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機械的刺激に対する骨および骨系細胞の応答に関す る実験的研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

機械的刺激に対する骨および骨系細胞の応答に関す る実験的研究

蔵田, 耕作

Graduate School of Engineering, Kyushu University

https://doi.org/10.11501/3180274

出版情報:Kyushu University, 2000, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第6章

超微小押込み試験による骨組織の 局所的物性評価

6.1 緒言

骨粗索症等の骨疾患は, リモデリングにおける動的平衡の破綻によって発症すると 知られている.老年性骨粗彩症では骨微細構造の連結性・複雑性が消失(Co mpston et a1.

1987) し, さらに加齢によって骨コラーゲンの強度低下が生じる(Danielsen et a1. 1986) という報告がある. これらの骨疾患の発症機序を解明するためのひとつのアプローチ として, 骨組織の微細構造の変化および局所的な機械的物性の変化を明らかにするこ とが求められている. さらに, 骨のリモデリングや退行的変化に関する動物モデルに おいては, 観察対象が薄切切片として供されるととが多い. これらの切片から機械的 物性を評価するためには, これまで、以上に微小な領域での計測が必要となる.

従来より骨組織の機械的物性を測定するためには,骨全体あるいは適当なブロック に切り出した骨組織に対して, 引張, 圧縮, 曲げ試験等の静的強度試験が行われてき た(Ci arelli et a1. 1991; Tumer and Burr, 1993). これらは, 巨視的に等方・均質と見なす ことが可能な工業材料に対して用いられてきた試験法を骨組織に対して適用したもの である. しかしながら, 骨組織は有機成分であるコラーゲン線維に無機成分であるハ イドロキシアパタイト(OHAp )が沈着することによって形成されており,さらにこの構 造が三次元的な配向性を有する. このような非等方・不均質材料であるため, 従来の

方法によって骨の局所的な機械的物性を評価することは困難である.

工業材料の局所的な機械的物性を測定する簡便な方法として硬さ試験が用いられて きた. 特に近年では, 材料表面の蒸着膜, 酸化膜等の薄膜の機械的物性を局所的に測 定する手段として, 超微小押込み試験機が注目されている(Yanagisawa and Motomura 1987・金沢1989:稲村・鈴木1990a ; 1990b; Vancoille et a1. 1993). 超微小押込み試験機

は, 三角錐 ダイヤモンド圧子を10mN以下の微小荷重で押し込みながら, 押込み荷重 と押込み変位の関係を逐次計測し, 材質評価を行うものである. 押込み変位が1μm以 下であり, 材料表面の微小領域の評価が可能である.

生体の骨組織に対しても, 古くから硬さ試験による物性の評価が行われており (Amprino 1958; We aver 1966; Yoon and Katz 1976), 硬さ試験の結果から骨の微細構造を 考察した報告が散見される(Ziv et a1. 1996; Riches et al . 1997). しかしながらこれらの

- 90 -

研究は, 骨の断面部位に対して数百~数千mNの荷重範囲においてマイクロビッカー スあるいはヌープ押込み試験を行ったものであり, 微細構造を明らかにするには不十 分であると思われる. 最近, これまで主に工業材料に対して用いられてきた超微小押 込み試験機 を, 骨組織の物性評価に応用した研究報告が散見される(Tumcr et al. 1999;

Zysset et a1. 1999; Rho et a1. 1999). しかしながら, リモデリング過程にある骨におい て, 機械的物性の変化を局所的に評価したという報告は見受けられない.

本実験では, 超微小押込み試験の骨組織への適用可能性を検討するために, 家兎皮 質骨に対する計測を行った. さらに, リモデリング過程にある骨組織について機械的 物性の変化を考察するために, 機械的刺激を与えたラット尾椎の各部位に対する計測 を行った. これらの実験から, 超微小押込み試験の有用性が確認された. そこで, 形

‘態計測や組織観察に利用される硬組織薄切切片において機械的物性の評価を行うこと を目的とし, 家兎皮質骨およびラット尾椎の薄切切片に対する計測を行った超微小 押込み試験から得られる負荷/除荷曲線の接線係数は, それぞれ硬さおよびヤング率 と相関するととが示唆されている(稲村・鈴木1990b;糸数・村上1993)・ これらの相 関関係を利用して, 家兎皮質骨およびラット尾椎の局所的な硬さ, ヤング率を算出し た. 一方, 薄切切片は組織染色・観察を行い, 骨組織の微細構造と機械的物性との関 連を考察した.

6.2 超微小押込み試験の原理

本実験で使用した超微小押込み試験機(ダイナミック超微小硬度計DUH-50,島津製 作所, 京都)(超微小押込み硬さ試験機EN下1040, エリオニクス, 東京) は, 最大試験 荷重, 負荷/除荷速度, 荷重保持時間の設定値に従い, 1サイクルの試験が行われる.

三角錐圧子を試験片に対して押し込み,引き抜く過程で逐次計測される押込み変位dと 押込み荷重Fの関係を図6

.1に示す. 圧子が試験片表面に接触した後, 荷重の増加と共

に押込み深さも増加する.最大試験荷重に達すると,この荷重を一定時間保持する.骨 に対する押込み試験では, この荷重保持の問もクリープ変形による押込み深さの増加 が認められた. 除荷過程の開始直後では, 試験片の弾性回復により圧子が押し戻され る. 圧子が試験片表面から離れて完全に除荷されると試験サイクルは終了する. 荷重 が0 になるこのときの圧子の変位は塑性変形によるくぼみの深さである.

負荷過程において荷重が増加し塑性変形が生じるようになると 試験片の降伏応力 と荷重とが釣り合うようにして変形が進行する. 負荷過程は塑性変形の程度, つまり 硬さと関係のある値を反映するものと考えられる. 一方, 除荷過程の直後では圧痕の 弾性回復が生じることから, この 過程は試験片のヤング率を反映した挙動を示すと考

- 91 -

(3)

Fig.6.4 Schematic positioning of the indentaions for rabbit tibia .

成熟日本白色家兎(体重約3kg)右腔骨を対象に用いた. 屠殺後の家兎より骨をすみ やかに摘出し, 使用まで-60tで保管した. 緋骨結合部より10mm遠位部において厚さ O.6mmの横断面方向の切片を作製し, その直下遠位部より矢状断面方向の切片を作製 した(図6.3). 切片はダイヤモンドソー(Exakt Medical Instruments Inc., Oklahoma, OK,

USA)にてスライスし, 断面を 2000番の耐水ペーパーで平滑に研磨した後, 十分に洗 浄して超微小押込み試験に供した.

超微小押込み試験は骨切片をステンレス鋼製の基板上に瞬間接着剤により固定し,

生理食塩水で、湿潤状態に維持して行った. 設定最高荷重まで一定速度0.24mN/sで負荷 し, 荷重を5秒間保持した後, 同様に除荷したときの負荷荷重および圧子変位を逐次 計測した. なお, 計測は, ダイナミック超微小硬度計DUH-50(島津製作所, 京都)に 対稜角1150 の三角錐ダイヤモンド圧子を取り付けて行った. 設定最高荷重は,

2.94, 3.92, 4.98, 6.86, 9.81, 19.6mN

とした.

anterior部における矢状断面, 横断面の切片に対して8通りの設定最高荷重それぞれ について計測を行った. さらに, 皮質骨の anterior, posterior, medial, lateral部の 4部 位に対して横断面での計測を設定荷重 0.98, 9 .8mNについて行った. 各部位, 各 設定 最高荷重について, 皮質骨中央部の10箇所を 50μm間隔で計測した(図6.4).

0 .98,

骨組織に対する超微小押込み試験の適用

Fig.6.3 Preparation of specimens丘om rabbit right tibia.

-93 -

Lateral

家兎皮質骨に対する適用

Anterior

対象および方法

Medial 6.3.1. 1

10mm 6.3.1

6.3

1

.96,

えられる. 変位dの二乗d2と荷重Fの曲線に整理し, 負荷過程および除荷過程におい て回帰直線を描いたときの接線係数AおよびDは, 金属材料において実験的(稲村・鈴 木1900b), 解析的(村上ら1993;糸数・村上1993)にそれぞれ硬さおよびヤング率に 相関があることが示唆されている. 本報では, 最大荷重の50%以上の範囲の曲線から 接線係数dおよびDを算出し (図6勾, Aを硬さの指標, l/Dを弾性の指標 とした.

dpl

Displacement,μm

Fig.6.1 Schematic diagram of a pyramidal indenter pressed onto a specimen and typical indentation cycle on bone tissue.

Displacement2, (μm)2

Fig.6.2 Relationship between the square of indentation displacement and force .

lmen Indenter

Ju

nloading

dm似 2 2-3 3

ー92 - 0- 1 2

Z620同 Z60H。'山

(4)

それぞれの骨中央

家兎腔骨の anterior部における矢状断面, 横断面での最大押込み深さdmaxとAとの関 係を図6.7, 図6.8に, dmaxとl/Dとの関係を図6.9, 図6.10に示す. Aについては, 矢 状断面, 横断面いず、れの場合も, dn仰の増加と共に 0に漸近した• llDについては, 矢

0.6

o O.981mN 1.%mN

2.94mN 3.92mN o 4.90mN X 6.86mN èJ. 9.81mN ... J9.6mN

0.2 0.3 0.4 0.5 d叫戸,μm 0.1

質骨部(a, b, h, i) および軟骨下骨部(c "--' g) の合計9部位について,

に対して20μm間隔で6箇所行った(図6.6)・

30

1-、 20

E

、../、、、

Z

25

10 J5

5

0.6

o O.98JmN ロ 1.96mN

・ 2.94mN ... 3.92mN o 4.90mN

X

6.86mN

L::. 9.81mN ... 19.6mN

0.2 0.3 0.4 0.5 dmax ,μm

結果

-AU

6.3.2

30

� 20 E 1 -、、、Z

25

10 15

5

Fig.6.8 Relationship between dmax and A in the transverse plane for anterior part of Fig.6. 7 Relationship between dm似組dA in the

sagittal plane for anterior part of rabbit tibia.

14週齢のSprague-Dawley雌性ラット3匹を 対象に用い, それぞれの軸荷重負荷ラッ ト, (II)偏荷重負荷ラット, (III)無負荷のコントロールラットとした. いず、れのラット も機械的刺激の負荷に先立ち, 第4・6尾椎の冠状面に対して水平方向に直径1.2mmの ステンレス鋼製のピンを 挿入した(図3.1)・ ピン挿入の翌日より, このピンを介して,

荷重 10N, 周期1秒の正弦波状の機械的刺激を 3OOcycles/ da y の条件で第5尾椎(C5)に 負荷した. (1)ではピンを 同一平面上で往復動させて軸荷重を ,(II)では一方のピンを 矢 状軸方向に 4mm移動させた平面上で往復動させて偏荷重を 与えた(図3.6)・ 機械的刺 激の負荷は24時間間隔で 4週間繰り返し行い, 負荷時以外の時間 はピンを特別に拘束 することなく自由な運動を許容した.

4週間 の機械的刺激の負荷後,過麻酔によって屠殺したラットからりを取り出した.

C5の正中断面を有するような厚さlmmの骨切片を作製し(図6.5),家兎腔骨と同様に,

断面を平滑に研磨後, 十分に洗浄して超微小押込み試験に供した. 計測条件は, 設定 最高荷重 4.9mN, 押込み速度O.24mN/s, 荷重保持時間 5秒間とした.

リモデリング過程にある骨組織において, 機械的物性の変化を評価するのに超微小 押込み試験が有用であるかどうか検討するために, 軸荷重負荷ラットの尾椎皮質骨に 対して計測を行った. 計測は, 正中断面および横断面において骨内膜面側から骨膜面 側に向かつて等間隔に 11領域に区分し, 2

0μm間隔でそれぞれ 5箇所行った (

図6.5)・

さらに, 偏荷重負荷ラットおよびコントロールラットの尾椎正中断面について計測を 行い, 機械的刺激が骨組織の機械的物性に与えた影響について考察した. 計測は, 皮

機械的刺激を与えたラット尾椎に対する適用 6.3.1 .2

0.6 0.5

..._

... I

... I

I ...

I ...

l 、v

v

0.1 0.2 0.3 0.4

dmax ,μm

可F L::.

rabbit tibia.

o O.98JmN 1.96mN

・ 2.94mN ... 3.92mN o 4.90mN

X

6.86mN

èJ. 9.8JmN ... 19.6mN

。。 4 3.5 3

2

づ�

2.5

1

g

1 5

0.5 0.6

v

v v

0.1

v

0.5

v

0.2 0.3 0.4 dmax ,μm

v v

v A

L::.X

TX

A

1、lハ IL::.

1

L::.

OX

LL::.

長守。 X L::.

A

川一剛一州一州一州一剛一州一州86420616 ny内ヲハヲny内y。。nBh,01234691 0ロ・企AV×ムV

。unu

4 3.5

z

3

E

2 5

Q hよ1.5 2

0.5 Cranial

l-.Dorsal 20μm

Dorsal

Endosteum

Fig.6.l 0 Re]ationship between dmax and l/D in the transverse plane for anterÏor part of rabbit tibia.

Fig.6.9 Relationship between dmax and

1在)

in 出e sagt仕al plane for anterior part of rabbit tibia.

Fig.6.6 Schematic positioning of indentations for tbe offset-loaded and control rat.

Fig.6.5 Schematic positioning of indentations for the axial-loaded rat.

-95 - -94 -

(5)

0.5↓ l 2.5

1 1

0Morロ Post巴rior

|

0.4 I ;. ��日l 2

... AJføA;f'J.l

1 1 E 03

うへ

1.5 �

U'信M畠門血金l.LQ

6h『 0 2

、、

0.1ト

�!

0.01 0.02 0.03 0.04 0.05

0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

dmax ,μm dl1UlX ,μm

Fig.6.11 Regional dependence of the

1バo

in the transverse plane under the load of 0.981mN.

0.8

� � I Median plωE

( 市凡ぷ--1

1

Transverseplane In=5

J 1 III I 1 p<0.05

\ 61 111 1 1 I

) 1 IIr I 1 Sites 1.2,5.6,7 on山e n四di机plωE

"--1_l 111 J_...) p<0.05

Slles 3,4ム7,10 on the tr胡sverse plane

[ 0.6

Z

て0.4

0.2

2

7

Fig.6.13 In-plane dist口butions of the A on the median and transverse planes of the axial-loaded rat.

0.8

図Offseトloaded rat 口CODtrol rat

p< O.∞1 n = 6

•• p < 0.05

官0.6

、、J

、、Z

.;. 0.4

0.2

a b c d f g

Site

Fig.6.15 Comparison ofthe A between the o百set-Ioaded rat and control rat.

状断面ではdm自に依存して増加するが, 横断面では1.5(μm)2爪I程度で、プラトーに達す る傾向が認められた.

家兎腔骨の横断面におけるdmax とl/Dとの関係を, 設定荷重0.981, 9.81mNについ て 図6.11, 図6.12にそれぞれ示す. 荷重0.981mNでは, 両パラメータの部位による差 違は認められなかった. 荷重9.81mNでは, medial部でのl/Dは posterior, lateral部の それよりも有意に高かった. このときdmaxについての有意差は認められなかった.

軸荷重負荷ラット尾椎の正中断面および、横断面について, Aおよび、l/Dの結果を図 6.13, 図6.14に示す. 正中断面, 横断面のいずれも, 骨膜に近い領域においてl/Dの 増加を 認めた(図6.14). さらに,これらの領域で、はAが減少する傾向を認めた(図6.13)・

これは, 骨膜に近い領域で, 大きな弾性回復を示す低弾性率の骨組織が分布している こ とを意味 する.

偏荷重負荷ラットおよび コントロールラットの尾椎正中断面について,Aおよびl/D の結果を図6.15, 図6.l6に示す. 偏荷重負荷ラットの軟骨下骨部では, コントロール ラット と比較して, 有意なA の上昇およびl/Dの低下を認めた.

Fig.6.12 Regional dependence ofthe l/D in the transverse plane under the load of 9.81mN.

4 3.5

3

��

2.5

-3 5 2

1.5

h司句

6ふ3

考察

家兎腔骨に対する超微小押込み試験では, 設定荷重0.98ImNで

1

0nm前後, 9.81mN で 300'" 500nm程度の最大押込み深さを示した硬さ試験においては, 圧子の押込み 深さと試料の厚みとの関係が機械的物性の評価に対して重要な意味を持っている. 押

込みによる塑性変形領域の広がりに対して試料の厚みが薄い場合,測定結果には試料 台等の下地層の影響が含まれることになる. 糸数・村上 (1993)は三角錐庄子の弾塑性 押込み解析を 行い,押込みによって生じる塑性変形領域の深さは圧痕の深さの12倍程

度であることを示した. この結果を本研究に適用すると,最大の設定荷重9.8 1mNで測 定するときに必要な試料の厚みは約6μmになる. 骨の適応リモデリングや骨粗索症等 の骨疾患に関する動物モデ、ルで、は,作製された数~数十μm厚の薄切切片に対して組織 観察や形態計測が行 われている. 超微小押込み試験はサブミクロンオーダーでの押込 み試験が可能であるため, これらの組織観察や形態計測を行うために作製された薄切 切片から同時に局所の機械的物性を求め得る利点を有する.

家兎腔骨の矢状断面, 横断面における最大押込み深さdmιとl/Dとの関係から,dmι が0.3μm程度以上ではl/Dに異方性が認められ, このとき横断面は矢状断面よりもJ/

Dが低値, すなわち弾性率が高かった. 押込み深さが0.3μmのとき, 三角錐圧子によ り 形成される正三角形圧痕の一辺の長さは約0.66μm となる. 骨組織では, 直径50 '"

100nmのコラーゲン細線維(collagen filament)の集合によって直径2"'10μmのコラーゲ ン原線維 (collagen fibril)が形成され, これに(3'"

7) X

20nrn程度の大きさのOHAp結

M叫an pl蹴

T'ransverse p lane In=5

Pく0α)1 Sites 1 - 7 on山e medi加plane く0.05

0.5 0

Fig.6.14 In-plane distributions of the l/D on the median and transverse planes of the axial-loaded rat.

AU寸 戸、J 今、d

司、d n=6

O佑et-loaded rat Control rat

本p<O∞1

** p<0.05

��

2.5

[

2

1.5

τ一、*

0.5

Site

Fig.6.16 Comparison of the l/D between the offset-loaded rat and control rat.

ー96 - -97 -

(6)

晶が沈着すると言われている. 超微小押込み試験において, 荷重, 押込み深さが大き な条件ではコラーゲン線維径のオーダーでの物性評価が可能であり, 測定結果はコ ラーゲン線維の弾性的挙動と配向の異方性を反映することが分かる. 筋の付着部など を除き, 長管骨骨幹部においては, コラーゲン線維が骨軸と比較的平行に配向してい ると考えられる. このような部位では,コラーゲン線維の軸方向つまり横断面の方が コラーゲン線維の半径方向つまり矢状断面よりも高いヤング率を示すと思われる. 家 兎腔骨の計測から得られた機械的物性の異方性は, これに一致した.

一方, 押込み深さが小さな条件では矢状断面, 横断面のいず、れの場合もl/Dの傾向 は類似しており, 低値であった. つまり, 押込み変形の弾性回復が小さいことを示し ていた. 骨組織を,低弾性率で引張り強度の高いコラーゲン線維と高弾性率で引張り 強度の低いOHAp結晶の複合体として考えると,本計測結果はコラーゲン線維に沈着 したOHAp結晶の脆性的挙動を反映しているものと思われる. dmaxとAとの関係から も, 押込みが微小な領域では Aが高値, つまり硬度が大きいことが認められ, とれは OHAp結晶の物性の反映と推察される.

家兎腔骨の各4部位におけるdmaxとl/Dとの関係から,荷重9 .8 mNの条件で, medial と poste口or, lateralの間でμDについての有意な差が認められた. 押込み荷重が大きな 条件での測定であることから,コラーゲン線維に起因する弾性の部位による違いが評 価されたものと考えられる.

骨には,カルシウムおよびリンの貯蔵庫として体液のホメオスタシス( Homeostasis) を維持する機能と, 生体組織を支持するための強度と剛性を有する運動器官としての 機能がある. これらの機能を果たすために, 骨は高度に階層化された構造を持ちリモ デリングを行っている. Katz et al.( 1984)は骨の階層構造に対して,(l)molecular levelと して有機成分であるコラーゲン, 脂質, プロテオグリカン, および無機成分である OHAp, (2)ultrastructural levelとして高い配向性を持ったコラーゲン線維とOHAp結晶,

(3)micros仕uctural level としてコラーゲン線維およびOHAp結晶がより高度に組織化さ れてできたwoven bone, haversian bone, (4)macrostructural level として骨全体の形状寸 法, という4レベルの分類を与えた. 家兎腔骨に対する計測により, 超微小押込み試 験はコラーゲン線維やOHAp結晶といったul廿astructural levelで、の骨の物性や構造を評 価することが可能であると示された.

軸荷重負荷ラットの尾椎皮質骨では,骨膜に近い領域において押込み変形の弾性回 復が大きく弾性率の低い骨組織の存在が認められた. 第3,4章で示したように,機械 的刺激を与えたラット尾椎の皮質骨骨膜面では,石灰化の幼若なwoven bone( 線維性骨 )の形成が認められた. woven boneは,不規則に束が組み合わさって配列したコラーゲ ン線維等の有機性基質 ( 類骨, osteoid)にOHApが沈着して形成された小練構造をなし ており, 次第に骨のリモデリングが進行し, 成熟した層板骨組織へと変化することが

ー98-

指摘されている (Rubin et al. 1995)・ 荷重4.9mNの計測条件では尾椎に対して0.09�

0.19μmの押込み深さを示し,押込みの領域は微小である. 本実験結果は, 皮質骨内か ら骨膜面へ向かつて,woven boneにおける類骨の形成と石灰化が進行していく過程を 示すものと推察される. 超微小押込み試験は, とのような局所的な機械的物性を評価 し, それらの分布を得るのに有用であった.

コントロールラットにおいて, 軟骨下骨部は他の部位よりも弾性率が低く,硬度は 小さかった. 偏荷重を負荷することによって軟骨下骨の領域では押込み変形の回復が 小さくなり, 高弾性率, 高硬度の骨組織が認められた. 靭帯切離によって関節運動の 動的 不安定を発生させた早期変形性関節症(Osteoa口hritis,OA)モデル家兎では,軟骨下 骨の硬化や軟骨辺縁の骨東京の形成が報告されている(日垣ら1998 )・ 本結果は機械的刺 激によって軟骨下骨の 石灰化が進行して骨硬化が 生じ,OHAp結晶の脆性的特性が増 大したことを示唆するものと推察される.

6.4 硬組織薄切切片の硬さおよびヤング率の評価

前節では,生体骨組織に対して超微小押込み試験を適用し,その有用性を検討した.

その結果, 押込みが微小な条件下ではOHApの物性や脆性的挙動を, 押込みが比較的 マクロな条件下ではコラーゲン線維の弾性や配向の異方性を評価可能であった. さら に, リモデリング過程にある骨組織において,骨膜面におけるwoven boneの形成, 石 灰化の進行,軟骨下骨における骨の硬化等という物性および組織構造の局所的な変化 を示唆することが可能であった.

しかしながら, これらの検討は, 骨組織の機械的物性を相対的に評価・比較するに とどまっている. 本節では, 超微小押込み試験から得られる負荷/除荷曲線の接線係 数と硬さ, ヤング率との相関関係を利用して, 家兎皮質骨およびラット尾椎の局所的 な硬さ, ヤング率を算出することを試みた. さらに, 計測対象は, 形態計測や組織観 察にも利用可能な薄切切片とし,組織染色・観察を行うことによって骨組織の微細構 造と機械的物性との関連を考察した.

6.4.1

対象および方法

6.4.1.1

接線係数と硬さおよびヤング率の相関

骨組織に対する計測に先立ち,10種の金属および非金属材料に対して超微小押込み 試験を行った. 対象は, 銅, 真銭, アルミニウム, 金, S45C, SK7, SUS316, 塩化ビ ニル, 超高分子量ポリエチレン, 象牙とした. 厚さ1mmの各試験片表面は耐水ペー

-99 -

(7)

1-2( 手 )2

v= 日 2 -2( 立 )2

パー, さらにアルミナ粉(粒径0.05μm)で研磨した後, 十分に洗浄した. 各試験片に対 して20箇所の超微小押込み試験を, 設定最大荷重4.91mNまで速度一定(0.24mN/s)で 負荷し, 最大荷重で5秒間保持した後, 同速度で除荷するという条

件で行った.

なお,

計測は, 超微小押込み硬さ試験機EN下1040(エリオニクス, 東京)に対稜角1150 の三 角錐ダイヤモンド圧子を取り付けて行った(図6.17).

、 ‘, ノ一 V

一勺L一一一v

vτI +一

O' L V

一一

E

超微小押込み試験で得られた(変位)2_荷重の曲線において, 負荷/除荷過程の接線 係数A,Dはそれぞれ硬さ,ヤング

率に相関するということが実験的 (稲村・鈴木1900b), 解析的(村上 ら1993;糸数・村上 1993)に示唆さ れて いる. 本実験では, 前節と同

HV,

Ultrasonic pulse generator and receiver

Oscilloscope

円けu nハu

0000

2X Thickness velocity= Time M

Transducer Thickness

様に, 最大荷重の50%以上の範囲 の曲線からA,Dを算出し,A を硬 さの指標,1/Dを弾性の指標として 採用した. 各試験片から得たA と

l/DとEの関係について検討 し, 相関式を得た.

一戸内 みのd ー・

...-._,.-

Fig.6.17 Ultra-microindenter (Left) and peripheral appara回s (Top) .

超微小押込み試験で得られた接線係数と比較するために,マイクロビッカース試験 機(島津製作所, 京都)および超音波パルサーレシーバ5057PR(日本パナメトリクス,

東京)を用いて, 各試験片の微小硬さHV およびヤング率Eを計測した. 微小硬さは,

対面角1360 の正四角錐圧子を用いて, 各試験片7箇所ずつ計測した. 試験荷重25g を 条件とした. 試験片に残 った圧痕の2本の対角線を計測し, その平均値を用いて次式 から微小硬さを算出した.

Fig.6.18 Schematic representation of measurements of velocity by using ultrasonic pulses.

家兎皮質骨における硬さおよびヤング率の計測

成熟日本白色家兎(体重約3kg)の右大腿骨および腔骨を対象に用いた. 屠殺後の家 兎より骨をすみやかに摘出し,使用まで-60'Cで保管した.大腿骨は 遠位端より30mm 近位において 厚さ200μm の横断面切片 (Transverse specimen)を切り出し, 続けて近位 残部のanterior部から矢状断面切片(Sagittal specimen),冠状断面切片(Coronal specimen) を得た(図6.19). 切片は, 約100μm 厚にまで研磨した後, 洗浄した. さらに, トルイ ジンブルー染色を施し乾燥させた後,光学顕微鏡による組織観察および、超微小押込み 試験に供した. 3方向の切片それぞれに対して皮質骨中央部で20箇所の計測 を行い,

先の相関式より硬さおよびヤング率を算出した. 腔骨は, 排骨結合部より20mm遠位 から横断面切片を切り出し, 続けて遠位残部のmedíal 部から冠状断面切片を得た(図 6.20)・ 大腿骨と同様の処理を行った後, 骨内 膜および、骨膜近傍, 皮質骨中央 の3領域

で, それぞれ20箇所の計測を行った.

唱EEAnu -A

6.4.1.2

HV = 防4れと

dL

ここに,P:試験荷重[gfJ

d: :対角線長さの平均値[mm]

次に, 十分乾燥させた試験片の質量および厚さを計測した. さらに, アルキメデス の方法により密度pを算出した. 超音波パルサーレシーバにおいて,縦波および横波 の超音波が試料内部を伝達するのに必要な時間を計測し,試験片厚みで除することに よって縦波音速値VLおよび横波音速値Vrを算出した(図6.18)・ これらをもとにして次 式から試験片のポアソン比Vおよびヤング率Eを算出した.

ハUnu ---A

(8)

6.4.1.3 ラット尾椎における硬さおよびヤング率の計測

前節と同様の方法によりlONの圧縮荷重を15日 間負荷した13週齢Sprague-Dawley 雌性ラットと無負荷のコントロールラットの第5尾椎(C5)を対象に用いた. 頭側より 厚さ200μmで順次スライスし, 骨端線を含まなくなった最初のスライスを横断面切片 とした. 残部から正中断面を含む厚さ200μm切片を得た(図6.21). 家兎長管骨と同様 の処理を行った後,それぞれの背側において,皮質骨骨内膜から骨膜へ向けて30μm 間 隔で計測を行った.

さらに, コントロルラおいて3領域の骨梁部分について計測 を行った(図6

.

22)

梁 表 面の10μm側から20μm 間 隔で, するきに

測した.

Tran.sverse Sagitta1 Cor�nal speClmen speClmen speClmen

Fig.6.19 Preparation of thin sections from rabbit femur and schematic positioning of indentations.

Endosteal 恥1iddle Periosteal ïâÿer - �--� layer layer Transverse

specl セシ

A

10μm 20凶n

会4

rat caudal vertebrae.

Fig.6.21 Preparation of thin sections from Fig.6.22 Schematic positioning of indentations

for仕abeculae.

6.4.2 結果

10種の金属および、非金属材料について, マイクロビッカース試験機によって得た微 小硬さHVと超微小押込み試験において負荷曲線より算出した接線係数dとの関係を図 6.23に, 超音波パルサーレシーバによって得たヤング率Eと超微小押込み試験におい て除荷曲線より算出した接線係数Dの逆数l/Dとの関係を図6.24にそれぞれ示す. 両 者ともに高い相関関係を認め, それぞれ

n

'EAi.mm 0TA O

C 可

A

= 3.745HV

X

10--4 (R2 = 0.865) 809.7 守

1/ D = - F (R i ニ0.871 )

の式で表すことができた. 以下の骨薄切切片に対する超微小押込み試験では, これら の相関式を用いて, 接線係数から硬さおよびヤング率を算出した.

Fig.6.20 Preparation of thin sections 合om rabbit tibia and schematic positioning of indentations.

-102 - ー103 -

(9)

0.14 1000

n = 20 n = 20

0.12

800

N 0.1

::i. 0.08 E

"-'

、、、

Z れ 0.06

2 �

600

8

400<

...,

0.04

200

oo

L

50 æ 100 ! 8ê' 150 200

Young's Modulus, GPa

Lateral 0.02

4み-250

50 100 150 200 250

Vickers hardness, HV

Fig.6.23 Relationship between hardness andA. Fig.6.24 Relationship between Young's modulus and

l/D.

家兎大腿骨から作製した横断面薄切切片の光学顕微鏡像を図6.25に示す. anterior,

poste口or, medial部では骨層板が煉瓦状に重なった plexiform bone が観察されたのに対 して, lateral部はハパース系の発達した haversian boneから構成されており, 部位によ る組織構造の相違が認められた これらの plexiform boneあるいはhaversian bone が中 間層として認められ, さらに皮質骨全体を同心円上に取り囲むような層板骨(Circum­

ferential lamellar bone)が内層, 外層として認められた. posterior部において作製した横 断面, 矢状断面, 冠状断面切片の光学顕微鏡像を図6.26に示す.

plexiform bone におけ

る骨層板の積み重なりは,矢状断面でもよく認められた. 3方向の切片それぞれに対し て皮質骨中央部で計測された硬さおよびヤング率を図6.27, 図6.28に示す. 骨長軸方 向に計測した硬さ, ヤング率(横断面切片 )は, これに直交する方向の物性(矢状断面,

冠状断面)と比較して有意に高かった.

家兎腔骨から作製した横断面薄切切片の光学顕微鏡像を図6.29に示す. anterior,

posterior, lateral, medial のいずれの部位においても, 中間層をなす haversian bone と,

これを取り囲む内層,外層としての層板骨が観察された. 外層はanterior部において特 に厚く, 皮質骨厚さの40%程度を占めていた. medial部において作製した横断面, 冠 状断面切片の光学顕微鏡像を図6.30に示す.超微小押込み試験を行ったmedial部では,

内層が約10%, 外層が約13% の厚さを占めていた. 横断面切片について, 内層(骨内 膜近傍), 中間層(皮質骨中央 )および外層(骨膜近傍)の 3領域において計測した硬さ およびヤング率を図6.31, 図6.32 に示す. 同様に, 冠状断面切片について図6.33, 図 6.34に示す. 横断面, 冠状断面ともに, 中間層の硬さおよびヤング率は, 内・外層よ りも有意に高かった. さらに, 機械的物性は, 中間層では冠状断面切片の方が大きく,

内・外層では横断面切片の方が大きかった.

AnterÎor

3 T 1 1

Medial

Fig.6.25 Optical micrographs of transverse specimen合om rabbit femur.

Transverse speclmen

Sagittal Coronal

SpeCllTlen specÍm巴n

I 拡11、;旬、l

l ・Ir! ζ.a

I 泳 、 .

f 弘 川 ι I

f I‘

5(XJ'tlll

ヌゆI"n

Fig.6.26 Optical micrographs of posterior part in rabbit fcmur.

- 104 -

ー105 -

(10)

35 25 n = 20 * p < 0.00]

n =::;0 p < 0.001

j

0.012

30

0.. 同20

25 nu nu 0

0 008

E

0.006 Z

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"0 o g

10

OJ) Z 2 0

〉ベ

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ヨド *

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Coronal / I

SpeCII11en ��

0.004

0.002

Sagittal

plane Transverse

plan巴

200 500 Transverse Sagittal

plane plane

Fig.6.27 Directional dependence ofVickers hardness in rabbit femur.

Fig.6.28 Directional dependence of Young‘s modulus in rabbit femur.

Fig.6.30 Optical micrographs of medial part ín rabbit tibia.

Lateral

'00ド111

35

n = 20 * p < 0.001

判p< 0.05 0.012

Anterior

3 ο 5 0

ベょ-M

tI '』

〉巴R閉めωロ古河』的』ωぷυ一〉

R41 泊品Tnu nu nu

0.01

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•••••...

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••••••

0.002

。 。

Endosteal

layer Middle

layer Periosteal layer

Fig.6.31 Regional dependence ofVickers hardness in the transverse plane of rabbit tibia.

35

Medial n = 20r 11 t 0.012

傘p< 0.001

25

15 て30

E

_VJ 10 巴ね

Middle Periosteal

25

n = 20 p<O.OOI

20

0

40

50 円、

60 〆・、S 70

. *

---,r---�

例Q\Nnu nU

200

500 Endosteal

layer Middle

layer Periosteal layer

Fig.6.32 Regional dependence ofYoung、s modulus in the transverse plane of rabbit ti bia.

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20

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2 タEロO 1O 0.004

0.002

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Periosteal 。 。

layer

Posterior

nuvp

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ロ古里一巴

ωぷど〉

5

Fig.6.29 Optical micrographs of transverse specimen from rabbit tibia.

_ 106 _

25

n=20 'p<O.OOl

司幹 11

40

Endosteal

layer Middle

layer

50 Z

m 〆・、

60 S 70

RQ\町円U円U

200

500 Endosteal

lay巴r Middle

layer Periosteal layer

Fig.6.33 Regional dependence ofVickers hardness in the coronal plane of rabbit tibia.

Fig.6.34 Regional dependence ofYoung's modulus in the coronal plane of rabbit tibia.

ー107 _

(11)

軸荷重負荷ラットおよびコントロールラットの尾椎から作製した薄切切片の正中断 面における光学顕微鏡像を図6.35および図6.36に示す.

軸荷重負荷ラットの皮質骨骨

膜面では,骨膜表面より叢状に形成されたwoven boneが観察された. 横断 面切片の走

査型電子顕微鏡(Scanning electric microscopy, SEM) (象を図 6

.

37および図 6 .38に示す

.

学顕微鏡による観察と同様に, 骨膜表面にwoven boneの形成が認められた.

Fig.6.35 Optical micrographs ofthe median plane of the axial国loaded rat.

Fig.6.37 SEM images ofthe transverse plane of the axial-Ioaded rat.

Fig.6.36 Optical micrographs ofthe median plane of the control rat.

Fig.6.38 SEM images ofthe transverse plane of the control rat.

- 108 -

軸荷重負荷ラットの背側皮質骨において,骨内膜から骨膜へ向けて30μm間隔で計測 を行った結果を図6.39 '"'-'図6.42に示す. 正中断面のヤング率は, 骨内膜から骨膜へ向 かつて約lGPaから5GPaへと増加していた(図6.42)・ 一方, 横断面では, 約7GPaか ら2GPaへと漸減していた(図6.40)・ 光学顕微鏡およびSEMによってwovenboneが観 察された領域では, 皮質骨よりも小さなヤング率を示し, 外側へ向かつて減少してい た. 硬さについても同様の傾向を示した(図6.39, 図6.41)・

14 0.0056

同12

0.0048

M凶ヨ

10 Cboonr

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4A

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0.0024

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2 0.0008

5 10 15 20 25 30

Site

Fig.6.39 In-plane distribution ofhardness on the transverse plane ofthe axial-Ioaded rat.

16

14

出12

ω。� 10

てコ足8

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56

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-ー 4 2

Woven bone Cortical bone

Trabecula 0.0056

0.0048 0.004 o∞32r、d

E

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、、 �、 、J 0.0016 0.0008

1 0 15 20 25 30 35 400 Site

Fig.6.41 In-plane distribution ofhardness on the median plane of the axial-Ioaded rat.

10

100

3宮

6

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5 10 15 20 25 30

Site

Fig.6.40 In-plane distribution ofYoung's modulus on the transverse plane of the axial-loaded rat.

10

吉 宮。

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J 0 15 20 25 30 35 40

Site

Fig.6.42 In-plane dis廿ibution ofYoung's modulus on the median plane of the axial­

loaded rat.

ー109 -

(12)

コントロールラットの背側皮質骨において,骨内膜から骨膜へ向けて3 0μm間隔で計 測を行った結果を図6.43,...__図6.46 に示す. 正中断面のヤング率は,

0 .5GPaから 2 .5GPa へと漸増していた(図6.46)・ 一方, 横断面では, 骨膜近傍でやや減少する傾向を示 し,

0.7GPaからlGPaの値であった(図6.44)・ 硬さについても同様の傾向を示した(図6.43,

図 6.45).

コントロールラットの横断面切片において, 3領域の骨梁部分の硬さ, ヤング率を図 6.47 および図6.48にそれぞれ示す. 3領域の硬さはHV1.22:t0.17, 1.05::t0.07, 0.96:t 0.06

ヤング率は 0.48士

0.0

6, 0.39::t 0. 03, 0.33::t 0. 02GPa であった.

16 10

0.0056 14

国12

0.0048 100

て i 2詰コ

10 8

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16 10

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5

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2 0.0008

K 1�i総

i丸山引ミ包 ・ l 1 1 ぷ4

3 2 3

Site Site

Fig

.

6.4

7

Hardness of trabecule of the control

rat. Fig.6.48 Young's modulus of trabeculae of

the control rat.

6.4.3 考察

plexiform boneは急激に成長が行われる日甫乳動物に特徴的に認められる皮質骨である (Katz et al. 1984,34). 続けて起とる二次リモデリングによって, 皮質中央部が haversian boneに改変されていく. 家兎大腿骨では lateral部はすでに haversian boneにリモデリン グされていたが, 一方, anterior, posterior, medial 部では全体がplexiform boneであっ た(図6.25)・ plexiform boneを認めた anterior部において, 骨長軸方向に計測した硬さ,

ヤング率(横断面切片)は, これに直交する方向の物性(矢状断面, 冠状断面)と比 較して有意に高かった. 薄切切片の光学顕微鏡像から観察されたように, 長管骨骨幹 部では, 層板骨が主に骨軸方向に配向していた(図6.26). 物性の相違は, これらの組

織構造の異方性を反映したものと考えられる.

家兎腔骨の medial部中間層は同心円状の骨層板が発達した haversian boneであり, こ れを取り囲むlamellar boneが骨内膜および骨膜近傍(内層および外層)で観察された (図6.29)・ 皮質骨は膜性骨として骨膜側と骨髄側から二層の層板骨として形成される.

成長とともに, 両側から破骨細胞に先導されて血管内皮細胞や骨芽細胞が侵入し, 骨 層板が血管周囲において同心円状に形成される. これがオステオンと呼ばれる中間層 である. オステオンにおいて, コラーゲン線維はそれぞれの骨層板内を平行に走行し,

その方向は, ハパース系の長軸に対して傾きをなしている(図1.2)・ さらに, 隣り合う

Fig.6.43 In-plane distribution of hardness on

the transverse plane of the control rat.

Fig.6.44 In-plane distribution ofYoung's modulus on the 仕ansverseplane of the control rat.

16 10

14

国12

0.0048

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10 8

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2 4 6 8 LO 2 4 6 8 10

Site Site

Fig.6.45 In-plane distribution of hardness on the median plane of the con仕01 rat.

Fig.6.46 In-plane distribution ofYoung's modulus on the median plane of the control rat.

nu --1i 唱-z-A句si---

(13)

骨層板間で交差するような向きにコラーゲン線維は配向する. このような構造によっ て, ハパース系は高い機械的物性を得ている. 本計測では,横断面, 冠状断面ともに,

中間層の硬さおよびヤング率は, 内・外層のそれよりも有意に高かった. これは, 中 間層において発達したノ\パース系の高い機械的物性を反映した結果と考えられる. 一 万, 内・外層の機械的物性は, 冠状断面切片よりも横断面切片の方が大きかった. こ の結果から, 内・外層において, コラーゲン線維等の組織は骨長軸方向と平行に配向 していると類推される.

ラット尾椎の背側皮質骨では, 軸荷重負荷ラット, コントロールラットのいず、れに おいても, 横断面切片のヤング率は骨膜側から骨内膜側へ向かつて漸減し, 正中断面 切片のそれは増加していた. 切片の光学顕微鏡観察および電顕像から, 軸荷重を負荷 した尾椎では骨膜表面に石灰化の幼若なwoven boneの形成が認められた. これらの領 域では, 皮質骨よりも小さなヤング率が検出され, その値は外側へ向かつて減少して いた. 本結果は, 骨膜面で豊富に形成された線維性組織の物性や石灰化骨の分布を示 唆するものと思われる. さらに, 軸荷重負荷ラットの正中断面切片における骨梁の領 域およびコントロールラットの横断面切片における3 領域の骨梁部分では, 皮質骨よ りも有意に低い硬さ, ヤング率が計測された.

骨組織のヤング率に関して過去の研究を見てみると,則10 et al.(1999)は, 樹脂包埋 したヒト大腿骨骨幹中央の皮質骨を対象とした超微小押込み試験を行っている. 個々 のオステオンにおいてハパース管を中心とし, この中心からの距離に応じて骨層板の 物性がいかに変化するのかを調査した. この中で, 等方性を仮定したOliver-Pharrの式 (Oliver and Pharr 1992)を用いて除荷曲線の傾きからヤング率を算出し, 中心部の骨層 板で20.8GPa, 周辺部で18.8GPa という値を報告している. Zysset et al.( 1999)は, ヒト 大腿骨骨幹および頚部の皮質骨, 骨梁に対して湿潤状態で超微小押込み試験を行い,

Rho et al.と同様の方法でヤング率を算出した. その結果, ヤング率は組織の種類, 部 位,個体の違いに大きく依存していることを示し,頚部骨梁の6.9 GPa から骨幹端部皮 質骨における介在層板の2 5.0GPaまで広範囲の値を報告した. Turner et al.(1999)は, ヒ ト大腿骨の皮質骨に対して16.6'"'"23. 5GPa,骨梁に対して18.1 GPaのヤング率を報告し ており, 皮質骨と骨梁のヤング率 は同程度の範囲内にあると主張した. 一方, 従来か らのマクロな領域を対象とした計測法ではあるけれども,Bonfield and Clark(1973)は家 兎腔骨より切り出した皮質骨の引張り試験によって, ヤング率が1 5.1 '"'" 27.6GPa であ ることを示した. さらに, Lees and Hanson(1992)は家兎大腿骨に関して半径方向の超 音波計測を行い,19 .5GPaのヤング率を報告した. ラットに関しては,大腿骨の曲げ試 験から0.5 '"'" 3.0GPa程度のヤング率が報告されているσe打e仕i et al. 1993; Kenney et al.

1994)・ 超微小押込み試験によってヤング率を算出した先の則10 et al., Zysset et al.,

Turner et al. による3つの報告はヒト大腿骨を対象としたものであり,家兎やラットを

ー112 -

用いた本実験とは対象が大きく異なる. さらに, 切片の状態(乾燥, 湿潤, あるいは 樹脂包埋)やヤング率の算出方法も異なる. 一方,家兎やラットを対象としたLees and Hanson, Kenney et al., Ferre出et al. の報告はマクロな領域の機械的物性を反映してお り, 微小な領域を対象とした本実験とスケールが異なる. このような理由から本実験 で得られた物性値を過去の報告と単純に比較することは困難である. しかしながら,

本実験で計測したヤング率は, 家兎皮質骨中間層において2,..,__ 28GPa, ラット尾椎皮 質骨において0.5""__ 7 GPa を示し, とれらは, Lees and Hanson, Kenney et al.の報告値 と近い値あるいは報告値の範囲内にあった.

ところで, QCT等によって骨組織を撮影した際に得られる CT濃度値と物性値との 相関関係が検討されている( Ciarellí et al. 1991). 第4章で行ったラット尾椎体の三次元 有限要素(3-D FE)応力解析ではKenney et al.(1994)の報告を参考にし,皮質骨および海 綿骨のヤング率を均質な1 .6GPa と仮定したが, この相関を利用すれば,各要素の物性 値をCT濃度値から与えることできる. 本実験では,超微小押込み試験を用いることに よって皮質骨や海綿骨骨梁の微小領域における機械的物性を求め得ることが示された.

FEモデルで使用するための機械的物性の見積もりあるいは検証のためにも,超微小押 込み試験による局所的な物性評価は有用であると思われる.

骨組織の硬さおよびヤング率は, 工業材料と比較して非常に低値である. しかしな がら, 本実験では, これらを算出するために各種工業材料の計測から得た相関式を利 用した. このような方法によって物性の絶対値を精度よく求めるためには, さらに軟 質な材料の計測から相関関係の検討を行う必要があると思われる.

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参照

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