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博 士(理 学) 並河 洋 学位 論文題 名

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Academic year: 2021

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     博 士(理 学) 並河    洋 学位 論文題 名

BIOSYSTEMATICS OF =THE GENUS STYLACTARIA

(HYDRACTINIIDAE, HYDROZOA)     FROM HOKKAIDO, JAPAN

(北海道産アミネウミヒドラ属(ウミヒドラ科、

ヒドロ虫綱)のバイオシステマアイクス)

学 位論文内容の 要旨

StylactariaはHydractiniidae(ウ ミ ヒド ラ科 )に 属し 、  他 物に 付着 し て生 活す る海 産 の群 体 性ヒ ドロ 虫類 であ る 。Stylactariaは 主に 他の 動 物体 上に 生活 し 、  群体 を構 成する 個虫が栄養個虫、  生殖個 虫、  触手状個虫に分業している、  いわゆる多形性ヒド ロ虫の 一属である。St̲ylactariaの分類は、  従来、  生殖体の形態、  個虫構成、  及び各 々 の個 虫 の形 態を類別形貿とし てなされてきた。  しかし 、  栄養個虫の大きさの違い を も とに 識 別さ れて いた 近縁 種 が同 種で ある 可 能性 も指 摘さ れて いるように、  これま で 用 いら れ てき た類別形貿は変異 に富み、  正確に種を同定 できない現状にある。  また 、 こ れ ま でStylactariaの 系 統 関 係 を 解 明 す る た め の情 報 はほ とん ど得 ら れて いな い。

従って 、  種を正確に分類し、  さらに、  系統関係解朋の端緒を得るためにはそれぞれの 種の特 性を明確にする必要がある 。

  北 海 道 か ら は 非 常 に 近 縁で 形態 差 の少 ない とさ れるStylactaria canchicola(Yama da,1947)とS. uchldaj(Ya■ada,1947)が知られている 。  また、  最近Stylactaria iulti霊ranosi Naiikawa,1991が 発見 され た 。  本研 究で は、  このStylactaria3種 の 生 活史 を 多数 の標本を用いて詳 細に研究し、  それぞれの 種の特性を明らかにした。  さ ら に、  その 結果 にも とづ き 、stヱlactaria属の 分類 及び 系統 関係について考察した 。   第1章で は、  まず3穐の 再 記載 を行 なっ た 。S. conchicolaは、  今 回 新し い個 虫型 が 発見 さ れ、  多 形の 程度 の 高い 種で あることが明らかと なった。  この種の群体は2型 の栄養 個虫、  2型の生殖個虫、  1型の触手状膕虫で構成されていた。  また、  個虫の有 無に関 して群体間変異がみられた 。  一方、Stylactaria uchidaiは、  原記載通り、  全

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て の 群 体 が そ れ ぞ れ1型 の 栄 養 個 虫 、  生 殖 個 虫 、  触 手 状 個 虫 で 構 成 さ れ て い た 。 以 上 2種 は 雌 の 生 殖 体 の 構 造 に 次 の よ う な 連 い が あ っ た 。  ≦ , conchicolaの 雌 の 生 殖 体 の 柄 は 円 筒 状 で モ の 周 囲 を 複 数 の 卵 が 取 り 囲 ん で い た の に 対 し 、  量 ・uchidaiの そ れ は 杯 状 で モ の 上 に 1個 の 卵 が あ っ た 。  こ の 様 な 個 虫 構 成 と 生 殖 体 の 構 造 に お け る 差 異 で

こ の2種 は 形 態 的 に 識 別 で き る こ と が 判 明 し た 。

st lactariaultigranosiの 群 体 は4型 の 個 虫 、  1型 の 栄 養 個 虫 、  2型 の 生 . 殖 個 虫 、

1型 の 触 手 状 個 虫 で 構成 さ れて いた 。個 虫 構成 にはs− .conchicolaと 同様 に群 体間 変 呉 が あ っ た 。 本 種 は 生 殖体 が真 水 母様 体で ある こと で 量.canchicolaとS. uchjdaiか ら、  また、  生殖体が触手を欠き生殖個虫から遊離しなLr丶こと、  生殖体中で卵が幼生ま で発生していたこと で他の真水母様体を持っ種 から識ヨl』できた。  この 種の群体はすべ て雌であった。

  野 外 に お ぃ て 、S. uchidaiの 群 体は 岩石 やフ ジッ ボ の殻 等様 々な 付 着基 上か ら採 集 されたのに対して、  豊.conchicolaと墨・iultiSranosiの群体は各々特定の巻貝HQ璽壘!Q poia aiussitatu: Nassarius iultiSranosusの 生貝 の 貝殻 上に のみ みら れ た。  この こと は 、  墨.conchicolaと量.iultigranosiとが付着基特異性の強い 種であることを示 唆し、S.  conchicolaをS.  uchidaiから、  ま た、  量.niultiSranosiを記載不十分な近 縁種 か ら識別す る形貫として有用であった 。  しかしながら、  野外採 集は各穐の棲息可 能な 付 着基を網 羅していなぃ可能性がある 。  この付着基特異性の分類 上の価値は、  各 々 の 穐 の 付 着 ・ 変 態 可 能な 付着 基 を実 験的 に検 証す る こと で明 確に で きる であ ろう 。   第2章 で は 、  上 記の こ とを ふま えSt,ylactaria3種 の幼 生期 の特 性 を調 査し 、以 下 の様 な 種間 の差 異を 朋ら か にし た。  1)S.  conchicola絃 配偶 子を 放出 し 、S.  uchi 虹iとS.IultiSranosiは 胚 を保 謹した。  2)幼生の形態は棍棒状であ った。  しかし、

量.uchidaiの幼 生 暑ま 体全 体に 刺胞を持 っ匍ふく型で、  s. conchicolaとS.lultiSran 吐iの幼 生は 、後 端 部に 刺胞 の充 満 した 待謹 型( 前端 部 を接 地゛ して 巻貝 の 通過 を侍っ 型) で あっ た。  3)変 態実 験の 結 果、s.  uchidaiは 付着 基特 異性 を持 た なぃgenera listで あるのに 対し、  量.conchicolaとS. NultiS̲ranosiとは各々の 付着基である巻貝 の開 ロ 部付 近で しか 変態 で きな いspecialistで ある こと を確認した。  以上の幼生期の 特性は3種の違いを さらに明確にした。

  第3章 では 、  今 回新 たに 発見 さ れたS.  conchicolaの触 手状 個虫 につ い ての 新たな

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知 見 を 報 告 し た 。 触 手 状 個 虫 は 、  先 端 に 刺 胞 の 充 満 し た 糸 状 の 個 虫 で 、  他 の 付 着 動 物 と の 境 界 部 域 に 多 数 分 布 し て い た 。  こ の 個 虫 は 餌 を 捕 ら え る こ と が で き な か っ た 。   か し 、  こ の 個 虫 が 隣 接 す る コ ケ ム シ 類Cel豊 堂orella hyalinaの 群 体 の 虫 体 の 触 手 が 起 こ す 水 流 に 乗 っ て そ の 口 部 に 接 触 し 刺 胞 を 発 射 す る 事 が 観 察 さ れ た 。  接 触 直 後 、  コ ケ     I

厶シ群体は全虫体を 殻内に引き込んだ 。

  以 上 の 観 察 事 実 を ふ ま え 、Chyalinaに 対 す る 接 触 実 験 を 行 な っ た 。  栄 養 個 虫 の 触 手 で 接 触 し た 場 合 、C. hyalinaの 群 体 は 接 触 を 受 け た 虫 体 だ け を 約2分 間 殻 内 に 引 き 込 ん で い た の に 対 し 、  触 手 状 個 虫 の 接 触 で は 約30分 間 全 虫 体 を 殻 内 に 引 き 込 ん だ 。 連 続 接 触 実 験 に よ る と 、  虫 体 の 引 き 込 ん で い た 時 間 は 、  栄 養 個 虫 で は 変 化 し な か っ た が 、  触 手 状f固 虫 の 場 合 指 数 的 に 増 加 し た 。  こ の 様 なchjyalinaに 対 す る 触手 状個 虫 と 栄 養 個 虫 の 接 触 効 果 の 差 は 、  刺 胞 構 成 の 違 い に よ る も の で あ る こ と が 朋 ら か と な っ た 。 こ れ ら の 結 果 か ら 、S.  conchicolaの 触 手 状 個 虫 は 他 の 付 着 動 物 と の 棲 息 場 所 を め ぐ る競争における防御 用の個虫であるこ とが示睦された。

  4竃 で は 、  上 記 の3種 の 差 異 を ま と め 、Stylactariaの 分 類 に つ い て 考 寮 し た 。 上 述 の よ う に 、  こ れ ら3種 は 形 態 と 幼 生 期 の 特 性 に よ っ て 十 分 に 識 別 で き た 。  形 態 形 貿 と し て は 、  生 殖 体 の 形 態 と 個 虫 構 成 が 有 用 で あ っ た 。  従 来 用 い ら れ て い た 個 虫 の 大 き さ 、  触 手 数 は 種 間 で 重 な り が あ る た め 類 別 形 買 と は な ら な か っ た 。stlactaria 分 類 に お ぃ て 、 生 殖 体 型 は5型 ( 退 化 水 母 、  真 水 母 様 体 、  隠 水 母 様 体 、 異 水 母 様 体 、 生 殖 腺 が 直 接 生 殖 個 虫 の 体 壁 中 に 発 達 す る 型 ) と さ れ て い た が 、S.  conchicolaS― . chidaiの 生 殖 体 は 棒 状 体 で あ っ た の で 、  生 殖 体 型 は6型 に 再 類 別 で き た 。S.  conch icolaと ≦ .multiSranosiの 個 虫 構 成 に 砿 群 体 間 変 異 が あ っ た 。  こ の こ と か ら 、SnJ a― ! ! !! ! !で は単 一 の標 本を も とに 個虫 構 成を 特定 で きな ぃ。 特 に、  触 手 状個 虫の 有 無 は、  群 体 聞変 異が 苦 しい ので 、  指 標形質とはなら なぃ。  また、  S.£Qnhic01aや§.m u―!!!g!!nQ! !の様に付着基特 異的な種は、  そ のことが実験で検証 された場台にのみ 、   れ を も と に 近 縁 穐 か ら 識 別 す べ き で あ ろ う 。  以 上 の こ と か ら 、  多 数 の 標 本 を 用 い た 生 活 史 研 究 に よ っ て 各 々 の 群 体 の生 殖 体の 形態 、  個 虫構 成 、  及び 、  幼 生期 の 特性 (特 に 、 付 着 基 特 異 性 ) を 明 ら か に し 、  そ れ ら を も と に し て 種 を 決 定 し な け れ ば な ら な い こ と が結諭づけられた。

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   学位 論文 審査の要旨 主 査    教授    馬渡 駿介 副 査    教授    久田 光彦 副査   助教授 片倉晴雄

          

BIOSYSTEHATICS OF THE GENUS STYLACTARIA (HYDRACTINIIDAE, HYDROZOA) FROM HOKKAIDO,  JAPAN

( 北 海 道 産 ア ミ ネ ウ ミ ヒ ド ラ 属 ( ウ ミ ヒ ド ラ 科 、  ヒ ド ロ 虫 網 ) の バ イ オ シ ス テ マ ・ テ ィ ク ス )

他 物 に 付 着 し て 生 活 す る 海 産 の ウ ミ ヒ ド ラ 科 の 仲 間 は , の 見 ら れ る 、  い わ ゆ る 多 形 性 ヒ ド ロ 虫 で あ る 。  こ の 科 に お

群体を構成する個虫に分業 ける従来の類別形質は変異

に 富 み 、  正 確 に 種 を 同 定 で き な い 現 状 に あ る 。  し た が っ て 系 統 関 係 の 解 明 も ま だ ほ と ん ど な さ れ て い な ぃ .  そ こ で 申 請 者 独 ,  北 海 道 産 ア ミ ネ ウ ミ ヒ ド ラ 属 近 縁3種 、  す な わ    Stylact4ria  conchicola  (Yamada,   194 7).   S.  uchidai  (Yamada,   194 7).    Sよ rf 近 申 請 者 に よ っ て 発 見 さ れ たSty la ctaria  multit; ranosi  Nam ikawa1991を 材 料 に 、

各 々 の 種 の 特 性 を 明 ら か に し 、 種 を 正 確 に 分 類 し 、  さ ら に 系 統 関 係 解 明 の 端 緒 を 得 る こ と を 目 的 に 研 究 を 行 っ た 。

申 請 者 倣 ま ず 、 3種 の 再 記 載 を 行 な っ た 。 そ の 結 果 、 ≦ . conchicolaは 、 新 し い 個 虫 型 の 発 見 に よ り 、2型 の 栄 養 個 虫 、2型 の 生 殖 個 虫 、 1型 の 触 手 状 個 虫 が 構 成 要 素 で あ る こ と 、S.  uchiClai1型 の 栄 養 個 虫 、 生 殖 個 虫 、 触 手 状 個 虫 で 構 成 さ れ て い る こ と 、 そ し てS. multiSranosi1型 の 栄 養 個 虫 、 2型 の 生 殖 個 虫 、 1型 の 触 手 状 個 虫 を 持 っ こ と を 明 ら か に し た 。  ま た 、  生 殖 体 構 造 に お ぃ て も こ れ ま で 未 知 の 種 間 差 異 を 発 見 し 、 個 虫 構 成 と 生 殖 体 の 構 造 に お け る 差 異 で 3種 は 形 態 的 に 識 別 で き る こ と を 明 か に し た 。

さらに申請者は野外観察を行い、S. uchidaiは岩石やフジツボの殻等様々な付着基

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上 に 、  2種 は 各 々 特 定 の 巻 貝 、  エ ゾ サ ン シ ョ ウ ガ イHomalopoma amussitatuacと ヒ メ ム シ ロ ガ イNassarius multigranosusの 生 貝 の 貝 殻 上 に の み 棲 息 す る こ と を 確 認 し 、

付 着 基 特 異 性 の 違 い も 識 別 形 質 と し て 有 用 で あ る こ と を 示 唆 し た 。   続い て申 請 者は 、幼 生期 の 特性 を調 査し 、次 の 様に 種間 差を さら に 明確 にし た。 @     I

s.conchico―laは 配 偶子 を放 出し 、S. uchidaiとS. multiKranosiは 胚を 保護 する 。

@S.  uchidaiの 幼 生 は 体 全 体 に 刺 胞 を 持 っ 匍 旬 型 で 、S. conchicolaとS. multig ranosiの幼 生 は、 僮端 部に 刺 胞の 充満 した 待機 型 (前 端部 を接 地し て 巻貝 の通 過を 待 つ 型 ) で あ る 。 ◎ 変 態 実 験 の 結果 、豊 .uchidaiは付 着基 特異 性を 持 たな ぃgenerali stであるのに対し、  S―・conchicolaとS―・multigranosiとは各々の付着基 である巻貝 の開口部付近でしか変 態できないspecialistであ る。  さらに、  今回新たに 発見された S.conchicolaの 触手 状個 虫に つ いて 実験 を行い、  それが他の付着 動物との棲息場所獲 得 競 争 に お け る 防 御 用 の 個 虫 で あ る こ と を 示 唆 す る 結 果 も 得 て い る 。   3種間 の系 統関 係 に関 して は、  量 , uchidaiとS. conchicolaが より近縁であると結 諭づ けた 。 これ は、  この2種が棒状生 殖体という共有形質持ち、生 殖体の形は系統関係 を 表 わ す 子 孫 形 貰 で あ る と の 判断 に基 づ くも ので ある 。  一 方、S. conchicolaとs.

multigranosiはより多 くの幼生形質を共有する。  しかし、  それら独付着基 特異性に付 随 す る 適 応 形 貫 で あ り 、 真 の 系 統 関 係 を 反 映 し て い な い と 申 請 者 は 判 断 し た 。   最 後に 申 請者 は、stヱlacよaria属 全 体の 分類 にお いて は 、生殖 体の形態と付着基特 異 性が 有用 で あり 、従 来用 い られ てい た個 虫の 大 きさ 中触 手数 は種 間 で重 なり があ る た め類 別形 貿 とは なら ず、 個 虫構 成お よび 触手 状 個虫 の有 無に は群 体 間変 異が ある た め、 それ の みで は指 標形 買と は なら ない と結諭した。  また、stヱlactariaの生殖体型 にはいくっかのサプタ イプが認められ、  これらの形貫は≦ ty lactaria属内の系統関 ̄係 の解析に有用であるこ とを示唆した。

  以上 の研 究 は、 地道 な観 察 と実 験に よっ て多 形 性ヒ ドロ 虫近 縁種 間 の分 類を 確か の も のに し、 今 後の 系統 関係 の 解析 に端 緒を 開い た もの とし て高 く評 価 され る。 審査 員 一 同は 、参 考 藷文 内容 と最 終 試験 結果 を含 めて 、 申請 者が 博士 (理 学 )の 学位 を受 け るに十分の資格がある ものと認めた。

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参照

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