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平成 27 年度 学内研究助成金 研究報告書

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Academic year: 2022

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平成 27 年度 学内研究助成金 研究報告書

研究種目

■奨励研究助成金 □研究成果刊行助成金

□21世紀研究開発奨励金

(共同研究助成金)

□21世紀教育開発奨励金

(教育推進研究助成金)

研究課題名 オリゴデンドロサイトにおける統合失調症関連因子DBZの機能解析

研究者所属・氏名 研究代表者:清水 尚子 共同研究者:

1.研究目的・内容

近年の統合失調症患者死後脳研究において、白質における髄鞘形成不全や、髄鞘を構成するグリア細胞 であるオリゴデンドロサイト(OLs) の細胞数低下や配置異常などが報告されている。申請者は、統合失調 症関連因子DISC1の新規結合因子であるDBZ (DISC1-binding Zinc finger protein) がOLsの分化を正 に制御する機能を持つことを明らかにしてきた。本研究では、OLsの機能異常を起源とする統合失調症発 症の分子機序の解明を目指し、OLs成熟化における詳細なDBZの分子機能について検討した。

2.研究経過及び成果

統合失調症は人口の1%に見られ、思春期から青年期にかけて発症する慢性化しやすい精神疾患である。

妄想、幻覚や統制を欠いた行動、興奮などの陽性症状と、会話・思考内容の貧困化や社会的ひきこもり等 の陰性症状に大別される重大な精神症状が見られる。DISC1遺伝子はスコットランドの精神疾患多発家系

(統合失調症、躁鬱病など)を対象とした遺伝学的研究により発見された染色体転座の部位にコードされる 遺伝子である。この遺伝子が転座により分断されることがDISC1タンパク質の異常を引き起こし、精神疾患 発症のリスクを高めると考えられている。そこで我々はDISC1の転座により分断される部位に結合する分子 の結合が不可能となり、その正常な機能を失うことで脳の発達障害が生じるのではないかと想定し、転座部 位に結合する分子の探索を開始した。その結果、DISC1の結合タンパク質としてDBZ (DISC1-binding Zinc finger protein) と名付けた新規因子を同定した。

近年、DBZ がニューロンの軸索の周りに存在する髄鞘(ミエリン)を形成するオリゴデンドロサイト(OLs)で 機能している可能性を示唆する論文が報告された。OLsの分化異常を示すOlig1 KO マウスのマイクロアレ イ解析で、OLs の成熟化に関わる数多くの遺伝子とともにDBZの発現が低下していることが報告されてい る。

また、統合失調症患者死後脳の研究でOLs に発現する因子の発現低下がみられることや、OLsの細胞 数の減少、配置異常、ミエリンの形成異常がみられることが報告されていることから精神疾患発症に及ぼす OLs の役割が重要であると考えられている。これらのことから統合失調症をはじめとする精神疾患発症の 分子メカニズムを解明するために、OLsにおけるDBZの機能について解析をおこなってきた。

これまでの申請者の研究結果として、髄鞘形成が盛んな生後14日のマウス脳梁OLs にDBZの発現が高く、

その時期のDBZ KOマウスではOLs分化レベルが低下し、電子顕微鏡による微細構造の検討からも髄鞘 形成不全がみられることを見出している。本研究では、OLs成熟化における詳細なDBZ の分子機序を解明 するために、DBZ の結合因子であるNde1(nuclear distribution gene E homolog 1)とNdeL1(nuclear distribution gene E-like homolog 1)に着目した。

最初にNde1/NdeL1が脳梁OLsにおいて発現しているかどうかを、in situ ハイブリダイゼーションにより検 討を行った。その結果、DBZ の発現が高い生後14日において、Nde1は脳梁特異的に発現しているのに対 し、NdeL1は大脳皮質に発現が高く、脳梁ではほとんど発現が確認できなかった。次に、Nde1が脳梁OLs に発現しているのかどうかを検討するために、成熟OLs のマーカーであるCC1抗体を用いてin situハイブリ ダイゼーション& 免疫染色を行った。その結果、Nde1はCC1陽性細胞に発現していることが明らかとなった。

さらに、DBZとNde1が共発現しているかどうかを2重in situハイブリダイゼーションによって検討を行った結 果、DBZとNde1が共発現していることを確認した。

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3.本研究と関連した今後の研究計画

本研究では、DBZ結合因子であるNde1が、髄鞘形成のピーク時である生後14日において、成熟OLsであ るCC1陽性細胞に発現していること、またDBZと共発現していることを明らかとした。Nde1は細胞内物質 輸送に関わるDyneinというモータータンパク質の結合因子であり、神経発生に関わることが報告されてい る。Dyneinは、微小管上を移動し、細胞内小器官や輸送小胞、蛋白質やRNAなどの積み荷を輸送してい る。Nde1はDyneinの活性を制御していると考えられ、DBZとNde1が結合することで、その活性に影響を 与え、OLsの発達に必要な蛋白質やRNAの輸送に関与している可能性が考えられる。今後はDBZと Nde1がその輸送に関与するかなどのさらなる検討が必要である。

4.成果の発表等

発 表 機 関 名 種類(著書・雑誌・口頭) 発表年月日(予定を含む) 第58回日本神経化学会大会 ポスター発表 2015年9月12日

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