• 検索結果がありません。

Noriko Sakurai

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Noriko Sakurai"

Copied!
15
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

原著論文

変形性膝関節症由来関節滑膜細胞のマトリックス分解酵素産生に及ぼす グルコサミン の効果

櫻井規子1) 安部聡子1) 浅野和仁2)

1)昭和大学大学院保健医療学研究科 2)昭和大学保健医療学部

Suppressive activity of glucosamine on osteopontin-induced matrix metalloproteinase production from human synoviocytes in vitro .

Noriko Sakurai

1)

, Satoko Abe

1)

, Kazuhito Asano

2)

1)

Showa University Graduate School, Showa University,

2)

School of Nursing and

Rehabilitation Sciences, Showa University, Yokohama 226-8555, Japan

(2)

2 Objective

Abstract

The present study was designed to examine the influence of glucosamine hydrochloride (GH) on the ability of synoviocytes to produce matrix metalloproteinase (MMP) and tissue inhibitor of metalloproteinase (TIMP) in response to osteopontin (OPN) stimulation in vitro.

Methods

Synoviocytes (5 x 10

5

cells/ml) derived from osteoarthritis patients were stimulated with 330 ng/ml OPN in the presence of various concentrations of GH for 24 hours. The levels of both MMPs (MMP-1, -2 and -13) and TIMPs (TIMP-1, and -2) in culture supernatants was examined by ELISA.

To examine the influence of GH on transcription factor, NF-κB, activation and mRNA expression for MMPs and TIMPs, synoviocytes (5 x 10

5

cells/ml) were also cultured in a similar manner for 4 and 12 hours, respectively. The levels of NF-κB activation was examined by ELISA. mRNA expression was examined by real-time RT-PCR.

Results

Addition of GH at more than 1.0 mg/ml into cell cultures suppressed dose dependently the production of MMP-1, -2, and -13 from synoviocytes after OPN stimulation. Although GH also suppressed the ability of synoviocytes to produce TIMP-1 and -2 in response to OPN stimulation, the minimum concentration that caused significant suppression was 1.5 mg/ml. GH inhibited mRNA expression for both MMPs and TIMPs through the suppression of NF-κB activation, which were increased by OPN stimulation in synoviocytes.

Conclusion

These results strongly suggest that GH favorably modify the clinical condition of osteoarthritis patients through the suppression of MMPs and TIMPs production from synoviocytes.

Key Words: Osteoarthritis, Glucosamine, Human synoviocytes, Osteopontin, MMP,

TIMP, Suppression, in vitro

(3)

はじめに

変形性膝関節症

(

OA)

は中高年に好発する疾患で、その発生頻度は

50

歳を過ぎると急速 に増加し、痛みを伴う膝

OA

患者数は

820

万人、

X

線学的検査において異常所見が認めら れる者が

2500

万人に及ぶとされている 1)。また、膝

OA

はこのように罹患率が高いのみな らず、発症早期の患者では関節液貯留や疼痛が主症状で、関節可動域制限はほとんど認め られないものの、晩期になると広範囲な関節組織の変形や変性から関節可動域制限が著明 となり、その結果、日常生活活動

(ADL)

や生活の質

(QOL)

の低下が誘発されることから、高 齢者の支援・介護サービス受給の重要な原因ともなっており 2)、発症・進展予防や治療にお いて今後より重要性が増す疾患であると考えられている。

OA

は上述したように中高年に好発する疾患で、臨床症状の特徴は徐々に進行する関 節の痛み、変形、機能障害であることから、医療機関における膝

OA

の治療では疼痛の緩 和や関節可動性維持と改善等を目的に理学療法士による運動療法、温熱療法 34)あるいは足 底板さらには義装具を使用した保存療法が主に行われている 5。一方、これら保存療法によ って疼痛の緩和や機能改善が不十分な患者には非ステロイド性抗炎症薬

(NSAIDs)

の経口投 与やステロイド、ヒアルロン酸の関節内投与という薬物療法が行われている 4)。さらに、グ ルコサミンやコンドロイチン等の機能性食品あるいは栄養補助食品には膝

OA

の進行抑制 作用があることが報告 68され、欧米諸国では膝

OA

の薬物療法としてこれら物質が使用さ れている。我が国においても膝

OA

に対するグルコサミンの効果が膝

OA

患者を対象に検 討され、グルコサミンの経口摂取により、膝の痛みが緩和されることが示されるとともに グルコサミン摂取患者では膝

OA

の進行抑制が

X

線学的に確認されることが報告 9されて いるものの、その作用機序については不明な点が多い。

OA

患者関節を形態学的に観察すると関節包や軟骨の肥厚、軟骨細胞の変性や異常増 殖、さらには軟骨表層の変性、びらんが認められる 10。また、この軟骨変性は軟骨下層か ら石灰化層に及ぶとともに、コラーゲンの変化や軟骨の線維化、線維束形成、軟骨組織内 への血管侵入も認められる 10。これら形態学的変化は組織リモデリングと呼ばれ、本反応 の発現には細胞外マトリックス分解酵素

(MMP)

が重要な役割を果たしていることが報告さ れている 11)。一方、膝

OA

罹患関節では上述した形態学的変化のみならず、好中球やマク ロファージ等の多核白血球の高度な浸潤を伴った関節液の貯留が認められる 10)。この関節 液の貯留には滑膜細胞からのヒアルロン酸の過剰産生や微小血管の透過性亢進が重要とさ れ、血管の透過性亢進や血中からの組織への多核白血球の浸潤には血管内皮細胞間隙の拡 大、基底膜の破壊が必須で、これらの反応発現にも

MMP

が重要な役割を果たしている 12)。 このような観点から、膝

OA

の病態形成と

MMP

の関連性を検討するための解析が行われ、

OA

患者血清中には健常者と比較し、有意に高濃度の

MMP

が含有されること、その含 有量は膝

OA

の病態進行と相関していることが報告されている 13)。また、著者らは膝

OA

患者から関節液を採取し、関節液中の

MMP

濃度を測定、その結果、膝

OA

患者関節液中

(4)

4

には健常者のそれと比較すると有意に高濃度の

MMP-2

ならびに

MMP-3

が含まれているこ と、さらには、これら

MMP

濃度は膝

OA

の病態進行に伴って増加するとともに、軟骨破 壊の指標とされている関節液中の

COMP

含有量との間に相関関係が認められることも観察 報告した 12)。これらの報告は膝

OA

の発症やその進展に

MMP

が重要な役割を果たしてい る可能性があることを明示している。そこで今回、膝

OA

患者由来関節滑膜細胞を用いて 骨代謝と膝

OA

の発症・進展に重要なことが示唆されているオステオポンチン 14)で刺激、

当該細胞からの

MMP

産生を指標に膝

OA

の進展予防効果があるとされているグルコサミ ン

(GH)

の効果について検討した。

(5)

材料と方法

1

試 薬

本実験で使用したヒトリコンビナントオステオポンチン

(OPN)

R & D Systems, Inc.

(Minneapolis, NM, USA)

から購入したもので、使用の直前に

Synoviocyte Growth Medium (SG Medium; Cell Application Inc., San Diego, CA, USA)1 ml

660 ng

になるように溶 解した 15)。転写因子

NF-κB

並びに

AP-1

の抑制剤 16)である

BAY11-7085 (BAY)

SP600125 (SP)

はいずれも

SIGMA-ALDRICH Inc. (St Louise, MO, USA)

から購入し、使 用の直前に

SG Medium

に溶解した。

GH

は和光純薬株式会社

(

大阪

)

から購入した保存料を 含まない化合物で、使用の直前に

SG Medium

に溶解した。

2

細胞とその培養

本実験で使用した細胞は膝

OA

患者から採取し、株化した滑膜細胞

HFLS-OA

であった

Cell Application Inc.

)。実験に際しては液体窒素で凍結保存してあった細胞を溶解後、

SG Medium (Cell Application Inc.)

2

回継代したものを使用した。本細胞を上記培地

1 ml

あたり

5 x 10

5 個になるように浮遊させ、

24

穴の細胞培養用プレートに

1 ml

ずつ分注し、

CO

2 培養器内で

2

時間静置した。その後、プレートの各

well

を滅菌した生理食塩水で

2

回 洗浄し、非付着細胞を除去した。次に、プレート各

well

660 ng/ml

のヒト

OPN

と各種 濃度に調整した

GH

を含む

SG Medium

、それぞれ

1 ml

づつを添加し、

CO

2 培養器内で細 胞を培養した。培養

24

時間目に上清を採取、使用時まで

-40

℃で保存した。

MMP

並びに

TIMP

産生に及ぼす転写因子活性化抑制剤の効果を観察するための実験では、

GH

の代わり

に各種濃度の

NF-κB

抑制剤である

BAY

あるいは

AP-1

抑制剤である

SP

を細胞培養系に添 加し、上記と同様に

24

時間細胞を培養した。転写因子の活性化ならびに

mRNA

の発現を 調べるための細胞も上記と同様に

4

時間あるいは

12

時間培養、トリプシン処理することに よってプレートから細胞を剥離し、

-80

℃で保存、

24

時間以内に実験で使用した。

3

各種因子の測定

本実験では市販のヒト

MMP

並びに

TIMP

測定用

ELISA

キット

(Amersham Biosciences Corp., Piscataway, NJ, USA)

を用いて培養上清中の

MMP-1, -2, -13

TIMP-1, -2

を測定 した。それぞれのキットの測定限界は

1.7 ng/ml

0.37 ng/ml

0.094 ng/ml

51.0 ng/ml

3.0 ng/ml

であった。

4

転写因子活性化の測定

市販の転写因子、

NF- κ B

ならびに

AP-1

、活性化測定用

ELISA

キット

(Active Motif Co.,

Ltd., Carlsbad, CA, USA)

を用いて、培養細胞における転写因子の活性化を測定した。

(6)

6 5 mRNA

発現の検索

MMP

ならびに

TIMP mRNA

発現に及ぼす

GH

の効果をリアルタイム

RT-PCR

によって 検討した。各種濃度に調整した

GH

の存在下、

OPN

で刺激した細胞から磁気ビーズを用い て

Poly A

+

mRNA を分離した。 1.0 mg の Poly A

+

mRNA から Superscript cDNA

合成キ ット

(Invitrogen Corp., Carlsbad, Calif, USA)

を用いて

cDNA

を合成、オートクレーブ滅 菌した蒸留水を用いて

DNA

量を

100 ng/ml

に調整した。この

cDNA

サンプル

2.0 µl

25.0 µl

SYBR-Green Mastermix (Applied Biosystems, Forster City, CA, USA )

さらに

0.3 µl

のプライマーを混合、

GeneAmp 5700 Sequence Detection System (Applied Biosystems)

を用いて既報の条件に準じて特異的

mRNA

を合成した 17)。合成された

mRNA

量をβ-actin のそれと比較し、結果として示した。尚、本実験で使用したプライマーの塩基配列は表

1

に示したとおりである 17)

6

統計学的検討

得られた値の統計学的有意差検定を

ANOVA

Bonferroni

試験によって行い、危険率

0.05%

以下をもって統計学的に有意と判定した。

(7)

結 果

1

OA

由来関節滑膜細胞の

OPN

依存性

NO

産生に及ぼす

GH

の効果

OA

由来関節滑膜細胞

5 x 10

5 個を

0.5 mg/ml

から

2.0 mg/ml

GH

存在下、

OPN

で 刺激し、滑膜細胞からの

MMP-1, -2, -13

産生に及ぼす

GH

の効果を検討した。図

1

に示し たように関節滑膜細胞を

OPN

で刺激したところ、非刺激の場合と比較し、当該細胞からの

MMP-1

産生が有意に増加した。この

OPN

刺激による

MMP-1

産生の増加は細胞培養系へ の

0.5 mg/ml

GH

添加では全く抑制されなかったものの、

1.0mg/ml

以上の

GH

添加によ り統計学的に有意に抑制された。また、図

1

に示したように関節滑膜細胞を

OPN

で刺激す ると、

MMP-2

ならびに

MMP-13

の産生も統計学的に有意に増加し、この

OPN

依存性

MMP

産生増強は細胞培養系に

1.0 mg/ml

以上の

GH

添加により、有意に抑制された。次に、

MMP

の内因性抑制因子である

TIMP

産生に及ぼす

OPN

刺激ならびに

GH

の効果を検討した。

上記と同様の方法で培養した滑膜細胞培養上清中の

TIMP-1

-2

の含有量を測定したところ、

2

に示したように

OPN

刺激培養上清中からは対照と比較し、高濃度の

TIMP-1

-2

が検 出 され、細胞培養系に

1.5 mg/ml

以上の

GH

を添加すると培養上清中の

TIMP

含有量が

OPN

のみ の場合と比較し、統計学的に有意に減少した。

2

OA

由来関節滑膜細胞に対する

GH

OPN

依存性

MMP

産生抑制機序の検討

OA

関節由来滑膜細胞からの

OPN

依存性

MMP

産生に及ぼす

GH

の抑制機序を

MMP mRNA

発現と転写因子の活性化を指標に検討した。まず、滑膜細胞からの

OPN

依存性

MMP

産生における転写因子、

NF-κB

AP-1

の関与をこれら因子の活性化抑制剤を細胞培養系 に添加することによって検討したところ、図

3

に示したように、

NF- κ B

活性化抑制剤であ る

BAY

5.0 µM

以上の細胞培養系への添加により

OPN

依存性

MMP

産生が統計学的に 有意に抑制された。しかしながら、細胞培養系に

AP-1

の阻害剤である

SP

を添加しても滑 膜細胞からの

OPN

依存性

MMP

産生は全く抑制されなかった(図

4

)。

TIMP

産生に及ぼ す転写因子活性化阻害剤の効果を検討したところ、

TIMP

の場合も

MMP

と同様に細胞培養 系に

MF-κB

阻害剤である

BAY

を加えたところ、

TIMP-1

ならびに

TIMP-2

の産生が抑制 されたものの、

SP

添加では何ら抑制作用は認められなかった

(

5)

。次に、滑膜細胞を

0.5 mg/ml

1.0 mg/ml

1.5 mg/ml

さらに

2.0 mg/ml

GH

存在下、

OPN

4

時間刺激し、

当該細胞における

NF- κ B

の活性化を調べた。図

6

に示したように滑膜細胞を

OPN

で刺激 したところ、

NF-κB

の著明な活性化が観察され、この滑膜細胞における

OPN

依存性

NF-κB

の活性化は細胞培養系への

1.0 mg/ml

以上の

GH

添加により統計学的に有意に抑制された。

滑膜細胞を

0.5 mg/ml

1.0 mg/ml

1.5 mg/ml

さらに

2.0 mg/ml

GH

存在下、

OPN

12

時間刺激し、当該細胞における

MMP

ならびにβ-actin mRNA 発現を調べたところ、図

7

に示したように、細胞培養系への

1.0 mg/ml

以上の

GH

添加により、

OPN

刺激によって 誘導される

MMP mRNA

発現が統計学的に有意に抑制された。また、図

8

に示したように

(8)

8

細胞培養系への

1.5 mg/ml

以上の

GH

添加により

TIMP mRNA

の発現も対照と比較し、統 計学的に有意に抑制された。

(9)

考 察

我が国における膝

OA

患者数は、

2008

年で潜在的な者を含めると

2000

万人以上 1とさ れ、これらの中から毎年約

90

万人が発症する 18と考えられている整形外科領域では非常 に重要な疾患の一つである。本疾患は加齢や筋肉の衰え、肥満などが基盤となっている膝 関節の変性疾患で、根本的治な治療法がないばかりでなく高齢者の日常生活に多くの障害 をもたらし、介護保険における要介護の対象として上位を占めている疾患でもある 2。また、

本症末期の患者では人工関節全置換術が行われ、その実施数も著増している 2ことから、

医療経済的観点からも本症の発症や増悪化予防法の確立は、非常に重要な課題 2とされ、

骨・関節の痛みに起因した身体活動の低下防止が叫ばれて 19いる疾患である。

OA

の臨床症状は徐々に進行する関節の痛み、変形、機能障害で、疼痛の訴えが最も 多い 10)。臨床症状、特に疼痛の弱い患者は、市販の湿布薬を用いた患者自身による自宅で の処置や栄養機能食品、所謂サプリメントの摂取により症状の緩和を図っているとされて いる 9)。このような観点から、健康食品の膝

OA

の発症や進展予防さらには疼痛緩和作用等 に関し、科学的な作用機序等の解明が重要であるとされている 2。そこで今回、膝

OA

に効 果があるとされている

GH

を対象に、本症の病原因子として重要と考えられている

MMP

産生に及ぼす効果を関節滑膜細胞を対象に細胞培養実験によって検討した。

まず、関節滑膜細胞を骨代謝や膝

OA

の発症に重要な役割を果たしているとされている

OPN

で刺激、

MMP

産生に及ぼす

OPN

の効果を検討するとともに

OPN

依存性

MMP

産生 に及ぼす

GH

の効果を検討したところ、

OPN

刺激により有意に増加した滑膜細胞からの

MMP-1、MMP-2、MMP-13

の産生が細胞培養系への

1.0 mg/ml

以上の

GH 添加により統

計学的に有意に減少することが判明した。線維芽細胞、上皮細胞、多核白血球等の生体構 成細胞を刺激すると本実験で示したように当該細胞からは各種

MMP

が産生されるととも に、

MMP

の内因性抑制因子である

TIMP

も同時に産生される 20)。そこで次に、滑膜細胞 からの

TIMP

産生に及ぼす

OPN

刺激と

GH

の効果を検討した。その結果、細胞培養系に

1.5 mg/ml

以上の

GH

を添加すると、

OPN

依存性

TIMP

産生が対照と比較し、統計学的に 有意に抑制されることが判明した。

14

C

で標識した

GH

を犬に経口投与すると未変化体のまま投与量の

98%

以上が吸収され、

その後速やかに血中に移行し、軟骨に取り込まれることが報告されている 21)。また、14

C

で 標識した

GH

投与犬の大腿骨から軟骨組織を採取し、放射活性を測定すると、投与後

2

時 間で投与量の約

9%

の放射活性が、投与

144

時間後でも約

1%

の放射活性が検出されること も示されている 21)。ヒトにグルコサミンを経口投与し、消化管からの吸収率や体内動態を 検討すると吸収率が約

90%

と犬の吸収率より低いものの、その後の体内動態は犬のそれと ほぼ同様であることが示されている 22)。膝

OA

に対する

GH

の有効性を検討した報告では

1

日当たり

1500mg

GH

を経口摂取すると、

GH

投与群では膝関節間隙の拡大が認められ るとともに臨床症状、中でもとりわけ疼痛の改善率がプラセボ群と比較し、有意に高かっ

(10)

10

たことが報告されている 9)。また、乾燥肌のヒトが

1

日当たり約

1500mg

GH

を経口摂 取すると皮膚水分量の正常への回復や皮膚水分量の一定化、皮膚乾燥感の消退が認められ ることも報告されている 21)

OA

の発症では、関節組織構成細胞から産生された

MMP-1

MMP-13

が関節基質の 重要な成分である

I

型ならびに

II

型コラーゲンを

3:1

の特異的部位で分解・断片化する 17)。 その後、分断化されたコラーゲンは

MMP-2

MMP-9

の作用により修復に長時間を要する 小さな分子に分解される 17)。このようなコラーゲンの分解や断片化が膝

OA

の進行につれ て軟骨深層にまで広がり、不可逆的な軟骨の変性・消失が起き、骨の露出につながること が推察されている 10)

MMP

は上述した細胞外マトリックス分解作用以外に血管に作用し、

透過性を亢進することや血球の遊走作用を促進することが報告されている 23)。また、膝

OA

患者関節軟骨、特に軟骨変性部を組織学的に観察すると軟骨細胞の著明なアポトーシスが 認められることが報告される 10)とともに、アポトーシスに陥った軟骨細胞で形成されるア ポトーシス小体にはピロリン酸が沈着し、その結果、軟骨組織の石灰化や変性が助長され る可能性も示唆されている 24)。今回検討した

TIMP

MMP

産生と同時に同じ細胞から産 生される物質で、

MMP

の活性化を阻害するのみならず、線維芽細胞等の増殖反応増強作用 や各種細胞のアポトーシスを促進することも報告されている 25)。したがって、本研究の結 果とこれら報告を併せ考察すると、経口摂取により関節部に移行した

GH

が関節滑膜細胞 からの

MMP

産生を抑制、関節軟骨基質の分解を阻止するとともに、血管の透過性や多核 白血球の関節間隙への遊走を調節、関節液の貯留、腫脹、さらには罹患膝で認められる局 所の炎症反応発現を抑制、膝

OA

の病態の改善や進行抑制に寄与している可能性が推察さ れる。また、

TIMP

によって誘導される関節軟骨細胞や滑膜細胞のアポトーシスも

GH

経 口摂取により抑制され、このことが関節組織の変性や破壊を調節していることも推察され る。

OPN

は骨組織から単離された分泌型酸性リン酸化蛋白質で、細胞膜上のインテグリン受 容体と結合し、

MMP

をはじめとしたタンパク産生に必須のシグナルを細胞内に伝達、その 結果、

NF- κ B

AP-1

等の転写因子の活性化、さらには特異的

mRNA

合成が誘導され、各 種蛋白質の産生が増強する 26。そこで次に、

GH

MMP

ならびに

TIMP

産生抑制機序を 解析するために、滑膜細胞を各種濃度の

GH

存在下、

OPN

で刺激し、転写因子の活性化な らびに

MMP

TIMP mRNA 発現に及ぼす効果を調べた。まず、滑膜細胞からの MMP と

TIMP

産生に必要な転写因子の種類を転写因子活性化阻害剤を細胞培養系に添加すること

によって検討したところ、

NF-κB

阻害作用を有する

BAY

の添加により

OPN

依存性

MMP

ならびに

TIMP

産生が濃度依存的に抑制されたものの、転写因子

AP-1

阻害剤

SP

の添加で は全く

OPN

依存性のこれら因子の産生は抑制されなかった。このことは

OPN

刺激による 滑膜細胞の

MMP

産生増加は

NF-κB

依存性の反応であることが明示されるとともに、

GH

OPN

刺激によって誘導される

NF-κB

の活性化を阻止することによって

MMP

ならびに

TIMP mRNA

の発現を抑制、被験細胞のこれら因子産生能を調節している可能性があるこ

(11)

とを示唆している。この推察は、

1.0 mg/ml

以上の

GH

存在下、

OPN

で刺激した滑膜細胞 では

NF- κ B

の活性化ならびに

MMP

TIMP mRNA

発現が

GH

非存在下で刺激培養した 細胞のそれと比較し、有意に低いことを示した本実験の結果から支持されるであろう。

(12)

12

結 論

OA

の発症・進展に重要な役割を果たしていると考えられている

OPN

で膝

OA

由来関節 滑膜細胞を刺激し、

MMP

ならびに

TIMP

産生に及ぼす

GH

の効果を検討したところ、

1.0

mg/ml

以上の

GH

OPN

依存性

MMP

TIMP

産生を有意に抑制すること、さらにこの 産生抑制作用は

GH

の転写因子

NF- κ B

活性化と

MMP

TIMP mRNA

発現抑制作用によ っていることが判明した。したがって、ここに示した結果は

GH

が滑膜細胞からの

MMP

ならびに

TIMP

の産生を抑制することによって膝

OA

の発症や進展を調節している可能性 があることを示唆している。

(13)

文 献

1

) 村木重之、川口浩

.

世界における

OA

の疫学

. Osteoarthritis update 2008; 1: 6-9 2

) 内尾祐司

.

医療環境からみた

OA. Osteoarthritis update 2008; 1: 26-28

3

) 長瀬千秋

.

変形性関節症の保存療法:変形性関節症に対する東洋医学的治療

.

関節外科

2002

21

77

80.

4

) 川口浩

. OARSI

による股・膝関節

OA

の治療ガイドライン

. Osteoarthritis update 2008;

1: 2

5

5

) 戸田佳孝

.

OA

に対する膝装具

国際雑誌掲載論文の解説

—. Osteoarthritis update 2009; 2: 11-16

6

Reginster JY, Deroisy R, Rovati LC, Lee RL, Lejeune E, Bruyere O, Giacovelli G, Henrotin Y, Dacre JE, Gossett C. Long-term effects of glucosamine sulphate on osteoarthritis progession: a randomized, placebo-controlled clinical trial. Lancet 2001; 357: 251- 256.

7

Houpt JB, McMillan R, Wein C, Paget-Dellio SD. Effect of glucosamin hydrochloride in the treatment of pain of osteoarthritis of the knee. J Rheumatol, 1999; 26:

2423-2430.

8

Mazieres B, Combe B, Phan Van A, Tondut J, Grynfeltt M. Chondroitin sulfate in osteoarthritis of the knee: a prospective, double blind, placebo controlled multicenter clinical study. J. Rheumatol, 2001; 28: 173-181.

9

) 中村 洋

.

変形性関節症に対するグルコサミン、コンドロイチン療法

.

関節外科

2002

21

209

215.

10)

西田圭一郎、宮澤慎一、井上 一.

OA

の病態と発展―形態学的面からー.関節外科

2003;22:26−32.

11)

浅野和仁、江黒 剛、田中宏典、王 興栄、浅田初枝、宮岡英世、久光 正. 変形性 膝関節症患者関節液からのマトリックス蛋白分解酵素の検出. 関節外科

2006

25

1209-1214

12)

浅野和仁、大下優介、酒井美佐子、王 興栄、松田貴子、久光 正.変形性膝関節症由 来関節線維芽細胞からのマトリックス分解酵素産生に及ぼすメロキシカムの効果.薬理 と治療

2004

32

273-280

13) Takahashi M. Relationship between radiographic grading of osteoarthritis and the biochemical markers for arthritis in knee osteoarthritis. Arthritis Research Therapy 2003; 6: 209-212.

14)

吉田宜生

,

浅野和仁、石川慎太郎、久光 正.変形性膝関節由来滑膜細胞の一酸化窒素

(NO)

産生に及ぼすグルコサミンの効果. 薬理と治療

2014

;印刷中

15) Komatsuzaki T, Suzaki I, Hirano K, Kanai K, Asano K., Suzaki H. Suppression of

(14)

14

osteopontin functions by levocetirizine, a histamine H

1

receptor antagonist, in vitro . Biomed Res Int 2013; ID 735835: 12 pages.

16) Kanei A, Asano K, Kanai K., Furuta A., Sasaki K., Suzaki H. Inhibitory action of levocetirizine on the production of eosinophil chemoattractants RANTES and Eotaxin in vitro and in vivo . In Vivo 2014: 28: in press.

17) Asano K, Sakai M, Matsuda T, Tanaka H, Fujii K, Hisamitsu T. Suppression of matrix metalloproteinase production from synovial fibroblasts by meloxicam in vitro.

J Pharmacy Pharmacol 2006; 58: 359-366.

18)

村岡 成、川合眞一

. NSAIDs

の有効性と課題

. Osteoarthritis update 2009; 2: 17-21.

19)

厚 生 労 働

.

新 健 康 フ ロ ン テ ィ ア 戦 略

健 康 国 家 へ の 挑 戦

—.

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/shinkennkou/dl/01a.pdf

20)

石黒直樹、小嶋俊久、伊藤隆安、岩田 久.関節疾患でのマトリックスメタロプロテア ーゼの意義:関節症を予測する指標開発の可能性.

Connective Tissue 2001; 33: 43-49.

21) Setnikar I, Giachetti C, Zanolo G. Pharmacokinetics of glucosamine in the dog and in man Arznem-Forsch/Drug Res 1986; 36: 729-735.

22) Setnikar I, Palumbo R, Canali S, Zanolo G. Pharmacokinetics of glucosamine in man. Arznem-Forsch/Drug Res 1993; 43: 1109-1113.

23) Hoshino M, Nakamura Y, Sim JJ, Shimojima J, Isogai S. Bronchial subepithelial fibrosis and expression of matrix metalloproteinase-9 in asthmatic airway inflammation. J Allergy Clin Immunol 1998; 102: 783-788.

24) Hashimoto S, Ochs RL, Rosen F, Quach J, McCabe G, Solan J, Seegmiller JE, Terkeltaub R, Lotz M. Chondrocyte-derived apoptotic bodies and calcification of articular cartilage.

Proc Natl Acd Sci USA 1998; 95: 3094-3099.

25) Baker AH, Zaltsman AB, George SJ, Newby AC. Divergent effects of tissue inhibitor of metalloproteinases-1, -2, or -3 overexpression on rat vascular smooth muscle cell invasion, proliferation, and death in vitro. TIMP-3 promotes apoptosis. J Clin Invest 1998; 101: 1478-1487.

26)

西村理行

.

オステオポンチン

.

骨粗鬆症治療

2008

7

154

157

(15)

図の説明

1

変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のオステオポンチン

(OPN)

依存性細胞外マト リックス分解酵素(

MMP

)産生に及ぼすグルコサミンの効果

GH=

グルコサミン;*

OPN

のみと比較し統計学的に有意差あり

図 2 変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のオステオポンチン(OPN)依存性組織メタロ プロテアーゼ阻害因子

(TIMP)

産生に及ぼすグルコサミンの効果

GH=

グルコサミン;*

OPN

のみと比較し統計学的に有意差あり

3

変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のオステオポンチン

(OPN)

依存性細胞外マト リックス分解酵素

(MMP)

産生に及ぼす転写因子、

NF-κB

活性化抑制剤の効果

BAY = BAY11-7085

;*

OPN

のみと比較し統計学的に有意差あり

4

変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のオステオポンチン

(OPN)

依存性細胞外マト リックス分解酵素

(MMP)

産生に及ぼす転写因子、

AP-1

活性化抑制剤の効果

SP = SP600125

;*

OPN

のみと比較し統計学的に有意差なし

5

変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のオステオポンチン

(OPN)

依存性組織メタロ プロテアーゼ阻害因子

(TIMP)

産生に及ぼす転写因子活性化抑制剤の効果

BAY = BAY11-7085

SP = SP600125

;*

OPN

のみと比較し統計学的に有意差あり、**

OPN

のみと比較し統計学的に有意差なし

6

変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のオステオポンチン

(OPN)

依存性

NF-κB

活性 に及ぼすグルコサミン

(GH)

の効果

OPN

のみと比較し統計学的に有意差あり

7

変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のオステオポンチン

(OPN)

依存性細胞外マトリ ックス分解酵素

(MMP) mRNA

発現に及ぼすグルコサミン

(GH)

の効果

図 8 変形性膝関節症患者由来関節滑膜細胞のオステオポンチン(OPN)依存性組織メタロプ ロテアーゼ阻害因子

(TIMP)

産生に及ぼすグルコサミン

(GH)

の効果

参照

関連したドキュメント

LPS 刺激を受けた歯肉細胞の TIMP-1 および MMP-9 の発現レベルに対するクルクミン の影響を検討した. LPS 刺激の持続期間は TIMP-1 の

変形性膝関節症(knee

本研究の目的は、地域在住女性において、X 線像での膝 OA の有無と、膝痛、下 肢筋力、慢性疾患、肥満に焦点をあて、日本人の為に作られた患者立脚型の QOL

stress-activated protein kinases/c-jun N-terminal kinases (SAPK/JNK) のリン酸化は増加したが, p38 MAPK

. コントロール動物:野生型 C57BL/6 (WT) . 加齢に よる OA モデル:両 genotype のマウスを 15 か月齢まで飼育. Instability-induced OA

MTl‑MMP に対 する抗体を用いた実験から排卵前の時期にMTl‑MMP がprogelatinase A を 活性化し、 活性型 gelatinaseA は 内在性 MMP 阻害因子

Metalloproteases −2(TIMP −2 )を介してproMMP −2 と結合し膜結合型の三分子複合体を形 成する 。ただし、この複合体に酵素活性はなく、proMMP 一2

一方ヒトでは,低血糖は GH 分泌を刺激し,高 血 糖 は GH 分泌を抑制することが門口られてい る.更に,高血糖は GHRF に対する血奨 GH