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Case Study of Keeping Teaching Aids of Technology Education in Junior High Schools of Ibaraki Prefecture

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(1)

1.はじめに

学校教育において教材の整備は授業を進める上で不可欠なものであり,昭和

43

年以来,学習指導 要領の改訂に沿って10か年ごとに年次計画を立てて実施されている。時代の変革,技術革新などに より,授業に必要とされる新しい教材を「教材基準」「標準教材品目」へとその改訂ごとに教材整 備品名の見直しが行われている1)

これまでは「標準教材品目」

2)として標準的な品目等と数量標準を示し,それらは,各学校が教 材整備をする際の参考とされていた。しかし,平成

14

年度より新しい学習指導要領に対応した教材 の整備について,地方分権の趣旨を踏まえた各学校および各地方公共団体の自主性・自立性の尊重 の観点から,「教材機能別分類表」3)が取りまとめられた。これは,教材の機能を重視した教材選択・

教材整備が図られるよう,教材の機能的な側面に着目して新たに分類整理されたものである。その 際,教材整備の自主的選択・裁量の拡大を促進するため,個別の教材はいくつかの例示にとどめ,

数量も示されなかった。「これからの義務教育諸学校の教材整備の在り方について(最終報告)4) は,「今後の教材整備が,…中略…児童生徒が自分たちの学習のために教材を使うという観点(発表 する,実際に使う,体験するなど)に,各学校が十分に配慮していくことを促すようにすることが 適当である。」とある。このことから,各学校が保有する教材は授業実態が大きく反映されるように なったと推測できる。

中学校技術・家庭技術分野(以後技術科という。)の教材整備に関する研究5) 6)は,中学校におい て当時の基準である「標準教材品目」の充足状況を明らかにしている。しかし,「教材機能別分類表」

に基づいた教材整備の実態を明らかにしたものは見当たらない。

茨城県の中学校技術科における教材整備に関する事例研究

滝本穣治

*・落合淳平 *・竹野英敏 **

(20071130日受理)

Case Study of Keeping Teaching Aids of Technology Education in Junior High Schools of Ibaraki Prefecture

Joji TAKIMOTO*,Junpei OCHIAI* and Hidetoshi TAKENO **

(Received November 30, 2007)

茨城大学大学院教育学研究科

茨城大学教育学部技術教育講座(〒310-8512 水戸市文京2-1-1)

*

**

(2)

そこで本研究は,茨城県内の中学校を対象として訪問調査を実施し,技術科における「教材機能 別分類表」に基づいた教材整備の実態を明らかにする。

2.調査方法

2.1  方法

¸

 調査期間

2006

年9月〜

2007

年1月

¹

 調査協力校

茨城県内公立中学校

9

校(うち標準規模校

8

校,小規模校

1

校)

学校規模について,小規模校は

3

学年で

5

学級以下,標準規模校は同

6

27

学級,大規模校は同

28

学級以上の

3

段階に設定し,標準規模校

8

校を学校

A

H,小規模校を学校 I

とする。

º

 調査場所

調査協力校の技術室および技術準備室

»

 調査時間

1

校あたり約

1

時間

30

分を要する。

¼

 手続き

調査協力校の技術科担当教員に対し,事前に準備した質問項目(資料

1)に関して面接調査を行う。

また,調査協力校が保有する教材について,教材の分類基準に基づいた教材を対象とし,その保有 数量を判断基準に基づいて調査する。なお,今回は「情報とコンピュータ」に関する教材は調査対 象外とする。

½

 判断基準

各学校が保有する教材の保存状態は様々であり,中には直ちに使用することができない教材もあ ると考える。先行研究6)においては,教材の保有数量について保存状態を考慮せずに調査している。

そのため,保有数量には破損や故障したものも含まれている可能性があり,調査結果は教材を直ち に使用できるという状態を示しているとは言い難い。

そこで,具体的な基準を設け,計上する際の判断基準とするために,調査協力校が保有する教材 のうち,1箇所でも破損している箇所があるものや,電気的・機械的に作動しない状態にある機器 類があれば,それらは保有数量に計上しないこととする。なお,教材における金属の錆びについて は,その教材の使用用途に直接影響がない場合に限り保有数量に計上する。刃物類は,切削面の錆 びだけを破損と同様の扱いとする。

¾

 教材の分類基準

教材を分類する項目は

7

項目とする。内訳は,各教材を技術科の教育職員免許状を取得するのに 必要な科目区分(「木材加工」「金属加工」「電気」「機械」「栽培」)および「各種工作機械」と,

「標準教材品目」や「教材機能別分類表」に記載されている「製図」とする。各項目への教材の分 類は,「標準教材品目」「教材機能別分類表」および株式会社トップマンの技術教材カタログの分類 に基づいて行う。

(3)

3.結果および考察 3.1  1 学級における平均生徒数

 標準規模校はおよそ

34

名,小規模校は

16

名。

3.2  調査協力校における教材保有

 各学校が保有する教材を表

1

7

に示す。なお,表中の

A

I

は調査協力校を表している。

また,「標準教材品目」に記載されていた数量標準を「参考」として示す。

3.2.1 製図用教材

 製図用教材について表

1

に示す。

製図用教材の中で生徒の使用が考えられ,1学級の生徒数分の数量を保有しているものは

T

定規

(4校),製図板(5校)であった。

製作に必要な図の作成に関して平成

18

年発行の技術科の教科書(T社,K社)を見ると,どちら も均等なマス目上にキャビネット図および等角図によるかきかたを図示している。また,調査協力 校すべてで使用されている

T

社の教科書においては,第三角法による正投影図についても方眼紙の マス目上に図示している。特に,

T

社の教科書では,平成

16

年発行の教科書には「製図用具の使い 方」として製図の手順と製図板や

T

定規など使用する製図道具が示されていたが,平成

18

年発行 の教科書にはその記載が無くなった。これらのことや製図用教材の保有状況から,生徒は製図の内 容に関する授業において製図板や

T

定規を用いず,方眼紙等に製作に必要な図をかき,白紙に直線 や平行線をひくような作業をしなくなった可能性が高い。

3.2.2 木材加工関係教材

木材加工関係教材について表

2

に示す。各種手工具に関しての保有数量が充実している。この背 景には,技術科の教科書において材料加工に関する記述が木材加工中心であること,全ての調査協 力校で木材加工に関する内容を授業で取り扱っていることが関係していると思われる。なお,各学 校には,長時間使用しない等の理由による錆びや整備不良のために,保有数量に計上できない教材

表1 調査協力校における製図用教材の保有数量

参考

(校)

I H G F E D C B A

1 20

. 1 . . . . .

. 22

. . . . . . 56

1 .

2

1 . 60 40

2 .

1

1

1 . . 75

. . . 1

. . . . 2 . 2 2 1 . 34 45 . .

1

1 .

1 1

. . . . 1 . . 62

. . 20

. . . . 120

50 . . . . . .

T定規 【本】

製図板 【枚】

大三角定規 【組】

製図器 【組】

大コンパス 【本】

斜眼黒板 【台】

大分度器 【組】

投影図法説明器 【組】

(4)

も多く存在した。このことから,適切に整備された手工具が

1

学級の生徒数を満たす調査協力校は少な く,手工具を二人で一つもしくは班で一つのものを共有して使用するという授業展開が推測される。

例えば平かんなは9校中2校(D・G校)が1学級の生徒数分を保有しているにとどまった。こ れに関して9校中4校(B・C・E・F校)が替え刃式かんなを使用しており,その学校では平かん なの手入れを行っていないことが懸念される。

釘しめがない学校では,隠し釘やつぶし釘で作品を作るような授業展開ができないと考える。木 工やすりは3校,糸のこは4校の学校が保有していない。一方,ベルトサンダ,糸のこ盤(表7)

はすべての学校が保有し,作業を機械で実施している可能性がある。工作機械を使用させることに おいても,目的やねらいを踏まえた指導が望ましいと考える。

刷毛を保有していない学校が4校(D・F・G・

I

校)あり,そのうち3校は,塗装作業の際にその 都度新品の刷毛を購入していることが面接調査の結果からわかった。教材整備に関して,教材を購 入するだけでなく,長期間手入れを続けて保管する知識と技能や道具を大切にする意識が教員に求 められると考える。

木材標本を2校しか保有していないが,基礎・基本の知識として,生徒が材料の理解を本物に触 れて理解するためにも,表示用の教材は確実に揃えておくことが望ましいといえる。

2

 調査協力校における木材加工関係教材の保有数量

参考

I

(校)

H G F E D C B A

40 40 40 40 40 40 40

8 . . .

8

4 . . .

1

1 . . . . 14

42 34 26 30 40 18

3 11 20 10 . . 15

3 . 1 . 1 1 . .

6 46 24 54 60 24 12 97 50 50 15 . . 20 15 30 . . .

2

6 . 144

50

92

80

40

68

40

20

40

20

10

25

20 .

12

.

1

. .

3

. .

19

38

21

48

27

6 115

4 .

17

10

12

8

41 . .

1

.

1

1 . . 24 40 36 20 20

8

1

6 20

8

8 . 34 12 . 20

1 . .

2

4 . 40 67 20 20 20

5

5 . . 10 12

8 16 . . . .

2

.

7

. . 16 55 16 36 38 21 44

4 10 18 11

9 20 .

2

4 .

1

1 . 40

.

32 193

50 120

73

36

60

12

52

8

10

8

8

17 .

20

. .

1

.

1

. 20 39 20 15 35 13 18 . 30 11 12 12 . 38

9 29 . . .

1

. .

平かんな 【丁】

さしがね 【丁】

のこぎり 【本】

げんのう 【本】

木槌 【本】

四つ目ぎり 【本】

のみ 【本】

はたがね 【本】

鋼尺 【丁】

直角定規(木工用)【個】

バール 【本】

木工万力 【台】

木端・小口削り台 【台】

木工やすり 【本】

糸のこ 【本】

刷毛 【本】

台直しかんな 【台】

木材標本 【組】

防塵メガネ 【本】

くりこぎり 【個】

釘しめ 【本】

防塵マスク 【個】

(5)

3.2.3 金属加工関係教材

金属加工関係教材について表3に示す。

面接調査の結果,9校中

7

校は金属加工に関する授業を実践していないことが明らかになった。

このことは各学校における金属加工関係教材の保有数量に大きく影響していると考える。

金属加工の棒材のけがき作業に使用するトースカン(3校),定盤(5校),Vブロック(7校) 直角定規(9校)が整備されていなかった。これは,調査協力校が行っていた金属加工の授業内容 は低融合金の鋳造やキット製品の製作であったため,棒材加工などを長期間行っていないことが原 因の一つと考える。材料によって,けがき作業の内容が異なることを理解させる授業を展開するに は,現段階では実践できない可能性が高い。

金工用具については,切断工具はそろっているが,折り曲げ用具が少ない。板金加工では,直線 的な作業はできても曲面を出すような作業は困難と考える。また,かなとこがないため,鍛造など も行いにくいと考える。

マイクロメータは保有数が少なく,精密な測定やその意識付けを行えない可能性がある。

表3 調査協力校における金属加工関係教材の保有数量

参考

(校)

I H G F E D C B A

12

8

8

8

4

4

4

8

2

8

8

8

2

8

8

8 12

27

3

7 20

4

3 15

8 12 12

5

2

1

5

8

26 75 20

8 34 28 30 28 25

12 50 25 13

1 15 20

4

6

7

3

6

2

72

20 20 36

9

9

10 10

3

30

5

24 61

6

6 12

7 40 20

2 44 24 40

1

1

6

2

2

6

16 16

4 16 20

7

8

8 16

8

8

8

8

8

2

4

8

31 16 19

6

1

1 16

2

9 18

5

4

9

5

2

4

21 10 13 26 6 15 20 20 50

1

1

11 15

6

5 20

3

8

8 38 10 16 16 10

2

3

5

2

6

3

39

7 23

3 77 12

6

6 27

7

3 18 15

5

7

3

2

金切りはさみ 【丁】

鉄工やすり 【本】

箱万力 【台】

弓のこ 【本】

けがき針 【本】

平たがね 【本】

各種タップ 【組】

各種ダイス 【組】

片手ハンマ 【本】

ノギス 【本】

折り台 【台】

打ち木 【本】

刀刃 【枚】

かなとこ 【台】

マイクロメータ 【台】

ハンドドリル 【個】

電気はんだごて 【本】

トースカン 【個】

センターポンチ 【本】

かけたがね 【個】

定盤 【台】

Vブロック 【個】

はちの巣 【台】

直角定規(金工用)【個】

(6)

センターポンチは

5

校しか保有していないため,センターポンチを使わずに穴あけ作業をしてい る可能性もある。安全な作業手順や正確な作業を行う上でもこれらを整備する必要があるといえ る。

3.2.4 電気関係教材

電気関係教材について表

4

に示す。実験器具として使用する教材は保有数量が少なく,工具とし て使用する教材は保有数量が充実しているという傾向となった。

電流計,電圧計はH校を除いてどの学校も保有数量が4台以下であった。回路計にその機能が備 わっているものを使用したり,理科で使用している電流計,電圧計を借りたりする等の方法も想定 できるため,4台以下という結果が一概に少ないとは判断できない。しかし,計測機器は標準規模 校の1学級においてグループ学習を想定しても,一班6名の構成で考えると教師用を含め最低7台 は必要であるため,各学校の状況に応じた教材整備が求められる。

また,その他の説明用教材や実験器具については,およそ半数の学校で保有していなかった。こ れでは機器の仕組みや原理の理解,電気回路の知識などを,実験を通して確かめるといった授業展 開はできない可能性がある。

なお,ペンチやニッパ等の工具関係は,選択教科としての「技術・家庭」でエネルギーの変換を利用 したロボット製作においてよく使用されるため,どの学校においてもよく整備されていると考える。

 

表4 調査協力校における電気関係教材の保有数量

参考

I

(校)

H G F E D C B A

16

2

2

2

1

1

1

1

4

4

4

1

8

8

8

8

7

2

1

1

1

9

9

6 30 20 12 14 36 10 11 11

2

1

1

・ 

8

1

・ 

20 20 20 43 30

40 20

1

2

1

1

1

1

1

1 13 20 20 28 15

25

1

1

1

1

1

2 28

9 31 69

18

8

1

1

1

1

1

1

1

1

2

8

8 16

8

2

8 13

2

4

1

1

1

1

1

1

1

・ 

11 28 22 32 34

3 13 20

5

5

5 45 45 20 20 20 21 20

1

1

1

8 16 20 35 35 30 32 10

4

1

4

1

3

1

1

・ 

6 10

4

2

5 26

回路計(テスタ)【台】

電動機 【台】

電流計 【台】

電圧計 【台】

オシロスコープ 【台】

電圧調整器 【台】

すべり抵抗器 【台】

直流電源装置 【台】

屋内配線模型展開板 【台】

電熱器具展開板 【台】

照明器具展開板 【台】

増幅回路説明模型 【台】

ペンチ 【本】

ニッパ 【本】

ラジオペンチ 【本】

ドライバ + 【本】

ドライバ − 【本】

カッター 【本】

電気はんだごて 【本】

(7)

3.2.5 機械関係教材

機械関係教材について表

5

に示す。平成元年の学習指導要領以前は「機械」領域が存在していた が,平成

10

年の学習指導要領改訂により,「エネルギー変換」となったことにより,指導事項が削 減され,今回の調査では機械関係教材の保有数量が各学校とも非常に少ない結果となった。

保守点検において使用できそうなスパナやプライヤは半数近くの学校が保有していたが,ガソリ ン機関やそれに関連する測定器具などはどの学校もほとんど保有していなかった。中学校学習指導 要領(平成

10

12

月)解説 技術・家庭編技術分野の内容

A 技術とものづくり(4)には,機器

の仕組み及び保守について「製作に使用する機器」としている。そのため,これまで機械の整備の 学習として扱われてきたガソリン機関は授業で使用されることがなくなり,保有数量が減少したと 考える。したがって,今後ガソリン機関は,学校現場からなくなる可能性が高いと考える。

3.2.6 栽培関係教材

栽培関係教材について表

6

に示す。面接調査の結果から,調査協力校

9

校すべてにおいて栽培に 関する授業を行っていないことが明らかとなった。その理由として,栽培は,現行の学習指導要領 上で「生徒の興味・関心に応じて選択的に履修させる発展的な内容」とされていることが一因と考 える。しかし,中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会で取りまとめられた「教育課程部 会におけるこれまでの審議のまとめ」7)(平成

19

11

7

日)によると,栽培の内容を含んだ「生 物育成に関する技術」が今後必修の内容に盛り込まれるとされている。したがって,表

6

の保有数 量から,栽培関係教材は今後技術科の授業を行う上で早急に整備されるべき項目といえる。ただ し,学校

I

以外の学校の中には,緑化活動などの関係で技術科としてではなく学校全体で栽培関係 の用具を保有,管理している学校もあり,その点に関しては今後詳細な調査をする必要があるとい える。学校においては,今後これらの道具を使った栽培だけではなく,これらを使わなくてもでき るような生物育成の授業展開を考える必要がある。

表5 調査協力校における機械関係教材の保有数量

参考

I

(校)

H G F E D C B A

1 4

1

20

5

15

6 15

1

5 10

2

1

2

1

30

2 15

2

7 15

45

2

2

6 46

5 2 1 1

3 4 1

5 5 5

11

8

3

4

スパナ 【本】

プライヤ 【本】

レンチ 【本】

トルクレンチ 【本】

ガソリン機関 【基】

分解用洗浄皿 【枚】

回転速度計 【個】

プーラ 【個】

機械機構模型 【台】

シリンダーゲージ 【体】

自転車 【台】

(8)

3.2.7 各種工作機械

木材加工,金属加工において使用すると考えられる各種工作機械の保有数量を表

7

に示す。調査 協力校においては,丸のこ盤,糸のこ盤および卓上ボール盤を

9

校全ての学校が保有していた。各 学校の工作機械は,丸のこ盤,自動かんな盤および手押しかんな盤を除いて,実践される授業内容 に即した整備が進められているといえる。その中で,自動かんな盤,手押しかんな盤の保有数が

0

という学校がある。その学校では,生徒に使わせる板材は,教師が製材するのではなく,業者より,

一定の寸法で表面仕上げを済ませた規格品の材料を購入しているという実態が伺える。

安全装置が取り付けられている丸のこ盤はわずか1校しかないことから,安全対策が疎かとなっ ているといえる。技術科教員は,怪我や事故防止という観点からも,技術室の環境整備について常 に配慮する必要があると考える。

ベルトサンダが各学校に普及していることから,木口削りなどの作業をベルトサンダで代用する 学校が増えている可能性がある。これに関して,防塵メガネや防塵マスクの着用も必要であるが,

それらは保有校,保有数ともに少なく(表2),作業の安全性に対する関心の低さが伺える。安全教 育の充実のためにも,これらの道具は今後特に充実する必要がある。

旋盤を保有している学校は4校である。学校によっては旋盤を廃棄する学校が現れ始めたといえ る。また,アクリル板曲げ器を保有する学校が5校あることから,プラスチックの加工を扱う学校 が増えていると考える。材料加工において,木材加工だけでなく,金属加工やプラスチック加工に 関しても生徒に知らせたり実際に体験させたりすることは重要であると考える。

今回の調査において小型の工作機械を保有している学校が多く,機械の設置状態や作業動線など 技術室の環境や安全面を考慮して教材整備を進めていく必要がある。

 

6 調査協力校における機械関係教材の保有数量

参考

(校)

I H G F E D C B A

2 1 4 4 4 8 8 8

10

4

2

1

5 10 50

3 10

10 2

3 2

6

1

4

1

園芸用はさみ 【丁】

ふるい 【台】

栽培用噴霧器 【体】

上皿自動秤(計量器)【台】

温度計セット 【組】

簡易養液栽培用具一式 【組】

鍬 【本】

レーキ 【本】

ショベル 【組】

ホース 【本】

じょうろ 【個】

(9)

4.おわりに

今回の調査から,各学校における教材整備の実態は,実践する授業内容に影響されている傾向に あることが明らかとなった。そのため,教員が授業を展開する上で大きな役割を担う教科書の記載 内容についても,教材整備の実態に関わっていると考える。

各学校が行う材料加工に関する授業内容は木材加工中心となっている可能性が高く,木材加工に 関する手工具は保有状況が概ね良好であったが,金属加工に関する教材は保有状況があまり良好で なかった。

選択履修の内容における教材整備は,工具など製作に使用する教材はよく整備されていたが,電 気関係の説明用教材や測定器具および栽培関係教材は教材整備が進んでいなかった。

「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」7)によると,これからの技術・家庭科技術分 野の内容として「現代社会で活用されている多様な技術を,①材料と加工に関する技術,②エネル ギーの変換に関する技術,③生物育成に関する技術,④情報活用に関する技術等の観点から整理し,

すべての生徒に履修させる。」とある。そのため,これらの内容を十分に指導できるだけの教材整備 が求められる。

しかし,今回の調査による教材保有の実態から,指導が十分にできない学校が多数存在すると推 測できる。各学校は,次回の学習指導要領の改訂にあわせ,現状に応じた計画的な教材整備が望ま れる。

今後は調査対象を増やし,調査結果の信頼性を高める必要があると考える。

7 調査協力校における各種工作機械の保有数量

I H G F E D C B A

1 3 2

1 1 1 1 1

2 6 3 1 3

2

1

2

2 5

1 10

2

2

2

1

2

1

1

1 1 2 1 1 1 1 1 2

1 1 2 5 2 2 1 1 1 4

1 1 1 2 1

1 4 1 2 1 1 1 1 1 1

2

1 3 2 2

2 1

2

1 3 1 2 2 1

2

1 1

1

1 4 2 1 2 1

1 1

丸のこ盤 【台】

糸のこ盤 【台】

卓上ボール盤 【台】

ベルトサンダ 【台】

角のみ盤 【台】

自動かんな盤 【台】

刃物研磨機 【機】

両頭型研削盤 【台】

アクリル板曲げ器 【台】

集塵機 【機】

手押しかんな盤 【台】

小型旋盤 【台】

卓上切断機 【機】

小型万能帯のこ盤 【台】

板金切断器 【機】

板金折り曲げ機 【機】

各種安全装置 【組】

(10)

1

改訂新版新たな教材整備計画の中学校「教材機能別分類表」整備台帳(平成

19

年度〜平成

23

年度),日本 加除出版株式会社,

p. 1

2007

2

文部省:標準教材品目,文部省教育助成局長通知,文教財第

82

号(

1991

3

文部科学省:教材機能別分類表,文部科学省初等中等教育局長通知,文科初第

718

号(

2001

4

これからの義務教育諸学校の教材整備の在り方について(最終報告)

http: //www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kinou/011101/009.htm

,文部科学省,

2007

11

27

5

木村誠:技術科標準教材品目に関する調査研究−

1993

年度静岡県下中学校の事例をもとに−,日本産業技 術教育学会誌 第

38

巻第

4

号,

pp. 287-290

1996

6

西田秀樹:技術科標準教材品目の整備の現状と今後の課題−鳥取県内の中学校を対象として−,鳥取大学教 育学部研究報告,教育科学,第

39

巻,

pp. 75-82

1997

7

教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/001/07110606/001.pdf

,文部科学省,

2007

11

27

[資料

1]

 面接調査での質問項目 赴任期間と技術科教員歴

各学年の学級数および

1

学級あたりの平均生徒数 年間指導計画(授業内容)

保有する教材・教具の種類とその数量 教科書以外に使用しているテキスト教材

授業の中で教材・教具と使用していない教材・教具の種類および数量(技術分野に限る)

教材・教具を使用していない理由

各教材・教具における点検チェックリストの有無 保有する教材・教具の保管場所

破損・故障した工作機械の有無とその理由  授業での工作機械の使用状況

集塵設備の有無

参照

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