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研究代表者 諏訪 裕一 研究員

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Academic year: 2021

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(1)

嫌気性アンモニア酸化(アナモクス)活性を阻害 する物質の影響評価法確立に関する研究

研究代表者 諏訪 裕一 研究員

理工学研究所 共同研究第1類

1)研究目的: 嫌気性アンモニア酸化反応(アナモクス)は1990年代後半に発見さ れた水圏のアンモニアと亜硝酸を窒素ガスに変換する微生物反応である(図1)。

省エネ型廃水処理技術開発の革新的なシーズであるが,アナモクスがどのよう な廃水種に適用が可能なのかは検討が進んでいない。本研究では,当研究グ ループで確立されたアナモクス活性の迅速測定技術をこうした目的のためにさら に改良し,化学物質等のアナモクス活性への阻害効果を定量的に評価を試みる。

2)研究計画: 次の2つの課題を実施する。

課題1. 影響評価用活性測定法の確立; 新設の当学科に於いて四重極質量分 析計でのアナモクス活性測定法を確立する。阻害によって低められた活性を 精密に測るための高感度・高精度な分析系を確立する。

課題2. 阻害要因の影響評価系の確立; アナモクスなどの窒素循環に関わる 微生物反応を阻害する物質等の影響を定量評価する実験系を確立する。

3)現在までの研究の経過:

課題1. ・本学に於いてアナモクス活性の測定システムを確立した(図2)。

・アナモクス活性を持つ試料を複数確保した。特にある淡水湖沼から採取した堆積物試料は脱窒とアナモクスの両方 の活性が同レベルに存在する稀有な性格を持つ。そのため、同一試料を用いて,窒素浄化の中核となる2つの微生 物反応を同時に定量することができる(図4)。

・阻害によって低められた活性を精密に測定するために、高感度化した。これは主に,ハードウェアの調整と改造による もので,①分析で徐々に蓄積するシグナルの低減法を経験的に案出し,②分析試料の調整中、およびGCMSへの注 入中に混入する大気を排除する工夫を積み重ねた。本システムは,「中大式」として販売されるに至った。

NH

3

NO

2-

NO

2-

N

2

R-NH

2

Nitrification N fixation

NO

3-

Anammox Denitrification

NO

N

2

NH

3

NO

2-

NO

2-

N

2

R-NH

2

Nitrification N fixation

NO

3-

Anammox Denitrification

NO

N

2

図1.地球化学的窒素循環

Anammox

14NH4++ 15NO2-14N15N+ 2H2O

15NH4++ 14NO2-15N14N+ 2H2O

29N2

615NO2+ 3CH3OH →315N15N + 3CO2 + 3H2O + 6OH

30N2 Denitrification

Anammox

14NH4++ 15NO2-14N15N+ 2H2O

15NH4++ 14NO2-15N14N+ 2H2O

29N2 Anammox

14NH4++ 15NO2-14N15N+ 2H2O

14NH4++ 15NO2-14N15N+ 2H2O

15NH4++ 14NO2-15N14N+ 2H2O

15NH4++ 14NO2-15N14N+ 2H2O

29N2

615NO2+ 3CH3OH →315N15N + 3CO2 + 3H2O + 6OH

30N2 Denitrification

615NO2+ 3CH3OH →315N15N + 3CO2 + 3H2O + 6OH

30N2 Denitrification

Anammox

14NH4++ 15NO2-14N15N+ 2H2O

15NH4++ 14NO2-15N14N+ 2H2O

29N2

615NO2+ 3CH3OH →315N15N + 3CO2 + 3H2O + 6OH

30N2 Denitrification

Anammox

14NH4++ 15NO2-14N15N+ 2H2O

15NH4++ 14NO2-15N14N+ 2H2O

29N2 Anammox

14NH4++ 15NO2-14N15N+ 2H2O

14NH4++ 15NO2-14N15N+ 2H2O

15NH4++ 14NO2-15N14N+ 2H2O

15NH4++ 14NO2-15N14N+ 2H2O

29N2

615NO2+ 3CH3OH →315N15N + 3CO2 + 3H2O + 6OH

30N2 Denitrification

615NO2+ 3CH3OH →315N15N + 3CO2 + 3H2O + 6OH

30N2 Denitrification

図2.アナモクス活性測定の原理。化学量論が示 すように、等モルのアンモニアと亜硝酸から窒素 ガスを生じるので、どちらかに15

Nで標識しておくと、

29

N

2が生じる。

課題2. アナモクス活性に対する重金属,お よび有機溶媒の影響について検討を進めて いる。以下に経過を報告する。

1.重金属の影響;

・低濃度でもアナモクス活性を阻害する金属 が存在することがわかった(図3)。

・ただし,重金属添加直後は阻害が認められ ず,阻害効果にLagが認められた。

・重金属の水溶液を添加すると溶液が酸性 になる傾向があり,アナモクス活性の最適

pH付近(7.8程度)でのアッセイ系構築の検

討が必要である。

2.有機溶媒の影響;

・有機溶媒はアナモクス活性を阻害した。一 方,脱窒活性に対する強い阻害は認めら れなかった(図4)。

・これが普遍的な傾向なのかどうか,他の試 料についても検討する必要がある。

図4.両方の活性を持つ淡水湖沼堆積物懸濁液 に,ある溶媒を全体の1/10容積添加した場合

(○)と添加しなかった場合(◇)のa)脱窒およびb) アナモクスによる窒素ガス生成。同じ窒素ガスを 生産する微生物反応であるが,脱窒はこの溶媒 に高い耐性を示し,アナモクスは感受性を示した。

On-going research subjects

・結果の再現性を検証するとともに,有為差検 定のための基礎データを取得する必要があ る。予備的な検討を実施中である(表1)。

・さまざまな化学物質等に対する影響評価。

・影響の可逆/不可逆性検討の実験系構築。

図3.アナモクス微生物集積培養系のアナモクス 活性に対するある重金属の影響。

vial anammox (µmol/mg/h)

1 0.191

2 0.159

3 0.190

4 0.173

5 0.186

6 0.190

7 0.170

8 0.157

Ave 0.177

SD 0.014

表1.8連で実施したアナモクス活 性測定結果。8回の試行の平 均値に対して,標準偏差はその

8%に達した。分析方法の再現

性を高める(すなわち,標準偏 差をより低くする)ための,分析 手法の改善・検討が目下の重 要な課題となっている。

参照

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