九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
グリーンコンクリートの暑中性状に関する研究
小山, 智幸
https://doi.org/10.11501/3166920
出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
グリーンコンクリートの暑中性状に関する研究
平成1 1年1 2月
小山 智幸
グリーンコンクリートの署中性状に関する研究
第1章 序論
1 . 1 本研究の背景と目的
1 . 2 本論文の構成 5
第2章 既往の研究
2 . 1 暑中環境の特性
2 . 1 . 1 暑中コンクリートの領域
2 . 1 . 2 暑中環境の気候特性
1 )気温
2 )湿度
3 )全天日射量
2 . 1 . 3 暑中環境下の生体反応と作業特性
1 )温熱条件の定量化 2 )作業強度
3 )温熱条件の評価 4 )作業限界温度
2 . 1 . 4 マントル風化と骨材の特性
2 . 1 . 5 暑中コンクリートの要因と特性
2 . 2 暑中環境におけるコンクリートの特性
2 . 2 . 1 フレ ッシュ コンクリート
1 )コンクリートの温度 2 )スランプ
2 . 2 . 2 グリーンコンクリート
1 )打込み後のコンクリート温度 2 )ブリーディング
3 )水分の蒸発 4 )初期脆性
5 )凝結
2 . 2 . 3 硬化コンクリート
1 )直達日射を受けるコンクリートの温度 2 )含水率分布
3 )細孔分布 4 )弾性係数 5 )クリープ 6 )初期強度 7 )長期強度
2 . 3 第2章のまとめ
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第3章 グリーンコンクリートの脱水性状 3 . 1 第3章の概要
3 . 2 脱水速度の算定式 3 . 3 実験概要
3 . 4 実験結果および考察
3 . 4 . 1 実験1 :外的要因の影響に関する実験
1 )外気温度および打設温度の影響 2 )外気湿度の影響
3 )風の影響
4 )直達円射の影響
3 . 4 . 2 実験II :内的要因の影響に関する実験
1 )単位セメント量および単位水足の影響 2 )水セメント比の影響
3 )高性能AE減水剤の影響 4 )シリカフュームの影響 5 )高炉スラグ微粉末の影響
3 . 4 . 3 実験Ill:対策要因の効果に関する実験
3 . 5 解析結果および考察
1 )外気温度および外気湿度の影鐸 2 )風の影響
3 )直達日射の影塑 4 )調合の影響
3 . 6 第3章のまとめ
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第4章 グリーンコンクリートの温度変化 4 . 1 第4章の概要
4 . 2 解析概要 4 . 3 実験概要
4 . 4 実験結果および考察
4 . 4 . 1 実験1 :外的要因の影響に関する実験
1 )外気温度および打設温度の影響 2 )外気湿度の影盤
3 )風の影響
4 )直達日射の影響
4 . 4 . 2 実験II :内的要因の影響に関する実験
1 )単位セメント量および単位水量の影響 2 )水セメント比の影響
3 )高性能AE減水斉IJの影響 4 )シリカフュームの影響 5 )高炉スラグ微粉末の影響 6 ) フライア ッシユの影響
4 . 4 . 3 実験Ill:対策要因の効果に関する実験
1 )養生開始時期の影鰹 2 )養生方法の影響
4 . 5 解析結果および考察 4 . 6 第4章のまとめ
82 82 83 100 105 105 105 109 11 3 11 3 11 8 118 11 8 121 121 125 126 129 129 129 132 144
第5章 グリーンコンクリートの温度ひずみ 147
5 1 第5章の概要 147
5 . 2 温度ひずみ解析方法 148
5 2 1 解析方法 148
5 . 2 . 2 グリーン コンクリートの線膨張係数の測定 150
5 . 3 結果および考察 152
5 . 3 . 1 グリーン コンクリートの線膨張係数の測定結果 152
5 3 2 温度ひずみ解析結果 154
5 . 4 第5章のまとめ 162
第6章 グリーンコンクリートの引張り限界ひずみ 163
6 1 第6章の概要 163
6 . 2 引張り限界ひずみの定式化 164
6 2 1 基本仮定 164
6 2 2 グリーン コンクリートの引張り限界ひずみの測定 166
6 . 3 結果および考察 168
6 . 4 第6章のまとめ 180
第7章 グリーンコンクリートの温度ひび割れ判定 181
7 . 1 第7章の概要 181
7 . 2 温度ひび割れ発生の判定方法の概要 182
7 . 3 温度ひび割れ発生の判定結果 183
7 . 4 第7章のまとめ 192
第8章 総括 194
第1章 序論
第1章 序論
1. 1
本研究の背景と目的
コンクリートが建築材料あるいはて業製品として特異な点は, [場において完成品とな り出荷される他の製品と異なり, 気候環境の影響を強く受ける以外, WJち建設現場で完成 品となることである。 コンクリートは, 法本的には生コンr場でレディーミクストコンク リートとして出荷されるものの, 完成に至るには施てというプロセスを経る必要がある。
他の製品の品質管理が工場内のある一定範阿の環境下で行われるのに対して, 施て現場で は環境の変動幅が大きく, これが完成したコンクリートの品質に大きく影符を及ぼす要閃 となる。
コンクリートは水和反応によって硬化する。 水和反応は化学反応であるから, 温度や,
セメントが反応する相手方の物質である水の蒸発などの影響を3 おIi混ぜ ・愉送・ 運搬・打 込み ・ 養生 ・硬化の全ての過程を通じて受ける。 したがってコンクリートの品質に影響を 及ぼす気候要素は,温度ならびに水収支のどちらかあるいは両jjに関係する,円五ト�,気温,
湿度, 風, 降水, 降雪などほとんどの気象現象に及ぶ。 これらの気候要素と, コンクリー トの品質に及ぼす影響3 並びにその対策の一覧を図1.1に示す。
温度に関して考察すれば, 元来コンクリートの標準温度は 20 oCであり, 多くの試験が この標準温度下で行われる。.ns Z 8703-1983に規定される試験場所の標準状態は以下のよ うである。 他に,ISO 554-1976では試験のための標準状態を3種類定めており, そのうち 推奨される標準状態は, 温度 23 OC, 相対湿度50 %, 気圧86kPa 以仁106kPa以下として いる。 またIEC Publication 160-1963では相互比較のための基準となる棋準状態を渦皮20
OC, 相対湿度65 %, 気圧1013mb(二101.3げa)としている。
1IS Z 87 0 3 (試験場所の標準状態)
標準状態の温度:試験の目的に応じて20 oC, 23 oC, 又は250Cのいずれかとする 標準状態の湿度:相対湿度 50 %又は65 %のいずれかとする
標準状態の気圧:86kPa以上106kPa以下とする
標準状態:標準状態の気圧のもとで標準状態の温度及び標準状態の湿度の名一つを 組み合わせた状態
標準温度が 20 oC近辺にあることは, 近代文明あるいは科学技術が北�I汀;>J<, それも高緯 度帯をけ1心に発展してきた事実と関連があると忠われるが, 持rllコンクリートにとってこ の温度は必ずしも標準とは考えられない。 逆に言えば, 多くのことが 20 oCを糠準に考え られるため, 30 oCという, 標準状態から離れた領域で, それに起因して粍々の問題の じることが暑中コンクリートの木質の一つであるといえる。 このことは 30 oCを標準とす る体系の必要性を示すものであり, また高温の標準を定めることができればコンクリート 工学の新たな発展に寄与するものと忠われる。 その場合にはダプルスタンダードというこ ともあり得る。 高温の標準に対応するのが暑r1'コンクリートであり3 低温の標準に対応す るのが寒中コンクリートである。
暑中環ttí下で製造 ・施仁されるコンクリートは, 外2tti品度が向いことや強烈なlrLi主口射 などの影響により練混ぜから輸送,運搬,打設,および養生WJ問を通じて温度上りを生じ,
コンシステンシーの低下あるいはコールドジョイントの発'1:. , また便化後においては長期 強度増進の低下や表層部の劣化による耐久性の低下等, 他の時期に施てされるコンクリー トと比較すると種々の品質低下を生じる傾向にある。 したがって日本建築字会建築工事標 準仕成主鉄 筋 コ ン ク リ ー トてすJ JASS5や七本学会コ ン ク リ ー ト標準仕方tfi, ACI
Reccommcndcd Practiceなどをはじめとする同内外の規準あるいは折針類でその対策が示さ
れている。
囲内の暑中環境に限定すればこれらの悪影響が他の時期!と比1鮫して際伝って�JI .liである とはI三えず, フレッシュ性状や強度性状に関しては夏季調合の実施や材料の渦皮符J1Qを綿 密に行う等により, これらの品質低下のかなりの部分は低減することがnJ能で、ある。 これ に対して, 表層部の劣化, 特に初期材齢時におけるひび削れの発II�は, 鉄筋コンクリート 構造物において構造耐力の低下や, 鉄筋の腐食をまねき耐久性をお:しく低ドさせる。 にも かかわらず悪影響を及ぼす外気環境などの種々の要因とひび別れとの関述が定位的に担握 されておらず, 適切な対策が施されているとはいえないのが現状である。
このような初期材齢時のひび割れ, 言いかえるとプラスティックひび割れが生じる時期 のコンクリートは, グリーンコンクリートと呼ばれる。 グリーンコンクリートとは時系列 的にはフレッシュコンクリートと硬化コンクリートとの問に位向するコンクリートであ り, 一般的には, 型枠に打設された後, 凝結を生じて硬化途仁にあるものの未だ完全には 硬化していないコンクリートと定義される。 したがって物性変化の大きい, 成長過程のコ ンクリートであるといえる。 フレッシュコンクリートや硬化コンクリートの領域では既に 膨大な研究がなされ, かなりの部分が体系化されている。 一方, これらを紫ぐ領域に位同 するグリーンコンクリートに関しては, 先に述べた事情もあり, 研究および体系化が相対 的に希薄であると言わざるを得ない。 コンクリートは元米連続して物性変化を生じながら 硬化コンクリートに成長していくものであり, その閥に明維な医切りはない。 したがって グリーンコンクリートの性質を明らかにすることは, 両者を繋いでコンクリートの全材齢 における物性を体系化するためにも大きな意義があるものと考えられる。
気候要因がコンクリートの品質に及ぼす影響と 対策に関して示した先の図1.1 r!', 構造 体コンクリートの品質低下の欄で, グリーンコンクリートの時期にその「忠さ」が生じ,
硬化後の品質にも悪影響を及ぼすものにF線を, グリーンコンクリートの時期に受けた;悪 影響が硬化後に品質低下として顕在化するものを斜体でぷしている。 機造体コンクリート の品質低下の多くが, グリーンコンクリートの時期に発生するか, この時期の問題が硬化 後に顕在化したものであることがわかる。 またそのうちの多くが, I jうじてからでは対処の 難しい現象に起因している。グリーンコンクリートの時期にI可能な対策は養生のみであり,
言いかえるとグリーンコンクリートは3 施工プロセスのなかで養生という, コンクリート にとって極めて重要な作業が行われる時期と位問づけることもできる。
- 2 -
本研究は暑中環境でよJ設されるコンクリートの品質低ドのうちでぷも問題となる, グリ ーンコンクリートスラブ表府部に生じるひび別れの発生�[刈として, 部材深さjj向のjld度 性状および表層部における脱水性状におr�し, その影秤の定iA化, ならびに長生を合めた 効なひび割れ防止対策を確立することを日的として検討を行った。 主にスラブを対象と するのは, スラフ'が部材断而に比較して外気に践する而桁が大きいため, 外気温度の高低 やその変動の影響を大きく受け, また水分蒸発による忠良2特を受けやすく, 乾燥や泊度廷 に起因するひび割れが生じやすいためである。
図1.2に木研究で検討する温度ひび割れ防止対策の概念|刈をぷす。 外気温度や外気湿度 等の外的要肉, および材料 ・ 調合等の内的要同, また長It:_等の対策要|刈を入ノJ条{午として コンクリートスラブの熱伝導解析を行う。 その際, 表府部からの)j)�ノkに関しては, ぷ府部 における吸熱として扱う。 続いて熱伝導解析により算定された部材内部のjilt度分布および その経時変化から, 各材齢における線膨張係数の伯を用いて温度ひずみ解析を行う。 ここ で算定された表層部に生じる引張りひずみと引張り限界ひずみ, 11IJち引張り{qlひ、能力を比 較することにより温度ひび割れ発生の危険性について判定を行う。 ひび割れが生じる危険 性があると判断された場合には養生方法または材料 ・ 調合等に関して再度検討し3 安全と 判断されるまで検討を行う。 本研究ではこの方法を確立するため次市以降において1. 2 節に示す構成で検討を行った。
怠1主 主基本的に対処可能な現象と対策 生じてからでは対処の聖堂しい現象 構造体コンクリートの品質低下 材料. 調合. 養生. 温度管理など
打込み後 . 斤
コンクリート中の水分濠結 � ー惨(初期;東害)
打込み育ÎJ. 中. 後 ヨンウリート温度の低下
(作業員への影響を除いて 基本的に悪彫響なし)
図 1.1 気候要因がコンクリートの品質に及ぼす影響と対策
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撞進盆!!2 品質j
外的 要因
直達日射
風外気湿度
外気温度
内的 要因 材
ぷ〉‘ 料
にコ
対策 要因
養生開始時期
養 生
方法
、合会
角ヰ
与
伝 奏お
【第4章】
立」
対策の検討
度 性
ご目 I.IID.
j線膨張係数j 【第5章】
温度ひずみ解析 【第5章】
|表層部に生じる引張りひずみ|
【第6章】
【第7章】
…ず …
…ひ …
安全
ひ び割れ防止対策の検討概念図
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図1.2
1. 2 本論文の構成
本論文は, 本車を含めた以ドの8市で構成される。なお先の図1.2にぶしたフローにお ける各章の対応を同図中に併記している。
第1章では本研究の背景と円的および論文椛成を示した。
第2章では, まず海外をも含めた暑r11コンクリートに関して, f} rl'コンクリートが適用 される領域とその気候要閃 ・特性を整理した。 次に, 持r11コンクリートの品質確保の観点、
から重要な!要因となる, 高温環境ドの生体反応と作業特性に関して3経理を行った。
続いて暑rl'環境が, フレッシュコンクリート, グリーンコンクリート, および硬化コン クリートの3つのステージにおける諸特性に及ぼす影響, およびこれらに関する支配方将二 式を整理し3 後の章における検討に用いた。
第3章ではグリーンコンクリートの脱水性状に関して, 打設後24時間程度までのスラ ブ試験休を対象として, 任意の材齢に適用可能な脱水速度式を提案して解析を行い, 実験 結果と比較することによって, 外気温度 ・ 外気湿度 ・風速等の外的要閃, 単位水量や水セ メント比といった内的要因, 更には養生等の対策要因が異なった場合にも幅広く適応でき ることを検証した。また式中の各係数に影響を与える要閃, および各係数の仰を検討した。
第4章ではグリーンコンクリートの温度性状に関して, JJ見ノkや水利発熱との相IZ作Jnを を考慮して解析を行う方法を示した。 第3章と同僚の外的�Iペ・ 内的安i刈・ 対策安肉を純 々設定して実験を行い, これらの影響に関して検討した。 また解析方法の妥当性に関して 検証を行うとともに, 有材齢時における熱伝導率や比熱, および熱伝達率といった物性伯 およびこれらに及ぼす外的要因や内的要因の影響に関して検討した。
第5章では, 第4章で示したスラブ内部の温度分布に起附する, 引張りひずみの大きさ およびその経時変化を温度解析により算定した。 また温度解析に不nJ欠なグリーンコンク リートの線膨張係数を実測した。
第6章では, グリーンコンクリートのひび割れ発生条件となる引長り限界ひずみの経時 変化を純々の外気温度条件下において詳細に測定し,これを刊誌皮の関数として定式化した。
第7章では第6章までに得られた結果をもとに, 種々の条件ドにおいて温度ひび割れ発 生の危険性について, グリーンコンクリート表層に生じる引張りひずみの解析伯と引張り 限界ひずみを比較することによって検討を行った。 その際環境が a定条件で継続した場合 に加えて途中で変動する場合の影響に関しても検討を行った。 長後に温度ひずみがひび割 れ発生に寄与する度合いについて考察を行った。
第8章では, 本研究で得られた成果を総括するとともに, 今後の検討課題を示した。
第2章 既往の研究
第2章 既往の研究
2.
1 暑中環境の特性
化学反応は圧力と温度の2つの安閑によって変化する。 コンクリートはセメントの水硬 性という化学反応に依拠した材料であるから, 大気Jt fで取り扱う場合, 残った安同とし て温度環境に必然的に依存し, 紋混ぜ ・輸送 ・ 述搬 ・打込み ・ 長'I�・硬化の全ての過程に おいて影響を受ける。 日本建築学会建築工'H標準仕様r'i JASS5 1)を始めとするイ1=段J?の 多くが, 気温が250Cを越える環境下で行うコンクリートて事を「持Ijlコンクリート(Hot Weathcr Concreting) Jと規定して, 特に影響の大きい練混ぜ ・愉送 ・ 運搬 ・打込み ・ 長'1:.
の過程について特別な配慮をしている。 本自iでは, 特に「わが同における」といった条件 をつけずに「暑中環境下のコンクリート(Concrctc in Hot Climatcs) Jとして,これを取り まく暑 中 環 境の輪郭について述べる。
2. 1. 1 暑中コンクリートの領域
本論では, 気温が 25 oCを超える場合を暑中環境とする。 JASS5 1)では, 持中コンクリ ート(Hot Weather Concreting) は, 平均気温が250Cを超える期間に適川し3 iド均気温は・ー 別平滑平年値を用いて予想する。ここで目別平滑平年値とは, 円平均気温の平年伯を15 日閥単位の単純移動平均として求めた伯で, 例えば8月lH� 15 r1問の毎日の怖を合計 して15で割った値を, その中央にあたる8月8日の値とするものである1), 2)。 日本の代 表的な都市について日別平滑平年値が250C以仁の月 ・ 日を表2.1.1に示す。これらの期間 はいずれもわが国の夏であり, 熱帯気回(小笠原気回)が支配している李館jである。
暑中環境, 即ち, 気温が 25 oCを超える期間の生じる可能性のある地域の円安として,
図 2.1.1 に示すアリソフ ( B.P.A1issow) による世界の気候区分を川いれば, 概略, 1m熱f15 気団帯(4) ,熱帯気団帯(3) ,赤道モンスーン(季節風)帯(2),赤道気回併(1 )が対応する(凶 中の太線で挟まれる領域)。 暑中コンクリートの適用を受ける地域の限界線, DI]ち, IlE熱 帯気団帯(4)の南北限界は, 図2.1.2に示す年平均気温120Cの線とほぼ一致する。
2. 1. 2 暑中環境の気候特性
1 )気温
佐実に暑中コンクリートを適用する期間がどの程度あるの かを知る円安として, U.忌低 気温が25 oC以上の年間出現日数を図2.1.3に, H最高気温が30 oC以上の年間出現日数を 図2.1.4に示す。 日最低気温250C以上が出現するのは, ほぼ関東以同~九州|の山岳部を除 いた地域で, 本土ではおおむね20日以下である。 沖縄等の市同諸島では50 � 100 rlに及 ぶ。 ーノ73 日最高気温が 30 oC以上となる期間が山現する地域 は, ほぼ全同の山吊部を除 いた地域に及んでいる。
気温の年較差は, 図2.1.5に示すように, 亜熱病気問,i15~亦道気[丹市の範囲においてお おむね200C以下であるが, 亦道とその周辺地域で小さく, 高緯度に向けて大きい。 大陸,
とりわけ大陸の内部ではきわめて大きな伯となる。 日本では沿岸地域で20 � 25 oC, 内陸 山岳地域で25� 30 oCの範囲である。 気温の口較差は, 図2.1.6に示すように, 季節的に は, 日本では7 月は 1 月よりも小さい傾 向にある。
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表2.1.1 日別平滑平年値250C以上および半旬別平滑平年値相対湿度80 %以上の月・ 日1), 2) 日別平滑 下旬別手作 日別、rz十円 下旬別手年 地方 I出 名 平年値 値相対混j支 地jj tfu 手Ji 、F 1j:MI 11在相対湿度 250C以上 80%以l-:. 250C以1: 80 %以上
会津若松 7.26 ,..., 8.16 7.6 ,..., 7.20 市士ム'1\. r[ 7.15 ,..., 9.1 6.16,...,7.25
東北 igg 田 7.29 ,..., 8.17 7.1 ,..., 7.15 8.21 ,..., 9.30
山 形 7.27 ,..., 8.11 』ふ:>ぜ4X 7.13 ,..., 9.3 6.21 ,..., 7.20
福 島 7.24 ,..., 8.21 7.1 ,..., 7.10 米 子 7.13 ,..., 9.1 6.16,..., 7.15
宇都宮 7.26 ,..., 8.21 6.21 ,..., 7.31 ,鳥 取 7.12 ,..., 9.2 6.21 ,..., 7.15 8.16 ,..., 9.15 萩 7.13 ,..., 9.2 6.11 ,..., 7.20
日リ ネ喬 7.20 ,..., 8.27 6.26 ,..., 7.15 中間 8.26,..., 9.30
行邑 谷 7.19 ,..., 8.30 6.26 ,..., 7.20 浜 !日 7.14,..., 9.1 6.16,...,7.25 水 P 7.28 ,..., 8.20 6.6 ,..., 10.2 111 7.17,...,8.27 6.21 ,..., 7.25 関東 秩 父 7.26 ,..., 8.18 6.16 ,..., 7.25 下 |河 7.12,..., 9.7 6.16 ,..., 7.31
8.16 ,..., 10.2 広 む 7.12 ,..., 9.5 6.16,..., 7.20
創b 子 8.10 ,..., 8.22 5.11 ,..., 9.30 福 11.1 7.9 ,..., 9.5 7.1 ,..., 7.15
東 尽 7.14 ,..., 9.6 同 i.ll 7.4 ,..., 9.11
横 浜 7.19 ,..., 9.4 6.16 ,..., 7.25 松 IlJ 7.7 ,..., 9.8 勝 浦 7.30 ,..., 8.28 5.21 ,..., 9.30 主同主「j 松 7.7 ,..., 9.6
輪 島 7.24 ,..., 8.22 6.16 ,..., 9.20 宇和μ 7.8 ,..., 9.5 6.11 ,..., 8.5 本日 )11 7.27 ,..., 8.22 6.16 ,..., 8.20 四国 8.11 ,..., 9.30 新 潟 7.20 ,..., 8.29 7.10 ,..., 7.15 tf百生r] 女rl 7.6 ,..., 9.10 6.16,..., 7.20 金 沢 7.16 ,..., 9.1 6.21 ,..., 7.15 徳 ,r,Ìî 7.8 "'-' 9.9 6.26 ,..., 7.15
,F
tE=b臼コ, 山 7.19 ,..., 8.29 6.16 ,..., 7.25 7青 7Jく 7.6 ,..., 9.16 6.6 ,..., 9.5
9.10 ,..., 9.30 室戸山rp 7.18""'" 9.3 5.21 ,..., 9.2
長 野 7.26 ,..., 8.18 平 7.15 ,..., 9.4 5.26,..., 9.10
中部 福 井 7.14 ,..., 9.2 6.26 ,..., 7.10 福 1I吋 7.4 ,..., 9.9 6.26 '"'-' 7.5
敦 賀 7.13 ,..., 9.5 飯 塚 7.7 "'-' 9.4 6.16'"'-' 7.20
岐 車 7.9 ,..., 9.7 佐tlt保 7.7 ,..., 9.9 6.16,..., 7.20
名古屋 7.10 ,..., 9.6 佐 賀 7.4 "'-' 9.9 6.21 ,..., 7.20
甲 府 7.16 ,..., 8.29 日 日l 7.6 ,..., 9.3 6.21 ,..., 7.15
浜 松 7.13 ,..., 9.6 6.16 ,..., 7.31 9.1 ,..., 10.1
静 岡 7.11 ,..., 9.7 6.26,..., 7.5 九州、| 10.21 '" 12.31
一 島 7.13 ,..., 9.3 6.21 ,..., 7.20
一 大 /.ノ}' 7.7 ,..., 9.6 6.16 ,..., 7.15
石廊崎 7.24,..., 9.3 6.1 ,..., 9.10 長 崎 7.5 "'-' 9.11 9.16 ,..., 7.20
上 野 7.17 ,..., 8.27 6.21 ,..., 7.20 白色 本 7.2 '"'-' 9.10 6.21 ,..., 7.15
8.21 ,..., 10.1 延 1吋 7.8 '"'-' 9.5 6.6 '"'-' 9.25
j宰 7.10 ,..., 9.5 6.16 ,..., 7.25 人 n 7.9 ,..., 9.1 9.11'"'-'12.15
尾 鷲 7.14 ,..., 9.1 6.6 '"'-' 9.25 鹿児向 6.27 '"'-' 9.J 6 6.16,..., 7.10
E盛E包L 岡 7.13 '"'-' 8.31 6.26 ,..., 7.15 者日 与え 7.5 "'-' 9.4 6.6 ,..., 9.30
9.6 "'-' 2.25 下f Úl奇 6.30 '"'-' 9.10 6.6 ,..., 9.30
近畿 原、 者R 7.7 "'-' 9.8
彦 キ艮 7.15 '"'-' 9.3 6.21 ,..., 7.20
姫 路 7.11 ,..., 9.5 6.26 ,..., 7.15 神 戸 7.10 ,..., 9.8 7.6 ,..., 7.10
大 阪 7.3 ,..., 9.11
和歌山 7.5 ,..., 9.10
潮 岬 7.12 ,..., 9.9 6.6 '"'-' 9.20
ズ7J又t 良 7.11 ,..., 9.2 6.21 '"'-' 7.15 沖縄 jjß 新 6.6 '"'-' 10.12 4.26 '"'-' 9.5
- 7 -
1 :赤道気回帯, 2 赤道モンスーン帯, 3 熱帯気団帯, 4 :亜熱客気団帯, 5 中緯度気回帯, 6 亜極気回帯, 7 :極気団帯
ι1う1 '301 dC i I /' "' ---、..r_�_,...-_ムf
é '. 1、 , 1. 1 •
図2.1.1 アリソフの世界気候区分3)
図2.1.2 世界の年平均気温(oc) 3)
、一、,
、O.
12、\
8 ___
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/イ
F
司.
図2.1.3 日最低気温が250C以上の年間出現日数3 )
、③〆
( ノ/与 c:rρ
J如
i。v .4 1b
図2.1.4 日最高気温が300C以上の年間出現日数3)
- 9 -
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O A
図2.1.5 気 温 の 年 較 差3 )
A、「
3_ --:. --- - -
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-1- -
( 1月)
30.
126.
�r-、([!>.L
4.5
5.2
( 7月)
30.
126.
五1
図2.1.6 気 温 の 日 較 差3)
- 11 -
4.4 -
4.4
2 )湿度
図 2.1.7に世界の年平均湿度を示す。 恒熱情気同市~亦道気同fi?の範凶においてはおお
むね85 %前後であるが, 海洋や海岸地方で大きく内陸の乾燥地域で低くなる。 日本の年 平均湿度は全域で70 "'-' 80 %である。 2JJと8JJの月平均混皮を図2.1.8にぷす。 2月は 北陸を中心とした日本海側で多混で3 太平洋側で乾燥が諸しい。 特に関東、F野のrt'央部で は60 %以下の乾燥がみられる。 8月はH本全域が75 "'-' 90 %である。 全体的な傾向は太
平洋岸で村干高く, 日木海岸と内|埼で低くなっている。
J
-80ーー
- ,,) fé
プX
( 2月)
、 1, �',J 1. \'.. . .. j ・ . .
図2.1.7 世界の年平均湿度(%)3}
-�I
( 8月)
4月9
民?
図2.1.8 日本の月平均湿度(%)3}
- 12 -
、1
.�-、 .� -
‘85
L口
'可、・v
85 80
80 85
85 80
80、ー ー85_
3 )全天日射量
図2.1.9に世界の全天円射昆( kcal/Cm 2・ycar)を, 図2.1.10にf 1本の年、F均全天f]射世(cal!
cm 2・day)を示す。 世界の全天11身、L@:は市北両r[ll州線から尚半年度に[rIJけて待度とともに減 少するが, 必ずしも低緯度で大きくはない。 特に,)J�道とそのMJ辺地域では室が多いのでr.1l 緯度地域よりも小さな仰をぷす。r 1本の全天11射idは太平洋側で大きくf 1本海側で小さい。
また, 岡市日本で大きく, 東北から北海道にかけて小さい。 表2.1.2にぷすデータを用い て, 直達11射呈からコンクリート表面における相、Lí外気胤皮(θSAT) を式2.1 5)より求め ると, 表2.1.3のようになる。 表2.1.3において, θSATIは過去lbi r�';J気治より求めたも,Iï, θSAn は日最高気温の平年伯より求めた伯である。 州、li外気泊皮(θSATI, θSAn)はI[Î j主rl身、Iを 受けるコンクリート表而がこのような泌度に曝されることをぶしている。
震;()N、
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"司同旨,、】
ー〆,、ー
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I�:'W '1>,"山 I n\.". �.可'.\I (X_,'\' 慣れv ・"、 、: '(1' 、 ,
図2.1.9 世界の全 天 空 日 射 量(kcal/cm 2・ycar)3)
q,. c (/-y_
!$o_ u一、/� ��一一-Jto
司、,、、--ー---- l.1(r
� -ーι 」ー
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幼 虫ゐ 勾J\
図2.1.10 日本の年平均全天空日射量(ωI/cm 2・day) 3)
- 13 -
観測地点
本し 幌 山 庁5 東 月ミ 大 阪 福 岡 鹿児島 名 法R j]ß 弱j
観測地点
福 岡 本し 幌 山 形 名 瀬 沖 縄
アル・アシゃシゃヤ
表2.1.2 気温および直達日射のデータ")
過去最高気温 [1最高気湖、1�{r:{I�l Jj別平均主計品 (oC)
35.8 40.8 38.4 38.5 37.1 37.0 37.3 34.9
最高(oc気)温
37.1 35.8 40.8 37.3 34.9 58.0
(oC) (Oc)
26.1 (8)J) 21.7 (8)J) 30.2 (8 )J) 24.6 (8 JJ ) 30.9 (8) J ) 27.1 (8JJ)
32.8 (8凡) 28.2 (8)J)
31.8 (8)]) 27.6 (8 J] ) 32.2 (8)J) 27.9 (8 J] ) 32.1 (7 J-j ) 28.4 (7 JJ ) 31.1 (7 J] ) 28.3 (7 n )
表2.1.3 相当外気温度( e SAT )
直達目玉村長(水平面) 。SAT1 ( kW/m2) (kcal/m2h ) (Oc)
0.79 665 55.6
0.77 648 54.4
0.82 690 59.1
0.85 715 57.5
0.85 715 55.7
71.8
lÚ述[]射電 (kW/m 2)
0.77 0.79 0.81 0.80 0.79 0.84 0.85 0.85
。SAT2
(Oc) 52.0 47.2 50.8 54.0 53.3
※θSATI :過去最高気温より計算, e SAT2 日最高気温の平年伯より計算。
アル ・ アジジャ(リビア)の最高気温は世界最高気温。 同地のl円達日射量データは 入手困難なため, θSATIの計算には沖縄のデータを使用。
θSATI - θ。+ a . S R/α。-ε(σTo4-LR) /α。
θSATI 相当外気温度(Oc) θ。 外気温度(Oc) a 日射吸収率(=0.7 ) SR 目玉トJ亘
α。 総合熱伝導率(20kcal / m 2 h oC) ε :放射率(=0.95 )
(式2.1)5)
σ :ステファンボルツマン定数(=4.88 x 10 8 kcal / m 2 h K 4) To 外気の絶対温度(K)
LR 大気放射量(=350kcal / m 2 h) -
2. 1. 3 暑中環境下の生体反応と作業特性
コンクリート工事において,打込みは作業を伴うプロセスとして避けることができない。
材料管理, 計量, 調合および養'i-:の全てが適正に行われた場合3 コンクリートの品質は作 業員のコンクリート打込み作業の質によって庄布されることになる。
環境衛生学的には, ヒトの生死あるいは病気・ 健康を決する安[刈としての出熱条件に対 する認識度はあまり高くないが, 暑中コンクリートにおいて, 泊熱条件がコンクリート施 工の作業員の作業能率に影響する場合には, コンクリートの品質縦保の飢f江からはìTI安視 されなければならない。
1 )温熱条件の定量化
ヒトの寒昇感に関する温熱指標、には, ①幅射放熱電, ②伝導・ 対流}fJ.熱ia, ③熱負{点,
④蒸地放熱量, ⑤産熱量がある。 修正実感温度(corrccted cffcctivc tcmpcraturc CET)は 温熱指標を構成するこれら5要素の全てを考慮しており, 最も十ftj報JI2が多い。 尚熱作業に
対するSmithの補正図表を添記したCETを図2.1.11に示す。
産業の現場で使用されている温熱指標としては,湿球温度指標(wct b加ul出b glob恥c t化 cm町 p児 C訂川r悶atωur代 C index : WBG T)があるO
0.1 30 GT 。F
Corrected Effective Temperature (Normal Scale)
'F WBT 120
80
60
40
GT 140 'F
120
0>rrected Effective Temperature (Basic Scale)
図2.1.11 高熱作業に対するSmithの補正図表を添記したCET 8)
- 15 -
'F WBT 120
100
80
60
40
2 )作業強度
作業強度とは筋負担の強さを意味するもので , 作業強度を測るのにエネルギ一代謝率
(rclativc metabolic rate : RMR)がJnし1られる。 RMRと作業内科との関係6 )を表2.1.4に示
す。
表2.1.4 エネルギ一代謝率RMRと作業内容との関係
RMR -0"-' 1 極軽作 業 座位での子作業
RMR-l"-'2 軽 作 業 主として|二肢をJTJいる作業, ほとんど賂1Ù: , 通常の作業
RMR-2"-'4 中等度作業 立作業, 歩 行, 上 半 身を用いる作業
重 作 業 農耕, のこぎり, 荷造りなど全身でのノJ仕事 RMR-4"-'7
10 "-' 20分毎の休憩が必要
重激作業 採鉱, 伐木, 沖仲士, 穴掘りなど RMR -7 "-'
5分前後しか持続できない
3)温熱条件の評価
環境温熱条件3 気温, 湿度, 風速, 円射と, ヒトの寒暑感との定J性的な関係は以下のよ うである6 )。
気温:作業者の生産量を指標にすれば作業能率が低下するのは出暖酷暑地では, 夏(逆 に, 酷寒地で冬) である。
湿 度:高 湿 条件は高温時に著しく 蒸 暑 感を強める。
風速:常温あるいは低温条件下で風速が増大すれば体温放散が促進さ れる(特に, 酷寒 時には寒冷感を強める)。
日射:直達日射下で強い幅射熱(赤外線)受けて作業する場合は, 暑熱感以外に体温調 節機能も影響を受ける。
4 ) 作業 限界温度
寒冷に対しては衣服あるいは体動で対処できるし, 補助的に火を使えば安価に採暖しう るから低温限界の設定が問題になることは少ない6)が, ;ヰ熱に対しては衣服なとの対応は
限度があるため, 高温限界の設定が必要になる。
(1) RILEM 94 CHC委員会資料
間LEM 94 CHC 委員会は参与資料として, 作業員の作業環境における不快の程度を図 2.1.12のように与えている。 実感温度(ef[cctive tcmpcrature: ET)を尺度にした快適条件 はイギリス人で16 OC, アメリカ人は夏21 OC, 冬19 OC, 日本人は反23.5 OC, 冬] 8.5 oCと いわれており6), 地域によって異なるので地域毎の設定が必要である。
相対湿度(%) 1∞ 80 60 不快の程度φ・
40
20
極めて不快である 」
ン ヨツク死の危険 がある一一一一一守
。 W
111
... 50%以上の入力、
i 不快感を感じる
φ圃不快感を感じる人カヘ、る
15 20 25 45 50
外気温("C)
図2.1.12 外気温, 相対湿度と不快の程度9)
ー17 -
(2)WGBT, CETによる作業限界温度
作業限界温度を, 作業強度と湿球温度指標 (WBGT), および修正実感温度(CET)の 関係で表した場合, 表2.1.5のようになる。
表2.1.5 作業強度とWBGT, CET換算値との関係
代謝エネルギー WBGT CET換r!1t,fI 業 強 度
(kcal/ h) (OC) (OC)
貼1R -1 (極軽作 業) '"'-' 1 3 0 3 2. 5 3 1. 6
RMR -2 (軽 作 業) '"'-' 1 9 0 3 O. 5 30. 0
貼1R -3 (中等度作業) '"'-'250 2 9. 0 2 8. 8
RMR -4 (重 作 業) '"'-'310 2 7. 5 2 7. 6
RMR -5 (重激 作 業) '"'-'370 2 6. 5 2 7. 0
(3)湿球温度300C
簡便性を重視するならば, 作業限界温度は, 高温時に湿球温度, 低温時に乾球温度とす ることができる。 湿球温度で, 13 oCを快適, 230Cを暑い,300Cを限界温度とするものであ る。 湿球温度で30 oCを超えると熱中症法)が起こるとされる。 これらの溜球温度に対する
乾球温度との関係を図2.1.13に示す。
l∞ ト
80ト \ \ \ \ 、
"
\快\適\ \暑い
\
\
\ ,&1事,温度30・c
闘 40 . I!l'�温度23"C
、
\
2Of- ;!球温度13'C
。
10 15 20 25 30 35 40 45
乾球温度("C)
図2.1.13 湿球温度と乾球温度, 相対湿度との関係
注)熱中症(heat attack) :体内での熱生成が高まり, 対外への熱放散が困難な場合に起こ る病気。 高湿・ 高温下で労働した場合なとに多い。 体内水分・ 嵐分の欠乏による熱痘繁 症, 末梢循環系の異常による熱虚脱症3 体温調節機能の異常によるうつ熱症, 慢性的消 耗による熱表弱症の4型に大別される。 10 )
2. 1. 4 マントル風化と骨材の特性
コンクリート体積の70 %前後はマントル起源の骨材である。 コンクリートの品質は大 きくは骨材の品質に左右される。 図2.1.14に気候とマントル風化の関係に関する概念凶を 示す。 マントルは, 温度と降雨日, それに純物腐食物による有機般によって風化される。
表2.1.6に祈附と那覇の気象データを示す。 これによると祈附とJJI)初は, 概念閃において サバンナに近い熱帯雨林に仇医する。
ツントラ ?イカ・ポトソル ステッ7' ー,;1>,置 ザハ〆ナ 同帯林 ザ,、Jナ
)xx)
お お
白河 10 2400
m m
(EE)剛庖盤
レ 15
図2.1.14 気 候 と マ ン ト ル の 風 化11)
表2.1.6 気 象 デ ー タ / 福 岡 , 那 覇4)
(福岡:年平均気温16.0.C,年平均湿度72%,平年降水量1690mm ) 那覇:年平均気温22.4"C,年平均jB度77%,平年降水量2128rnm J 福岡, 2.5m, 33035' N, 130023' E 那覇, 34.9m, 26014' N, 127041' E 降水量 気温CC) 相対湿度 降水量 気温(.C) 相対湿度
(mm) 日段高 日最低 (%) (mm) 日最高 円段低 (%)
l月 80 9.4 2.3 67 120 18.6 13.7 70
2 月 74 10.4 2.6 68 118 19.1 13.9 73
3 月 94 13.9 4.9 67 144 20.9 15.6 75
4月 145 18.9 9.8 71 168 23.9 18.6 79
5月 144 23.1 14.0 72 249 26.5 21.4 83
6月 273 26.0 18.4 77 293 28.8 24.0 86
7月 273 30.6 23.5 77 193 31.0 25.9 81
8月 177 31. 6 23.9 76 260 30.6 25.6 82
9月 186 27.7 19.7 77 166 29.9 24.9 79
10月 100 22.8 13.3 72 186 27.0 22.0 75
11月 79 17.6 8.2 71 142 24.0 19.1 72
12月 65 12.2 4.2 68 117 20.8 15.8 70
年 1690 20.3 12.1 72 2128 25.1 20.1 77
j主) 30年平年値(1951-1980)
- 19 -
骨材の劣化現象を凍害等の物理的劣化と化学的劣化に分けて年、F均気温と年、ド均降水m との関係でみると図 2.1.15のようになり, 暑中環境下では強し1化学的劣化作HJを受けるこ とが理解される。
物理(凍害)劣化 化学劣化
-10ト 一 一 ー / ノ/ / I -10
とo ρ 。
田宮板10
田宮時特 転回 10
P』サト
20 劣化作用が無い 20
30 30
2α)() 15∞ lCX氾 5∞ 。 2α)() 15∞ lCXlO 5∞ 。
年平均降水量(mm) 年平均降水量(mm)
総合劣化
20
2CXlO 15∞ l側 5∞
年平均降水量(mm) -10
nu
nU (υ・)同一脈吉川町叶
30
図2.1.15 気 候 と 骨 材 劣 化
2. 1. 5 暑中コンクリートの要因と特性
図2.1.15と同様にしてコンクリートの劣化現象を凍害等の物JrlJ的劣化と化学的劣化に分 けて年平均気温と年平均降水量との関係でみると図2.1.16のようになる。{氏AMかlrj'材を使 用しなければならないが穏やかな暑中環境となる年平均降水位の多い領域と, JM�1)Jな骨材 を使用する暑中環境で場所によっては出化物劣化の危険It'tがある午、f;:均降水ほの少ない領
域とが存在することが理解される。
ιJ
III�
�二
-10
宮 .
Eト IU tサ
20
30
健全な骨材 寒中環境 健全な骨材
,東害 寒中環境
2伐XJ 15∞ l(XXJ
年平均降水量(mm)
500
図2.1.16 気候とコンクリートの劣化
ここでは, 気温が25 oCを超える場合で3 気温30 oC以上が年間10 r]以仁継続する地域 を高温(Hot)地域とし, その中で, 年間雨量が 250 rnrn以下の乾燥(Dry)地域とこれを 超える多湿(Wet)地域とに分けて, 前者を高温・ 乾燥(Hot-Dη) , 後手?を高温 ・ 多湿 (Hot-Wet)とする。 これらの暑中環境下では, コンクリートの紋混ぜ ・ 輸送 ・ 述殿およ び打込みの各工程, ならびに打込み後コンクリートが所要の品質に達するまでのWJrm r�l , 高温による悪影響が予想されるので何等かの対策が施されなければならない。
高温・乾燥および高温・ 多湿の各気候, 技術力等の安凶とその特徴および対策が施され ない場合にコンクリートに生じると予想、される特性を整均して表2.1.7に示す。
-21 -
表2.1.7 暑中環境コンクリートの要因と特性の関係
高温・多湿(IIol-Wel)気候
要 因 特 徴 対情がj庖占れない場合の結果
プラスティック収納ひび削れ;乾繰収縮ひび 削れi長而ひび削れiスランプロスとそれに よる尚い水セメント比;水利時の高い気温に より耐久什の不足したコンクリートi 温度ひ び削れ
A石油1ドでのJンクリート打設(欠陥について は仁記参照) ;友而ひび削れ
内部の空隙iυ板;グラウトロス ,
低強度; ìt昨;礼!伐と材料を除閃とする欠陥 プリーディング
-局地的に乾燥した風 .高い気温
・気温の緩やかな変化 -高い湿度の緩やかな変fじ .局地的に脱水大
・短い工期
-不十分な掻動締め固め .粗悪な型枠の建て方
.地域によっては不十分な養生 技術力と品質管理|・不適切な材料の貯蔵と管珂
気 候
その{也 計 画 企 画 地盤状態
守hwすシ」閃d原一刊を 川川力
応北川壊生ト工崩のいのト単位-sや十・6
Pユ矢Ejjγhvwmm ンノメ欠
コ
; 造のいμ構質応品部陥低内欠
練欠
し の 試
刃心 識
験
る 試 す の
関 で に F 減 ト-
温 低
二
高 の j一ば力ク一 え 応
ン一
例 部 理計比三内管
設ト
い一
略
る 合合
ン多一省じ 調調メの
一の
足生 ななセ畳
一設理不
に切切水水一打管の時 適適い位
一量質等設
不不高樹工大品り打如
-不十分なアフターケア, 早期の使用
-地域によっては不適切な建築あるいは構造設計,
特にディテール
・地域によっては不適切な仕犠 .地震が多い地域
・地域的に高硫酸塩性の沿岸湿地
-大きな不同沈下をもたらす地域的地盤状況
ー温・ 乾燥(llol-D円)気候
要 因 特 徴 対策が施されない場合の結果
-乾燥した風 プラスティック収縮ひび剖れ,乾繰収縮ひび
- 高い気温 割れ, -:1長l面ひび削れ,スランプロスとそれに
気 {長 - 気温の識しい変化 よる高い水セメント比,水和時の高い気温に
- 湿度の激しい変佑 より耐久性の不足したコンクリート,温度ひ
-脱水大 び削れ 炭E変化
-短い工期 高温下でのコンクリート打設(欠陥について
-不十分な賑動締め固め は上記参照) ;去而ひび割れ -粗悪な型枠の建て方 内部の�隙;íi板, グラウトロス ,
-全般的に不十分な袈生 低強度,沈降,気候と材料を原閃とする欠陥 技術力と品質管理 -不適切な材料の貯蔵と管理 ,プリーディング
-不適切な調合管理 -不適切な調合設計 -高い水セメント比
-単位水量の多いコンクリート
-大量打設 低品質のコンクリートの生産の傾向
- 品質管理の省略 例えば高温下での試験, 試し練 内部応)], �副院・材料・技術Ï)]をl点凶とする
り等の不足 欠陥,構造欠陥;)J�の崩壊
その他 -打設時に生じる内部応力の低減に関する認識の欠
計 画 夕日
企 画 -不十分なアフターケア, 早期の使用
地盤状態 -地域によっては不適切な建築あるいは構造設計,
特にディテール
-地域によっては不適切な仕様
-地域によっては高水位の沿岸蒸発塩の土地 -大きな不同沈下をもたらす地域的地強状況