545 昭和学士会誌 第79巻 第5号〔545頁,2019〕
特 集 病院と地域をつなぐ患者支援のあり方
巻 頭 言
昭和大学保健医療学部看護学科
下司 映一
日本は,諸外国に例をみないスピードで少子高齢 化が進行しています.一方,これまでの病院主導で 進められてきた医療に対し,地域および多種多様な 職域と連携し,人々が社会で生活しながら病気と共 存することを支える医療制度の重要性が認識され,
その実現のための各種制度・施策が打ち出されまし た.在宅医療の充実や医療・介護連携が図られ,
人々が地域で暮らし続けることのできる地域包括ケ アシステム等の基盤整備が浸透しつつあります.
これらの背景を踏まえ,医療の提供体制において は,単一の病院で完治をめざす「病院完結型」から,
地域全体で治し支える「地域完結型」への転換が進 められていきます.病院で行われる医療は役割分担 を明確にし,在宅での医療や介護と連携し,急性期 から回復期,慢性期,在宅まで,切れ目なく広い意 味でのチームとして,患者支援をすることが重要と なります.
そこで本特集は,「病院と地域をつなぐ患者支援 のあり方」をテーマに,
1)病院から地域につなぐためのケア構想
2) 円滑な在宅リハビリテーションへ移行させる病 院内リハビリテーションのあり方
3) 高齢者患者の在宅生活を支える栄養管理 4) 人間作業モデルに基づく退院支援の検討
5) 病院から退院した患者が地域で暮し続けるため の連携
以上の 5 つの視点で,各専門職の立場から患者支援 の現状と課題,さらには今後への提言をまとめる企 画と致しました.
これらの内容から,各職種が自己の専門性を踏ま えた上で,多職種の専門性を理解しつつ,患者中心 のチーム医療の実践,特に病院から地域へ,患者の 治療と療養生活を切れ目なくつなぐための支援のあ り方を考えていきたいと思います.