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博 士 ( 医 学 ) 舩 越 徹 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 舩 越    徹

学 位 論 文 題 名

A novel NF‑KB inhibitor , dehydroxymethylepoxyqulnomiCin ,     ameliorateSinnammatoryCOloni  lmlCe

    c   【 C1nJurylr

     (新規 NF ・ KB 阻害剤 dehydroxy 璽 ethylepoxy9uinomicin は、

     マ ウ ス に お け る 大 腸 の 炎 症 性 傷 害 を 改 善 す る )      学位論文内容の要旨

【背景と目的】

潰瘍性大腸 炎・クローン病に代表される慢性炎症性腸疾患

(IBD)

は、1980 年代以降著明 に漸増して いる難治性疾患である。近年、アミノサリチル酸製剤(5‑ASA) に加え免疫抑制 剤・抗

TNFa

抗体の使用により治療成績が向上しているが、未だ難治性であり更なる治療 法の開発が 望まれる。

IBD

の腸粘膜では 、炎症性サイトカイン産生を制御する転写因子

NF‑

だB の持続的な活性化とその制御失調が起こっていることが知られている。また、臨床 治療薬の5 一

ASA

や抗TNFa 抗体にはNF‑ cB の間接的阻害作用があり、動物実験においては

Simvastatln

、cruc 岫

ln

NF

―だBdecoy 等による大腸炎抑制効果、NF ―

EB

活性抑制効果が 報告されている。これらより、NF −だB の核内移行を選択的に阻害する新規薬剤であるDHMEQ の治療効果 が期待される。そこで我々は、マウスの大腸炎モデルを用いて

Dm

厄Q の腸炎抑 制効果を検討した。

【材料と方法】

In

灯むロ:結腸細胞株(HT −29) 、マクロファージ細胞株(RAW264.7 )をそれぞれLPS 10 ng/ml と

10p g/ml

で刺激し、DHMEQ 添加によるHT −29 からのIL ―

8

RAW264.7

からのTNFQ .IL −6 の産生抑制効果をELISA 法で検討した。同時に、

RAW264.7

ではNF‑ だ

B

のサブユニットで あるp65 の核内移行を免疫組織化学染色により確認した。In vivo :8 週齢雄C57BL/6 マウ スに3 %デキストラン硫酸ナトリウム(DSS :

36

50kDa)

を5 日間飲水させて大腸炎を誘発 し、その後

5

日間RO 水を飲水させた。また

8

週齢雄BALB/c マウスに2 ,4 ,6 一トリニトロベ ンゼンスルホン酸

(TNBS)1

.5mg を含んだ50 %エタノール溶液を注腸して大腸炎を誘発し、

4

日間経過を観察した。DHMEQ は両大腸炎ともに連日腹腔内投与した。大腸炎の評価は体重 減少・下痢・血便による

disease activity index(DAI)

、大腸浮腫、組織学的スコアリン グ、免疫組織化学染色による細胞浸潤の程度、大腸組織中の炎症性サイトカインmRNA 発現 により行い、Dm 凪

Q

の大腸炎抑制効果を検討した。統計では、

2

群間の比較にはstudent −t

test

、 多 群 間 の 比 較 に は

AN0vA

withapostlhocturkey stest

) を 用 い た 。

【結果】

In

汀 むロ :RAW264.7 細 胞に おい て、

DHMEQ

はLPS 刺激による

p65

の核内移行を阻害し、

炎症性サイトカインであるIL −6 、TNFa の産生も有意に抑制していた。また、HT −29 細胞で は 、

LPS

刺 激 に よ る

IL

8

の 産 生 を 有 意 に抑 制し てい た。 わ

V1 VO

DSS

腸 炎で は、

DHMEQ20mg/kgl

日2 回投与群で

DAI

スコア、大腸浮腫、組織学的スコアリングの有意な改 善を認めた。また標準治療薬である5‑ASA の投与では、明らかなDSS 腸炎の改善を認めな かった。大腸組織の免疫組織化学染色(IHC) では、F4/80 (マクロファージ).CD4 陽性細胞、

また核内p65 陽性の炎症 細胞浸潤を有意に抑制した。大腸組織中の炎症性サイトカインの 解析では、IL ー1 ロ,TNFQ ,IL‑6 ,IL ―12p40 ,IL ー

17

,MCP ―1 のmRNA 発現を有意に抑制して いた。さらに、

TNBS

腸炎においてもDH 肥Q15mg /kg1 日

2

回投与群では体重減少、肉眼的大 腸 障 害 度 ス コ ア リ ン グ 、 組 織 学 的 ス コ ア リ ン グ の 有 意 な 改 善 を 認 め た 。

【考察】

本研究では、腸管上皮細胞(IEC) とマクロファージにおけるDHMEQ の抗炎症作用を検討し た。腸管上皮細胞は、腸管粘膜におい て

T

細胞分化の抗原提示細胞としての機能を担い、

effectorT

細胞を刺激し、IL ―1 ,6 ,8 やTNFa といった炎症性サイトカインを産生する。特に

129

(2)

【 結 語 】

新 規NF‑B阻 害 剤DHMEQは 実 験 的 大 腸 炎 を 抑 制 す る 。 臨 床 応 用 に 向 け 、 さ ら な る 研 究 が 必 要 で は あ る が 、 本 剤 は 炎 症 性 腸 疾 患 に 対 し 有 用 で あ る 可 能 性 が あ る 。

130

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨

学 位 論 文 題 名

A novel NF‑KB inhibitor ,dehydroxymethylepoxyqulnomiCin ,     ameliorateSinnamma  2010ni

    c  tory |   、C1nJurylnmlCe

     (新規NF ・阿B 阻害剤dehydroxymethylepoxyquinomicin は、

     マ ウ ス に お け る 大 腸 の 炎 症 性 傷 害 を 改 善 す る )

  潰 瘍 性 大 腸 炎 ・ ク ロ ー ン 病 に 代 表 さ れ る 慢 性 炎 症 性 腸 疾 患 (IBD)は 、 厚 生 省 の 特 定 疾 患 研 究 対 象 疾 患 で あ り 、 未 だ 治 療 法 が 確 立 さ れ て い な い 難 治 性 疾 患 で ある 。 炎 症 性 腸疾 患 の 腸 粘 膜 で は 、NF‑ KBの 持 続 的 な 活 性 化 と そ の 制 御 失 調 が 起 こ っ て い る こ と が 知 ら れ て お り 、 NFー ぷBの 核 内 移 行 を 選 択 的 に 阻 害 す るDHMEQの 治 療 効 果 が 期 待 さ れ る 。 本 研 究 で は 、 マ ウ ス の 大 腸 炎 モ デ ル を 用 し ゝ てDBMEQの 腸 炎 抑 制 効 果 を 検 討 し た。 発 表 内 容 は、DHMEQの マ ク 口 フ ァ ー ジ ・ 腸 管 上 皮 細 胞 株 に お け る 炎 症 性 サ イ ト カ イ ン の 産 生 抑 制 効 果 に 関 す る も の と 、 DHMEQNF‑B活 性 を 阻 害 す る こ と に よ りDSS腸 炎 .TNBS腸 炎 を 抑 制 す る こ と 、DSS腸 炎 の 機 序 に お い てDHMEQが マ ク 口 フ ァ ー ジ の 活 性 .Thl/17応 答 の 抑 制 に 関 わ っ て い る こ と で あ った 。

  公 開 発 表 後 、 神 山 准 教 授 か ら @DSS腸 炎 は ク 口 ー ン .UCど ち ら に 近 い モ デ ル な の か 、 ◎ 5‑ASAは 注 腸 投 与 で 、DHMEQは 腹 腔 内 投 与 と 投 与 法 が 異 な る 理 由 、 ◎DHMEQを 注 腸 す る と 腸 管 上 皮 に 悪 影 響 は な い か に つ い て の 質 問 が あ っ た 。 回 答 と し て @腸 管 の 組 織 所見 か ら 、 当 初 はUC類 似 と 言 わ れ て い た が 、 現 在 は サ イ ト カ イ ン の 反 応 な ど か ら ク ロ ー ン 病 類 似 と 考 え ら れ て い る 。 た だ し 、 完 全 に 片 方 の 疾 患 を 反 映 し て い る 腸 炎 モ デ ル は 存 在 し な い 。 ◎ DHMEQは 腹 腔 内 投 与 で は 効 果 を 認 め た が 、 直 腸 内 投 与 で は 抑 制 効 果 を 示 さ な か っ た 。 で き る だ け 標 準 的 な 治 療 薬 と の 比 較 を す る た め に5‑ASAを 用 い た 。5‑ASAの 投 与 方 法 と し て は 、 経 口 か 注 腸 が あ る が 、 よ り 直 接 の 治 療 効 果 を 考 慮 し て 注 腸 を 選 択 し た。 最 終 的 に 同じ 投 与 方 法 での 比 較 が で きな か っ た た め、 そ れ ぞ れ にvehicle control群 を 設 定 し て 間接 的 に 比較 した 。

NF‑RB活 性 の 抑 制 が 腸 管 上 皮 の み に 限 局 さ れ る こ と が あ れ ば 、 上 皮 の 増 殖 ・ 免 疫 寛 容 に 関 連 す る シ グ ナ ル 伝 達 が 阻 害 さ れ 、 上 皮 層 が 破 綻 す る 可 能 性 が あ る 。腸 炎 を 抑 制 する た め に は 粘 膜 下 層 に お け る NF‑EB活 性 の 抑 制 が 必 要 と 考 え ら れ る 、 と 説 明 し た 。   次 に 、 武 冨 教 授 か ら は @IBDは 慢 性 炎 症 で あ り 、 こ の モ デ ル で は 炎 症 の 抑 制 は 示 せ て も 、 改 善 を 示 す も の で は な い の で は 、 ◎HT‑29と い う 癌 細 胞 を 用 い た 理 由 、 ◎ ク 口 ー ン とUCの 発 症 機 序 に つ い て の 質 問 が あ っ た 。 回 答 と し て @ 厳 密 に は 、3‑4サ イ ク ル 繰 り 返 す こ と で 慢 性 腸 炎 モ デ ル を 作 成 し て 投 薬 実 験 を 行 う べ き だ が 、 物 理 的 に 困 難 で あ っ た た め 、DSS腸 炎 のDSS投 与 終 了 後 の 炎 症 持 続 期 間 の 評 価 で 代 用 し た 。 ◎ 大 腸 癌 細 胞 株 で は あ る が 、 大 腸 炎 モ デ ル の 実 験 で は 腸 管 上 皮 細 胞 の 代 用 と し て 広 く 使 用 さ れ て い る た め、 本 実 験 で も用 い た 。 実 際 に 、 純 粋 な大 腸 の 上 皮 細胞 を 用 い る の は困 難 で あ る 。◎ 基 本 的 に は多 因 子 疾 患 であ る が 、 衛 生 面 等 の 環 境 要 因 が 影 響 を 与 え る 割 合 は 大 き い 。 実 際 発 展 途 上 国 には 同 疾 患 は ほと ん ど 認 め ず 、 日 本 よ り 衛 生 環 境 が 早 く と と の っ た 欧 米 で は 、 日 本 よ り も は やく 患 者 数 が 増加 し た 、 と 説明 し た 。

  平 野 教 授 か ら は(Di.p投 与 で の 薬 剤 の 作 用 形 態 、 ◎vitro実 験のnニ5は 少な い の で は 、検 定 一131

宏 聡

信 哉

典  

  紹

藤 野

冨 山

授 授

授 授

   

   

(4)

は問題 ないか 、◎DSS 腸炎の

DAI

スコ アで行っ ている

2

つの 検定は どれを比較しているの か 、 @ 大 腸の

mRNA

発 現 で、

5

日 目 と

10

日 目で 異 な る結 果 の 解釈 は 、 ◎DSS とTNBS と

2

つのモ デルを 用いた根 拠につ いての質 問があった。回答として◎腸管の外側よりDMSO を 媒体としての直接浸潤と、腹膜を通しての血中移行の両方と考えるが、実証する手段が整っ ていな いため 確認はし ていな い。◎n=s でもそれほどSD は大きくなく、t 検定で明らかな 有意差を認めているため問題ないと考える。◎多群問比較をしたものと、vehicle control と の

2

群 比較を したも のの両者 の有意 差を認め た点を 示した。

@DSS

投与最 終日の5 日目で は、TNFa .

IL‑1

IL‑6

MCP‑1

が高値であルマク口ファージを中心とした炎症反応が起こ っ てい る。DSS の投与 終了後の

10

日目で は、TNFa の 発現は低 下して いるが、

IFN

アの 発 現は高 めであ る。また

IL‑6

 MCP‑1

IL‑17

11117

関連のmRNA 発現の上昇がみられる。

これらから、10 日目の段階ではThl/17(Th17 優位)による

T

細胞応答による炎症反応が継続 してい ると考 えられる 。◎DSS とTNBS は、 もっと も一般的 に確立 されたもので、頻繁に 用いられているモデルである。IBD を明確に反映しているモデルはなく、一般的には2 つ以 上 の モ デ ル で の 効 果 を 示 さ な け れ ば 不 十 分 と さ れ る 傾 向 が あ る 、 と 説 明 し た 。

  

最後 に 佐 藤教 授 か ら 、

CDDHMEQ40mg/kgl

1

回投与と

20mg/kgl

2

回投与と で結果 が 異なった理由は、@NF‑ 咒B をより選択的に阻害することがより良い治療効果が得られるこ とに つなが るのかに関する質問があった。回答として、

DHMEQ40mg/kgl

日1 回投与では、

5

日目までは腸炎を抑制する傾向にあるが、その後腸炎は悪化した。もともと血中での分解 が早く半減期が短いこともあり、一回で強く抑制するよりもある程度のNF‑ だB の抑制を継 続的に行う方が腸炎を抑制するのに適していると考えられる。◎NF‑ 瓦B においてより選択 的に阻害することが必ずしも良い治療効果につながるとは限らないが、この薬剤を作用させ る 場 所 を あ る 程 度 確 定 で き れ ば 、 効 果 を 期 待 で き る と 考 え る 、 と 説 明 し た 。

  

この 論文は、DHMEQ という新規薬剤が大腸炎モデルで腸炎抑制効果を示した最初の論文 であ り、今 後の

IBD

領域で の臨床応 用が期待 される 。

  

審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども併 せ 申 請 者が 博 士 ( 医学 ) の 学位 を 受 ける の に 充分 な 資 格を 有する ものと判 定した 。

‑ 132

参照

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