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スギ花粉内在性β-glucan によるI型アレルギーへの影響に関する研究

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Academic year: 2021

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BG は病 原 体関 連 分子 パ ター ン の 1 種 とし て 知ら れ る多 糖 であ る 。 BG は 哺 乳類 で は Dectin-1 な どの 受 容体 を 介し 免 疫 に作 用 する こ とが 知 られ て いる 。 また 、 BG に 反 応 す る 分 子 は 様 々 存 在 し 、 カ ブ ト ガ ニ の リ ム ル ス Factor G や 昆 虫の-glucan recognition protein (BGRP)な どが 報 告さ れ てい る 。 そ こ で 本 研 究 で は 花 粉 症 発 症 に お け る 花 粉 中 の BG の 影響 を 解 析す る こと を 目的 と し 、 新 規 の 遺 伝 子 組 換 え BGRP (supBGRP) の 活用 法 を検 討 し た( 第 一章 )。さ ら に ス ギ 花 粉 中 の BG の 局 在 を検 討 し 、in vitro お よ び in vivo で ス ギ 花 粉 の 中 の BG の 免 疫 へ の 作 用 を 明 ら か に す る こ と で BG の スギ 花 粉症 発 症へ の 関与 に つい て 検討 し た ( 第 二 章 )。

第 一 章 : 新 規-glucan recognition protein (supBGRP) の応 用 に関 す る 検討

BGRP は由 来 する 昆 虫の 種 類に よ り反 応性 に 違い が ある こ とが 報 告さ れ てい る。本 研 究 で は BG の 3 重 螺 旋構 造 に対 し て 反応 性 の高 い 数種 の BGRP の BG 結合 ドメ イ ン の ア ミ ノ 酸 構 造 を 比 較 し 、 由 来 種 間 で 保 存 性 の 高 い ア ミ ノ 酸 配 列 を 基 に し て 作 製 さ れ た supBGRP の 特 性 と利 用 法に つ いて 検討 し た。 第 一 節 で は supBGRP の 特 性を 明 らか にす る ため に 液性 、 温度 処 理に よ る結 合性 の 変 化 に つ い て 検 討 し た 。supBGRP は 、pH 0 から 13 の 範囲 で 、ま た 温度 は -20℃ か ら 90℃ の範 囲 で活 性 を失 わ ず、天 然 型の BGRP 並 びに マ ウス Dectin-1 よ りも 高 い安 定 性 を 示 し た 。 ま た supBGRP は分 岐 頻度 が 3:1 以下 の(1->6)- -側鎖 を 持 つ BG に 対 し て 特 異 的 に 反 応 し 、 マ ウ ス Dectin-1 と 類似 の 反応 特 異 性を 示 した 。

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裂 内 容 物 と に 分 画 し た 。 分 画 物 を マ ウ ス Dectin-1、 BmBGRP(カイ コ 由来 BGRP)及 び supBGRP を 用 いて 染 色し て BG の 局在 に つい て 顕微 鏡 で解 析 した 。 また 、分 画 物 中 の BG を 水 及び dimethyl sulfoxide (DMSO)で 抽 出し 、 supBGRP を応 用し た EIA で BG 含 量を 測 定し た 。そ の 結果 、破 裂 内容 物 中に は 特に 多 く BG が 含 有さ れ て い た が 、 単 純 な 花 粉 の 破 裂 で は BG は 検出 さ れな か った 。 一方 、 花粉 外 壁 の BG は 破 裂 に よ り 露 出 し た(Fig. 1 A)。こ の 破 裂に よ り露 出 した BG は 免疫 電 顕に よ る検 討 の 結 果 か ら 花 粉 壁 外 壁 の ネ キ シ ン 層(NE)の走 行 に沿 っ て存 在 して い た (Fig. 1 B)。 第 二 節 で は マ ウ ス 骨 髄 由 来 樹 状 細 胞 を 野 生 型 マ ウ ス(WT)と Dectin-1 KO マ ウス (KO)から 誘 導し 、in vitroに て 花 粉 分 画 と 共 培 養 し 、 培 養 上 清 中 の サ イ ト カ イ ン 産 生 を 比 較 し た 。 未 熟 な 樹 状 細 胞 は ス ギ 花 粉 そ の も の と の 共 培 養 に よ り TNF-を Dectin-1 依存 的に 産 生し た 。花 粉 画分 間 で の 比較 で は、 外 殻画 分 との 共 培養 に よ り Dectin-Dectin-1 依 存 的 に TNF-を産 生 する の に対 し 、 水 溶 性画 分 及び 破 裂内 容 物と の 共培 養で は TNF-の 産生 は 見ら れ なか っ た。

Fig. 1. The localization of BG in the Japanese cedar pollen (JCP). (A) Comparison of BG exposure between ruptured and unruptured JCP stained with Dectin -1. (B) Sporoderm of JCP stained with BmBGRP and colloidal gold.

(A) Unruptured and ruptured JCP was stained wi th biotinylated Dectin -1 and streptavidin alexa fluor 647. Staining was pointed with white arrow. (B) Sectioned JCP stained with BmBGRP, anti-BmBGRP polyclonal antibody and colloidal gold conjugated anti -rabbit IgG. The figure focused into the sporoderm. The colloidal gold accumulation was pointed with black arrow in nexine (NE) and with white arrow in intine (IN) and sexine (SE).

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粉 を 7 週間 、 計 13 回経 鼻 投与 し 、誘 導 さ れ る 免 疫 反 応 に つ い て WT と KO を 用 い て 比 較 検 討 し た 。 投 与 最 終 日 に く し ゃ み 回 数 を 比 較 し た と こ ろ WT の 花粉 単 独投 与 群 (JCP)は Alum ア ジュ バ ン ト に よ る 前 感 作 群(Alum)と 同等 のレ ベ ル ま で く し ゃ み 症 状 が 誘 導 さ れ た 。 一 方 、KO で は JCP は Alum に 対し 症 状 が有 意 に 抑制 さ れ て い た(Fig. 2)。 ま た 、血 中の total IgG、 total IgE、 アレ ル ゲン 特 異的 IgG 及 び IgE を 最 終 投 与 翌 日(day 43)に 測定 し たと こ ろ、 KO で は 有 意 に 抗 体 価 が 低 下 し た(Fig. 3 A)。 ア レ ル ゲ ン 特 異 的 IgG の 経 時的 変 化を JCP 間で 比 較 す る と WT で は投 与 開始 3 週目(day 21)か ら抗 体 価が 上 昇し た が、 KO マ ウス で は投 与 開 始 6 週 目(day 35)まで 抗 体価 の 上昇 は 抑制 さ れた (Fig. 3 B)。

Fig. 3. The JCP allergen specific immunoglobulin titer in ser a of JCP administered mice. (A) JCP specific IgE and IgE titer on day 43. (B) The chronological change of JCP specific IgG titer in JCP group.

(A) JCP specific IgE and IgG titers in ser a on day 43 were measured with ELISA. Data are representative of at least three independent experiments. Comparison with each mouse by t -test. **: p ≤ 0.01. (B) The chronological change of JCP specific IgG titer in JCP group. Blood samples were collected on day 0, 7, 14, 21, 28, 35 from orbital under anesthetic. Samples on day 43 was collected by cardiac puncture. Data are representative of at least three

independent experiments. Comparison with each mouse by t-test. *: p ≤ 0.05 **: p ≤ 0.01.

ま た 、 採 取 し た 脾 臓 細 胞 を 花 粉 に よ り 二 次 刺 激 し サ イ ト カ イ ン の 放 出 を 確 認 し た と こ ろ Alum で は 花粉 に よる 二 次刺 激 で WT、KO 共 に Th2 サイ ト カイ ン の 一つ で ある IL-13 の産 生 が 見ら れ たが 、 JCP で は WT で のみ 有 意な IL-13 の 産生 が 見 られ 、 KO は ほ と ん ど 産 生 し な か っ た 。 以 上 本 章 で は 免 疫 賦 活 作 用 を 持 つ ス ギ 花 粉 中 の BG は主 に 花 粉外 壁 のネ キ シン 層 に 含 ま れ 、 破 裂 す る こ と で 露 出 し 、Dectin-1 を 介 して 樹 状細 胞 を活 性 化す る こ とを 明

(A)

Fig. 2. Sneezing frequency of JCP administered mice.

Five weeks BALB/c mice (wild type (WT) / Dectin-1 KO(KO)) were allocated into 3 groups. (n=4-6 per group) NT group was internasal (i.n.) administered with saline. JCP group was i.n. administered with 200 g of JCP per administration. Alum group was pre -sensitized 7 days before administration with 4 mg Alum adjuvant and 1 mg JCP i.p. injection and i.n. administered 200 g of JCP per administration. Mice were administered twice a week for 7 weeks. Sneezing was counted for 3 mins after 13th administration. Data are representative of at least three independent experiments. Comparison with each group by Steel-Dwass test. *:

p ≤ 0.05, **: p ≤ 0.01, ***: p ≤ 0.001

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ら か と し た 。 さ ら に マ ウ ス に ス ギ 花 粉 を 継 続 的 に 暴 露 す る と 、 抗 原 特 異 的 な 免 疫 グ ロ ブ リ ン 産 生 及 び T 細 胞に よる Th2 サ イト カ イン 産 生が 促 進さ れ 、そ の 作用 に Dectin-1 が 関 与し て いる こ とを 示 し た。 総 括 ス ギ 花 粉 の 外 壁 に BG が 潜在 す るこ と が BG 結 合性 タ ンパ ク 質の BGRP や Dectin-1 の反 応性 か ら明 ら かに な った 。 ま た 、ス ギ 花粉 の 外壁 の BG は破 裂 によ り 露出 し 、 Dectin-1 を 介 して 自 然免 疫 系を 賦 活 化さ せ るだ け でな く 、ア レ ルゲ ン 特異 的な 免 疫 グ ロ ブ リ ン 産 生 や サ イ ト カ イ ン 産 生 を 促 進 さ せ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 本 研 究 は 、 ス ギ 花 粉 特 異 的 な 免 疫 反 応 の 誘 導 に お け る 花 粉 内 在 性 の BG と そ の 受容 体 Dectin-1 の 重 要 性 を 明 ら か に す る と と も に 、 ス ギ 花 粉 症 の 主 原 因 と な る ア レ ル ゲ ン 特 異 的 IgE 産 生 の 新 た な 誘 導 経 路 を 示 唆 す る も の で あ る 。 本 作 用 機 序 に 基 づ き 新 た な 花 粉 症 治 療 法 が 開 発 さ れ る 可 能 性 が 期 待 さ れ る 。 【 研 究 結 果 の 掲 載 紙 】

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論文審査の結果の要旨

花粉症は本邦で最も患者数の多いアレルギー疾患で、主な原因植物はヒノキ科スギ亜科スギ属 のスギ(Cryptomeria japonica) である。スギ花粉症の発症には、スギ花粉アレルゲン特異的な IgE 等の抗体産生が関わっているがアレルゲンの感作のみでは特異的な免疫反応は強く誘導されず、 なんらかの免疫賦活作用が必要であると考えられている。-glucan (BG)は、微生物、植物、環境、 食品などに広く分布する多糖であり、特に微生物由来のBG は感染免疫、腫瘍免疫ならびに自然 免疫の分野で多くの研究がなされてきた。花粉は-glucan (BG)を含むことが知られているが、こ のBG の花粉症との関連性についての検討はされていない。そこで本研究では花粉症発症におけ る花粉中のBG の影響を解析することを目的とし、新規の遺伝子組換え BGRP (supBGRP) の活 用法を検討し(第一章)、BGRP を用いてスギ花粉中の BG の局在を検討し、in vitroおよびinvivo でスギ花粉の中のBG の免疫への作用を明らかにすることで BG のスギ花粉症発症への関与につ いて検討した(第二章)。 第1章 supBGRP の pH および温度安定性、ならびに至適反応条件について、BG の結合性を もとに検討したところ、pH 0 から 13 の範囲ならびに-20℃から 90℃の範囲で活性を失わず、高い 安定性を示すことを見出した。またsupBGRP は分岐頻度が 3:1 以下の(1->6)- -側鎖を持つ BG に対して特異的に反応し、マウスDectin-1 と類似の反応特異性を明らかにした。次に supBGRP の応用面について検討し、免疫賦活物質として汎用されているBG の定量、真菌細胞壁の免疫染色、 アフィニティークロマトグラフィーの固相化担体として応用できることを見出した。 第2 章 スギ花粉中の BG の局在について検討するため、スギ花粉を弱アルカリ性の水溶液に より破裂させ、密度勾配遠心にて花粉外壁からなる外殻と、花粉内壁、生殖細胞及び花粉管細胞 の3 成分を含む破裂内容物とに分画した。分画物を mDectin-1、BmBGRP(カイコ由来 BGRP) 及び supBGRP を用いて染色し BG の局在について顕微鏡で解析した。また、分画物中の BG を 蒸留水及びDMSO で抽出し、BG 含量を測定した。その結果、破裂により露出した BG は花粉壁 外壁のネキシン層(NE)の走行に沿って存在していることを明らかにした。 次に、マウス骨髄由来樹状細胞を野生型マウス(WT)と Dectin-1 KO マウス(KO)から誘導し、in vitroにて花粉分画と共培養し、培養上清中のサイトカイン産生を比較した。未熟な樹状細胞はス ギ花粉ならび外殻画分の添加によりTNF-を Dectin-1 依存的に産生したが、水溶性画分及び破 裂内容物との共培養ではTNF-の産生は見られなかった。成熟樹状細胞においては、外殻画分ま

たは破裂内容物との共培養でIL-6 産生が認められ、前者は Dectin-1 依存的、後者は Dectin-1 非

依存的であった。

マウスにスギ花粉を繰り返し経鼻投与し、誘導される免疫反応についてWT と KO を用いて比

較検討した。投与最終日にくしゃみ回数を比較したところWT の花粉単独投与群(JCP)は Alum

アジュバントによる前感作群(Alum)と同等のレベルまでくしゃみ症状が誘導された。一方、KO

では症状が抑制された。また、血中のtotal IgG、total IgE、アレルゲン特異的 IgG 及び IgE を

最終投与翌日に測定したところ、KO では有意に抗体価が低下した。また、脾臓細胞を花粉によ

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Fig. 1. The localization of BG in the Japanese cedar pollen (JCP). (A) Comparison of BG  exposure between ruptured and unruptured JCP stained with Dectin -1
Fig.  2.  Sneezing  frequency  of  JCP  administered mice.

参照

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