博士(工学)アベデイアミル 学位論文題名
Solidification Characteristics of Ni and Ni‑base Binary Alloys ( ニ ッ ケ ル お よ び ニ ッ ケ ル 基 二 元 合 金 の 凝 固 特 性 )
学位論文内容の要旨
Ni基耐熱合金は高温強度あるいは耐腐食性の特性からシ゛エッIエンシ゛ンあるいはがスターヒ゛ンの 部 材 と し て 使 わ れ て い る 。 こ れ ら に お け る 入 口 ガ ス 温 度 は1945年 の1070Kか ら 近 年 は 1870K位 ま で 上 昇 し 、 よ り 高 温 の 耐 熱 材 料 が 求 め ら れ て い る 。 一 方 、 結 晶 組 織 と し て は 、 使 用 目 的 に 応 じ た 組 織 の 設 計 、 例 え ば 単 結 晶 化 あ る い は 超 微 細 化 な ど が 必 要 と さ れ て い る 。 こ れ ま で のNi基 合 金 の 凝 固 に 関 す る 検 討 は 、 そ の 合 金 が 多 元 合 金 で あ る こ と か ら 、 多 元 系 に 関 す る 実 験 が ほ と ん ど で あ り 、Niそ の も の に 関 す る 研 究 は 少 な い 。 今 後 新 た な 観 点 か らNi基 合 金 の 開 発 を 進 め る た め の 基 礎 と レ て 、Niそ の も の の 凝 固 特 性 を 把 握 す る こ と も 重 要 で あ る 。 本 研 究 は 、Niの 核 生 成 に 及 ぼ す る っ ぼ 材 質 お よび 酸 化 物の 影 響 と、Ni 基 合 金 に 多 く 用 い ら れ るCo、Al、Nbな ど の 二 元 合 金 に よ る 核 生 成 と デ ン ド ラ イ ト 成 長 について検討レた。
第1章 で は 、Niの 使 用 の 進 展 、 現 在 の 用 途 、Ni合 金 の 鋳 造 方 法 、 組 織 、 お よ び 本 研 究 の 目的につ いて述 べている 。
第2章 で は 、ア ル ミ ナる っ ぼ を用 い て 、Niお よ びNi−Co二 元 合金 の 大 気およ びアル ]゛ン雰 囲 気 で 溶 解 凝 固 さ せ た と き の 過 冷 挙 動 に つ い て 検 討 し て い る 。 そ の 結 果 、Niお よ びNi― Co合 金の過冷 度は酸 素濃度の 増加で 減少した。酸素濃度が高くなるとスヒ°ネルタイ7゜のNiAlz04 お よびCoA120. が生成す ること をX線 マイクロアナライサ゛ーおよびX線回折で同定レた。このニつ の ス ヒ ゜ネ ル の 原子 構 造 は、Niの原 子 構 造 と二 次元的な 非整合 度が低く 、そのた め異質 核生成 し や す い こ と が 示 さ れ る 。 こ れ ら は る っ ぼ とNi溶 湯 と 溶 湯 中 に 溶 解 し て い る 高 い 酸 素 量 で 生 成 す る こ と を 、 熱 力 学 的 に 証 明 し た 。 さ ら に る っ ぼ の 影 響 を 考 慮 し て 、 過 冷 凝 固 し た と き の 過 冷 度 と 固 相 率 と 凝 固 時 間 と の 関 係 を 、 冷 却 速 度 、 る っ ぼ 及 び 溶 湯 の 熱 物 性 値 の 因 子 で 構 成 さ れ る 非 断 熱 系 の 式 を 求 め た 。 こ の 式 の 妥 当 性 を 検 討 す る た め に 、 固 相 率 を1と し て 、 過 冷 度 と 凝 固 時 間 と の 関 係 を 求 め 、 実 験 と 比 較 し た 結 果 、 良 い 一 致 を 示 し た 。 凝 固 組 織 の 微 細 化 は 、 過 冷 度 の 増 加 と 酸 素 濃 度 の 増 加 に よ っ て 図 ら れ る が 、 本 実 験 で は 高 い 過 冷 度 が 得 ら れ ず 、 酸 素 濃 度 の 増 加 に よ っ て 凝 固 組 織 が 微 細 化 し た 。 第3章で は、ア ルiナ るっばと シリカるっぼを用いて、アル]゛ン雰囲気でのNi溶湯に酸化物を添
加 レ た 場合 の 過 冷度 と 凝 固組 織 へ の 影響 を 調 査し て い る。 シI丿カ る っ ぼを 用 いると 、過冷度 は192Kにも達 したが、アル:ナるっぼでは平均55K程度の過冷度であった。アル:ナハ°ウタ゛ーの 添 加は、過 冷度を より低下 させた 。アルミ ナとニ ッケルと の原子構 造の二 次元的非 整合度 は大き く な っ て お り 、 実 験 結 果 の 過 冷 度 減 少 を 説 明 で き な い こ と か ら 、 修 正 二 次 元 整 合 度 を 考 えアルミナによる異質核生成挙動を説明した。一方、アルミナハ゜ウタ゛ーの添加では結晶組織は必ず レ も 微 細化 せ ず 、む レ ろNi0お よ びCo,0。 ハ ゜ ウタ ゛ − の添 加 の 方が 微 細 化し た。 これは低 酸 素 溶 湯 では こ れ らの ハ ゜ ウタ ゛ − が 溶解 し 、Ni溶 湯中の 酸素濃 度を高め たためで あるこ とを明 らかにした。
第4章 で は 、一 方 向 凝固 レ たNi基 二 元 合金 の テ ゛ント ゛ライ1主軸 間隔を平 衡状態 図因子か ら 評 価 す る こ と を 試 み て い る 。 こ こ で 平 衡 状 態 図 因 子 と は 凝 固 温 度 区 間 ( △T)と 平 衡 分 配 係 数(ko)で あ る。 ま た 初期 溶 質 濃度 に よ るテ ゛ ンI゛ラ イI主軸 間 隔 への 影 響 も調 査 し た。
実 験 はNi‑AIお よ びNi―Nb二 元 合 金 を 用 い た 。 こ れ ら の 元 素 は そ れ ぞ れ 平 衡 分 配 係 数 が 初 期 溶 質濃 度 と とも に 増 加す る 関 係 と減 少 す る関 係 に ある 。 テ ゛ン ド ラ イI主 軸間隔 はHuntお よ びKurz&Fisherの 理 論 式 に よ る と 、 温 度 勾 配 の1/2乗 お よ び 凝 固 速 度 の1/4乗 に 逆 比 例 す る が 、 平 衡 状 態 図 因 子 で はHuntが ( △T.ko)I′4、Kurz&Fisherは ( △T/ko))1 と 一 致 しな い 。 テ゛ ン ド ライI主 軸 間隔 を 平 衡分 配 係 数、 凝 固 温度 区 間 で整 理 すると 、凝固温 度 区 間 で 両 系 は 直 線 関 係 で 整 理 で き る が 、 平 衡 分 配 係 数 で はNi‑Nb系 が 増 加 、Ni‑AI系 が 減 少 の 関 係 を 示 す 。 ま たHuntとKurz&Fisherの 平 衡 状 態 図 因 子 で 整 理 す る と 、Huntの 方 が ば ら っ き の 少 な い 関 係 が 得 ら れ る 。 さ ら に 初 期 溶 質 濃 度 で も 両 系 は 直 線 的 な 関 係 が 得られた。
第5章は、本論文の研究成果を総括している。
以 上 を 纏 め る とNiの 核 生 成 挙 動 に 及 ぼ す 酸 化 物 お よ び る っ ぼ 材 質 の 影 響 を 明 確 に し て 、 修 正 二 次元 整 合 度の 新 レ い考 え を 導入 す る こと に よ っ てア ル ミ ナに よ る 異質 核 生 成挙 動 を 説 明 し た 。 ま た 凝 固 組 織 の 微 細 化 は 酸 素 濃 度 に よ る 影 響 の 大 き い こ と を 明ら か に レた 。 さ ら にNi基 二 元合 金 の テ゛ ン ド ラ イI主 軸 間隔 に 及 ぼす 平 衡 状態 図 因 子の 影 響を 明確に レた。
要 す る に本 研 究 では 、Niの 凝 固 組 織設 計 に 必要 な 異 質核 生 成 挙動 お よ びテ ゛ ンド ライI成長挙 動に関する基礎的データを求めた。
学位論文審査の要旨
主査 副査 副査 副査 副査
教授 教授 教授 教授 助教授
工 藤 昌 行 石 井 邦 宜 大 貫 惣 明 毛 利 哲 夫 伊 藤 洋 一
学位論文題名
Solidification Characteristics of Ni and Ni‑base Binary Alloys
(ニ ッケ ル およ びニ ゜ッ ケル 基二 元合 金の 凝固 特性 )
近 年 、 ニ ッ ケ ル 基 耐 熱 合 金 は 高 温 強 度 あ る い は 耐 腐 食 性 の 特 性 か ら ジ ェ ッ ト エ ン ジ ン 部 材 と レ て 使 わ れ て お り 、 ガ ス タ ー ビ ン 部 材 と レ て も 使 わ れ る こ と が 多 く な っ て い る 。 ま た よ り 高 温 強 度 を 高 め る 方 向 で の 組 成 開 発 も 行 わ れ て い る 。 一 方 、 使 用 目 的 に 応 じ た 組 織 の 設 計 、 例 え ば 単 結 晶 化 あ る い は 超 微 細 化 な ど が 必 要 と さ れ て い る 。 こ れ ま で の ニ ッ ケ ル 基 合 金 の 凝 固 に 関 す る 報 告 は 、 多 元 系 に 関 す る も の が ほ と ん ど で あ り 、 ニ ッ ケ ル そ の も の に 関 す る 研 究 は 少 な い 。 し た が っ て 今 後 二 ッ ケ ル 基 合 金 の 開 発 を 進 め る た め の 基 礎 と し て 、 ニ ッ ケ ル そ の も の の 凝 固 特 性 を 把 握 す る こ と が 重 要 で あ る 。 本 研 究 は 、 ニ ッ ケ ル お よ び ニ ッ ケ ル ― コ バ ル ト 合 金 の 核 生 成 に 及 ぼ す 酸 素 の 影 響 、 ニ ッ ケ ル の 核 生 成 に お よ ぼ す る っ ぼ 材 質 お よ び 酸 化 物 の 影 響 と 、 ニ ッ ケ ル ー ア ル ミ ニ ウ ム お よ び ニ ッ ケ ル ー ニ オ ブ 二 元 合 金 に お け る デ ン ド ラ イ ト 成 長 に つ い て 検 討 し て い る 。
第1章 は 、 緒 言 で あ り 、 本 研 究 の 目 的 に つ い て 述 べ て い る 。
第2章 で は 、 ア ル ミ ナ る っ ぼ を 用 い て 、 ニ ッ ケ ル お よ び ニ ッ ケ ル ー コ バ ル ト 二 元 合 金 の 大 気 お よ び ア ル ゴ ン 雰 囲 気 で 溶 解 凝 固 さ せ た と き の 核 生 成 挙 動 に つ い て 検 討 し て い る 。 そ の 結 果 、 ニ ッ ケ ル お よ び ニ ッ ケ ル ― コ バ ル ト 合 金 の 過 冷 度 は 酸 素 濃 度 の 増 加 で 減 少 し た 。 酸 素 濃 度 が 高 く な る と ス ピ ネ ル 構 造 の ニ ッ ケ ル ア ル ミ ネ ー ト(NiAl204)お よ び コ バ ル ト ア ル ミ ネ ー ト(CoAI204)が 生 成 す る こ と をX線 マ イ ク ロ ア ナ ラ イ ザ ー お よ びX線 回 折 で 同 定 し た 。 こ の ニ つ の ス ピ ネ ル の 原 子 構 造 は 、 ニ ッ ケ ル の 原 子 構 造 と 二 次 元 的 な 非 整 合 度 が 低 く 、 そ の た め 異 質 核 生 成 し や す い こ と が 示 さ れ る 。 さ ら に る っ ぼ の 影 響 を 考 慮 レ て 、 非 断 熱 系 で 凝 固 し た と き の 過 冷 度 お よ び 固 相 率 と 凝 固 時 間 と の 関 係 を 、 冷 却 速 度 、