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祖父母にとって孫はどんな意味を持つ存在か−日韓データの分析を通して- [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)祖父母にとって孫はどんな意味を持つ存在か−日韓データの分析を通して− キーワード:祖父母と孫の関係、子ども世代との関係、主観的 QOL、孫の意味、日韓文化 行動システム専攻 趙 ヒョ廷 Ⅰ.問題と目的 近代化が進行するにつれて科学技術と医学の発達に. 中での祖父母―孫関係に対する心理学的注視の希薄さ は大きな問題であるといえるのではないだろうか。. より、死亡率の低下、平均寿命の延長が生じた。それ. もっとも、祖父母世代と孫との関係がこれまでの研. により高齢人口は急速に増加している。高齢化が急速. 究の中で全く問われていなかったわけではなく、祖父. に進行するもう一つの理由として少子化(出生率の低. 母が孫にとって、あるいは家族にとってどのような役. 下)が挙げられる。こうした高齢化社会の進行はまず、. 割・機能を担っているかということに関する研究は相. 家族構造と扶養の形態など、家族制度へ影響を及ぼし. 対的に多く、特に祖父母性(Grandparenthood)に焦点を. ている。また、医療、年金、社会福祉制度、雇用と退. 当てた研究は、祖父母であることに多様な意味を見出. 職制度など社会全般に大きな影響を及ぼしている。す. している(kahana&kahana,1971)。一方、孫を対象とし. なわち、現代の高齢者は社会的な変化の中で「どうす. た研究では、祖父母との関係が孫の発達にどのような. れば充実した生活の質(quality of life) (以下 QOL と略. 影響をもたらすかについて様々な角度から分析を行っ. す)が維持されるのか」が重要な課題になってきたので. てきている。特に大学生を対象として祖父母と孫との. ある。さまざまな立場から QOL を定義している中で、. 関係を研究するものが多いのである。しかし、孫の存. Campbell(1976)は経済的な豊かさをもっている人が主. 在および孫との関わりが、祖父母の QOL や well-being. 観的満足感や幸福感が高いとは言い切れないし、物理. にどのような影響を持ち得るかを明らかにしようとす. 的・経済的な劣悪が不幸な生活とは限らないというよ. る方向性はきわめて希少であると考えられる。また、. うな生活の質の主観的・精神的な福祉の重要性を考慮. 祖父母と孫は直接的な世代関係ではないため、祖父母. したと述べている。主観的 QOL に関するアプローチも. と孫の関係を問題にする際に祖父母と子夫婦(孫の親世. 報告者の専門や関心の違いにより多岐にわたっている。. 代)との関係が極めて重要になると考えられる。つまり、. 特 に 医 療 や 福 祉 の 分 野 に お い て 高 齢 者 の QOL や. 両親のイニシアティブが大きな影響力をもつことは、. well-being,適応の問題が盛んに議論されてきた。. 三世代の中間に位置する両親世代が[掛け橋](lineage. と こ ろ が 家 庭 に お い て こ そ 、 高 齢 者 の QOL 、. bridges: Hill et al.,1970)という性格を持っていること. well-being や適応が達成される必要があろう。そのた. を指摘できるのではないだろうか。特にこの傾向は孫. めには高齢者を取り巻く家族の関係が重要になると考. の年齢が小さいほど、強いのではないかと考えられる。. えられる。核家族化の進行により高齢者と若者の接触. それで、今回孫をめぐる子夫婦とのかかわりに対する. 機会が減少している現状を踏まえると、家庭内の高齢. 評価についても検討した。. 者と若い世代の関係は近年大きな問題として捉える必. したがって次のような仮説を設定した。 [仮説Ⅰ.祖. 要があるだろう。とりわけ、祖父母と孫の関係に重点. 父母の個人特性は孫の意味、孫の親(子ども世代)との関. を当てる必要があるだろう。寿命が延長したことから. 係、そして自分の主観的 QOL へ影響を与える。 ]・ [仮. 「祖父母」期間も 50 歳前後から始まって 80 歳前後まで. 説Ⅱ.孫との量的関係は孫の親(子ども世代)との関係と. 約 30 年間続くなど、長期化している。 それに呼応して、. 孫の意味、そして祖父母の主観的 QOL に影響を及ぼ. 生まれた子どもは、少子化の傾向が加速される中で、. す] ・ [仮説Ⅲ.孫の親(子ども世代)との関係は孫の意味. いわゆる希少価値としての「孫」としてのポジションを. と自身の QOL に影響を及ぼす] ・ [仮説Ⅳ.孫の意味が. 生後から少なくとも 30 年近くにわたって経験すること. 祖父母自身の主観的 QOL に影響を持つ]本研究の目的. になりつつある。それに従って、祖父母は孫が幼少期. はまず、これらの仮説を検証して孫の存在及び、孫と. から青年期、あるいは成人期に至るまで、複数の発達. の関係が祖父母の QOL にいかなる影響をもたらすか. ステージに亘り、孫とさまざまなかかわりを持つこと. (第 1 目的)、また祖父母個人特性というものと孫の親と. が想定される。このことを考えると、生涯発達過程の. の関係が孫の意味や主観的 QOL にどんな影響を及ぼ.

(2) すか(第 2 目的)である。さらに孫―祖父母関係は時代に. 数に有意差があった変数だけを示した。. よって、また地域や国によって異なることが予測され ることから現在の高齢者が持っている認識傾向を日本. 仮説Ⅰ.孫の親との関係、主観的 QOL そして孫の意味. と韓国で見ることも視野に入れることにした。. に影響を及ぼす祖父母の個人特性を明らかにするため. Ⅱ.方法. に孫の親との関係、主観的 QOL そして孫の意味をそれ 日韓の小学校 5・6 年生の孫を持つ祖父母. 調査対象. ぞれ従属変数とし、個人特性を独立変数とする分散分. 韓国、248 名、日本 217 名であった。このデータの中. 析を行った(table1~3)。. で一番頻繁に接している孫の学年が小学生で 65 歳から. ・祖父母の個人特性と孫の親との関係(table1). 80 歳までの祖父母のみ使用した。韓国祖父/祖母、63/82. 韓国の場合. 名(総 145 名)、日本祖父/祖母、57/62 名(総 119 名)だけ. 頻度そして健康満足度が有意であった。健康で経済的. のデータを使用した。. に満足し、社会的な活動にも参加しそして周辺の人と. 調査期間. 韓国で 2002 年 9 月、日本で 2002 年 10∼12. 経済満足度、人間関係満足度、社会活動. の付き合いにも満足しているほど孫の親(子ども世代). 月に実施した。. との関係が良いと評価していた。. 手続き. 学校を通して保護者に依頼し、祖父母に配布. 日本の場合 教育水準、経済満足度、人間関係満足度、. してもらった。回収は祖父母の用紙は用紙と一緒に配. 健康満足度が有意であった。経済的・健康的な面で満. 布した返信用封筒で送付してもらった。小学校以外は. 足し、周辺の人との関係も円満だと孫の親(子ども世代). 老人クラブの高齢者にも配布し回収は返信用封筒を使. との関係も‘良い’と評価している。また、教育水準. 用した。. が専門(短期)大学である祖父母が他の学歴を持つ祖父. 質問紙. 祖父母個人特性の 12 項目(年齢、結婚状態、. 教育水準、家族構成、経済水準と満足度、健康満足度、. 母より孫の親との関係を高く評価している。 Table 1. 話し相手、近所付き合い程度と満足度、社会活動水準 と頻度)他、孫と実際的な関係をみるため、孫との量的. 孫の親(子ども世代)との関係(従属変数) 独立変数. Korea. 関係の項目と(同居の場合は居住形態、孫の性別、孫と. japan. F値. p-value. F値. p-value. 教育水準. 1.21. 0.30. 2.9. *. 別居の場合は同居と同様な5項目に孫との居住距離、. 経済満足度. 2.85. **. 3.12. *. 孫と会う回数、孫の電話する回数の3項目を入れで 8. 人間関係満足度. 5.48. **. 8.43. **. 社会活動頻度. 2.49. **. 0.74. 0.56. 健康満足度. 3.21. **. 2.55. *. の血縁、孫の出生順位、孫の親の出生順位 (5項目)、. 項目を聞いた)、孫にどんな意味を持っているのかとい う質的関係を調べるため、田畑・星野ら(1996)が作った 孫・祖父母との関係評価尺度から 15 項目を採択した。 項目についてそれぞれ 5 件法で評価してもらった。ま た、「祖父母・孫関係のあり方は祖父母世代・親世代の 関係のあり方と関連がある」ということから祖父母に 対して孫の親(自分の子ども)との関係に関する 8 項目 と主観的 QOL(quality of life)を測定する方法として. p<.05* p<.01**. ・祖父母の個人特性と主観的 QOL(table2) Table 2 主観的 QOL(従属変数) 独立変数. korea. japan. F値. p-value. F値. p-value. 教育水準. 0.99. 0.41. 2.57. *. 経済満足度. 9.12. **. 8.16. **. が、信頼性を検討した。孫の意味の 15 項目は Cronbach. 人間関係満足度. 9.91. **. 6.53. **. の信頼性係数 α=.91 であり、孫の親(子ども世代)との. 社会活動頻度. 1.82. 0.11. 2.59. *. 関係の 8 項目はα=.82、主観的 QOL の 12 項目はα. 健康満足度. 8.07. **. 9.25. **. P.G.C.モラール・スケール(Powell Lawton、1975)の 17 項目から 12 項目を採択した。 使用した尺度は内的一貫性が検討されたものである. =.71 であった。ゆえに項目間の結集力が高いと言える。. p<.05* p<.01**. Ⅲ.結果と考察. 韓国の場合. 経済満足度、人間関係満足度、健康満足. 祖父母の個人特性と孫の量的関係、孫の親(子ども世代). 度が有意であった。. との関係、孫の意味、主観的 QOL について日韓祖父母. 日本の場合. 別々に仮説にそって検討していく。Table には各従属変. 人間関係満足度、健康満足度)加えて、日本では教育水. 韓国と同じ要因が有意であり(経済満足度、.

(3) 準と社会活動参加頻度も有意な要因であった。教育水. なした。また、祖母は一番接している孫の親が娘の場合. 準は QOL に直接的に影響を与えることも想定される. 高く評価していた。. が、活動や経済満足度といった媒介変数を通じ間接的. ・孫の量的関係と孫の意味. に影響を及ぼすことも考えられる。. 韓国の場合. 孫の意味は有意でなかった。. ・祖父母の個人特性と孫の意味(table3). 日本の場合. 祖母は韓国の祖父母と同様、有意ではな. 韓国の場合. か った が日本 の祖 父のみ 孫と の居住 形態(F=5.40、. 経済満足度、人間関係満足度、健康満足. 度が有意であった。. p<.05)、孫の性別(F=6.79、p<.05)、孫と会う回数(F=2.75、. 日本の場合. 家族構成と人間関係満足度が有意であっ. p<.05)が有意であった。つまり、孫と別居しているより. た。家族構成の中では有意差がながったものの平均値. 同居していって孫娘に関して孫の意味が高かった。別. を比べると娘夫婦(M=57.60)と住んでいる祖父母が孫. 居している孫に関してはやはり孫娘に対して意味が高. の意味を高く評価していた(一人暮らし、M=51.00;夫. く、毎日会うか、年に数回会う孫に意味を高く付与して. 婦のみ、M=47.96;長男夫婦、M=50.27;長男以外の. いた。. 息子夫婦、55.00;未婚の子ども、M=41.33)。. ・孫の量的関係と主観的 QOL. Table 3. 韓国の場合. 影響を及ばさないことが分かった。. 孫の意味(従属変数) 独立変数. korea. 孫の量的関係は祖父母の主観的 QOL に. 日本の場合. japan. 祖母は有意差がみられなく、祖父のみ、. F値. p-value. F値. p-value. 孫との居住形態に有意な差を示した。祖父は孫と同居. 家族構成. 0.58. 0.74. 2.22. *. しているとき自分の主観的 QOL を高く評価していた. 経済満足度. 2.54. *. 0.71. 0.58. 人間関係満足度. 4.27. **. 8.1. **. 健康満足度. 2.78. **. 0.57. 0.68. p<.05* p<.01**. (同居:M=39.65、std=4.70、別居:M=36.54、std=4.98)。 仮説Ⅲ.Ⅳ.孫の親との関係、孫の意味そして主観的 QOL がお互いにどんな関係であるのかを明らかにする ために相関分析を行った。. 仮説Ⅱ.孫の親との関係、主観的 QOL そして孫の意味 に影響を及ぼす孫の量的関係を明らかにするために孫 の親との関係、主観的 QOL そして孫の意味をそれぞれ 従属変数とし、孫の量的関係を独立変数とする分散分 析を行った。. 量的関係. 孫の意味、それぞれがお互いに対して祖父は.50 以上の 高い正の相関であった。祖母も孫の親との関係と孫の 意味が.58 の相関を孫の意味と主観的 QOL に.45、そし せた。よって、孫の親との関係が「良い」と孫に対する. Table 4 Korea. 韓国の場合 孫の親(子ども世代)との関係,主観的 QOL,. て孫の親との関係と主観的 QOL に.36 の高い相関をみ. ・孫の量的関係と孫の親との関係(table 4) 孫の. ・孫の意味と孫の親との関係と主観的 QOL. 意味も高く評価し、孫の意味を高く評価するほど、自. Japan. 分の主観的 QOL も高くなると言える。. 祖父. 祖母. 祖父. 祖母. F値. F値. F値. F値. 居住距離. 2.05. 0.02. 6.08*. 5.46*. QOL は.52、孫の親との関係と孫の意味は.54 そして孫. 孫の年齢. 1.78. 2.26*. 0.72. 0.2. の意味と主観的 QOL が.22 であった。一方、祖父は孫. 血縁. 0.01. 0.12. 2.73. 4.51*. の親(子ども世代)との関係が良いほど主観的 QOL も高. 会う回数. 0.69. 0.86. 3.39*. 4.22*. く(.53)、また孫の意味も高く評価すると主観的 QOL も. 従属変数:孫の親との関係. 日本の場合 祖母は韓国の祖父母と同様、3 つがお互い に高い相関関係を示した。孫の親との関係と主観的. p<.05* p<.01**. 高く評価していった(.40)。以上は 5%水準で統計的に有. 祖父は有意な因子がなかった。祖母は孫. 意差がみられた。しかし、孫の親との関係と孫の意味. の年齢のみ有意であったが年齢差による有意差は見ら. に関しては有意な相関をみせなかったものの.41 の高. れなかった(8∼12 歳)。. い相関をみせた。. 日本の場合. ・主観的 QOL に影響を及ぼす変数. 韓国の場合. 祖父母ともに居住形態と孫と会う回数が. 有意であった。祖父は同居している場合関係を良好と. 日韓祖父母の主観的 QOL がどのような要因によって. したものの祖母は別居している場合を良好であるとみ. どの程度説明されるかを明らかにするために、祖父母.

(4) の個人特性、孫との量的関係、孫の意味、孫の親(子ど. と考えられる。一方日本の祖父母は自分自身の健康を. も世代)との関係また、孫の個人特性、祖父母に対する. 重視していることがうかがえた。そして日韓祖父母に. 評価、そして祖父母と親との関係を説明変数とする重. 共通的に出た変数が孫の意味であり、祖父母の主観的. 回帰分析を stepwise−変数選択法−によって行った。. QOL に孫という存在の意味が重要であることを示唆し. 結果は日韓祖父母の説明変数中、説明力が高い順番に. た。しかし、日韓祖父母の標準偏回帰係数の高さから. 沿って示した。. QOL の説明力が高い要因の違いがうかがえた。. 韓国の場合 祖父は 2 個の有意な要因が検出された。. 韓国の祖父の場合は孫の意味、祖母の場合は周辺の. それは孫の意味(t=3.14、β=.435)社会活動有無(t=2.11、. 人間関係満足度であった。日本の祖父は孫との血縁、. β=.227)であった。祖母は 6 つの中、5 つが有意であ. 祖母は健康満足度であった。しかし、日韓祖母は周囲. った。説明力が高い要因順に並べると人間関係満足度. の人間関係や自分自身の健康から QOL を得ているこ. (t=2.98、β=.342)、社会活動有無(t=2.63、β=.288)、. とがうかがえた。一方、一番頻繁に接する孫に関して. 健康満足度(t=2.42、β=.267)、孫の性別(t=-2.15、. 韓国の祖父母は息子の息子(孫息子)を日本の祖父は. β=-.232)、孫の意味(t=2.04、β=.225)であった。. 娘の娘(孫娘)のことを想定して回答していた。したがっ. 日本の場合. 祖父は4つの要因が検出された。それは. て社会の変化により薄くなっている現象であるが韓国. 孫との血縁(t=-3.48、β=-.405)、健康満足度(t=2.76、. の祖父はまだ、Erikson が言った自分のライフサイクル. β=.330)、孫の意味(t=2.11、β=.251)、孫の親との. 継承の感覚を資することを意味する存在として孫に. 関係(t=1.54、β=.234)であった。祖母は 6 つの要因. 「イエ」を相続し代表となる跡取りの意味を付けている. が検出された。それは健康満足度(t=3.59、β=.441)、. と考えられる。また、日本の祖父にとって孫娘が意味. 社会活動参加頻度(t=3.35、β=.433)、孫の意味(t=3.13、. ある存在であるのかは孫娘の方がやや祖父母との交流. β=.408)、経済満足度(t=2.90、β=.320)、孫の出生. 度が多いということだけでは説明が困難であり、今後. 順位(t=-2.51、β=-.311) 、孫と電話する回数(t=2.09、. の検討が必要であろう。今回高齢者の性差は扱ってな. β=.238)であった。. いが QOL を説明する要因が異なったことは興味深い. Ⅳ.総合的議論. 部分であろう。. 本研究の対象は 264 名(韓国 145 名、日本 119 名)の日. しかし、調査対象がソウル近辺と福岡県に居住して. 韓の祖父母であり、全体的な男女比率は女性 54.5%で. いる高齢者に限定したことで韓国と日本の全体で一般. 男性が 45.5%であった。日韓祖父母の孫の親との関係. 化することはできない。このような限界をもつが高齢. や孫の意味そして主観的 QOL に影響を持っている共. 化社会が進行している社会で高齢者の生活の質を高め. 通的な個人特性は周辺人間関係満足度であった。した. る影響変数を家族関係、特に祖父母と孫との関係で探. がって高齢者にとって独自的な生活を営むために健康. して見る機会であったことで意義を持つだろう。そし. や経済的な面も必要であるが単なる接触より親密な関. て高齢者にも高齢者自身が子ども世代や孫世代との対. 係を維持することがより重要であることがうかがえた。. 話、余暇活動をしようとする意欲が必要であり、また. 本研究の主な目的は孫という存在の意味が祖父母の. 高齢者と子ども世代や孫世代と接触する機会を作り、. 主観的 QOL に影響を及ぼすのかであった。その結果、. 各世代に良い影響があることを認識してお互いに対す. 日韓両国の祖父母ともに孫の意味、孫の親との関係、. る肯定的な感覚を持つようにすることも必要であると. 祖父母の主観的 QOL が高い相関関係を示し、つまり孫. 思う。元々祖父母と孫の関係は本来双方的な関係が想. の 意 味 を 高 く 評 価 す る ほ ど 主 観 的 QOL (Powell. 定されるので今回扱わなかった孫のデータを取り入れ. Lawton の P.G.C.モラール・スケールを使用した結果). 研究を行うべきであると考えられる。これにより、血. も高く評価していることが分かった。また、もっとも. 縁で結ばれた祖父母と孫がお互いにどんな関係を結ん. 主観的 QOL をよく説明する説明力が高い要因を求め. でいるのかが明確になるだろう。また、孫に対する意. た。その結果、韓国の祖父母の共通的に検出された要. 味というのは孫を持っている高齢者だけではなく、孫. 因は社会活動の有無と孫の意味であり、日本の祖父母. がいない高齢者にとって孫がどのような存在であるの. では健康満足度と孫の意味であった。家族生活周期の. かも調べる必要があると思われる。. 変化、従来の家族形態や家族意識及び家族関係などが. 参考文献:Kahana&Kahana (1971) Theoretical and. 変化していくに連れて韓国の高齢者は色々な社会活動. research perspectives on grandparenthood. Aging. に参加することを通じて QOL を高めようとしている. and Human Development,2.

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