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(1)

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平成岩田年度

≡重来撃襲撃除数蘭学研究科

修丑課樫学校数蘭専政

鵬 ̲郎雷 畢 圏

(2)

国語科における「授業のまとめ活動」の意義と課題

三重大学大学院教育学研究科修士課程 学校教育専攻 学校教育専修

207MO O7

山川早苗

平成21年2月12日 提出

(3)

目次

はじめに

第1章 自己評価活動と「授業のまとめ活動」とのつながり 第1節 自己評価活動の働きと国語科での自己評価活動 第2節 文章法による自己評価活動 ‑‑‑‑‑

第3節 「授業のまとめ活動」の方法,機能や意味、特徴

(1)

現在の「授業のまとめ活動」に至るまでの経緯

(2) 「授業のまとめ活動」の方法

(3)

「授業のまとめ活動」の機能や意味

【第1章 参考文献】 ‑・‑‑‑I

第2章

事例研究

′第1節 M県丁中学校における調査の概要

6 6 ll 16 16

20 24 28

(1) 研究対象について (2) データの概要

第2節 データの分析および考察 (1) データAの分析と考察 (2) データBの分析と考察 (3) データCの分析と考察

第3節 卒業生に対するインタビューの分析および考察

(1)

対象の選択とデータ収集の手続き

(2)

インタビューの分析および考察 第4飾 「授業のまとめ活動」を支えるもの

(1) 「授業のまとめ活動」を実行するために必要な力 ・・・・

(2) 教師の働きかけと子どもの活動‑の意歌

【第2章 参考文献】 ‑‑・‑‑‑‑‑・

終わりに

29 29

29 32 40 40 49

62 78 78

80 94 94 96

102

loョ

(4)

はじめに

○研究の背景

「授業のまとめ活動」とは、現在筆者が国語の授業で取り組んでいる指導方法のことで、

毎回の授業の最後に5分間の時間を取り、 「授業のまとめ」と称して生徒に授業内容のふり 返りをさせるというものである。生徒はノートを上に広く下に狭く2.段に分け、上段には

板書を写し、下段に「授業のまとめ」を書く。書く(ふり返る)事柄は、

①その日の学習

内容について(どんなことを学習したのか、分かったこと、気づいたこと、疑問、意見、

感想 など)と、

②授業について(自分の取り組み方の評価〔1‑5.段階〕とその理由、

授業の評価〔1‑5段階〕とその理由)である。この二つの項目にした理由は、以下のこ とを考えたからである。

①に関して‑まとめることで生徒の学習内容の定着が進むと考えたからと、生徒の理解 の度合いを知るヒントになると考えたから。

②に関して‑自分の取り組み方や授業方法を意識させることで、生徒の授業に対する参

加意識を高めることができると考えたから。

授業でこのようなふり返りの活動を取り入れるようになったのは、教職について十数年 経過したころである。当時、自分の授業を改善する必要を感じていたことや子どもの国語

の力を評価するにはテストの結果や授業中の観察だけでは不十分であると考えていたこと 等がこの活動を始めたきっかけとなっている。また、この活動をすることで、現在筆者に

とって生徒が書いた「授業のまとめ」は、

国語の評価‑・成績を付ける際に、国語の評価観点のうち、 "意欲・関心・態度"、 "書くこ と"、

"読むこと"の評価材料の一部として扱う。

生徒理解と授業作り‑自分に甘い傾向の生徒なのか、その逆の傾向の生徒なのか、どう

いうところにこだわっているのか、授業で大事だと思っているこ

とは何なのか、教材‑の理解の度合いはどの程度なのか等を知る

ことで授業作りに役立てる。

には欠かせないものになっており、十分に意味や価値を見出している0

では、生徒にとってこの活動の意味や価値はどのようなものなのだろう。この活動によ

って学力の定着や向上がはかれると考えたが、それは実現されているのだろうかo

この活 動を続ける中で、それに関して次に述べるような二つのことが起こっているのに気づいた。

2

(5)

一つは生徒一人ひとりの学年の最初の頃の「授業のまとめ」と学年の終わりの頃のそれを 比べると、個人差はあるが、明らかに書く量や内容に変化(向上と判断できる)が見られ るということである。もう一つは、一年間の授業の反省の中でこの活動について触れてい る生徒のほとんどが、 「授業のまとめ」を続けることでなにがしかの力がついたということ を書いており、

「授業のまとめ」と自分の学力の向上をつながりがあるものととらえている

ということである。これらのことから、この活動が生徒にとってどのような意味を持って いるのか、学力(ここでは国語の学力を念頭においている)向上に役立っているのかとい

う生徒にとっての意味や価値について、整理をしなければならないのではと考えるように なった。

○研究の目的

本研究は「授業のまとめ活動」を行う中で生徒の学力がどのように変化していくの か、また生徒がこの活動をどのように意味づけているのかを、そこにおける教師の働 きと関連させながら探ることで、 「授業のまとめ活動」の意義を明らかにしようとい

うものである。

教師も生徒も学力の変化を漠然と感じてはいるが、実際にこの活動が学力向上に関 わっているのか、そうだとすれば、学力のどのような部分がどう変化したのか、とい

うようなことは明らかでない。そこでまずそれを明らかにする必要があると考える。

それとともにこの活動に生徒がどのような意味や価値を見出しているのか、その意

味を見出すに至った経緯はどのようなものなのかを探りたい。また、 「授業のまと め活動」は自己の学習を振り返る活動であり、自己評価活動の一種と言える。そこで、

自己評価活動の中で、この「授業のまとめ活動」がどのような価値や意味を持っのか も整理する必要があると考える。

○研究方法

研究方法として,次の三つを行う。

(彰文献研究

自己評価活動の中で、この「授業のまとめ活動」がどのような価値や意味を持つ のかを整理するには、これまでの自己評価活動に関わる研究や自己評価活動の実践

(6)

例を見渡す必要がある。そのためには文献研究は欠かせない。それを通して以下の ことを行う。

・これまでの研究で明らかにされている自己評価活動の特性や意義をまとめる。

・国語の授業における自己評価活動の中で筆者の実践と関連があると思われる実践 例を取り上げ、その意味や働きを整理する。

・国語科における自己評価活動の中での「授業のまとめ活動」の位置づけをはかる。

②資料の分析と考察

「授業のまとめ活動」行うことによる生徒の学力の変化を明らかにするためには、実

際に生徒が「授業のまとめ活動」で記述した内容を分析する必要があるo また、生徒が この活動をどうとらえどう意味づけているのかも生徒の記述から読み取ることが可能で

あると考える。そこで、 M県丁中学校の2002年度の卒業生のデータを用い、次のこと を行う。

・中学2年時と3年時に書いた「一年間の国語の学習を振り返って」の中の「自分

についた力とその理由」の項で、 「授業のまとめ活動」にふれている記述を取り出 し、生徒たちが両者の関係をどのようにとらえているのか、学年が上がることで

のとらえかたの変化はないかなどを探る。

・生徒4名の2年時と3年時の最初の授業ノートの内容をいくつかの観点にしたがっ

て比較することで生徒の学力の変化や活動に対する意識の変化を探る。

・生徒2名が実際に国語の授業で使っていた2年間(中学2年から3年にかけて) の国語ノートにある「授業のまとめ」の内容をいくつかの観点にしたがって整理 し、どのような変化が見られるかを分析することで、学力との関わりを考察する。

③インタビュー

ある事柄や出来事の意味や価値は、そのときには分からないことが多い。それが分か ったり、定まったりするのは後になってからということはよくあることである。教育実 践にもそれは言えるのではないか。そこで、すでに中学校を終えて何年聞かたった卒業

生を対象にインタビューをすることで、 「授業のまとめ活動」が生徒にとってどのように

受け止められ、意味づけられているのかをより明らかにしたいと考える。直接話を聞く

ことで、文章には表れていないこの活動‑の思いや受け止め方を知ることができるはず である。

4‑

(7)

対象者は、 2年間のノートの分析をした2名の生徒のうちの1名(現在大学3年生)、

この1名と同じ学年で、同じ活動を経験している生徒1名(現在大学3年生)、前任校 で同様の活動をさせていた生徒1名(現在大学4年生)の3名である。現在大学3年生 の2名は、中学生の時の反省でこの活動に対して意味を見出していた生徒である。彼ら を対象とし、 5年以上たった現在の時点でのとらえ方と当時のとらえ方に変化があるか

どうかを考察することも、 「授業のまとめ活動」の意味を探るのに有効な方法だと考える。

(8)

第1章 自己評価活動と「授業のまとめ活動」とのつながり

第1節 自己評価活動の働きと国語科での自己評価活動

学校教育の場で行われている評価活動の分類や整理のしかたはさまざまであろうが、評

価を行う主体という点で分けると、大きく二つに分けることができる0

①教師が行う評価(指導者の側が行う評価)

・どの教師もひとしく取り組む評価‑児童・生徒理解を深める評価、各教科等の学

習評価

・教師全員が協力して取り組む評価‑教育課程の評価、学校評価

②児童生徒が行う評価(学習者の側が行う評価)

・児童・生徒が相互に行い合う評価

・児童・生徒が自分自身について行う評価‑いわゆる「自己評価」

教育評価の中で自己評価の意義はすでに認められているが、平成元年度の学習指導要領 改訂とともに新しい学力観が登場して以降、自己評価活動は以前よりも注目されるように

なった。新しい学力観とは、自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成

を目指し、

「知識・理解」よりも「関心・意欲・態度」

「思考・判断」 「技能・表現」に重 点をおくものである。それまでの知識の習得を学びの中心的な課題としてきた認知的な面

を重視する学力観から情意面、活用面を重視する学力観‑の転換である。この考え方はそ

の基を昭和5

2年度版の学習指導要領に求めることができる。それは平成1

0年度版の学

習指導要領にも「生きる力」の育成として引き継がれている。第1 5期「中央教育審議会」

の第一次答申(1996年7月19日)には,今後における教育の在り方の基本的な方向とし

て、 「‑これからの子供たちに必要となるのは、いかに社会が変化しようと、自分で課題

を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質 や能力であり、また、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動す る心など、豊かな人間性であると考えた。」とある。この資質や能力が「生きる力」であ

り、それをバランスよくはぐくむことが重要であると主張している。

これまでの教育では、評価活動の中心的な役割は教師が担っていた。しかし、子どもに

「生きる力」をつけるには、かれらが自分自身の手で学習を進めていき、それを自分自身

の力で確認し、評価することのできる能力をもてるようにすることが大事である。その意

̲6‑

(9)

味で自己評価は重要だと考えられる。

藤原喜悦氏は、教師の評価は、他の生徒との比較や教師の設定した基準との比較という 観点からなされるために、ともすると生徒の自信を喪失させたり、劣等感を助長したりす

るという危険性をもたらすおそれがあるとし、 「しかるに自己評価は、生徒が自分自身で 設定した基準との関係において自己の成果を検討することであるから、具体的に自己の状

態を基準のさまざまな事項と比較して、自らの問題点を発見することが可能となってくる。

したがって、自己評価を行うこと自体が一つの学習活動となり、それが有効な動機付けの 機能をもつことになるのである。 /このように考えていくと、自己評価は生徒の学習動機

を高めるための最善の方法といえよう。」書lと述べ、自己評価が生徒の自発性に基づいて

行われるようになれば、真の意味での自己教育に至るという考えを示している。

梶田叡‑氏は自己評価の意義を、

「自己評価は学習者の内面に関する手軽で便利な評価 手法の一つ、というだけのものではない。教育の中にこれを取り入れるということは、単

なる評価手法ということを超えた、もっと深く広い意味をはらんでいる。つまり、教育そ のものの重要な手だてとして、特に人間形成の上で土台になる部分の教育を進めていくた

めの手だてとして本質的な意味を持つものと言ってよい。そうした大きな可能性を本来的

に含んでいるのが、自己評価的活動なのである。」

'2

と述べ、自己評価が人間形成の基盤 となるという主張をしている。また、別の場面で自己評価の働きとして、 「振り返り、独

善性の克服、分析的な自己理解、効力感・自信‑のきっかけ、自己の次のステップ‑の展

望・決意」事3の五つを指摘している。そこでは、

「まず第1は、自己評価活動は自分自身についての振り返りの機会となる、という点で

ある。」と述べ、自分自身を自分なりに把握・理解した上で判断し、行動、生活していく ために振り返りの場や機会を設けることは、教育的にも重要であるとの考えを示している。

「第2に、自己評価をすることによって自分自身の独り善がりを克服していくことがで

きる。」とある。そのためには、子どもが自分の頭の中だけで自分自身を振り返るだけで

なく、教師の側からフィードバックされたさまざまな客観的資料を吟味検討することも必

要であると述べられている。

「第3に、いくつかの観点から自己評価する機会が設定されるならば、自分自身のあり 方を分析的に検討し、多面的な自己理解に導かれる、という点がある。こうした自己理解 の仕方は、客観的な自己認識にもつながっていくであろう。」とある。いくつかの観点を 設定して分析的に自己評価を行うことで,自分を総合的に理解できるようになるというこ

(10)

とである。

「4番目に、自己評価を上手に活用するならば、効力感とか達成感とか自信といった肯

定的な自己感情を育てていくことができる、という点がある。そうした自信に支えられて こそ、自分自身のありのままの姿を理解し受け入れる、という自己受容もできるようにな

るのである。」とある。教師の子どもとのかかわり方、フィードバックの仕方などの工夫

の必要性も述べられている。

「5番目に、自己評価に基づいて次のステップ‑の決意とか意欲が出てくる、という点 が期待される。」とある。そして、自己評価によって次のステップ‑結びついていく決意

とか意欲が出てくるならば、自己評価は自己教育の基盤、あるいは柱になる、といった重

要な働きを果たすことになるとも述べている。

安彦忠彦氏は自己評価の「二つの主要な教育機能」として、次の二点を上げている。 *4

①自分を超える目をもつこと

「偏差値などの他人の評定によって自己を規定し、それを無批判に受容してしまっ

ている」最近の多くの子どもたちの現状を変えるためには、

「自己を自身から引き離 し、

『自分を超える目』をもつこと」が必要であり、自己評価はそれにつながるもの

と述べている。この「『自分を超える目』をもつ」は、梶田氏の言う「分析的な自己

理解」や「客観的な自己認識」ともつながるものである。

②自省と自信を促すこと

現在の日本の学校教育は、子どもたちに「自省」をする時間的余裕を与えていない。

やり遂げた学習課題の見直しは、第三者(教師やテスト業者など)が、あたかも決定

的であるかのような形でやってしまう。 「子どもはそのため倣慢や過信には陥っても、

挫折した場合には強靭な自己回復力をもちえない。」そういう子どもたちにとって、

自己評価は、 「自省と自信を可能にする時間的、精神的ゆとりを与える。」ものだと

述べている。これは、梶田氏の言う「独善性の克服」と通じるところがある。

井上正明氏は、自己評価の意義や重要性を「Ⅰ (主体としての自分)があり、それが

me

(客体としての自分)を冷静に見つめ、それを制御していくこと、また統制すること のできる学習行動の調整過程である」

◆5と述べ、この行動を調整することのできる能力を

「自己評価力」としている。そして「その能力が子どものさまざまな学習活動に影響を与 える」と述べている。

‑8‑

(11)

三重大学教育学部附属中学校は自己評価のあり方について、実践を通して事例研究を行

っているが、そこでは自己評価活動の意義について次のようにまとめられている。

'6

①自己評価は、相互評価や教師の指導や助言と連携させることにより信頼性や客観性を 増すことができる。

②自己評価は、自己の学習を見つめ、認知し、補充し、深化させる働きと、次の学習‑

の見通しをもたせる働きがある。

③自己の表出や表現活動を充実していけば自己評価の効果は増す。

④自己評価は、生徒と教師のつながりを強めることができる。

⑤自己評価においては、自己の認知的な側面とともに情意的な側面についても評価させ

ることにより、望ましい自己実現を図ることができる。

⑥自己評価を連続して見るなど、活用方法を工夫することにより、自己評価の働きをさ らに増すことができる。

以上のような、自己評価についての研究者及び団体の考えから、自己評価の働きや機能 を筆者なりにとらえると、

○自己評価は、学習者の、学習者自身による、学習者のための評価である。

○自己評価により、学習者は自己の学びを振り返る機会がもてる。 ‑自己を対象化する 機会が持てる。

○自己を振り返ることで成長の跡を確かめたりつまずきを発見したりすることができ、

それはさらなる学習‑の意欲を喚起する。

○自己評価力のついた学習者は、

「自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よ りよく問題を解決する資質や能力」

( 「生きる力」 )を備えた主体的な学び手となるこ とができる。

では、自己評価活動は学校及び授業でどのように取り入れられているのか。これについ

て人間教育研究協議会りが1997年に全国の小学校900校(回答校453校)、中学校350校

(回答校243校)を対象に行った調査がある。 ■8それによると、自己評価の実施状況は

(12)

小学校 中学校

学校全体として取り組んでいる 35.3% 24.9%

大部分の先生が自分の判断で取り組んでいる 32.6% 25.7%

一部の先生が自分の判断で取り組んでいる 23.5% 31.8%

取り組んでいない 8.6% 17.6%

となっている。中学校は小学校ほど学校ぐるみの取り組みになっておらず、 「取り組んで いない」割合も、小学校の倍である。

この調査では、自己評価活動の頻度とその方法も尋ねている。筆者は中学校国語科を専 門としているので、国語学習を中心に取り上げるが、国語学習の場合、小・中とも「単元

ごと」

r授業ごと」が中心である。方法としては、小・中とも①

「設定した項目に記入し ていく」 (76.7%,73.7%)、

② 「数行の振り返りコメントを書く」

(70.7%,64.6%)、

「振

り返りの作文(400字以上)を書く」 (21.4 %,22.5 %)の順で、教師側が設定した自己評

価カードなどの項目に記入していく他律的なスタイルが最も多い。

人間教育研究協議会はこの調査結果をもとに、各教科で自己評価活動をどう生かすかを

提案している。国語科では、評価カードの使用を前提にしながら、 「①単元の目標と合っ

た自己評価の観点を設定する。

②どのように達成できたのかという中身を把握する。 ③評

価カードの使用場面を工夫する。

④自己評価カードそのものの工夫をする。 ⑤振り返り方

を工夫する。」の五つをポイントとしてあげている。ただし、評価カードにこだわってい

るわけではない。自己評価能力の育成を目指すには、子どもが自分の発意・発想で振り返 ることができる方法(学習作文を書く、質問事項に口頭で答える、挙手など)も大いに取

り入れるべきだと述べている。

この調査によると、評価活動の中で最も多いのは自己評価カードである。ただし、国語 科でのその使用報告の割合は小学校では18.5%,中学校では11.0%であり、全国的に見て、

調査当時(1997年)国語科で日常的に自己評価活動が定着していると見るには低い数値で あると思われる。しかし、個別には自己評価活動を積極的に取り入れた授業に取り組んで いる教師も存在する。中でも植西浩一氏(奈良教育大学附属中学校教官)は有名な実践家 である。氏は、旧態依然とした評価観と、それに基づく国語科評価の現状が、国語科授業 の改善・改革を阻んでいるとの考えから、国語科授業の改善改革のポイントを自己評価の

‑10‑

(13)

導入に置いている。自己評価の働きとして、 「学習者の情意を測り育てる」、 「学習者のつ まずきを発見する」、 「学習者に学ぶ喜びを持たせる」、

「主体的な学び手を育てる」、

「教

師の授業改善に役立てる」の五つを挙げ、単元や教材の目的に応じたさまざまな自己評価

活動の方法を具体的に提示している。それだけでなく、生徒一人ひとりに主体的に学ぶ力 をつけるには、 ‑学期あるいは学年を通しての長いスパンの自己評価も重要であるとの考 えから、その方法、計画も示している。り

「何らかの自己評価活動をやってさえいれば自然に自己教育力が育ってくる、というほ

ど簡単な問題ではないのである。

\教育活動のどこに、どのような形の自己評価活動を組 み込んでいくか、そこで教師の側からはどういう助言なり指導なりをするか、ということ

を十分に考えていかねばならないのである。」 ●10と梶田氏が述べるように、自己評価活動 では「いつ(どの場面)評価するのか」 「どのように評価するのか」と、さらに「何を評 価するのか」の三つを考えなければならない。それに関わって、植西氏の実践は大変示唆 に富むものである。

植西氏は、単元や教材の目的に応じての自己評価活動以外に、日常的に無理なく続けて

いける自己評価活動として、学習感想をノートに書くという方法を紹介している。人間教

育研究協議会の調査でも自己評価の方法として、 「数行の振り返りコメントを書く」、 「振 り返りの作文(400字以上)を書く」の割合は高かった。また、協議会が提案している自

己評価活動の生かし方にも学習作文を書くことが取り上げられている。この学習感想やコ メントを書くという方法は、筆者が行っている「授業のまとめ活動」にも共通するところ がある。そこで第2節では、学習感想やコメントを書くことに関する実践を取り上げ、そ の意義や働きについて考えてみたい。

第2節 文章法による自己評価活動

安彦忠彦氏は、

「授業のある時点で、必ず『文章法』を主とする自己評価活動の時間を 設け、それが本当に自分の生活や学習の習慣となるまで実行させる必要がある。

\ここで

『文章法』を強調するのは、これによって『学習に対する子どもの自覚』を知ることがで

きるからであり、項目立てによる評定尺度を付した自己点検表(票)では得られない、よ

り多くの,より深い質が得られるからである。

(中略) \このような作業を通して、実は

授業とは別の、あるいはその裏で授業を支える『個人的に親密な指導の場』が出現するの である。これこそ、子どもの『自学能力』と『自学意欲』を支える個人指導の場であり、

(14)

ここに今日的な授業改善のポイントの一つもあると言える。」 nlと述べ、 「文章法」による 自己評価の方法を提案している。

梶田叡‑氏は、 「教育の最終的な眼目は子どもの内面を育てていくことであり、子ども

自身が自分の内面にあるものをよりどころとして考え、判断し、生きていくようになるこ

とである。」事12

と述べ、子どもの内面の育ちを確かめる方法の一つとして、授業の後など

に感想や意見など何でもいいからコメントを書かせて累積させていくというコメント法を

取り上げて、その効果を述べている。

コメント法を続けていくと、ニコニコして聞いている学生が必ずしも大事な部分を理解 しているわけではなく、視線を合わせないようにしている学生が意外にも話の核心をとら

えているということもあるというように、表面的なとらえだけではわからない「一人ひと

りの内面が少しずつ見えてくる。」それだけでなく、コメントを累積していくことで、 「1

年間にわたって一人の学生がどのように変わってきたか、かなりの程度まで見えてくるの

である。」という。具体例として、 1回めに「眠たかった」と書いた学生が、 2回め3回

めには「すみません、ついうとうとしてしまいました」と書いたりするようになることを

取り上げ、その表現の変化から、学ぶということに対する自覚、自己責任性、の育ちが読

みとれると述べる。先にあげた安彦氏の言葉に、

「これ(文章法)によって『学習に対す

る子どもの自覚』を知ることができる」とあったが、梶田氏の提示例はまさにこのことを

示している。

国語の授業での「文章法」として第一に考えられるものは、授業感想文である。国語の

授業で授業の感想を書かせる活動はそれほど珍しいことではない。しかし教師がその活動

にどのような意義や働きを見出しているかによって、その取り扱い方や利用の仕方には違

いが起こる。また、何を書かせるか(内容)やどう書かせるか(方法)も一様ではない。

授業の感想を書かせるという活動に関して、実践者である上候晴夫氏による次のような 実践報告がある。 ■13氏は授業の最後に、次のような指示で授業感想文を書かせる。

今日の企窒〔※その日の授業でやったことを書く〕は○である。

理由はロつある。

ひとつ目は‑0 \ふたっ目は‑0 \‑0

・○には1‑5の数字が入る。

・ロは理由の数が入る。

‑12‑

(15)

氏は、 「理由の文」を書くことがこの活動のポイントと考えている。また、その理由を、

子どもたちが大事だと思う順に書かせることで、情報の質をアップさせることもできると 述べている。このような書き方で書かれた感想文を、

①全部の感想文を通読する。

②典型的な感想文を(学級通信などに)視写する。

③短い考察の文を書く。

という順で利用する。上候氏が子どもたちに授業感想文を書かせる第‑の目的は、それを

分析・考察することによって、教師が学習者の視点で授業の見直しをするというものであ

る。授業分析の一方法としての「授業感想文」ということになる。

国語教育の実践者である池内清氏は上候氏の授業感想文を「子どもの視点を取り込んだ 優れた授業改善の一方法」と評価し、その書き方指導と活用法をより具体的に提案してい

る。書14

授業者である教師が自分の授業を考察する際に、学習者である子どもたちの思いを知る ことは、学習者の思考の流れに沿った授業作りをするためには大事なことである。ただし、

子どもの言葉を受け取る際には十分な注意も必要である。

「よくわかった」 「面白かった」

という感想が多かったからよい授業だったと評価するのは単純すぎる。子どもたちの中に は暗黙裏に教師に肯定的な意見を書いたほうがよいという心の動きがあるからである。

藤川大祐氏はそのことを踏まえた上で、先の二人と同様に、授業改善という面から授業

感想文をとらえ、読み取るべき重要なものとして、 「変化を追う(学級全体や各個人)」 「詳 細に読み取る」

「他のことがらと関連づけて解釈する」の三点をあげている。暮15

さらに、

授業感想文を書くことを負担に思わせないために、その意義を子どもたちに示し、子ども たちを授業の「協力者」にする授業作りを提案している。

「授業感想文を書くことが子ど もにとっては授業研究‑の意義ある協力となり、また自らの成長のための活動ともなるの

である。」と述べるとともに、授業感想文を「観察の道具」ではなく「対話の道具」とし

て活用することが、授業成立のための大きな力になるという考えを示している。

これらの実践や提案は、授業感想文を教師の授業作りに生かそうというもので、それを 自己評価活動として扱っているわけではない。しかし、自己評価が、教師の側から見れば

自分の授業に対する生徒からの評価でもあることを考えれば、上条氏たちの活動に自己評

価的な側面があるのは明らかである。

「授業感想文を『観察の道具』ではなく『対話の道 具』として活用する」 (藤川)という考え方は、安彦氏の言葉の後半部分「このような作

(16)

業を通して、実は授業とは別の、あるいはその裏で授業を支える『個人的に親密な指導の 場』が出現するのである。」や、第1節で紹介した附属中学校の自己評価の意義にある「④

自己評価は、生徒と教師のつながりを強めることができる。」と通じるところがある。ま

た、授業感想文を書くことによって「子どもたちを授業の『協力者』にする」 (藤川)と

あるように、子どもたちの寺受業‑の参加意識の高まり、つまり学習‑の意欲の高まりをも

たらす効果も認められる。

池内氏は寸受業感想文をステップを踏んで段階的に指導し、最終的にある書式を与えて書

かせている。繰り返し書くことで子どもたちの中にそれは定着していく。これは生徒に考

えをまとめさせるという働きがあるとともに、相手に考えを的確に伝える方法を獲得させ るという効果もあり、国語の「書く力」の向上にもつながっていく。

ノートに学習感想を書くことを自己評価活動の一方法ととらえて実践しているのが、第

1節で紹介した植西浩一氏である。氏は日常的な自己評価活動として、ノートに学習感想

を書くことを続けさせている。毎時間の学習を終えた後、学習内容や自身の取り組みなど

を振り返って、感じたことや考えたことを書くというものである。授業終了前の5分間を

感想を書く時間にあてて指導し、習慣づけ、定着させていく。そうすると、

「自分の学習

を見つめる目が育ってくる」と言う。

遠藤瑛子氏(神戸大学発達科学部附属住吉中学校教官)も同様の取り組みを行っている。

遠藤氏は、ノートに「今日の感想」欄を設けさせ、授業の感想はもとより、取り組みの自

己評価、学習‑の段取り、次時の学ぶ意欲など幅広く学習内容や方法について自分の興味

・関心・意欲や意志、考えを言葉で示すように指示する。この「今日の感想」が、関心・

意欲・態度の評価として生徒の自己評価力を高め、書く力も高める評価だと述べる。氏は、

この「今日の感想」を提出させた時はなるだけ早く生徒のもと‑返すこと、指導者が評価 (赤鉛筆で傍線をつける、波線を入れ、 ◎をつけるなど)することを重要視している。生 徒は先生の受け止め方と反応を待ち望んでいるはずという思いがあるからである。意欲あ

る取り組みや考えは、コピーして学習の手引きとして生徒たちに提示する。そうすること で、取り上げられたという喜びを多くの生徒に与えることができる。 「このような積み重 ねをしていると、書くことは日常になり習慣化してくる。態度で表していない内面の気持

ちが書かれるようになり、生徒にとってはこの欄を通じて心を寄せやすくなる。それは評

価という言葉を使用しないよさである。」事一6とあるo

これは梶田氏がコメント法の効果と して述べている、子どもの内面にある思いをとらえるという働きに相通じるものであり、

‑14‑

(17)

「文章法」が共通して持つ効果と考えられる。遠藤氏がこの活動を通じて書く力が高まる

と考えていることは注目すべきところである。ここには載せていないが、両氏ともに、実

際の生徒のノートを示している。それを見ると両氏が述べていることが確かだと判断でき る。

各務原市立稲羽中学校は学校全体で自己評価活動に取り組んでいる。稲羽中学校の自己

評価の方法・留意点は、

①文章法(形式は自由)、 ②毎時間行う、 ③朱書き、コメントを

つけて返す,

④成績には利用しない、である。叩 ①‑③に関しては植西氏や遠藤氏の実 践とも共通している。文章法を取り入れているのは、授業に位置づけていく場合、チェッ

クリスト法書18では十分な情報が得られないという考えからである。稲羽中は文章法の形式 は教科の自由に任せている。問題としているのは書く内容である。 「『000について書

きなさい。』という指示があると、生徒は素直な学習の振り返りができなくなってしまう。」

というとらえから、細かい指示はせず、 「自己評価をしてください。」 「感想を書いてくだ

さい。」くらいの指示で書かせる。毎時間続けることで、生徒には自己評価力が着実に育

っていく。 1ケ月もすると今日の学習課題に対して短時間(5分以内)で自己評価が書け るようになり、その変容ぶりには目を見はるものがあると述べられている。

短時間で書けるようになるということからは、評価力の育ちと同時に書く力の向上を認め

ることができる。

さて、 「文章法」による自己評価活動と思われるものをいくつか取り上げ、その効果や

働きを見てきた。目的や取り扱い方に違いはあるが、いくつかの共通点を見出すことがで きる。以下にその効果や働きを筆者なりにとらえて整理した。このうち①、 ③‑⑤は安彦

氏の言う「文章法」の働きとも重なるものである。

(丑表現を丁寧に読むことで、子どもの内面を知ることができる。

「(丑」と同時に、子どもの変容を知ることができる。

③提出したものにコメントや書き込みをすることを通して、子どもと教師の関係づくり、

信頼づくりが行える。

④子どもの学習‑の意欲を喚起させたり向上させたりすることができる。

⑤それをもとにして、子どもの視点を取り入れた授業づくりを行うことができる

⑥子ども自らが、自分の成長を確かめることができる

⑦自分の思いを文章にまとめ表現する力(国語科でいう「書く力」の一部)をつけるこ

とができる。

(18)

文章で自己評価するためには、子どもは自分自身の学習状態をチェックし整理しなけれ

ばならない。それを繰り返すことで自己の学習を客観的にとらえたり、自己の成長や変容

を認識したりできるようになってくる。そこから、さらなる意欲が喚起される。また、教

師は書かれたものから子どもたちのさまざまな情報を得ることができ、それをもとに生徒 とやりとりをすることを通じて、信頼関係を築いていくこともできる。このように、文章

法は子どもにとっても教師にとっても大変有用な自己評価の方法である。

第3節 「授業のまとめ活動」の方法,機能や意味、特徴 (1)現在の「授業のまとめ活動」に至るまでの経緯

教職に就いてから今年で2 9年目に入る。その間ずっと中学校で国語を担当してきた。

現在の勤務校は5校目になる。

「授業のまとめ」活動を実施するようになったのは、 3校 目の学校からである。 1 5年ほど前のことではないかと思う。始めたころは今と少しやり

方が違っていた。それに改善を加えて4校目で現在の形に落ち着いた。以下にそこに至る までの経緯を整理して述べる。

【「授業のまとめ活動」を実施するまで】

初任校は大変荒れた学校だった。教育困難校と言える。生徒指導上の問題が多々あり、

それに追われる日々だった。上級の学年には授業中も教室の出入りを平気でするような生

徒が何人かおり、授業を成立させるのが困難な時もしばしばあった。

3年間その学校に勤

務した。授業を向上させようとか、自分の授業を振り返って改善しようとか全く考えない

ではなかったが、なかなか手が回らないという状況であった。

2校目は比較的落ち着いた学校だった。ごくふつうに授業することができた。初任校で

は中途半端な学習しかできていなかった教師としての姿勢や教師のさまざまな仕事もこの 学校で学ぶことができた。尊敬できる先輩教師に出会えたのも大きな収穫だった。ここで

6年間勤務する中で自分の授業について考えるようになってきた。

【「授業のまとめ活動」の実施と現在の方法に落ち着くまで】

「授業のまとめ活動」を実施するようになったのは、

3校目の中学校に勤務していると

きである。 2校目のころから学校外の研修会にも参加する機会が持てるようになり,少し

16‑

(19)

ずっ自分の授業実践について考えるようにはなっていた。加えて、この中学校に勤務して 3年目に入ったときに、夫が三重大学教育学部附属中学校に転任した。それも自分の取り

組みを考えるのにプラスに働いた。国語教育の動向や国語の授業に関わるさまざまなこと

を夫から聞いたり教えてもらったりすることが度々あり、それが自分の授業実践を振り返

ることにもつながっていった。

「授業のまとめ活動」を始めた動機は大きく考えると以下の二つにまとめられる。

・自分の実践を振り返り、授業を改善する必要性を感じていたこと。 (ノート指導・授 業方法など)

・子どもを一面的に見て評価する(主にテストの結果で評価する)ことを避けたいとい う思いをもっていたこと。

である。これらをもう少し詳しく説明すると、

【授業改善に関して】

○ノート指導法

教職に就いてからしばらくは、国語の授業の中でノートの活用について特別に指導す

るということはなかった。板書を写していればよしとしていた。ただし、年に何回かノ

ートを提出させて、チェックはしていたo その理由は、生徒がきちんと板書をノートに 写しているかどうかを、授業‑の意欲や関心をはかる材料と考えていたからである。ま

た、ノートを提出することに付随する効果として、生徒は教師にノートを見せるために はきちんと板書を写さなければならない‑授業にある程度集中しなければならなくな

る、つまり生徒に対する"授業‑の意識付け"ということもあると思っていたoだから、

チェックするときは、きちんと板書を記録しているかどうかということに重点をおいて いた。しかし、何年かそういうことを続けているうちに、板書を記録するだけのノート でいいのか、学習に生かせるノートの使い方はないかと考えるようになった。

○授業方法

教職の経験年数が増えるとともに、研修会に参加したり国語教育に関する本を読んだ りしてさまざまな国語教育の実践に触れる機会が増えた。そういう中で自分の指導を振 り返り、改善点や未熟な点などを考えるようになった。

筆者は授業で,挙手した生徒を指名して発言させている。そうすると発言者は限られ

てくる。もちろん授業時間には制限があるから、すべての生徒が挙手して意見を言うこ

とは実際には発しいし、いつもみんなが発言しなければいけないということはない。ま

(20)

た、発言する生徒の考えは、大多数の子が思っていることに近いことが多いのも確かで

ある。そうは言っても教師はひとり一人の生徒の考えを知る必要はあるだろう.発言し

ない生徒が何も考えていないということはない。 (中にはそれに近い子もいるが)。実 は深く考えてはいるが、みんなの前で発言することが苦手な生徒もいる。その子たちが

どのように考えているかを確認したり把握したりする方法が必要だと思うようになっ た。と同時にそういう子たちに意見を表す場を与えたいとも考えた。

授業中に意見が出にくい時には書かせてから言わせるとよいというのは、国語の授業 方法としてはほぼ常識となっている。しかし、自分はそれを授業にうまく取り入れてい

ないという思いがあったこともノートの活用を考えるきっかけの一つとなった。

【子どもの評価に関して】

生徒の学力を評価する方法としては、テストが使われることが多い。筆者も評価の多く

をテストに頼ってきた。ただし、テストではかれるのはその子の国語の力の全てではない

ということや、テストのできはその日の体調によっても影響を受けるため、

100%信用 することはできない(回数を重ねれば信頼度は増すが、それでもその子の力をすべて表し

ているわけではない。)ということも頭にあった。もちろん提出物のチェックや、授業態

痩(授業‑の参加の仕方)の観察等でそれを補ってはいる。しかしそれにも限りがある。

先にも述べたように、深く考えている(‑授業‑の関心は高いと言える)がみんなの前で

発言することが苦手な生徒や、授業中目立たない生徒も含め、生徒ひとり一人の理解の仕 方や理解の程度を知りたいと思い始めた。そして効果的にそれを知る方法はないかと考え

るようになった。

これらのことを考えるようになっていたころ、三重県中学校国語教育研究会主催の授業

研究会に参加した。そこで国語の公開授業をされた先生が、ノートを二段に分けて書くと

いう指導をされていた。 (鳥羽市長岡中学校

寺本先生:当時)上の段を狭くとり、そこ

に授業の中でその時々に生徒が考えたことや、発間に対する考えを書かせていたような記

憶がある.下の段には、板書を写させていた。自分の考えを板書内容を書いた部分の上の

段に併記することで、後で読んで自分の思考の流れを振り返ることができるようなノート づくりをさせている。分けて書くことで、生徒にとっても教師にとっても、個々の考えを

追っていきやすくなっている。これは寺本先生独自の取り組みではなく、その当時鳥羽市

̲18‑

(21)

の中学校の国語研究会が取り入れていたものであった。鳥羽市の中学校で国語を担当する 教師のほとんどが共通して行っている方法だということを聞いた。筆者はノートを二段に 分けることに考えが及んでいなかったので、形式や方法あわせて、大変参考になった。

・ノートが授業内容と生徒個人の思考の流れ両方の記録になっていること。

・生徒ひとり一人にその子自身の考えを書かせていることo

・教師がそれを見ることで生徒ひとり一人の学習状況を把握する助けとなること。

など、自分の実践にヒントを与えてもらった。そこで、その方法を自分も授業で取り入れ ることにした。方法として、ノートを二段に分ける点は同じだが、下の段を狭くとり、そ

こに生徒の考えを書かせることにした。その方が自分としてはしっくりきたからである。

この活動を始めたのが3校目の中学校だったということは記憶している。しかし始めた 年がいつであったかははっきり覚えていない。始めた頃は鳥羽市のやり方をまねて、授業 の中で思ったことを自由に書かせたり、発間に対する答えを書かせたりしていた。教材の 学習を終えた後の感想も書かせていた.そのようなやり方で2‑3年過ぎたころに、三重

大学教育学部附属中学校の国語の授業で自己評価活動を行っていることを知った。その中

にはノートを使った活動もあった。夫が附属中で国語科の教員として勤務し、実際にその

活動をしていたこともあり、そのねらいや方法、効果等について夫から聞くことができた。

その実践を知ることで、最後に「授業のまとめ」という形でふり返りもかねて授業の内容 のまとめや反省を書かせたほうが、授業中の好きなときに好きなように書かせるよりも生

徒の学習に効果があるのではないかと思うようになってきた。それは、次のようなことを

考えたからである。

・すべての生徒が授業中に思いっいたことを書けるわけではない。

(能力の有無の問題) 一書けない子は全く書けない。

・書く気がない子は授業中に書かないままで過ぎていく。

・時間を決めたほうが生徒の集中力が増す。

・時間を決めて一斉に取り組ませたほうが教師も指導しやすい。

そこで、 4校目の中学校‑の転任をきっかけに、授業の最後に時間を設定して毎時間の

授業のまとめを書かせるようになった。

(22)

(2) 「授業のまとめ活動」の方法

あとに示した資料は、生徒にノートの使い方と「授業のまとめ活動」のやり方を指導す るときに用いるプリントの一部である。図に示したように、ノートを二段に分けて使用さ せている。授業の終わりには必ずまとめの時間を5分間設定し、項目にしたがってノート

の下段に学習のまとめをさせる。ただし,授業中に思いっいたことや考えたことは、その

都度その場で書いてもよいということも最初に伝えておく。 〔たまに授業を時間いっぱい

まで続けてしまってまとめの時間がとれないときがある。そのときは休み時間か家庭学習

の時間に書くようにさせている。〕また、一つの教材の学習を終えたあとにも、学習全体

を通してということで、ほぼ同じ項目で全体の学習のまとめを書かせる。 ( (生徒のノー ト例)参照)

「授業のまとめ」に書く事柄は

(D今日の学習内容のまとめ

○どんなことを学習したのか (学習内容を簡単にまとめる)

○学習内容について

・分かったこと

・気づいたこと

・疑問

・意見、感想

②自分の取り組み方の評価(1‑5段階)とその理由・反省

③授業の評価(1‑5段階)とその理由・‑‑持ち上がりで2年目も継続して担当する

ことになったときに書かせる。

である。

○カード(個票)に記入するという方法をとらなかった理由。

・授業内容の記録を同時に確認することができる。それと対応させることで、生徒 が自分の思考の推移を追ってとらえやすくなる。

・どの教材でもノートを使って同じようにできる。

○ "その日の学習内容についで'と"授業について"の二項目のみにし、自由記述にし た理由。 (細かい項目立てにしなかった理由)

ー20‑

(23)

・ノートの下の段という限られたスペースなので、いくつものチェック項目を入れ ることが物理的に難しい。

・個々の生徒の学習状況や生徒の学習内容に対するとらえ方を知りたいという思い が強かった。細かく項目立てして書かせるより、大きな項目を与え、自由に書か せた方がそれらをつかみやすいのではないかと考えたから。

・文章化することで、生徒に考えを整理させることができる。項目をチェックする という方法ではそれが達成しにくいと考えたから。

ノートの使い方は授業開きの時に指導するが、文を書き慣れていない生徒やなかなか取 り組めない生徒に、 「書きなさいと」言ってもすぐにできるものではない。そこで年間を 通して継続して下に書くような働きかけや手だてを行っている。

(丑書く量を示す。

「5行以上書こう」から始め、それが定着してきたら、書く量を自分で少しずつ 増やしていくようにさせる。

②見本となるようなノートを示す。

以前に教えていた生徒のノート(よくできているもの)をプリントして配布し、

書き方や書く内容について参考にさせる。

③成績に反映させる。

・教材を終えるごとにノートを提出させ、必ず評価(A・BO・B・CO・Cの 5段階評価)し、コメントを書く。

・ノートの評価の重要性を機会あるごとに伝える。

(成績の3割程度を占めるこ

とを教えている)

④同じ学年内でAの評価を与えた生徒のノートと名前を紹介する0

⑤ノートを書くことの重要性を訴え続ける。

・書き続けることで書く力と思考力が高まる。

・普段の授業で発言できない生徒は、ノートに意見を書くことで自分の考えを表 明できる。

・先生が生徒ひとり‑人の考えや理解の様子を知ることができる。

(24)

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