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修士学位論文

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Academic year: 2021

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(1)

別 紙 様 式1(修 士 申請 者 用)

修 士 学 位 論 文

棘 上 筋MRelastographyの 開 発

(西 暦)2017年1月5日 提 出

首都 大学東 京大 学院

人 間健 康科 学研 究科 博 士前期 課程 人 間健 康科 学 専攻 放射 線科 学域 学修 番 号:15897604

名:伊 東 大輝

(指導 教員名 沼 野 智 一)

(2)

別 紙 様 式3(修 士 申請 者 用)

(西暦)2016年 博 士前期 課程 学位 論 文要 旨

学 位 論 文 題 名(注=学 位 論 文 題 名 が英 語 の 場 合 は和 訳 をつ け る こ と)

"棘 上 筋MRelastographyの 開 発"

学 位 の種 類:修 士(放 射 線 学) 首都 大 学 東 京 大 学 院

人 間健 康 科 学 研 究科 博 士 前 期 課 程 人 間 健 康 科 学 専 攻 放 射 線 科 学 域 学修 番 号:15897604

名:伊 東 大 輝

(指導 教 員 名:沼 智 一)

注:1ペ ー ジ あた り1,000字 程 度(英 語 の 場 合300ワ ー ド程 度)で 、本 様 式1〜2ペ ー ジ(A4 版)程 度 とす る。

組 織 の硬 さは,疾 患 状 態 を把 握 す る 上 で 重 要 な指 標 の 一 つ で あ る.骨 格 筋 にお い て は, 損 傷 や 疾 患 等 に よ る生 理 ・病 理 的変 化 が 組 織 の硬 さ変 化 と して反 映 され る.肩 の損 傷 は,腕

を振 る ス ポ ー ツ にお い て深 刻 な 問 題 とな っ て お り,そ の損 傷 が 原 因 で満 足 に ス ポー ツ が で き な くな る場 合 も少 な くな い.肩 の損 傷 は 回 旋 筋 腱 板 で頻 発 し,そ の 中 で も,棘 上 筋 腱 の 損 傷 が始 め に 起 こ る こ とが 報 告 され て い る.腱 損 傷 は,主 に 筋 疲 労 の 蓄 積 に よ る筋 収 縮 が 原 因 とな っ て 生 じ る.ゆ え に,棘 上 筋 の硬 さ評 価 は,回 旋 筋 腱 板 損 傷 の予 防 や 治 療 効 果 の 判 定 に役 立 つ 可能 性 が あ る.一 般 的 に,組 織 の 硬 さ計 測 に は 触 診 が行 われ て い る.触 診 は 簡 便 で 非 侵 襲 的 に組 織 の硬 さ を知 る こ とが で き るが,主 観 的 で あ る他,体 表 面 に位 置 す る 組 織 に 限 られ る.棘 上 筋 は僧 帽 筋 の下 部 に位 置 す る た め,触 診 す る こ とは 困 難 に あ る.

この よ うな 背 景 の 下,近 年,生 体 内 の組 織 の 硬 さを画 像 化 で き る手 段 と して,MRエ ラ ス トグ ラ フ ィ(MRE)が 開発 され た.MREは 外 部 か ら振 動 を加 え な が ら撮 像 す る技 術 で あ り, 体深 部 の組 織 で あ って も,非 侵 襲 的 か つ 定 量 的 に硬 さ を測 定 で き る.そ の た め,MREは 動 さ え伝 え る こ とが で きれ ば,触 診 が 困難 な組 織 に対 して も,硬 さの評 価 を 定 量 的 に行 う

こ とが 可 能 で あ る.し か し,現 在MREを 棘 上 筋 に適 応 した との報 告 は 極 め て 少 な く,臨 床 応 用 に は至 っ て い な い.仮 に 棘 上 筋MREを 実施 で きれ ば,回 旋 筋 腱i板損 傷 の 予 防 や 治 療 効 果 の 判 定,さ らに は これ ま で 診 断 が 困難 で あ っ た 疾 患 に,有 益 な診 断1青報 を 追 加 で き る可 能 性 が あ る.

棘 上 筋MREの 実 施 に 向 け て,重 要 な パ ラ メ ー タ が3つ あ る.1つ 目は振 動 の 検 出方 向 で あ る.振 動 の 検 出方 向 は 可 視 化 で き る伝 播 波 のパ タ ー ン を決 定 す る.MREの 場 合,可 視 化 で き る伝 播 波 のパ ター ン が変 化 す る と,弾 性率 も変 化 す る 可 能 性 が あ る.2つ 目 は 撮 像 位 置 で あ る.伝 播 波 を 明 瞭 に 画 像 化 す る た め に は,伝 播 波 の 進 行 方 向 と撮 像 断 面 を 平 行 に 設 定 す る必 要 が あ る.そ の た めMREで は,撮 像 対 象 に よ っ て,適 切 な 撮 像 位 置 を選 択 す る こ とが 極 め て 重 要 に な る.3つ 目は,加 振 位 置 で あ る.現 在,加 振 方 法 は ス ピー カ

(3)

及 び 振 動 パ ッ ドを用 い た 空 気 圧 に よ る もの が 一 般 的 で あ るが,骨 格 筋 を撮 像 対 象 に した場 合,部 位 や 個 人 に よっ て加 振 対 象 部 の 曲 率 が 大 き く変 化 す るた め,振 動 パ ッ ドの 配 置 が難 しい.そ こで,本 研 究 は棘 上 筋MREを 実 施 す るた め に,振 動 の検 出 方 向 と撮 像 位 置,振 動 パ ッ ドの 配 置 位 置 の3つ の検 討 を行 った.

本 研 究 の 結 果,棘 上筋MREが 実 施 可 能 で あ る こ とを実 証 した.振 動 の 検 出方 向 に 関 して は,棘 上 筋 の 筋 束 に対 して 平行 に設 定 した場 合 と比 べ,垂 直 に設 定 した 場 合 に は約70%も 可 視 化 で き る変位 量 が増 加 した.撮 像 位 置 に 関 して は,棘 上 筋 の近 位 側 下 部 に設 定 した 場 合 と比 べ,上 部 に設 定 した場 合 に は約40%も 可 視 化 で き る変 位 量 が増 加 した.振 動 パ ッ ド の 配 置 位 置 に 関 して は,振 動 パ ッ ドを棘 上 筋 の遠 位 側(上 腕 骨 頭)に 配 置 した場 合 と比 べ,近 位 側(僧 帽 筋)に配 置 した 場合 に は約60%も 可視 化 で き る変 位 量 が 増加 した.可 視 化 で き る変 位 量 が 小 さい場 合 に は 弾 性 率 算 出 に 誤差 が 生 じる 可能 性 が あ る.し た が っ て,棘 上 筋MRE に お い て は,振 動 の検 出 方 向 は棘 上 筋 の 筋 束 に対 して垂 直,撮 像 位 置 は棘 上 筋 の 近 位 側 上 部,振 動 パ ッ ドの配 置 位 置 は棘 上 筋 の近 位 側 が 適 して い る可 能性 が 示 唆 され た.今 後 こ の 技 術 を臨床 応 用 す る こ とで,回 旋 筋 腱 板 断裂 等 の 筋 腱 障 害 や 筋 疾 患,ま た トレー ニ ン グ に よ る筋 肥 大 等 に対 し,硬 さ とい う新 た な視 点 か らの 評 価 が期 待 され る,

(4)

第1章 1‑1

1.1研 究 背 景 1.2研 究 目 的 1.3本 論 文 の 構 成

1‑1 1‑2 1‑2

第2章MRIの 原理 2‑1

2.1は じ め に 2.2核 ス ピ ン

2.3ス ピ ン 励 起 とRFパ ル ス 2.4緩

2.4.lTl緩 禾0 2.4.2T2緩 禾0 2.5ス ラ イ ス 断 面

2.6位 置 の エ ン コ ー デ ィ ン グ 2.6.1周 波 数 エ ン コ ー・デ ィ ン グ 2.6.2位 相 エ ン コ ー デ ィ ン グ

2.7強 度 画 像 と位 相 画 像

1133456667822222222222

第3章MRelastography(MRE) 3‑1

3.1は じ め に 3.2弾 性 率

3.3MRelastography(MRE)の 原 理 3.3.1MREの プ ロ セ ス

3.3.2機 械 振 動 3.3.3振 動 周 波 数

3.3.4MotionEncodingGradient(MEG)

3.3.5MEGと 振 動 の 同 期 3.3.6振 動 位 相 オ フ セ ッ ト角 3.4MREパ ル ス シ ー ケ ン ス

3.4.1 基 本MEG付 加 パ ル ス シ ー ケ ン ス

3.4.2GRE系Multi‑EchoMREパ ル ス シ ー ケ ン ス

3‑1 3‑1 3‑3 3‑3 3‑3 3‑4 3‑5 3‑6 3‑8 3‑9 3‑10 3‑11

(5)

第4章MREの 臨床応 用 4‑1

4.1は じ め に 4.2肝 臓MRE

4.2.1 肝 線 維 症 4.2.2月 干月重瘍 4.3脳MRE

4.3.1 白質 と灰 白質

4.3.2脳 重瘍

4.3.3 正常圧水頭症

4.4乳 房MRE 4.4.1乳 4.5骨 格 筋MRE

4.5.1

4.5.2筋 硬 結 45.3

筋繊維 の異方性 棘上筋へ の応用

l1234455667890144444444444444

第5章 棘上筋MREに お ける振動の検 出方向 5‑1

5.1背 景 及 び 目 的 5.2方

5.2.1撮 像 対 象 5.2.2MRE装 置 構 成

5.2.3 振動パ ツ ドの固定方法

5.2.4撮 像 シ ー ケ ン ス 及 び 撮 像 方 法 5.2.5評 価 方 法

5.2.6画 像 処 理 5.3結

5.3.1振 動 の 検 出 方 向 に よ るwaveimageの 明 瞭 性 5.3.2振 動 の 検 出 方 向 に よ る 振 幅 の 変 化

5.4考

5‑1 5‑1 5‑1 5‑1 5‑2 5‑3 5‑6 5‑7 5‑7 5‑7 5‑9 5‑10

第6章 棘 上筋MREに おける撮像位置 6‑1

6.1背 景 及 び 目 的 6.2方

6.2.1撮 像 対 象 6.2.2MRE装 置 構 成

6.2.3 振動パ ッ ドの固定方法

((ハ∠(∠10101010!0

(6)

6.2.4

6.2.5評 価 方 法 6.2.6画 像 処 理 6.3結

撮像 シーケンス及び撮像方法

6.3.1振 動 の 検 出 方 向 に よ るwaveimageの 明 瞭 性 6.3.2振 動 の 検 出 方 向 に よ る 振 幅 の 変 化

6.4考

6‑2 6‑4 6‑4 6‑4 6‑4 6‑5 6‑6

第7章 棘上筋MREに お ける振動パ ッ ドの配置位 置 7‑1

7.1背 景 及 び 目 的 7.2方

7.2.1撮 像 対 象

7.2.2MRE装 置 構 成

7.2.3 7.2.4 7.2.5

7.2.6

7.2.7

7.3結

振動パ ッ ドの固定方法 撮像 シーケ ンス及び撮像方法 評価方法

画像処理 弾性率算出方法

7.3.1振 動 の 検 出 方 向 に よ るwaveimageの 明 瞭 性 7.3.2

7.3.3棘 上 筋 の 弾 性 率 7.4考

振動の検 出方 向による振幅の変化

1111234456667777777777777777

第8章 8‑1

8.1結

8.2今 後 の 展 望 と課 題

8‑1 8‑1

参考文献 謝辞

(7)

第1章

1.1研 究 背 景

組 織 の 硬 さは,疾 患 状 態 を 把 握 す る上 で 重 要 な 指 標 の 一 つ で あ る.骨 格 筋 に お い て は, 筋 の 収 縮 状 態 や 損 傷 及 び 疾 患 等 に よ る生 理 ・病 理 的 変 化 が組 織 の硬 さ変 化 と し て 反 映 さ れ る.肩 の損 傷 は,野 球 や テ ニ ス,バ レー ボ ー ル 等 の 腕 を振 る ス ポ ー ツ に お い て 深 刻 な 問 題 と な っ て お り,そ の 損 傷 が原 因 で 満 足 に ス ポ ー ツ を で き な くな る 場 合 も少 な くな い.

一 般 的 に,肩 の 損 傷 は 回 旋 筋 腱 板(棘 上 筋 腱,棘 下 筋 腱,小 円 筋 腱,肩 甲 下 筋 腱)で 頻 発 し,そ の 中 で も,棘 上 筋 腱 の 損 傷 が 始 め に起 こ る こ とが 報 告 され て い る1'1).腱 損 傷 は, 主 に 筋 疲 労 の 蓄 積 に よ る筋 収 縮 が 原 因 とな っ て 生 じ る.ゆ え に,棘 上 筋 の 硬 さ を 評 価 す

る こ と は,回 旋 筋 腱 板 損 傷 の 予 防 あ る い は 治 療 効 果 の 判 定 に役 立 つ 可 能 性 が あ る.現 在, 組 織 の硬 さ計 測 に は触 診 が 頻 繁 に 行 わ れ て い る.触 診 は 簡 便 で 非 侵 襲 的 に 組 織 の硬 さ を 知 る こ とが で き るが,主 観 的 で あ る他,体 表 面 に位 置 す る組 織 に 限 られ る.棘 上 筋 に 関

して は僧 帽 筋 の 下 部 に位 置 す る た め,触 診 す る こ とは 困 難 で あ る.

こ の よ うな 背 景 の 下,近 年,生 体 内 の 硬 さ を画 像 化 で き る 手 段 と し て,超 音 波 診 断 装 置 を 用 い た 超 音 波 エ ラス トグ ラ フ ィ1‑2〜1'4)が開発 され た.特 に,勇 断 波 を 用 い た 超 音 波 エ ラ ス トグ ラ フ ィ1"3・1'4)は組 織 の硬 さ(弾性 率)を 定 量 的 に 測 定 可 能 で あ る.し か し,こ の よ うな 超 音 波 を利 用 した 手 法 は撮 像 領 域(fieldofview:FOV)が 限 られ る他,術 者 の 習 熟 度 が 測 定 の 再 現 性 に影 響 を 与 え る可 能 性 が あ る.

他 方,magneticresonanceimaging(MRI)装 置 を 用 い たMRエ ラ ス トグ ラ フ ィ(MR elastography:MRE)も,1995年 にMuthupillaiら に よ っ て 基 礎 理 論1'5)が発 表 され,今 日ま で に 肝Htai'6・i"7),乳房1‑6・1'8),脳1'6・1'9),骨格 筋 等1̀6・1"10)に適 応 され て い る.MREは 外 部 か ら振 動 を加 え,そ の 伝 播 波(勇 断 波)の 波 長 か ら弾1生率 を算 出 す る 技 術 で あ る1̀5'1軌 の た め,MREは 波 長 変 化 を 算 出 す る た め の 十 分 な 振 動 さ え伝 え る こ とが で きれ ば,定 量 的 に 再 現 性 良 く弾 性 率 測 定 が 可 能 で あ る 。 す な わ ち,MREは 超 音 波 エ ラ ス トグ ラ フ

ィ の 欠 点 を 補 う手 法 に な り得 る.

しか し,MREは こ こ数 年 で 急 速 に発 展 した 技 術 で あ る が ゆ え,肩 部 に 関 してMREを 適 応 した と の報 告 は極 め て 少 な い.仮 にMREを 棘 上 筋 に 適 応 で きれ ば,回 旋 筋 腱 板 断 裂 等 の 筋 腱 障 害 や 筋 疾 患,ま た トレー ニ ン グ に よ る 筋 肥 大 等 に 対 し,硬 さ とい う新 た な 視 点 か ら評 価 で き る 可 能 性 が あ る.

1・1

(8)

1.2研 究 目 的

本 研 究 は,棘 上 筋MREを 実 施 す る た め の 技 術 開 発 を 目的 と した.棘 上 筋MREの 施 に 向 け て,重 要 な パ ラ メ ー タ が3つ あ る.

1っ 目 は振 動 の 検 出 方 向 で あ る.振 動 の 検 出 方 向 は 可 視 化 で き る伝 播 波 のパ タ ー ン を 決 定 す る.MREの 場 合,組 織 の硬 さ は 可 視 化 した 伝 播 波 の 波 長 か ら算 出 す る た め,可 視 化 で き る伝 播 波 の パ タ ー ン が 変 化 す る と,弾 性 率 も変 化 す る可 能 性 が あ る.2つ 目 は 撮 像 位 置 で あ る.伝 播 波 を 明 瞭 に 画 像 化 す る た め に は,伝 播 波 の 進 行 方 向 と撮 像 断 面 を 平 行 に 設 定 す る必 要 が あ る.そ の た めMREで は,加 振 源 の 位 置 や 撮 像 対 象 の 構 造 に よ っ て,適 切 な 撮 像 位 置 を 選 択 す る こ とが 極 め て 重 要 に な る.3つ 目 は,加 振 位 置 で あ る.

現 在,ス ピー カ 及 び 振 動 パ ッ ドを用 い た 空 気 圧 に よ る加 振 が 一 般 的 とな っ て い る が,振 動 パ ッ ドと加 振 対 象 部 との 間 に 隙 間 が 生 じ る と,振 動 が 撮 像 対 象 に 伝 播 しな い 場 合 が あ

る.骨 格 筋 を 撮 像 対 象 に した 場 合,部 位 や 個 人 に よ っ て 加 振 対 象 部 の 曲率 が 大 き く変 化 す る た め,振 動 パ ッ ドの 配 置 が難 しい.

そ こ で,本 研 究 は棘 上 筋 にMREを 適 応 す る た め に,振 動 の 検 出 方 向 と撮 像 位 置,振 動 パ ッ ドの 配 置 位 置 の3つ の 検 討 を行 っ た.

1.3本 論 文 の 構 成

本 論 文 は 第1章 か ら第8章 ま で の構 成 と し,そ の 内容 は 以 下 の 通 りで あ る.

第1章

棘 上 筋MRelastography(MRE)の 技 術 開 発 を 行 う に 当 た っ た 研 究 背 景,本 研 究 の 目 的 に つ い て 述 べ る 。

第2章MRIの 原 理

本 研 究 の 基 礎 と な る 核 磁 気 共 鳴(nuclearmagneticresonance:NMR)現 象 か らMRI装 を 用 い た 断 層 像 の イ メ ー ジ ン グ 原 理 に つ い て 述 べ る.

第3章MRelastography(MRE)

MRelastography(MRE)の 原 理,特 徴 に つ い て 述 べ る.ま た,本 パ ル ス シ ー ケ ン ス の 特

1・2

(9)

性 に つ い て 述 べ る.

第4章MREの 臨 床 応 用

MREに お け る様 々 な 生 体 組 織 へ の 臨 床 応 用 にっ い て 述 べ る.

あ る棘 上 筋MREの 重 要 性 に つ い て 述 べ る.

ま た,本 研 究 の 対 象 で

第5章 棘 上 筋MREに お け る 振 動 の 検 出 方 向

棘 上 筋 の筋 束 に対 して 振 動 の検 出 方 向 を 変 え てMREを 実 施 した.

され た 伝 播 波(waveimage)の パ タ ー ン 及 び 振 幅 値 を比 較 ・評 価 した.

それぞれで可視化

第6章 棘 上 筋MREに お け る 撮 像 位 置

撮 像 位 置 を 棘 上 筋 の 上 部 と下 部 に設 定 し,MREを 実 施 した.

た伝 播 波(waveimage)の パ タ ー ン及 び 振 幅 値 を 比 較 ・評 価 した.

それぞれで可視化 され

第7章 棘 上 筋MREに お け る 振 動 パ ッ ドの 配 置 位 置

棘 上 筋 の遠 位 側(上 腕 骨 頭)ま た は 近 位 側(僧 帽 筋)に 振 動 パ ッ ドを配 置 し,MREを 実 施 し た.そ れ ぞ れ で 可 視 化 され た 伝 播 波(waveimage)の パ ター ン及 び 振 幅 値 を 比 較 ・評 価

した.ま た,決 定 した 撮 像 パ ラ メ ー タ で 棘 上 筋 の 弾 性 率 を 算 出 した.

第8章

本 研 究 の 結 論,今 後 の 展 望 ・課 題 につ い て 述 べ る.

1‑3

(10)

第2章MRIの 原 理

2.1は じ め に

核 磁 気 共 鳴 現 象(nuclearmagneticresonance:NMR)と は,静 磁 場 内 に 存 在 す る原 子 核 に あ る特 有 の 電 磁 波 を 与 え る と き に,原 子 核 が そ の エ ネ ル ギ ー を 吸 収(共 鳴 現 象)し,放 す る過 程 を い う.磁 気 共 鳴 画 像(magneticresonanceimaging:MRI)法 は こ の 過 程 で 放 出 さ れ るNMR信 号 を利 用 して お り,物 体 の 空 間 的 構 造 を 画 像 化 す る 手 法 で あ る2̀1).

NMR信 号 を 取 得 で き る 原 子 核 は,磁 性 を 有 す る原 子 核 に 限 られ る.原 子 核 の 磁 性 は 陽 子 と 中性 子 が もっ 磁 気 モ ー メ ン トに 起 因 す る2'2).陽 子 と 中性 子 が と も に偶 数 の 原 子 核 は,反 対 方 向 の 磁 気 モ ー メ ン トに よ り磁 性 を 打 ち 消 し合 うた め,MRIの 対 象 に は な り 得 な い.磁 性 を持 つ 代 表 的 な原 子 核 と して,IH,13C,19F,23Na,31Pが 挙 げ られ る が, 現 在,MRIで はIHが 主 に 対 象 とな っ て い る.こ れ はIHが 生 体 内 存 在 比 及 び 測 定 感 度 が 他 の 原 子 核 と比 べ 極 め て 高 い た め に あ る.

MRIで は,静 磁 場 内 に お か れ た 生 体 に 特 有 の 電 磁 波 及 び 傾 斜 磁 場 を 印 加 し,発 生 す るNMR信 号 を 計 測 す る こ とで,任 意 の 断 層 像 を画 像 化 で き る.現 在,MRIは 放 射 線 被 ば く を 伴 わ な い 唯 一 の 断 層 像 イ メー ジ ン グ 法 で あ り,更 な る 発 展 が期 待 され て い る.本 章 で は,NMR現 象 を 基 と し,MRI装 置 を 用 い た 断 層 像 の イ メ ー ジ ン グ原 理 に っ い て 述 べ る.

2.2核 ス ピ ン

電 子 や 原 子 核 は 電 荷 を 有 して お り,ス ピ ン と呼 ば れ る 自転 運 動 を して い る.こ の 電 荷 の 自転 運 動 の た め に 小 さ な磁 場(磁 気 モ ー メ ン ト)が発 生 す る.MRIの 標 的 とな っ て い るIH(プ ロ トン)は 人 体 中 に約1023個/cm3も 存 在 す る が,お の お の が ラ ン ダ ム な 方 向 を 向 い て い る た め,磁 気 モ ー メ ン トは 相 殺 され て い る.と こ ろ が,静 磁 場 の 存 在 下 で は, 状 況 が 一 転 す る.静 磁 場 が 上 向 き で あ る と仮 定 す る と,全 て の ス ピ ン は 上 向 き(静 磁 場 と 同 方 向)も し く は 下 向 き(静 磁 場 と逆 方 向)に 整 列 す る(ゼ ー マ ン 分 裂)2'3).こ の と き, Boltamann分 布 則 に従 っ て,IHは ほ ぼ 半 数 ず つ に 分 か れ る が,エ ネ ル ギ ー 的 に 低 い レベ ル で 安 定 して い る 上 向 き ス ピ ン の 数 が わ ず か に 多 い(Fig.2‑1).そ の 結 果,静 磁 場 方 向 に 磁 化 ベ ク トル(巨 視 的 磁 化 ベ ク トル)が 生 じ る こ と に な る.こ の状 態 は磁 場 に さ ら され た 環 境 で は 最 も安 定 した(全 体 の エ ネ ル ギ ー レベ ル が 低 い)状 態 で あ り,熱 平 衡 状 態 と よ ば れ る.

2・1

(11)

Bo

E

Fig.2‑1ゼ ー マ ン 分 裂

静 磁 場 の 存 在 下 で は,ス ピン は 自転 運 動 だ け で な く,磁 揚 の 方 向 を 軸 と し て コマ の よ うに 回 転 して い る(Fig.2‑2).こ の 回 転 は 歳 差 運 動 と呼 ば れ る.磁 場 強 度 と歳 差 運 動 の 回 転 周 波 数 に は 比 例 関係2'2)が あ り,磁 場 強 度 が 大 き い ほ ど歳 差 運 動 の 回 転 周 波 数 が 高 い (式[2‑1]).

ω=γBo [2‑‑1]

こ こ で,ω は 歳 差 運 動 の 角 周 波 数[ra(Ys],γ は 磁 気 回 転 比[rad/(Ts)],Boは 静 磁 場 強 度[T]

で あ る.磁 気 回 転 比 γ は 原 子 核 の 力 学 的 特 性 と磁 気 的 特 性 の 比 を 表 し て お り,そ れ ぞ れ の 核 に よ り異 な る(1Hの 場 合 は267.4×106[rad/(Ts)]).NMR信 号 の 観 測 に は,歳 差 運 動 の 周 波 数 と 同 じ 周 波 数 の 電 磁 波 を 照 射 す る 必 要 が あ る た め,式[2‑1]はMRIの 基 本 式 と な っ て い る.

廿 震一

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惹十

Fig.2‑2ス ピ ン の 歳 差 運 動.a:1つ の ス ピ ン の 歳 差 運 動.b:多 数 の ス ピ ン の 歳 差 運 動, 各 ス ピ ン の位 相 はバ ラ バ ラ で あ る た めxy平 面 上 の 磁 化 ベ ク トル はoで あ る が,上 向 き

ス ピ ン(静磁 場 と同 方 向)の 数 が 多 い た め 巨 視 的 磁 化 ベ ク トル は 静 磁 場 と同方 向 を 向 く.

2・2

(12)

2.3ス ピ ン 励 起 とRFパ ル ス

NMR現 象 を 起 こす た め に は,ま ず 外 部 か ら電 磁 波(radio丘equencyパ ル ス:RFパ ル ス) を 照 射 す る 必 要 が あ る.静 磁 場 内 に あ るIHに 対 して,外 部 か ら歳 差 運 動 の 周 波 数 に 一 致 した 周 波 数 帯 域 のRFパ ル ス を 照 射 す る と,IHは 電 磁 波 の エ ネ ル ギ ー を 吸 収 し,励 起 され る.こ の 現 象 は 音 叉 を 叩 く と 同 じ振 動 周 波 数 を持 つ 音 叉 も 自然 と鳴 り始 め る 現 象 と よ く似 て お り,共 鳴 と呼 ば れ る2'3).共鳴 が 起 こ る と,次 の2つ の 現 象 が 起 こ る(Fig.2‑3).

1.お の お の が ラ ン ダ ム な 方 向 を 向 い て,歳 差 運 動 して い た ス ピ ン の 位 相 が 揃 い 始 め る.

2.ス ピ ン はRFパ ル ス の エ ネ ル ギ ー を 吸 収 し て励 起 され,低 エ ネ ル ギ ー レベ ル で あ っ た 上 向 き ス ピ ン(静 磁 場 と 同 方 向)が 高 エ ネ ル ギ ー レベ ル に 遷 移 す る(下 向 き ス ピ ン と な る).

Bo

il

u

E・ 一

B¢ E一

11(

/ 9ら触帆

(⊃

E十

Fig.2‑3ス ピ ン の 共 鳴 現 象

RFパ ル ス の 大 き さはRFの 強 度 と照 射 時 間 の 積 で 決 定 され,巨 視 的 磁 化 ベ ク トル が 90。回 転(上 向 き ス ピ ン と下 向 き ス ピ ン の 数 が 一 致)す る よ うな 大 き さのRFパ ル ス を90。

パ ル ス 呼 ぶ.

2.4緩

MRIで はRFパ ル ス の 照 射 に よ っ て ス ピ ン は 直 ち に 励 起 され る が,RFパ ル ス の 照 射 が 終 わ る と励 起 され た ス ピ ン は も との 熱 平 衡 状 態 に 戻 っ て い く.こ の も と に 戻 っ て い く

2‑3

(13)

過 程 を緩 和 と い う.こ の と きRFパ ル ス に よ っ て 得 た エ ネ ル ギ ー を 周 囲 に放 出 した り, お 互 い の プ ロ トン 同 士 で エ ネ ル ギ ー を 交 換 す る 凋.

緩 和 の現 象 は 下 を 向 い て い た(静 磁 場 と逆 方 向)い く っ か の ス ピ ン が 上 向 き(静 磁 場 と 同 方 向)に 戻 り,縦 方 向 の 磁 化 ベ ク トル の大 き さが ゆ っ く り緩 和 して い くT1緩 和 と横 方 向 で 位 相 が 揃 っ て い た ス ピ ンが 急 速 にバ ラ け て しま い,横 方 向 の磁 化 ベ ク トル の 大 き さ が 急 速 に減 っ て い くT2緩 和 の2つ に分 け て 考 え る こ と が で き る.

2.4.lTl緩 禾口

RFエ ネ ル ギ ー を 吸 収 し,励 起 状 態 に あ っ た ス ピ ン は 熱 平 衡 状 態 か ら外 れ た 不 安 定 な 状 態 に あ る た め,周 囲 に余 分 な エ ネ ル ギ ー を 放 出 し次 第 に熱 平 衡 状 態 に 戻 っ て い く.こ の 過 程 をT1緩 和(あ るい は 縦 緩 和)と い う(Fig.2‑4).ま た,go。パ ル ス が 励 起 され て か ら, も との 平 衡 状 態 の63.2%に 回 復 す る ま で の 時 間 をTl緩 和 時 間(縦 緩 和 時 間)と 呼 び,次 式 で 表 され る2'2).

)tτ

e1(OM

=ZM

[2‑2]

M。:縦 磁 化 ベ ク トル,Mo:熱 平 衡 状 態 に お け る 磁 化 ベ ク トル,t:90。 パ ル ス 照 射 か ら の 時 間[s],T1:縦 緩 和 時 間[s]

Mz

Mo

螺rD

鵬(◎)

O。632Mo

0

}

t

↓ ↓

Fig.2‑4Tl緩i和 曲 線

2‑4

(14)

2.4.2T2緩 禾口

T2緩 和(横 緩 和)は 分 子 運 動 に よ る揺 動 磁 場 や 局 所 磁 場 の 不 均 一 性 に よ り,個 々 の ス ピ ン が 受 け る 磁 場 が 時 間 的 に 変 化 して い る こ と に 起 因 す る.ス ピ ン の歳 差 運 動 に よ る 回 転 周 波 数 は 磁 場 強 度 に よ っ て 変 化 す る(式[2‑1]).そ の た め,磁 場 の 変 動 に よ りス ピ ン の 回 転 速 度 も微 妙 に 変 化 し,ス ピ ン の位 相 が だ ん だ ん ず れ て く る.そ の 結 果,横 磁 化 は 急 速 に減 衰 し,最 終 的 に は 横 磁 化 が 完 全 に 消 失 す る(Fig.2‑5).ま た,go。 パ ル ス が 励 起 され て か ら,完 全 な 巨 視 的 磁 化 が36.8%に 減 衰 す る ま で の 時 間 をT2緩 和 時 間(横 緩 和 時 間) と 呼 び,次 式 で 表 され る 鋤.

̲⊥

Mxy=MoeT2 [2‑3]

Mry:横 磁 化 ベ ク トル,Mo:熱 平 衡 状 態 に お け る 磁 化 ベ ク トル,t:90。 パ ル ス 照 射 か ら の 時 間[s],T2:縦 緩 和 時 間[s]

Mry

馬 ⑯ 鳩 ③

0368M6

0 T2 t

毒 ↓ 一

Fig.2‑5T2緩 和 時 間

2・5

(15)

2.5ス ラ イ ス 断 面

MRIで は最 初 に 断 層 像 の ス ライ ス 断 面 を決 定 す る必 要 が あ る.ス ラ イ ス 断 面 の 決 定 は 描 出 した い ス ラ イ ス 断 面 と垂 直 な 方 向 に傾 斜 磁 場(ス ラ イ ス 選 択 傾 斜 磁 場)を か け 磁 場 の 勾 配 を作 る こ と に よ っ て 行 わ れ る.傾 斜 磁 場 に よ っ て そ れ ぞ れ の位 置 で磁 場 の 強 さが 少 しず つ 異 な る よ うに な り,ス ピ ン は位 置 に よ っ て わ ず か に異 な っ た 周 波 数 で 歳 差 運 動 す る こ とに な る(式[2‑1]).そ こ で,傾 斜 磁 場 の 印 可 時 に,あ る 周 波 数 の 幅(送 信 バ ン ド幅) を も っ たRFパ ル ス を 与 え る とそ の 周 波 数 幅 の ス ラ イ ス だ け が 選 択 的 に励 起 され る.選 択 され る ス ラ イ ス 幅(ス ラ イ ス 厚)は,送 信 バ ン ド幅 を小 さ く した り,傾 斜 磁 場 の 勾 配 を 大 き くす る こ とで 調 節 で き る2'3).

2.6位 置 の エ ン コ ー デ ィ ン グ

MRIで 受 信 す る信 号 は ス ラ イ ス 内 の 全 て の ボ クセ ル か らの 信 号 の総 和 で あ り,す で に フ ー リエ 変 換 され た 空 間 周 波 数(k‑spaceと 呼 ば れ る)上 の信 号 で あ る.MRIで は これ ら の 信 号 の位 置 を 特 定 す る た め に,傾 斜 磁 場 を 印 可 す る.傾 斜 磁 場 に よ り位 置 情 報 が 付 加 さ れ た 信 号 は 二 次 元 フ ー リエ 変 換(逆 フ ー リエ 変 換)に よ っ て,ス ピ ン の 位 置 とそ の 大 き さ (あ る い は 位 相)が 特 定 され,画 像 が 作 成 可 能 に な る 励.

2.6.1周 波 数 エ ン コ ー デ ィ ン グ

周 波 数 エ ン コー ドは信 号 の 読 み 取 り方 向 の位 置 情 報 を周 波 数 差 と してMRI信 号 に 付 加 す る方 法 で あ る2̀2).MRI信 号 の 受 信 時 に傾 斜 磁 場(周 波 数 エ ン コー ド傾 斜 磁 場 あ るい は 読 み 取 り傾 斜 磁 場)を 印 可 す る こ と に よ っ て ス ピ ン は位 置 に よ っ て 異 な っ た 周 波 数 で 歳 差 運 動 す る こ とに な る.そ の た め,傾 斜 磁 場 を 印 加 しな が らMRJ信 号 を受 信 す る こ と で,空 間 周 波 数 の 異 な る信 号 を 連 続 的 に 収 集 で き る(Fig.2‑6).し か し,周 波 数 エ ン コ ー ドは 一 方 向 しか 行 え な い た め,二 次 元 画 像 を 取 得 す る に は,も う一 方 向 に 別 の 手 法 で 位 置 情 報 を付 加 す る 必 要 が あ る.そ れ が,次 項 で 述 べ る位 相 エ ン コ ー ドで あ る.

2・6

(16)

Gread

D楓 組ce

} 

i

9蹴 識㍑e

D蹴 鋤 ㏄

K‑space(3x3)

Fig.2‑6周 波 数 エ ン コ ー ド.周 波 数 エ ン コ ー ド傾 斜 磁 場 に よ り周 波 数 エ ン コ ー ド方 向 の 空 間 周 波 数 デ ー タ を 収 集 で き る.K‑spaceの 中 心 に は 空 間 周 波 数 が0(直 流 成 分)の デ ー タ,左 右 に は 空 間 周 波 数 が 同 じ で 位 相 が 異 な る デ ー タ が 重 鎮 さ れ る.し か し,周 波 数 エ ン コ ー ドだ け で は 周 波 数 エ ン コ ー ド方 向 に 垂 直 な も う一 方 向 の デ ー タ は 収 集 で き な い .

2.6.2位 相 エ ン コ ー デ ィ ン グ

位 相 エ ン コ ー ドは 信 号 読 み 取 り方 向 に 垂 直 な 方 向 の 位 置 情 報 を,ス ピ ン の位 相 差 と し てMRI信 号 に付 加 す る方 法 で あ る2'2).通 常,位 相 エ ン コー ドを 行 うた め の 傾 斜 磁 場(位 相 エ ン コー ド傾 斜 磁 場)はRF照 射 後 か ら周 波 数 エ ン コ ー ド傾 斜 磁 場 印 可 前 ま で の 間 に 印 加 され る.RFパ ル ス 照 射 後,ス ピ ン は 全 て 同 じ周 波 数 で 歳 差 運 動 を して い る が,傾 斜 磁 場 を 印 可す る と位 置 に よ っ て 異 な っ た 周 波 数 で 回 りだ す.位 相 エ ン コ ー ド傾 斜 磁 場 の 印 可 後 は,歳 差 運 動 の 周 波 数 こそ 元 に 戻 る が,周 波 数 差 に 伴 うス ピ ン の 位 相 ず れ(位 相 差)は 横 磁 化 が 消 失 す る ま で ず れ た ま ま で あ る.位 相 エ ン コー ドは こ の位 相 差 を利 用 して い る.し か し,1回 の位 相 エ ン コー ドだ け で はk‑spaceの 全 座 標 を 重 鎮 す る こ と は で き な い た め,位 相 エ ン コ ー ド傾 斜 磁 場 の 強 度 を 変 え て位 相 エ ン コー ド方 向 の ボ ク セ ル 数 と同 じだ け の 信 号 を 取 得 しな け れ ば な らな い(Fig.2‑7).位 相 エ ン コ ー ドの 後 は,先 ほ ど の 項 に て 述 べ た 周 波 数 エ ン コ ー ド傾 斜 磁 場 を 印 可 し,デ ー タ を 収 集 す る こ と で k‑spaceの 全 座 標 が 重 鎮 可 能 とな る.

2‑7

(17)

G幽 麗

Gtod

1回 目

一 一一 一 一n‑一 一i‑一一一一一 一i‑‑m‑一 一 十・・n)t

G幽8●

Gt.aS

2回 目

一 一 繭鱒一 一← 一 幽→ 脚一 一りt

G画 鱒

G催 喜

3回 目

一一一 顧一→ 一 一 →t

K‑sρace(3×3)K‑5pa£e(3×3)K‑5りaCG(3×3)

Fig.2‑7位 相 エ ン コ ー ド.Matrix数 が3×3の 場 合,3回 の 位 相 エ ン コ ー ド が 必 要 で あ る.

2.7強 度 画 像 と位 相 画像

受 信 したMRI信 号 を 逆 フ ー リエ 変 換 し,MRI画 像 を 作 成 す る た め に は 実 信 号 画 像 と 虚 信 号 画 像 が 必 要 で あ る.実 信 号 は 取 得 した 信 号 の 余 弦 項,虚 信 号 は 取 得 した 信 号 の 正

弦 項(余 弦 項 と π/2位相 ず れ た 信 号)で あ る.取 得 し たMRI信 号M(x,y)は 次 式 で 表 され る.

M(x,y)=R(x,y)十il(x,y) [2‑4]

こ こ で,R(x,y)は 実 信 号,1(x,y)は 虚 信 号 で あ る.MRIで は こ の 実 信 号 と虚 信 号 を 利 用 し て,磁 化 ベ ク トル の 大 き さ と位 相 を 算 出 で き る(Fig.2‑9a).ま ず,磁 化 ベ ク トル の 大 き

さMag(x,y)は 次 式 に よ り算 出 さ れ る.

Mag(x,y)=R(x,y)2十1(x,y)2 [2‑5]

こ れ を 画 像 化 し て 表 示 す る と 強 度 画 像(magnitudeimage)に な る(Fig.2‑9b),次 に,磁 化 ベ ク トル の 位 相 の 算 出 式 を 示 す.

(P(X,y)=tan‑1 1(X,y)

R(x,y) [2‑6]

2・8

(18)

こ れ を 画 像 化 す る と 位 相 画 像(phaseimage)と な る(Fig.2‑9c).通 常 のMRI検 査 の 殆 ど は 強 度 画 像 が 使 用 さ れ て お り,位 相 画 像 はMRangiography(MRA)や 本 研 究 の 対 象 で も あ

るMRelastography(MRE)で 禾i」用 さ れ る.

M;R

}1ψ

a

b

C

ゼニ

こ 、, '\

'・1

蓑、鱒1

強 度 画 像(Magnitudeimage)

,《

位 相 画 像(Phaseimage)

Fig.2‑9強 度 画 像 と位 相 画 像

2‑9

(19)

第3章MRelastography(MRE)

3.1は じ め に

組 織 の 硬 さは,疾 患 状 態 を 把 握 す る上 で 重 要 な 指 標 の 一 つ で あ る.現 代 医 学 に お い て は,CTやMRI等 の 画 像 診 断 法 に よ り,組 織 の 形 態 的 変 化(形 や 大 き さ)は,部 位 や 体 表 か ら の深 さ,臓 器,に か か わ らず 詳 細 に描 出 す る こ と が で き る.し か し,そ れ らで は硬 さ に 関 す る 情 報 を得 る こ とは で き な い.一 方,多 くの 病 変 は,線 維 化 や 浮 腫,細 胞 稠 密 性 等 に よ り,正 常 組 織 と比 較 し て硬 い こ と が経 験 的 に も病 理 学 的 に も知 られ て い る.ま

た,病 変 の種 類 に よ っ て 硬 さが 異 な る こ と も知 られ て お り,硬 さ が病 変 検 出 並 び に 特 異 的 診 断 の 指 標 とな り得 る可 能 性 が あ る3"1).現 在,組 織 の硬 さ を 知 る 手 段 と して,触 診 が 最 も頻 繁 に 利 用 され て い る.触 診 は簡 便 で 非 侵 襲 的 に組 織 の 硬 さ を 知 る こ と が で き る が,主 観 的 で あ る 他,体 表 面 に位 置 す る 組 織 に 限 られ る.

こ の よ うな 背 景 の 下,近 年,生 体 内 の 硬 さ を画 像 化 で き る 手 段 と して,超 音 波 診 断 装 置 を用 い た 超 音 波 エ ラ ス トグ ラ フ ィ3"2‑"3'4)やMRIを 用 い たMRエ ラ ス トグ ラ フ ィ(MR elastography:MRE)3'5・3‑6)が開 発 され た.特 にMREに 関 し て は,超 音 波 エ ラ ス トグ ラ フ ィ

と比 較 して も よ り定 量 的 に 組 織 の硬 さ を算 出 で き る.

本 章 で はMREの 原 理 及 び 本 研 究 で 使 用 し た パ ル ス シ ー ケ ン ス(Gradientecho系 Multi‑EchoMREシ ケ ン ス)の 特 徴 に つ い て述 べ る.

3.2弓 単性 率

エ ラ ス トグ ラ フ ィ で は 硬 さ の 指 標 と し て 弾 性 率 を 使 用 す る.弾 性 率 は 最 も 客 観 的 な 硬 さ を 示 す 物 理 量 で あ る と と も に,生 体 の 各 組 織 間 の 差 が 大 き い こ と が 知 ら れ て い る.例 え ば 弾 性 率 の 一 つ で あ る ヤ ン グ 率 は 軟 部 組 織 間 で も1〜100kPaと 大 き く 異 な り,さ ら に 線 維 化 組 織 や 軟 骨 は100〜1000kPa,骨 は108kPa以 上 で あ る3"7).っ ま り,弾 性 率 を 指 標

と す れ ば 高 い 組 織 コ ン ト ラ ス トの 画 像 に な り得 る.

弾 性 率 の 算 出 方 法 は 以 下 の2つ に 分 類 され る.1つ 目 は 静 的 エ ラ ス トグ ラ フ ィ(static elastography)と 呼 ば れ る 時 間 的 に 変 動 し な い 圧 力 を 生 体 に 加 え る 手 法 で あ る3"8'w3‑10).生 体 に あ る 一 定 の 強 さ の 外 力 を 加 え る と 生 体 内 に は 歪 み が 生 じ る と 伴 に,こ の 歪 み を 元 に 戻 す た め に 応 力 が 生 じ る.こ の 法 則 を 示 し た 式 を フ ッ ク の 法 則 と い い,以 下 に 示 す[3‑1].

ムム

P=C‑y=CεL [3‑1]

3・1

(20)

こ こ で,Pは 応 力,cは 弾 性 係 数(弾 性 率),Nは 変 位,Lは 元 の 長 さ,△L/L(ε)は歪 で あ る.こ の 式 か ら応 力 は 歪 み に 比 例 し,そ の 比 例 係 数 が 弾 性 率cで あ る こ とが わ か る.

一 般 的 に

,静 的 エ ラ ス トグ ラ フ ィ の 多 くは 超 音 波 を 用 い た 手 法 で 行 わ れ て い る3'8‑'3'10).

外 圧 を加 え た と き の 変 位 及 び そ の 割 合 で あ る 歪 み は,外 圧 を加 え る 前 後 の 超 音 波 エ コ ー 信 号 を比 較 す る こ と に よ り,か な り正 確 に計 測 で き る が,応 力 の 測 定 は 非 常 に 困 難 で あ る.し た が っ て,式[3‑1]の フ ック の 法 則 を利 用 す る 静 的 エ ラ ス トグ ラ フ ィ は 弾 性 率 を 定 量 的 に 算 出 す る こ とは 困 難 と い え る.現 在 の 臨 床 で は,歪 み εや,測 定 部 位 と そ の周 囲

の脂 肪 組 織 との 相 対 値(fatlesion‑ratio:FLR)を 硬 さの 指 標 と して 使 用 して い る.

2つ 目の 手 法 は,振 動 を加 え な が ら撮 像 す る動 的 エ ラ ス トグ ラ フ ィ で あ る3"5・3'6).動 エ ラス トグ ラ フ ィ は 外 部 か ら機 械 的 な 振 動 を加 え て,そ れ に よ り生 体 内 に 生 じ る 弾 性 波 を超 音 波 やMRIで 観 察 す る.動 的 エ ラ ス トグ ラ フ ィ は 弾 性 率 を定 量 的 に算 出 可 能 で あ り,MREで 臨 床 応 用 され て い る殆 どが こ の 技 術 で あ る.弾 性 率 は 以 下 の 波 動 方 程 式 か ら算 出 され る.

∂2u∂2u

‑=V2‑

∂亡2 ∂r2

μ=pv2=ρ(ブ λ)2

[3‑2]

[3‑3]

こ こ で,uは 弾 性 波 に よ る変 位,tは 時 間,vは 弾 性 波 の伝 播 速 度,rは 距 離,μ は ず り 弾 性 率,ρ は 密 度,!は 振 動 周 波 数 λは 弾 性 波 の 波 長 で あ る.動 的 エ ラ ス トグ ラ フ ィ で は 弾 性 率 の 中 で もず り弾 性 率 を算 出 す る.ず り弾 性 率 算 出 に は 式[3‑2]を 使 う方 法(画 像 読 み 取 り法)と 式[3‑2],[3‑3]両 方 を 使 う方 法(弾 性 率 再 構 成 法)が あ る.

画 像 読 み 取 り法 で は,弾 性 波 の 伝 播 速 度vを 可 視 化 した 弾 性 波 の 画 像 か ら算 出 し,生 体 内 の 密 度 を 水 と近 似(lkg/m3)す る こ とで,式[3‑3]か らず り弾 性率 を算 出 す る.超 音 波 で は 弾性 波 に よ る 組 織 の 経 時 変 化 を観 察 で き る た め,伝 播 速 度vを そ の ま ま 計 測 で き る.

一 方,MRIは 経 時 変 化 の観 察 は 困 難 で あ る た め,MR位 相 画 像 か ら弾 性 波 の 波 長 を読 み 取 り,加 え て い る 振 動 の 周 波 数 と掛 け合 わ せ る こ とで 伝 播 速 度 を 算 出 す る.

弾 性 率 再 構 成 法 は 各 座 標 の 変 位 雄,の を 時 間 的 か つ 空 間 的 に で き る だ け細 か く測 定 し, 式[3‑2】か ら各 座 標 のv,さ ら に 式[3‑3]か らず り弾 性率 μを算 出 す る手 法 で あ る.こ れ は 一 般 に 逆 問 題(inverseproblem)と 呼1まれ る も の で,様 々 な 数 学 的 手 法 が 存 在 す る.以 下 に 算 出 式 の例 を 示 す.

〆=(∂2u∂

亡2)/(簑) [3‑2]

こ の 方 法 は 式[3‑2]の 逆 問 題 を 直 接 解 く こ と に な る た め,直 接 逆 問 題 法(directinversion

3・2

(21)

method)と 呼 ば れ て い る.

3.3MRelastography(MRE)の 原 理

3.3.lMREの プ ロ セ ス

MREで は 大 き く 分 け て3つ の プ ロ セ ス が 必 要 で あ る3'11),ま ず,撮 像 対 象 に 外 部 か ら 振 動 を 加 え る.こ れ に よ り,弾 性 波(粗 密 波 と 勇 断 波)が 生 体 内 を 伝 播 す る が,粗 密 波 は 伝 播 速 度 が 速 く 検 出 不 可 能 な た め,勇 断 波 を 標 的 とす る.次 に,振 動 を 検 出 す る た め の 傾 斜 磁 場(motionencodinggradient:MEG)を 印 加 し,MR位 相 シ フ ト量 と し て 伝 播 波 を 可 視 化 す る(waveimage).最 後 に 伝 播 波 を 可 視 化 し たwaveimageを 利 用 し て,撮 像 対 象 の ず り弾 性 率 μ 算 出 す る,以 上 のMREの プ ロ セ ス をFigure3‑1に 示 す.

一弓 ヤ'}?《

・1〆

一 燈 森.ご 一乳 ξあ 、

.1}

Fig.3‑IMRelastography(MRE)の プ ロ セ ス

3.3.2機 械 振 動

MREで は 数 種 類 の加 振 方 法 が 提 案 され て い るが,そ れ ぞ れ に 利 点 と欠 点 が 存 在 す る.

Figure3‑2aに は 電 磁 振 動 シ ス テ ム を 示 す3‑6).マ グ ネ ッ トル ー ム 内 に は 強 力 な 静 磁 場 が 存 在 す る.ゆ え に,マ グ ネ ッ トル ー ム 内 に コイ ル を 置 き 交 流 電 流 を 与 えれ ば,フ レ ミ ン グ の 法 則 に よ りコイ ル は 振 動 す る.こ の コイ ル の 振 動 を 利 用 して 生 体 内 に 弾 性 波 を 与 え る方 法 が 電 磁 振 動 シ ス テ ム で あ る.こ の 方 法 は コイ ル の 振 動 と体 表 に接 す る振 動 面 との 間 に 連 結 棒 と支 点(ピ ボ ッ ト)を組 み 合 わ せ る こ と で 様 々 な 角 度 の 振 動 を 与 え る こ と が 可 能 で あ る3'12).し か し,静 磁 場 方 向 が 不 変 で あ る た め,振 動 方 向 が 制 限 され る他,イ メ ー ジ ン グ に 必 要 な 周 波 数 エ ン コ ー ド傾 斜 磁 場 や 位 相 エ ン コ ー ド傾 斜 磁 場 の 影 響 を 受 けや す い とい う欠 点 が あ る.

3・3

(22)

Figure3‑2bに は 圧 電 振 動 シ ス テ ム を示 す3"6).こ の 方 法 は 超 音 波 トラ ン ス デ ュ ー サ ー の 材 料 で も あ る ピ エ ゾ 素 子(圧 電 素 子)を 利 用 す る.ピ エ ゾ 素 子 に 交 流 電 圧 を 通 電 す る, ピエ ゾ素 子 は 伸 縮 す る た め,生 体 内 に 振 動 を 与 え る こ とが 可 能 に な る .振 動方 向,振 動 波 形 と も にMRI装 置 に 不 可 避 な 電 磁 場 の 影 響 を受 け な い とい う長 所 が あ る が,小 さ な 振 動 を て こ の原 理 で 増 幅 す る 必 要 が あ る3‑13).

Figure3‑2cに は 空 気 圧 振 動 シ ス テ ム を 示 す3‑6).こ の 方 法 は,静 磁 場 の 影 響 を受 けず , 振 動 装 置 も 簡 単 で あ る た め,現 在 最 も頻 繁 に 使 用 され て い る 加 振 方 法 で あ る.マ グネ ッ

トル ー ム 外 に 設 置 した ス ピー カ が 空 気 圧 の 発 信 源 とな り,ホ ー ス 等 に よ っ て マ グ ネ ッ ト ル ー ム 内 に 搬 送 され る.ホ ー ス の 先 に は 振 動 パ ッ ドが 装 着 され て お り,そ の 振 動 パ ッ ド を 体 表 に設 置 す る こ と で 撮 像 対 象 に 振 動 を 与 え る こ と が 可 能 に な る.振 動 パ ッ ドは加 振 部 位 に応 じ て,適 切 な 形 状 に 変 え る こ とが 可 能 で あ る た め,様 々 な 部 位 を 加 振 す る こ と が 可 能 で あ る.

b

ス ベ ーサ ー

素子

マグネ ットル ー ム 外 マ グネ ットル ーム 内

C ス ビーカ ー 振動パ ッド

Fig.3‑2加 振 動 シ ス テ ム.

c:空 気 圧 振 動 シ ス テ ム

a:電 磁 振 動 シ ス テ ム.b:圧 電 振 動 シ ス テ ム.

出典 参 考文 献3‑6)の 図表 を一 部修 正.

3.3.3振 動 周 波 数

外 部 振 動 の 周 波 数(振 動 周 波 数)はMREを 行 うに 当 た っ て 最 も重 要 な パ ラ メ ー タ の 一 っ で あ る.高 い 振 動 周 波 数 でMREを 行 う と ,撮 像 対 象 に伝 わ る弾 性波 の波 長 は短 くな

3‑4

(23)

る た め,算 出 され る 弾 性 率 画 像(elastogram)の 空 間 分 解 能 は 向 上 す る.し か し,振 動 周 波 数 が 高 くな る と,媒 質 中 で の 振 動 の 散 乱 や 吸 収 が 大 き く な る た め,撮 像 対 象 内 を伝 播 す る 弾 性 波 の 貫 通 力 は低 下 して しま う.MREは 撮 像 対 象 に 振 動 を伝 え る こ とが で き な け れ ば,弾 性 率 を算 出 で き な い た め,振 動 の 貫 通 力 の 低 下 を無 視 す る こ と は で き な い, Figure3‑3に 振 動 周 波 数 を100Hz及 び200HzでMREを 実 施 した と き のwaveimage(伝 波 を 可 視 化)とelastogramを 示 す.振 動 は フ ァ ン トム の 上 か ら下 に 向 か っ て 与 え られ て お り,フ ァ ン トム に は 直 径 が 同 じで 硬 さ が 異 な る ロ ッ トが 封 入 され て い る(a).Wave imageの 輝 度 は,可 視 化 した 振 動 の 変 位 量 を表 して お り,100Hzの 弾1生波 は フ ァ ン トム の 底 ま で 伝 播 して い る が(b),200Hzの 弾 性 波 は 底 ま で伝 播 して い な い こ と が わ か る(c).

これ は,振 動 周 波 数 が 高 くな る と,撮 像 対 象 内 を伝 播 す る弾 性 波 の 貫 通 力 が 低 下 す る こ と を示 して い る.一 方,elastogramで は 振 動 周 波 数 が 高 く な る と空 間 分 解 能 が 向 上 し, ロ ッ ト部 分 の 判 別 が 容 易 と な っ て い る もの の ,振 動 が 減衰 して い る底 の部 分 で は,弾 性 率 算 出 に誤 差 が 生 じて い る(d,e).

こ の よ うに,MREの 空 間 分 解 能 と振 動 周 波 数 は 弾 性 波 の 貫 通 力 と弾 性 率 画 像 の 空 間 分 解 能 の トレー ドオ フ に あ る.ゆ え に,撮 像 対 象 の 大 き さや 体 表 面 か ら の 深 さ等 に よ っ て,適 切 な 振 動 周 波 数 を 選 択 す る 必 要 が あ る.

lOOHz200Hz

a

Magnitudelmage

b C

WaveImage

de

Elastogram

Fig.3‑3振 動 周 波 数 と 弾 性 波 の 貫 通 力 及 び 空 間 分 解 能 の 関 係.a:強 度 画 像.

b,c:100Hz及 び200Hzで 加 振 し た と き のwaveimage.d,e:100Hz及 び200Hz

で 加 振 し た と き のelastogram.出 典 参考文献3‑ll)の図表を一部修正.

3.3.4MotionEncodingGradient(MEG)

MREで はmotionencodinggradient(MEG)と 呼 ば れ る 特 有 な 傾 斜 磁 場 を 印 加 し,振 に よ る 変 位 量 をMR位 相 シ フ ト量 と し て 検 出(可 視 化)す る3"5・3'6).その た め,可 視 化 す る

3‑5

(24)

振 動 の 変 位 方 向 はMEGの 印 加 方 向 に 依 存 す る.Figure3‑4にMEGの 印 加 方 向 を 変 え て 撮 像 し たwaveimageを 示 す.bは 位 相 エ ン コ ー ド方 向,cは 周 波 数 エ ン コ ー ド方 向,d

は ス ラ イ ス 選 択 方 向 にMEGを 印 加 し た 場 合 で あ る.加 え ら れ た 振 動 は 全 く 同 様 で も, MEGの 印 加 方 向 が 異 な る と,waveimageの パ タ ー ン が 変 化 す る こ と が わ か る.

加娠器

a

ファン トム

C

d

Fig.3‑4MEGの 印 加 方 向 とwaveimage。a:フ ァ ン ト ム と 加 振 器 の 模 擬 図.b‑d:得 ら れ たwaveimage.緑 矢 印 はMEGの 印 加 方 向 を 示 す.

3.3.5MEGと 振 動 の 同 期

振 動 の 変 位 量 をMR位 相 シ フ ト量 と し て 効 率 よ く 検 出 す る た め に は,MEGと 振 動 を 同 期 す る 必 要 が あ る3'1・3'5・3'6).以下 にMEGと 振 動 を 同 期 し て い な い 場 合 と 同 期 し て い る 場 合 のMR位 相 シ フ ト量 の 算 出 例 を 示 す.

外 部 か ら正 弦 波 の 振 動 が 加 え ら れ た とす る.こ の と き の ス ピ ン の 変 位 ベ ク トル 〃 は,

u(r,0)=u。sin(k・r一 ω 亡+0) [3‑3】

3‑6

(25)

こ こ で 〃oは 最 大 変 位 ベ ク トル,kは 波 数 ベ ク トル,rは 位 置 ベ ク トル,ω は 角 周 波 数,t は 時 間,0は 初 期 位 相 で,波 数 ベ ク トル の 方 向 は 波 の 進 行 方 向 で あ る.

ま ず,MEGと 振 動 が 同 期 し て い な い 場 合 に つ い て 述 べ る.例 え ば,振 動 に よ る 変 位 が 式[3‑3]で 繰 り 返 さ れ て い る 間,一 定 の 磁 場 傾 斜(Gm)を 変 位(u)方 向 に 印 加 す る と す る (Fig.3‑5a).最 初 は 磁 揚 が 強 く な る 方 向 に ス ピ ン が 移 動 す る の で,位 相 が 進 む(Fig.3‑5a 左 側).振 動 周 期Tの 最 初 か ら 半 分(T/2)ま で に 進 むMR位 相 シ フ ト量 △(1)は,

△tp(τ0→‑2)一 γ ∫(Gm・u・)・in(k・ γ+ω 亡+・)d亡 0

・‑li(G‑・u。)[…(k・r+ω 亡+・)]1

=一(Gm・Uo)cos(k・γT γ+0)

π [3‑4]

γ は 磁 気 回 転 比 で あ る.と こ ろ が,周 期 の 後 半(T/2→T)に は 前 半 と 対 称 的 な 反 対 方 向 に 変 位 し,式[3‑4]と 同 じ大 き さ だ けMR位 相 シ フ ト量 が 減 る こ と に な る(式[3‑5]).

△tp(≡ →T)一 一 婆(Gm・u・)…(k・r+・) [3‑5]

っ ま り,1周 期 の に お け るMR位 相 シ フ ト量 は0に な り(Fig .3‑5a右 側),振 動 に よ る 変 位 を 検 出 す る こ と が で き な い(式[3‑6]).

△rp(・→T)=△tp(・ →i)+△rp(署 →T)一 [3‑6]

一 方,MEGと 振 動 が 同 期 し て い る 場 合 で は,振 動 が 半 周 期(T/2)の とき に,Gmの 正 負 が切 り替 わ る た め,周 期 の 後 半 も 前 半 と同 じだ けMR位 相 シ フ ト量 が 増 加 す る こ と に な る(Fig.3‑5b).同 期 した 場 合 に お け る1周 期 のMR位 相 シ フ ト量 は,

△tp(・→T)一 △rp(・ → 署)一 △rp(雪 →T)一¥(Gm・u・)…(k・r+・)[3‑7]

これ をN周 期 繰 り返 す と,

3‑7

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