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3次元Shallow Water Wavesの基礎理論

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Academic year: 2021

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(1)

NDC 423.8

3次元Shallow Water Wavesの基礎理論

山 本 吉 範*

Fundamental Theory of Three 一 Dimentional

      Shallow Water Waves

Yoshinori YAMAMOTO*

 The formulation of three 一 dimentional shallow water waves is produced and added to the Whitham shal−

low water theory, The shallow water theory, with the horizontal velocity approximately independent of the vertical coordinate suggest an expansion for the horizontal veloeity potential, this expansion for the velocity potential is formulated by means of substituting in the Laplace equation and the boundary condition for a horizontal flat bottom.

1.緒 言

191 はじめに

 浅水(shallow water)の理論で扱える現象は身近でよ く観察できる。特によく観察できるのが、自由境界面上に 現れるさまざまな波であろうか。海岸近くの浅瀬の波、運 河の波、溝の波、プールの中のちょっと大きめの波、など 例をあげればきりがないほどある。これらの波は重力や表 面張力を復元力として、水面のもりあがりという未知の境 界に対する非線形の境界値問題になっていることもあって、

解析がなかなか難しい現象でもある。境界そのものが変化 するのであるから、どうしょうもないが波の振幅が小さい 場合は線形近似してやれば比較的容易に取り扱える。浅水 波の理論で重要なのが、波の振幅が有限な場合である。こ の場合は非線形性が無視できないので、自由表面境界上に 視点を移しその上で成り立つ運動方程式を解いて自由境界 面の時間的変化(波動現象)を求めることがよく行われる。

 二次元shallow waterの理論では、深さ方向の座標原点 は底(bottom)にとり、流体は勿論、非圧縮非回転非粘性 流体を仮定している。また、速度ポテンシャルは水深が浅 いために深さ方向の座標とは独立と仮定し、水底では底の 面に沿う流れめみであることから深さ方向の座標のべき乗

*電子制御工学科

 平成9年8月29日受理

と水平方向の速度ポテンシャルの積で展開した形を仮定し ている。1)

shallow water wavesの理論の中で特に重要な歴史的発見 がソリトン2)であろう。この非線形波は前世紀にRussel が運河で発見し、Kortewegとde Vriesが定式化し、 Zabus−

kyとKruskalがソリトンと命名するまで一世紀以上をよ うしている。このソリトンは本質的に進行方向一次元の波 であり、たぶんそのことからWhithamをはじめ多くの研 究者は二次元shallow waterの理論を中心に展開したので あろう。しかし、波動現象のみをとって考えても、ソリト ン現象のみだけではなく、非線形の波列波も存在すれば表 面張力による分散と重力による分散のバランスの度合いや 波長と深さの比の程度などからさまざまな波動が存在する。

3)さらに進行波のみならず定在波も存在するだろう。また、

工学的応用の観点から観ても現実の世界は三次元空間であ り、扱う物も三次元である。現象の本質は二次元で十分で あっても、境界の影響までも充分に知ることはできない。

例えば、工学的に重要な問題として現象を観察して逆に境 界の条件を知ろうとする、いわゆる逆問題がある。ソリト ン現象は個性を損なわない波の相互作用現象であり、再帰 性4)を持つのでこの逆問題に応用できる。

 工学的応用を最重点に考え、あえてshallow waterの理 論の三次元化を進めることにする。まず(1)流体に対する仮 定として、非圧縮、非回転、非粘性の完全流体とする。(2)

一9一

(2)

津山高専紀要 第39号  (1997)

速度ポテンシャルに対する仮定として、浅水であることか ら水平方向速度ポテンシャルは深さ方向の座標に依存しな いとする。(3)波動は有限振幅波と仮定する。従って、深さ 方向座標は水底を原点にとる。(4)Whithamは扱ってない が本論文では表面張力の効果も考慮する。(5)水底はなめら かで平たい一定の水平面とする。これらの仮定のもとに理 論を展開する。

1.2 本論文で使用する記号  x:水底面上の座標変数  y:水底面上の座標変数

 z:水底面から鉛直上向きにとった座標変数  t:時間座標

 h:水底面より測った自由境界までの距離  h・:静止水面からの深さ

 f。:最低次の速度ポテンシャル

 c・:線形分散関係の第一項目の定数係数.(位相速度の   第一項目、c。=(gho)1/2)

 9:重力加速度  a:波の最大振幅

 f:最低次の無次元速度ポテンシャル(f=f。)

 s:自由表面の形状関数  u:x方向の流体速度  v:y方向の流体速度

w:z方向の流体速度

 P:流体の圧力  P・:大気圧

 α:非線形性を示す無次元パラメータ(α・a/h・)

β:分散性を示す無次元パラメータ(β・h・2/12)

 r:表面張力

 η:静止水面から測った自由境界までの距離  κ:波数

 ρ:流体の密度  φ:速度ポテンシャル  ω:角振動数

 f。y。t...:fのxyzt_での偏微分を表す

 ▽:ナブラ ム:ラプラシアン

 U:速度ベクトル(U;(U,V,W))

 R:流体表面の曲率半径

1.3 全体の様子

      z

η

ho

@      y

o

図1t座標系と全体図

x

3.問題の定式化

3.1 流体内部

 流体に対する仮定より、まず非圧縮性より

 V・u =O, (1)

である。次に非回転より

 VXtt =O, (2)

が成り立つ。式(2)より速度ポテンシャルφを用いて速度 ベクトルuは

 u=Vdi, (3)

と表すことができる。式(3/を式(1)に代入してuを消去す ると

 A¢ = O , (4)

が成立する。式(4)はよく知られているφに関するLaplace の方程式である。

3.2 境界条件

3.2.1 自由表面における境界条件  まず、自由表面が

 s(x,Y,z,t) =O, (5)

で表されているとすると、自由表面の速度と流体の速度が 表面では等しいことから

 st+us.+vsy+ws.=O, (6)

が成立する。これは自由表面で流体粒子が拘束されている ことを示す。自由表面はz=h・+η(x,y,t)であるから  s(x,y,z,t)iV(x,Y,t)十ho−z ,

       (7)

と置いて、式(6)に代入すると

 qt+u?.+vVy一 w= o, (s)

となる。従って、自由境界でのひとつ目の境界条件は  ηt十φx7X十gSyηy= φZ ,    (9)

と表される。次にもう一つの自由表面の境界条件を導出し よう。流体については当然、Eulerの運動方程式が成立す

一10一

(3)

3次元Shallow Water Wavesの基礎理論 山 本

る。ただし、流体の自由表面での圧力は大気圧P・に等しく、

更に自由表面では表面張力が作用する。水面上の空気の運 動を無視し、自由表面における大気圧と流体圧との差が表 面張力による単位面積当たりの法線力に等しいということ から

φ・・÷(▽φ>2+… ρi1iiE・(・・)

が得られる。ここで1/Rは水面の平均曲率を表し、ηを 用いると

kL = [ll+(V x) 2] qyy+ll+(V y) 21 7xx−2?x    7y7xy]×ll+(7 .) 2+(q .) 21−3/2 ,       (11)

のように表される。5)上記の式(9)と式(10)が自由表面に於 ける境界条件を与える。

3.2.2 水底での境界条件

 水底面では流体に対する仮定より、その面の法線方向の 速度成分を持たないから

 n・▽φ=0,        吻

が成り立つ。ここでnは水底面での法線単位ベクトルであ る。仮定(5)から式⑫は簡単になって

 ¢z =O, (13)

となる。もし、水底面が任意の曲面で与えられた場合は省 略する。

3.3三次元Shallow water Wavesの理論

 今、水深の浅い流れの自由表面にできる有限振幅波を考 えているので、Z座標は水底面を原点にとっている。また、

水深が浅いこともあって、φx及びφyは近似的に水底面 に沿った層状の流れになり、したがってφはz座標に依存 しない水平方向速度ポテンシャルとz座標のべき乗との積 で展開した形式と考える。即ち

 t

 y

 X n

n f

 Z

。。 ー0

φ

(14

と展開する。式Q4をz=0で式㈲を満足し、なおかつ

Lap正aceの方程式(4)を満足させるように変形すると

φ・

セ←1)m,壽∴(,91i ・・Egf ,・)…(・・…)・

(15)

となる。式(15)はLaplaceの方程式を満足するがf・

(x,y,t)の具体的な関数形が分からないので、解けたこと にはなっていない。残っている境界は自由表面であるが、

そこは時間と共に変動するので複雑である。しかし自由境

界面上に乗り移ってしまえばもうどう変動しようが関係な

い。自由境界はz・h・+ηであるから、その上で境界

条件(9),圃を満足する運動方程式を解いてはじめて問題が 解けたことになる。この運動方程式は一般に非線形の偏微 分方程式で与えられる。したがって、厳密に解くことは特 殊な場合を除いて困難であり、数値計算して求めることが 多い。

4.ま と め

 本論文は具体的な問題を解いたものではない。三次元 Shallow waterの基礎的な定式化を提案しただけである。

水面の運動は良く知られているように複雑である。次元を 一つ増やしただけでも多くの未知の現象が現れてくること が考えられる。また、現実の世界は時間を除いて三次元で あり、応用の可能性が広がると考える。

 水面上の波動を検討する時、非線形パラメターαと分散 パラメターβは理論の枠組みや扱う現象を決める上で重要 な目安になる無次元量である。また、小さいが有限振幅の 長波を扱う場合は一般的にはαとβは微小量となり、扱う 運動方程式を系統的に導出するのに役立つ。したがってこ れらの無次元パラメターが境界条件やLaplaceの方程式の 中に現れるようにするために、各変数を無次元化する。x とyはそれぞれ波長1で、zは一定水深h。で、ηは最:大 振幅aで、またφは91a/c・でそれぞれ無次元化すると 以下のようにまとめることができる。

 流体内部については

 β(φx。+φyy)+φ。。・0,f。rO〈z<1+αη        (16)

が成り立つ。

 境界条件については、まず、水底では  ¢.

= O , at Z=O (17)

であり、自由表面については

 ηt+α(φ。η。+φyηy)一β一1φz・0,

       at z=1+cr q ag

 2η+2φt+α(φx2+φy2+β一1φz2)=2β1 (9 r) ho2) ix(7..十v..) ll十a2B(v.2十v.2)}一

3/2

         at z =1十aV (19)

となる。

 さらに、式⑯は

2  X∂∂

m

Z

2

2

m

 m

β

○。

ー0

φ

02

 E ) Mf (X,Y,t>

Oy

tzo)

一u一

(4)

       津:山高専紀要

となる。ここでf・feであることに注意すべきである。

参考文献

1) G.B.Whitham ; Linear and Nonlinear Waves, John   Wiley & Sons, lnc..

2) N. J. Zabusky and M. D. Kruskal;Phys. Rev. Letters.

  15, 240 (1965) .

3)Y,Yama皿oto;J. Phys. Soc. Jpn.,58,4410 (1989).

4)谷内俊弥ら;非線形波動、168,(1978),。岩波書店。

5)角谷典彦;月刊フィジクス,4,82(1983).

第39号   (1997)

一/2一

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