九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
効率的な肺ガン特異的ヒト型モノクローナルIgG抗体 の取得に関する研究
川原, 浩治
九州大学農学研究科食糧化学工学専攻
https://doi.org/10.11501/3075469
出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(農学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
一一一一一一一圃.
. I
交力三容白勺大丈月市 ヵー ンキ寺 三妻宅三EEヨEヨ 白勺 ヒ ト 主担 こモ ノ ク ロ ナ ノレ I g G主元全本の
耳叉�専に思弓す一 る砂子多宅
JJI JJ.烹す告 才台
1 9 9 4
第1章
第2章
第1節
第2節
第1 項
第2 項
第 3 節
第4節
第5節
第6節
第 3 章
第1節
序論
ヒ ト型ハ イブリ ド ー マ作製 の た
めの細胞融合法の検討
緒言
P E G法と電気融合法
ヒ ト リ ン パ節 からの リ ン パ球の
分離
融合パー ト ナ ー細胞の調製
電気融合法の条件の検討
P E G法と電気融合法の比較
考察 小括
IgG 抗体産生ヒ ト型ハイブリ ド
ー マ作製のための ヒ ト融合パー
ト ナ ー細胞株の樹立
緒言
1 1
1 4 1 5 1 6 1 9 2 2
2 4
2 5
第2節 第1 項 第2 項 第3 項 第3節 第4節
第1 項
第2項
第5節 第6節
第4章
第1節 第2節
第1 項
融合パート ナ ー細胞株の樹立
親細胞の選択
HMy-2細胞の培養とク ロ ー ニ ン グ
選択培地の成分濃度の検討
細胞融合
\ イブリ ド ー マの抗体産生
\ イブリ ド ー マの産生する抗体
の ク ラ ス
乳ガ ン特異的モ ノク ロ ー ナル抗体 の取得とそ の反応性の検討
考察 小括
ハイブリ ドー マのク ラ ス ス イ ッ
チ変異体の取得
緒言
フ ロ ーサイト メ ーターを用いた
変異体の検出
フ ロ ー サ イ ト メ ト リー
1 1
2 7
2 9
3 0 3 3
3 5
3 6
4 0 4 2
4 3
4 5
第2 項 第3 項 第3節 第4節
第5節 第6節
第5章
第1節 第2節
第1項
第2 項 第3項
第3節
細胞の培養と検体の調製
ク ラ ス ス イ ッ チ変異体の検出
ク ラ ス ス イ ッ チ変異体の分取
ク ラ ス ス イ ッ チを促進する因子
の検索
考察 小括
抗体非産生融合パー ト ナ ー細胞
の樹立
4 8
5 3 5 6
5 9
6 1 6 3
緒言 6 4
融合パー ト ナ ー細胞の樹立
ヒ ト白血病細胞株M0 1 t 4の培養と
ク ロ ー ニ ン グ
細胞融合
A 4 H 1 2細胞由来のハイ プリ ドー マ の産生する抗体ク ラ ス
肺ガ ン特異的モ ノ ク ロ ー ナ ル
抗体の取得
1 1 1
6 6
6 7
6 9
7 3
第4節 第5節
第6章
第1 節 第2節 第3節
第1 項 第2項 第3項
第4節
第5節
第6節
考察 小括
ヒ ト リ ン パ球の体外免疫法 の確立
緒言
細胞の調製と培養 体外免疫法の確立 リ ン パ球の前処理
体外免疫の検出法 の開発 種々 の免疫賦括剤の体外免疫
に お よぼす効果
免疫感作 リ ン パ球の産生する 特異抗体の ク ラ ス
体外免疫に及ぼす リ ン パ球の 個体差
抗原となるガ、 ン 細胞の違いが 体外免疫に 及ぼす影響
1 V
7 6 7 7
7 8 8 0
8 1 8 4
8 8
9 4
9 6
9 8
第7節
第8節 第9節
第7章
第1節 第2節
第1 項 第2 項 第3節
第4節
第5節 第6節
ヘ ル パー T細胞が体外免疫に
及ぼす影響 考察
小括
体外免疫リ ン パ球を用いた肺 ガ ン特異的モ ノ ク ロ ー ナ ル抗 体産生ハイ ブリ ド ー マの取得
緒言
リ ン パ球の体外免疫 リ ン パ球の調製
体外免疫
細胞融合とハイブリ ドー マの ス ク リー ニ ン グ
抗原であるA 5 4 9細胞に対する 抗体の反応性
考察 小括
V
1 0 0 1 0 2
1 0 4
1 0 5
1 0 7
1 0 8
110
11 3 1 1 6 118
第8章
第1 節 第2節
第3節
第4節
第5節
第6節 第7節
第9章
第1節
肺ガ ン に反応する抗体の反応性 の検討
緒言
E L 1 S A 法を用いたガ ン細胞株と
の反応性の検討
蛍光抗体法を用いた生細胞との 反応性の検討
ヒ ト肺ガ ン組織との反応性の 検討
肺ガ ンを認識する抗体の抗原の 検索
考察 小括
新しい細胞固定法を応用した
E L 1 S A法の開発
緒言
V 1
1 1 9
1 2 2
1 2 5
129
1 3 9 1 4 3
1 4 5
1 4 7
第2節
第3節
第4節
第5節 第6節
第1 0章
第1節 第2節
第3節 第4節
第5節
細胞固定に必要な電子線照射時
閣の検討
細胞の固定法の違いに よる反応 性の変化
MW固定した種々 の細胞株に対 する抗体の反応性の比較
考察 小括
\ イブリ ドー マの抗体産生とそ の高産生株の分取に関する検討
緒言
細胞膜面に存在する抗体量と細 胞周期との関係
細胞内抗体量と細胞周期の関係 抗体産生性の高い ハ イブリ ド ー
マク ロ ー ンを取得するための方 法の提案
小括
V 1 1
1 4 9
1 5 3
1 5 7 1 5 9 1 6 1
1 6 2
1 6 4 1 6 9
1 7 2
1 7 5
第1 1 章 総括 1 7 6
謝辞 1 8 6
引用文献 1 8 7
V 1 1 1
第1章 序論
ハイブリ ドー マとは、 自己増殖可能な親細胞株と抗体 産生はするが増殖できないリ ン パ球を細胞融合して得ら れる新しい細胞株のことである。 ハイブリ ドー マは細胞 増殖を行いつつ単一の抗原特異性を持つ抗体、 すなわち
モ ノ ク ロ ーナ ル抗体を産生する。 197 5年に世界で初めて
K 0 h 1 e rとMi 1 s t e i nは、 マ ウ ス の系を用いたこの研究を報
告したい。 19 8 0年にはOlssonとKaplanがヒ ト の系で成功 し 三J、 動物細胞を用いた有用物質生産とい う細胞工学の 新たな分野が広が っ てきて いる。
こ うした研究をもとに、 モ ノ ク ロ ーナ ル抗体の生産と 利用は重要性を増してきている。 従来、 細胞生理学や生 化学、 免疫学の分野では、 抗体の特異性に着目して種々 の物質の同定や検出、 さらには精製等に、 動物に免疫し て得られる抗血清を利用してきた。 しかしながら、 抗血 清には必要な特異性を持つ抗体ばかりでなく、 元来血液
中に存在する抗体が含まれており、 純度の高い単一の抗
原特異性を示す抗体を精製することは実際的に不可能で あ っ た。 一方、 モ ノ ク ロ ーナ ル抗体は、 ク ロ ー ン的に増
4Ei
殖するハ イブリ ドー マから取得されるため、 原理的に単 一の抗原特異性を有している。 また、 血清を用いた細胞 培養ではなく、 すでに知られている種々 の細胞増殖因子 を用いた無血清培養を行うことにより、 必要十分量の純 度の高い抗体を簡単な精製だけで取得可能である 3 )。 以 上の見地から、 モ ノ ク ロ ーナ ル抗体の取得、 利用に関し
て多くの研究がなされてきた 4〉o
と こ ろで、 マウ ス のモ ノ ク ロ ー ナ ル抗体は、 実際的に 種々 の目的で利用可能な段階へと到達している。 しかし ながら、 ヒ ト のモ ノ ク ロ ーナ ル抗体は未だその取得に困 難を伴 っ ている。 これには、 次に述べるような原因が考 えられよう。 まず、 モ ノ ク ロ ーナ ル抗体産生ハ イブリ ド ー マを作製するための理想的な親細胞株が存在しないと いう点である。 マウ ス では倍加時聞が短く、 さらに ク ロ ー ニ ン グ効率や融合効率が高い細胞がすでに樹立されて いる5 )。 この細胞はまた、 骨髄腫細胞由来であるにも拘 らず、 細胞自身が抗体産生しないため、 これを用いてハ イブリ ドー マを作製した場合、 その抗体産生に影響を与 えない。 一方、 ヒ ト では、 マウ ス の系のような優れた親 細胞株は樹立されていないため、 得られるハ イブリ ドー
nJb
マの産生抗体は親細胞由来の抗体産生の影響を受けてし
まう。 次に、 免疫の問題がある。 一般に、 目的抗原に対
する抗体を作製する場合、 マ ウ スでは直接体内に投与 す
ることによ っ て体内免疫が可能である。 しかし、 ヒ トの
場合、 抗原 を体内に投与して免疫することは道徳 ・ 倫理
上許されない。 また、 抗原が極めて毒性が高か っ たり、
致命的な疾病を引き起こす物質である場合 は、 感作リ ン
パ球の入手すら困難である。 従 っ て、 ヒ ト型の抗原特異
的モ ノ ク ロ ーナ ル抗体を取得するには、 自然発生的な免
疫感作の生じた リ ン パ球提供者に依存するしかない。 こ
うした点が、 マ ウ ス の場合とは異な っ て ヒ トの系でのモ
ノ ク ロ ーナ ル抗体の取得を困難にしているものと思われ
る。
それにもかかわらず、 ヒ ト型の抗体が必要とされる主
な理由は、 医薬として利用するためである。 マ ウ ス の抗
体を医薬としてヒ トに投与した場合、 人体内では異物で
あるため、 これを排除しようと種々 の生体防御機構が働
くれo その結果、 例えばアナ フ ィ ラキ シ ー シ ョ ッ ク等が
生じてしまい、
人体の機能に障害を与え る。 蛋白工学的
手法によりこうした副作用のない抗体を作製しようと試
円《U
みている報告もあるが円、 現在のところ有効な手段とし て確立していない。 しかし、 ヒ ト型モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体 は人体に直接投与しても元来ヒ ト由来のタ ン パクである ため、 副作用なしに 利用することができる。
そ こで、 近年こうしたモ ノ ク ロ ー ナ ル抗体の特異性を 利用して、 ヒ トの難治疾患のひとつである ガ、 ンの診断 治療を行うことが検討されているれ 一1 0 )。 これまで、 ガ
ンの診断 ・ 治療は X線による早期発見および手術による 局部除去、 化学療法等が主として行われている。 しかし ながら、 ガ ンは人体内にもともと存在する細胞が悪性化 することにより生じる疾患であるため、 力。 ン細胞のみを 選択的に完全除去することは困難であると思われる。 一 方、 モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体はガ ン細胞が体内のどの部位に 存在しても、 特異的に検索することが可能であると考え られる。 さらに、 抗体に殺細胞効果を持つ物質等を結合
させることにより、 ガ ン細胞のみを除去することも可能
であろ エノO、 1 1 ) 以上の見地から、 モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体を
用いたガ ンの診断 ・ 治療は、 細胞工学の技術を用いた最
も期待される有用な研究のひとつであると考えられてい る。
- 4 -
著者は、 これまで述べてきた視点、 から、 以下の各章で 述べる内容に ついて研究してきた。 F i g. 1 -1 に本研究の 内容を略図で示した。
まず、 ハイブリ ドー マ作製のための細胞融合法として ポ リ エ チ レ ン グリ コ ー ル ( P E G )法1 2 )と電気融合法1 3 ) とを比較検討した (第2章; C - 2 )。 電気融合法は、
近年、 Zimmermannらによ っ て報告された方 法であり、
PEG法より融合効率が高いとされている。 そ こ で、 これ らの融合方法を試みた。 その結果、 使用する親細胞株の 融合効率が低い場合や融合に供される細胞数が少ない場 合のように特別な条件下では、 電気融合法がPEG法より 有効であるが、 通常の融合条件下ではほとんど差がない と思われた。
つづいて、 免疫グ ロ ブリ ン のサ ブク ラ ス であるIgG型 の特異抗体を取得するためのハイブリ ドー マ作製用親細 胞株の樹立を試みた (第3章; C - 3 )。 その結果、 新
たに親細胞株HK-128が得られた。 こ の親細胞株を用いて 作成されたハイブリ ドー マの90%以上は、 IgG型の抗体を 産生していた。 従来から報告されている ヒ ト型のモ ノ ク
ロ ー ナ ル抗体は、 IgM型がほとんどであるため 14)�16)
phd
(C-l,C-ll)
。
Parent cell
.HK-128 (C・3 )
・A4H12 (C・5 )
L戸nphocyte
• In vitro immunization (C・6 )
• Mutation (C・4 )
Hybridoma
γ
IgGl-_____,/
γ
• Ig Productivity (C・10)
Antigen specific
monoclonal antibodies
Fig.l-l
Aquisition of cancer speci白c monoclonal antibodies
nhu
本法は!gG 型の抗体取得法のーっとして新しい知見を与
えた。 しかしながら、 得られたハイブリ ドー マの抗体産
生は安定せず、 長期継代培養すると抗体が産生されなく なる欠点、 を有していた。
次に、 既存の!gM 型ガ ン特異的ヒ ト型モ ノ ク ロ ー ナ ル
抗体産生ハイブリ ドー マHB4C5を用いて、 産生抗体ク ラ
ス の変異した細胞、 すなわちク ラ ス ス イ ッ チ変異体を検 出 ・ 分取するこ とを試みた (第4章; C - 4 )。 その結
果、 H B 4 C 5細胞は低頻度ではあるけれども細胞内ですべ
ての免疫グ ロ プリ ン サ ブク ラ ス の抗体を産生しているこ
とが明かとな っ た。 しかし、 IgG型の抗体 を産生する
H B 4 C 5細胞を分取して、 培養したとこ ろ、 培養初期の一
時期は!gG 型の抗体を培養液中に分泌するものの、 培養 を継代するに つれて!gG の産生は消失するこ とが分か つ
7こ。
つづいて、 ハイブリ ドー マの親細胞株の抗体産生が、
得られたハイブリ ドー マの抗体産生へおよぼす影響を排
除するため、 抗体産生をしない T細胞由来の融合用親細 胞株の樹立を試みた (第5章; C - 5 ) 0 その結果、 新
しくA4 H 1 2細胞を樹立したo こ の親細胞株を用いて得ら
れるハイブリ ドー マの抗体産生は、 リ ン パ球由来のサ ブ
ク ラ ス の抗体のみ産生しているものと思われた。 したが
っ て、 A4 H 1 2細胞を用いることにより、 親細胞株自身の
産生抗体の影響を受けることなく、 ハイブリ ドー マを取
得する こ とが可能であるこ とを明らかにした。
次に、 ガ ン細胞のように生体にと っ て危険な抗原を ヒ
ト の体内で免疫することは不可能であるため、 生体外で
ガ ン細胞を抗原にしてリ ン パ球を免疫する、 体外免疫法
の確立を試みた(第6章; C - 6 )。 この結果、 ア ジ ュ
パン ト ペプチ ド、 イ ン ター ロ イキ ン 2 、 イ ン タ ロ イキ
ン6を添加した培養液を用い ることにより、 ヒ ト リ ン パ
球 の体外免疫が可能である ことを明らかに し た。
つづいて、 健常人由来のリ ン パ球を、 肺ガ ン細胞を抗
原として体外免疫し、 その感作リ ン パ球とA4 H 1 2細胞を
用いてハ イブリ ドー マを作製した。 そ して、 従来のガ ン
患者由来のリ ン パ球を用いた場合よりも効率的な特異抗
体の取得が可能か否か、 またはG 型の特異抗体が取得可
能か否かに つい て検討した(第7 ニå込早 ; C
- 7 )。 その結
果、 体外免疫したリ ン パ球を用いてハ イブリ ドー マを作
成した場合は、 従来の患者由来リ ン パ球を用い た場合の
- 8 -
2 0倍以上の効率でガ ン特異抗体を取得可能である こ と を明らかにした。 また、 これまでほとんど得られてい な
か っ たIgG 型の特異抗体も高効率で取得可能であること
が 分か っ た。
つづいて、 肺ガ ンに対して反応する抗体の詳細な反応
性を種々 のヒ ト ガ ン細胞株および肺ガ ン組織を用いて検
討した。 さらに、 それらの認識する抗原 を分子量的に検
索するため、 ガ ン細胞の ホモ ジネー トを ウ エ ス タ ン ブ ロ
ッ テ イ ング法に供して検出することを試みた (第8章
C - 8 )。 検討した 7種の抗体は、 抗原として用いた肺 ガ ン細胞以外のガ ン細胞に反応したり、 ガ ン細胞の細胞
質や細胞膜に反応するなど多様な反応 ス ペク トルを示し
た。 さらに、 これらの抗体の中には、 分子量4 0もしく
は5 0 K D のガ ン細胞抗原を認識しているものがあるこ
とを明ら かにした。
また、 ガ ン特異抗体の ス クリー ニ ングのために、 従来
のグルタルア ルデヒ ド細胞固定法ではなく、 新たに電子 線(マイク ロ ウ ェ ー ブ)を用いた細胞固定法の応用を検
討した (第9章; C - 9 ) 0 その結果、 モデルとして用 いた特異抗体とその抗原である細胞との 反応性は、 マイ
nuJU
ク ロ ウ ェ ー ブ固定法を用いた場合と ア ルデ ヒ ド固定法を 用いた場合とでは異なることを明らかにした。 したが っ て、 1次 ス クリー ニ ン グに本法を用いることにより従来 とは異なる反応性を持 っ た特異抗体を検出することが可 能であることが分か っ た。
最後に、 得られた ハ イ フ リ ドー マの抗体産生に関する 性質を、 細胞周期や細胞内外の抗体生産、 分泌抗体に つ いて検討した (第1 0章; C - 1 0 )。 その結果、 ハイ ブリ ドー マの抗体産生は細胞周期に 一部依存する傾向が あり、 それは抗体の細胞膜透過性と何らかの関係がある
ものと思われた。
以上述べたように、 本研究により ヒ ト肺ガ ン に特異的 な1 g G 型モ ノ ク ロ ーナ ル抗体を高効率で取得することが 可能とな っ た。
一10 -
第2章 ヒ ト型ハイ ブリ ドー マ作製のための細胞融合法 の検討
第1節 緒言
細胞融合は、 膜融合、 細胞質融合、 核融合の 3段階に 大きく分けることができる。 ただし、 一般には膜融合が 起これば、 自発的に残りの融合は進行する。 従 っ て、 ハ イブリ ドー マを効率よく取得するには、 効果的に膜融合 を生じる条件を検討すればよい。 現在、 よく用いられる 融合法としては、 ポリ エ チ レ ン グリ コ ー ル( P E G ) 法と電 気融合法があげられよう。 そこでこの2 つの方法に つい て融合効率を検討した。
PEG 法の原理は、 詳細が明かではないが、 細胞膜の構 造と膜電荷に関わ っ ていると推定されている 18)0 PEG の存在下で、 細胞膜を構成している脂質2重層と機能膜
タ ン パクの構造変化が生じ、 それぞれの細胞間距離が接 近することにより、 お互いに引き合う力が作用して膜融 合が起こるとされているo 一方、 電気融合法の原理は、
細胞膜の膜電荷のみに依存し、 物理的に膜構造変化を誘
- 11 -
発する こ とにある1 9 )。 通常、 細胞膜は負の電荷を持 っ ている(Fig. 2-1 (A))。 従 っ て、 細胞の懸濁液に電場を作 る こ とに より、 細胞の膜荷 電状態を変化させ、 細胞同士 が互いに引き合う力を生じさせる こ とができ る(Fig.2- 1 ( B) )。 正と 負の電極聞に強力なパル ス性の電圧を印加 すれば、 細胞膜構造に瞬間的に破壊が生じる(Fig. 2-1
( c ) )。 細胞間距離をできるだけ少なく保 っ た条件下で
は、 破壊された膜同士が接合して融合細胞となる(F i g . 2 -1 ( D ) )。
そ こ で、 著者は電気融合法の最適融合条件を設定し、
従来から用いられてい る PEG法と比較して、 より効率的 な ハ イ ブリ ドー マ の取得法に つい て検討し た。
一12 -
(A) 。
-
-
圃
Electrode
+
(B)
+
Pulse
(C)
jGJJ ? ;
(D)
Fused cell
Fig.2・1
Diagram of principle of electrofusion
(A) : Conditions o.f cell membranes having negative charges (B) : Formation of the electric field on cell suspension
(C) : Destruction of cell membranes by pulse shock
(D) : Generation of a fused cell by restoring cell membranes
13
第 2節
第1 項
P E G法と電気融合法
ヒ ト リ ン パ節か ら のリ ン パ球の分 離20 )
5 m 1培養デ ィ ッ シ ュ 3枚に、 基本合成培地 ERDF21) (極東製薬) をそれぞれ5 m 1ずつ用意して、 最初の1枚 でリ ン パ節を洗 っ た。 別のデ ィ ッ シ ュ に ピ ン セ ッ トでリ
ン パ節を移し、 リ ン パ節に付着している脂肪組織 を解剖 パサ ミでできるだけ完全に切除した。 もし、 脂肪組織が 除去されていないと、 分離後の遠心洗浄操作が増え、 細 胞の生存率や細胞数の低下をきたすので注意した。 さら に残りのデ ィ ッ シ ュ にリ ン パ節を移し、 2本の メ ス を直
交するように持 っ て、 2 -- 3 mm角程度に細かく切 っ た。
ハサ ミではなく メ ス を使うのは、 切断面が押しつぶされ て細胞の生存状態を悪くしないためである。 2枚の ス ラ
イ ドグラ ス の聞にリ ン パ節の細断片をはさんで、 すりあ わせながら、 リ ン パ球を培地中に押し出したo リ ン パ節 は ス ラ イ ドグラ ス で押しつぶすのではなく、 すりあわせ る回数 を多くしておだや かに採取した。 培地中のリ ン パ 球懸濁液を遠心管に移し、 400 gで10分間遠心した。 遠心
- 14 -
上清を捨てて、 さらに新鮮なERDF培地で懸濁して、 リ ン マ球の洗浄を 3回行 っ た。 こ うして得られた リ ンパ球を 実験に供した。 通常、 7 rn rn程度のリ ンパ節から、 1 07個 以上のリ ンパ球が生存率90%以上で採取された。
第2 項 融合 ノマー ト ナ ー細胞の調製
融合パー ト ナ ー細胞としては、 HO-323 細胞2 2 )とL1 CR-LON-HMy2(HMy2)細胞23)を用いた。 両細胞とも ヒ ト リ
ンパ球由来であり、 前者はB リ ンパ芽球様細胞株、 後者 は プラ ズマ細胞腫細胞株である。 これらの細胞に関する 報告では、 融合効率はHO-323細胞が 10 5親細胞に つき1 ク ロ ー ン程度であり、 HMy2細胞は105親細胞に つきO. 1 ク ロ ー ン程度である。 培養は10%の濃度で牛胎児血清
( F B S ; ハイク ロ ー ン社)を含むERDF培地を用いて、 ま きこ み細胞密度1 x 1 0 5 細胞/ rn 1で2 日おきに継代した。
細胞の状態をよくするため、 融合前日には必ず培地交換 を行い、 細胞密度5x 105 細胞/ rn 1に調製後培養したo こ の状態で細胞の生存率を測定する と、 9 5 % 以上の良好な
値を示した。
- 15 -
第3節 電気融合法の条件 の検討
電気融合を行うにあた って、 融合装置は電子科学社製
のES C F - 3 0 0 1をイ吏用した。 融合は、 親細胞株とリン パ球
の並列化(パールチ ェ ーン形成) を行 った後、 パル ス波 の電圧印加に よ って細胞膜に穿孔を開ける とい う2段階 の操作を伴う24)。 ごの2 つの操作のうち、 前者は交流 1 0 0 Vを10秒間印加する ことで十分であ った。 後者はパル
ス電圧が融合細胞の形成頻度と生細胞率に大きく影響し たため、 その条件設定 が重要であると思われた。 そ こで、
印加パル ス電圧と融合細胞の出現率、 さらに生細胞率と の相関を検討した。
Fig.2-2 に結果を示した。 融合効率は検鏡に よりー視 野に存在した 100細胞の親細胞に対する融合細胞数とし て示されており、 生細胞率はトリパン ブルー染色法を用 い て測定した。 印加電圧2.0KV,--_,2.3 KV/crnの範囲で融合 細胞数が1 5程度と多く認められ、 生細胞率も80%以上と
良好な条件である ごとが分か った。 印加電圧1.4KV/crn 以下では細胞の融合像は全く認められず、 また死細胞も
ほとんど存在しなか った。 さらに、 2.6KV/crn以上では細
- 16 -
胞の破壊が生じて融合に は不適であ っ た。 そ こ で、 パル ス電圧2. OKY--- 2.3 KY/cmで、 実際に ハ イ ブリ ドー マを作 製する こ とに した。
- 17 -
EmMOロosagn三間凶 (の}Oロ巾印\]{00日)mw円角川口門の巾ロω)
20
50 10
(ま)kCヨssk〆
。 。
2.3 2.6 Pulse voltage (KV / cm)
1.7 2.0 1.4
Fig.2-2
Effect of pulse voltage on廿le viability and electro
fusion efficiency of I-IMy2 cells.
Cell viabilities (
•.) were measured byせle trypan blue dye exclusion test and fusion efficiencies ( 1222]) were decided by counting the number of fused cells with microscopic observation.
一18 -
第 4節 P E G法と電気融合法の比較
PEG法による細胞融合は次のように行 っ た。 融合パー ト ナ ー細胞株を1x 107 細胞とリ ン パ球を2 x 1 0 7 細胞用意 し、 それぞれを混合して遠心した。 遠心上清を取り除い て、 細胞の ペレ ッ トをほぐし、 ERDF培地で50% に希釈し たPEG 4000 (メ ルク社) を1分間で 1m 1 加え、 さらに 1 分間3 7 ocに保温した。 つづい て、 3 0秒おきに 1m 1ずつ ERDF培地を添加して全量で10m1 ,こした。 遠心して、 細胞 を沈でん させた後、 上清を捨てて15%FBS含有ERDF培地 5 0 m 1で懸濁し、 9 6穴培養プレ ー トに 10 0μl/wellの密度 でまきこ んだ。 電気融合法は細胞数をPEG法の場合と同 じか、 その3分の1に なるように調製した。 融合パー ト ナ ー細胞とリ ン パ球を混合して遠心後、 電解液である融
合緩衝液(0. 25M Mannitol. O.lmM CaC12. O.lmM MgC12 に なるように0.2mM Tris-HCl緩衝液 p H 7 . 2に溶解したも
の) に懸濁して1回洗浄した。 融合緩衝液1m 1に細胞を 懸濁して、 融合チ ャ ン パー(電子科学社) に移し、 融合 装置を各条件に設定後操作した。 5分間放置後、 チ ャ ン
てーから細胞を回収して、 ERDF培地に懸濁し遠心した。
- 19 -
15%FBS含有ERDF培地5 0 m 1に細胞を懸濁して9 6穴培養プレ ー トに1 0 0μ 1 / m 1になるようにまきこ んだ。 融合後は、
ハ イ ブリ ドー マの みを増殖可能に する選択培 地 HAT ( 1 00μ M Hypoxanth i ne. O. 4μ M A m i n 0 p u t e r i n. 1 6μ M Thym i d i neを含む15完FBS-ERDF培地〉 で細胞を培養した。
ハ イ ブリ ドー マの出現が確認されるまで、 2 、 3 日おき
に培地交換をした。
T a b 1 e 2 -1にPEG法と電気融合法を用いた融合効率の結 果を示した。 HMy2細胞 は、 PEG 法では105 融合パートナ -細胞あたりわずか o . 1ク ロ ー ンの融合効率であるにも かかわらず、 電気融合法ではその効率はおよそo . 5 ク ロ ー ンまで上昇した。 パル ス電圧を2. 0 K Vと2. 3 K Vに変化さ
せても融合効率には、 ほとんど影響はなか ったo また、
融合に供した細胞の密度を低くしても、 融合効率の低下 はほとんど認められなか った。 一方、 HO-323 細胞を用い た場合、 PEG 法では高い融合効率を示しているにもかか
わらず、 電気融合法ではその効率の上昇 は認められなか っfこ。
- 20 -
r:-..:>
トーd・
Table 2・1
Production of human-human hybridomas using PEG or electrofusion me出ods
Parent cel1 Fusion methods Pulse vol tage (KVjcm)
HO-323 PEG
HO-323 Electrofusion 2.0
HMy2 PEG
HMy2 Electrofusion 2.0 2.0 2.3 2.3
Cell density Fusion efficiency ( x107 cells/ml) (clone/ 105parent cells )
3.0 1.10
3.0 0.85
3.0 0.10
1.0 0.48
3.0 0.35
1.0 0.48
3.0 0.50
第5節 考察
電気融合法は、 PEG 法で融合効率が低いHMy2細胞から 効率よくハイブリ ドー マを取得可能であるとい う利点が 認められた。 Mathewらも、 1 9 8 4年に やはり電気融合法に よりハイブリ ドー マを効率よく取得している 25〕O しか しながら、 PEG 法で比較的融合効率の高いH0 -3 2 3細胞の 場合は、 電気融合法に供しでも、 その上昇はあまり期待 できない ことが明らかにな っ た。 また、 電気融合法と同
じ原理で利用されている、 電気穿孔法による遺伝子導入 等では、 今回設定した パル ス電圧よりはるかに高い電圧
で細胞膜を破壊させることがある26) 。 これらの結果は、
電気融合法の パル ス電圧は、 必ずしもすべての細胞で均 ーであるわけではなく、 使用する細胞で十分な検討が必 要であることを示唆してい た。
電気融合法は条件設定さえ確実に行えば、 理論的には 細胞数が少なくても融合させることができるo それは、
パールチ ェ ー ン形成の段階で、 検鏡しながら融合 ノマー ト ナ ー細胞とリ ン パ球を意図的iこ接近させることができる からであるo P E G 法は遠心して細胞を ペレ ッ ト状態にす
- 22 -
るため、 細胞数が少なければ、 遠心に よ る細胞の消失が 起こ っ てしまい、 十分に融合させる こ とはできない。
以上の見地から、 電気融合法は融合効率の低い細胞を 用いる場合や、 細胞数が少ない場合には有効であるけれ
ども、 実用的な融合効率を与え る細胞を用いる場合は、
P E G法でも十分有効であると思われる。
- 23 -
第6節 小括
ヒ ト型ハイブリ ドー マ作製のために、 PEG法と電気融 合法の比較検討を行 っ た。 まず、 電気融合法の最適条件
を求めるため、 パル ス電圧と細胞の生存率、 および融合
効率の相関を検討したと こ ろ、 2.0--" 2. 3KV/crnの電圧で、
効率よく融合細胞が得られ、 生細胞率も良好であるこ と
がわか っ た。 つづいて、 実際にPEG法と電気融合法を用
いてハイブリ ドー マを作製したとこ ろ、 PEG法で融合効
率が低か っ たHMy2細胞は電気融合法により、 その効率を
5倍程度高めた。 一方、 PEG法で融合効率の高か っ た H 0 -3 2 3細胞を用いた場合、 電気融合法では その効率に
ほとんど変化はなか っ た。 また、 HMy2細胞の場合、 細胞
密度を低くして電気融合に供しでも、 高い融合効率を保 っ ていた。
- 24 -
第3章 IgG 抗体産生ヒ ト型ハイブリ ドー マ作製のため の ヒ ト 融合パー ト ナ ー細胞株の樹立
第1節 緒言
当研究室におい て、 抗原特異的ヒ ト型モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗体を産生するハイブリ ドー マは、 多数取得されている が27 ) 、 これは極めて高い融合効率を有するヒ ト融合パ ー ト ナ ー細胞株NAT-3014)およびHO-323細胞 2 2 )、 2 8 )が樹 立された ことによるものである。 これらの融合パー ト ナ
一細胞株を用い てヒ ト ガ ン細胞1 4 )、 29)や核酸3 0 )に対す るモ ノ ク ロ ー ナ ル抗体産生ハイブリ ドー マが樹立された
が、 得られた細胞の多くはIgM 産生株であ っ た。 この こ とから、 NAT-30や H0 -3 2 3細胞 が元来IgMを合成もしくは
分泌しているために、 主としてIgM 産生ハイブリ ドー マ が取得されてしまう点、 さら にIgG 産生ハイブリ ドー マ が得られでも速やかに抗体産生能が消失してしまう点が
考えられたo しかしながら、 I g G はヒ トの血中抗体のう ち70%を占めており、 抗体による生体防御機構の主たる 担い手であるo また、 I g Gの分子量がIgMの5分の l程度
-25 -
と小さいため、 各組織への到達がIgM より容易である等
の利点、 を有してい る。 さらに、 抗体の精製に関しても、
IgMより1 g Gの方が比較的容易であ ると考え られる。
以上の見地から、 1 g G ク ラ ス の ヒ ト型モ ノ ク ロ ー ナ ル
抗体を効率的に取得するために、 新しく融合 ノマ ー ト ナ
細胞株を樹立する こ とを試みた。
- 26 -
第2節 融合パー ト ナ ー細胞株の樹立
第1 項 親細胞の選択
我々 は、 1 g M 産生ハイブリドー マしか 取得できない原 因のひと つとして融合パート ナ ー細胞株自身の抗体の合
成 ・ 分泌が影響しているものと考えた。 そ こ で、 新たに 融合パー ト ナ ー細胞の樹立に用いる親細胞は、 もともと IgG産生を行 っ ている細胞に求め る こ と とした。 Ta b 1 e
3 -1に現在までに報告されている融合パート ナ ー細胞株 を示した。 こ の中から 、 LICR-LON-HMy2(HMy2)細胞23) を用いて、 新しい融合パート ナ ー細胞を樹立する こ とに したo H M y 2細胞は形質細胞腫細胞株であり、 IgG を産生 している。 さらに、 8 - アザグア ニ ン耐性株であり、 実 験で取得される様々 なク ロ ー ンを実際に リ ンパ球との細 胞融合lこ供して、 ハイブリドー マが取得可能であるか否
かを速やかに検討できるという利点があるo そ こ で、 こ のHMy2細胞を以下の実験に供した。
- 27 -
Table 3・1
Human fusion partners for making human-human hybridomas
Fusion pa此ner Original cell line Fusion efficiency Reference Cell匂rpe Ig class (clonej 10 5parent cells)
r、コ NAT-30 B-l戸nphoblastoid IgM 0.3 14)
00
HO-323 B-lyrnphoblastoid IgM 1.8 22)
LICR-LON-HMy2 Plasmacytoma IgG 0.1 23)
SKO-007 Plasmacytoma IgE 0.1 2)
GM1500 B-l戸nphoblastoid IgG 0.2 31)
UC729-6 B-lyrnphoblastoid IgM 0.3 32)
KR四12 Hybrid myeloma IgG 0.1 33)
第2 項 HMy-2細胞の培養 と ク ロ ー ニ ン グ
HMy2細胞は基本合成培地ERDFに10% の濃度で牛胎児血
清(F B S )を添加した培地を用い て継代培養した。 目的と する融合パー ト ナ ー細胞株は、 融合 操作で弱 っ た状態か らでもハイブリ ドー マとして 増殖可能 でなければならな いため、 ク ロ ー ニ ン グ効率の高い ク ロ ー ンを取得するこ とにした。 ク ロ ー ニ ン グ は限界希釈法により行 っ た 34〉0
まず、 HMy2細胞を15%FBS-ERDF培地に懸濁して、 9 6穴 培養プレ ー ト (ヌ ンク社) の1穴につき1細胞となるよ
うにまきこ んだ。 まきこ みから2 ---- 3時間して、 培養プ レ ー トを検鏡し 1穴に1細胞が存在するものに印をつけ た。 これらのうち、 最も増殖の早い ク ロ ー ンを再度ク ロ
ニ ン グに供した。 こ の操作を5回繰り返したo 最初4
%だ っ た ク ロ ー ニ ン グ効率は、 2回目のク ロ ー ニ ン グ終 了時に は10%、 3回目で28%、 4回目で42覧、 そして5回 目に は10 0 %を示した。 こ の結果、 細胞1個からでも増殖 可能なク ロ ー ンを取得し、 これをHK-128と名づけて細胞 融合に供する こ とにした。
- 29 -
第3項 選択培地 の成分濃度の検討
融合に供した細胞はハイブリ ドー マのみを増殖させ、
親細胞株は死滅するような選択培地で培養した。 一般に 融合パー ト ナ ー細胞株は、 8 - アザグア ニ ンもしくは6
ー チ オ グア ニ ン耐性株であるため、 ヒ ポキサ ン チ ンー グ ア ニ ン ホ ス ホ リボ シ ルト ラ ン ス フ エ ラー ゼ、 ( HGPRT) を 欠損しており、 細胞の有する2 つの核酸合成田路の一方 を欠く。 さらに選択培地中のア ミ ノ プテ リ ンが他方の回 路の核酸合成過程を阻害するため、 親細胞は増殖できず 死滅する。 しかしながら、 ハイブリ ドー マはリ ンパ球か らHGPRT の供給を受けて核酸合成田路の回復が生じ、 選
択培地中でも増殖可能にな る 3 5 )。
HK-128細胞の場合もこの原理に従 っ て培養可能である が、 実際に細胞融合したところ、 得られるハイブリ ドー
マの増殖がア ミ ノ プテ リ ン濃度に鋭敏に影響されるこ と が分か っ たため、 この最適濃度を検討したo
Fig.3-1(A)に、 種々 のア ミ ノ プテ リ ン濃度下での HK-
1 2 8細胞の生存率を示したo マ ウ ス や ヒ ト の融合パー ト ナ ー細胞を用い る場合、 一般にア ミ ノ プテ リ ン濃度は、
- 30 -
40 0 n M に調製する。 HK-128細胞は40 0 n M で5日程度培養
することでほぼ死滅し、 その 9分の 1 の濃度である 4 4
nMでもこの傾向は 同様であ っ た。 しかしながら、 さらに
希薄な15 n Mの濃度では5日間の培養後でもほとんど細胞
は死なず、 利用不可であるこ とが分か っ た。 そ こで、
44nMの ア ミ ノ プテ リ ン含有培地を用いて、 HK-128細胞と
そのハイブリ ドー マを培養し、 その増殖速度を検討した
(Fig. 3-1(B)) 0 2種類のハイブリ ドー マはいずれ もこ
の培地中で成育することができるのに対して、 HK- 128
細胞は増殖できなか っ た。 さらに図中に示してはいない
が、 培養5日自に同じ培地を用いて継代培養をすると、
9日目にはHK-128細胞は、 完全に死滅して し ま っ た。
これらの結果から、 HK-128細胞を用いてハイブリ ドー
マを作製する際には、 選択培地HAT の ア ミ ノ プテ リ ン 濃
度を44nMに調製することにした。
- 31 -
(A) (B)
100. - 圃 • - •• _ 100
、回、
80.J 、15nM 目u 曲u -
,園田、》\ 《 44
刊
司署。F・4
、ー- 阿
.,+
仇, ...
4 • ・
400
2へ
∞ H 1042伺•• 》2 ,,•. 4 •
」 包
自
ω 2 己ロυ ω
。I
i I i I i I i I i I。 l 2 3 4 5 。 2 3 4 5 6
Time
(days)
Time(days)
Fig.3・1
Effect of aI11inoputerin concentration on the viability and cell疋ro\Vth of HK-128 cells
A :
Viability of HK-128 cells cultured in medium containing various concentrations of aminoputerin
was measured by the tηrpan blue dye exclusion test.
B:HK-128cell and Wo hybridomas(Hyb.A,Hyb.B) derived from that cell were cultured in HAT
medium containing 44nM aminoputerin for 6 days.
- 32 -
第3節 細胞融合
樹立した新たな融合パー ト ナ ー細胞株HK-128を用い、
乳ガ ン、 甲状腺ガ ン、 胃カ♂ ン患者由来のリ ン パ節もしく
は末梢血由来のリ ン パ球と融合した。 方法 は、 第2章第
4節 に示したPEG法である。 Table 3-2に親細胞株 と して
HK-128 、 HMy2、 HO-323細胞を用いて融合した時の各々 の
融合効率を示した。
乳ガ ン患者由来のリ ン パ節リ ン パ球を用いて融合した
時、 HK-128細胞はその親株であるHMy2細胞を用いた場合
の約4 0倍と高い 効率を与えた。 さらに、 HO-323細胞の場
合と比較しても2倍程度と高い融合効率が認められた。
また、 胃ガ ン患者由来の末梢血リ ン パ球を用いた場合、
HK-128細胞の融合効率は、 リ ン パ節リ ン パ球を用いた場
合の半分程度まで低下するが、 それでもHO-323細胞を用
いた場合 の 2倍と良好な結果が得られ た。
- 33 -
Table 3・2
Fusion efficiencies of various parent cells with lymphocytes isolated from lymph nodes or peripheral blood
*
Lyrnphocytes separated from peripheral blood of a stomach
cancer patient were used for the experiment.
第 4節 \ イブリ ド ー マの抗体産生
第1 項 ハイブリ ドー マの 産生する抗体の ク ラ ス
HK-128細胞を用いて融合後、 得られたハイブリ ドー マ の産生する抗体を酵素抗体法(ELISA) 3ó)で測定した。
固相に結合させる抗原は、 抗ヒ ト1 g G と1 g M 抗体(タゴ 社)を50mMの炭酸緩衝液(pH9.6) に溶解して用いた。 こ の反応を1時間以上行 っ た後、 抗体の非特異的反応を防
ぐために、 1先の濃度で牛血清ア ルブミ ン(B S A )を含むリ ン酸緩衝生理食塩水(P B S )で、 さらに1時間以上ブ ロ ッ キ ン グした。 つづいて、 ハイブリ ドー マの培養上清を1 時間反応させた後、 結合した抗体の ク ラ ス を決定するた めに、 2次抗体として ペル オ キ シ ダー ゼ標識抗ヒ ト1 g
Gもしくは1 g M (タゴ社)を1時間反応させた。 反応測定 のための発色基質液は、 O.3mg/mlの p-2, 2' -azino- bis-(3-ethylbenzothiazol ine-6-sulfonic acid)di- ammonium salt(ABTS) と0.003%の H 2 0 2を含むo . 1 Mのク
エ ン酸緩衝液( p H 4 . 0 )を用いた。 得られる 結果は、 4 0 5 nmの吸光度である。 そ こ で、 陽性の判定は、 検体の吸光
rhd nぺU
度から コ ン ト ロ ー ルの吸光度を差し引いた値が、 o . 1を 越え る場合と定義し た。
T a b 1 e 3 -3に HO-323細胞を用いた場合と比較して結果
を示した。 HK-128細胞を用いて得られ たハイブリ ド ー マ はほとんどはG 抗体を産生しており、 全体の1 0 %のハイ ブリ ドー マのみがIgM抗体とIgG抗体の両方を産生してい た。 しかしながら、 最終的に は この両方のク ラ ス の抗体 を産生するク ロ ー ンは、 1 g M産生能を消失してしま った。
一方、 HO-323細胞の場合はほとんどのハイブリ ドー マが IgM抗体を産生しており、 わずか2%のハイブリ ドー マの みが!gGとIgM両方を産生したにすぎなか った。 これらの ク ロ ー ン もやはり培養をつづける こ とで、 !gG産生能が 消失してしま った。
第2項 乳ガ ン特異的モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体の取得とその 反応性の検討
HK-128細胞と乳ガ ン患者由来のリ ン パ節リ ン パ球を用 いて細胞融合を行 って、 ほぼ7000ク ロ ー ンのハイブリ ド ー マを取得した。 こ のうち ヒ ト乳ガ ン細胞株 MC F - 7に
- 36 -
'"コ ーJ
Table 3・3
Classes of Igs produced by hybridoll1as derived froll1 HK-128 and HO-323 cells
Parent cells
HK-128 HO-323
Percent of hybridomas secreting Ig
IgG IgM
90 。
。 90
IgG+Igお1: None
10 0
2 8
特異的に 反応するIgG 抗体産生ハ イ フ リ ド ー マHBll-17
を取得し た。
Fig. 3 -2に、 E L 1 S A法を用 い て 3 種の ヒ ト カー ン 細 胞
(乳ガ ン細胞株MCF-7、 肺ガ ン細胞株PC-8、 胃ガ ン細胞
株MKN-45) と正常繊維芽細 胞 W 1 - 3 8に 対する HBll-17
抗体の反応性を示した。 この抗体の コ ン ト ロ ールとして
ヒ ト血清IgGを同濃度で用いた。 HB11-17抗体は、 若干反
応性は低いものの、 乳ガ ン細胞株MCF-7 のみに反応し、
肺ガ ン や胃ガ ン細胞株および正常細胞株に は反応しなか
っTこ。
- 38 -
0.2
�
MCF-7戸〈KC寸、3〉4
0.1
0.1
。
。 0.5
PC-8
1.0 0 0.5
[
Antibody] (μg/ml)
Fig.3・2
1.0
Reactiviザof HB 11-1 7 against three human cancer and a normal fibroblast cell lines
Culture supematant of HB 11-1 7 hybridomas(Q) and human serum IgG (1阿川ll) (・) were
diluted 2 times with 1
%BSA/PBS sequentially,
むld were reacted with various cell lines.
- 39 -
第5節 考察
現在まで に、 種々 の ヒ ト融合 ノマ ー ト ナ -細胞株 が報告
されてきた (Table 3-1参照〉。 一般的には、 これらの
細胞は10 5細胞あたりO.1ク ロ ー ン程度の低い融合効率し
か示さ な か っ た。 そ こで、 我々 の研究室で はNAT-30や HO-323細胞のような融合効率の高い親細胞株を樹立して きた。 しかしながら、 この2 つの融合パー ト ナ ー細胞株 を用いて得られる ハイブリドー マは、 いずれもIgM産生 株がほとんどであ っ た。 この ことから、 IgG抗体産生ハ イブリドー マを効率的に取得する には、 新しく専用の融 合パー ト ナ ー細胞株の樹立が必要である ことが示唆され た。 融合パー ト ナ ー細胞株として最も重要な機能のひ
とつは、 その増殖能 にあるのではなかろうか。 細胞融合 直後のハイブリドー マは 1 ク ロ ー ンであり、 これらは選
択培地中で培養され、 さらに細胞質の状態は通常の2倍 の染色体量をもっという不安定な状況にある。 そうした
なかで、 分裂を繰り返し、 増殖してくる ようなハイブリ ドー マ が必要である。 著者は以上の観点から、 融合パー
- 40 -
ト ナ ー細胞株は高い ク ロ ーニ ン グ効率をもたなくてはな
らない と考えた。
また、 HK-128細胞とHO-323細胞を用いて得られたハイ ブリ ドー マは、 それぞれIgG抗体、 IgM抗体を主として産 生していた。 しかしながら、 1 g Gと1 g Mをともに産生して いるハイブリ ドー マは、 その抗体産生 が不安定である こ とがわか っ た。 新本らも、 この点に関して1 g A産生ハイ ブリ ドー マを取得する際に同様な現象が生じる ことを示 している37 )。 一方 、 ThomasらはIgG産生親細胞株と乳力、、
ン患者由来のリ ンパ球との融合で、 乳ガ ン特異的な ヒ ト 型1 g G抗体を安定して取得している38〉0 これらの結果か ら、 ハイブリ ドー マの抗体産生はその融合パー ト ナ ー細 胞株の元来持 っ ている抗体産生系とリ ンパ球の持 っ てい る抗体産生系の両方に影響されており、 安定した抗体産 生はそれぞれのク ラ スが一致する必要がある ことを示唆
し ていた。
- 41 -
第6節 小括
ヒ ト形質細胞腫細胞 株LICR-LON-HMy2から、 新たな ヒ ト融合パー トナ ー細胞株としてHK -1 2 8細胞を樹立した。
HK-128細胞は100完のク ロ ー ニ ン グ効率を示し、 105 細胞 に つき1 ク ロ ー ン以上の高い融合効率を示した。 得られ
るハイブリ ドー マの90%以上はIgG抗体を産生しており、
IgM抗体を産生しているハイブリ ドー マは、 継代培養中 に その産生を急速に消失した。 こ の結果はHK-128細胞が ヒ ト型 IgGモ ノ ク ロ ーナ ル抗体産生ハイブリ ドー マを取 得するのに、 有効である こ とを示唆してい た。
また、 HK-128細胞と乳ガン患者由来リ ン パ球との融合 に よ っ て得られた約70 0 0ク ロ ー ンのハイブリ ドー マの中
から、 ヒ ト乳ガン細胞株MCF一?に特異的に反応する1 g G 抗体産生ハイブリ ドー マHBll-17を樹立した。
- 42 -
第4章 ハイブリドー マ の ク ラ ス ス イ ッ チ変異体の取得
第1節 緒言
ヒ ト型ハイブリドー マ の産生するモ ノ ク ロ ー ナ ル抗体 は、 各種疾患の診断 ・ 治療に利用可能であるた め、 幅広
く研究が行われてきた 27〉o 我々 の研究室もガ ン特異的 ヒ ト型 モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体に関する報告を 行 っ ている。
しかしながら、 これら抗体のほとんどが1 g M 型であり、
1 g G 型 の抗体は得られていない。 一方、 生体内では体外 からの異物の侵入に対して、 最初IgM抗体が産生され、
つづいてはG 抗体が産生されて抗原抗体反応により体内 からすみやかに除去される。 こ うした リ ン パ球の 1 gM産
生細胞からIgG産生細胞へのク ラ ス ス イ ッ チは、 本庶ら によ っ て明かにされた 39 >。 そ こで、 もしハイブリドー マでリ ン パ球のようにク ラ ス ス イ ッ チを起こさせること
ができれば、 既存の抗体の抗原特異性を生かしつつさ ら に有用な抗体を培養細胞レ ベルで取得可能 に なる。
Scharffらは、 実際に マ ウ ス ハ イブリドー マで、 1 g G 1 からIgG2へのク ラ ス ス イ ッ チ変異体を取得したと報告し
- 43 -
ている 40)。 また、 Rajewskiらも マ ウ ス ハイブリ ドー マ から、 IgG の一連のサ ブク ラ ス ス イ ッ チ変異体を取得し たと発表している 41〉0 しかしながら、 ヒ ト型ハイブリ
ドー マでは こ う した報告はない。 さ らに、 IgMから1 g G への ス イ ッ チのように ア イ ソ タイプ変異体に関する報告 は、 マ ウ ス の系でもみられない。
これらの ことから、 著者は1 g M型の ヒ ト肺ガ ン特異的 モ ノ ク ロ ー ナ ル抗体を産生するハイブリ ドー マHB 4 C 5の ク ラ ス ス イ ッ チ変異体を取得する こ とを試みた。
- 44 -
第2節 フ ロ ーサイト メーターを用いた変異体の検出
第1項 フ ロ ーサイト メトリー
フ ロ ーサイト メーターは別名セル ソーターとも呼ばれ ている。 この装置は 1秒間に1 0 0 0個以上の細胞を分析も しくは分取できる 42)0 Fig.4-1にセル ソーターの構造に ついて簡単に 示した。 検体となる細胞(Sample)は、 前も っ て目的とする物質に対する蛍光抗体や蛍光色素 で標識 しておく。 この検体はリン酸緩衝生理食塩水(PBS) で構 成されているシース流(Sheath)とともに鉛直下方に噴射
される。 ごのシース流の途中に蛍光色素を励起するため のレ ーザ一光(Laser beam)が照射されているため、 検体 が通過すると蛍光が発生する。 この蛍光を種々 の検出器 (Detector)が測定し、 コ ン ビ ュ ーターに測定信号を伝達 後、 データ処理を行う。 データは蛍光の他に細胞の大き さを表す前方散乱光(LS)と細胞の複雑さを表す側方散乱
光(9 0 L S )が得られる。 従 っ て、 通常の測定ではLS と9 0 LSのヒ ストグラムを取得して、 形態的に均一な細胞集団
のみの蛍光測定となるように指定(ゲーテ ィ ン グ)した
一 45
後に、 目的とする測定を行う。
また、 細胞の分取は、 次に 述べる原理で行われる。 検 体を含むシー ス流は、 機械的な振動に より、 液流から液 滴が形成される。 目的とする細胞を含む液滴に、 正か負 の電荷を与えると、 落下途中に ある電圧のかか っ た偏向 板(Deflector)を通過する際に、 正の電荷をもっ液滴は
負の極板側ヘ、 負の電荷をもっ液滴は正の極板側ヘ誘引 される。 従 っ て、 偏向板の下に細胞回収用の培地入り遠 心管(Test tube)を用意し ていれば、 その中に目的とす る細胞が落下する。 ご うし て、 得られた細胞を実験に使
用する。
- 46 -
to Display
: : : : Computèr : : :
::
: :Sample tube
Flow cell
Sheath tank
AU n a )O G 〉⑥,H一-bvrk+一一)O,H+己O
〈+
000@OO⑥000000 口。⑥ひ〉O」---EF--。
Deflector
Test tube +
Wastes
Fig.4-1
Structural diagram of f10w cytometer
- 47 -
第2項 細胞の培養と検体の調製
10% FBS-ERDF培地で継代しているヒ ト型ハイブリ ドー マHB4C5細胞43)を2x 106細胞用意した。 細胞は、 フ ェ ノ ー ル レ ッ ド不合MEM培地(M E M (一)) (日水製薬) で2回洗 浄した後、 2 0μlの蛍光標識抗ヒ ト ア イ ソ タイプ抗体と
5 0μiの10%FBS-MEM(-)培地で懸濁した。 反応3 0分後に、
それら細胞をMEM(-)で2度洗浄して、 検体とした。 これ らの操作はすべて、 4 ocの低温下で行 っ た。
こ の一連の操作は、 細胞の自家蛍光発生を効率よく防 ぎ、 陽性と陰性の判断を容易にさせうる方法である。 著 者は、 IgM抗体産生ヒ ト型ハイブリ ドー マHB4C5細胞の細 胞内抗体をF1 T C (フ ルオ レ セイ ン イ ソ チ オ シ ア ネー ト〉
標識抗ヒ トIgM抗体を用いて検出する際に、 細胞を洗浄 する培地と操作中の温度が自家蛍光発生に およぼす影響 を検討した。
実験に使用した セル ソ ーターは、 E P 1 C S 75 2 (コ ール ター社) であるo Fig.4-2(a)に示すように、 MEM(一)で洗 浄した場合、 抗体を反応させていない細胞群は蛍光強度 2および3 の位置に全体の 90%以上の細胞が分布してい
- 48 -
た。 一 方、 FITC標識抗体で染色した細胞群は、 蛍光強度 7と8を中心に広範囲に分布していた(Fig.4-2(b))。
これらの ヒ ス ト ク ラ ムから蛍光強度4以下を陰性 、 5以 上を陽性であると判断した。 次に フ ェ ノ ールレ ッ ドを含 むERDF培地を用いて洗浄した場合、 蛍光標識抗体で染色 していない細胞群は、 Fig.4-2(c)に示すように蛍光強度 2 および3 の細胞が多いものの、 陽性領域である蛍光強 度5以上の細胞も多く認められ、 自家蛍光を有する細胞 が存在する こ とが 示唆され た。 また、 ERDFを用いてF1 TC標識抗体で染色した場合(Fig.4-2(d))、 ( b )に比較 して全体的に細胞の蛍光強度に ばらつきが多く、 この傾 向には再現性があ っ たo これらの結果から、 培地中の フ
エ ノ ールレ ッ ドが自家蛍光発生になんらかの形で関与し ている こ とが示唆されたo さらに、 検体調製を室温で行 うと(Fig.4-2(e))、 蛍光標識抗体で染色していないに も かかわらず、 蛍光強度5以上の陽性領域に全体の42
Zの細胞が分布していた。 4 ocでの調製の場合は(a )に示
すように、 陽性領域に細胞はほとんど分布していない こ とから、 検体調製は4 ocで行うほうが適当であると判断
されたo なおこれらのデー タは、 いずれもFig.4-2(f)
-49 -
に示す、 細胞形態の均一な集団の みに限定し取得した。
Fig.4-3'こ、 フ ロ ー サ イト メ ト リーを行う際の検体調 製法の略図を示した。 図中の70%エ タ ノ ー ル固定は実験
の目的によ っ て削除してもよい。 こ の章で使用した細胞
の調製は、 すべて以上の実験結果に基づい て行われた。
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1 2 3 .
S
・ 7 • t 101112131.15,.171・2・20(b) 4 "c, MEM(・}
Ab(+)
1α)Q 8∞
Sぬ 4∞
2∞
。
ω』@DEコZ
。。
(a) 40C, MEM(・) Ab(・)
1 2 3 . ‘ ・ 7 • .101112131415,.17..1・to
Fluorescence Intensltles
1α刃 8∞
600 4α3 2∞
。
ω』@DEコZ
ο 。
Intensltles
(d) 40C, EROF Ab(+) Fluorescence
tα幻 8∞
600 4∞
2珂
昌明』@aEコZ
。@
(c) 4・C, EROF Ab(・)
1α)() 8∞
広x) 4α3 2∞
ME@』εコZ
。@
1 2 3 • 5・ 7 • '101112 131"'5'・17"1'20
Fluorescence Intensltles 1 2 3 4 5 C 7 • • 10官官1213141'1" 71'1.20 。
。
、.. ,, sz,,.1
90'-S Intensltles
R.T. MEM(・) Ab(・) (e)
FJ uorescence
1αm 8∞
6∞
4α3 2∞
舗と@DEコZ
。。
t 2 3 . , ・ 7 • • 101112 1:11.1‘'‘17,. lt 20 Intenslties
。
Fluorescence LS
Fig.4・2
Effects of washing medium and temperature on the fluorescence intensities of HB4C5cells for detection of intracellular immunoglobulin
vHB4
C
5cells were washed withMEM(ー)
(a. b. e) or ERDF (c, d)!?
edlum at40C or at room temperature (e).Then,the cells w re reacted with {b,d) or without (a,c,e)FITC labeled antihumむ11gM antibody.A11 samples gave similar IS-90Iβcyto
gramsmd were obt伽ed from出e gated area shown in figure(f).
51
C 山 1寸γγC閃ωd叫叩e11出州ωl1s 州l1 s (1川S叫州(μ1 x ω l
Wash the cells
2times with ME孔M(-) Fix the cells with ↓
700/0Ethanol
Wash the cells ↓
2times with MEM(-) Resuspend in ↓
100/0FCS-MEM(-)
Rea 寸 ↓ 叫恥lab山ntib吋
Wash the cells 3 times with MEM(-) Resuspend註lME孔1(-) ↓
Fig.4・3
Scheme of sample preparation for f10w cytomet守
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