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乗松崇裕 論文内容の要旨 主 論 文

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Academic year: 2021

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乗松崇裕 論文内容の要旨

主 論 文

Longitudinal study to identify factors predicting health-related quality of life in knee osteoarthritis among community-dwelling women in Japan: The Hizen-Oshima Study

変形性膝関節症を伴う地域在住女性における健康関連 QOL の 予知因子を同定するための縦断的疫学調査:肥前大島研究

乗松崇裕、尾崎誠、富田雅人、叶兆嘉、安部恵代、本田純久、

金ヶ江光生、水上諭、高村昇、草野洋介、進藤裕幸、青柳 潔

Orthopedics 34(9) e535-e540, 2011

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻 構造病態整形外科学

(主任指導教員: 尾崎 誠 教授)

緒言

変形性膝関節症(以下膝 OA)は、高齢者にとって最も一般的な慢性関節障害 であり、国内の膝 OA 患者は、2500 万人とも推計されている。膝 OA の健康関連 Quality of life (以下 QOL) について、集団を対象とした横断研究が多くなさ れているが、縦断研究は十分とは言えず、わが国では未だ実施されていない。

本研究の目的は、地域在住女性において、X 線像での膝 OA の有無と、膝痛、下 肢筋力、慢性疾患、肥満に焦点をあて、日本人の為に作られた患者立脚型の QOL 評価尺度である Japanese Knee Osteoarthritis Measure score (以下 JKOM ス コア)を用いて、膝 OA の健康関連 QOL を予知する因子を縦断的に検討すること である。

対象と方法

対象は、1998 年から 1999 年の前向きコホートスタディである肥前大島研究に 参加した住民のうち、2008 年に施行した郵送調査に回答した 50 歳以上の女性 333 名である。初回調査時に前後方向の立位膝関節 X 線像を撮影、膝痛、心疾患 などの慢性疾患の有無、身長、体重、椅子立ち上がり時間を調査した。膝 OA は、

X 線像での Kellgren-Lawrence 分類にて、少なくとも片側にⅡ度以上の変形が存 在するものと定義した。2008 年の追跡調査では、JKOM スコアを用いて QOL を評 価した。なお、JKOM スコアは、125 点満点で、スコアが高いほど QOL が低いこ

(2)

とを意味する。

結果

追跡期間は、8.4~9.7 年(平均 9.2 年)で、女性の 32.4%に膝 OA、33.3%に 最近 1 ヶ月以内の膝痛を認めた。慢性疾患と肥満の有病率は、それぞれ 23.1%

と 30.6%であった。単変量解析にて、JKOM スコアは、年齢の増加と共に増加し た(P<0.0001)。慢性疾患を有する女性の JKOM スコア(52.0 点)は、無い人(39.8 点)より有意に高かった(P<0.0001)。肥満女性の JKOM スコア(47.0 点)は、肥満 でない女性(40.6 点)より有意に高かった(P=0.0058)。椅子立ち上がり時間が増 加するに従って JKOM スコアは高くなった(P<0.0001)

初回調査時の膝 OA と膝痛の有無で 4 つにグループ分けし、JKOM スコアを比較 したところ、膝 OA を有する群の JKOM スコアは膝痛の有無に関わらず正常群に 比べ有意に高かった。さらに膝 OA と膝痛の両方を有するグループの JKOM スコ ア(61.4 点)は、膝痛(41.5 点)もしくは膝 OA(44.2 点)を単独に有するグループ と比べ有意に高かった。重回帰分析では、高年齢、X 線像での膝 OA、膝痛、慢 性疾患、椅子立ち上がり時間の増加は、独立して JKOM スコアの増加、すなわち QOL の低下に関連していた。

考察

ベースライン時の膝 OA と膝痛は、平均 9.2 年後の QOL 低下と関連していた。

膝痛は、変形性膝関節症における機能制限の中心的要素と考えられ、痛みのた め活動が制限され、筋力低下や身体機能低下を来す。これらはさらなる活動制 限を来たし、QOL 低下の悪循環に繋がることが考えられた。椅子立ち上がり時間 の増加も大腿四頭筋力低下と関連しており、膝痛や身体機能障害との関連が指 摘されている。慢性疾患の存在もまた、追跡時の QOL 低下と関連していた。本 研究より、膝 OA、膝痛管理、下肢筋力の保持・強化、慢性疾患の管理は、変形 性膝関節症患者の QOL 維持に効果的な介入手段と考えられた。

参照

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