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(1)

ーJβJ−  

貿易理論と総供給函数  

宮  田  亘  朗  

1  

われわれは以前Keynesの総供給函数K・関して種々の論争を纏めEeynesの意図した   ものを見出し,Keynesの「貨幣論」における取扱いを参考にしながら消費財産業および  

(1)  

投資財産業の二部門における夫々の個別的な総供給函数を導出した。そしてそれらはト  般理論」における総需要函数の消費需要仇と投資需要か2に対応するものとみたのであ   る。かくして総需要函数か1とか2,総供給函数ZlとZ2の各々の交点において,消費財   および投資財の生産鼠,雇用水準ならびに夫々の価格水準が決定されるものと考えたので   ある。   

投資財産集および消費財産業のこ生産部門間の関連は総需要を通じるものと総供給を通   じるものゝニつが考えられた。前者ほ限界消費性向を一足とすれば,投資財部門での投資  

需要増加△か2(独立的性格のものとする)が消費財部門での総需要をて壬㌻  △か2だけ   増加せしめる点に見出された。その結果両部門の相対価格の変化ほ,両部門の総供給函数  

迫  _ 【 

入・(首−1)によって与えられたのであ憲ノミし  

を不変とすれば,   △P2(1一β2β柁2)  

(1)拙稿け・M・Eeynesの総供給函数と価格水準」竜谷大学経済学論集 筋3巻第2号。  

(2)上掲拙稿では次のようになっている。  

仝毀_=(1璃2)  

△Pl (1−βα1)   ÷・(喜一1)  

しかしこゝでは麓の比をとった0乗に生産の弾力性矩=昔・T落と総供給  

意・昔の関係は次のようである。Keynesの生産の弾力性βぉの  

函数の弾力性β=  

申にある有数需要かおよびdβほわれわれの総供給ZおよびdZと−・見異なるもの.」  

如ぐであるけれども,有数需要のそれだけの変化は背後紅同額の総供給額の変化を含ま   ねはならない、しかも総供給函数にレフトがないものとすれは,結局Keyhesの仇けほ  

当概問題に関して−はわれわのdgと同一・であると云いうる。したがって吼がこ沌.空▼.   

ズ  

dX 寺軒=ββ乃となる0故にこゝではβ鑑の代りにββ乃をもって示した0   

(2)

第37巻 第1号  

一jβ2−  

たがって両部門の相対価格水準ほ,初期の所得水準,消費性向および生産の弾力性(.♂1β如,  

g2β乃2)に.依存し,総所得に占める消費財産業の初期の所得が小なるはど,消費性向が大な  

(き)  

るはど,消費財の生産の弾力性が小なるはど益々飛離して行くことゝなる。後者の総供給  

函数を通じる二部門の関連は貨幣利潤率の二部門㌢こおける変化によってもたらされる資本   の漸l日間移動によって生じた総供給函数のレフ=こ見出された。即ち総供給函数の弾力性  

(4) が1より大なる限り要凰費用当りの利潤ほ増加するのである。  

(5)   

以上の総供給函数は次のような仮定の下紅導出された。(イ)閉鎖経済(ロ)資本設備,技   術,人口ー・定の短期分析 H完全紛争(ニ)限界生産力説にもとずいて(ズ′>0,Ⅹ′′く0,  

ズ′′′く0と考え)そして貨幣賃金を一億とみて,各企業は利潤極大となるよう行動する,  

帥各企米ほ労働のみの生産費累によって,消費財・投資財二稀類せ生産するものとなす,  

M純生産物のみを取扱い,使用者費用の循環を無視する,(ト)各部門の個別的総供給函数ほ   その部門の労働ゐ誘因性にしたがってⅣ軸に垂直となる。  

【3jこの点は正確に示すと次のよう紅なる。この点について上掲拙稿においても明言して   いないのでこ⊥に附言する。  

(i)Pl′矩0・y/yl>1故に(喜一1)>0,0く辛く1なる以上入>0  

(ii)−う温く0即ち互に変動方向を逆紅する場合ほ卿ちββね)の両部門のどちら   かゞ1より大となる時のみである。  

(iii)価格不変即ち△Pl===0のときは,少くとも宛1=1く即ちβ1侮1=1),ぐニ0,ア1の   割合が大であることの申どれかが生じた場合である。後の二者の生じる可能性は少   なかろう。  

(iv)△Plと△P2、が平行する場合,Pl=ク2,入坑=ylとすれば両産業の生産の弾力性   が等しい時のみである。  

(Ⅴ)もし入y2=yl,ク1=ク2なら生産の弾力性紅依存して相対価格は変化する。また   もし入坑キyl,Pl=P2なら初期の所得中に占めるylの割合小なるはど,消費性   向大なるほど,消費財生産弾力性小なるはど△Plと△P2ほ帝都すること」なる。  

牢 

14I上掲拙稿でほ与(篇‥喜一1)′(紺岬となっているが落首−1)′(刷  

__  

d.Ⅳ2  

の誤りである。また同種の誤りは57貰にある。Zの二次微分ほ  

Ⅹ(Ⅹ′)2ズ′′′+2Ⅹ Ⅹ′(ズ′′)2  

と改めるべきである。たゞしこれらの誤りは   ソトほ2個所碓する065鋤錮昔  

=  

(Ⅹ′)4  

本文の主旨に周係ない。その他ミス・プリ  

憲一・各とあるのは一芸・−窟であり,舶(6)入=土L=⊥−1とあるの  

は−L=」二L−一⊥−・1である。 入CC  

(51資本設備の変化ほ二部門間資本移動によるZ曲線のシフトとして後に導入する。   

(3)

貿易理論と総供給函数  

ーJ3g−   

ユ33  

地方総需要函数についてほ一■次函数を仮定し,したがって限界消費性向を一億とした。  

(6) しかもその限酎肖資性向は貨幣タ」ムで肥えられた0  

荘eyne$の総供給函数ほ物理的に考えられた限界生産力に依存すると云うよりも,高度   匹予想要因に支配されたものである。浮動性の強い総供給函数を上記のように規定するこ   と匠少なからず疑問を感じるけれども,われわれは以下の議論においても以上の仮定の大  

部分を継承し,開放体系における乗数分析に総供給函数を導入してみようと思う。と・の場合   瓦eyneSの所得分析を開放経済に適応したHaIⅠ・Odの理論を考察するのが便利であろう。  

(7)  

以下、ⅥaIⅠOdの貿易理論を纏めながら,それに総供給函数を導入して行こう。  

2  

HarIdの国際経済理論では周知の如く Ⅹeynesの乗数による所得理論を開放体系把   まそ拡大し∴国民所得は賠償・贈与などの一方的支払を除けほ,   

y=  (β+g)  

(1)  

によって規定されるものとした。この場合 抑金本位制度あるいほ固定為替相場,(ロ)国内  

(8) 生産要素の貨幣報酬率,国内生産蜃素の能率,更に外国の価格構造等所与,H固定およ  

(g) び流動資本への在荷要求所与,H国内貯蓄・輸入・消費の各性向(ざ,椚,C)所与等の仮  

(10)  

定が存在する。このうち(ロ)は輸出額Eを,Hは国内の流動・固定資太在荷増加販売か  

し111 らの所得額gを決める。国際収支差額は輸出額より消費・投資両財の輸入額を差引いた  

(12)  

Ⅹ−(桝y+‰)雲0として表わされる。そして−その不均衡ほ∫y≧+‰すなわら貯蓄の  

(6)Ⅹeynesianでほ通常消資性向はリアルで規定されている。もしリアルな限界消費性    向を−・定とするなら,貨幣ター・ムで表わした消費性向は相対価格が変化するとき必然的    に変化しなければならない。しかしこゝでほ以下も同様に議論の複雑化をさけるため貨    幣タームで消費性向を競走し,それを−・定としよう。この点に関して,篠原≡代平・宮   

沢健・−‥水野正一・共著′「国民所得乗数の拡充」第四茸『実質所得乗数と貨幣所得乗数』   

参照  

(7)Harrod,R・F・,InteInationalEconomics,1959.を中心紅して考察する。  

(8)外国の価格の中には世界共通の価格が成立する商品以外の製造品および固定設備,宏   庭用役等への需給をも考慮に入れている。  

(9)HarrOdの記号と異なるが,便宜上統一・した。  

(18卜輸出入とも原料品を含む。  

す=C+思+∬・y= y十紺・5y,C=Cy,∴y=よ(且十∬)=去−  (由軋  

E≧椚y−1−‰,沼y+5y=斤+βの両式より導出。   

Ⅵ‖︻︑〟Ⅵ叫  

nu∴㌧川u  

(4)

ーJ3イー  

第37巻 第1号  

一一部の国際投資‰としての使用,他の一部の(5y−(∬+‰)≧0)金保有増またほ減と   しての使用に示されるのであると。   

このHar工Odの式をわれわれの貨幣的経済循環の構図にあてはめてみると,第∵、図に   示されるようなものとなろう。第⊥・図は当該国を中心として経済の貨幣的流れをみたもの  

(13)  

である。開放体系においては各企業がそれに.よってそれだけの雇用を提供するに.まさに伯  

(14)  

すると予想する売上期待額すなわち総供給価格は消費・投資雨期の輸出からうる売上期待   額を含めたものとして考えらればならない。各企業ほある売_L期待をもっで労働者を雇い  

生産を開始するとしよう。その企業紅対して,兜ず外国の輸入需要および国内の投資需要   が買い向うであろう。したがってそこに生産および販売を通じて最初の貨幣国民所得が形   成される。この所得は国内消費需要および貯蓄更に輸入需要に三分される。輸入需要は外   国の消費財のみならず投資財への需要を含み当該国の所得形成から脱落する。貯蓄ほ不活  

(15)  

動残高として金融的流通に入り,既存の資産と合して流動性速好によって利子率を決め,  

(18) 資本の限界効率との関係で投資諸費として活動貨幣に復帰する。そしてその投資需要ほ投  

第一・図   当国輸入需要  

・†   

金の流入    寸  

† 賢箪「二転戸を■ 

Ⅳ 

﹁.1.−︐︐−L   金融的流通  

〃2  

(2)  

 ̄ ̄ ̄  ̄ ̄サ ̄ ̄  ̄ ̄一J   (Ⅳ1)  

y  

r…−−−−しT−−−r  

_  

埜ご  

」  ■‥‥  .  

■■  

外国の輸入  

需要(当国輸出)  

(13)HaI− Odのy,C,且先桝,5,C等すべてリアルで規定されているが′,前節同様わ    れわれは貨幣タームで規定しよう。なお前節脚註(61参照  

(14)Ⅹeynes,J・Mり,GeneralTheoryofEmployment,InterestandMoney,1936,p2年  は9 貯蓄の利子弾力性は小さいとされる。  

(16)限界効率以外にHa=・Odは資本入手の雉易をも考慮している。(後述)   

(5)

貿易理論と総供給函数  

ーJ∂5−  

資財生産部門の新たな所得を形成する0他方国内消費需要は消別の購入を通じて第2次   の所得を形成している0これらの所得ほ再び消費・貯蓄・輸入に分割されて第3次の所得   を形成する0かくしてこの波及過程ほ繰返される。そしてこれらの総ての過程を考慮し   て,企其の期待売上額と企業に馴、向った需要額が一激するとき,総国民所得は決定され   る。もしそこに不均衡が存在すれば,供給の増大あるいは在庫量の増加(またほ価格変   動)として表われ,所得水準ならびに雇用水準の変動によって応じられるのである0以上の  

ような循環過程を方程式化したものがHaI−工Odの(1凪であと云い得よう0かくしてわれ   ゎれはHaIIOdのモデルに総供給函数を導入することが出来たのである0  

さてこのような循環ほ第一節で明記したように使用者費用の循環を除いた純貨幣国民所   得を形成する貨幣の循環のみを取り扱ったものである0したがって輸出入を含めた循環に   おいても同一・の原則が守られていねほならないであろう。いま補填投資の貨樽的循環の− 

部が輸入品の購入に向かい,それによって機械の消耗を補なったものとし,他に−・切の輸  

入がないものとしよう0か」る場合純貨幣国民所得は消泳および貯蓄に二分割されるに・す  

し1J、  

ぎない。レたがってy=〉一−(E+∬)となるはずである。しかるに国際収支ほ且一軋と  

(18)  

なり補填投資部分が差引かれねほならないであろう。ところがHaI工Odの収支は属−(沼y  

十‰)によって示され,∬およぴ‰を国内の資本附加の増加観であるとしている。こ  

れは明かにわれわれのような特殊な場合を無視していることな示すのである。したがって   通常の場合の収支ほHaIⅠ・Odの示すものよりも輸入額が大きくなるものと知らねほなら   ないであろう。Ha工ⅠOdの収支が正当である場合ほ使用者費用の循環からの輸入への流れ   を国内消費および貯蓄性向によって相殺しうるときのみであろう。(ところで開放体系に  

おいては,国民所得の決定とならんで国際収支が劣らず重要な問題となろう。したがって   閉鎖体系と同一Lの原則を守って,使用者費用の循環から輸入への流入に.よって生じる純貨   幣国民所得循環の撹乱を無視することほ,甚だ疑問と云わざるを得ない。)   

Har工■Odほ金流入の放呆を論じて−経済の流動性を増大せしめ,それの利子率への影響,  

産米の資金入手の難易・投資家の利子感応性等を通じて,投資支出を刺戟し経済の活動水  

準を高め国民所得を上昇せしめると云・う。そしてこの所得の上昇によって一輪入を増加せし   め出超傾向を是正しうるのであるとみる。したがってHaIⅠOdによれば金流入はこ.のよ   うな径路のはか価格・賃金を上昇せしめないのである。価格水準の上昇を引起し,輸入性  

粧消費性向ほこのため増大することゝなろう。けれどもこれは別の問題である。  

α8)−・応輸出についてはかゝることは問題にならないであろう。   

(6)

wJ36−  

第37巻 第1号  

向を増加せしめて輸入額増大に導くと考える古典的径路ほ所得水準の増加の径路を経て始  

(19) めて開始されるのであると。   

以上のことは,われわれの第一・図でみると金の金融的流通へ・の流入と考えることが出来   るであろう。金をより−・般的に拡大して外貨と解するならば,国際的資本移動との関連で  

(2つ) 興味ある事績が生じる。NuIkseにみる如く通常資本移動ほ貨幣的購買力の国際的移転と  

(21)  

して記述され,たゞちに.国内生産財への需要増加としで現われるものとされている。した  

がってその需要増加が国内品紅なされようと国際品になされようと完全雇用の下でほ国内  

\ご=I  

需要の充たされざる部分が生じ,輸入品購入増加となって現われねばならないこ.と.」な   る。しかしながらか・」る貨幣的購買力が金融的流通において用いられ,しかも投資需要と   して活動貨幣に復帰しないなら,このような必然性は起り得ないと云うことになろう。さ  

らにまたたゞらに需要増大として現われたとしても,それが消費財に向うか,投資財に向   うかによって一・国紅与える影響憬異なるであろう。要するに貨幣的購買力が経済裾環のど   の局面に流入するかと云う事が国際資本移動において,国際品,国内品の分類以上に重要   なことのよう阻思われるのである。   

さて第一・図において輸入額ほ輸入性向を−・走とすると国民所得の大さに依存することゝ  

なっている。他方輸出額は外国の輸入であるから,外国の所得に依存することゝなろう  

(ともに為替相場は.−・定とする)。HaI・ⅠOdによるとこのこ.とはともに貿易の患に関係した  

..(2$)  

ことであっ七,貿易の方向に.杓わらないと云う。貿易の方向はいわゆる比較法産贋原理匠  

(24)  

よって主として規定されるのであると。すなわち輸出紅関係する生産要素の能率,貨幣報   酬率および外国の価格構造等は.この比較生産費原理から導かれたものである。Ha工ⅠOd忙  

(19)Harrod,RりF・,InternationalEconomics,1959,pl134古典的径路は価格上昇のた    め国内需要が減じ,外国品輸入需要が増加することであり,したがってこ鯛の増大であ   

ってyの変化では.ないのである。  

佗O)Nurkse,R.,InteInationaleKapitaibewegungen,1935,増井・傍島訳rヌルクセ資    本移動論」  

飢 拙稿「均衡為替相場に就いて」大泉行雄博士還暦論文某所収。なおKindelbergeI    CりP.,InternationalShort−TermCapitalMove皿entS,1937では不活動残高と瘡動頻    高との資金の流出入をKeynes「貨幣論」紅したがって取扱かっているがなお不充分で    ある。  

(2辺 勿論相対価格が変化した結果である。  

朗IHaI・Ⅰ・Od,R.F.,ibid.,pl3  

(2亜 主としてと云う意味は生産費曲線の勾配如何で貿易愚に変動が生じることが比較生   

柴原理より結論しうるからである。   

(7)

芦易理論と総供給函数  

−ヱ37−  

よるとこの原理は次のように表わされ  

る。いま自国のA商品−・単位と同じ生産  

賞を要するB商品をB商品一・単位と定め  

て,貿易前の外国の生産費をみると第一  表の如くなったとする。か⊥る場合自国  

はβ品を輸出しA品を輸入するのが有利  

とな岡隠匿して多数商品の場合をみ  

ょう。第二表においで比較生産費原理に  

(26)  

したがって貿易が行なわれ,仮りに・D品   がどちらへも輸出入されずに貿易が均衡   したものとしよう。そしてズ,,γを各国  

(27) の−・労働日の価格とみるなら,その時   

炉3.γすなわち自国労賃は外国の三倍であることを要しよう。もしこの比較生産費原理の  

示す三倍の報酬が満されないなら(例え.ほ∬=2,.γ=1)D品蛸出され,自国の輸出超  

(28)  

過をもたらすことゝなる。かくしてHaI■【Odほ各国の生産要素の能率・貨幣報酬が与えら  

れたものであることを条件として上記の乗数の方程式を提示したのである。すなわら輸出   入品が既に定められ,能率と報酬が−・定の関係を保って動かないことを条件に輸出入は所  

得に依存するとし汽のである。  

3  

前節においては主に生産要素の能率および貨幣報酬率が一億であり,供給の価格弾力性   朗 HaIⅠOdの貿易利益について−の考えは.通常の比較生産費原理と変らない。たゞ生産要   

素の相対価格が変化する場合HaIⅠOdのような商品単位の取り方をすると利益の計静の    困粘が生じると指摘する点異なる。  

側 比較生産費原理については私は否定的考えをもっている。特に.このような多数商品の   

導入の場合にはどれを輸出入するのか不明である。この原理への詳細な批判は拙著「国    際的貨幣グェ−ル観」を参絶して頂きたい。こ・」でほこの原理が妥当するものとして論    述している。  

爾 必ずしも労賃をとる必要ほなく,HafrノOdによれば両国で貿の異なるものでも点いと    云う。  

那卜技aI・IOdほ報酬が平均能率に−・致するとき収支均等であると云う。平均能率とはある   か商品があってこれより大きい能率の商品を輸出し,他を輸入するとき収支均等となる    ような場合のか品の能率を云う。   

(8)

ーヱββ−  

第37巻 第1号  

(29)  

は不完全雇用の仮定とともに無限大であると考えられていた。このことはHaIIOdが生産   費素の貨幣報酬率を引下げた時の効果を考察する場合に出てくる。そこにおいて−HaI・ⅠOd   ほ.供給の価格弾力性を無限大として需要の価格弾力性が充分に大きくなけれぼ収支改善ほ  

\こ;l■\  

望み得ないと論じたのである。輸出鼠およびその価格をともに一光で表わし,貸幣報酬の切  

下げ紅よって輸出価格の以前の価格の÷の軒下げを可能れうるものとすれば,輸出よ  

(31)   (32)  

りの利益は・句d(方鵬1)−・方となり仁輸入よりの利益ほ.昂掴・、打となる。かくして両国の供  

給の弾力性を無限大とする志㌍支政談・E′d(÷)職、>1で示される抽したが  

わねばならぬと云うのである。   

ところでHa工ⅠOdほ比較生産費原理を詳述したところで,それと貿易利益との関連で  

し35〉  

生産量とともに逓増する生産費を考え,下表のようになるとのべたのである。この場合需   要側の効果を無視するため自国と外国の生産恩の変動は互に相殺され総生産愚は不変なる  

ものとし,しかも各国の生産量変動と同一割合で生産費が変化するもゃとみている。進ん   第三表  

(29)HaIⅠOdは比較生産費原理において必ずしも費用不変を仮定していない。しかしわれ    われほ前節では一応費用不変としてのべた。  

(30)Robertson,JlⅤ・,Essaysin theTheoIy Of Employment,1947の第9茸の静式と    HaIⅠ■Odの界式とは類似したものである。  

= 豆≒ ー▼・ 

た二ニー=dγとなる。貸幣の得失を考えた純利益  

(31)外国需要の弾力性は月毎   

は・が−(・方−みd)(・芳一一∬・‡)=β′ (再)恒となるoHaIⅠ・Odでほみれ方−1ト方・と   

記しているが不明である。本文では一1芯Hat■工Odの式をそのまゝ記した。  

(32)∬を輸入価格および鼻とすると,国内の価格下落は国内価格不変で外国の価格が同じ    だけ上昇したのと同じ効果(為替相場一・定)であるから,国内の需要の弾力性を励J    で示すと,輸入に資す貨幣は∴現川・・㌃だけ減少することゝなる。  

鯛 もし脚註(31)が正当なら−1となる0  

錮 供給側を考えたなら複雑な式となるので省く。  

脚 Haエー・Odによれば先ず非特殊生産要素(労働)の増大のため,後紅特殊要素の増大の    ため逓増すると云う。   

(9)

貿易理論と総供給函数  

一エヲ9−  

でⅡ釘Ⅰ・Odは生産費の変化が両国で種々異なる場合をも考察する0そしてそれらを比較   して貿易利益は生産費差が両国で一激するに至るのに多くの貿易量を必要とすればするは   ど,すなわち(イ贋易前の生産費差が大なるはど・(ロ姓産賓曲線の勾配が媛(弾力性小)な  

しこミG,〉  

る搾ど大きくなるとしたのである0かくして完全競争を仮定されば貿易品の価格は両国で  

共通となり(運送費を除いて)各国生産者がその価格に生産費を一傲せしめるように行動  

(3り  

する結果両国の価格と生産要素への報酬は一激する傾向をみるとなすのである0   

したがって前節で考察したHaIIOdの理論はこのような価格変動によって修正して考え 

\Sさ\  

られねばならないと云う事になる0そこでわれわれは前節初めに掲げた仮定のうら生産要   素の能率一足の仮定を省き,それに代えて生産函数Ⅹ=Ⅹ(〃)のⅩ′>0,Ⅹ′′く0・g′′′く0   の仮定を設けることゝする。  

(89ノ   

さて前節で導入した総供給函数Zほ次のように.示しうる。  

Z=−Ⅹ   (2)  

そして上記仮定のもとにZ函数ほ第二図のように描きうる。勿論こゝでほ開放体系を考   えているのでZの中には輸出することより得るであろう期待売上額を含んでいることほ   云うまでもない。それは次のようにして明かとなる。すなわち総供給函数ほ仮りに予想お   よび技術を一億とすると賃銀紺が不変ならば開放体系においても,閉鎖体系のものと同  

ー・のものを用い得ることゝなる。貿易開始前   の総需要函数をか曲線で示し,貿易開始と  

」もに総需要函数を輸入性向だけで下方に傾   斜を変えたか′曲線をもって示すとしよう。  

このとき∂点で表わされる雇用量以上の雇用   をなさんとする場合にほ,∂点で示される売   上期待より以上の期待をもたねはならない。  

国内の諾要曲線は∂′曲線であるから,か′曲   線とZ曲線で区切られた縦の長さだけの外   国への売上期待を含まねばならないことゝな   側 自国のみの利益を考えると勾配の急な方が優利である。しかし貿易鼠ほ少くなる。  

閻 この場合ほ実質報酬である。  

餉 し′したがって敢えて賃幣夕−ムで分析したのである。  

髄 拙稿「丁.MKeynesの総供給函数と価格水準」参照。   

(10)

第3J7巻 第1号   ーム托卜一  

ろう。したがって輸出を含む開放体系の総需要函数は,か′曲線の外国輸入需要額だけ上方  

(40)  

紅ソフトして∂点より上の点でZ曲線と交叉せねばならないであろう(か′′曲線)。ゆえに   α=は輸出額,dβは国内向け販売額を示すこと」なる。   

さてかゝる総需要および総供給函数は.投資財生産屈よび消費財生産の二部門にそれぞれ  

(41)      「42) 設定しうる。いま投資財生産部門に外国の需要が導入されるものとしよう。第三図はそれ  

を示したものである。投資財生産部門への外国の需要△βrの附加ほ,国内投資需要△か忽   と合して,消費財生産部門の総需要曲線をC・(△か2+△p/)だけ上方に移動せしめる。  

かくして玖′′とZlの交点紅おいて消費財の有効需要が決まる。両部門ともに」雇用の増大   を導くことゝなる。この場合,輸出に.よる両財の価格水準の変化の比は(3)式のよう、にな  

る。  

△Pl_(1−β1♂ね1)  

入・信一1)・昔   (37  

瓦打(ト側独)  … 

但し入の中にほ輸入性向を考慮している。昔を乗した理由ほ初期において両財の価格  

が同一・でないのが普通であるからである。この価格変動ほ輸出のみが原因となったときの  

第三図  

〔消炎財〕  

Zl  

α−巧α  

朋こ1で総需要ほ所得のみの函数とし価格紅は反応しないとされている。後にこれを    正する。  

(41)拙稿 上掲参照  

(42)どちらが輸出品になるかは所得理論からほ出て釆ない。そこでHa工ⅠOdは比較生   柴原理を導入するのであるが,既にのべたようにわれわれはこれ紅同意しているわけ■で   は.ない。脚註伽)参照。   

(11)

貿易理論と総供給函数  

ーム釦ト■  

もので・第三図のか′1とZlの交点からの変化である0   

次匹外国の輸入需要附加△か′が消費財生産部門のみに向けられたとしよう。この場合   の両財の価格変動は(3)式とは異なってくる。すなわち投資財生産部門への△巧の影響は  

金融的流通を通じるものがないとすれば全く存在しえないことゝなる。ゆえに△′為=0と   なり,両財の価格差ほ(3)式とは違ったものとなるのである。かくして外国の貨幣的購買力   が貨幣的循環のどの局面紅流入するか・ゞ国際品,国内品の分類に劣らず雷要であると云う   前節の指摘ほこの点を云ったものである。いま加速度原理を考慮把入れるとしセも,この点  

(48)  

の本質的差異を生じないであろう。  

以上の考察は総供給函数が移動しないと・とならびに総需要函数も価格変動紅影響されな   いことと云う暗黙め仮定の■Fになされたものである。しかしながらこの両函数ともに.上記  

過程の途上において変化するとみねばならない。先ず総供給函数ほ,各産業への需要の増加   が各有数需要の点をZ曲線上に沿って移動せしめ雇用および鱒格の変動を引起す過程杷  

(44) おい 

よってシフ†すちであろう。すなわち流入した部門では労働者の生産力増加と同一・の効果   を生じ,総供給函数を下方に移動せしめる。流出した部門では逆に上方紅移動せしめるこ  

と」なる。次に総需要函数について云えば,その勾配が国内の消費性向,貯蓄性向,輸入   性向に依存すると」もにそのレフトの大さが外国の輸入需要の大さに.依存するので,価格  

変化によって勾配のみならずレフトの大さをも変化せしめられること.」なるのである。す   なわち相対価格の変動による輸出入の変化と云う古典的経路に明かに読みとりうる如く,  

価格の変化は輸入性向の変動を通じて総需要函数に影響をおよぼすものとみねほならない   であろう。かくしでわれゎれの上記議論における貨幣タームでの各種偏向−・定と云う仮定   ほ修正されなければならない。なお外国の需要附加額△か./は外国の輸入性向と所得水準   把依恕するので,これもまた相対価格によって左右されるのである。   

かくの如く各生産部門の総供給函数庖よび総需要函数が価格変動につれて変化するもの   姻 加速度原理を入れても総額合計としての投資財生産部門への需要額ほ,外国需要額だ   

け少なくなるであろう。しかも加速度原理自身消費食料品等を輸出の主体としている後    進諸国での妥当性が問題とされねばなるまい。したがってその国の型如何によって消費    需要として外国需要附加△かノが現われるか否かと云う事ほ屈更にならざるをえないの   である。  

姻その部門の総供給の弾力性(一語昔)が1より太か否かで利潤率は(・憲一)は増    減する。   

(12)

・1−J尋2¶  

第37巻 第1号  

とすれほ,各部門の雇用水準ならびに両財の価格変化ほ上に考え.たものとほかなり異なっ  たものとなってくる。・−・般紅云って外国の需要附加△か7の国内への影響ほ,(a)国内の諸   性向の大きさおよびそれら性向の価格変化に対する反応の仕方,(b)総典給函数の弾力性お  

よぴそれの価格変化に対する反応の二つによって異なってくると云い得よう。   

HaI 王Odは貨幣賃銀切 ̄下げの収支改善に与える効果が需要の価格弾力性(β/♂,瓜d),  

(45)  

供給の価格弾力性(E7ぶ,β如)の如何によって.必然でほないと論じた。この場合のこれ   ら弾力性ほ.われわれの総需要および総供給の価格への反応の仕方にある示唆を与えるもの   l であろう。すなわち賃金の−・率切下げは,両生産部門の総供給曲線を下方にシフトせしめ   るし,他方においてそれは自国の価格水準の下落を導き外国の輸入性向を変えしたがって  

△p7・を増加せしめると一」もに月国の輸入性向を減じることによって自国の消費性向を高  

め自国の総需要曲線か1の傾斜を急ならしめること」なろうからである。  

4  

以上三筋に分けてわれわれはHaIエーOdの理論に泥トって貿易理論に絵供給函数を導入し  

ようと試みてきた。この場合HaIュOdと同じように為替相場は協定されているものとし   た。また消費財産業および資本財産業ともにその生産する財はすべて国際品のみである  

し,すべてが輸出入の対象となると考えてきた。それらほ簡単に修正しうるであろうが  

こゝでほ省略する。かくしで比較生産費原理にみられるような生産費の変動による価格   化を乗数理論に組み入れることに努力した積りである。そして−以上の論述の途上におい  

えられた注目すべき事績は,(1腐二節で示した貨幣的循環図のどの局面に(すなわち金融  

的流通,投資財産業,消費財産巣のどれに)外国の貨幣的購買力が附加されるかによって   ー・国経済牲与える外国の影響が全く異なること,そしてそのことからして国際品  

の分類以上にわれわれの二分割が重要であること,し2価格変動は消費性向,貯蓄性向,輸   入性向に影響して,また各個別総供給函数の移動忙影響して−・国の国民所得に作用するこ   と,したがって輸出入額に作用すること,(3)HaIⅠ・Odの乗数式ほ使用者費用をまかなう貨   幣的循環からの輸入への流入が存在しないと云う仮定に立脚しているとと等である。  

朋 このHaI・Ⅰ■Odの弾力性は供給量,需要量の価格に対する変化を示すものであり,わ    れわれの反応と云うのほ供給額,需要額である。しかも各主体が主として問題にするの   はこの額の方であり,盈ではないように思われる。ゆえに価格と総供給・総需要の額   変化を示すグラフを描く必要が生じよう。   

(13)

貿易理論と総供給函数  

ーヱ4β−   

これらのうら(1)は外国の資本の流入が国内経済に目立った放果を与えないような事態,  

ならびに外貨の一億額を常軋保持しておきたいと云う各国の欲求がそ・の国に与・える影響等   の問題を解く鍵を提供するように思う0すなわち金融的流通に入った外国購買力が活動貨   幣として流出しないことが考えられるからである0かゝる場合国際的貨幣および外貨は各  

/46)  

因習をグェ−ル的には移動されないであろう。  

以上の議論では総共拾函数が限界生産力に依存して変化すると云う仮題が存在する0こ   れはKeynesの意図を正確に示しているかどうか疑わしい0 むしろそれよりも予想要因  

モ動く期待売上額を考えねぼならないであろう。もしこのこ・とが正当なら上の論述は一つ   の目安以上のものを表わしていないと云うことになるであろう。われわれはHaI工Odの   供給の価格弾力性亀とわれわれの総供給函数のレフトとの関連に云及した0 しかしもし   以上のことが正当ならHarIOdの供給函数とわれわれの総供給函数とは全く性質を異に  

(47)  

したものとなるであろう。  

鯛 拙著「国際的貨幣ヴェール観」において国際的な貨幣ヴェ−ルの意味を明記した。国    内経済との差異は,収支の差額の決済手段として金および外貨が移動され,外貨および    金それ自身に選好が認められていない点に存する。  

(珊 Harrod,RりF.,TowardsaDynamicEconomics,1949とかThe TradeCycle,1936    等における経済成長および経済循環においても,総供給函数を含むものとして解しうる   

であろう。   

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