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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

デュアルイオン電池における繰り返し充放電特性の 向上とガス発生抑制

野津, 龍太郎

https://doi.org/10.15017/4060245

出版情報:九州大学, 2019, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

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要旨

デュアルイオン電池は、陰イオンをインターカレーションすることができる正極を用いた 二次電池である。六フッ化リン酸(PF6)や四フッ化ホウ酸(BF4)などの陰イオンがグラファイ トへインターカレーションする電位が5 V vs. Li/Li付近で起きることによって、高電圧な 二次電池を構築することができる。また、カーボネート溶媒を用いた電解液において、これ らのアニオンが溶媒和しにくいことと、グラファイトへのインターカレーションの反応速度 や電解液中の移動速度が速いことから、内部抵抗が低く、高い入出力性能を持つ電池を構築 することができる。しかしながら、正極でのインターカレーションが高い電位で起こるため に、電解液が分解することによって、ガスが発生するとともに、充放電の繰り返しによる容 量が低下し、実用化に対する課題となっている。また、チタン酸リチウム(LTO)負極を用いた セルの充放電特性の検討において、デュアルイオン電池の繰り返し充放電における容量劣化 が、リチウムイオン電池では安定なLTO 負極を用いても、生じることから、負極の容量が繰 り返しにおいて低下する機構を解明し、改善することが要求されている。本研究では以上の ような背景から、LTOを負極に用いるデュアルイオン電池において、ガス発生と繰り返し特性 を向上させることを目的に、電極近傍におけるルイス酸性の変化に着目して検討を行った。

第二章では、デュアルイオン電池の充放電における性能劣化とガス発生の要因および解決 方法を見出すために、正極および負極の電位を測定しながらデュアルイオン電池の充放電を 行い、サイクル前後の正極および負極のそれぞれの容量を単極で評価した。その結果、デュ アルイオン電池の充放電サイクルにおいて、電池容量が減少したが、正極および負極の単極 容量は、ほぼ初期値を維持していることを見出した。そこで、電極の片方のみにインターカ レーションを生じる、片入り現象が起きることで、充放電の繰り返しにおいて放電容量の減 少が起きることを示した。また、デュアルイオン電池の充放電におけるイオンの移動を再現 させるために、グラファイト正極を対極に用いたLTO 作用極のサイクリックボルタンメトリ ー測定によって、可逆性が安定すると思われたLTO 負極の酸化還元電位が繰り返しに伴い変 化することを見出し、デュアルイオン電池の充放電サイクルにおける負極電位の安定性が電

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極近傍のルイス酸の強さに依存することを示した。

第三章では、LiPF6よりもルイス酸の強さ弱いと考えられるLiBF4を用いて、デュアルイオ ン電池のガス発生や自己放電、および充放電サイクル寿命を評価した。LiBF4 DMC電解液およ びLiBF4 PC電解液を用いたデュアルイオン電池は、自己放電性能が向上し、充放電サイクル においてガス発生および容量減少が抑制されることを示した。ルイス酸の強さが緩和された 電解液を用いることによってデュアルイオン電池の充放電サイクルにおける正極および負極 が変化する電位範囲が変化しにくくなるので、片入り現象および不可逆反応が低減できるこ とが示唆された。しかしながら、LiBF4 を用いると、デュアルイオン電池の放電容量が低下す ることが課題でなり、容量を維持しながらガス発生を抑制することが求められた。

第4章では、LiBF4 を用いたデュアルイオン電池の容量減少の課題を改善しながらデュア ルイオン電池の充放電サイクルにおけるガス発生および容量減少を抑制するために、LiPF6を 用いながら電解液のルイス酸の強さを緩和させるために、アンモニウム塩との混合電解液を 検討した。その結果、LiPF6をおよびTEABF4を混合した電解液によって、デュアルイオン電池 の容量を維持し、かつ充放電サイクルにおけるガス発生および容量量低下を抑制できること を見出した。また、LiPF6を用いたデュアルイオン電池の充放電サイクルによって電解液中の PF6が分解し、濃度が減少することが、容量低下の理由であることを見出し、アンモニウム塩 を用いることによって、PF6の分解が抑制できることを見出した。

本研究の結果、デュアルイオン電池の充放電におけるガス発生および容量減少は、正極お よび負極近傍の電解液のルイス酸の強さによって起こり易くなった自己放電、または不可逆 反応およびその結果生じた正極および負極の充電状態バランスの変化により生じることが示 唆され、電解液のルイス酸の強さを緩和した電解液により改善できることを明確にした。

キーワード: デュアルイオン電池、アニオンインターカレーション、片入り、ガス発生、充 放電サイクル、ルイス酸の強さ、四フッ化ホウ酸塩、アンモニウム塩、TEABF4

参照

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