発明の定義規定はそのまま存続させ
ることが決定された。 発明の定義を規定することにより技術の発展に対応した柔軟性を持ちえないとする批判や、自然法則要件の撤廃論が
根拠のつとして仰ぐ外国における扱いは、米国において、特許の保護対象につき「新規かつ有用な方法、機械、製品、組成物、あるいはこれらについての新規かつ有用な改良を発明または発見した者は、⋮⋮これに対して特許を受けるこ
とができる。」(米国特許法〇条)と規定し、発明の定義規定を持たないばかりか、判例は「太陽の下、人間により作られたものはすべて特許の保護対象である。」(
Diamond v. Chakrabarty
(九八〇 (C ha kr ab ar ty
)〔以下事件と略称〕) 4)と宣言して、保護対象の範囲をほとんど無限定とも見えるほどに広く認めていることである。すなわち、米国が特許保護を広く認めていることが、米国の現在の技術発展の原動力になっているという見解である。しかし、その米国におい
ても、〇条の例外として特許保護対象から除外するとされるカテゴリーが存在する。これが、判例法により打ち立てられた、「自然法則、自然現象、抽象的アイデア」は保護しないという法理である。
M et ab oli te
事件では、特許権が自然現象自体に付与されたもので無効といえるかが争われ、この判例法理の適用のあり方が問題となった。すなわち、
現在の米国特許庁、連邦巡回区控訴裁判所(以下CAFC)による、保護対象の広い解釈運用に対する強い異議が表出されたのである。米国において広く特許保護を認めることが、現在どのような状況を生み出しているかを検討する上で、
M et ab oli te
事件は重要な議論を提供するものである。 本稿では、M et ab oli te
事件における論争を詳細に検討し、これを、医療方法の特許保護の問題、次いでバイオテクノロジーの保護対象の範囲の問題、そして、自然法則、自然現象、抽象的アイデアの保護対象除外のルール全体の問題と
(三九三)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象同志社法学 五九巻三号
いう三つのレベルから考察する。本件では、バイオテクノロジー分野、情報技術分野を中心に多様な意見が表明されて
いるが、近年、特許制度のありかたとして、裁判所が、政策レバーとして柔軟な法的基準を用いて、産業・技術分野の適性に応じた対応をすることが学説上提唱されている。本件で争われた問題は、このような分野に応じた対応という観
点からはどのように考えられるか、併せて検討する。最後に、日本で最近問題になっている、医療方法に対する特許の問題等について比較検討することにより、示唆を得たい。
LabCorp. v. Metabolite 2
.事件⑴ 概要 原告(被上告人)
M et ab oli te
らは、診断方法の発明にかかる特許権の間接侵害等を主張して、被告(上告人)L ab C or p.
を訴えた。第審およびCAFCは侵害等を認めたところ、被告は、本件特許権は特許の保護対象ではない自然現象自体を対象とするもので無効であると(実質的には)主張して最高裁のce rti or ar i
(裁量上訴)を求め、最高裁はこれを認めた。しかし結局、最高裁は本件決定により、
ce rti or ar i
を認めたのは不適切であったとして、これを却下した。理由は、本件争点が下級審で適切に主張・審理されていなかったという手続的不備にあると推測される。B re ye r
判事の反対意見(St ev en s
判事、So ut er
判事が同調)がある。なお、R ob er ts
長官は忌避したため (ab ty ic C ha kr am ar us c ur ia e br ie fs
れ、らせ寄許特対権事〇八九(件てのっ巡を象護保が (al er en G r ito lic So
の件九め、るかいつに件本。 あ最で人八は官判裁たはて高)ほた求を裁意に見官長務訟(がら自 、し加参に定決 5)だ。ん呼 を)関的心会るす敵匹もに社 6) (三九)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象五同志社法学 五九巻三号 ⑵ 特許権の内容 本件特許権(
U .S .P at .N o. 4 , 94 0 , 65 8
)は、ビタミンB
(ビタミンB
すかかに明発の法方る断診を症乏欠)酸葉び及る12ものである。ガンをはじめ重篤な疾患を引き起こすこのビタミン欠乏症は、早期診断により容易に治療できるが、正確な診断方法がなかったところ、三人の医師が、血液中のホモシステインというアミノ酸が高レベルになることとこのビ
タミンの欠乏症の相関関係を発見した。これに基づき原告(のうち社)が、ホモシステインについて血液検査をすることでビタミンB欠乏症を診断する方法として本件特許権を取得した。
本件訴訟で争点となったのは、全部で三あるクレームの中のクレーム
ムれらかの記述により限定さて、いるところ、このクレー何てのいつに法方査検
13
ある。他のークレでムは、ホシステインモ13
は、「① 体液中のホモシステイン全体のレベルの上昇を検査し、かつ、② 当該ホモシステイン全体のレベル上昇と、ビタミン
B
こミタビの物動血温、るならかとるン欠または葉酸の乏け症とを関連づ12B
乏るす見発を症欠の酸葉はたま方12法。」(番号は筆者による)という、限定のない極めて広い記述がなされている。
⑶ 当事者の行為
M et ab oli te
は、特許権者からライセンスを得て、L ab C or p.
に対してサブライセンスを与え、L ab C or p.
はこれに基づいて、血液のホモシステインレベルの検査を実施していたが、やがてL ab C or p.
は、経費削減のためロイヤリティ支払いを中止し、他研究所が開発したホモシステイン検査に変更した。したがって、ホモシステインの検査方法自体は本件特許権の他のクレームに記載されたものとは異なり、本件特許発明のうちクレーム
13
い囲範的術技はてつ以にムーレクの外に属さなかったものと考えられる。
(三九五)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象六同志社法学 五九巻三号⑷ 裁判所の判断
M et ab oli te
は、直接侵害、寄与侵害〔米国特許法二条⒞〕(以下、第C L p. or ab
セイラびよ。スお〕、⒝条ン反契約違に基づきを訴えた二を許導誘的極積)、す指〔法4
までなは特に断ら章い限り条文は国特米 コロラド連邦地方裁判所は、直接侵害については、L ab C or p.
はホモシステイン検査を実施しているのみで、「関連づける」ステップを行っていないとして、L ab C or p.
非侵害のsu m m ar y ju dg m en t
(略式判決)を下した。しかし、他の三
つの主張について、陪審はM et ab oli te
の主張を認めた。寄与侵害、積極的誘導において、直接侵害を行っているのは、診断した訴外医師である。裁判所は故意侵害に基づく二倍賠償と終局的差止命令をL ab C or p.
に命じた。地裁段階で、L ab C or p.
は〇条に基づき特許の保護対象ではないことを理由とする特許無効は切主張していない。 CAFCにおいて、L ab C or p.
は特許無効の主張をしたが、その根拠は明細書の記載不備および実施可能性の欠如( 二条)であった。L ab C or p.
は、クレームと的占独を実事本基学る科、し得取を許特すこ係主け付裏のそ、し張ととるあで当不りなにに関あ連学科ういとる的が
13
特なうこよの定、りあでを限無許は認めるなら、事実Aと事実Bに関ば して〇条に関する最高裁判決であるD ia m on d v. D ie hr
(九八 (載」レクを方りやるムけづ連関、「は点ーにのが記の書細明、と記こいないてし載重張自張条体は主していない。主
D hr ie
件事)〔、下以略とが称〕を引用した、〇 7)不備及び実施可能性欠如に当たる(二条)ことにあった。CAFCは、クレーム
D hr ie
。て、地裁の判断を維持し、事ともたっかなれ触に件条〇もにしい釈り解なは明確であ、よ記載不備に当たらる13
に裁地の語用」るけづ連関「の そこで、L ab C or p.
は最高裁にce rti or ar i
を申し立てた。最高裁は申立にかかる三つ目の争点についてのみ、ce rti or ar i
を認めた。その争点は次の通りである。「テスト結果を単に﹃関連づける﹄ように指示する、無限定で、記載がなく、実施できないステップを記載した方法発明の特許により、医師がテスト結果を見てその関連性を考えただけで必ず特許 (三九六)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象同志社法学 五九巻三号 侵害になるような、治療において用いられる基本的な科学的関連性を独占することが可能であるか。」 最高裁は、自ら「本件特許は、﹃自然法則、自然現象、抽象的アイデアについては特許を受けることはできない
〔
D ia m on d v. D ie hr
(九八 (r ito lic So
てう問題を立れ、ことについてい」)〕し﹄ことを理由とてか無効であるかどう 8)G en er al
(訟務長官=政府)の意見を求めた。政府は、本問題を議論するには下級審の審理が尽くされていないとして、 却下を主張する意見書を提出した。この他、九件のam ic us c ur ia e br ie fs
が提出された (でめ意見を述べているものがあるた、体実質的な意見表明主体数は六が主る件持す二もの〇が(主体、六で件
p. or C ab L
訳その内。は、を支 9)ある (
M et ab oli te
もがに的質実(件五るの六、す持支を)、は 10)(なものもるすとい件で持支のらちど)、が 11)(
支とで持いのらちどすなる件の内二件も ( 、しだた。たっあで 12)
るべ対象を限定すき保と主張してい護、最は判批を決判の近しのCFAC、 13)
ので、
L ab C or p.
寄りの立場に近い。同様に件 (rti or ar i ce
切しとたっあでは適不のため認をてれ、却らべ述は由理の下。下たし下を定決るす却、 は裁高最、後のそte et M ab oli
すべ定き象限をは対護保でりないとしておは寄りである。、 14)ていない。
B re ye r
判事が反対意見を述べ、St ev en s
判事、So ut er
判事が同調した。⑸ 本件決定の意義
M et ab oli te
事件における最高裁の却下決定の理由は、政府の意見書に詳細に述べられているとおり、上告人L ab C or p.
が下級審において争点を主張していなかったという手続的欠陥にあると推測される。しかし、B re ye r
判事らの反対意見 は、この手続的欠陥を認めつつ、それでもなお、提出された多数のam ic us b rie fs
により議論は尽くされており、最高裁としてこの問題につき判示することが公益にかなうと判断した。特許の保護対象を巡り、最高裁に多数のam ic us c ur ia e br ie fs
が寄せられたのは、二五年前のC ha kr ab ar ty
事件 (am ic fs ie br e ia ur c us
どんとほのがので件事同、がたっあで来以 15)(三九)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象八同志社法学 五九巻三号
当該発明を特許対象とすべきであるという意見であったのに対し、本事件での意見は鋭く対立している。とりわけ、
L ab C or p.
の主張には、政府意見で述べられた通り致命的な手続的欠陥があったにもかかわらず、L ab C or p.
(特許無効)を支持する主張がM et ab oli te
(特許権)支持より二~三倍多かったことは、注目に値する。これらのam ic us c ur ia e br ie fs
から、現在、米国のビジネス界では、CAFCおよび特許庁による保護対象の広い解釈に対して、非常に大きな不満が渦巻いていることが読み取れる (lic or So r G en er al i ar rti ito ce
助言のを求め、相当な自ら、め認をが裁高最、たま。 16)時間を割いて口頭審理も開いたことは、最高裁も、〇条のCAFC解釈の見直しに関心を有していることの証左である (
る対、最高裁が特許の保護象よについての基準を判示すりに、とたがって、近い将来適。切な事案が争われるこし 17)
日も近いと予想される。そこで、ここで主張された様々な見解を吟味することにより、特許の保護対象を、半世紀前から飛躍的に進歩している技術に照らして再考してみる。
LabCorp. v. Metabolite 3
.事件を巡る議論の詳細⑴ 政府の意見書 (
18)
So lic ito r G en er al
が提出した米国政府の意見書では、次のように論じられている。自然現象を特許対象外とする理論に基づき、本件クレームが有効かどうかについては、下級審で検討されておらず、したがって、本件クレームによる自然法則の利用法が特許対象となるかどうかの判断の基礎となる事実が不足している
ため、本件
ce rti or ar i
は却下すべきである。 「自然法則、自然現象、抽象的アイデア」は特許の保護対象とならないとする原則について最高裁はP ar ke r v. F lo ok
(三九八)診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象九同志社法学 五九巻三号 (九八 (
lo F ok hr ie D
)や(件事略称八と件事下以)(九 19)(あクしと体全ムーレ①検、りた当にるすて討判態で法方るえ変に状しるな異を物、て断を明条発の〇の要件該当性 示きてし例判ていおに。たでこれらの判)は、方法の等 20)
ること、②当該自然現象を本質的に実用に用いうるあらゆる技術をクレームしていてはならない、という二つの基準について判断しなければならないとしているが、本件の下級審ではこれらの検討をしていない。また、
F lo ok
事件では、 これら二つの要件に加え、自然現象以外に発明概念が含まれていなければならないという要件が課されている。もっとも、その後のD ie hr
事件で、数式を利用した合成ゴムの加硫方法は特許対象足りうると判示して、F lo ok
事件で課した「自然現象以外の発明概念」の要件については
D ie hr
事件により不要と判断しているので、その限りにおいて判例が変更され、D ie hr
事件ではF lo ok
事件より保護対象を拡大していると解釈する余地もある (、のもてし解にうよそ、らがなしかし。 21)
最低限必要な上記①、②の要件について本件下級審で判断されておらず、加えて、もし
F lo ok
事件の要件が生きていると解するなら、「自然現象以外の発明概念」の要件も判断されていないことになる。CAFCでは、
D ie hr
事件やF lo ok
事件の解釈として、In r e A la pp at
(九九 (い確のこ。たし立をえルールういと考方な方つに許特の法スはネジビに後、るとにで象供せられ用有ある場合は保護対 概より、数学的用念であっても実)に 22)
て問題になった
St at e St re et B an k & T ru st C o. v. Sig na tu re F in an ce G ro up , I nc .
(九九八 (at St e St re et B an k
)〔以下事 23)件と略称〕においても踏襲されている。この自然現象を特許対象外とする理論について、最高裁では
D ie hr
事件(九八)以来約二五年間、判断されていないため、特許庁はこのCAFCの基準を適用してきた。その結果、これに基づいておびただしい数の特許権が成立しており、もし今この基準を変更するとすれば、多くの特許権の存立基盤を脅かし、産業界に非常に大きな影響が及ぶ。本件は、以下に述べる理由から、そのような重大な根源的問題を扱うために適切な
裁判ではない。
(三九九)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象〇同志社法学 五九巻三号
上告人
L ab C or p.
は、自然現象の理論を下級審で主張せず、クレームが不明確であるという主張の裏付けとして大ざっぱな議論をしただけである。主張していない以上、被上告人側に反論する機会も保障されていなかった。また、本理論が適用される場合に必要な上記要件についても審理されていないし、クレーム解釈も本問題を前提としてなされてい
ない。本件明細書には、付加的なテストによりビタミン
ッ連ッテス」るけづ関は「たっなと題問プ、りなテス考思るな単う問よるいてれさに題、おてとにできこるも記載され
B
)の酸葉と(ンミラバコずいあれの欠乏症でるのかを明らか12プではなく、診断に、より多く関わるものであるように限定解釈できる可能性もある。しかしながら、このような議論をする機会もなかったのであり、これは自然現象の理論を論ずる上で重要な欠落である。結論として、本事件は、最
高裁が提示した問題を解決するための適切な事案ではない。 以上の米国政府の意見は、以下に述べる多くの
am ic us b rie fs
に共通したものであり、最高裁の却下決定を導いたと思 われる。しかし、他のam ic us b rie fs
は、具体的なこの事件に関しては却下すべきという見解を採りつつも、なお般論として特許保護対象の問題について意見を述べているのである。⑵ 本件発明は特許権の保護対象とすべきではないとする見解 上告人
L ab C or p.
を支持し、本件特許は無効である旨を主張する見解は、前述のようにam ic us b rie fs
九件の内〇件あり、米国医師会(A m er ic an M ed ic al A ss oc ia tio n
)は医学研究者や医師の他の学会等五団体 (と共同で提出し、バイ 24)
オ研究技術開発会社の
A ffy m et rix
が大学教授(Jo hn H . B ar to n
)と共同で提出しているため、六団体(あるいは個人)が意見表明しており、全体の過半数を占めている。主張しているのは、B re ye r
判事の反対意見の他、医師会や医療団体等の医療関係者が多い。診療方法等の技術の利用者である医療関係者が、その特許化に反対することは首肯できるが、 (〇〇)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象同志社法学 五九巻三号 特許無効の主張は、金融関係の企業(
F in an cia l Se rv ic es I nd us tr y
)や、コンピュータ通信産業協会(C om pu te r &
C om m un ic at io n In du st ry A ss oc ia tio n
)といった本件発明とは異分野のビジネス界からも提出され、さらに、アメリカ 退職者協会(AARP)や医療利用者協会(P eo ple ’s M ed ic al So cie ty
)などの公益団体も意見書を提出していることが注目される。① Breyer 判事の反対意見
St ev en s
判事、So ut er
判事も加わった本件反対意見は次のように主張する。 自然法則、自然現象、抽象的アイデアは特許できないという原則は、古くイギリス及びアメリカ法に淵源を持つものであり (
的益にいなれしもかるあで有かにい大に類人がとこるもか与る目の法憲、りよにとこあわで大過が護保許特、ずらえを な明で用有、かとるあで自ブが則法然自、は由理のはい、にィテンセンイ的銭金、対と反、くなはでとこういそ 25)
である技術進歩を妨げる可能性があるからである。特許は、自由な情報交換を妨げることにより研究を阻害することがある。特許による過大な保護と、過少な保護の双方を避けるための方法のつが、特許可能な範囲に入る発明のタイプ
を分けることであり、基本的科学〔数学を含む〕原則を除外することも、これに含まれる。最高裁は、基本的な科学原
則は「知識の宝庫」(パブリックドメイン)の部として、誰にも独占させすべての人の自由な利用に委ねてきたが (
やらブを与えうるにもかかわずテ、有用な知識自体の発展ィンをセれは、そのようなもの特許により保護すればインそ 、 26)
普及を妨げることがあまりにも多いからである。 本件について最高裁が判示すべきではないという手続的問題があることは認めるが、判決すべき、より重要な公益、
すなわち、もし特許が無効であった場合には、医学研究者、医療従事者、患者の受ける利益があり、特許が有効であっ
(〇)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象二同志社法学 五九巻三号
た場合は、法的不確実性が除去でき、またいずれの場合にも、法全般を扱う最高裁と、専門家との間で、現在の特許制
度が、十分バランスのとれたものとなっているかどうかについて対話が可能となる。 本件クレーム
13
し、自然現象に該当、て明らかに無効であるもしは解、自然現象の理論の釈とをいかに狭く解した。特許権者は、検査に用いられる血液サンプルの物質的変化が含まれているので、特許可能であると主張したが、クレーム
13
うレベルの情報がどのよにイ得られようと関係がなンテはで血液を変化させる方法はスないのであって、ホモシい のだから、この主張は容れられない。 特許権者はSt at e St re et B an k
事件CAFC判決(九九八 (で判的体具で用有「たれさ示でここ、がるいてし用引も) 27)
現実的な結果が得られる方法は特許の対象となる」ということは、最高裁で判示したことは度もなく、文字通り解するならば最高裁はむしろ逆の判示をしてきた (
。 28)
結局のところ、本件発明は、特許を受けられない血液検査等以外には、ホモシステインとビタミン欠乏症の関連のみであって、これは自然現象に他ならない。
B re ye r
判事らの以上の反対意見の中で、St at e St re et B an k
事件CAFC判決を正面から批判していることは、興味深い。また、本件訴訟における手続的不備を認識しつつも、判決することに、これを超えた公益を認めている点は、これらの判事が、特許の保護対象についてCAFC等による基準に対して喫緊の問題を意識していることを示していると思われる。
② 米国医療検査研究所協会
(29)
この協会のメンバーは、全米における二の研究所であり、病医院の附属研究所以外の研究所で実施されている医療 (〇二)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象三同志社法学 五九巻三号 検査のうち全米の六割を供給している。この協会の主張は、もし、本件特許が有効とされれば、人体の化学的関係を発見すればこれに基づくいかなる診断方法についても独占することができ、診断方法の改良発展を禁止するか、または限
定され費用のかかるものにしてしまうというものである。そして、やがては研究所が生命に関わる新しい診断方法を供給し患者がこれを享受することを害するであろうことを危惧している。診断方法技術を専ら利用する立場としては、当
然の主張と思われる。
③ 米国医師会
(等、医療関係六団体
30)(31)
これらの六団体は、医師や医学研究者等、臨床の現場や医学教育に携わっている立場を代表している。この意見書が
述べるには、ヒポクラテスの時代から、医療に関する発見、進歩は自由に共有し広く開示するのが医療倫理の基本教義であり、これにより医療についての知見は患者の診断治療において容易に、最低限のコストで得られ、患者に最善を尽
くすという医師の根源的義務の遂行にも資してきた。二〇〇年以上、この職業倫理と特許法は調和を保ってきたが、本件における下級審が最高裁の先例に従わず誤った法解釈をしたことにより、医療倫理と緊張関係を生じている。本件ク
レーム
13
のの有無に関わらずどよ特うなテストでも指示し許、はを、科学的事実に独占権与がえるものであり、医師、その結果を見てホモシステインとビタミン欠乏症の関連を想起すれば、特許侵害に問われるものである。このような科学的事実について特許を認めれば、医師が患者に最善の診断を下すことを妨げ、健全な医療行為を阻害する。
医療現場に関わる立場としては、前述の医療検査研究所と同様、利用者として特許による独占に反対することは首肯できるが、注意すべきことは、利用者のみならず、大学等における研究開発に携わる立場の者も多く含んでいることで
ある。研究開発者は、特許取得もまた可能な立場であり、それらの者も特許に反対していることに留意すべきと思われ
(〇三)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象同志社法学 五九巻三号
る。
④ 金融サービス企業体
(32)
この企業体は、
B ea r, St ea rn s & C o. In c.
とL eh m an B ro th er s In c.
といういずれも大手投資会社から成っている。この意見書が主張するのは、D ie hr
判決によれば特許されないはずの抽象的なビジネス方法が、現在のCAFCの〇条の解釈により特許されており、金融サービス業界の改良と効率性を妨げているということであり、結論として本件判決は破棄すべきであるとしている。
本件発明が属する医療技術やバイオテクノロジーとは無関係の金融サービス業界からの意見であることが注目される。最高裁が米国政府の意見を求めた際に、
D ie hr
判決を引用したことに伴い、自然現象や自然法則のみならず、抽象的アイデア除外の判例法理にも言及したことから、ビジネス方法の特許に関しての意見が出されたものである。投資会社は、ビジネス方法を利用する立場でもあるが、これについて特許権を取得する側にも立つ可能性があると思われ、こ
のような立場から、広範な特許付与に反対している点も目を引く。
⑶ 本件特許権は有効であるとする見解 方、特許権は有効であるとする意見書は、法律家に多いことが特徴的である。
① 連邦控訴裁判所弁護士会
(33)
この団体は、CAFCでの業務を行っている約二〇〇名の弁護士の組織であり、CAFCに対する助言も行ってい
るという立場上、CAFCの判例法理の形成の翼を担っているといえる。したがって、この意見書がCAFCの裁判 (〇)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象五同志社法学 五九巻三号 例を支持することは当然である。この弁護士会によれば、〇条の保護対象についての判例法による制限は、益するより害多く、古くから論じられているにもかかわらず議会が立法措置をとらないということは、変更しないという意図
を示しているのであって、CAFCの先例を維持すべきである。そもそも、特許の保護対象たるべき技術の発展は予測不可能であり、広く特許を認めた方が技術発展に資する。また、不当な特許は、新規性や非自明性の要件、記載要件に
よりケースバイケースで排除できる。侵害責任の免除の立法という手段もあり、現実に議会は、
P all in
医師が白内障の手術方法に関する特許権を医師の手術に対して行使しようとした事件をきっかけとして、医師の行為に関し、医師や医 療機関に対しては特許侵害の救済規定は適用しないという立法(二八条⒞)をしている (せ術、予測不可能な多様な技をで広く取り込むために制限は口護入このように、特許の保対象という特許出願審査の 。 34)
ず、その後の新規性等の要件あるいは侵害段階で、個別の対応を取るべきであるという見解は、他の意見書にも多く見られ、傾聴に値するものである。特許付与による過大な保護と過少な保護とのバランスを取らなければならないという
問題意識は
B re ye r
判事らの反対意見と共通にしつつ、その手法、あるいは段階における見解の相違と思われる。② 二企業の共同意見書 ( Perlegen Science, Inc., と Mohr, Davidow Ventures )
P er le ge n Sc ie nc e
社は、患者の遺伝子分析により個別化された、安全で有効な医薬の研究開発を行う企業であり、M oh r, D av id ow V en tu re s
社は、シリコンバレーのベンチャーキャピタルで、予防診断や個別化医薬など基礎的な改良や発明を元にした分野を扱っており、スタンフォード大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学のような学問研究機関からの生命科学の起業に関わっている。これら、最先端の遺伝子関連の医薬開発研究機関とこれを支援する投資
会社の見解は、このような先端技術の開発への民間企業のインセンティブを考える上で重要である。この意見書は、も
(〇五)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象六同志社法学 五九巻三号
し、本件クレーム
13
、開発している企業ベ研ンチャー・キャピタ究をがと特許対象ではないす法れば、同様の診断方ルの研究、投資インセンティブを著しく弱めることになると主張している。
③ その他の主張
ローレビューに公表された見解として、上記とは異なる解釈に基づいて本件特許を有効とするものがある (。この主張 35)
によれば、上告人
L ab C or p.
が、特許取得手続において、拒絶理由通知を受けてその解消のために「関連づける」ステップを追加したことにより、本件クレームは、単にテスト結果を関連づけることに及ぶのではなく、ビタミンB
欠乏症12が疑われる、またはこれを検査することを目的とした特定の人々に対して、テストを実施しその結果を欠乏症に関連づけるという限定された行為にのみ及ぶ。また、この技術は、
in he re nc y
の理論(後述)により新規性喪失ともいえないから、特許権は有効であるとしている。
⑷ いずれを支持する立場でもないとしての見解 件の
am ic us b rie fs
は、上告人、被上告人のいずれを支持する立場でもないとしつつも、二件は、特許の保護対象の範囲を現在の特許庁やCAFCの解釈よりも限定するべきであると主張し、件は反対に、現在のCAFCの解釈を堅持すべきであると主張している。
① 保護対象の範囲を CAFC の解釈より限定すべきとする見解
ⅰ ニューヨーク市弁護士会 (36) (〇六)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象同志社法学 五九巻三号 この弁護士会の主張は、CAFCが最近、
D ie hr
事件最高裁判決の基準から離れようとしているが、この基準を再確認すべきであるとする。CAFC判決の中には、クレームによっては、その範囲の検討を抜きにして、保護対象である ことを認定しているものもあることを批判し、D ie hr
基準を適用するための分析にはクレームの範囲の検討が欠かせないと主張している。また、新規性等の特許要件を判断することによって、不当な特許権を排除できるという主張があるが、〇条の要件は新規性等の他の特許要件とは独立した最初の要件であって、これらを混同してはならない。また、技術発展は予測できないのだから、技術によっては〇条の分析を要しないとするなど、〇条の分析を要するケ
ースを限定してはならない。
in he re nc y
理論(後述)では、自然法則の不当な独占を排除できない場合があると述べている。ⅱ IBM社 本件での事実は、特許の保護対象の範囲を分析するにはふさわしくないので、裁判所は適切な事件が問題になるまでこの問題につき判示すべきではないが、万、ビジネス方法について判示する場合のためにと断って、意見を述べている。最高裁が確立した〇条の解釈は、保護対象は技術的貢献を含むもの、すなわち、特定の機械や装置と結びつい
た、あるいは、物を異なる状態や物に変化させる、有体物または方法であって、技術的に有用な結果をもたらす発明に
限られる、というものであった。ところが、最近のCAFCでは
St at e St re et B an k
事件のように、ビジネス方法の特許に関して単に有用で具体的で現実的な結果が得られればよいとされ、技術的有用性のない抽象的なビジネス方法にまで不当に保護対象が拡大し、その結果、特定の課題の解決のすべてを独占して有用な周辺技術の開発を阻害し、発明者にはその貢献以上の報償を与えている。最高裁は、もし本件事実を離れて判示するのであれば、〇条の特許対象の要
件を満たすためには技術的貢献が必要であって抽象的な、あるいは非技術的なビジネス方法については特許を拒絶すべ
(〇)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象八同志社法学 五九巻三号
きことを再確認すべきである、と主張している。
② 保護対象の範囲を限定すべきではないとする見解 ― 知的財産権者協会
(ああはできべす更変、てっでい確明つか当正は準基の象護な。全つつげ遂を展発でさ速の前空が術技の域領いし新く対
D ie hr
る保いンメが業企の数多るてーし有保を権産財的知 バとな主よに決判、ばれよに張のこ。るあで会協るいてっ―
37)る中、法には予測不可能な発展に柔軟に対応する余地がなければならず、特許の保護対象につき微妙な制約を加えることは困難である。
E x pa rte L un dg re n
(二〇〇五 (。要るあで象対護保のの件たではないとしているめ
lo t ar al gic no ch te
条〇う、()で特許庁審決も、技術)はであるかどうかとい要件 38)新規性、非自明性、明細書記載の要件により、特許権の保護が過剰になることは防止できるのであって、更に保護対象を限定する必要はない。
また、新規性に関する内在的記載の理論(
do ct rin e of in he re nc y
)により、出願時に知られていなかった自然現象や自然法則も先行技術足りうる。たとえば、In r e C ru cif er ou s Sp ro ut L iti ga tio n
(二〇〇二 ()では、抗ガン作用のある酵 39)
素を誘導する物質が豊富に含まれる、主としてアブラナ科のもやしによる食品を作る方法の発明にかかる特許権が無効とされた。当該もやしは新規なものではなく、発明者は単に、その先行技術に内在していた(
in he re nt
)性質である、抗ガン作用のある酵素を誘導するという性質を見いだしたに過ぎず、この性質が出願時に知られていなかったことは関係しないとされた。 (〇八)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象九同志社法学 五九巻三号
③ その他の見解
ⅰA m er ic an E xp re ss C om pa ny
自然法則・自然現象の排除の原則と、抽象的アイデア排除の原則は、別の政策であって区別すべきであり、本件は前者の問題である。本件には、ビジネス方法特許の問題のような、〇条の特許性のすべての範囲を含む事実やテーマ は全くない。ⅱ ローレビューに公表された見解 (la In r e A pp at
九として(九 40)(確はを性様多の発開術技、準基のCFACるよに) 41)
保するために、原則として変更すべきではないとするものがある。この基準により、特許権付与による利益を上回る不利益を蒙ることが明確であるごく限られた分野に限って、例外を設けることで対処できる。
eB ay In c. v. M er cE xc ha ng e,
L . L . C .
(二〇〇六)最高裁判決 (ut ev dy ne K St en en So er s
まネジビ、た事も判)方、でス法同してべ述とるあものもいわ特疑が性効有はに中の許調、が、〕K ab oli te dy M en ne B re ye r, et
るけお判事の同意意見に事(べ〔事判三た述件を見意対反で 42)特許の保護対象の基準が不適切であると考えていることを窺わせるため、最高裁が近い将来、保護対象の基準を再検討する可能性はあると主張している。
― ― 5
.考察 特許権の保護対象の範囲 以上で検討してきたように、米国ではM et ab oli te
事件を巡って、特許権の保護対象の範囲について様々な意見の対立が浮き彫りになった。問題とされた特許発明が診断方法の発明であったため、医療方法の特許の問題が直接関係するのみならず、関連の深いバイオテクノロジーの問題としても検討する必要があり、更に、最高裁が、特許保護対象につい
(〇九)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象二〇同志社法学 五九巻三号
ての自然法則、自然現象、抽象的アイデアの例外のルールを問題として提示したため、これらの技術分野を超えて、抽
象的アイデアかどうかが問題となるソフトウェア技術も含め、特許の保護対象全体の問題として議論された。以下では、これら三つのレベルに分けて検討する。
麻論りうるかをめぐっては、長年議が象あったが、エーテル吸入によるた対でお 米国許は、医療よび手術の方法が特
① 医療および手術の方法が特許対象たりうるか ⑴
討検のてしと法方療医 酔方法に関するM or to n v. N ew Y or k E ye I nf irm ar y
(八六二 (rte rh x pa B rin ke of E f
言かし。したき、実れはこの判決てでされたわけ明はない。(八八三で ( なさ、医療方法は特許されい)と判示されたと、解釈で 43)rin B ke rh of f
)〔以下事件 44)と略称〕審決で、ある器具を使って痔を治療する方法の発明について、当該器具については既に特許取得済みであったが、その方法について特許出願されたケースにおいて、特許庁長官は、この
M or to n v. N ew Y or k E ye I nf irm ar y
事件が医療方法排除の法則を打ち立てているとして、「医師による疾病の治療方法は特許されない」と述べたことから、
M or to n
事件がこの法則を打ち立てたと解釈されてきたのである。しかし、B rin ke rh of f
事件で述べられた、医療方法が特許されない根拠は、治療方法は、すべての人に対してあらゆる条件下において等しく成果が得られるわけではないから、特許を与えれば、あらゆるケースにおいてその方法が成果を得られるかのごとく公衆を欺くことになるというもの
であった。 しかし、
D ic k v. L ed er le A nt ito xin L ab or at or ie s
(九三〇 (特査のトステ膚皮のめたるす検を性染感の熱紅猩、はで) 45)
許を認めている。その他にも、
B rin ke rh of f
事件と区別して特許を認める特許庁の決定が相次いだ。M ar tin v . W ye th ,
(〇)診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象二同志社法学 五九巻三号
In c.
(九五 (者明由理ういといなはで発特るた象対許特は明発るで許用特事当ていつに性象対許のが法方療医、れさと効無す利に途 で訴害侵許特のていつ法に療治の炎腺乳の牛乳訟あ)と用いし新を具器ういーりジブるあらか来従、は 46)
は何ら主張しておらず、事案の解決としては直接の関係を持たない事件であったが、裁判所は、医療方法の特許権は非常に珍しいことに触れ、商業的利益のための独占権を得るよりも、医療や手術の発見を人類の利益のために広く利用す
る方が、医師の職業倫理に適っていると述べていることが注目される (
為よ頼信の衆公りに裏とこいなはで的を切安じ行療医、るれら論る日今、りあに点定が除、排の理由果は治療方法の成
f ke rin B of rh
年の三八八、医事件では。療方法 47)の特許権が医師の自由で最適な診療行為の妨げになるという問題については意識されていないようであったのに対し、この九五年の
M ar tin
事件では傍論ながら言及されているのが興味深い。このように、医療方法排除のルールが存在しつつも、現実には特許付与されるケースもあるという不安定な状態が続いていたが、
E x pa rte S ch er er
(九五 (rh f B rin ke of
除外のルールさが方明示的に覆法よ療医るに決審件事、で決審) 48)れた。本件は、薬物を圧力噴射することで正確な深さに注射する方法の発明につき特許された事件である。この事件で審判部は、上記
M or to n v. N ew Y or k E ye I nf irm ar y
事件は、既知の方法及び物についての新しい効果を単に発見したこ とによる新規性の問題であり、また、B rin ke rh of f
事件審決で特許を付与しない根拠とされた、成果の不確実性は、あらゆる方法について特許性を否定する根拠とはならず、特許性とは別の要件である有用性の問題として考えるべきであるとした。しかし、本件発明は人体の生理学上の反応を利用していたわけではなく、人体の肉の物理的性質を利用した
だけであり、また、特許庁審決に過ぎないため、医療、手術方法般についての強い先例価値は持っていないとされる。しかし、その後数多くの医療、手術方法の特許権が成立しており、たとえば、眼内レンズの移植方法 (
や、胃腸の手術か 49)
らの回復期の患者の体内から排液を取り除く方法 (
。がるいてし立成権許特るす対に 50)
()
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象二二同志社法学 五九巻三号
② 医療行為に対する特許権の侵害訴訟の例外規定
このような流れの中で、手術方法に対する特許権の侵害訴訟も起きているが、方法のクレームが手術に用いられる医療装置と結びついており、侵害者もその装置の供給者である場合がしばしばである。しかし、手術方法について特許権
を有する医師が、当該手術を行った医師と病院を特許侵害で訴えた
P all in v . Sin ge r
(九九五 (す関、医療行為を実施する医師や連年機関に対しては、特許侵害に対に六許医術方法特九対するに師懸念から、九の っ件をき手かけに、)事 51)
る救済手段は適用されないという立法がなされた(
35 U SC § 28 7
(c
))。以下では、医療行為に対する特許について現在米国がどのような立場を取っているのかを明らかにするため、この改正法の立法過程と規定の内容を詳細に検討する こととする。 立法の契機となったP all in v . Sin ge r
事件で特許権者P all in
医師は、白内障の手術において、目の特定の箇所を切開することにより傷口が自然に治癒し縫合が不要となるため、術後に乱視にならずにすむという手術方法の特許発明を実施した医師に対して、特許侵害を主張してライセンス料を要求した。被告は、
P all in
医師が最初にこの手術を実施した日 よりも前に他の医師が同じ手術方法を実施していたことを理由とする特許無効等を主張しsu m m ar y ju dg em en t
を申立てたが、これは棄却された (dg co en em ju t en ns t
出が)裁和の上され、これ判によ解る(後。しかしその、九九六年に 52)と特許は無効であって行使できないとされた (
の次係属中の九九年の年総裁会において、医療方法へに地っだこの訴訟に危機感を持た米国医師会は、訴訟がま 。 53)
特許付与を非難する決議を採択した。米国医師会の主張は次の点である。第に、医療方法の特許権により、医師の選択肢が狭まり、患者に最良の治療を行うことが阻害される。特許権者以外の医師が実施できないことにより、当該医
療方法を広く実施して医師のコミュニティの中で検証することができなくなる。また、特許侵害を怖れて医師の自由な (二)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象二三同志社法学 五九巻三号 情報交換が阻害される。第二に、医療費が高騰する。第三に、医療方法の特許侵害を探知するために、患者及び医師のプライバシーが侵害されかねない。第に、医師は特許によらずとも医療技術の開発、改良に対する独自のインセンテ ィブを有している。このような医師会の主張は、他の医療団体からも広く支持された。 医療界の強い抗議に押されて、九九五年、医療方法には特許を付与しないことを定めた
G an sk e
議員法案(H .R . 11 27
() 54)
が下院に提出された。しかし、これに対してはバイオテクノロジー産業界から強い異議が出たほか、米国弁護士会知的財産法部会や
A IP L A
からも反対の声が上がった (の方いなし与付を権許特ていつに法断に。、法方療医、診院上、でこそ 55)
ではなく、医師の実施行為について医療方法特許の侵害責任を免除する
F ris t
議員法案(S. 13 34
(A M hR P
立見が成会をっなか法た後、案れのら師こ局結と米国製薬協会(医 ( 、しかし。たれさ出提が) 56)侵法や性許特るす対に方療医、し議協が) 57)
害行為を制限するのではなく、侵害に対する救済を医師に請求できないとすることで合意を見た。しかし、この規定は、法律案としてではなく、他の関係ない多くの法案と抱き合わせた予算案の部として提出された (
。そのため、通常の法 58)
案であれば経るべき上院司法委員会や上院全体における慎重な審議に付されることがなく、そのような手続では正当性を欠くとして上院司法委員会委員長をはじめ複数の上院議員から強い反対があったにも関わらず、この法案は可決さ
れた (
。 59)
そうして成立した改正法は、二八条⒞
条定害損、求請止差(規償済救るす対に害侵賠等てす八二、し但。る定)規といなし用適は、しに関機療医るわ関対
⑴
害療医るなとて侵許特、為いお行にを医にれこび及師、医は合場なが師す⒞⑵
法の害侵で用使たれさ許特物該成組ⅱ、のもるす当該に当害ロ方るす害侵を許特ージノすクテオイバⅲ、のもるに侵で
A
なま含をのもの次、はに」為行療医「ういでここ、いでさ械用使の物成組、品製、機れたれさ許特ⅰ。るいてとの実施、である。このⅱの「組成物の特許された使用行為」は、二八条⒞⑵
F
方達を的目の法ム⒜ーレク許特、で成(三)
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象二同志社法学 五九巻三号
するために直接役立っていない組成物の使用である場合を含まないと規定されている。すなわち、そのような場合は組
成物の使用があっても医師に対する差止等は適用されない。しかし、本条を立法した際の委員会報告書 (
っ体るか、あるいはクレーム全とでしての非自明性の確立に役立あ規プてームのステッ新しとのそ体自組れ、が物成 にレク、とるよ 60)
ているか、又は必要である場合は、その組成物の使用はクレーム方法の目的の達成に直接役立っているとされる。よって、方法クレームのすべてのステップに組成物の使用を含む特許であれば、組成物の使用は必然的に新規性の認定に役
立ち、目的達成にも役立つことになるから、「医療行為」とはされず、医師の行為であっても差止等を請求できるということになる。また、「組成物の使用」には、薬品の新規な使用や、薬品投与のスケジュールやタイミングの新しい方法、
薬物療法の新しい組合せ方法を含むとされ、たとえば、糖尿病の治療のため、医薬を特定の時間に特定の量を投与する、あるいはこれに特定の療法を組み合わせるという、医薬の新しい使用方法は、「医療行為」とはされない。この報告書
によると、たとえば新規で非自明の心臓移植方法において、従来からある麻酔を使用するステップが含まれていても、二八条⒞⑵
A
方がってこの心臓移植法、しの実施は「医療行為たずⅱ許にいう「組成物の特さられた使用」には当た」とされ、医師が行う場合は差止等を請求できない。これに対して、麻酔の実施に際して新しい麻酔薬を使用したり、新しい投与スケジュールを用いたりする場合は、方法クレームの目的として移植手術における新しい麻酔の使用を含むか
ら、麻酔薬という組成物の使用が目的達成に直接役に立つことになって、「医療行為」に入らず、医師の行為であっても差止等を請求できる点に注意しなければならない。
更に、二八条⒞⑵
し法クテオイバ、び及」方ロージロノクテオイバノジるレを作操外体生でルベ子ー分は又胞細、を品製「いれさ義定て
A
かいてれさ外除ら行」為「療医「ていおにるⅲバとで⒝条三〇、は」イ許特ージロノクテオて製造又は使用する方法、これを用いる治療方法を含む。これに該当するためには、「細胞又は分子レベルの操作」で ()
診断方法発明に用いられた自然現象と特許権の保護対象二五同志社法学 五九巻三号 あること、「生体外操作」であることが要件になる。 以上の規定を検討すると、二八条⒞⑴を読むと、医師の行う医療行為には特許権に基づく差止や損害賠償等を請求
できないように読めるものの、同条
し者償賠害損や止差は権の許特ていつに為行等規侵で。るなにとこるきが定とこるけ受を用適の害許のどんとほ、も特
⑵
りれさにき抜骨はかっすお定規のそてでりのてっあで為行師、医、ろこと局結の たがって、現実的に、この規定が医師の行為の免除としてどれほど意味があるのかは非常に疑問である。 しかしながら、方で、最初の法案を提出したG an sk e
議員は、歳出予算案の部として、特許庁の予算を、医療方法の特許を発行するために支出してはならないとする案を提出した (
。賛、票五九二成局対結はれこ、がた反立にたし立成りよ票二〇権棄、票八し対と論議の否賛の様同が
.R an H 11 . G 27 e sk
対案に案てのし(も、最初の法。)こ 61)③ Metabolite 事件の意義
このように、米国においては二八条⒞による医師の医療行為に対する免除規定が立法されたとはいえ、免除を受けられない例外が非常に大きいため、医師が医療方法の特許権について侵害責任を追及される場面は、理論上は多いと考
えられる。
M et ab oli te
事件でB re ye r
判事等の反対意見が、医療従事者が本件特許や類似の特許により制約を受ける虞が あることを指摘し、また、医療関係者からのam ic us c ur ia e br ie fs
も、同様の懸念を表明していることは、医師に対する特許権行使の虞という問題は二八条⒞により解決していないことを裏付けていると考えられる。⑵ バイオテクノロジーとしての検討
D ia m on d v. C ha kr ab ar ty
(九八〇 (を考象外であるとえ許られてきたこと対特裁は件により最高は)、従来生命体事 62)
(五)