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多次元〔α,β,γ〕 : Langevin方程式に関する一考察 (陵水六十年記念論文集)

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Academic year: 2021

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(1)

17Jr

多次元[α,β,γ]一Langevin方程式に

        関する一考察

中  野  裕  治

工  Y.Okabeによる[α,β,γ]一Langevin equationは, T一正値性を持つ正

規定常過程の時間発展を記述する確率微分方程式として,高く評価されてい

る.しかも[α,β,γコーLangevin方程式は,その適用範囲が広く,次のよう な代表例をあげることができる,  C1)統計力学におけるMori方程式と本質的に異なるものであり, R. Kubo の「非線形拡散過程の定常状態に対する揺動散逸定理を求める」問題に解を与 えるものとなった.  (2)有限区間を知った時の予測の問題を,三つ組[α,β,γ]で定まる非線 形微分積分方程式を導くことによって,具体的に解くことができる.これは, Krein−Dyエn−Mckeanの予測問題にはあらわれないものである,  (3)三つ組[α,β,γ]で定まる方程式を導くことによって,Kdv方程式の 多重ソリトン解を求めることができる,  さらには,方程式自体の持つ美しさと自然さから,その他の分野への応用が これから広がっていくものと思われる.

 d次元定常正規過程を

  X=(X(t) =:(Xl(の,X2(の,…,Xd(の;t∈R) とする、開集合D(⊂R)に対し,

(2)

 176 彦根論叢 陵水60年記念論交野(222・223号)    H(D)=[X(の;t∈D](closed linear hUll) と定義し,    H+=H((0,00)),H『 =・H((一〇〇,0)) とおく。さらに,時間反転作用素Tを,つぎのように定義する.    T(X」(の)=Xi(一t)(t∈R,ブ=1,…,d).  このとき,Xに対して, T一正値性を定義しよう.  定義 Xが7L正値性を持つとは, S=・PH・TPH+が非負であるときをいう. ここで,PH・はH+上への射影作用素である.  この定義は,Y. Okabeにより,つぎのより理解しやすい定理にまとめられ た.  定理2.1(〔1〕).Xが7L正値性をもつ必要十分条件は, Xの共分散関数 Rが,[0,0。]上の有界なd×d一行列値のボレル測度σによって,    R(t)一∫,。,.., ・一1…a(・・)(t∈R) と表現されることである.  一次元では,XがT一正値性をもつことと, Xが[α,β,γ]一Langevin方程式 の解になることは同値である(〔2〕).  多次元の場合,つぎのような方程式を導入し,この方程式を[α,β,γ]一Lang− evin方程式とよぶ(〔3〕).    (e・・ )dX(の一(一βx(の+∫t.。・(・)x(t+・)d・)dt+・dB(t).  ただし,次の仮定をおく.

 (2.1) αとβは対称なd×d一正値行列である.

 (2.2) ある自然数N,d×d一非負値行列μ(n)(1≦諺≦N)および正i数9n        ガ (9i<…〈qπ)が存在して,γ(S)=ΣPt(n)eS4n.        れヨユ (、.3)β一当Ft(”)が翻一正値行列である.        n==τ 9n  以上の条件のもとで,次の定理を得る(ただし,d=2およびα=1とする),  定理2.2(〔3〕).方程式(約の解がただ一つ存在する.

 (ii)ある自然数M,正数Pn(幽く…<Pif)および2×2一非負値行列Kn

(3)

      多次元[α,β,γコーLangeVin方程式に関する一考察  177 (lgnEgM)が存在し,    (p 一 (i,”) 1一 fO一 .. et(s r(ds)) ri ’ 一 ;“;!一一, 一p;5tlbeFi℃ (℃EC’)・

 (11D (紛の解XがT一正値性をもつ必要十分条件は

   (…)誕1壽乾一業、一舗叢(・璽M)・

。・・一当姦K・          (1くn<M)とおく,    ;,fi:t=1 Pn十P’m  Mf{:3のとき, XがT一正値性をもつことと,σ(の(1≦∫≦:M)がたがいに 可換であること同値である(〔3〕).  M=4の時には,P,=i(1〈z〈4)とすれば,σω(!福≦4)が非可換かつ (2.4)が成り立つKi(1≦z≦4)が存在する(〔4〕).  本稿の目的は,M≧4の場合を一般化することであり,次の定理を得る.  定理3.1.正数A(1《z〈4)を任意に与えた時,σ(t)(1≦z≦:4)が非可換か つ(2.4)が成り立つKi(!≦z≦4)が存在する.

 証明A<ちく九くPiとする.

(2.4)から,次の式をうる.  (3.1) [Ki,K3十aK2]=O.  (3.2) [K2,K3十βKl]=0. ここで・・一

P鰍ll解:1・β一一葬多:li多豊1・

   Ki一隠], al=:÷+一1必・b・ ・・ 一E−14(lS{i≦三4) とおく.  C,=e,C,=0, Cs=一βc, d,・=d, d,=γdとすれば,(3.1)と(3.2) からC,=(β一1)c,d3=一(β+αγ翼, d4 ==(β+αγ一1一γ)dを得る.そこで, d(≒0)として   ma」 (i, lr[,iig+ar1,lp+crr−i−r1)1d1〈一li

(4)

 178 彦根論叢 陵水60年記念論文集(222・223号) を満足するものを選ぶ。その4に対して,

   蘇壱一穿(・≦・≦・)

が成り立つ。(≒0)をとる.このように。とdを選べば,Ki(1≦ガ≦:4)が定理 を満足することは明らかである(証明終り).  定理は,M≧5の時も成立する.簡単のため, M=5かつPi=i(1≦ゴ≦5) の場合を証明しよう.  (2.4)から得られる5つの方程式をまとめると, (3・3) [Ki+一firK3+tK4,K2]=O・ (3.4) [K,+gK,+一il;一一K.K,]=O. (3 . s ) [K,+一g−K,+?t K,, Kl =O.

M・4の場合と同様に,

   K,==[gll bCi], a,=t+td,, b,一一t−td, (lsgim〈5) とおく.  (3.3),(3.4),(3.5)はいずれも行列の可換性に関するものであるか ら,C2=0として, M・・4のときを参考にして求める.たとえば,

    Cl  航嚇×l

    c211 O [5d2N−tXE

C3 C,1 C5

L\

in’XM{tLi

 o

 l   !

T×一拓一・

 l    i

 10

k/・鉛1

d3 1= 4 d, / 1   1 sr×一Q 1   1

一τ×了

 一11×17 2×5×7×8

 1

×MQ とすれぽ,K、(1≦∫≦5)は求める性質を持つ.  定理3.1は,多次元[α,β,γ]一Langevin方程式が, 質的に異なることを主張するものである. 一次元の方程式と本

(5)

      多次元[α,β,r] 一Langevin方程式に関する一考察  179        参考文献 (1) Y. Okabe: On a stationary Gaussian process with T−positivity and its associated    Langevin equation and S−matrix. J. Fac. Sci. Univ. of Tokyo., Sec. IA, 26, 115−     165 (1979). (2) Y. Okabe: On a stochastic differential equation for a statienary Gaussian    process with T−positivity and fluctuation−dlssipation theorem. 」. Fac. Sci・ Univ・    of Tokyo., Sec. IA, 28, 169−213 (1981). (3) Y. Nakano and Y. Okabe: On a multi−dimensional [cr, P, T]一Langevin equation・    Proceedings of the Japan Academy., 59, Ser. A (1983). 〔4〕 Y.Nakano and Y. Okabe:On a 2−dimensiona1[α,β,γコーLangeivn equation:to    appear in Lecture Notes in Math. Springer−Verlag.

参照

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