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Study investigation of ICT education in Distance Education High School

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通信制高校 における情報教育の学習調査

小 林 道 夫

教科 「情報」 は,情報教育 を体系 的に実施す る教科 として新設 されたが,通信制高校 での実 施 には実習時間不足や教材不足 な どの問題があ る。NHKは,その通信制高校 に在籍す る生徒 たちに対 して高校講座 「情報

A

」 を制作 し放送 してお り,他 に も番組 と連動 したテキス トや Webサ イ トを提供 し,知識 だけで な く番組 を 視聴 した後 に自宅で コンピュー タ実習がで きる ように生徒 たちの学習 を支援 して きた。 しか し, 通信制高校 に在籍す る生徒 たちが どの ように放 送番組やWebサ イ トを活用 しているか実態 は 明 らかになっていない。そ こで,高校講座 を活 用 してい るNHK学園高校 の生徒 を対象 とした 調査 を実施 し,情報Aの学習状況や番組,Web サイ トについてアンケー トとイ ンタビューを行 った。その結果,番組 やWebサ イ トの印象や 理解度 に関す る評価 は概ね良好であった。一方, 番組視聴 やWebサイ ト活用の割合が低 く, コ ンピュータを使 った実習 もあ ま り行 われてお ら ず,教科 「情報」の学習 として不十分であるこ とがわか った。 1. は じめに 情報 は,人間の認識 ・思考 ・判断に大 きな影 響 を与 える ものであ り,その情報 に取組 む態度 や発想 を身につけることは,現在社会 に生 きる すべ ての人間に求め られ る資質 ・能力 である1)0 よって高度情報通信社会 を生 きてい く生徒 たち に∴ 情報教育 を実施す ることは大変重要である。

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年高校 学習指導要領 の改訂 に伴 い,義務 教育 を終 えた後期 中等教育課程 とい う高等教育 に繋げる重要 な時期 に情報教育 を体系的に実施 す る教科 として情報科が新設 された。 その後,教科 「情報」の授業実践の報告会や 教育研究会が発足 し,特色 あるテーマや内容 ・ 指導法の議論 な ど,教科 「情報」の方向性 を模 索 す る努力 が な されて きた2)。高校 で の教 科 「情報」 の実態調査 か ら,多 くの学校がテキス トを使 った座学 よ りコンピュー タ実習重視 で授 業 を実施 している点や,教 師が授業 を実施 して いて困っている事 として,生徒 のコンピュー タ やインターネ ッ トを活用す る能力 (以下情報活 用 の実践力 ) の差 が大 きい こ とを指摘 してい る3)。 しか しなが らこの ような調査 は全 日制課 程の高校 を前提 としてお り, 自宅での 自学 自習 を中心 とした通信制課程 を対象 としていない。 よって,通信制高校 における情報教育の実態 を 明 らか にす る必要がある。 通信制課程 を持つ通信制高校 は,生徒が学校 に登校 して対面授業 (以下スクー リング) を受 けるのは数回程度で,あ とは自宅で勉強 しなが ら単位 の修得 を目指す。生徒 たちは,教科書 な どの印刷教材やNHK高校講座 などの放送番組 を視聴 しなが らレポー トを作成 し,郵便 を使 っ て添削指導 を受 けなが ら勉強 している。 ここ数 年は通信制高校 に通 う生徒が増加傾向にあ り, 高校在学者 の5%にあたる18万 人 を越 える生 徒が通信制課程 に在籍す るまでになった4)。 こ れは,通信制高校が不登校生徒や中途退学者 を 積極 的 に受入 れた ことや

,2

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年 か ら株 式会

(2)

神奈川大学心理 ・教育研究論集 第29号 (2010年3月31日) 社 の学校運営が認め られるようにな り,教育関 連企業 だけに とどまらず他業種 の企業 も通信制 高校 を設立 し年 々増加 していることが要 因 と思 われ る。eラーニ ングを取 り入 れた学習 システ ムや海外の高校卒業資格 を取得で きるな ど,多 様化す る生徒 たちに対応 で きる通信制高校が登 場 してお り,今後 も生徒が増 え続 けることが予 想 される。 教科 「情報」 には 「情報A

,

「情報B

,

「情 報

C

」の3科 目があ り,各高校 で1科 目を選択 必履修科 目として設定す る。全 国の高校 を対象 と した調査 に よる と,約80%の学校 が 「情報 A」 を選択 している5)。 よって約14.5万人の通 信制高校生が 情報Aを履修 していることになる。 そ こで本稿 で は

,NHK

高校 講座 を活用 して い る通信 制高校 を調査 し,生徒 たちの 「情報 A」の学習実態 を明 らかにす る。調査では, 自 宅 での学習状況や番組 の活用,Webサ イ トの 活用, コンピュータ実習の取組みなどについて ア ンケー トとインタビュー を行 った。

2.

先 行研 究 と情 報 教 育 の 問 題 点 通信制高校 には,居住 している都道府県の地 域 にある学校 と,全 国か ら入学で き,テ レビや ラジオ といった放送やeラーニ ングを活用 しな が ら勉強す る広域制の学校がある。 どれ も勤労 学生や一般成人に学習の機会 を与 えることを目 的に設置 されたが,現在 は不登校や全 日制高校 の退学者 を積極 的に受 け入れる学校 に変化 して お り,就職 しなが ら在籍 している生徒 は少 ない。 よって,生徒 たちの学習 に対す る意欲や学力 も 様 々であ り,小学校や中学校 または前在籍校 で ほとん ど学校 に通 わず, これ まで情報教育 を受 けて こなかった生徒 もいる。そ ういった生徒 た ちに対 して数少 ないス クー リングで コンピュー タ実習 を取 り入れた授業 を成立 させ るのは難 し く,他の科 目と同 じように座学 中心の講義 とテ キス トとプリン トを使 った学習 にな らざるを得 ない6)とい う現実がある。 通信制高校の教 師で構成 している全国高等学 校通信制教育研究会では,通信教育のあ り方や 授業研究な ど多岐にわたった報告が なされてい る。教科 「情報」の分科会で も各学校 の授業実 践報告7)がなされてお り,主 なもの として以下 の3点に集約で きる。 ・スクー リングで コンピュータ実習 を希望す る 生徒 が多いが,時間数の少 なさや情報活用の 実践力の差が大 きいことか ら,実習の授業 を 成立 させ るのが困難。 ・実習内容 としては,ワープロや表計算 ソフ ト を活用 した ものがほ とん どで,それ以上の内 容 を実施す ることがで きない。 ・レポー ト課題 もほ とん どが教科書か らの出題 となってお り, コンピュータを使 った実習課 題 などはださない。 ・学 習 の不足 面 を補 うため に

NHK

高校 講座 「情報A」の視聴やイ ンターネ ッ ト上の教材 コンテ ンツの活用 を薦めている。 これ らの報告か ら,通信制高校で情報教育 を 実施す る際の問題 として, コンピュー タ実習の 時間が不足 していること,そ して学習内容の理 解 を深めるために

NHK

高校講座 な どの放送や イ ンターネ ッ ト教材 の積極 的な活用 といった点 が浮かび上が って くる。そこで, この研究 を行 うことに よって

,NHK

高校 講座 「情報A」が この ような問題の解決の手立て として役立 って いるか明 らかになる。

3.NHK

高 校 講 座 「情 報

A」

の概要

NHK

は通信制高校 に通 う生徒 に対 し,在宅 で学習す るための放送教材 として40年以上 に 渡 って高校講座 を制作 して きた。高校講座 は学 校の新学期 とともに4月に始 まり翌年 3月 まで 放送 され,テ レビとラジオを通 じて講座 を受講 しなが ら学習 を継続 している生徒 たちを支 えて きた。番組 は昼間 と深夜 の2回放送 され,番組 視聴の前後 に予習や復習がで きるように番組 と 連動 したテキス トとWebページを提供 してい る。

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3.1 番組の編成 NHK高校 講座 「情報A」 で は,毎 回テーマ を設 け,30分 間に取材 ロケや実験 を交 えた講 義 とコンピュー タ実習の両面で構成 している。 教 科 「情報」 は 「情報活用 の実践力

「情報 の 科学 的 な理解

「情報社会 に参画す る態度」 の 3つの観点 を目標 として掲 げてお り,番組 で も 体系 的 に学 びやす い よ うに,20回 シ リーズ を 5つの フェーズ に分 けた編成 となっている。導 入 として第 1回

∼4

回を 「情報活用 の工夫 とコ ンピュー タ」,第5回∼ 9回はイ ンター ネ ッ ト の活用 としくみ を学ぶ段 階 として 「情報通信 ネ ッ トワー クを利用 した情報収集 と発信 」,そ し て第10回∼ 14回 を 「情報の統合 的 な処理」 と して, アニ メー シ ョンやWebペー ジな どのデ ィジ タル作 品の制作 として設定 されている。 こ の 中で8回∼ 13回は全体 の 中で核 となる部分 で,Webペ ージ制作 か ら3DCGまで実習が 中 心 となっている。第15回∼ 18回は 「情報機器 の発達 と生活の変化」 として,情報 のデ ィジ タ ル化 やセキュ リテ ィな ど原理や しくみ な ど実験 を交 え なが らの講義 が 中心 とな る。最 後 の第 19回∼ 20回は映像制作 の手順 と手法 を学 んだ 上で,映像作 品 を仕上 げプ レゼ ンテーシ ョンす る とい った演習 を2回連続で行 う。 NHKは, これ まで講座 や学校 放送 で, コ ン ピュー タや情報教育 に関す る番組 を各種 制作 し て きたが,高校講座 「情報A」の ように実習 と 理論 を交 えなが ら年 間を通 して体系 的 に情報 を 図 1 NHK高校講座 「情報A」放送番組 通信制高校 における情報教育の学習調査 学ぶ番組 は制作 して こなか った。放送大学 にお いて も情報科学 や情報 メデ ィアな どの科 目はあ るが, どれ も講義が 中心で実習 を交 えた番組 は 制作 していない。 よって,高校講座 「情報A」 が これか らの情報教育番組 やeラーニ ングのた めの映像 コンテ ンツを制作す る上 で一つの指標 とな り,映像教材 開発 の研究材料 になる と考 え られる。 3.2 番組用Webサイ ト 「情報A」番組Webサ イ トは 2003年番組が ス ター トと同時 に立 ち上が り,毎年4月か ら翌 年3月 まで毎 回番組が放送 される毎 に更新 し, 放送 した回のペ ージを新 たに公 開 され る。Web サ イ トは,番組 の狙 い,学習 内容 の解説, まと めの3つで構成 され,初心者 に もわか りやす く 解説 した コーナーや番組 を視聴 した後 に理解度 チ ェ ック問題がある。 中心 となるコンテ ンツは, 学習内容 の解説で,番組 の流 れ に沿 った番組 の ス ク リー ンシ ョッ トと説明が掲載 されている。 2008年 か らこのサ イ トでス トリー ミング配信 され るようになったため,学習内容の解説ペ ー ジが省略 され ることになった。 これ までは放送 が主 でWebサ イ トやテキス トが補助教材 とい う形 であ ったが,放 送番組 がWebサ イ トで視 聴 で きる今 は,高校 講座 が放 送か らWebサ イ トに移行 した ことを物語 っている。 75和らtZ 瀬碧8耶Z㈱ こ照AJj 図2 NHK高校講座 「情報AJwebサイ ト

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神 奈川大学心理 ・教育研究論集 第29号 (2010年3月31日) 3.3 番組テキス ト 番組 テキス トは,放送前年 に番組委員が執筆 し,放送年 の

3

月に

NHK

出版 よ り出版 された。 テキス トは番組 に沿 った内容 になってお り,学 習の 目的,学習内容の解説,実習課題,学習の まとめ,の4つの項 目で構成 され,各回 4ペー ジにまとめた。「今 さら開けない基礎知識」「理 解度チ ェ ック」「モ ラル ・セキュ リテ ィについ て」 とい うコーナーを設 け.学習 をは じめるに あたっての基礎 的な事項の確認や簡単 な小 テス ト形式で学習の理解度 を確認で きる。 しか し, 番 組 の ス トリー ミ ング配 信 の 開始 に伴 って 2008年 を最後 にテキス トは休刊 とな り,番組 をみなが ら書 き込みで きるワークシー トな どは, webサ イ トか らダウンロー ドで きるようにな った。 4.研究 目的 と方法 本研究で は

,NHK

学 園高等学校 の生徒 たち に教科 「情報」の取組 み

やNHK

高校講座 「情 報

A

」の活用状況 を調査 し,そ こで得 られたデ ータか ら通信教育での情報教育の問題点 を整理 す ることを目的 とす る。学習状況 を明 らかにす るために,2度のア ンケー ト調査 お よびイ ンタ ビュー を行 った。2006年 11月に予備調査 を行 った上 で,2006年 12月 に情報 A履修者 76名 に対 し本調査 を行 った。結 果,63名か ら有効 回答が得 られた。その数は,2年生が 58名 (男 28名,女 30名),3年生が5名 (男3名,女 2 名)である。アンケー トのデー タを分析 した結 果 に基づ き理論的サ ンプリングを行い,比較的 学習 に前向 きに取組 んでお り,毎回スクー リン グに出席 した高校2年生 4名 (男子2名,女子 2名) に対 してインタビューを実施 した。イン タビューは, (1)学習 を継続す るための工夫, (2)「情報

A

」 の詳 しい学習状況 の2つの項 目 を含み半構造的に行 った。 4.1 調査項 目 調査 は4分野26項 目で実施 した。その内訳 としては,教科 「情報」の学習の取組みに関 し て

7

間,高校講座 「情報

A

」番組 に関す る評価 について8間,高校講座 「情報

A

」の教材活用 について6間,そ して高校講座 「情報

A

」の教 材全体 に関す る評価 について5問であった。調 査結果では,本研究で関連す る もの を述べ る。 4.2 調査結果 4.2.1 番組の視聴 とWebサイ トの活用 につい て

NHK

学 園高等学校 は,科 目履修 の条件 とし て放送番組 の視聴 を義務付 けている。 しか し, 実態 としては毎 回視聴 している生徒が30%で, 「ほ とん どみ る」 まで含 めて も60%程度であっ た。 そ して まった く視聴 しない生徒 が14% も い ることがわか った。一方,番組 Webサ イ ト の活用 につ いて は,全体 的 に認知 度が低 く, 「情報

A

」番組 Webサ イ トの活用 も大 変低 い 結果 となった。活用す るとい う割合 は 「よ く活 用す る」 を含 めて も32%であ った。全 く使 っ た事がない割合が41%にも及んだ。 表1番組の視聴 と Webサイ トの活用 毎 回み るほとん どみ る 半分 ほ どみ る まった くみ ない 合計 「情報組 の視聴A」番 19 20 15 9 63 割合 30% 32% 24% 14% 100% よ く活用す る 活用す る あ ま り活用 しない まった く使 わない 合計 番組 Webサイ トの活用 5 15 17 26 63 4.2.2 「情報 A」放送番組の評価 番組評価 と して は,すべ ての設 問 に対 して 80%以上の生徒 たちが 「良い」 と答 えている。 「とて も良い」 と評価 している割合が高いのは, 「取材 ロケ」「コンピュー タ演習」「司会 と講師 の対話形式」「番組 の雰 囲気」の4項 目であ っ た。評価 の低い もの としては,「番組の難易度」 「学習内容 の理解」 の2項 目が 目立 った もの と なっている。

(5)

知識が身に付いた 学習内容が理解で きる 番組の難易度が良い コンピュータ演習が良い 司会 と講師の対話が良い 取材 ロケが良い 番組3部構成が良い 番組の雰囲気が良い ri■ - III -0% 20% 40% 60% 80% 100% 口 とて もそう思 う ■ まあまあそう思 う 図3 番組 の評価 4.2.3 「情報A」学習の取組 み 番組視聴 後

,

「コ ンピュー タを使 って 自分 で 演習 をや ってみ る」 または 「勉 強 した ことと同 じテーマの番組 をみ る」 といった主体 的行動 の 割合 は20%∼ 30%程 度 に激減 す る。番組 以外 の教材 の利用度で最 も高 いのが検定教科書 と学 習 ノー トで890/0,最 も低 いのが番組Webサ イ トで30%程度 に とどまった。 学習 ノー トを活用する 教科書 を活用する テキス トを活用する Webサイ トを活用する 同 じテーマの番組 をみる 視聴後 自分で演習をやる OC/'0 200/0 400/0 60% 800/0 100% E3よくやる ■ まあまあやる 図4 教材別活用 の割合 4.2.4 番組視聴 と他 の教材活用 との差 の検定 番組 を視聴 してい る生徒 と視聴 しない生徒 と の検討 を行 うため,学習の好意度や教材 の活用 についてt検定 を行 った。その結果,教科 「情 報」 の好 意度 (亘67)-2.07,♪く05),番組Web サ イ トの活用 (扶61)-2.57,♪く05),情報Aテキ ス トの活用 (t(61)-4.59,9<.001)において,香 通信 制高校 にお け る情報教 育 の学 習調査 組 をよ く視 る生徒 の方が視 ない生徒 よ りも有意 に高い得点 を示 していた。ス クー リングの好意 度 については,得点差 は有意でなか った (t(67) -0.87,n.S.). 表2番組視聴 と他 の教材活用 の相関 番組 を視 る 番組 を視 ない 4段階平均 SD 4段階平均 SD t値 情報が好 き 2.81 0.58 2,5 0,65 2.07● ス クー リング が好 き 2.88 0.54 2.73 0.92 0.87 番 組イ トの活用Webサ 2.23 1.07 1.57 0.79 2,57 情報トの活用Aテキス 3.38 0.63 2.35 1.15 4.59…◆ .p<.05,十.'p<,001 4.3 インタビュー調査結果 本調査終了後,情報A履修者 の高校2年生4 名 に対 し,一 人20分程 度 の イ ンタビュー を行 った。質 問項 目と して

,

「番組視 聴 の理 由や継 続す るための工夫

「ス クー リング授業 の感想」 「自宅での コンピュー タ活用 の様子」 な ど8項 目で行 った。特徴 的な意見 としては以下 の もの があった。 ・勉強 に対 して不安 なので,毎 回番組 をみなが らちゃん と勉 強 してい る。 ・番組 をみ な くて もレポー トは書 ける しス クー リング授業 で も困 らない。 ・ネ ッ ト学習 をや ってい るので,高校講座が イ ンターネ ッ トに移行す ることは賛成。 ・大学進学 を 目標 としているので,受験科 目の 番組 は毎週欠か さずみ るが,そ うでない科 目 はほ とん どみ ない。 ・家でほ とん どコンピュー タを使 わないので, 高校 講座が イ ンターネ ッ トに移行す ることは とて も不安。一人で コンピュー タを使 えるか 心配。 ・インターネ ッ トは,人 との コミュニケーシ ョ ンが減 って冷 たい感 じがす る。 ・コンピュー タを使 えるので,ス クー リング授 業 はいつ も楽 しみ に している。先生か ら直接

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神奈川大学心理 ・教 育研 究論集 第29号 (2010年3月31日) 教 えて もらえることと友達 といっ しょに教室 で授業 を受けることが うれ しい。 これ らの結果か ら, コンピュー タの扱いを得 意 としている生徒 は,インターネ ッ トに移行す ることに関 して賛成 だが,そ うでない生徒 にと ってはこれ までの学習ス タイルか ら移行 してい くことに不安 を抱 えていることがわかる。 また, スクー リングに関 しては,直接先生や友達 と話 がで きる貴重 な機会 として捉 えている。 5.考察 これ らの調査結果 に基づ き,通信制高校生の 情報教育の問題点 について以下 に考察す る。 5.1 番組視聴 について NHK学 園高校 で は,高校 講座 の番組視聴 を 義務付 けているが,毎回 「情報

A

」 を視聴 して いる生徒 は3割で,ほぼ視聴 している生徒 を含 めて も6割程度であった。番組 を視聴す るとい う前提でスクー リングの減免措置が取 られてい るが,実態 はその要件 を満 た していない。番組 評価 に関 しては,番組内容 において も進行 に関 して も良好であることか ら,番組の質や内容が 要因になっている とは考 えに くい。インタビュ ーにあるように,番組視聴 に関 しては生徒 たち の学習 に対す る意識や取組みの差 によるところ が大 きい。大学受験 を目指 している生徒 にとっ ては,情報Aは受験科 目以外 の科 目として捉 え, 単位が修得で きれば良い と考 えている。 よって, 番組 をみな くて もレポー トが書 ける,スクー リ ングで困 らない といったことが,番組視聴の割 合 の低 さの要因 と言 える。 5.2 番組 Webサイ トの活用 について Webサ イ トが番組連動型 であ るに も関わ ら ず利用率が低 く,認知度 も低 い ことがわかった。 この調査 は2006年 に実施 した ものだが, まだ この時点では,生徒 たちにイ ンターネ ッ トを活 用 した学習ス タイルが浸透 していない と言 える。 しか しなが ら,2008年 か らス トリー ミング配 信が始 まったか らとい って急激 にWebサ イ ト の利用が増 えるとも考 えに くい。 5,3 学習の取組みについて 情報科 は実習 を伴 う教科 であ り,特 に情報A は情報活用の実践力の育成 に重点 を置いた科 目 として位置づけ られている。高等学校学習指導 要領では,全時間数の2/3を実習 にあてること を規定 している。通信制課程では対面授業が減 免 さjtることか ら実習時間数 をそのまま適用す ることはで きないが,科 目の 目的 を情報活用の 実践力 と置いている以上,実習の不足時間をあ る程度 は自宅で補 う必要があろう。 ところが調 査結果では, 自宅で コンピュータ実習 をやって いる生徒が2割程度であった。番組 を視聴 しな い4割の生徒 は,番組で どの ようなコンピュー タ実習 をや っているか もわか らないので 自宅で 何 もで きない。 よって教科書 と学校が用意 した 学習 ノー トといったテキス ト教材 だけで勉強す る しかない。番組 も視聴せず,対面授業 もほと ん どな く,学習 ノー トや教科書のテキス ト教材 を使 って一人で勉強 し続 けた として も情報活用 能力が身に付 かないのは当然である。イ ンタビ ュー調査 にあるように, コンピュータを操作す ることに対 して不安 に思 っている生徒 たちは, 番組Webサ イ トの活用や コンピュー タを使 っ た演習 を自宅でや らないのではな く, 自分 ひと りではで きないのであろう。 コンピュータ操作 に限 らず,学習 を継続す るにあたって生徒一人 一人へのサポー トの重要性が浮かび上が って く る。 6. ま とめ 通信制高校 での情報教育の実施 は,高校 の教 育 システムやNHK高校講座 の教材提供手段が イ ンターネ ッ トに移行す る中で,生徒 たちに情 報活用能力 を身につけさせ る重要 な教育 として 位 置づ け られ る。 しか し,本研 究 に よって, NHK高校 講座 の番組視聴が義務づ け られてい るに も関わ らず生徒 たちの番組視聴率の低 さや

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通信制高校 にお ける情報教育 の学習調査 番組Webサ イ トの活用 の低 さが明確 になった。 そ して, 自宅学習 として コンピュー タ実習 に取 組 む生徒 も少 な く,教科書や学習 ノー トとい っ たテキス トを中心 とした学習 に留 まってい る。 よって,教科 「情報」が 目指す3つの観点の育 成 とい う点で不十分 であ ることがわか った。 対面授業が少 ない通信制高校 で情報教育 を実 施 す るに は, そ の不 足 を補 う手立 て と して, NHK高校 講座 を視 聴 しなが ら自宅 で コンピュ ータを使 った実習 を行 うことや イ ンターネ ッ ト を活用 しなが ら学習 を進 め ることは大変重要で ある。今 回課題 として浮かび上が った,香級 を 視 聴 させ る工夫,番組Webサ イ トの認知 と充 実 な どは,通信 制高校 とNHKが一体 となって 解決 していかなければな らない。今後 の研 究課 題 と して, これ らの解決策 について具体 的に提 案す ることがあげ られ る。 参考文献 1)坂元昂等 :"初等 中等教育の コンピュータに 関す る教育の開発等 に関す る基礎 的研究", 東京工業大学 (1988)。 2)安藤俊明 ・林秀彦 ・皆月昭則 :"教科 「情報」 黍明期 における現場の取 り組み と展望",鳴 門教 育 大 学 情 報 教 育 ジ ャー ナ ル,Vol.4, pp.71-80(2007)

3)中野由章 :"近畿圏の高等学校 における教科 「情報」の現状 と課題",情報処理学会研究報 告,2005-CE-79,pp.17-24(2005)

.

4)文部科学省 :"平成20年度学校基本調査",

http://www.next.go.jp/b_menu/toukei/ 001/08072901/index.htm(2008)0 5)生田茂 :"教科 「情報」 における必履修科 目 の履修割合の変遷",筑波大学学校教育論集 第30巻,pp.7-13(2008)

6)小林裕光 ・堀口秀嗣 :"通信制高等学校 におけ る情報教育の実践 と問題点についで , 日本教 育情報学会第21回年会誌,No.21(20050820), pp.284-285(2005)

7)全国高等学校通信制教育研究会研究協議会 : "第3分科会 「情報

"

,第60回全国高等学校 通信制教育研究会研究協議会総会並びに研究 協 議 会 研 究 集 録 長 野 大 会,pp.142-179 (2008)

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