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実態調査から 岩 崎 恭 枝・高 木 貴美子*

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(1)

教員・養成大学に勤務する婦人教官の産休に関する 一考察

実態調査から

岩 崎 恭 枝・高 木 貴美子*

牧 野 カツコ*㌔宮 本 みち子***

(1982年10月31日受理)

は じ め に

既婚婦人の職場進出の増加に伴い,有職者の出産が増加している。しかし,乳幼児をもつ婦人が 育児に対する責任を果しながら職業生活を続けることには大きな困難を伴っている。こうした状況 から,昭和47年には,勤労婦人福祉法11条により育児休業の実施が事業主の努力義務とされ,これ に基づき育児休業制度の普及が図られてきた。さらに昭和50年には, 「義務教育諸学校等の女子職 員及び医療施設,社会福祉施設等の看護婦,保母等の育児休業に関する法律」が制定され,国公立 の幼稚園,小・中・高等学校,病院,社会福祉施設等に勤務する婦人の教職員,看護婦,保母等に 生児が満1才になるまでの期間を限度とする休業が保障された。昭和51年度の文部省の調査によれ

ば,小・中・高等学校および盲・聾・養護学校の満1才未満の子を有する女子教育職員の24%が育 児休業をとっている。この比率は年々増加しており,この制度が働く婦人にとって必要なものであ

ることを示しているといえよう。

しかるに,大学ではどうであろうか。現在,教員養成大学に勤務する婦人教官は600名を越えて おり,そのうち,100名以上の人が出産休暇をとった経験があると推定されうる。教大協第二部会 家庭科部門では,かねてから「教員養成大学婦人教官の産休期間中における補助教官に関する要望 書」を作成し,文部省等に予算措置の要求を続けてきた。今後,各方面への働きかけを行うにあた

り,教員養成大学に勤務する婦人教官の産休の実態および産休期間中の授業などの措置の実態を示 す具体的資料が必要であると思われる。

そこで,本調査は,こうした実態とともに,産休期間中の対応措置に関する意識をも含めて明ら かにすることを目的として行われたものである。

1 調査対象および方法

調査対象者は,教員養成大学(学部)に勤務する婦人教官(助手を含む)全員約600名であり,

昭和55年度大学職員録より抽出した。

調査方法は,各大学1名に配布・回収を依頼し,郵送にて返却してもらった。

調査時期は,昭和56年7月から8月にかけてである。

*群馬大学教育学部  **横浜国立大学教育学部  ***千葉大学教育学部

(2)

94      茨城大学教育学部教育研究所紀要15号特集(1983)

皿 調査結果の概要

表1 調査対象者数および回収数 図1 年  齢      図2 未婚・既婚・出産経験の 対象 有無

メ数 回収数 回収率 無回答17%P・2・      細II答14%(4

人   %

家政科 278 167 60.1 29歳以卜

88%

その他

フ学科 323 118 36.5

50歳以【    〔25)      30、34載

A   聯

既婚

講(94》

出埠経験f1

601 285 47.4       35、39畿45−4噛 罪,1野  。。

140%       出霞経験無168%

      (48)(40}   40〜44儀

lo 9%

表2 所属学科 147%       (31)k42)

家  政  科 167人(5&6%) (  )内は人数      {  )内は人数

国  語  科 5  q.8)

英  語  科 4  (1.4)

社  会  科 5  (L8) 図3 勤務年数     図4 非常勤講師による代行体験 理    科 8  (2.8) 無回答14物(4}      測 1答07%く2)

数  学  科 2  (0.7)

あ り

音    楽 20  (7.0) 3{1以卜 1[}9%

20ぢ1以1 (3D

美    術 3  (1.0) 225肪

1認、%

く64)

体    育 20  (7.0) 3〜6fl

15、20句 175%

教育・教育心理 12  (4.2) 84%(24) 〔50)

特 殊教育 9  (3.1) 1〔}〜15{1        な しU、巨〕角       884q≦

そ  の  他 29 (10.2) 1麟 1蹴        (252

無  回  答 1 (α4)

285 (100) (  )内は人数      (  )内は人数

表3 代行経験ありと答えた人の内分け 1.有効回収数および回答者の属性 1コマ 2コマ 3コマ 4コマ 無回答 合計 教員養成系大学全国53大学のうち,

産休のとき 2人 6人 0人 0人 3人 11人 1名の回答もなかったのは,4大学で 病気のとき 3 1 0 0 2 6 あった。調査対象者および有効回収数 国内留学のとき 3 2 2 0 3 10 は表1のとおりである。表2は,回答

国外留学のとき 1 0 0 1 2 4 者の所属学科を示している。回答者の 合   計 9 9 2 1 10 31 属性は,図1,図2,図3に示した。

また,図4に示したように,非常勤に よる代行経験のある人は,約10%,31名であり,この31名の代行経験者の内分けを示したのが,表

3である。

2.産休の実態

教員養成大学に勤務してから産休をとった経験のある人は,1回38名,2回49名,3回17名,合

(3)

図5 産休経験の有無   この104名のうち,11名が非常勤講師によって1コマ以上代行して

無回答04%(1)

もらっており,その比率は10.7%である。しかし,2回以上産休を

3回以圭. とった人が66名おり,産休のときに非常勤講師に代行してもらえる

ある

60% 比率はさらに下がるといえよう。

2回ある 〔17}

172% 産休期間は,産前産後合わせて規定の12週間の人が最も多く,11

(49) ・度もない

632% 週と12週の人を合わせると産休取得者の51%である。しかし,なか

1回ある         (180)

133% には,6週間以下,とらないという人もあり(表4参照),こうし

〔38)

た人々には50代以上の人が多く,現在以上に産休に対する厳しい雰 囲気が感じられた。

、哨は人数      産休期間の長さについては,産前6週間をちょうどよいとする者 が約半数,短いとする者が約 30%,これに対し,産後6週 図6 産休期間の長さについて      表4 産休期間

間をちょうどよいとする者は

(出産経験のある153名のうち)

1回目 2回目 3回目 約10%しかおらず,約76%の

外円は舜後6遇問 ノついて

06%(D 内円;姻前6週間

ノついて 3〜5週間 3人 6人 2人 者が短いとしている。これは

1吊} 6〜8週間 22 11 3 母体からだけの問題ではなく,

18%

91% 124蛎〔14) (19)1! 9〜11週間 18 9 2

産後は保育も加わることによ

12週 間 43 27 4 る大変さから,延長を求めて

4誹 3&1,%

@ 765%

13〜16週間 5 4 0

いる人が多いようである。

(117) 無 回答 13 9 6 3.産休期間中の授業の措

104 66 17

産休期間中の授業について Eコ]kい 〔コち・ ・ど・・   は,回答者96名のうち,約60%の人が自分で1部または全部を補

[コ短・ 〔コ酬答・その他  講している。また,学科内の他教官に1部または全部を代行して

(哨臥数@       もらった人が23%,開講しなかった人が22%であった。これをの ベコマ数でみると,総数274      コマであり,そのうち,64%

表5 産休期間中の授業の措置

が産休取得者自身による補講

1コマ分 2コマ分 3コマ分 4コマ分 5コマ分 6コマ分 7コマ分 のベコマ数

1部を自分で補講 7人 4 人 8 人 9 人 5 人 4 人 0 人 37人 124 マi446戸 でおぎなわれ,13%が他教官

全部を自分で補講 10 3 2 1 3 1 1 21 54 (197) によって,7.3%が非常勤に

1部を非常勤諺師で 2 3 0 o 0 0 0 5 8  (29) よって代行された。また,15

全部を非常勤講師で 2 3 0 1 0 0 0 6 12  (44)

1部を他教官が代替 6 4 2 0 0 0 0 工2 20  (73) %弱がその学期,開講されな

全部を他教官が代替 4 6 0 0 0 0 0 10 ユ6  (58) かった(表5参照)。

開 講 し な い 8 6 3 3 1 0 0 21 40 (146) 4.産休期間中の非常勤講

274 GOO)

師による代行についての 意識

次に,産休期間中の非常勤講師による代行をどのように考えているのかを知るため,以下の5つ の選択肢の中からもっとも近い考えを1つ選んでもらった。選択肢の内容は,次のようである。

1.研究者の仕事は他の人が代替できる性質のものではないから,非常勤講師などで代えるべき

(4)

96      茨城大学教育学部教育研究所紀要15号特集(1983)

ではない。

2.研究者の仕事は他の人が代替できる性質のものではないが,授業は非常勤講師で代えても仕

3.産休は婦人労働者の権利だから,授業はできれば非常勤講師が代わった方がよい。

4.産休は婦人労働者の権利だから,授業は全面的に非常勤講師に任せられる条件が整っている べきだ。

5.その他

これに対し,「研究者の仕事は他の人が代替できる性質のものではないから,非常勤講師などで 代えるべきではない」という反対論者は全体の4.2%,「授業は代えても仕方がない」が最も多く

44.9%,「できれば非常勤で」が15.8%,「全面的に非常勤の体制を」が26.0%で,反対論はきわ めて少く,消極的・積極的賛成者が86,7%にのぼった(図7参照)。

これを未婚・既婚,出産経験の有無別で見ると,出産経験のない既婚者に反対論が多く,およそ他 の3倍である。また,年代別にみると顕著な差があり,30代にもっとも反対論者が少く,50代以上 のものの3分の1であり,20代・30代は「全面的に非常勤の体制を」望んでおり,20代では44%に

ものぼっている。年齢が上がるにつれて,この積極的賛成論者は減り,50代以上では,20代の約4 分の1になっている。この分,「授業は代えても仕方がない」という消極的賛成論者が年代が上が

るにつれて増えている。(表6−(1)参照)

その他の意見としては,1と2の中間,研究者の仕事は他の人が代替できる性質のものではなく,

代われても一部でしかなく,できるだけ本人が望ましいという意見,2であるが,「授業は代えて も仕方がない」ではなく「授業は代えてよい」という意見,4ではあっても,研究者の仕事は他の 人が代替できるものではなく,非常勤講師に任かせるかどうかは個人の選択によるという意見,意 見としては4もみとめられるが,大学の場合義務制と違い現状では不可能ではないかと思うという

ことで1とされている意見,代替できる人があれば代替もいいがという意見,などがみられた。

次に,「あなたの所属する学部では,もしも出産予定の婦人教官が産休期間中の非常勤講師の採 用を希望した場合,容易に認められるでしょうか。それとも困難でしょうか。あなたの感じでお答

図7 産休中の対応について  図8 産休中の非常勤代替の可能性  図9 産休中の学科内での代替の 可能性

非常勤で代える      全部がみとめ

◎べきでない ↓ られるだろう      ほとんと代わってもらえる

その他  42%       その他 35 11彫(3)

無回答  (12)      無回答 (10)      その他 無回答 91%       123% 2〜3

コマくらい       98彩

(26)       (35)

全面的に      授業は

嘱ァホの体制を      非常勤も仕方(28) 一部を

ない 代わってもらえる

260% 1コマくらい ほとんど

(74)       449% 認められないだろう    186% 代われない 407彩

(53) (】16)

(128)

できれば      488% 484粥

代わる方がよ

1謝

( )内は人数      ( )内人数

( )内は人数

(5)

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(6)

98      茨城大学教育学部教育研究所紀要15号特集(1983)

え下さい」という質問をした。選択肢の内容は以下のとおりである。

1.担当中の授業(コマ数)全部が認められるだろう。

2.希望する授業(2〜3コマ)全部が認められるだろう。

3. 1コマ分くらいは認められるだろう。

4.実際問題としては認められにくいだろう。

これに対し,産休中非常勤講師の代行を希望すれば認めてもらえると思っている人は38.9%で,

約半数の48.8%は1コマも認められないだろうと予想している(図8参照)。

これを未婚・既婚,出産経験の有無別にみると,出産経験のない既婚者は,他の約2倍多く,全面 的に認めてくれるだろうと思っているが,無回答も約2倍と多い。未婚者と出産経験のある既婚者 はほぼ同じ傾向を示している。

また年代別にみると,20代・30代には,全面的に認めてくれると思っている人は1人もいず,40 代・50代に6%いるのと比べて,かなりきびしい予想をしている。 (表6−(2))

●  ●  ●  ●  ●

次に,「あなたの所属する学科では,もしだれか出産予定の教官があるとして,産休中その教官 の授業を他の教官が代って受けもつことが可能でしょうか」と質問した。選択肢の内容は以下のと おりである。

1.担当中の授業のほとんどを他の教官が代われるだろう。

2.1部の授業を他の教官が代われるだろう。

3.他の教官はほとんど代われないだろう。

4.その他

これに対し,他の教官に代わってもらえると考えている人が41.8%,代われないと考えている人 が48.4%で,代われないと考えている人の方が若干多い。(図9参照)

これを年代別にみると,若い世代ほど代わってもらえると考えているのに対して,年齢が高い人 ほど代われないと考えている人が多かった。未婚・既婚,出産経験の有無別にみると,出産経験の ない既婚者が一番代われないと考えている。(表6一③)

「科目によって一部capacityはあるが, possibilityはない」(35〜39才,未婚),つまり授業と しては代われる可能性はあっても,実際としてはたのみにくく,他教官も手一杯であるという意見 にみられるように,現実問題としてはかなり困難を感じている人が多いといえよう。またこの言葉 にみられるように,全体の問題として考えるより,個人から個人へたのむという個人的な問題と

して考えられている面がみられる。

その他の意見の中にも,上記と同じように,内容的には一部の授業を代わってもらえるが,時間 的に,あるいは,子どもを産むこと自体に対する批判から,現実的には授業を代わってもらうこと は不可能であるという意見が多かった。また,前例がないということでわからないと答えている人

もいた。

5.自由記述について

婦人教官の出産と産休の問題について,自由に書いてもらった。意見を述べている人は,42.8%,

122人であった。

まとめてみると,多くの人たちが産休中の授業の問題について適切な措置がとられることを望ん で意見を書いている。小・中・高の補助教員のようにはいかないとする消極論もあるが,若い教官

(7)

望むものが多かった。

さらに,具体的な意見をあげながら,まとめてみよう。まず,産休とそれにともなう授業の補講 から,次のような経験をされた方も多いことと思う。

産前産後に健康を害したため,予期しない形で授業担当が急にできなくなったので,産後に自分でその 分だけカバーすることとなり,1人半分の授業担当時間となった経験がある。非常にオーバーワークとな

り,質の点で学生に迷惑をかけたのではないかという苦しい経験をもっています。(40〜44才,既婚,出 産経験あり)

現在私は出産をひかえ,このアンケートに直接かかわっているのですが,私の場合,私の担当する6コ マのうち,3コマの約5週分しか予算の関係で非常勤講師がみとめられず,産休期間の%強は専門外の関 連教科の先生方が変わって負担することになっています。この状態で一番迷惑をうけるのは学ぶ権利のあ る学生次に同僚です。「研究者は他の者が変われない」ということで,研究者の産休をこのような状態 で放置しておくかぎり,婦人研究者の研究と教育活動の前進はありえません。私自身,学生と同僚に大変 心苦しく,必要以上無理を重ね,身体をこわし,母体に大変悪いことになっています。(35〜39才,既婚,

出産経験あり)

このように,産休明けの補講の大変さを述べている人が多くあり,あとにひかえた補講と,出産

・育児からの体力の消耗を考えあわせると, 休暇 とはなりえない。また,出産・育児が私事と して考えられている現状もある。

産休は法律で認められている休暇であるのに,なぜ自分で補講しなければならないのか。又,その間の 学生は,自分の意志とは無関係に学習権をうばわれるのである。好まない時期に,集中講義をうけねばな らない。数少い非常勤の割当ての中から,産休代替非常勤をもうけてもらうことは不可能であり, (教務 委員長に相談したが前例がないということでダメ),又,教室内でも意見の一致が困難であった。 (45〜

49才,既婚,出産経験あり)

私自身の体験からいえば,学部はまだまだ男社会であり,男の論理が優先する。女性教官もそれに合わ せて自己規制する傾向がある。 (30〜34才,既婚,出産経験あり)

子どもを生み育てることを個人的営みのみと解釈せず,社会的視点でもとらえてほしい。出産・産休は じめ,権利意識が大学の教官にうすい。従って,他人の人権をも守らねばならないという意識も浅い。情 宜の意味で,学科主任,学部長へのアンケートも送って下さい。 (35〜39才,既婚,出産経験あり)

男社会である大学では,婦人の出産はやっかい事として思われている。その主な原因は出産が他の教官 の担当コマ数をふやすことにあろう。出産者自身も他教官にかかる迷惑を考えると,権利として休暇をと れるにしても,つい無理をして仕事をすることになる。出産は体に関することなので安心してやすめる状 況をぜひつくらねばと思う。現在のような状況では,子どもをもつこと自体ちゅうちょせざるをえない。

ぜひ産休中の非常勤採用のための別枠予算を要求したい。 (30〜34才,既婚,出産経験なし)

このような現状に対して,女性としての当然の権利として,産休とそれに伴う授業の代行の措置 を望む意見が多くみられた。

(8)

100      茨城大学教育学部教育研究所紀要15号特集(1983)

出産は女性の権利であると同時に義務でもあると思う。これから女性の職場進出が増加すると,十分に 配慮せねば大変な問題になる。産休は半期から1年くらいほしい。というのは研究職の人は出産年齢がど

うしても高くなりがちだから安全のため。 (30〜34才,未婚)

出産と産休は婦人労働者の当然の権利だと思います。育児に関する問題が婦人労働者にとって最も大き な課題であり,労働のネックともなると思います。婦人労働者が家庭をもち,子育てをしながら仕事がで きる条件が整うことが絶対必要だと痛感します。そうすれば,独身でないと仕事ができないとかいうよう な非難もなくなるのではないでしょうか。逆に男性の育児休暇権なども必要だと思いますが。(29才以下,

既婚,出産経験あり)

産休等の母性保護はぜひ充実すべきだと思う。子どもを産むのは権利として守られるべきであり,母子 ともに健康であることが,職業継続には不可欠であろう。(29才以下,未婚)

育児休暇に関する法律も公布されているのに,大学教官の場合は出産時期を考慮する等の個人的解決に 頼っている面が多いのはおかしい。研究の仕事は代替できないが,授業に関しては公的に配慮されるべき だと思う。(45〜49才,既婚,出産経験あり)

母性の保護は,婦人の権利というよりも,人類全体に関わって人間の生命を守ることと同価値の問題と して考え,実現していくべきだと思う。制度としては,当人の健康に応じて柔軟な対処が可能な制度が望 まれると思う。 (30〜34才,未婚)

これらの意見に代表されるように,産休補助教官制度といった何らかの制度が望まれている。しかし,

こうした制度を確立するためには,まだいくつかの困難がある。つまり,昇任,人の確保,代行期 間の問題である。以下にあげる意見には,このような困難とその解決のための提案が述べられてい

る。

次の世代を育てるという意味でもっと権利を主張してもよいと思う。ただ「研究職」という立場から考 えると簡単に割り切れない問題もでてくる。(産休を強く主張することによって後輩の職場への進出にマ イナスになるなど。)(40〜44才,未婚)

たとえ休暇がみとめられても昇進等で大きなハンディを負わされるだろう。在外研究で研究にうちこん でいてさえそうであったから。(45〜49才,未婚)

高校の家庭科教師の産休代員の確保もむずかしい状況にあるようである。大学の場合,予算的に可能で も,その代員の確保ができるかどうか……と思ってしまう。(45〜49才,既婚,出産経験あり)

婦人教官(大学に勤務する)の場合も,小・中6高の教員と同じように考えて対応すべきと思います。

むしろ,補充教官の適任者がえられにくいということの方が問題だと思います。 (特に地方大学の場合)

従って,登録制にして退職教官等で希望者のリストをつくっておくことを希望します。(50才以上,既婚,

出産経験あり)

外向けと内向けの姿勢があり,産休非常勤講師の採用に賛意を表していても,びざ自分への適用となる と,自分に代って他人に講義を依頼するのは好まないのではないでしょうか。短期間は中途半端ですから,

(9)

一期間(半年)すべて非常勤採用可能というのなら話は別ですが。出産期間が大学の学期とうまく合うか どうかはわかりませんが,一期分代替教官が通傭できるなら大歓迎をえられると思います。(50才以上 未婚)      ・

以上,産休補助教官制度に対する積極的な賛成とそのさいの問題を指摘する意見をあげてきたが,

次に,こうした制度は必要ないという意見を以下にあげてみる。

産休をとっている間,婦人教官としてどう対処すべきかは各自の責任で考えるべきだと思う。集中講義 ですませるか,産休明けに補講する,又は非常勤の採用(授業だけ)を願い出ておくなど。制度化するこ とは大学から婦人教官がしめだされることになりかねないと思われる。(50才以上,既婚,出産経験あり)

自分(研究者)個人の判断だけではきめられない部分もあると思いますが,出産についての考えや他の 教官との人間関係の中で処理する形が今のところ無難でしょう。権利として主張することよりも,自然な 形で休めるような形態にできるのは平素の研鐵がものをいう気がします。 (35〜39才,未婚)

出産は,特に病的な症状が出ない限り,前もって予定のたつ事柄です。教員養成大学で,各教官が担当 している授業は途中の一部分を他の人で代替できるとは思えません。前もって,もしくはあとで集中講義 なりの形で本人自身が単位成立に必要な時間数を確保する工夫ができると思います。(45〜49才,既婚,

出産経験あり)

出産と産休については自分自身で時間割を考えればよいわけですから,あまり問題はないと思います。

むしろ,育児の方により多くの問題があるのではないでしょうか。(50才以上既婚,出産経験あり)

このように,産休を私事として,各自の責任の中で処理すべきであるという意見である。また,

最後の意見のように,育児の問題,たとえば勤務時間と保育所等の保育時間の不一致などの問題点 も多くあげられていた。

まとめと課題

調査を行ってみて,産休中の授業がきわめて個人的なやりくりで措置されている実態がうかびあ がった。しかも,学科内の他教官の負担をしいたり,開講しなかったりという教官・学生双方に不 都合な事態も多い。個人のやりくりは集中講義の倍増を意味し,産前産後の母体のためにも,学生 のためにも望ましいとは思われない。これから出産をしようとしている婦人教官はもとより,多く の大学関係者がこの問題に関心をもち,産休中の非常勤講師の確保など,より適切な措置がとられ るよう努力すべきであると思われる。

最後に,夏期休暇中にもかかわらず,調査票の配布・回収・返送などに御協力下さった全国の若 い先生方,および調査に協力して下さった諸先生方に心から御礼を申し上げます。

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