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あまご麹漬 けに及 ぼす本漬 け期 間および茶添加 の影響

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(1)

三重大学教育学部研究紀要 第

61

巻 自然科学

(2010) 1‑ 6

あまご麹漬 けに及 ぼす本漬 け期 間および茶添加 の影響

磯部 由香 ・越間 智子 ・平 島 円

Effectoffer‑ entation periodsand addinggreen teaon thetaste ofamagopickledwithkoji

YukalsoBE,Tom okoK osHIMAandM adokaH IRASHIMA

1.緒言

サケ科 サケ 目に属す るサ ツキマスは降海型、降湖型 と河川残留型 に分 け られ る。 その中で も河川残留型 は

「あま ご」 と呼ばれ、清流 に生 息す る。三重県度会郡 度会 町で は、 このあま ごが養殖 されてい る。 あま ごの 身 は歯 ごたえ も良 く、臭み も少 ないため、刺身で も食 され るが、主 に塩焼 きや唐揚 げに して食 されてい る

あま ごは鮮度 の低下が早 いため、遠方へ流通 させ るた めには、加工 す る必要 があ るが、現在、度会 町で行わ れている加工法 は甘露煮 に限 られている。 そ こで、本 研究 では、 あまごをよ り多 く流通 させ るため、新 たな 加工方法 につ いて検討 を行 った。

水産物 の加工方法 には干物 や練 り製 品、発酵食 品な ど様 々な方法 があ るが、本研究 では新 たな加工食 品の 開発 として、幅広 い年齢層 に受 け入 れ られ ることを 目 指 し、発酵食 品であるなれず しの中で も食べやす い と 考 え られ る 「 麹漬 け」 を検討 した。麹漬 けの代表 的な もの には、秋 田県 の 「はた はたず し」 があ る 。 「はた はた」 とは、 山陰以北 の 日本海、東北以北の太平洋で 漁獲 され る魚である。秋 田県ではこれを塩漬 けに して、

麹や飯、野菜 な どと一緒 に漬 けた ものが冬 の間の食べ 物 と して重要 な保存食 であ り、年越 しと正月 の祝膳 に 欠 かせ な い もの とな って い る1 ) 。 また、 石 川 県 には

「かぶ らず し」 と呼ばれ る塩漬 け した カブ とブ リを重 ね麹 とともに漬 けた もの もある2 ) 。

麹 には発酵 ・熟成 を促す働 きがあるため、麹漬 けは、

他のなれず Lと比較 して、本漬 け期 間が短 い とい う特 徴がある。地域 によって多少異 な るが、 なれず Lで代 表的なふなず Lは本漬 け期 間が

3

カ月 か ら長 い もので 1年以上 であ るのに対 し、麹 を用 い るはた はたず しの 漬 け込 み期 間 は

2‑3

週 間で あ る3 ) 。 そ こで、 本 麹漬 けで は、本漬 け期 間を

2

週 間 と4 週 間に設定 し、生菌 数、成分 および噂好性 にどのよ うな影響 を与 え るかに ついて調べた。

また、度会 町で は 「わた らい茶」 と呼ばれ る茶 が栽

培 されてお り、町の特産 品 とな っている。茶 に含 まれ るカテキ ン類 には抗菌作用、抗酸化作用、解毒作用、

血糖値抑制作用、血圧降下作用、消臭効果等様 々な有 用 な作用 4 ) があ り、 その効果 が期待 され ることか ら、

今 回 このわた らい茶 を本麹漬 けに取 り入 れ ることも併 せて検討 した。

2.

実験材料および方法

( 1 )実験材料

あ ま ごは三 重県度 会 町 「あめ ごの里」 にて

、 1‑3

年 間、養殖 された ものを用 いた。麹 は市販の米麹 を用

いた。 また、茶 は度会 町商工会 よ り提供 された度会町 産 の 「わた らい茶」 を使用 し、新茶 の粉末状 の ものを 用 いた。

(2)麹漬 けの製造方法

麹漬 けは、以下 の方法で試作 した。すなわ ち、 あま ごの頭部 と内臓 を除去 した後

、3

枚 におろ し、重量の

20%の食塩 を加え、重石 を して1

週 間塩漬 けに した。

その後、 この塩漬 け したあまごの表面 についた食塩 を 軽 く流水で洗い流 し、食酢 に一晩浸 した後、水気 を取 っ た ものを酢漬 けあまごとした。一方、麹床の調製 には 通常 よ り

65%

多 い水量 で炊 いた飯 に麹、 み りん、塩、

砂糖、 および茶添加試料 には茶 の粉末 を加えた。 これ らの分量 の割合 を表

1

に示す。 これ らを

6

時間炊飯器

1

麹床の組成

材 料 割 合

28.0%

52.0%

14.0%

みりん

3.0%

砂 糖

1.6%

0.4%

0.1%

(2)

中で保温 した後、一晩冷蔵庫で寝か し、 これを麹床 と した。容器 に酢漬 けあまごと麹床 を交互 に重 ね、空気 を抜 くよ うに上か らク ッキ ング シー トとポ リエチ レン ラップを敷 き、重石 を した後密閉 して本漬 けを行 った。

なお、以下の項 目につ いて は、麹床へ茶無添加で本漬 け期 間

2

週間 と

4

週間、本漬 け期間

4

週 間で茶無添加 と茶添加 の試料 について比較 した。

(3)

生菌数の測定

大腸菌群測定 にはデオキ シコ‑ レイ ト培地、黄色 ブ ドウ球菌数測定 にはマ ンニ ッ ト食塩培地 を用 いた。 ま た、一般細菌数 および乳酸菌数 につ いて は、財団法人 食品分析 開発 セ ンター SUNATEC に分析 を依頼 した。

(4)

塩分濃度 の測定

麹漬 け後 のあま ごの塩分濃度 は沈澱滴定

5)

によ り測 定 した。

(5)

ア ミノ酸 の分析

麹漬 け後の魚 肉を ミキサーで均質化 し、 これを遠沈 管 に

2.5g

量 りと り、 イオ ン交換水

15ml

を加 えて、

1

0分 間 ホモ ジナイズ し、 ホモ ジネー トを得 た。 ホモ ジネ ー ト0.

9ml

3%

スル ホサ リチル酸

0.9ml

を加 えて撹拝 し

、 15,000×gで30

分 間遠心分離 し、除 タ ン パ ク して上清 を得 た。 この上清 を

0.45mm

の メ ンブ レンフィルターを用 いてろ過 し、 ア ミノ酸 自動分析計 を用 いて分析 した。

(6)

有機酸の分析

麹漬 け後の魚 肉を ミキサーで均質化 し、 これを遠沈 管 に

2.5g

量 りと り、 イオ ン交換水

15ml

を加 えて、

1

0分 間 ホモ ジナイズ し、遠心分離 によ り上清 を得 た。

これ にイオ ン交換水 を加えて

25ml

に定容 した。 これ を、0.

45mm

および

0.22mm

のメ ンブ レンフィルター を用 いてろ過 し、高速液体 クロマ トグラフィーによ り、

以下 の条件 で分析 した。 カ ラム :

Shin pack SPR‑H

(208mm X7.8mm)

、溶離液 :

5mM HCI

O

4

、流量 :

0.6ml/min

、検 出波長 :

210m

m、 カ ラム温度 :

50

℃。

( 7)官能検査

3

種類 の麹漬 けを評価 す るために、官能検査 を実施 した。実施期間は

2008

12

月か ら2009 年

1

月であっ た。パネ ラー は三重大学教育学部の教職員及 び学生、

述べ

105

名 と した。対象者 の内訳 を表

2に示す。漬 け

込み期間の影響 と茶添加の影響 につ いて は

2

点識別法 および 2 点噂好法 を用 い、絶対評価 につ いて は 5 段階 尺度法 を用 いた。質問項 目は 「 香 り」、「 色」、「 硬 さ」、

「 生臭 み」、 「 酸味」、 「 塩味」、 「甘味」、 「うま味」 およ び 「 総合評価」 と した。 また、魚の発酵食品の食歴の 有無、本麹漬 けの新規加工食品 としての評価 につ いて

も回答 を得た。

3.

実験結果および考察

( 1 )本漬 け期間の影響 1 )生菌数

本漬 け

2

週間および

4

週間の麹漬 けの一般細菌、

大腸菌群 および黄色 ブ ドウ球菌の生菌数 を表

3に示

す。一般 細菌 は、 2 週 間で

1.104cells/g、 4

週 間 で

7.104cells/g

であ り、2 週 間 よ りも

4

週 間の菌 数 の方 が、若干多か った。市販の はた はたず しの一 般 細菌数 は約

106cells/g

6 ) 、 かぶ らず しお よび大根 ず Lは本漬 け

15日で約 107cells/g7)

であ る。本麹漬 けの一般 細菌数 は これ らと比較 す る と

1

0分 の 1か ら

100

分 の 1程度少 なか った。 また、大腸菌 および 黄色 ブ ドウ球菌 は検 出されなか った。 これ は製造工 程 中に塩漬 けや酢漬 けの操作 があ るため、菌が死滅 した と考 え られ る。厚生労働省が定 め る食 品衛生法 で は、水産発酵食品を対象 と した基準 は設 け られて はいないが、非加熱食 肉の項 目には、大腸菌が陰性、

黄 色 ブ ドウ球 菌 は

1000cells/g

以下 と明記 されてい るB

)

ことか ら、本麹漬 けを生食す ることは衛生上、

2

官能検査のパネラーの概要

(人)

本漬け期間の比較 茶添加の有無の比較 総合評価

性 性 代 代 代 代 代 代 男 女 10

2030405060

別 代

性 年

805450

(3)

あまご麹漬 けに及 ぼす本漬 け期間および茶添加 の影響

3

菌数に対する本漬け期間の影響

(cells/g)

本漬け期間 一般細菌 大腸菌 ブ ドウ球菌

2

週間

1.104 0 0 4

週間

7.104 0 0

問題ない といえ るだ ろう。なお、本漬 け

4

週間の試 料 か らは

7.104cells/g

の乳酸菌 が検 出 された

はた はたず しの乳酸菌数 は

10 5106cells/g

6 ) 、 かぶ らず しおよび大根 ず Lは約

107cells/g7)

で あ り、本 麹漬 けの乳酸菌 はこれ らと比較す ると、やや少なか っ た。 これは、酢漬 け工程 の有無 や酢漬 け時間の長 さ の違 いによ り本漬 け前 の

pH

が異 な ることに起 因す ると思われ る。つ ま り、本麹漬 けは初期

pH

が他の 麹漬 けよ りも低 いた め ( 詳細 は後述)、乳酸菌 の発 酵 が抑制 された と考 え られ る

2)

塩分濃度

本漬 け

2

週 間の麹漬 けの塩分濃度 は

5.07%、4

週 間 は

5.10%

で あ った。 この濃度 は、 た くあん、 高 菜、茄子のか らし漬 け、 た らこ、 か らしめんたい こ な どの塩分濃度 9 )と同程度 であ る。塩漬 け直後の塩 分濃度 は約

18%

であ り、水 で

24

時間塩 出 しした後 の塩分濃度 は約

4%

まで減少 す ることか ら、塩分 は 酢漬 けの時点で除去 され、本漬 け期間中の変化 はな か った と考 え られ る。なお、 はた はたず しの塩分濃 度 は

1.6%6

) 、 かぶ らず Lは

2.1‑4.4%

7 ) 、 大根 ず L

は 1

.3‑3.3%

7 )であ り、本麹漬 けは他 の麹漬 けよ り 塩分濃度 がかな り高 か った。

3)pH

本漬 け

2

週 間の麹漬 けの

pH

4.2、4

週間の

pH

4.4

とほ とん ど変 わ らなか った。 はたはたず し、

かぶ らず しおよび大根ず しの

pH

はそれぞれ

4.73

6 ) 、

4.85、 4.957)

で あ り、 本 麹漬 けの

pH

は他 の麹漬 け

5050lhU050332211

@ooLJB∈)ヽ仰卜

よ り若干低 か った。本麹漬 けでは製造工程 中に酢漬 けの操作 があるために、 その時点で

pH

が大 き く低 下 した と考 え られ る

4)

遊離 ア ミノ酸

遊離 ア ミノ酸総 量 は、 本 漬 け

2

週 間の麹漬 けが

209.0mg/100g、 4

週 間 の麹 漬 けが

260.1mg/100g

であ り、本漬 け期間が長 くな るにつれ、遊離 ア ミノ 酸量 は増加 していた。 これは、発酵 およびあま ご自 体 のプロテアーゼによってタ ンパ ク質 の分解が進ん だため と思 われ る。 かぶ らず Lや大根ず Lにおいて も、本漬 け期間が長 くな るに伴 って、遊離 ア ミノ酸 総量 は増 加す ることが報告 されてお り

7)

、本麹漬 け も同様 の結果 とな った。 自家製 のかぶ らず Lや大根 ず Lは本漬 け後

15

日で約

400mg/100g

であ り、本 麹漬 けよ り高か った。 この要 因 と して は原材料 およ び菌数 の違 いが影響 していると考 え られ る

遊離 ア ミノ酸組成 をみ ると、図 1に示す とお り、

グルタ ミン酸、 ロイ シン、 リジンおよびアルギニ ン が多か った。 グルタ ミン酸 は うま味および酸味系、

リジンは甘味系、 ロイ シン、 アルギニ ンは苦味系の ア ミノ酸であることが知 られてお り、 これ らのア ミ ノ酸が麹漬 けの呈味 に大 き く関与 していると考 え ら れ る。 いずれのア ミノ酸 も本漬 け

2

週 間よ り

4

週間 の方が多か った。

5)

有機酸

麹漬 けの酢酸、乳酸 およびコハ ク酸含量 について、

2

に示す。本漬 け

2

週 間および

4

週 間 とも有機酸 含量 に大 きな差 はみ られなか った。最 も多 く検 出さ れた有機酸 は酢酸であ った。 これ は製造過程で酢漬 けの操作があるため と考 え られ る。次 に多 く検 出さ れたの はコハ ク酸であ った。 コハ ク酸 は主 に二枚貝 や清酒 に多 く含 まれ るうま味物質 であ り、本麹漬 け

□2

週間

●4

週間

使

ni l

Ri

ni l

Asp Thr Ser Glu Gly Ala ValMet lle Leu Tyr Phe Lys His Ar

1 遊離アミノ酸量に対する本漬け期間の影響

‑ 3‑

(4)

0 %

20% 40% 60% 80% 100%

□2週間 ■4週間

6

5432

@

00LP)

酢酸 乳酸 コハク酸

2

有機酸量に対する本漬け期間の影響

の呈 味形成 にコハ ク酸 の うま味 も関与 して い る もの と考 え られ る。 なれず しの風 味形 成 に乳酸 が関与 し て い る例 は多 いが、本麹漬 けで は、本 漬 け期 間

2

週 間、 4週 間 と も乳 酸 含 量 は約

1200mg/100gで ほ と

ん ど同 じで あ った。本麹漬 けの乳酸菌数 が

2

週 間 と

4

週 間で ほ とん ど増 加 して いな い ことに起 因す る と 考 え られ る。

6)

官能 検査

官能検 査 の結果 を図

3‑1、 3‑2に示 す。識 別検

査 において差 がみ られた項 目は 「香 り」、「 硬 さ」 お よび 「甘味」 で あ った。 その他 の項 目において差 は 見 られなか った。 「香 り」 につ いて は本 漬 け

2

週 間 の方 が強 い と識 別 したパ ネ ラーが若干 多 く、 「 硬 さ」

につ いて は本漬 け

2

週 間の方 が硬 い と識別 したパ ネ ラー が多 く、 「甘 味」 につ いて は本 漬 け

4

週 間の方 が甘 い と識 別 したパ ネ ラーが多 か った。噂好検査 で は、「香 り」、「塩味」、「酸 味」 の項 目で差 がみ られ、

いずれ も2 週 間の ほ うが好 まれた。

識 別検 査 と噂好検査 の関連 性 をみ る と、 「 硬 さ」

にお いて、 硬 い ほ うを好 ん だ人 は

72%

に上 り、 食 感 と噂好 に関係性 が み られ た。 「甘 味」 が強 い方 を

り 色 さ み 味 味 味 味 香 硬 臭 酸 塩 甘 ま

‑ ■

l

l

l

l l l

l

I

□2

週間

□4

週間 □変わらない □無回答

3‑ 1

本漬け期間の違いについての官能検査結果 ( 識別)

どちらの試料を強 く感 じたかについて回答

4

香 り 色 硬 さ 生臭 み 酸 味 塩 味 甘 味 うま 味 全 体

1 l‑

I

lll■

I

■■■『‑

一■ ‑ 一■■ ■一

■■■■■

□2

週間

□4

週間 □変わらない

3‑ 2

本漬け期間の違いについての官能検査結果 ( 噂好) どちらの試料が好きかについて回答

好 ん だ人 は

72%

に も上 り、 甘 味 の強 さ と噂好 に関 係性 がみ られた。 しか し、本 漬 け

2

週 間 と

4

週 間の 試 料 を比較 し、総合 的 に どち らを好 むか につ いてた ず ねた ところ、差 はみ られなか った。

(2)

茶添加 の影響

次 に、本漬 け期 間を

4

週 間 と し、茶 を添加 した麹床 と無 添加 の麹床 で本漬 けを行 い、本 漬 け期 間の影響 と 同 じ項 目につ いて比較 を行 った。

1 )生菌数

・pH

・ア ミノ酸

4に示す とお り、 一 般生 菌 数 は、 茶 を添 加 した

試 料 が無 添 加 の試 料 よ り若干 少 な く、 茶 を添 加す る ことで菌数 は抑 制 され ることが明 らか とな った。 これ は茶 の抗菌 作用 4 )によるものであると考 え られる。 ま た、 乳 酸 菌 について も同様 の傾 向であ った。 大 腸菌 群 および黄 色 ブ ドウ球菌 はいずれ も検 出されなかった。

pH

は茶添加試 料 が

4.42

、無添加試 料 が

4.43と試

料 間で ほ とん ど差 がみ られなか った。上述 の生 菌数 か らみて、乳酸発酵 が抑制 されてい ると思 われ るが、

pH

に影響 を及 ぼす ほ どで はなか った もの と考 え ら れ る

遊離 ア ミノ酸 は図

4に示す とお り、 すべ ての遊離

ア ミノ酸量 において茶添加試 料 の遊離 ア ミノ酸量 が 茶無添加試 料 の量 を下 回 った。麹床へ の茶 の添加 に よ り、茶 の成分 が発 酵 を促す微生物 の働 きを抑制 し たため、遊離 ア ミノ酸量 が増 加 しなか った もの と推 測 され る

4

麹漬け中の菌数に対する茶添加の影響

(cells/g)

一般細菌 乳酸菌 大腸菌 ブドウ球菌

茶添加試料

2.10 4 5.10 4 0 0

茶無添加試料

7.10 4 7.10 4 0 0

(5)

あまご麹漬 けに及 ぼす本漬 け期間および茶添加の影響

口茶無添加 ■茶添加

05050

5 0

543322

1 1

PooLP

) 潜 ヽ 仰 卜 轟 頻

As

p Thr Ser Glu Gly

Al a Va

l Met lle

Le

u Ty

r Ph

e Ly

s Hi

s Arg

4

遊離アミノ酸量に対する茶添加の影響

2)官能検査

茶添加試料 と茶無添加試料の官能検査の結果か ら、

5‑1

および

5‑2

に示す とお り、差がみ られたの は、「 香 り」、「 生臭み」、「 酸味」 であ り、 いずれの 項 目で も茶無添加試料の方が強い と識別 された。な お、 「 香 り」 および 「 生臭み」 では有意差 が見 られ た

(p<0.0

1 )。

噂好検査 では 「 香 り」の項 目で茶無添加試料が好 まれ、「 生臭み」 の項 目では茶添加試料が好 まれて いた。つま り、香 りは強 く、生臭みは弱いほうが好 ま しい とい う結果であった。塚本 らのハタハタず し の官能評価 についての報告

1

0

)

において も 「 生臭み」

と噂好評価 との間に負の相関があ り、 同様の傾 向が み られた。

茶添加 と無添加の試料 を比較 し、全体的にどちら が好みかをたずねた ところ、茶無添加の試料のほう が若干好 まれる傾 向にあ ったが、有意差 は見 られな か っ

り 色 さ み 味 味 味 味 香 硬 臭 酸 塩 甘 ま

□茶添加 □茶無添加 □変わらない

5‑1

茶添加の有無の違いについての官能検査結果 ( 識別) どちらの試料を強く感 じたかについて回答

香 り 色 硬 さ 生臭み 酸 味 塩 味 甘 味 うま 味 全 体

0 %

20% 40% 60% 80% 100%

‑ ■■■■■■‑

l l

l

l l l 』■一■‑ ■ー■■

l

l

ー l l ‑ 』 ■ ■

□茶添加 □茶無添加 □変わらない

5‑

2 茶添加の有無の違いについての官能検査結果 ( 噂好) どちらの試料が好きかについて回答

(3)絶対評価

茶添加麹床で本漬 け

4

週間の試料 を用 いて、見た 目 や風味について主観的な評価 を得た。評価方法 は

5

段 階で、識別では弱 いを

1 」、強 いを

5

」 とし、噂好 では嫌 いを

1 」、好 きを

5

」 とした。 その結果、図

6‑1、6‑2

に示す とお り、 「香 り」、 「食感」 および

「うま味」 の項 目は他の項 目よ りも評価 が高か った。

平均点はそれぞれ

、3.6、3.8、3.8

であ った。

総合評価 については本麹漬 けを 「やや良い」 と答え た人 が

54%

と最 も多 く、「 好 き」 または 「やや好 き」

と答えた人 は全体 の

76%

であ った ( 平均点

3.8)

。 次 に、本麹漬 けに対 して、「もっと食 してみたい と 思 うか」 と質問 した結果、「はい」 と答えた人 は全体 の

66%

であ った。 この質 問で食歴 の有無 の視 点か ら み ると、 「はい」 と答えた人 の中で魚の発酵食品の食 歴があ る割合 は

77%

であ り、逆 に 「いいえ」 と答え た人 の中で食歴 がない割合 は

60%であ った。 この こ

とか ら以前 に魚の発酵食品を食 した経験がある人 ほど

本麹漬 けを好 む傾 向であることが分 か った。 また、年

(6)

代別 にみ る と、 「はい」 と答 えた人 が その年 齢 層 を 占 め る割合 は 1 0

、20

代 で は全体 の

56%

で あ るの に対 し、

30‑60

代 で は全体 の

70‑80%

を 占めて いた。 この こ とか ら年 代 が高 い ほ ど本麹漬 けを好 む傾 向の あ る こと が分 か った。

また、 「 新 たな発 酵食 品 と して の あ ま ご麹漬 けに対 す る評 価 」 を求 め た と ころ、 「非 常 に よ い」 また は

「よい」 と答 えたパ ネ ラー は

78%

で あ り、 とて も高 い 評価 を得 た。高 い評価 を したパ ネ ラーの割合 は、年代 別 にみ る と

、 1

0代

、 20

代 はそれぞれの年 代 の

70%

を 占め

、 30‑60

代 で は全体 の

80%

か ら

90%

近 くを 占め て いた。 また、 逆 に、 「悪 い」 また は 「非常 に悪 い」

と低 い評価 を したパ ネ ラー は全体 の

4%

で あ り、 その 自由記述 には 「 魚 が苦手」 や 「 発酵食 品が苦手」 とい う意見 が あ った他 には、 「塩 味 ・酸 味 が強 か った」 や

「 生 臭 みが気 にな った」 な ど本 麹漬 け 自体 の味 や風 味 が 白身 の噂好 に合 わなか った とい う意見 があ った。

り 色 感 み 味 味 味 味 合 香 食 臭 酸 塩 甘 ま 総

I I

l

l l

l■‑ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ‑ .

l

■ ‑

l

l

■ 1 [コ2 [コ3 [コ4 [コ5

6‑ 1

絶対評価 ( 識別)

「 弱い」を

1

、「 どちらでもない」を

3

、「 強い」を

5

として回答。

り 色 感 み 味 味 味 味 合 香 食 臭 酸 塩 甘 ま 総

l

‑■■‑■

l一■

llllllllllllllllllllllllll

【■

1■■『

l■

l

■ 1 [コ2 [コ3 [コ4 [コ5

6‑ 2

絶対評価 ( 噂好)

「 嫌い」を

1

、「 どちらでもない」を

3

、「 好き」を

5

として回答。

4.

要約

本研究 で は新 たな加工食 品の開発 と して、馴 れず し の中で も食べ やす い と考 え られ る 「麹漬 け」 の発 酵食 品を検討 した。麹漬 けにつ いて は本 漬 け期 間、茶 の利 用 な どの条件 を変 えた

3

種類試作 し、分析 ・比較 した。

また官能検査 を実施 し、成分 と噂好 の関係 につ いて も 調査 した。

(1 )本漬 け期 間が長 くな るにつ れ、一般生菌数、遊離 ア ミノ酸量、 また は コハ ク酸量 が増加 した。官能検 査 で は香 りは抑 え られ、食感 は柔 らか く、甘味 は強

く感 じるとい う結果 が得 られた。

(2)

麹床 に茶 を添加す ることで一般生菌数、遊離 ア ミ ノ酸量 が減少 した。官能検査 で は酸味 は若干抑 え ら れ、香 りや生臭 みが減少 した と有意 に認 め られた。

(3)

麹漬 けの絶 対評価 では特 に香 りと食感 、 うま味 の 項 目で高 い評価 を得 た。 本 麹 漬 けにおいては酸 味 と 甘 味、 うま味が強 く、 生 臭 み と塩 味の弱 い ものが好 まれた。 また発 酵 食 品の食 歴 がある人 、 または年 代 が高 くなるにつれて本 麹漬 けを好 む傾 向にあった。新 たな加工 食 品 としてのあまご麹 漬 けを 「非常 に良 い」

または 「良 い」 と評価 した人 は全体 の

78%

を占めた。

本 研 究 は、 平 成

20

年 度 度 会 町 との共 同研 究 事 業

「日本一 の清流 ・宮 川 か らの恵 み を生 か した食文 化 ル ネ ッサ ンス事 業商 品試 作研 究」 の一 環 と して行 った。

引用文献

1)

藤井建夫 :「 魚の発酵食品」、㈱成 山堂書店

、 132‑144 (2000)

2)

藤井建夫 :「 魚の発酵食品、」 ㈱成 山堂書店

、 90‑91 (2000)

製法 と旨味」 、恒星社厚生閣

、71‑98 (1992)

4)

藤田哲 ら編 :「 食品機能性の科学」、㈱産業技術サー ビ スセンター

、323‑327 (2008)

5)

京都大学農学部食品工学教室編 :「 食品工学実験書 ( 下

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、310 (1991)

6)

室香鈴、角野猛 :「 市販はたはたず しの諸成分 と微生物 について」 、 日本食生活学会

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、 18、 145‑

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8)

厚生労働省 :「 食品、添加物等の規格基準」昭和

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日厚生省告示第

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号、改正平成

20

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日 厚労告第

296

9)

「 新食品成分表五訂増補」一橋出版

㈱ (2007) 10)

塚本研一、戸松誠、熊谷昌則、保苅美佳、戸枝一書、

船木勉 : 「 秋田県産ハタハタず し製品の成分 と官能評価」 、

秋田県総合食品研究所報告

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図 1 遊離アミノ酸量に対する本漬け期間の影響

参照

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