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論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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論文内容の要旨

Ankyrin Repeat Domain 1 Overexpression is Associated with Common Resistance to Afatinib and Osimertinib in EGFR-mutant Lung Cancer

EGFR遺伝子変異陽性肺癌のアファチニブ・オシメルチニブ耐性に 関与するAnkyrin Repeat Domain 1 過剰発現

日本医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学分野

大学院生 吉川(高橋) 明子

Scientific Reports Vol.8, No. 1 (2018) 掲載

(2)

【背景】

EGFR (epidermal growth factor receptor) 遺伝子変異は、非小細胞肺癌の約40-50%に認め られる。EGFRチロシンキナーゼ阻害 (EGFR-TKIs) は劇的な治療効果を示すが、約1年程 度で耐性が生じるため、耐性克服が大きな課題である。EGFR-TKIs耐性機序としてEGFR 2次変異 (Exon 20 T790M、C797S) やバイパス経路活性化がこれまでに報告されている が、治癒に向けた新規治療戦略が求められている。

【目的】

第2・3世代EGFR-TKIs新規耐性メカニズムを明らかにし、EGFR遺伝子変異陽性肺癌 の治癒に向けた新規治療戦略を構築することを目的とした。

【方法】

EGFR遺伝子変異陽性肺癌細胞株PC-9、HCC827を用いて、ステップワイズ法にて、第 2・3世代EGFR-TKIs (アファチニブ、オシメルチニブ) に対する 4種類の耐性株(PC-9- AR、PC-9-OR、HCC827-AR、HCC827-OR)を樹立した。元株と耐性株を用いて、cDNAア レイによる網羅的遺伝子発現解析、マイクロRNAアレイ解析およびタンパク質発現解析 等にて、第2・3世代EGFR-TKIs耐性因子の同定を行った。耐性因子に対して、in vitroに おける機能解析を行い、耐性克服を試みた。さらにEGFR-TKIsを投与したEGFR遺伝子 変異陽性肺癌患者の組織検体を用いて、免疫染色にてEGFR-TKIs使用前と耐性後の耐性因 子発現を評価した。

【結果】

PC-9-AR、PC-9-OR、HCC827-AR、HCC827-ORは、次世代シーケンサーを用いた解析に て2次変異 (T790M、C797S) は認めなかったが、細胞形態が上皮間葉転換 (epithelial- mesenchymal transition: EMT) の形態を示した。4種類の耐性株は、ウェスタンブロット解 析におけるE-cadherin発現低下とvimentin/ZEB1発現上昇およびマイクロRNA解析におけ るEMT抑制因子miR-200 family発現低下を認め、EMTが耐性に共通して関与しているこ とを認めた。さらに、4種類の耐性株は、ウェスタンブロット解析にて、抗アポトーシス 関連因子BCL2発現上昇を認め、アポトーシス抵抗性であった。

cDNAアレイ解析では、4種類の耐性株にてZEB1下流経路に位置するAnkyrin Repeat Domain 1 (ANKRD1) 過剰発現を認め、ウェスタンブロット解析、定量的RT-PCRにおいて も過剰発現を認めた。4種類の耐性株に対し、ANKRD1発現をsiRNAおよびマルチキナー

ゼ阻害剤 (イマチニブ) にて抑制したところ、抗アポトーシス因子の抑制およびアファチ

ニブ、オシメルチニブ感受性の改善を認めた。

臨床検体を用いた検討では、EGFR-TKIsを使用したEGFR遺伝子変異陽性患者10名の 治療前および耐性後の組織検体を用いて、ANKRD1発現を免疫染色法にて評価した。

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EGFR-TKIsが早期に無効になった患者においては、治療前よりANKRD1高発現を認め、

EGFR-TKIs有効例においても、耐性時には治療前と比較してANKRD1高発現が認められ

た。

以上より、第2・3世代EGFR-TKIs耐性にEMTおよび抗アポトーシスに関連する

ANKRD1過剰発現が共通に関与していることを明らかにし、EGFR-TKIsとイマチニブの

併用が耐性克服において有効であることが示唆された。

【考察】

本研究にて、EMTや抗アポトーシスに関連するANKRD1過剰発現が第2・3世代

EGFR-TKIsの初期耐性および獲得耐性に関与する共通のメカニズムであることを明らかに

した。ANKRD1は、EMT関連因子であるZEB1の下流に位置し、卵巣癌においてシスプ ラチン耐性や抗アポトーシスに関与することなどが報告されているが、肺癌での薬剤耐性 における意義は明らかでなかった。EGFR遺伝子変異陽性肺癌に対するEGFR-TKIs耐性機 序は多岐に渡るが、第2・3世代EGFR-TKIsの初期耐性および獲得耐性に関与する共通の 因子であるANKRD1の同定およびイマチニブによる制御は、治癒に向けた新規治療戦略 でになり得ると考えられる。

【結論】

EMT及び抗アポトーシスに関連するANKRD1は、第2・3世代EGFR-TKIs耐性の根幹 であり、EGFR-TKIsとイマチニブの併用は、EGFR遺伝子変異陽性肺癌の治癒に向けての 新規治療戦略になり得る。

参照

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