権利能力と法人格について・序説 : Ulrich Huber の権利能力と法人格の理解
その他のタイトル Rechtsfahigkeit und Rechtspersonlichkeit im deutschen Gesellschaftsrecht
著者 福瀧 博之
雑誌名 關西大學法學論集
巻 53
号 1
ページ 1‑55
発行年 2003‑06‑25
URL http://hdl.handle.net/10112/00023358
ヽ
権 利
能 力
と 法
人 格
に つ
い て
・ 序
説
権利能力と法人格について・序説
U l
r i
c h
H u
b e
r の権利能力と法人格の理解
I
(1 )
一般的な私法学説によれば︑権利能力とは︑権利・義務の主体となりうる資格である︒自然人には権利能力が認
(2 )
められるが︑自然人以外で権利義務の主体となりうるものが法人である︒換言すれば︑権利能力と法人格は同義であ
(3 )
り︑法人とは︑自然人でなくて法人格︵権利能力︶を認められたものである︒
他方︑わが国の判例通説によれば︑会社に関しては︑設立の登記︵商法五七条参照︶より前に︑﹁設立中の会社﹂
という会社成立を目的とする﹁権利能力なき社団﹂が成立していると解されている︒このように︑設立中の会社の法
的性質を﹁権利能力なき社団﹂と把えながら︑しかし︑多くの説は︑それと同時に︑設立中の会社の﹁権利能力﹂の
(5 )
範囲を問い︑または設立中の会社が﹁いかなる権利能力をもつか﹂を問題としている︒設立中の会社という概念また
は考え方が︑﹁発起人による定款の作成に始まる設立手続中の各行為の効果がなぜ成立後の会社に帰属するのかを説 福
瀧
博
之
︱‑︑もっとも︑ドイツ法のもとでは︑このような権利能力と法人格の関係は︑目新しいものではないようである︒ド
(9 )
イツ法上︑通説・判例によれば︑合名会社は権利能力を有するが︑法人ではないとされているようである︒
( 10 )
の一判例を紹介したこ
さらに︑私は︑先に︑民法上の組合に小切手能力を認めるドイツ連邦通常裁判所
( B
G H
) とがあるが︑その際にも︑法人格を有しない民法上の組合に権利能力小切手能力︵手形能力︶を認めるとい う法律構成のありうることを紹介した︒しかし︑法人格は認められないが︑権利能力があるとは一体どういう意味で
︱︱‑︑本稿においては︑以上のような問題を検討する準備の一として︑最近知りえたドイツの一学説を以下において検 あ
ろ う
か ︒
か っ
た の
か ︒
第五三巻
(6 )
明する﹂ためのものであるとしても︑設立中の会社には﹁法人格がなくそれゆえに権利能力がない﹂としながら︑他 方で︑設立中の会社の権利能力を問題にすることは︑果たして充分な法律的説明といえるのであろうか︒
有力な学説は︑設立中の会社と成立後の会社の同一性を認めるいわゆる同一性説に言及して︑﹁設立中の会社を権 利能力なき社団として把えるならば︑その権利主体性を肯定し︑それに相応した権利能力を承認する方向で理論構成
(7 )
を試みてこそ︑首尾一貰した法理論としての同一性説が生かされることになるのではなかろうか﹂と説いている︒こ
(8 )
の見解によるときは︑理論的には明快であるが︑しかし︑他方︑次のような素朴な疑問が出てくるであろう︒そのよ うに考える場合には︑﹁権利能力なき社団﹂は︑﹁権利能力ある社団﹂であるということになるのではないか︒しかも︑
﹁権利能力ある社団﹂ではあるが︑設立の登記前であるから法人格は認められないとすると︑﹁権利能力﹂はあるが︑
﹁法人格﹂は認められないということになるのであろうか︒そもそも︑﹁権利能力﹂と﹁法人格﹂とは︑同義ではな
関 法
一号
討することにしたい︒ドイツ法上の民法上の組合の権利能力をめぐる従来の議論を整理し︑
1
あるいは右に述べた
私の疑問と相通ずる問題意識に基づいて、~利能力、法人格に関する自説を主張するドイツの
UlrichH u b e r
の
( 1 2 )
所説である︒ドイツと日本とでは︑たとえば︑ドイツの通説によれば︑合名会社︵合資会社︶に法人格が認められて いないことに象徴的に現れているように︑相当情況が違うことも事実であるが︑右の見解は︑その権利能力と法人格
の関係の理解などにおいて︑わが法の理解にとっても有意義な示唆に富むものであると考えたからである︒本稿に︑
﹁権利能力と法人格について・序説ーー
' U l r i c h H u b e r
の権利能力と法人格の理解│̲﹂と題する所以である︒
( 1
) 四 宮 和 夫
" 能 見 善 久 ・ 民 法 総 則
︹ 第 六 版
︺
( 2
) 四 宮
" 能 見 ・ 前 掲 書 八 六 頁
︒
( 3
)
﹁法律関係又は権利義務の主体となりうる法律上の資格を法律上の人格又は︑権利本位の建前から︑権利能力という﹂の
である。於保不二雄・民法総則講義(新青出版•平成八年〔有信堂・昭和二六年〕)四0頁。一 般 に ︑
﹁ ﹃ 私 権 ノ 享 有 ハ 出 生 二 始 マ ル
﹄ と い う 規 定
︵ 一 条 ノ
︱ ︱
‑ ︶ は ︑ 自 然 人 は 出 生 に よ っ て 当 然 に 法 人 格
︵ 権 利 能 力 ︶ を
取得することを意味する」(四宮和夫・民法総則(第四版補正版)(弘文堂•平成八年)三八頁)というように、法人格と権
利能力は同義に用いられているといってよいであろう︒
(4)たとえば︑大森忠夫
社・有限会社法︹第 2
1 1矢沢惇編・注釈会社法②︵有斐閣・昭和四二年︶四二頁︹北沢正啓執筆︺︑江頭憲治郎・株式会
版 ︺
︵ 有 斐 閣
・ ニ 0
0 二
年 ︶ 八 九 頁 な ど 参 照 ︒
( 5 )
菱田政宏・会社法新版︵上巻︶︵中央経済社・昭和六三年︶七七頁参照︒もっとも︑右においては︑設立中の会社の ﹁実質的権利能力﹂という表現も併せて用いられている︒実質的権利能力という概念に関しては︑上柳克郎"鴻常夫
1 1
竹 内
昭夫絹•新版注釈会社法②(有斐閣・昭和六0年)――10二頁〔川又良也執筆〕参照。(6)上柳克郎"鴻常夫11竹内昭夫編・新版注釈会社法①(有斐閣・昭和六0年)一六一頁〔川又良也執筆〕、江頭•前掲書八
九 頁 参 照
︒
(7)前掲註(5)•新版注釈会社法②三0三頁〔川又良也執筆〕。
権利能力と法人格について・序説
(弘文堂•平成一四年)二四頁。関 法
第五三巻(8)﹁設立中の会社と成立した会社との間に同一性を認め︑設立中の会社の法的性質をいわゆる権利能力なき社団ーそれは
実は権利能力を具えた社団である
1と考えるならば︑実は本条︹一八八条︺によって設立登記により会社が成立するとい うことの意味は︑それまで権利能力なき社団であったものに権利能力が付与されたというよりも︑それまで課せられてきた
執行機関ないし代表機関の権限に対する制限が除去され︑会社の設立に当って目的とした行為およびそれに必要ないし有益
な行為を自由に行いうる状態におかれたのだ、ということになる。」前掲註(5)•新版注釈会社法②三0八頁〔川又良也執筆 ︺ ︒
( 9 )
V
g l .Ei se nh ar dt , G e se l l sc h a ft s r ec h
̀ t
1 0 .
A uf l
. (
20 02 ) S .
1 1 4
f .
( 1 0 )
BG H, r t U e ilv .
15 . 7 .
1997 │
XI R 15496N
ヽ
(O LG Di i s se l d or f ) ;
N J
W
19 97
, 2754;
J
N19 98
, 145;
ZI
P 1
99 7, 1 49 6.
( 1 1 )
福瀧博之﹁民法上の組合の手形行為︵序説︶ーードイツの一判例の紹介ー﹂現代企業・金融法の課題︵下︶︵平出慶道先
生・高窪利一先生古稀記念論文集︶︵信山社・平成一三年︶七七七頁以下所収︒
( 1 2 )
Ul ri ch Hube r, Re c h ts f i ih i g ke i t , j u ri s t is c h e P er so n u nd Ge sa mt ha nd , F e st s c hr i f t f i i r Ma rc us Lu tt er (
20 00 ) S. 1 0 7 .
ここで取り上げる
Hu be
r
の論文は︑著者
(H ub er )
がボン大学の同僚である
Ma rc us Lu tt er
にささげられた記念 論文集に寄稿したものである︒論文は︑﹁法人格︑法人および合手︹合有︺
Ge sa mt ha nd
﹂と題するものであり︑その内容は︑
)Hu be
r
が約一五年にわたって︑
Lu tt er
とともに交替に担当して
(1 )
き た
Ge se ll sc ha ft sr ec htの講義の経験に基づいて︑民法上の組合に関して︑﹁民法上の組合には﹃権利能力がある
(2 ) ( re c h ts f i ih i
g )
﹄と表示することは意味のある正当なことであるか﹂という問題を論じたものである︒
一 号
(R ec ht sf ah ig ke it , j ur is ti sc he e P rs on n u d
四
四
て
権 利
能 力
と 法
人 格
に つ
い て
・ 序
説
する社団は︑州による権利能力の賦与︹授与︺ 述
べ て
い る
︒
五
五
︵ 案
7 1 8 , 7 1 9
BGB
un d e rg an ze nd e
( ni c h t
へ の
登 記
(E in tr ag un g)
に
Hu be
によれば︑ドイツの判例は︑いまだ︑この問題を一般的な形において確定することを回避して祖沢︑学説
r( 3)
は︑種々な見解に分かれている︒
Hu be
r
は︑先ず︑法律の規定の確認から始める︒
Hu be
r
によれば︑問題の考察に
あたっては︑法律のいかなる所与は尊重しなければならないのか︑判例のいかなる所与は尊重するのが合理的か︑い
かなる誤解は絶対に避けなければならないか︑そして︑結局︑いかなる観点がもっとも望ましいか︑といった視点か
(4 )
ら問題の考察を始めるべきであるというのである︒
( s . 1 0 8 )
ここで取り上げられるのは︑ドイツ民法ニ︱条︑二ニ条および五四条である︒すなわち︑
Hu be
r
は︑次のように
( 5)
ドイツ民法ニ一条によれば︑経済的事業の経営︵且
r ts c h af t l ic h e r Ge sc ha ft sb et ri eb ) (V er ei n)
は︑管轄権を有する区裁判所
(A mt sg er ic ht ) ( kr a
f t i hr e r gesetzlichen
Au sg es ta lt un g a l s Ge sa mt ha nd sg em ei ns ch af t)
①ドイツ民法の規定はどうなっているか︒
を目的としない社団
の社団登記簿
(V e re i n re g i st e r ) (6 )
よって﹁権利能力
(R ec ht sf ah ig ke it
)
﹂を取得する︒また︑ドイツ民法二二条によれば︑経済的事業の経営を目的と
(b es on de re t a s a tl i c he
V erleihung)
によってのみ﹁権利能力﹂を取得
する︒そして︑必要な登記または権利能力の賦与がない場合には︑その社団は︑﹁権利能力を有しない
(7 ) re ch ts fa hi g)
﹂︒そのような﹁権利能力を有しない﹂社団には︑ドイツ民法五四条によれば︑﹁組合に関する規定﹂が
(8 )
適用される︒すなわち︑ドイツ民法七
0五条以下の規定が適用されるのである︒さて︑民法上の組合が︑合有的共同
(9 )
体︹合手的共同体︺としてのその法律的構成︵ドイツ民法七一八条︑七一九条およびこれを補充する諸規定︶によっ
(G es am th an ds ge mi en sc ha ft )
を民法上の組合として取り扱うドイツ民法の立場と矛盾すると解されかねないものであると指摘しているのである︒
ドイツ民法ニ一条︑二ニ条および五四条にいう権利能力はどういう意味なのか︒それは民法上の組合に認められ
以上のようなドイツ民法の規定の理解からすれば︑ る権利能力と同じものであろうか︒ ( 2 ) これを要するに︑
( s .10 8£ .)
関法
であると理解し︑それが権利能力を有すると解する見解は︑権利能力を有しない社団
Hu be r
は ︑
第 五 三 巻 一 号
Be st im mu ng en)
︑前述の諸規定︹ドイツ民法ニ一条︑二ニ条︑五四条︺
﹁民法上の組合は︑合有的組合
の意味において﹁権利能力を有する﹂ので
あれば︑ドイツ民法五四条は︑それ自体︑矛盾した規定となるであろう︵﹁権利能力を有しない﹂社団が民法上の組
合として﹁権利能力を有する﹂ことになる︶︒そして︑民法ニ一条および二二条は無意味となるであろう︒右のよう
に考えるのであれば︑経済的社団と同様に非経済的社団
( di e Id ea lv er ei ne )
も︑登記または権利能力の賦与によっ
て始めて権利能力を取得するのではなく︑むしろすでに合有財産の形成によって
Ge sa mt ha nd sv er mo ge ns)
︑ドイツ民法五四条に基づいて権利能力を取得することになるのである︒かつての支配的
( 10 )
︵1 1 )
見解および新しい学説を批判する人々が民法上の合有的組合︵
Ge sa mt ha nd sg es el ls ch af t)
に﹁権利能力﹂を認める
ことに反対してきたのは︑結局︑このような矛盾した︑違法であり︑そして︑おそらくは立法論として
fe re nd a)
も︑少なくとも経済的社団に関しては︑ほとんど主張できないような帰結のためであったと考えられる︒
民 法 上 の 組 合
( di e Ge se ll sc ha ft b t i rg e r li c h en Re ch ts )ドイツにおいて︑
(d e l eg e
を
合 有 的 共 同 体
( <
l ur c h d ie Bi ld un g e i ne s
六 六
権 利
能 力
と 法
人 格
に つ
い て
・ 序
説
理解によれば︑ドイツ商法︱二四条︑ ( G
e s
a m
t h
a n
d s
g e
s e
l l
s c
h a
f t
)
七
七
一 般
的 な
として組織されていれば︑権利能力を有する﹂という場合の﹁権利能力﹂は︑ドイツ民
法ニー条︑二ニ条および五四条がそう呼んでいるものと同一のものではありえないことになる︒ドイツ民法五四条は︑
ドイツ民法ニ一条︑二ニ条および五四条にいう﹁権利能力﹂を有しない社団に︑民法上の組合に関する規定を適用す
るのである︒民法上の組合が権利能力を有するのであれば︑権利能力を有しない社団が民法上の組合として権利能力
を有することになるからである︒
H u b e
r によれば︑これは︑合有的組合に権利能力を否定しない限り︑回避するこ
そ こ
で ︑
H u b e
r は︑ドイツ民法ニ一条︑二ニ条および五四条における﹁権利能力﹂という表現は︑本来︑どのよ
うに理解すべきものか︑ーー'民法上の組合︵合有的組合︶に認められる権利能力とどう違うのか︑
1と︑あらため
て問いかけている︒先ず︑
H u b e
r は︑これらの諸規定において権利能力が問題とされる場合には︑単に︑﹁権利義
務の担い手﹂となる能力
( d i e
F a
h i
g k
e i
t ; T r a g e r v o n R e c h t e n u n d P f l i c h t e n
" z u s e i n )
が問題になっているというこ
とはできないという︒なぜならば︑おそらく︑民法上の合有的組合にも︑
1合有的組合の権利能力を肯定する見
解によれば︑
1認められるのは︑
まさにこのような能力だからである︒さらに︑合名会社
( O H G
;
0
f f
e n e
H a
n d
e l
s g
e s
e l
l s
c h
a f
t )
および合資会社
( K
G ;
K o
m m
a n
d i
t g
e s
e l
l s
c h
a f
t )
も︑合有的組合であるが︑しかし︑
( 12 )
︱二八条および︱二九条は︑合名会社および合資会社は︑それにもかかわらず︑
権利義務の担い手であるとする考えに基づくものなのである︒
( s . 1 0 9
f.
)
結 局
︑ H u b e
r は︑ドイツ民法ニ一条︑二ニ条および五四条における﹁権利能力﹂という表現は︑実は︑法人格の
有無を問題とするものであると説明している︒すなわち︑
H u b e
r によれば︑ドイツ民法ニ︱条︑二ニ条および五四 とのできない混乱であるという︒
( s . 1 0 9 )
条において︑﹁権利能力﹂という表現によって考えられていることは︑社団は︑登記または権利能力の賦与によって
自己固有の法人格
(e ig en eR ec ht sp er so nl ic hk ei t)
を取得するということにほかならない︒登記または権利能力の賦
与によって︑社団が﹁法人﹂("
, ju r i st i s ch e e P rs on
'
^)になるということであり︑社団は︑法人として︑権利義務の担
( ,, G e se l l sc h a ft mi t e ig en er e R ch ts pe rs on li ch ke it ^ ^ )
二二条よりも︑より正確な表現であるということになる︒そして︑株式会社は︑商業登記簿への登記前は
(v or de r Ei nt ra gu ng n i
< l a s Hande
ls re gi st er
)
︑﹁それ自体としては存在しない﹂︑と定めるドイツ株式法四一条一項第一文の規
定は︑まさに︑株式会社は︑登記前はまだ自己固有の法人格を有しておらず︑まだ法人ではない︑ということを表現
しようとするものなのである︒したがって︑
Hu be
r
によれば︑設立中の会社
( V
o rg e s el l s ch a f t)
が権利義務の担い手
でありうるかどうかは︑このような規定によっては︑まだ必ずしも決定されてはいないことになる︒
( s . 1 1 0 )
以上からすれば︑ドイツ民法ニ一条および一︱︱一条は︑社団は︑登記または権利能力の賦与によって始めて法人格を
取得し︑法人となる︑という意味に理解しなければならず︑またドイツ民法五四条は︑自己固有の法人格をもたない 社団は︑法人ではなく︑それには民法上の組合に関する規定が適用される︑という意味に理解しなければならない︒
し た
が っ
て ︑
Hu be
r
によれば︑﹁権利能力のある社団﹂および﹁権利能力のない社団﹂とは︑﹁自己固有の法人格の
ある社団﹂および﹁自己固有の法人格のない社団﹂ということの簡略な表現
(K
ur zf or me ln )
に す ぎ な い の で あ る ︒
( s . 1 1 0 )
Hu be
rJ
によれば︑
の よ う な 視 点 か ら す る と き は
︑ 株 式 会 社 と は
第 五 三 巻 一 号
﹁自己固有の法人格を有する会社﹂
( 13 )
である﹂と規定するドイツ株式法一条の方が︑ドイツ民法︱二条︑ い手になりうるということなのである︒
( S.
1 1 0 )
関 法
八
八
権利能力と法人格について・序説
九
九
( 1
)
周知のように︑ドイツ法においては︑
Ge se ll sc ha ft
ということばは︑わが国にいう組合と会社の両方を意味するものであ
る。加藤一郎"鈴木禄弥編・新版注釈民法⑬(有斐閣・昭和四四年)二頁〔福地俊雄執筆〕。なお、福瀧博之•前出、本稿一、註
( 1 1
︶ 八
0 1
頁註
( 2 3 ) 参 照
︒
( 2
)
Ul ri ch Huber,
Re ch ts fa hi gk ei t, ju r i st i s ch e e P rs on
g
dGe sa mt ha nd , F e st s c hr i f t f u r M ar cu s L ut te
r (
20 00 )
S .
10 7.
以 下 に
お い て は
︑
Hu be r, a .a .O .
と
し て 引 用 す る
︒
( 3
)
Hu be r, a. a . O. S .
107
Fn .
1
は︑ドイツ連邦通常裁判所
(B GH )
の法判決︹判決︺の分析として︑
We rt e n br u c h, Di e H af
,
tu ng vo n G es el ls ch af te n u nd Ge s e ll s c ha f t sa n t ei l e n i n d er Zwangsvollstreckung (2000)~i,;E用し、そして、そのfiのドイツ
連邦通常裁判所
(B GH )
判 決 と し て ︑
BGH
ZI
P 1
99 9,
1755 " NJW
19 99 , 3
483
を引用する︒なお︑補註︵本稿末尾︶参照︒
また︑学説に関しては︑
M甘ch Ko
mm ,
Ul me r, 3 .
A ul l . (
1997)§705
Rz .
129 , 131
; K
ar st en Schmidt,
Ge s e ll s c ha f t sr e c ht ,
3
.
A ul l
. (1997)§8
I I I
1, 2 ,
S .
203
f f .
;
F lu me , G es el ls ch af t u nd Gesa mt ha nd136 (, ZHR
19 72 ),
177
f f .
;
Flu me , A ll ge me in er T ei ! de s B i ir g e rl i c he n e R ch ts : Di e Personengesellschaft (
19 77 )
S .
50 , 110
および
Gi er ke , De ut sc he Pr i v at r e ch t
I
(1 89 5)
S .
663
f f .
などを︑その評価とともに引用する︒
( 4
)
以 下 に お い て ︑
s .
ーとして頁数のみを掲げるのは︑いずれも︑すでに註
( 1
) において引用した g
r ic h Huber,
e R ch ts
,
f ah i g ke i t , j u ri s t is c h e P er so n u nd Gesa mt ha nd , F e st s c hr i f t f i i r Ma rc us Lu tt er
(
20 00 )
S .
107で43
る ︒
( 5 )
§ 2 1
BGB
Ei n Verein,
< l e ss e n Z we ck ni c h t auf
ei ne n w i rt s c ha f t li c h en G es c h ii f t sb e t ri e b g e r ic h t et i s t , e r l an g Rt ec ht
s ,
f ah i g ke i
< l t u rc h Eintragung
n i da s Vereinsregister
e d s z u st i i nd i g en Am ts ge ri ch ts .
なお︑以下においては正確を期すために冗長をいとわず︑関連する条文を掲げる︒
( 6 )
§ 2 2
BGB
Ei n Verein,
<
l es s e n Z we ck au f einen
i r w t sc h a ft l i ch e n G e s ch i i ft s b et r i eb g er i c ht e t i s t , e r l an g i n t Er ma ng el un g be so nd er er r e i ch s g es e t zl i c he r V or sc hr if te n Re ch ts fa hi gk ei t
< l u rc h s t a at l i ch e Verleihung.
Di e Ve rl ei hu ng s t e ht de m Bu nd es st aa te z u , n i
< l e ss e n Gebiete
de r V er ei n s ei ne n S i tz h at .
( 7 )
§ 5 4
BGB
Au
£V er ei ne , d i e n ic h t r e c ht s f ah i s i g n d, fi nd en d i e V or sc hr if te n i ib e r d i e G e s el l s ch a f t A nw en du ng . Au s ei ne m R e ch t s ge s c hi i f t, da s i m N am en ei n e s s ol ch en Ve re in s e in em Dr it te n gegeniiber
vo rg en om me n w i rd , a f h t et de r H an
,
de ln de personlich
h ; an de ln mehrere,
so a h ft en si e al s Ge sa mt sc hu ld ne r.
室坦緑ばIll~1a]t> 1 o (Io)
(oo)§705 BGB Durch den Gesellschaftsvertrag verpflichten sich die Gesellschafter gegenseitig, die Erreichung eines ge‑
meinsamen Zwecks in der durch den Vertrag bestimmten Weise zu fordem, insbesondere die vereinbarten Beitriige zu lei‑
sten.
(a,)§718 BGB (1) Die Beitriige der Gesellschafter und die durch die Geschiiftsfiihrung fiir die Gesellschaft erworbenen
Gegenstiinde werden gemeinschaftliches Vermogen der Gesellschafter (Gesellschaftsvermogen).
(2) Zu dem Gesellschaftsvermogen gehort auch, was au£Grund eines zu dem Gesellschaftsvermogen gehorenden Rechts
oder als Ersatz fiir die Zerstorung, Beschiidigung oder Entziehung eines zu dem Gesellschaftsvermogen gehorenden
Gegenstandes erworben wird.
§719 (1) Ein Gesellschafter kann nicht iiber seinen Anteil an dem Gesellschaftsvermogen und an den einzelnen dazu
gehorenden Gegenstiinden verfiigen ; er ist nicht berechtigt, Teilung zu verlangen.
(2) Gegen eine Forderung, die zum Gesellschaftsvermogen gehort, kann der Schuldner nicht eine ihm gegen einen ein‑
zelnen Gesellschafter zustehende Forderung aufrechnen.
ぼ)Huber廷’全('1--'Q似面:&:;~絣痣〔云裳〕~....)1--'~'Ulrich Huber, Vermogensanteil, Kapitalanteil und Gesellschafts‑
anteil an Personalgesellschaften des Handelsrechts (1970) ̲S. 61‑116; Schulze‑Osterloh, Das Prinzip der gesamthiinderi‑
schen Bindung (1972) S. 11 ff.; Wiedemann, Juristische Person und Gesamthand als Sondervermogen, WM 1975, Sonder‑
beilage 4, S. 27 ff. 終刃如ii,;8±;4,‑tQ0Vgl. Huber, a.a.O. S. 109 Fn. 3.
(::::)~"V'江Zollner,Rechtssubjektivitiit von Personengesellschaften ?, Festschrift Gemhuber (1993) S. 563 ff.; Zollner,
Rechtsfiihigkeit der BGB‑Gesellschaft‑ein Sachverstands‑oder Kommunikationsproblem ?, Festschrift Kraft (1998) S.
701 ff.~ 勾如示庄,j,,‑tQ0Vgl. Huber, a.a.O. S. 109 Fn. 4.
(~)§124 HGB (1) Die offene Handelsgesellschaft kann unter ihrer Firma Rechte erwerben und Verbindlichkeiten ein‑
gehen, Eigentum und andere dingliche Rechte an Grundstiicken erwerben, vor Gericht klagen und verklagt werden.
(2) Zur Zwangsvollstreckung in das Gesellschaftsvermogen ist ein gegen die Gesellschaft gerichteter vollstreckbarer
Schuldtitel erforderlich.
権 利
能 力
と 法
人 格
に つ
い て
・ 序
説
§ 1 2 8
HGB
Di e G es el ls ch af te r h af te n f i i r d i e V er bi nd li ch ke it en der Ge s e ll s c ha f t d en Glaubigern
a ls Ge sa mt sc hu ld ne r p er s o nl i c h. Ei ne entgegenstehende
V e
re in ba ru ng i s t D ri tt en gegeniiber
n u wi rk sa m.
§ 1 2 9
HGB (1)
Wi rd ei n Ge s e ll s c ha f
t er w
eg en i n e e r V er bi nd li ch ke it de r G e se l l sc h a ft i n A ns pr uc h g en om me n, o s a k nn e r E in we nd un ge n, i e d ni c h t i n s e i ne r Pe rs on begriindet
si n d , n ur n i so we it geltend
ma ch en , a l s s i e vo n d er Ge s e ll s c ha f t er ho be n w er de n k on ne n.
( 1 3 )
§ 1
A
kt G
(1)
Di e Aktiengesellschaft
i s t e in e G es el ls ch af t m it eigener
e c R h ts p e rs o n li c h ke i t .
F i i r d i e V er bi nd li ch ke it en de r Gesellschaft
ha f t et de n G la ub ig er n n ur a d s Gesellschaftsvermogen.
( 1 4 )
§ 4 1
Ak tG
(1)
Vo r d er Eintragung
n i da s Handelsregister
e b st eh t d i e Aktiengesellschaft
l s a s ol ch e n i ch t . W er vor de r Eintragung
e d r G es el ls ch af t i n i hr em Na me n h a nd e l t, h af t e t personlich
h ; an de ln mehrere,
so a h ft en si e a l s G es am t‑ s ch u l dn e r .
以上のように︑﹁権利能力のある社団﹂および﹁権利能力のない社団﹂とは︑要するに︑﹁自己固有の法人格のあ
る社団﹂および﹁自己固有の法人格のない社団﹂ のことであると解する場合には︑
Hu be
r
によれば︑民法上の組
合が権利能力を有するといい︑民法上の組合は自己固有の権利義務の担い手でありうると考える者は︑必然的に︑
自 然 人 お よ び 法 人 だ け が 権 利 義 務 の 担 い 手 に な り う る の で は な く て
︑ 合 有 的 共 同 体
︹ 合 手 的 共 同 体
︺
(Gesamthandsgemeinschaften)
もまた、1それは法人ではないけれども、~利義務の担い手になりうるとい
うことを認めなければならないことになる︒
( s .
11 0£ .)
そ し
て ︑
Hu be
r
によれば︑正に︑この点にも︑合有的共同体は権利能力を有する
(G es am th an ds ge me in sc ha ft en