自閉症児及び自閉傾向児の対人的関わりについて −注意特徴を中心とした検討− [ PDF
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(2) 提示する刺激課題:Dawson(1998)の自閉症児の注意につ いて検討したときの刺激課題を参考に、以下の 4 つの刺. 分析Ⅰ−1 Play 操作条件を行う前の注意の志向性 について. 激を設定した。 「手を叩く」 「子どもの名前を呼ぶ」 「子ど. Play 操作条件を行う前の、対象児の注意の志向性を検. もの肩を叩く」 「がちゃがちゃと積み木をたたく」を各 3. 討した。Table3 は、各志向性カテゴリーのカウント数の. 回施行した。各刺激は対象児の視野内・視野外でそれぞ. 平均値と SD を示している。t検定の結果両カテゴリー. れ実施した。. の平均の差は有意であった。したがって、 「人」より「玩. 結果の処理・分析方法. 具・一人遊び」の方へと対象児の興味・関心が多く向く. 分析Ⅰ 自閉症及び自閉傾向児の注意の志向性につ いての検討 分析対象場面:母親及び実験者が関わらない場面 3 分間 行動カテゴリーの作成と評定:. と言える。 Table3 Preにおける注意の志向性T検定結果表 ( n=11) SD 自由度 t 値 有意確率 (両側) 平均値 玩具・一人遊び 127.64 42.64 10 3.40 0.01 人 49.14 35.64. Swettenham(1998)で用いられた視点を参考に以下の行動 カテゴリーを作成した(Table1) 。それに基づいて、3 分 すべての時間において、1 秒後との対象児の行動をチェ ックしカウントした。なお、ビデオ記録上の問題より、. 分析Ⅰ−2 Play 操作条件を施行した後の、注意の志 向性の変化 次に、Play 条件をはさむことで、Pre から Post へ注. 対象児 2 名が分析から除外された。. 意の志向性がどのように変化したのかに注目し検討した。. Table1 対象児の注意の志向性を見るカテゴリー. 注意の志向性のカテゴリーごとに、Post から Pre のカウ. 玩具・一人遊び. ント数を引いて、2 つの差を算出した。その差を変化率. 玩具への注視・玩具遊び・ 玩具遊び以外の一人遊び・ボーっとしている. 人. (遊びの中に人が介在していない). とした。Table4 は各志向性カテゴリーについて Play 条. Mo/実験者への注視・接触・働きかけ(介入・要求行動など). 件ごとの変化率の平均値と SD を示している。t検定の. (遊びの中に人が介在している). 結果、志向性カテゴリーそれぞれにおいて、両条件の平. 分析Ⅱ 自閉症及び自閉傾向児の提示刺激に対する. 均の差は有意でなかった(t. (10)=0.19,n.s.,. t. (10)=0.14,n.s.)。. 応答による注意についての検討. したがって、各志向性カテゴリーの変化率に Play 条件. 分析対象場面:実験者が刺激を提示する場面. の違いが影響を与えるとは言えない。. 行動カテゴリーの作成と評定:全対象児の提示刺激に対. Table4 Play条件の違いによる志向性カテゴリーのカウント数平均値とSD (n=11). する応答を逐行動的に VTR よりおこし、カテゴリーを 作成(Table 2)。それに基づいて、各刺激に対する対象児 の応答をそれぞれチェックした。 Table 2 提示刺激に対する応答カテゴリー 「注視」 実験者の顔を見る. 玩具 身体 Pre Post Pre Post 玩具・ 一人遊び 138.27 (51.87)131.09 (57.17)117.00 (51.49)115.73 (52.66) 人 38.45 (50.30) 40.09 (60.15) 59.82 (53.99) 55.82 (54.70) ( )内の数値はSD. 分析Ⅰより、Play 条件の影響を受けず、自閉症児の注. 実験者の身体を見る. 「行動」 直接反応 :「はい」「なぁに」などの言語及び手を挙げるなどの. 意の志向性として「玩具・一人遊び」に向かうことが示. 動作による刺激に対する返事とみなされる反応. された。逆に言うと、自閉症児及び自閉傾向児の注意の. 模倣 :実験者と同様手をたたく、肩を触るなどの提示刺激の繰り返し 実験者への接近・介入・要求行動 :実験者に手を伸ばして触れる/ 「 おいで」 「抱っこ」 の要求/実験者の手にしていたものをとる 拒否反応 :「いやぁ」や首を振る/背を向ける/泣き出すなど. 志向性として、自由な場面においては「人」に対して向 かいにくいということが示された。 このことは、養育者や他者からかかわりを持たない状 況においては、自分から養育者や他者に社会的相互作用. 結果と考察 分析Ⅰ 自閉症及び自閉傾向児の注意の志向性につい ての検討. を始めることもしない(Kasari,Sigman,& Yirmiya,1993)、 さらに注視に限ってみた先行研究においても、人をより 少なく見て短く見る、モノをよりたくさん見より長く見. Play 条件の違いにおける注意の志向性に関する等質. る(Swettenham,1998)ということが示されており、過去. 性の検討:Play 条件を施行する前段階の Pre において、. の研究で示唆された結果を本研究においても支持するこ. 条件間に注意の志向性に差がないことを確かめるために、. ととなった。しかし、本研究においては1回しか Play. Play 条件における各志向性カテゴリーの平均について. 条件を施行しておらず、 今後数回 Play 条件を重ねていく. t検定を行った結果、有意差は見られなかった。したが. ことで、対人的かかわりの違いが彼らの注意の志向性に. って、注意の志向性において等質性が確認された。. どのような影響を及ぼすのか、検討する必要がある。.
(3) 分析Ⅱ 自閉症及び自閉傾向児の提示刺激に対する. 分析Ⅱ−2 Play 操作条件操作後における提示刺激 への「注視」 「行動」生起頻度の変化について. 応答による注意についての検討 Play 条件の違いにおける応答による注意に関する等. 次に、Play 操作条件をはさむことで、Pre から Post. 質性の検討:Play 条件を施行する前段階の Pre において、. へ、 「注視」及び「行動」生起頻度がどのように変化した. 条件間に応答的な注意に差がないことを確かめるために、. のかに注目し検討した。提示刺激に対する対象児の「注. Play 条件における各志向性カテゴリーの平均について. 視」 「行動」それぞれの生起頻度について、Post から Pre. t検定を行った結果、有意差は見られなかった。Play 条. を引いて、2 つの差を算出した。その差を頻度の変化率. 件によって応答生起頻度の違いがないかどうか確かめる. とした。Table6は Play 条件ごとの Pre/Post それぞれ. ために事前分析を行った結果、有意差は認められなかっ. の「注視」 「行動」生起頻度の平均値と SD を示している。. た。したがって、Play 条件を施行する前段階においては、 提示刺激への応答生起頻度に、違いはないといえる。 分析Ⅱ−1 Play 操作条件を行う前の提示刺激に対 する「注視」 「行動」の生起頻度についての検討 Play 操作条件を行う前の、提示刺激への「注視」及び. Table6 Play条件の違いにおける「注視」「行動」生起頻度の平均値とSD (n=13) 玩具 身体 視野内 視野外 視野内 視野外 注視 Pre 3.69 (3.01) 2.23 (2.28) 3.69 (3.73) 3.08 (2.84) Post 4.23 (3.47) 1.69 (1.80) 5.00 (3.83) 2.69 (2.10) 行動 Pre 2.69 (2.56) 1.31 (1.80) 1.08 (1.26) 1.23 (1.92) Post 2.23 (2.45) 2.00 (1.29) 4.31 (3.71) 2.15 (1.77) () 内の数値はSD. 「行動」による応答生起頻度について刺激提示位置の違 いもふまえて検討を行った。Table5は各応答の平均値. 「注視」生起頻度の変化について. と SD を示している。提示刺激に対する応答(注視・行. Play 操作条件の影響を受けて、 「注視」生起頻度に変. 動)×刺激提示位置(視野内・外)の 2 要因の分散分析. 化が見られるかどうかを検討するために、Play(玩具・. を行った結果(Fig.2)、主効果、交互作用いずれも有意な. 身体)×刺激提示位置(視野内・視野外)の 2 要因の分. 差は認められなかった。. 散分析を行った(Fig.3) 。その結果、Play 要因の主効果. しかし、F 値は有意傾向に近い値を示しており、 「行動」. ( F(1,12)=0.001,n.s. )、 刺 激 提 示 位 置 の 主 効 果. より「注視」の方がその生起頻度が高いこと. (F(1,12)=2.714,n.s.)、及び Play×刺激提示位置の交互作用. (F(1,12)=2.988,p=0.11)、また刺激提示位置が、視野内のほ. (F(1,12)=0.857, n.s.)、いずれにおいても有意差は認められ. うが視野外のときより生起頻度が高いこと. なかった。したがって、 「注視」における頻度の変化は、. (F(1,12)=2.752,p=0.12)が示されている。. Play 要因の違い及び刺激提示位置の違いによって、差が 見られないことが示されている。. T a b le 5 P re の 「注 視 」「行 動 」 生 起 頻 度 の 平 均 値 と S D. 注 視 行 動. (n = 1 3 ). 平 均 値. SD. 視 野 内. 3 .6 9. 2 .9 2. 視 野 外. 2 .6 5. 2 .2 8. 視 野 内. 2 .4 6. 2 .1 8. 視 野 外. 1 .6 5. 1 .3 3. 6. 視野内. 5. 視野外. 生4 起 3 頻 度2. 2.5 ﹁ 2.0 注 視 1.5 1.0 ﹂ 生 0.5 起 0.0 頻 -0.5 度 -1.0 の -1.5 変 -2.0 化 -2.5. 玩具. 身体. 視野内. 視野外. Fig.3 Play条件および刺激提示位置の違い における注視生起頻度比較. 「行動」生起頻度の変化について. 1 0 注視. 行動. Fig. 2 Figure Preにおける刺激提示位置の 違いによる注視・ 行動生起頻度. Play 操作条件の影響を受けて、 「行動」生起頻度に変 化が見られるかどうかを検討するために、Play(玩具・ 身体)×刺激提示位置(視野内・視野外)の 2 要因の分 散分析を行った(Fig.4) 。その結果、Play×刺激提示位 、Play 要因の主 置の交互作用(F(1,12)=6.289,p <.05) 効果(F(1,12)=6.173,p<.05)に有意差が認められた(F(1,12).
(4) =6.289,p <.05) 。. が示された。しかし、その社会的なものへの応答的注意. そこで、刺激提示位置における単純主効果を検定した. も、 「注視」による応答に関しては対人的関わりの影響を. ところ、身体 Play 条件において 5%水準で有意差が見ら. 受けにくいものであった。一方「行動」においては、影. 、身体 Play 条件において、刺 れ(F(1,12)=6.793,p<.05). 響を受けやすい応答的注意であることが示された。この. 激提示が視野内であるとき視野外であるときよりも「行. ことから、自閉症において「注視」という形では対人的. 動」生起頻度の変化が大きいことが示された。また、Play. な影響を受けての反応を引き出すことが難しくても、 「行. 要因の単純主効果を検定したところ、刺激提示位置が視. 動」においては、対人的な影響を受けた反応を引き出し. 野内であるとき 5%水準で有意差がえられ. うることを示唆するものと思われる。. 、刺激提示位置が視野内であると (F(1,12)=7.468,p<.05). また、自閉症児及び自閉傾向児の提示刺激に対する応. き、身体 Play 条件のほうが玩具 Play 条件のときよりも. 答的注意を引き出す関わりとして、本研究の結果より、. 「行動」生起頻度の変化が大きいこと示された。. 身体 Play の有効性を示唆した。これまでも、対人関係の 形成における身体接触の重要性は、愛着研究の文脈など. 2.5 ﹁ 行 2.0 動 1.5 1.0 ﹂ 生 0.5 起 0.0 頻 -0.5 度 -1.0 の -1.5 変 -2.0 化 -2.5. 玩具. 様々な研究分野で言われている(Pederson & Moran,1996. 身体. 等) 。逆に、玩具 Play においては社会的な注意が減少す る可能性が示唆された。健常乳児において、対象物が入 ると人への注意が向かず関わりが難しくなる時期がある. 視野内. との報告があり(Kaye,1982/1993)、 自閉症児においても、. 視野外. 彼らが持つ注意特徴のため、玩具を介しての対人的関わ りは難しくなった可能性が考えられる。. Fig.4 Play条件および刺激提示位置の違い における行動生起頻度の変化比較. まとめと今後の課題 本研究において、対人的な関わりが自閉症児の注意の. 分析Ⅱ−3 提示刺激に対する「行動」による応答の 下位カテゴリーの検討. 志向性及び社会的な注意の応答性に影響を及ぼすかどう かの検討を行った。その結果、志向性においては、対人. 分析Ⅱ−2より、刺激提示位置が視野内であるとき、. 的関わりの影響を受けずモノへの志向性が依然高かった。. 「行動」による応答生起頻度の変化が大きいことが示さ. 一方、応答的な注意については「注視」においては影. れた。しかし、 「行動」カテゴリーのどの項目で変化を示. 響を及ぼすことが難しかったが、 「行動」においては対人. したのか明らかでない。そこで次に視野内における「行. 的な関わりの違いが社会的なものへの注意の向け方に影. 動」 カテゴリーのみを取り出して補足的に検討を加える。. 響を及ぼすことが示された。しかし、本研究においては. Table7 を見てみると、身体 Play 条件後の「接近・接. 対人的な関わりを条件ごとに一度しか施行しておらず、. 触・介入」 「模倣」カテゴリーが Pre から Post へと増え. かつ身体 Play・玩具 Play という大きな枠でしかその影. ることが示されている。一方、玩具 Play 条件後にはそ. 響を捉えていない。したがって、今後、社会的なものに. れらのカテゴリーが減少してしまうことが示されている。. 注意を向けるためにどんな要因が有効であったのかをよ り詳細に明らかにしていくこと、また長期的な発達の枠. Table 7 視野内におけるPlay条件の違いによる「行動」下位カテゴリ内訳. 玩具 Pre 直接反応 模倣 接近・介入・要求 拒否. 10 8 11 6. Post. 7 2 3 2. 身体 Pre. Post. 16 5 2 6. 12 12 22 7. ※ 数値は頻度. 分析Ⅱより、提示刺激に対する応答という形で人に注 意を向ける文脈においては、関わりによって、自閉症及 び自閉傾向児の社会的な注意を引き出しやすくなること. 組みの中での社会的なものへ注意を向けていく過程を明 らかにしていくためのデータを集積して理解を深めてい くことが望まれる。.
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市民的その他のあらゆる分野において、他の 者との平等を基礎として全ての人権及び基本
(自分で感じられ得る[もの])という用例は注目に値する(脚注 24 ).接頭辞の sam は「正しい」と