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一調理実習室の場合一 岩 崎 恭 枝*

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(1)

家庭科教育における設備の現状と問題点

一調理実習室の場合一

岩 崎 恭 枝*

(1989年9月9日受理)

ASurvey of the State of Cooking Equipments in Junior High School

Yasue IwAsAKI

(Received September 9,1989)

は じ め に

技術・家庭科という教科においては,「生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を通して,・・

・・…@理解を深め,進んで工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる」1)ことが目標とされて おり,実習を伴う授業の場合が多い。その際,その施設・設備が整備されているかどうかというこ

とは,指導や授業に対する子どもの興味・関心に大きく影響してくると思われる。

調理実習において,その効果をあげるためには,調理台の高さがちょうどよいかどうか,調理台 や床に十分スペースがあるかどうか,一班の人数,すなわち一台の使用人数が適切であるかどうか

といった条件が存在すると思われる。

調理台の高さは作業のやりやすさに大きく影響する。現在のように,同じ高さの調理台をそろえ るということは考え直してもいいのではないだろうか。調理台や床に十分スペースがあるというこ とは,動きやすくのびのびと実習ができるというだけでなく,ガスや熱湯やわれものを伴う危険性 をさけることができる。また,一台の使用人数が適切であるということは,一台の調理台を使う時,

動きやすいほどの人数でなければならないということであるが,それと同じように授業の参加度を 考えた場合,十分に参加できる人数でなければならない。つまりは,生徒たちが十分に働きやすく,

授業に参加しやすい環境をつくることが大切であろう。

また,技術・家庭科の指導書に,「献立の指導については,季節の食品や地域の食品について知        2)

驍ニともに……」という文章がある。食品に対する季節感が失われ,また郷土料理のようなものも 最近の洋風化などによってなくなりつつあることを改善しようとするものであろう。郷土料理など は,その地方地方での一種の文化のようなものであり,そういう文化をとり入れることも生徒たち が視野を広げる上で重要な要因となる。そして,生徒たちに昔の人々が自分たちの暮らしを切り開 きながら創った生活文化を学ばせることによって,これからの世の中を生きぬいていくための糧の       3)

謔、なものが培われていくといえる。そういったことを考えさせる場合にも,ビデオやスライドな

*茨城大学教育学部家庭科教育研究室.

(2)

どの教育機器類が重要な役割を果たすと思われる。

次に,「適切な食事の摂取の仕方や食事作法を総合して学習させ……」とあるように,調理実習 の試食は給食と同じように食事作法を学ぶ機会ともされている。しかし,スペースの点から試食を 調理台で行っている学校が多い。このことは試食台を兼ねる調理台の工夫が必要であることを示し ている。

ところで,調理室は何をするところかという疑問を投げかけた場合,即調理実習をするところと とう答えが予想されるが,しかし,食物教育という大きな枠の中で考えた場合に,はたして調理実 習に使用しているだけでよいだろうか。

食物分野を生徒たちが学習する際に,成長や健康と結びつけて考えることは大切であり,そのた めにも食物に対し,より関心や問題意識をもたせる授業を工夫すべきである。例えば,現代の食生 活で問題となっている,食品添加物,塩分のとりすぎなどにスポットをあて,実状はどうなってい るのかということを生徒たちの手で確かめるような機会をつくることも必要だろう。あるいは,米 は水と熱を加えるとどうして食べやすくなるかといった調理の科学的根拠の発見や理解は,生徒た ちが違った角度から食物を見るという意味で有効であり,そういった実験もぜひ取り入れられるべ きであろう。

このように,調理室は,調理実習を含め,食物分野を自分の目や手で確かめ,常に考え,視野を 広げていけるような多様な活動を保障する場となることが望まれる。

、      では,現在の調理室の施設・設備の実態はどのようであろうか。また,その施設・設備に対して 教育に直接携わっている教師たちはどのように感じているだろうか。このような問題意識から,中 学校の調理実習室に焦点をあて,アンケート調査を実施し,その問題点を探ってみた。

調 査 の 方 法

調査対象校は茨城県内の公立中学校で,その家庭科担当主任の教師に依頼した。依頼校数は223 校である。郵送により配布し,期間をおいて返送を待った。回収数は192校,192人,回収率は86.1

%であった。

調査期間は,昭和63年9月20日〜10月10日までの21日間である。

調査内容は,調理実習室の実態一一班の人数・班数・調理台数,調理台の形態,調理台購入時 期,調理台の配置,準備室の有無,備品の有無,試食する場所について一と,教師の意識一一 班の適切な人数,調理台に対する問題点や希望,生徒のやりやすさ,調理室の広さ,準備室につい て,特別教室との比較,取り入れたい備品について一である。

調査の結果および考察

1.調査対象者の概要

図1は教師の年齢,図2は担当年数についての結果である。教師の年齢では,40・50歳台の教師

(3)

11〜15年 22多(4人)

30歳代      31年

・…       −1・年

(16人)       a1%7

(15人)

20歳代      40歳代 2!〜25年 5年以下

255%      414箔i43人) (19人)ユ0.2彩 355彩(66人)

(79人》

16〜20年 118箔

(22人)

50歳以上      26〜30年

277 ラ6       285兜1

(53人)

図1 年齢       図2 担当年数 表1 年齢と担当年数

担当年数 5年以下 6年以上 11年以上 16年以上 21年以上 26年以上 31年以上 年齢 10年以上 15年以下 20年以上 25年以上 30年以上

20歳代 100

30歳代 66.7 33.3

40歳代 14.5 10.5 5.3 21.1 22.4 26.3

50歳代 5.8 3.8 11.5 3.8 61.5 13.5

(%)

をあわせると全体の3分の2以上にもなり,教師として「ベテラン」と呼ばれる人が多いことがわ かる。それに対し,30歳代が極端に少ないといえる。担当年数については,家庭科を担当してまだ まもない人と,家庭科を担当して20−30年になるという人が多く,その中間の人は年数がまちまち であることがわかる。

年齢と担当年数の関係を見てみると,だいたい年齢が高い人ほど家庭科を担当している年数は長 いということがいえる。しかし,40歳代や50歳以上をみてみると,担当年数が5年以下という人が 40歳代では14.5%,50歳以上で5.8%というように,教師歴は20〜30年でも家庭科を担当している 年数は少ないという人も多いことがわかる。特に,40歳代は,50歳以上が担当年数26年以上に75%

もいるのに対し,非常にばらつきがある。 (表1)

2 人数に関すること

図3は実習時の実際の一班の人数と,適切だと思う一班の人数を示したものである。実際の一班 の人数と,適切だと思う一班の人数を比べた場合,適切だと思う人数は,4〜5人といった比較的 少人数であるのに対し,実際の人数はそれよりも多く,5〜7人で調理実習を行っているという実 態がみられた。

また,適切だと思う理由を一班の人数別に見たものが図4である。適切だと思う班人数が3人の 場合,その理由として「人に任せることが少ない」というのが86%で最も多いが,5人や6人以上 の場合は「一人分の負担がちょうどよい」というのが多くなっている。人数を問わず,「一人分の 負担がちょうどよい」は高い値を示していることから調理実習をおこなう際に,一人分の負担を重

(4)

       (鮒

@      ユ

@      80

E人

D誓・人i・人1、こ・し・人i,。・../:/!     \    ㍉覧 \91

実際の一班の

A数    】15    424 314     126  21  40

人に任せることかな

…\   囎 噂・・…...陣.   ° ・一・・一.一.噸鴨㍉\『・

       20

K切だと思う一一班の入数 43    473        398    86

       い

S二二て二:=ごこ二》一く一獄欄財・         、      ㍉教師の目がいき届く

   0i紛      3人     4人     5人     6人以上

図3 実際の一班の人数と教師が適切だと    図4 適切だと思う理由 思っている人数の比較

視しようとする傾向があることがわかる。また,現実の家族構成に近いことや,7人以上になると 量が多く調理が大変になってしまうなどの回答もあった。

実習人数を変えて調理実習をおこなっても実習時間にはそれほどの差はない4)ので,人数が少な ければ,一人分の負担が重くなるということはありえないことがわかる。しかし,人数が多くなれ ば調理実習の参加度は低下するということはあるのではないだろうか。

適切だと思う一班の人数は,教師の年齢,担当年数の違いによる差はみられなかった。

調理実習を行う際の班の数では8班というのが最も多くなっている。(図5)実際の一班の人数 は学校によって,4人のところもあれば8人のところもあるといったように様々であったがそ の班の数はどのようになっているだろうか。結果は図6のようになった。これによると一班の人数 が多くなるほど,5・6班は多くなるが 7・8班,9・10班は少なくなるということがわかる。

つまり,一班の人数が多ければ班の数は少なくなり,一班の人数が少なければ班の数は多くなる。

だから,班の数が多いと一班は小人数になるため,調理実習への参加度が増し,一人分の実習スペ 一スが広がるカ㍉その反面,教師は目が届きにくく,授業がまとめづらくなるだろう。また,班の 数が少ないと一班の人数は多いため,調理実習への参加度が減り,等分して分担できない状態とな る。そういう意味から,班の数は,一班の人数というものを考慮しながら慎重に決める必要がある といえる。

7班1.6%

5班 9班 4.2

・鱒    i・・研戸:ヅ 畦:°畷i

4人   227   136       50.0         137 8班 1,/〆:ノ!        、  1

6班 5人   11.2       72.8       11」

260%        唖Sgi ●         P°・噂隔・。・.・_       噺軸、亀亀馬 2

6人     36.7       600

33i 、       ・『一.■「.・・°・齢一●P9・一顧。・_,__●_       婁

7人      87.5      83

42!      //  i

8人      80.0      20.0

図5 班数 図6 一班と人数と班数の関係

(5)

4台以下26%

5台05%

 丑10台

以上6

1、亨あ i・人1・人1・・い人i

8台 24i ノφ       @   !      ㌦    i       ㌔、

53】簿 5・6台     31.7      48.9         17.0 6台       嚇Q・       一㌔・㍉       、㌦『  3 2L4彩 7・8台49     47.6      409      6β

      鴨㌔㍉鮨     累i

9台以上         63.9       277   54 3ρ      (%)

図7 調理台数      図8 調理台数の違いによる 適切と思う一班人数の変化

3 調理台に関すること

調理室にある調理台の数の結果は図7に示すとおりで,およそ8台前後といえよう。しかし,「10 台以上」の回答が3.6%で7校もあった。調理台数と班の数は関連がみられた。また,班の数と一班 の人数との間には班の数が多ければ一班の人数は少ないという関係があった。さらに,調理台数 と班の数の問にも,調理台数が多ければ班の数も多いという関係があった。つまり,調理台が多 いほ拭班の数も多く,一班人数は少ないということがいえるだろう。

また,学校ごとの調理台数の違いによって,一班の人数は何人が適切かという教師自身の意識は 違ってくるだろうか。結果は図8のとおりである。つまり,台数が多い学校の教師ほ呂台数の少 ない学校の教師に比べて,一班の人数は少ない方がよいと思っているということがわかる。普段の 授業のそのままが自分の考えになってしまっているという傾向があるのではないだろうか。

次に,調理台の形態に関する結果は,図9の通りである。選択肢の中からすべてを選んでもらう ことにしたがその中で, 調理台に流しやガスの機能がついているかどうか,調理台の材質につい

調理台+ガス台+流し台 9n

流し台は別 2.1 3つとも別 3ユ

ステンレス張り 80.2

コンクリート

ガスコンロ2口 86.5

ガスコンロ3口 63

流しにふたができる 63.5

ガスコンロにふたができる 32.8

調理用具をすべて収納 35.9 すべては収納できない 55.7

そ  の  他 1.0

0 10 20  30 40  50  60 70  80  90 10D (箔)

図9 調理台の形態

(6)

昭吻1童俄りわ治

そω哩】1勉

昭和]30年代

】48渇

陥1、。蛾       特になし

昭鰍u年代      止面に      3δ5も呂Oあ      対し垂直 正面に ホし平行

332沁 問題点や 望あり 48.2あ 51.8彩

6b8噸 昭棉4(噂代

302あ

@        ,

図10 調理台の購入時期    図11 調理台の平行と    図12 問題点や希望の有無 垂直の配置の割合

て,ガスコンロの数について,流しやガスコロンにふたができるかどうか,調理道具を収納できる かどうかについての5つに分け,それぞれの中で比較した。図10は調理台の購入時期についての結 果である。形態を購入の年代別にみてみると,調理台にガスコンロと流しが組みこまれているもの は,流しやガス台が別になっているものに比べ,30年代のものでも圧倒的に多い。しかし,割合を 見てみると,50〜60年代ではほとんど100%であるのに対し,30年代は77.8%と少なかったことがわ かる。ステンレス張りのものは,上部全体がステンレスというのではなく,流しの部分だけがステ ンレスとなってきているようである。ガスコンロは年代を経るごとに少しつつではあるが 3口の ものが増えている。調理台の中で,一番の変化を見せたのがふたができるということであろう。こ

れは,調理台で試食をする場合には,必 表2 問題点のうちわけ 要条件であるということからの結果であ

・調理台が古い。 6.8 るともいえる。収納量をみると,新しい

調 ・収納部が少ない。 6.3 ものほど収納できるということが言える

理台 ・調理台が狭い 5.8

が,それにしても全体の5割の学校で収

自体 ・流しを広くしたい。

E流しやガスにふたができるとよい。

4.7

R.2 納できないという結果から,調理台です

に関

・すわった時,足を入れるスペースがほしい。 2.6 べてを収納させようと考えるよりも,戸

する ・オーブンがほしい。 2.1 棚や準備室などを工夫し,より生徒たち

・ベニヤ板がくさりやすい 1.6

が取り出しやすく,保管しやすい収納ス

・出し入れが不便である。 1.1

・ガラスの元栓の位置が悪い。 1.1 ペースを確保するということが大切にな

・調理台問がせまい。 10.5 るのではないだろうか。包丁は危険であ

・教師に対し,後ろ向きにならない配置がよい。 4.2 るため,あえて一ヶ所にまとめて保管し

・目が届きにくい。 3.2 ておくという学校もあった。

・台数をふやしたい。 2.6

・試食台がほしい。 2.1 調理台の配置については学校によって

するこ

・生徒の荷物を置く場所がほしい。 1.6 いろいろな配置がみられたが,大きく分

・内通路側がガス台になるほうがよい。 1.1 けて,正面に対し平行に置く置き方,垂

安全面 ・ガスの配管が床の上なのは危険 1.6

直に置く置き方の割合をみたものが図11

・蛇口を2口にしたい。

・流し台の深さが浅いため深くしたい。 4.7 である。ほぼ同数となったが,平行に置

・生徒の動線をもって短くしたい。などその他 く置き方の方が少しだけ多かった。年代

(% ) 別にみると,60年代になって,縦横,垂

(7)

直に3列という置き方が増えている。調理室のスペースをフルに活用でき,調理台間にゆとりがで きるためではないだろうか。

調理台に関して問題点や希望があるかどうかについてたずねた結果が図12である。また,年齢も 若く,担当年数も短い教師の方が,年齢が高く担当年数が長い教師に比べ,問題点や希望をもって いた。一班の人数との関係でみてみると,7人になると,問題点や希望を感じていもるのが8割近 くもいた。これは,調理台や調理台間が狭いなどといった問題点からもわかるように,一班人数が 多ければ,一人分のスペースも減り,調理実習に支障をきたすということへとつながっていると思 われる。購入時期との関連でいえば,60年代の新しい調理台では,約5割の人は特になにもないと 答えているが,30年代では,約8割の人が問題点や希望をもっていた。

表4は,問題点や希望の具体的内容を示したものである。

4 実習時のやりやすさについて

実習がやりやすいか,そうでないかということは,教師の指導や生徒の実習への参加度や集中度 に大きく影響するものと思われる。そういう点から,調理台数や調理台の形態,購入時期,配置,

一班人数など,いろいろな方向からみて条件が違えば,やりやすさにどのような影響をおよぼすか について調べた。

まず,生徒が調理実習をやっているのをみてやりやすそうであるか,教師の意識を調べた。その 結果,やりにくそうと答えた教師は40.4

%,どちらともいえないと答えた教師は

゜ 1。2・3・4D 5・6・7・8。9・1・・(彩) 33.9%,やりやすそうと答えた教師は,

くやりやすそう〉

調理台の高さがよい 肥1      25.7%であった。

動 き や す い 553

床にスペースがある 383      また,どうしてそう思うかという理由

調理台にゆとりがある 234

について答えてもらった結果が図13であ

〈やりにくそう〉

調理台にゆとりがない 616      る。

動 を に く い 479

床にスペースがない 479       教師の年齢との関係では,年齢が若い

調理台が低い 82

教師の声が聞こえ1こくい 6B      ほどやりにくそうと感じている教師が多

調理台が高い 14

そ  の  他 137       く,年齢が高くなるにつれ減り,反対に

〈どちらともいえない〉 やりやすそうと感じている教師が多くな

床にスペースがない 489

調理台にゆとりがない 362       っている。やりにくそうと感じているの

調理台の高さがよい 234

教師の声が聞こ凡にくい 17・      が若い教師に多いというのは,年齢が若

動 き や す い 85

動 き に く い 64       い教師の方が「問題点や希望がある」の

調理台が低い 64

床にスペースがある 4      割合が高く,このような若い教師の問題

調理台1ζゆとりがある 2」

そ  の  他 85       意識の高さが反映している結果であろう。

反面,若い教師はまだそれらの設備にな 図13やりやすそうかどうかを判断した理由   れてなく,年配の教師は慣れてしまって

いる,ということも言えよう。

一班の人数との関連でいえば,一班の 人数が多いほどやりにくいと感じるよう

(8)

i・・一守・・そ☆ら一i i・1讐1一そ・ヒ1ら i

4人    46      27    27    昭和30年代 8     68       24

       、      ノ       ; G      .,.・・一      , /       1       :         〆

5人    26       38         36         40年代  15        50       35

      価

堰@              、        1      魅 ㍉・        6人     24         42      34       50年代     31        28      41

;  //         ・      3       一 一….  \      i

7人以上  11        56      33         60年代       55         15     30

@       (%)

図14一班人数とやりやすさの関係      図15購入時期とやりやすさの関係

である。(図14)これは,やはり一班の人数が多いと一台の調理台においての行動範囲が狭くなり,

動きにくくなり,やりにくそうと感じているその理由とも一致するものである。さらに,調理実習 の参加度を考えた場合,一人分の仕事が少なくなり,一人一人が集中して実習を行えなくなるとい

うことからやりにくそうと感じるのであろうと思われる。

調理台数との関連でいえば,調理台数が多いほどやりやすそうと感じている教師の割合は増加し ている。やはり一班の人数が少なくなるためと思われるが,それと同時に,一班での調理する量も 減るため,例えば包丁などの一部の調理道具の数が減り,収納しやすく,整理しやすいという利点 などもあるためではないだろうか。また,このやりやすそうかどうかと,一班の人数,調理台数の 関係は,調理台や設備に対する問題点や希望の有無と,それとの関係によく似ている。つまり,や りにくそうと感じている教師は,同時に設備に対する問題点や希望をもっているということが言え

る。

調理台の形態との関連では,全体を通してみて,やりにくいと感じるのは,調理するところと流 しやガスが離れている場合,また,調理台がコンクリートの場合で,ガスコンロの数や調理道具の 収納量はそう大きくはやりにくさに関係していないことがわかった。

調理台の購入時期との関連では,30年代のものではやりにくそうと思っている教師が68%もいる のに対し,60年代では15%と少なくなっている。(図15)

調理台の配置との関連では,縦横,垂直3列の配置のみやりやすさの肯定がみられた。問題点や 希望も他の配置に比べ少なかったことからもわかる。

5 調理室の広さについて

調理室の広さはどういう傾向をもち,どういうことに影響されているだろうか。まず,調理室の 広さについてだが,実際の広さを知るには測定してもらう手間がかかり無理だろうと判断し,広い

と思うか狭いと思うかというふうに教師自身の意識について調査した。

「狭いと思う」と答えた教師が49.0%で約半数を占めた。また,「ちょうどよいと思う」と答え た教師は42.2%,「広いと思う」と答えた教師はわずか8.8%であった。また,そう答えた理由は 図16に示したが,この結果から,広さに対する意識は,床スペースの広さや実習時の動きやすさ,

一クラス全体の人数などに影響されていることがわかる。広いと思う理由に,教師の声が聞こえに くいことがあげられているが,実習中は特に騒々しいということもあり,作業に入ってからは説明 をつけたすことのないように,作業に入る前の生徒の静かな導入の時をうまく活用するなど,聞こ えにくさをカバーする工夫が必要であろう。

(9)

次に,調理台数と広さの意識との関連 では,調理台数が多いほど「ちょうどい い」「広いと思う」と答えた割合が高く

゜ 1° 2°3°4°5° 6°7° 8°椥  なっている。(図17)これは,調理台数

く狭いと患う♪

床スペースが少ない 74・7      が多いならその分だけ調理室も広いとい

動 き に く い 440

人 数 が 多 い 33.・       うことを示しているといえる。

そ  の  他 4      調理台の購入時期との関連では,新し

、、ちょうどいいと思う〉 いものほど「狭いと思う」という割合が

動 き や す い 690

床スペースか多い 27・6      少なく,昭和60年代では「ちょうどよい

人数か少な い 138

そ  の  他 34       と思う」教師の割合が7割近くにもなっ

〈広いと思う〉 ている。(図18)

声かきこえにくい 5ag@      20〜30年代の調理室が狭いと思う理由

床スペースが多い 471

動 き や す い 471@       のひとつには,被服室と兼用で使用して

人数か少ない 23.5

そ  の  他 59       いることがあげられる。昭和38年の学校

施設に関する法律の施行5)によって特別

      教室に対する考え方も変化してきたもの図16 広さについて判断した理由

と思われる。また最近では,ゆとりであ るとか,のびのびとした環境の大切さが 浮きぼりにされ,それが広さへも影響し ていると思われる。

…i 狭」

c

岨劉醜璽i晶理肇餓辮姦難較し塒

4台以下 60       40

,      \.、    ハ   どういうところが違っているか,あては

5°6台@    71       24 5  まるものすべてを選んでもらった。その

.,,.一・・

@     ノ

7・8台 48       45   7  結果が図19である。

9台川, @26  河 … 56    !ii l   結果からいえることは,他の特別教室

㈲  に比べ,調理実習室の備品や設備の不十 図17調理台数と広さに対する意識の関係    分さである。また,その他として,他の 特別教室に比べ床スペースが狭く動きに

㌦、思う…。。う加。思,…_う… くいとか北側の教室で寒いなどの意見

i     ㌧噂〜馬 ・・一_. L\・㌦.』  ;  もみられた。

昭和3°年代    593      296  n」   教師の年齢による意識差については,

;      !       駒ら   客      σ

40年代    545      3α4   9ユ  教室の広さ,活動のしやすさについては

  …       /          差はあまりみられなかったが調理台に50年代      47」      42.9     10.0

1    ・           、 ;  ついての問題点や希望,調理実習のやり

60年代   259      667         72

㈲  やすさの意識と同じ傾向で,若い教師ほ 図18建築時期と広さに対する意識の関係    ど他の特別教室に比べ備品や設備が不十

(10)

@       (幾

@      70

̲ 、し \

O  lO  20  30  40  50  60(影) 噛馬\

60

辱・\

240 、,   、

@   、

狭     い 203      50 オ/へ\_.一灘が禰

同じくらいの広さ 505    ㌔j    \

㌦      馳、9      隔

@   \

移行するのに遠い 193 、、、  \      、

30 \  \\翠・・締・       、

活動しやすい 19.3      20      、A、・.

活動しにくい 18.2 ・モこ...一一一婆い

@   暗い感じ

10 \、、 、rも

備品が豊富 57       0 、㌔ ?ョしにくい

備品が不十分 474 30     徽}    50     60(年代)

設備が行き届いている 47 図20他の特別教室との比較の年代別変化

設備が不 ←分 448

明るい感じ 354 分であると思っている。

暗 い 感 し 240

次に,建築時期と関連してみたものが図20であ

わ㌧・ な ・ 05@       る。建築時期が古いものほど調理室が他の特別教

そ  ヒ  他

室に劣っていると考えている教師の割合が高い。

図19他の特別教室との比較     つまり,建築時期が古いほど,特に理科室などの 特別教室に比べて調理室は重視されていなかった ということが言えるだろう。しかし,備品の点においては,他の特別教室に比べ不十分だと考えて いる人は,建築時期が古くても,最近のものでも,変わらずに多いことがわかる。また,調理実習 がやりやすそうと答えた教師でも,備品,設備に対しては約4割の人が他の特別教室に比べ不十分 であると思っている。

7 備品について

具体的な備品についてどのくらいそろっているか,またそれに対し,新たに取り入れたい備品は どのようなものかについて調べた結果が図21である。

それによると,黒板,冷蔵庫,食器戸棚などは9割以上の学校でそろっているが,少数ながらも ない学校があった。また,教育機器類をみると,1・2割の学校でしかそろっておらず,そのかわ り,新たに取り入れたいものとして,特にテレビなどは関心があることがわかった。しかし,数字 的にはそれほど高くなく,調理室への教育機器導入にはあまり関心がないといえる。しかし,調理 室は,調理実習のためだけのものではなく,食物教育全体にかかわる場とすれば,例えば,授業中

に実際にはできないような食物に関する内容を映し出したりするなどを可能にしてくれるものとし て,教育機器は重要な役割をはたすものではないだろうか。

その他に取り入れたいものとしては,電子レンジ,ワゴン,教師用の調理台等があった。ほとん どの学校では,教師用の調理台はあると思うが,示範のために使われる機会が多いので,教師にと っては示範しやすく,生徒にとっては見やすい調理台であることが望まれているのだと思う。

また,計りやざるなどの比較的小さい備品は,ひととおりそろっていても,古くてこわれやすい とか使いづらいなどという意見が多く,不足しているのとはまた違った問題点のあることがわかっ

(11)

(影)!oo 9e     80    70     60    50     40    3〔}    20    】0

O      U 10  20  30  40  50  60紛

995 黒   板

920 冷 藏 庫 6.3

941 食器戸棚 40

802 換 気 扇 12.6

73.8 オーブン 】2.6

4.8 温 水 器 333

20.3 O H P 23.6

1L2 テ  レ ビ 43」

2L4 スクリーン 167

すでにある備品 新たにとり入れたい傭品

11 実物映写機 12.6

37 スライ ド 63 そ の 他 34

図21すでにある備品と新たに取η入れたい備品

た。建築時期が最近のものほどやりやすかったり,調理台の問題や希望が少ないなどの傾向があっ たが,それと同じように,備品も,建築時期の最近のものほど充実している割合が高いようである。

8 試食場所と準備室について

試食場所は,図22のとおりであるが,実際は調理台で試食していても,それに対し,不満をもっ ている教師はすでに調理台に問題点や希望のところでみたように,多いといえる。しかし,試食す るためだけのスペースはなかなか確保できないというのが実状ではないだろうか。それなら,座り やすくするなどの調理台自体の形の工夫が必要であると思う。

準備室については,「ない」という学校が57.6%で,「ある」の47.4%より多いという結果であ った。しかし,これは調理室専用の準備室の場合であり,ないと答えた中には被服室と兼用ならあ ると答えた学校もあり,準備室自体の割合はもう少し多くなると思われる。

調理室を移勤して 4.2粥

調理台 0    10    20    30    40    50    60    70    80    9e    100(興5)

以外のテ 匁ある方がいいと思う〉

一ブルで 備品・教材がおげる 88.2

10.4%

授業の準備ができる 68.6

そ  の  他 0丘

くない方がいいと思う〉

教室が広い方がいい 750

調理台で 調理室で収納は十分 25.0

そ  の  他 5D 85.4影

図23準備室がある方,

図22 試食場所       またはない方がいい理由

(12)

準備室があった方がいいとする教師は圧倒的に多く,9割を占めた。また,その理由は,図23の とおりであった。準備室の有無は学校規模に影響され,大規模校では半数以上の55.5%の学校に,

       6)

?K模校では42.7%,小規模校では15.5%しか設置されていなかった。

ま  と  め

アンケートの結果からわかる調理室の実態やそれに対する教師の意識について述べてきたわけだ が,実態としては次のような傾向がみられた。

人数に関していえば,一班人数は平均5人程度で,これらは調理台数に大きく影響されているこ とがわかる。

調理台に関しては,調理台数は,教師自身の一班人数に対する意識にも影響し,班数を決める上 での目安ともなっていることがわかる。そして,調理台数は,比較的多い方が一台あたりの使用人 数が少ないという点でやりやすそうであり,のびのびと実習ができ,また一人分の負担という点か

らも,だれもが実習に参加できるという利点があるということがいえよう。また調理台の形態は,

年代によって大きく違っており,新しいものは比較的使いやすく,問題点も少ないことがわかった。

さらに,調理台に対する問題点,調理実習のやりやすさに対する意識備品や設備に対する不満 など,年配よりは若い教師の方が問題意識が高いという傾向であった。

生徒にとってやりやすい条件を整えること,調理実習という狭い視点でなく,食物教育という大 きな観点から調理実習室を吟味し,場を整えていくことがこれからの食物教育の授業の効果をあげ ていくためにも必要と思われる。

1)文部省  『学習指導要領,技術・家庭科編』 平成元年,7頁.

2)同 上,94頁.

3)桑畑美沙子 『食べ物を考える』 (人間選書)(農山村漁村文化協会,昭和62年)23頁.

4)新福祐子,大野久美子  「家庭科施設・設備に関する研究」 『日本家庭科教育学会誌』15号,1976年.

5)義務教育学校施設費国庫負担法,昭和61年5月最終改正.

6)生徒数900人以上を大規模校,400人以上900人未満を中規模校,400人未満を小規模校として考察した。

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