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<論 説〉
管 理 職 昇 進 と学 歴 ・年 功
NKKの 事 例 を 中心 と して
西 川
忠 、目 次
1.学 歴 ・年 功 と能 力
2.昭 和34年 におけ る管理職 就任傾 向 3.分 権型 管理 か ら中央集権型 管理 へ 4.肥 大 化 す る管理職 とその対策
5.平 成8年 度 にお け る管理職就 任傾 向 むす び
1.学 歴 ・年 功 と 能 力
わ が国 の ホ ワイ トカ ラー の昇 進 制度 は,「 雇 用 の分 野 にお け る男女 の均 等 な 機 会及 び待遇 の確 保等 女 子労 働 者 の福祉 の増進 に関 す る法 律」 の施 行 され る前
まで,男 子 中心 の シ ステ ム とな って い た。
そ の シ ステ ムは,学 歴 別 に,年 功 に能 力 を加 味 した いわ ば,学 歴 ・年功 主義 と もい うべ き もので,同 学 歴 ・同期 入社 者 を出来 るだ け同時 に 昇進 させ て い く もので あ る。
勿 論 高学 歴 者 は,そ れ相 応 に知識 や潜 在能 力 にお いて高 い もの を持 って い る し,年 功 は経験 を意 味 し,経 験 はま た能 力 の重 要 な側 面 で もあ るのだ か ら, 学 歴 ・年功 主 義 は広 義 の能 力 主義 とい え ない こ とはな い。
事実,大 東亜 戦 争 に入 る前年 の昭 和15年 の 中学 校(現 在 の高校に当る)進 学 率 は,25%。 現 在 の高校 進 学 率 が90%を こえて義 務教 育 化 し,大 学 の進学 率 が 40%前 後 で あ るのを思 う と,単 純比 較 は出来 な いが、 昔 の 中学 校卒 業 者 の頭 の 程 度 は,今 の大学 卒 業者 の下4割 よ り良 か った とい った らい い過 ぎか。
140商 経 論 叢 第32巻 第3号
(261)
昔 は そ の 中 学 校 の上 に,旧 制 の 高 等 学 校 や 専 門 学 校 が あ り,更 に そ の 上 に 大 学 が あ る。 大 学 は七 つ の帝 大,国 公 立 の 医 大 等 の 単 科 大 学 ,そ れ に私 人 を加 え て 昭 和20年 の 人 学 数 は48。 昔 は 初 任 給 に,帝 大 出 と私 大 出,私 大 出 で も早 慶 と そ の 他 と で,差 を っ け た と こ ろが あ った と聞 くか ら,昔 の学 歴 は,能 力 差 と考 え られ,学 歴 別 管 理 は能 力 主 義 管 理 と お きか え て もお か し くな か った の で あ ろ
う。
事 実,明 治 この 方,欧 米 に キ ャ ッ チ ア プす る こ と が 課 題 で あ っ た 日本 に と っ て,創 造 力 よ り も,横 文 字 を 縦 文 字 に 直 す 能 力 ,物 真 似 を す る能 力 が 必 要 で あ った か ら,こ う い っ た能 力 は学 歴 の 高 さ と相 関 関 係 に あ り,学 歴 差 は能 力 差 で あ っ た と考 え られ る。
r=‑iここで 余 計 な 事 を つ け加 え れ ば,学 校 の 秀 才 は必 ず し も企 業 の 秀 才 で な い と い う の は 事 実 で あ って,学 校 の 入 試 や ,試 験 は 知 能 指 数140以 上 と い った と ん で も な い 天 才 を 別 に す れ ば,数 学 と い え ど も記 憶 力 の テ ス トで あ って
,創 造 力 を 支 配 す る人 脳 の 前 頭 連 合 野 の テ ス トで は な い 。 社 会 に あ って は,記 憶 を
司 る側 頭 葉 だ け で は仕 事 に な らな い の で あ る。 側 頭 葉 の い い 者 は,必 ず 前 頭 連 合 野 の 機 能 もい い と は限 らな い よ う で あ る か ら,ま して 良 い学 校 に 入 る為,精
も根 も使 い 果 して しま った 者 に,社 会 に 出 て 良 い仕 事 の 出 来 る訳 が な い
。 企 業 の 役 員 に な った 人 に,ド あ い っ が ね え 」と嘗 て の 同 級 生 に思 わ れ る よ うな 人 が 多 い の は,前 頭 連 合 野 の 働 き と学 校 の 成 績 と は特 に 関 係 が な いせ い で あ ろ う
。 も う一 つ の 余 計 な 事 を っ け 加 え れ ば,海 軍 七官 養 成 の 海 軍 兵 学 校 の卒 業 成 績 を 何 故 ハ ン モ ッ ク ナ ンバ ー と云 うの か 知 らな い が ,そ の成 績 が 軍 籍 に あ る間 は 一 生 涯 つ い て 廻 って 昇 進 に影 響 した そ うで あ る。 同 様 の事 は海 軍 程 で な い に し
て も陸 軍L官 の 定 年 名 簿 に もあ った そ うで ,海 軍 の偉 い人 が,最 後 まで 大 艦 巨 砲 主 義 に固 執 した の も,陸 軍 の参 謀 本 部 が 机 上 の 空 論 で 作 戦 を 樹 て た の も情 報 の 軽 視 と創 造 力 の 欠 如 に よ る と考 え られ る。
こ こ で い い た い の は,創 造 力 を必 要 とす る非 常 の 事 態 に は欠 陥 が あ っ た と は い え,先 進 国 た る欧 米 に追 い っ け追 い 越 せ を モ ッ トー と した 戦 前 は勿 論 戦 後 に お い て も学 歴 ・年 功 主 義 は必 ず し も能 力 主 義 と は無 縁 の もの で は な く,能 力
(260) 管 理 職 昇 進 と学 歴 ・年 功141
を 図 る客 観 的 指 標 と して は そ れ な りに 意 味 を 持 っ て い た 。 とい う事 で あ る。
2.昭 和34年 に お け る管 理 職 就 任傾 向
学 歴 別,年 功 管 理 に よ る昇 進 の実 態 にっ い て,第1図 〜第3図 を見 て頂 きた
いO
こ の 表 は,NKKに お け る学 歴 別 の管 理 職 の勤 続 別(入 社年次 別)就 任 傾 向 を 示 して い る。 この 調 査 は 昭 和42年(1967年)で 高 度 成 長 時 代 。 池 田 首相 が 所 得 倍 増 計 画 を 発 表 した の が 昭 和35年12月,昭 和41年 に は,の ち に 単一 製 鉄 所 と
して 世 界 最 大 と な る福 山 製 鉄 所 の 第 一 高 炉 の 火 入 れ が8月 に あ り,昭 和42年 は,全 国 粗 鋼8800万 ト ン,う ちNKKは1200万 ト ン と い う年 。 経 済 の 成 長 率 (実質)は41年 度11%,42年 度13%と い う欧 米 で は夢 想 だ に され な い 数 字 を 示
した 時 代 で あ る。
第1図 管 理職就 任傾 向一 大 学卒 業者
第1図 は大 学 卒 の管 理 職就 任 傾 向図。事 務 は勤 続9年 で81%。 技 術 は85%が 係長 に就 任,勤 続12年 頃 に は90%を こえ る人 が係 長 に就 任 して い る。 課 長 に
は勤 続15年 頃 よ り就 任 し,事 務 は年 次 に よ り差 が あ るが2〜3年 で 約8〜9
142商 経 論 叢 第32巻 第3号
0259) 割 は課 長 に就任,次 長以 上 に な る と,昇 進 の始 ま りは勤 続19年 か ら20年 と事 務 と技 術 で差 が あ るが,勤 続21年 以 降 は ほぼ50%位 が就 任 して い る とみて よ い。な お1945年 を 中心 と して み られ る谷 は,戦 後 の退 職 や採 用 数 が少 な い事 等 に よ りこの調 査 の時 点 で在 籍 者 が少 数 で あ るため の プ レと考 え られ る
。 本格 的 な定 期採 用 者 の復 活 は昭和23年 か らで あ り,こ の点 を考 慮 す れ ば大 体 次 の事 を い って も良 いだ ろ う,
大学 卒 の ほぼ8割 は課 長 に昇 進 し,撰 別 は次長 よ り始 ま り,約5割 は次長 以 上 に就 任 す る。
第2図 専門卒業者
第2図 は専 門 卒 の役 付 就 任 図 で あ る,専 門学 校 は昭和26年 に最 後 の 卒 業 生 を送 り出 した あ と,そ の輝 か しい歴 史 の幕 を閉 じた。
専 門卒 の役 付就 任 傾 向 は この図 で は分 らな いが,別 の調 査 に よれ ば早 い人 で 勤 続13年 で 始 ま り,こ の調 査 時 点 で は最 後 の卒 業 生 も勤 続16年 に達 して お り,事 務 で は100%,技 術 も70%近 くが係 長 に就 任,課 長 は勤 続18年 か ら昇任 者 が 出始 め・ 勤 続26年 頃 に は30〜40%の 就 任 率 を示 して い る。 次 長 は勤 続25 年 頃 よ り昇 任 者 が 出 るが,結 局2〜3割 で あ る。
0258) 管 理 職 昇 進 と学 歴 ・年 功143
これ を総 括 す ると修 学 年数 の差 を考慮 す る と トップ グ ルー プが そ れ ぞれ の役 職 に就 任 す るの は大学 と殆 ど差 が な い が,全 体 と して の就任 傾 向 は・ 大 学 の課 長就 任 傾 向 が,専 門 の係 長就 任 傾 向 で あ り,大 学 の次 長以 上 の就 任 傾 向 よ りも 専 卒 の課 長 に就 任 す る割 合 はや や低 い,次 長 以 上 の昇 任 は,殆 ど限 られ て いた
とい え よ う。
第3図 新高 ・旧中卒業者
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第3図 は,旧 制 中学 卒 と現在 の高 等学 校 卒 の役付 就 任 図 で あ る,事 務 の昭和 26年 卒 は,当 時 旧制 中学 は既 に無 いか ら新 制 高 校 卒 で あ るが トップ は勤 続16 年(就 学年限差を考慮すれば専門卒 とは年齢で1年 差)で 係 長 に昇 進,就 任 の比 率 は 専 門 卒 の課 長 と類 似 して い る,な お高 校卒 の課 長就 任 は殆 ど例 外 と思 え る程 で
あ る。
以上,大 学 か ら高校 まで学 歴 別 に見 て言 え る事 は,ト ップ層 の係 長 昇 進 は, 大 学 卒 は1年 の浪 人 を考 慮 して33才 。専 門卒 も33才 。高 校 卒 は34才,殆 ど差
が な い。 しか し管 理職 へ の就 任 比 率,特 に上級 管 理職 へ の就 任 は学 歴 に よ り顕 著 な差異 が あ る事 が分 か る。
こ う した傾 向 は,例 を あ げ たNKKだ けの特異 な現 象 で はな い。同 業他 社(第
i44商 経 論 叢 第32巻 第3号
0257)
第4図 管理職 就任傾 向一一 大学卒
4図)ば か りで な く日本 の企 業 ,特 に大 企 業 に普 遍 的 に見 られ る現 象 で あ る,第 1表 は,昭 和39年 中央 公論,経 営特 集 春 季 号よ り作成 した表 で あ るが
,従 業 員 5000人 以 上 の大 企 業22社 につ い てみ る と,大 学卒 の昇進 管理 につ いて大 体次 の よ うな事 が いえ よ う。
① 入 社 後15年 位 まで は同期 入 社 は ほぼ 同時 に昇 進 して い る。
② 選抜 は課 長 昇任 時点 で始 ま ってお り,入 社15年 で は,係 長 残留 組 が少数 派 とな る。
③ 入 社 後10年 で係 長,15年 で課 長,ま で は多数 派 だが,25年 の次 長 は少 数 派 で あ り,撰 別 は厳 しい。
④ 特 異 な の はF社,入 社後20年 経 って も平 社 員 が90%近 く残 って お り, 他 社 で は平 社 員 が 殆 ど ゼ ロで あ る の に対 し極 あ て特 異 な対 称 を な して い
る。
以 上 か ら,人 企業 の 大学卒 は,ほ ぼ課 長 ま で は昇進 して お り,NKKの 事 例 が決 して特 異 な事例 で な い事 が分 か る。
管理 職 昇 進 と学 歴 ・年 功 145 0256)
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146商 経 論 叢 第32巻 第3号
(255)
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第5図
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同 期 入 社 の 昇 進 方 針
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不明
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① 同 期 入 社 と い え ど も,最 初 か ら実 力 差 を 重視 し,同 時 昇進 に は こ だわ らな い
② 同 期 人 社 者 は,入 社 後5年 程 度 は で き る だ け 周 時 に 昇 進 さ せ て い く よ う に して い る が
,そ れ 以 後 は 格 差 を
つ け て い く
③ 伺 期 入 社 者 は,入 社 後10年 程 度 は で き る だ け 同 時 に 昇 進 さ せ て い く よ う に し て い る が ,そ れ 以 後
は 格 差 を つ け て い く
④ 同 期 入 社 者 は,入 社 後15年 程 度 は で き る だ け 同 時 に 昇 進 さ せ て い くよ う に して い る が ,そ れ 以 後 は 格 差 を
っ け て い く
⑤ 同 期 入 社 は最 後 ま で で き る だ け 同 時 に 昇 進 させ て い く
昭62年:口 本 的 雇 用 慣 行 の 変 化 と展 望(調 査 編)・ 労 働 大tsrt.大臣 官房 政 策 調 査 編 部
こ う した現 象 を能 力 主 義 管 理 の結 果 こ う な った とみ る の か
r雇 用 慣 行 と み る の か,次 に見 て み た い。
「第5図 同 期 入 社 の 昇 進 方 針 」 は,労 働 省 が ,昭 和60年12月1日 か ら昭 和 61年2月28日 の 間 に,今 後 の 人 事 労 務 管 理 の方 針 や 日本 的 雇 用 慣 行 に つ い て の考 え 方 を 明 らか に す る た め に ,従 業 員100人 以 上 の 企 業 か ら1,500社 を 抽 出 して調 査 した もの の 抜 粋 で あ る。
第5図 に よ れ ば 「入 社 後5年 程 度 は 出 来 る だ け 同 時 に 昇 進 さ せ て い く」 と す
(254) 管 理職 昇 進 と学 歴 ・年功147
る企 業 の 割 合 が36.0%と 最 も高 く,次 い で 「最 初 か ら実 力 差 を重 視 し,同 時 昇 進 に こだ わ らな い」(27.8%)「 入 社 後10年 程 度 は出 来 るだ け 同 時 に昇 進 さ せ て い く」(25.1%)と な っ て お り,入 社 後15年 程 度,或 い は最 後 ま で 出来 る だ け 同 時 に昇 進 さ せ て い く とす る企 業 の 割 合 は 低 い。
企 業 規 模 別 に はs小 規 模 ほ ど最 初 か ら実 力 差 を重 視 す る企 業 の割 合 が 高 く, 大 規 模 ほ ど長 期 に わ た って 同 時 昇 進 を は か る とす る企 業 の割 合 が 高 い。
ま た,今 後 ど う対 処 す る か を み る と,「 最 初 か ら実 力 差 を重 視 す る」 と す る企 業 の割 合 が41、9%と 最 も高 く,次 い で 「入 社 後5年 程 度 は で き る だ け 同 時 に 昇 進 さ せ て い く」(37.0%)r入 社 後10年 程 度 は で き る だ け 同 時 に 昇 進 させ て い く」
(15.6%)と な っ て お り同 学 歴 同 期 入 社 者 の 同 時 昇 進 に つ い て の反 省 検 討 が 進 む もの と思 わ れ る。
この 調 査 は一 般 職 の 資 格 昇 進 に つ い て は妥 当 す るが,管 理 職 へ の 昇 進 に つ い て は既 に み た通 り,高 校 卒 に つ い て は 全 く実 力 主 義 で 行 わ れ て お り,専 門 卒 は 現 在 す で に 在 籍 して い な い の で,省 略 す る が,大 学 卒 に つ い て の み こ の雇 用 慣 行 は あ て は ま る,と 考 え られ る。
とす る な らば,一 一体 こ う した 雇 用 慣 行 は何 時 頃 か ら行 わ れ て い た の か,戦 前 か らの 引 き継 ぎ で あ る の か,戦 後 の 産 物 で あ る の か,NKKに つ い て 調 べ て み た 。
3.分 権 型 管 理 か ら中央 集 権 型 管 理 へ
戦 前 の 昇進 管理 の実 態 につ いて は,NKKに 資格 の昇格 基 準 はあ る もの の, 管理 職 へ の昇 進 につ いて は昇進 基 準 が残 念乍 ら残 って い な い。幸い・昭和37年 6月 調 査 の大 学 卒社 員 の卒 業年 次 別経 歴 記 録 が あ った ので,昭 和13年 入社 と,
昭和15年 入社 の大 卒 定 期 採 用者 につ いて調 査 した ものが 第2表 「大 学 卒 管 理 職 昇進 年 数 実 態 」 で あ る。
昭 和13年 定 期入 社 を選 ん だ の は,こ の期 か ら後 に社 長,副 社 長,専 務3人 を 出 して お り昭和37年 当時,既 に部長 が2人 い たか らで あ る。余談 だが,後 の社 長 は この2人 の中 には含 まれ て いな か った。
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(252) 管 理 職昇 進 と学 歴 ・年 功149
昭 和15年 定 期 入 社 組 は,既 に勤 続22年 に 達 して い る の に 未 だ に 非 管 理 職, す な わ ち一 般 職 に 止 ま って い る 人 が 在 籍29人 中4人(14%)も お り,係 長8人
(28%)課 長8人(28%)次 長9人(31%)と}第1図 で み た 傾 向 と は考 え られ な い分 布 を示 して い る と こ ろ か ら と り上 げ て み た 。
13年 入 社 組 も終 戦 の 時 は勤 続7年 で あ り,15年 入 社 組 も終 戦 時 は 勤 続5年 で あ る。 厳 密 に は 戦 前 の 昇 進 の 実 態 を 示 して い る と は い い難 い が,NKKの 場 合,後 述 す る よ うに 人 事 管 理 が 整 備 され る の は,昭 和29年 で あ る。従 って そ れ 迄 管 理 職 昇 進 に つ い て は 戦 前 型 の 管 理 が 行 わ れ て い た と考 え る。
第2表 で い え る事 は,同 期 入 社 者 の 同 時 昇 進 と い う現 象 は13年 入 社 組 の 係 長 昇 進 を 除 い て 見 当 た らな い。13年 人 社 組 の 課 長 昇 進 は,係 長 在 職1年 か ら16 年 ま で 。 昭 和15年 入 社 組 の 係 長 昇 進 は勤 続4年 か ら17年 迄13年 に 亘 る美 事 な バ ラ ッ キ よ うで あ る。 これ を み る と13年 入 社 組 が 係 長 に 勤 続6年 〜8年 で 59%が 昇 進 し て い る と い う の は,た ま た ま そ う な っ た だ け と 考 え ざ る を 得 な い。 と い う事 は,戦 前 の管 理 は,同 期 入 社 の 同 時 昇 進 と い う考 え は な く,ま た 大 学 を 出 て い るか ら と い って 管 理 職 に しな け れ ば な らな い と い う配 慮 もあ っ た と も思 え な い。 っ ま り学 歴 ・年 功 管 理 で は な く,能 力 主 義 管 理 が 行 わ れ て い た と考 え る の が 至 当 で あ ろ う。
こ の よ う な 能 力 主 義 管 理 が,学 歴 ・年 功 に傾 斜 した管 理 へ と変 貌 す る き っか け と な った もの は何 か 。NKKの 場 合,そ れ は昭 和29年4月 に行 わ れ た職 制 改 正 で あ った 。
昭 和24年3月 ドッ ヂ ・ラ イ ン下 の 不 況 を 朝 鮮 戦 争 に よ る特 需 で 乗 り き っ た も の の 昭 和28年7月 朝 鮮 休 戦 協 定 調 印,国 際 収 支 の悪 化,内 外 需 要 の 不 振 に よ る景 気 後 退 に よ って,NKKは そ の 難 局 を 乗 切 る た あ 昭 和28年,29年 の新 卒 採 用 を手 控 え る と共 に,昭 和29年4月,事 業 運 営 の 根 幹 と な る機 構 お よ び 人 事 全 般 に わ た る一 大 刷 新 を 断 行 し た 。
例 え ば常 務 制 の 復 活,経 営 企 画 運 営 の 中 枢 と して の 工 務 部 新 設,技 術 部 強 化, 事 業 所 に あ った 建 設 部 を 本 社 に も っ て く る な ど本 社 集 権 体 制 を,7̲し た が,な
か で も特 筆 す べ き は ホ ワ イ トカ ラー の 人 事 権 を ラ イ ンの 管 理 者 か ら吸 い 上 げ,
150商 経 論i叢 第32巻 第3号 0251)
トップ に集 中 した事 で あ る。
従 来,事 業所 にあ って は人事 セ ク シ ョ ンは勤 労 課 人 事係 で あ り,本 社 にあ っ て は勤労 部 人事課 で あ った。29年 の 改正 で勤労 部 は労務 部 と呼称 を変 え る と共 に,人 事課 は労 務 部 よ り離 れ て社 長 直轄 とな った。事 業所 に あ って は,人 事係 は労務 課 よ り独コL̲し,事 業 所 長 直轄 の人事 係 とな った。
従 来 の人 事 の管 理 は,職 制 の長 が絶大 な権 限 を持 ち}例 え ば異動 で も職 制 の 長 同志 が 話 し合 いで決 め た もの を,人 事 はただ 手続 をす るセ ク シ ョ ンで あ った か ら,本 社 の勤労 部 人事課 人 事 係 といえ ど も職 員 は,係 長 を除 けば専 門卒 と巾 学卒 の係 員が2名,女 子 の事 務 補助 が数 人 と い う状況 で あ った。 なお本 社 に は 勤労 部 内 に人事 課 以 外 に人事 企 画課 が あ って,大 学 卒 の優 秀 な社 員 が,ホ ワイ トカ ラー の人事,給 与,教 育,等 の制 度 企画 に携 わ って い たが,実 務 は人 事 係 , 給 与 係 が行 って い た。
それ が,職 制 改正 によ って トップ直轄 とな ったか ら,組 織 管理 か ら人 事情 報 の蒐 集,職 制 の長 との調 整,人 事,給 与,教 育 の企 画運 営 ,労 働 組 合 との交 渉 な ど繁忙 を きわ め た上 に責 任 は重且 大 。本 社 入 事 が ,課 よ り部 に な り,事 業 所 の人 事 が係 よ り課 に な るの に そ う年 数 は要 しな か った。
昭 和29年 に人事 権 を本 社 に集 中 し,ホ ワイ トカ ラーの 一 元 管理 を行 った効 果 は大 きか った。uも はや戦 後 で はな い"と いわ れ たの は昭和31年 度 の経 済 白
書で あ るが,昭 和30年 頃 を境 と して 日本経 済 は戦後 復 興 か ら発 展 へ と向 か う, いわ ゆ る高度 成 長 時代 に入 る。NKKも 同 業 間 の シ ェアを維 持拡 人 す る ため大 型投 資 を続 け る。2年 半 か けて建 設 中 で あ った水 江製 鉄 所 が34年2月 に発 足, 昭 和38年 に は福 山製 鉄 所 の建 設 起 工,昭 和40年2月 福Li1製鉄 所発 足,昭 和44 年1月 津造 船 所 発 足,と い う成 長 発 展 の段 階 に入 る。 建 設 ・稼 動 は資金 と共 に マ ンパ ワーの確 保 が必 要 とな る。 建 設 ・稼 動 要 員 は,新 しい職 種 の 人 間 を必 要 とす る場 合 を 除 い て,多 くの場 合,全 社 の 稼 動 人 員 の中 か ら適 任 者 を ピ ッ ク ア ップ し,そ の あ とに新卒 を財 源 と して穴 埋 め す るのが普 通 で あ る。
と ころ が,職 制 の長 が実 質 的 に人事 権 を握 って い る場 合,ピ ック ア ップ しよ うと して も,抽 出 され る人間 が 優 秀 で あ れ ばあ る程,職 制 は その人 間 を出 す事
(250) 管 理 職 昇 進 と学 歴 ・年功151
に 抵 抗 す る。 人 事 権 が ト ップ に あ れ ば,有 無 を い わ さ ず,発 令 す る事 が 可 能 と な る。 事 実,人 事 権 を 集 中 した 当 初 は"依 命 通 知"の 原 案 を職 制 に 提 示 し,そ の 善 後 策 にっ い て 相 談 し た事 も随 分 あ っ た し,ま た 人 事 横 暴 の 諦 りを う け た 事
も あ っ た。 しか し何 れ に して も建 設 ・稼 動 要 員 に 人 材 を 支 障 な く配 置 す る事 が 出 来 た の は 人 事 権 が ト ッ プ に 集 中 して い た か らだ と考 え られ る。
更 に も う一 っ の メ リ ッ トは,人 材 を 計 画 的 に育 成 で き た事 で あ ろ う。 官 僚 の キ ャ リア組 が,広 くセ ク シ ョ ンを渡 り歩 い て,高 級 官 僚 とな る事 は広 く知 られ て い る事 で あ るが,戦 後 日本 の 企 業 が ア メ リカ か ら教 わ って 人 事 制 度 の 中 に C・D・P,す な わ ちCareerDevelopmentPlanは 異 動 昇 進 計 画 と して 今 日 我 が 国 大 企 業 の 中 に 定 着 して い る。
異 動 昇 進 計 画 が 必 要 な の は,部 の 壁,課 の 壁 が 出 来 た り,そ れ ぞ れ が 自分 の 城 に と じ こ も り勝 ち な 職 制 の 壁 を 打 破 し,幅 広 い 視 野 と経 験 を持 っ 管 理 職 を 育 成 す る上 に 効 果 的 だ か らで あ る。
最 近,社 内 公 募 制 度 を採 用 す る企 業 を散 見 す る が,こ れ も ス ム ー ス に 行 う為 に は,人 事 権 を 吸 い 上 げ て お く必 要 が あ る で あ ろ う。
と こ ろ で 制 度 に は,メ リ ッ トだ け と い う こ と は 仲 々 無 い の で あ って}メ リ ッ トが あ れ ば必 ず デ メ リ ッ トが あ る。 この 中 央 集 権 型 人 事 管 理 の デ メ リ ッ トは能 力 主 義 とい うか,実 力 主 義 管 理 か ら逸 脱 し易 い と い う 事 で あ る。
現 在 は 現 場 の 従 業 員 に も資 格 制 度 を と って い るか ら殆 ど 問 題 は な い が,作 業 員 の 配 置 転 換 は労 使 間 で 昔 は い つ も問 題 と な っ た 。 居 所 変 更 を 伴 う配 置 転 換 は 今 で も労 使 交 渉 上 の 問 題 に な る課 題 で あ るが,昔 は 同 じ工 場 内 で 他 の 職 場 に配 転 す る の で も問 題 と な り,配 転 手 当 を 支払 わ さ れ た 。
そ の 理 由 は,配 転 に よ って 仕 事 が 変 わ れ ば 今 ま で の 技 能 が 陳 腐 化 す る。 従 っ て成 績 が下 が る。 成 績 が 下 が れ ば 昇 給,ボ ー ナ ス等 で 差 が っ く,だ か ら配 転 を と り や め る か,配 転 手 当 を 支 給 せ よ,と い う の が 理 由 で あ っ た 。
昭 和38年5月,年 功 的 賃 金 と の調 和 を 図 る と い う事 か ら,業 務 給 が新 設 され た が,現 場 作 業 員 はA業 務 給 と い う名 の職 務 給,事 務 技 術 部 門 はB業 務 給 と い う名 の 職 能 給 で あ っ た 。 この 職 務 給 は点 数 法 に よ る職 務 評 価 に よ って 設 定 さ れ
152商 経 論 叢 第32巻 第3号 (249)
た 本 格 的 な 職 務 給 で あ った が,労 使 間 で 問 題 に な っ た の は,ス ク ラ ッ プ ・ア ン ド ・ビル ドに よ って,担 当 職 務 の 等 級 が 下 が っ た 場 合 ,ま た 配 転 に よ っ て職 務 等 級 が 下 が っ た場 合 の 保 障 問 題 で あ っ た。 結 局 実 績 保 障 を し,ベ ー ス ア ッ プ等 に よ り職 務 給 が 増 額 した 際,増 額 の/2を 以 て 保 障 分 を 取 崩 し,数 年 後 に は あ る べ き職 務 給 の額 に 位 置 づ け る こ とで 妥 結 した。
内 部 労 働 市場 を 前 提 と した場 合,採 用 時 の 配 属 部 署,本 人 の希 望 に よ らな い 配 置 転 換 か ら起 こ る不 公 平 。 戦 後 強 く な っ た 差 別 の 撤 廃i平 等 思 想 ,ま た,労 働 組 合 の 基 本 的 な ス タ ンス の 一 つ は平 等 と い う事 もあ っ て,中 央 集 権 型 管 理 の 場 合 ・ 公 平 を 実 現 す る た め,全 社 一 本 の 客 観 的 基 準 と して,同 一 学 歴 ・同一 勤 続 同 一 待 遇 が まか り通 る事 とな り,能 力 主 義 か ら外 れ た 事 も否 め な い。
こ う して待 遇 の 公 平 性 と い う意 味 も あ っ て ,学 歴 年 功 を 基 準 と した昇 進 管 理 は職 場 に定 着 し,本 来 の 意 味 で の 能 力 主 義 か ら逸 脱 し,学 歴 年 功 に よ る昇 進 へ の 公 認,大 学 卒 の 年 功 に よ る昇 進 へ の 期 待 感 と な り,職 制 の 長 に は そ れ が 昇 進 圧 力 と な っ た の で あ る。 逆 に 管 理 職 に は そ れ を 悪 用 す る け しか らん もの ま で 現 わ れ た。Aと い う昇 進 年 限 に達 して い る者 を 部 下 に お き た くな い と い う場 合, 彼 らの 常 套 の 口上 は こ う で あ る。 「A君 は そ ろ そ ろ年 頃 だ(係 長 とか,課 長昇格 時 機 とい う意味)A君 は あ れ で仲 々 い い所 が あ る。 う ち に は,ご 存 じの 通 り,A君 をLげ る ポ ス トが な い。 ど こか 人 事 で 適 当 な ポ ス トを 探 して 貰 え な い か。」出 来
る上 司 に か ぎ って こ う い う と こ ろ の 説 得 は う ま い 。"こ うい う い い 点 が あ る と か,あ そ この ポ ス トで は ど うだ ろ う"と か い っ て,説 得 さ れ る と,っ い人 事 は そ の 気 に な っ て,A君 の 昇 進 の 為 に一 肌 脱 こ うか と い う事 に な る。
か く して 次 回 の 定 期 異 動 で,A君 は昇 進 して 他 部 署 に 転 出 と相 成 る。 追 出 す 方 も ニ コ ニ コ,追 い 出 さ れ る方 も ニ コ ニ コ。 と い う次 第 。
4.肥 大 化 す る管 理 職 とそ の 対 策
昭和29年 以 降 中央 集権 的 人 事管 理 を行 う事 に よ って,大 学 卒 は,第 一 図 にみ る よ うに課 長 ま で は 大体 昇 進 す る結 果 とな った。 専 門卒 は昭 和26年 卒 を以 て 後 が な い し,高 校 卒 の管理 は中 央集 権 とい って も,実 質 は分 権 的管 理 で職 制 の
(248) 管 理 職 昇 進 と学 歴 ・年功
第6図 職 業 資 格 制 度 の 例
(能 力 段 階)(職 能区分)
(管理職社員)
課長 の職 務 を遂行 し うる能力 段階
係 長 の職務 を遂行 しうる能 力段 階
作業長 の職務 を遂
督 行 しうる能力段 階 社 工長の職務 を遂行 しうる能力段階
M2
M.
高度の企画業務 を
能 (社 員 区 分)力
釜 遂行 しうる能 力段 要 階
藍
督 行 しう 職
社 事務技術上の判定 邑 業務 を遂行 し うる
能力段階
職 社 工長の
愚
管 理 職 社 員 し うる
(肇謙 鷺 を遂行する能力)
段 階 区 分
(一 般 職 社 員) 一 般 職 社 員 の 能 力 主 要職 社 員
'事務技術上の企・
画的、判定的、
総括的職務を遂 行する能力を保
、有するもの,
監督 職 社員 '作業長ならびに1
工長の職務を遂 行する能力を保 有するもの
tii
(職 種 区 分) 適
性 区
分
(管 理 職 社
一 般 職 社 員 '上司または上位者の個別的または'
具体的な監督指導のもとに一定の 業務処理基準に従うて処理する業
、務を遂行する能力を保有するもの,
(主 要 職 社 員)
事 務 員 '事務的な企画 、
判定業務 に適 性 を有するも
、の,
技 術 員 '技術的な企画'
判定業務に適 性 を有するも
、の,
R含 ・Fz
R,・F,
(一 般 職 社 員)
C
員)
(監督職社員)
153
(資 格)
参 事
副 長 事
主 管
主 事1級
〃2級
社 員1級
〃2級
〃3級
〃4級
〃5級
〃6級
〃7級
一 応当関係
一 特別の応当関係
・… 。… 〉 見習段階
事 務 員 技 術 員
麟1]〔 難難
作 業 員
[撚/
154商 経 論 叢 第32巻 第3号 0247)
力 も強 い か ら・ 管 理 職 昇 進 に関 して は能 力 主義 が 先 ず 貫 か れ て い る とみ て良
い 。
そ う な る と問 題 は大 学 卒 で あ る が,こ の 大 学 卒 が,戦 前 の少 数 者 と は違 っ て, 高 校 卒 が 義 務 教 育 化 した結 果,製 造 業 に お い て は,大 学 卒 は ホ ワ イ トカ ラ ー, 高 校 卒 は ブ ル ー カ ラ ー と い う事 に な り,ホ ワ イ トカ ラー 層 で は 女 子 を 除 け ば 男 子 従 業 員 の 大 半 は 大 学 卒 と い う結 果 に な って い る。
この 大 学 卒 が,年 功 管 理 で 管 理 職 に昇 進 した の で は,管 理 職 イ ン フ レ と な る の は,当 然 の 帰 結 で あ ろ う。 昭 和50年 段 階 で Y管 理 職 は,昭 和32年 の3.5倍, 3,100人 に 達 し,男 子社 員 の40%を 占 め る に 至 っ た。 既 に 増 大 す る管 理 職 の 対 処 す る た め,昭 和40年 に第6図 の よ う な職 能 資 格 制 度 を 作 りa人 に よ って 組 織 が 作 られ る 事 を 防 ぐ為,職 制 は,部 長 一 次 長 一 課 長 一 係 長 の4階 層 と し,間 に あ っ た代 理 職 を 削 除 。 ま た必 要 もな い の に 人 の 為,部 ・課 ・係 が 分 化 す る こ と の な い よ う,い わ ゆ る ラ イ ンの 長 を一 般 管 理 職 ス タ ッ フ ・専 門 職 を 専 門 管 理 職 と して,例 え ば 人 事 課 長 は ラ イ ンの 一 般 管 理 職,人 事 部 課 長,或 い は人 事 課 課 長 は ス タ ッ フ,専 門 職 と し,待 遇 は副 参 事,参 事 とい っ た 資 格 に よ る こ と と した。 だ が 待 遇 系 列 た る 資 格 は 社 内 で 通 用 して も,社 外 に は通 用 しな い。 そ の 為 折 角 作 っ た一 般 管 理 職 と紛 らわ しい 専 門 職 ・ス タ ッ フ の 呼 称 も本 人 は満 足 し
て い る がy名 刺 を 貰 った 社 外 の 人 は仕 事 上 の 位 置 づ け が ピ ン と来 な い。
そ こ で 発 想 を180度 転 換 し,昭 和50年 管 理 職 制 度 の 改 正 が 行 わ れ た。そ の 大 要 は次 の通 りで あ る。
① 組 織 の 階 層 は3段 階 に 簡 素 化 し,社 内 に だ け通 用 す る呼 称 と す る。 部 一 室 一 班 。
② 部 ・室 ・班 の 考 え 方
部 … 出 来 る だ け 大 き な 仕 事 の ま と ま り単 位 を 部 とす る。
室 … 部 の 中 で,恒 常 的 に仕 事 が あ り,ど う して も恒 常 的 に 人 を 配 置 す る必 要 の あ る場 合 の 組 織 単位
班 … 室 の 中 で,恒 常 的 に仕 事 が あ り,人 を 恒 常 的 配 置 す る必 要 の あ る組 織 単位
0246) 管 理 職 昇 進 と学 歴 ・年 功155
③ チ ー ム … 部 ・室 ・班 は パ ー マ ネ ン トな 組 織 で,必 要 最 少 限 設 置 す る も の とす るが,そ れ 以 外 に業 務 上 必 要 と な る組 織 は チ ー ム と し,そ の 都 度 編 成 し,課 題 を達 成 す れ ば 速 や か に解 散 す る。
④ 柔 構 造 の組 織 … 部 の格 は全 社 共 通 だ が,部 の一 次 階 層 分 化 が 室,二 次 階 層 分 化 が 班 で あ り,全 社 を 比 較 した場 合,室 が 班 よ り格 が 上 と い う事 は な
い。 チ ー ム に つ い て も同 じで あ る。
⑤ ス タ ッフ,専 門 職 宅 任 部 員 と してr所 属 す る組 織 の呼 称 を 上 に 冠 し,
○ ○ 部 主 任 部 員,○ ○ 室 主 任 部 員,○ ○ チ ー ム 主 任 部 員 と称 す る。
⑥ 待 遇 系 列
従 来 の 資 格 呼 称 を 改 あ,社 会 的 ス テ ー タ ス と して 通 用 す る部 長 格,次 長 格,課 長 格,係 長 格 と し,名 刺 に は,○ ○ 部 課 長,○ ○ 室 次 長 と い った よ
う に資 格 を 印 刷 して 差 支 え な い こ と と した 。
す な わ ち従 来,待 遇 系 列 と して の 資 格 は,そ の 企 業 内 ス テ ー タ ス と して しか 通 用 せ ず,社 会 的 に 通 用 す る の は 課 長 とか,次 長 とか の 役 職 名 称 で あ っ た た め, この 役 職 名 称 を そ の ま ま 資 格 と し,組 織 は従 来 の 剛 構 造 の 組 織 を 改 め,簡 素 化, 柔 構 造 の組 織 と した。 そ して 組 織 上 の 職 位 と,待 遇 系 列 と の 対 応 関 係 を無 く し
た か ら,事 業 所 の 労 務 部 長 が 課 長 格 の 人 で あ っ た り,事 業 部 の 室 長 に 部 長 格 が 就 任 した り と い う事 が あ っ た 。 組 織 編 成 の 考 え 方 が,ま と ま り仕 事 単 位 で あ る か ら,部 とか 室 と か い って も,そ こに そ れ ぞ れ ポ ス トの遂 行 要 件 に差 を生 ず る。
従 っ て そ の ポ ス トに能 力 か らみ て 最 もふ さ わ し い人 を 補 職 した か ら以 上 の よ う な事 が 起 こ っ た 訳 で 画 期 的 な 事 で あ っ た。
この 改 正 に よ り,組 織 の 方 は剛 構 造 が 柔 構 造 化 し,現 在 に お い て も,先 ず 原 則 通 り運 用 さ れ て い る よ うで あ る。 た だ 班 長 と い う呼 称 は 未 だ に 余 り評 判 は良
くな い よ うだ が,先 ず 合 格 と い って い い の で は な い か 。
問 題 は 待 遇 系 列 た る 資 格 に 生 じ た 。 職 務 と余 り関 係 が 無 く,名 称 だ け は 社 会 的 ス テ ー タ ス と して 通 用 す る 資 格 は イ ン フ レを 起 こす 。 こ の 点 は昭 和50年 の 改 訂 の 時 か ら気 に な る と こ ろ で あ っ た。 右 肩 上 りの 成 長 を 続 け て い た 頃 は未 だ 問 題 が 顕 在 化 しな か った が,バ ブ ル は じけ て 企 業 の 存 亡 が 問 わ れ る と な る と,
156商 経 論 叢 第32巻 第3号 0245)
こ の 管 理 職 イ ン フ レ は コ ス トの 面 か ら も捨 て て は お け な い。 リス トラが 実 行 さ れ た 所 以 で あ る。
そ れ で は,こ の 管 理 職 イ ン フ レは現 在 どの よ う に な っ て い る か,ま た 能 力 主 義 管 理 を 日本 の企 業 あ げ て 指 向 して い る現 在,NKKに お け る管 理 職 の就 任 傾 向 は ど の よ う に変 わ った か を 次 に み て み よ う。
5.平 成8年 にお け る管 理 職 就 任 傾 向
第3表 は大卒 定 期 採 用 者 と在 籍 者(社 内 と出向)と 社 内稼 働人 員 を見 た もの で あ り,第7図 はそ れ を図表 化 した もので あ る。
第7図 定期採用者 ・卒業年次別在籍状況
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事 務 ← → 技 術
退 職 者 出 向 者 在 籍 者
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これ を み て感 ず る事 は事 務 に較 べ技 術 系 の大 幅 な採 用 増 で,採 用 の6〜7割 は技 術 系 が 占め る,技 術 系 の うち大学 院 卒 は学 士卒 業 の年 次 に合 わ せ て い るの で,実 際 の採 用 は表 の2年 あ と,す な わ ち,院 卒 で 昭和50年 に記 され て い る人 員 の本 当 の採 用年 は,52年 とい う事 に な る。年 に よ って若 下 の差 はあ るが概 し
て大学 院 卒 の比 重 が大 き い。
昭和40年 入社 は勤 続31年,年 齢 は53歳 以 上 と考 え られ る,40年 入 社 者 で
管 理 職 昇進 と学 歴 ・年 功 157 0244)
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158商 経 論 叢 第32巻 第3号 0243)
社 内 で勤 務 して い る もの は,僅 か9人(7,1%)出 向を含めて も採用人員の20%(25 人)に しか過 ぎな い。
昭 和45年 入 社(勤 続26年)以 上 の 年 次 を み る と45%か ら31%し か 社 内 に 残 って お らず,勤 続 が短 くな るにつ れ,社 内 稼 働者 の割 合 は増 加 して い るが, 勤 続5年 の平 成3年 入 社者 に して既 に学 士 で 社 内 に い る者 が7割y院 卒 が8割
と は相 当厳 しい。
と ころで社 内稼 働 者 の管 理 職 就 任傾 向 を見 た のが,第8図 事 務 系 の管理 職 就 任 傾 向,第9図 技術 系 の管理 職 就 任 傾 向 で あ る。
第8図 定期採用管理職就任傾向(事 務大卒)
1〔N)
50
100%
50
礫 毎・63態5552494744424。 ・1
現在人→20'1531393340473430201638627171343132261515843人
第9図 定 期採用 管理職 就任傾 向(技 術大 卒 ・大 学院 卒)
1UO
5{1
100%
5{}%
卒年・噂6463626160595857565554535251.5U49484746454443424140窺
人員→ 〔99♪{92}(331(21)(40)152)(66)(61)(65>(51}(54)(43)(29){46)(52)(7⑪1(60){481(3⑪)(27}(27)118}{14J(13}(2}人 162111504271SO999396767263537511911699887L54503831234人
注()は 大 学 院 卒,人 員 は 学 部 卒 業 年 次 に 含 む
こ れ を 第1図 即 ち 昭 和37年,34年 前 の 大 学 卒 の 管 理 職 就 任 傾 向 と 比 較 す
(242) 管 理職 昇進 と学 歴 ・年 功159
る と,予 想 に 反 して 美 事 な ぐ ら い年 功 序 列 が 貫 徹 して い る。9年 で 係 長 に7〜
8割 が 昇 進 す る事 は 変 わ ら な い が,100%に な るの に昔 は4年 位 か か って い た の が,今 度 は2年 で100%に な って い る 。
ま た 課 長 層 に 昇 進 す る の は昔 よ り1年 早 く勤 続14年 で 昇 進 が 始 ま り約2年 の 格 差 で90%に 達 し,ほ ぼ100%近 くが 課 長 に 昇 任 す る の は34年 前 と は 大 変 な 違 い で あ る。
逆 に 次 長 層 へ の 昇 進 時 機 は勤 続20年 か ら始 ま って お り,34年 前 よ り1年 遅 くな って い る が,同 時 昇 進 で は な い に せ よ ほ ぼ9年 か け て9割 方 次 長 に ま で 昇 進 して い る。
部 長 へ の 昇 進 は第1図,す な わ ち34年 前 の デ ー ター に あ て は め る と,次 長 在 資 格2年 で 部 長 に 昇 進 した 事 に な るが,こ れ は例 外 と して,勤 続23年 頃 よ り ポ チ ポ チ昇 進 者 が 出 始 め7〜8年 後 に は100%部 長 で,退 職 と い う年 次 も あ らわ れ る。
係 長100%,課 長 も ほ ぼ100%,次 長 も90%を こえ る所 ま で 定 年 ま で は達 し 更 に も社 内 に 残 って い る者 の90%は 部 長 で 退 職 とす る と,能 力 主 義 は一 体 ど こ へ い っ た の か ね と い い た くな る。 だ が こ れ は 同 期 の 半分 以 下 しか 社 内 に残 って い な い か らだ とす れ ば,事 務 ・技 術 を 合 わ せ,出 向 者 を 含 む全 在 籍 者 で 管 理 職 の就 任 傾 向 を み た ら ど う な る か 。 調 べ て み た の が,第10図 で あ る。
こ れ を み て も,社 内 稼 働 者 で み た 傾 向 と殆 ど変 わ ら な い。 む しろ 人 数 が 増 え た分 だ け,傾 向 が な ら さ れ て,む しろ 昇 進 の 傾 向 が よ り鮮 明 に把 握 出 来 る よ う に思 わ れ る。
係 長 は勤 続9年80%,10年 で95%,11年 で 例 外 を 除 き同 期 入 社 の 者 は ほ ぼ 100%係 長 に な っ て お り,同 期 昇 進 と い っ て 差 し支 え な い だ ろ う。
課 長 は勤 続14年 か ら35%,25%,25%と 昇 進,85%位 に達 した あ と緩 か に 95%の ラ イ ンに 近 づ き横 這 い と な る。 例 外 を 除 い て 大 学 出 は 課 長 迄 は 昇 進 す る
と い う事 か 。
選 抜 が 始 ま る の は,次 長 か らで あ る。 勤 続20年 か ら昇 進 が 始 ま り,約10年 か け て 次 長 層 に90%は 昇 進 して い る。第1図(34年 前)と 比 較 して,大 き く違 う
160商 経 論 叢 第32巻 第3号
0241)
第10図 大卒 定期在 籍者管 理職就 任傾 向 (院卒 ・学卒 ・社 内 ・出向 ・全員)
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数 字 は人 員で 外数
点 は,次 長 へ の昇進 比 率 と次 に のべ る部 長 へ の昇 進比 率 で あ る。 部 長 にっ いて は,勤 続22年 か ら抜 擢 が あ り,序 々 に定年 ま で の間 に80%が 部長 に昇進 して い る。
大学 卒 が各年 次 と もこの よ うに昇 進 す る とす れ ば,大 学 卒 の採 用人 数 か ら考 え,会 社 はそ の人件 費 だ けで破 産 せ ざ るを得 な い。 そ の疑 問 を解 く鍵 は,先 に
もふ れ た よ うに退]職と出向 に よ る社 内稼 働人 員 の減 少 にあ る。
退 職 者 は,退 職 金 とい う一 時 出費 はあ る もの のそ の人 件 費 は減 少 す る し,出 向者 は出 向先 との賃 金差 額 の補墳 とい う出費 は あ るが,人 件 費 の大 部分 の負 担 は免 れ る。要 す るに要 点 は次 の点 に あ る。
① 社 内 に残 った人 間 が何 人 で,そ れが どの程 度 役職 に就 任 して い るか。
② 出 向者 に対 す る会社 の政 策 の ポイ ン トは,出 向者 の モ ラール で あ る。 出 向元 に お け る役 職 は出 向者 の モ ラール に大 きな影 響 を与 え る。 それ は出 向 先 にお け る仕 事 振 りを 出 向元 が ど う評 価 して い るか につ な が るか らで あ
る。 従 って 出向者 の元 籍 にお け る役 職 就 任 程度 は ど うな って い るか。
以 上 の点 をふ まえ て,整 理 した のが,第11図,第4表,第5表 で あ る。
採 用 人員 を中心 に お いて,役 付就 任 傾 向 を考 え る とす る と,大 学 卒 定 期採 用 者 につ いて は次 の よ うに云 え るの で はな いか。
0240) 管 理 職 昇 進 と学 歴 ・年 功161
第11図 大 卒定期 採用在 籍人 員比率
採 用 人 員 1Qf1%
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iの 線 在 籍/採 川 人 員 〉
トの 線 社 内 稼 働/採 用 人 員
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(係 長)勤 続9年,10年 で ほ ぼ 昇 進 す る。
(課 長)社 内,出 向 の 別 な く,一 生 懸 命 や って お れ ば,い っ か は 課 長 に 昇進 す る。
(次 長)こ こ か ら撰 別 が 始 ま る。同 期 の う ち昇 進 出 来 る の は3割 か ら4割,但 し同 期 で 部 長 が 出 始 め る と社 内 に残 る の は難 しい 。
(部 長)次 長 の 滞 留 年 数 と は 関 係 な く,ま さ に 会 社 に 必 要 不 可欠 な 人 の み 昇 進 す る。社 内 で の 昇 進 は 目 下 の 処 同 期 の 約30%以 内 。将 来 は10%以 下 と な る で あ ろ う。
技 術 系 に つ い て,大 学 卒 と大 学 院 卒 と の 間 に昇 進 上 の 差 が あ るか ど うか を調 べ た の が 第12図 で あ る。院 卒 は学 士卒 業 年 次 で 凡 て 比 較 した が,特 に そ の 取 扱
い に差 を 見 出 せ な か った 。
研 究 所 に お い て は 差 が あ る の で は な い か と も考 え られ るが,そ れ は今 後 の 調 査 を ま ち た い 。
不 定 期 採 用 者 と定 期 採 用 者 と の 間 に差 が あ る か を 前 掲 の 第10図 に 示 して あ る。 第10図 の 中 の ○ は 不 定 期 で 中 の 数 字 は該 当 人 員 で あ る。 招"̲1.採用 で あ れ ば,卒 業 同 期 の ト ッ プ に 位 置 づ け ら れ よ う し,要 す る に 採 用 理 由 に よ る 事 を 確 認 した 。
最 後 に 高 校 卒 に っ い て ふ れ る。高 校 卒 の 管 理 職 就 任 傾 向 は第13図 で あ る。 こ れ に よ れ ば 事 務 の ト ップ は勤 続14年,技 術 の ト ップ は勤 続16年 で 係 長 に 昇 進
0239) 商 経 論 叢 第32巻 第3号
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