茨城大学教育学部教育研究所紀要20号(1988)H3一王2ユ
113
大学生の家庭科教育観と被服製作に関する習得度
岩崎恭枝・徳蔵きみ
研 究 目 的
昭和52年の学習指導要領の改訂により,「ゆとりの時間」が新たに設けられ,そのため,これまで家 庭科は交換授業・出張授業といった形で主に女子教員が担当してきたのが,学級担任が自己の学級の家 庭科を受けもつという形になってきた1>その結果,家庭科を受けもつ教師の半数は男子教員となってい
る。男子教員が家庭科を担当する場合,一番問題とされるのは被服製作における技術面での未熟さであ
ろう。
2)
H本家政学会の調査によれば,小学校教員の9割以上が被服製作を学ばせる必要性を認めている。既 製服が発達して,家庭で被服製作を行う必要性はほとんどなくなっているが,それだけに学校教育の中
でその基礎となる技術の習得が期待されているともいえよう。すなわち,、手や体をつかった,実践を通
した基礎的技能の充実の一面として考えられているのであろう。
小学校教員の免許をとるためには,家庭科についても「家庭教材研究」および「小学校課程家庭jを受けね
ばならないが,これらの講義の中で技術の定着をはかるほどの条件はない。つまり,受講生も多く,時 間的余裕もない。しかし,教えるためには1っ1つのやり方に対する理解と技能が必要である。そこで,これから教員となる大学生に小学校における家庭科の被服製作に関する理解や技能がどの程 度定着しているのか,また,あわせて家庭科に対する教育観被服製作の必要性等の意識も調査し,よ
りよい教員養成をめざす1っの基礎資料を得ることを目的とした。
硬 究 方 法
対象者は茨城大学教育学部門生で,「家庭教材研究」および「小学校課程家庭」の受講生である。調 査時期は昭和62年7月である。アンケート用紙を用い,直接学生に配布し,その場で記入を依頼し,回 収した。このため,回収率は100%である。
結果および考察
1 調査対象者の属性 表1 卒業後の希望
(1)性別
対象者の性別は男子148名,
女子230名で,性別に片寄りが みられるが,対象学生が家庭教 材研究と小学課程家庭の受講生 で,女子学生の受講者が多かっ た結果である。
(2)卒業後の希望
表1のように男子女子とも教師を希望している者が85%以上で,学部学生の特色がみられる。教師以 外の希望は男子より女子に多く,進学希望者は女子より男子に多い。男女によって差がみられた。
2 家庭科の教育観
教 師 教師以外 進 学 無 答 計
男 数
128
8 7 5148
% 86.5
5.4 4.7 3.5 100
女 数
201 18
4 7 230%
87.4
7.8 1.7 3.0 100
計 数
329 26
1112
378% 87.0
6.9 2.9 3.2 100
大学生は小学校,中学校,高校で既修の家庭科 を,どのようにみたり考えたりして評価している かについてみると,図1〜図3のとおりである。
小学校家庭科では,男子,女子とも「必要」で あると考えている者が圧倒的に多い。特に女子学 生の場合,95%に近く高率である。「不必要」は
男子学生に5.4%みられたが,女子にはなかった。
中学校での家庭科は,技術・家庭科で相互乗入 れが行なわれているが,男子は興味・関心がうす く,小学校家庭科の場合と異り「不必要」と考え る者がふえている。反対に女子は小学校以上に
「必要」であると考えている。
高校では女子のみの教科になるため「必要」か
「不必要」かの判断がしにくいせいであろうか,
男子では「不必要」「わからない」が半数以上を 占めている。女子も小中学校にくらべると,「必
要」は減少し,男子同様「不必要」「わからない」
が増加している。これは,家庭科の履修形態が小 学校では男女共学であるのに対し,中学校では技 術との相互乗入れの形であり,高校では女子専科 となるため,男子には関心が薄く,また進学受験
科目でないので,関心がなくなるためであろう。
次に家庭科教育の「必要」 「不必要」の理由に
ついて,自由に記入してもらったものを整理分類 すると,表2,表3のようになる。ヲ女
83,8 5.4!::::10.8
\暴
計[=====]翻、, 1 2.1
□必要團秘要團わからない圏鰭
図1 小学校での家庭科教育
タ 75.0 7.4一:一:÷:÷17.6
計
、歳
O,9 2.6
,つつ
88.1 8.5
O,5
2.9
□潮目秘要 團わからな・§鰭
図2 中学校での家庭科教育
男女十
35.1 20,3 4玉9
73,9 9.1 15.7
58.7 13.5 25.9
2.7
i1 1.3
1.9
□腰目秘要 圏わからない園鰭
図3 高校での家庭科教育
岩崎恭枝他:大学生の家庭科教育観と被服製作に関する習得度
1ユ5
表2 家庭科教育の不必要な理由 表3 家庭科教育の不必要な理由
小学 校
男 中 学 校 高 校 理 由人数
女 男 女 男
女 まだ早すぎる 6
生活に必要な知数
41 70 24 76
1024
小学校
家庭科は不必要 2 識技術の習得 % 38.3 36.8 27.2 41.3 21.7 19.7
選択制にすべきだ
1
数19 44
17 49 1147
生活の基本だか
% 17.8 23.2 15.7 26.6 23.9 38.5 男子は不必要 3 家庭生活の把握
数 6
25
7 12 2 3 小学校だけで充分 2%
5.6
13.26.5 6.5 4.3 2.5
中学校
家庭科は不必要 2 生活に役立つ 数
23 24 40 37 20 45
選択制にすべきだ 2% 21.5 12.6 37.0 20.1 43.5 36.9
小・中だけで充分 王8
数 3 23 3 5
1
3製作の喜びを味
墲ケる
%2.8
12.12.8 2.7 2.2 2.5
選択制にすべきだ 9数
15
4 17 5 2 0 実用的でない 4そ の 他
% 14.0 2.1 15.7
2.7 4.3
0高校
家庭科は不必要 4 計 数
107
190 エ08184 4.6 122
男子は不必要 2%
100 100 100 100 100
0 受験でいそがしい1
小学校家庭科は「生活に必要な知識や摸術の習得」と考えている者が,男子・女子とも最も多く,こ
れは,小学校教員の場畿一致する.二翻には湧子は将来役立つ教科であるからとし女子の場合
は, 「生活の基本」を学ぶために必要と考えている。中学校・高校では,男子はいずれも「将来役に立
つ」からを理由の第一にあげている。これに対し女子は,中学校では小学校と同様「生活に必要な知識技術の習得」を,高校では,「生活の基本だから」を第一にあげている。このように,家庭科教育のみか た・考えかたは,男女によって差がみられた。
不必要の理由については表3のとおりであるが,小・中・高校とも回答は男子学生だけで,女子の回
答はみられなかった。
3 被服製作
(1)小・中・高校での被服製作品
高校までに家庭科で製作した被服は表4のとおりである。
表4 家庭科での製作物
エプロン
袋物 小物
スモック スカート パジャマ ワンピース ブラウス あみもの その他 無上 数
44 84 58
0 0 0 0 01 83 1
% 29.7 56.8 39.2 0 0 o 0 0
0.7
56.10.7
女 数
124 148 112
148221 204 24 22 43 140
0% 53.9 64.3 48.7 64.3 96.1 89.6 10.4
9.8
18.7 60.9 0計 数
168
232170 148 221
20424 22 44 223 1
% 44.4 61.4 45.0 39.2 58.5 540
6.3 5.8
11.6 59.00.3
男子は小学校家庭科で学習する以外はほとんど製作の機会がないのが現状であるため,表4の示すよ
うに,小学校教材の袋物・小物・エプmンが主で,その他として腕カバー,枕カバー,テーブルセンター
等のカバー類と台ぶきん,雑巾等がわずかに製作されていた。中学校では技術科と相互乗入れが実施されているが,被膿作の参加は1名もなかった。この灘は嵌城県卿学校の場議同一である。女 子は,小学校の家庭科でも男子より多くの者が学習している。また教材は中学・高校を通して・スカー
ト,パジャマ,スモックが多くとりあげられ,中でもスカートは96%と最も多く学習されている。女子教
材として最適であり,最も基本的な製作学習が出来,効果をあげ得る教材と判断されたのであろう。僅かではあるが,ワンピース,ブラウス,あみものなども取り上げられている。なお男子であみものの 学習者がみられたが,小学校か中学校かは明らかにすることは出来なかった。女子のその他では,ジャ
ンパースカート,ベスト,パンツ類の製作もみられた。
(2)被服製作実習のすき,きらい
被服製作実習がそれぞれの段階で好きであったかどうかを調べてみると,図4のとおりである。
小学校では男子も約半数が「すき」と答えてい
男 480 216 305
る。女子は65%が「すき」と答えている。しかし 小 、 ..一一 、 ,
チ コ もヘヘモ ヘヘ ロ ■ 、 1
中学・高校と上の段階に進むに従って「すき」の 校
女652 1352玉3回答は減少し,高校では半数以下になっている。 、 , , I i / 1 1
「きらい」は中学校で増加し,高校では横ばい状 i / ! 1 鳴女
530 230≡≡≡≡三 239
子
!! , { 1i
態である。「どちらでもない」は中学校でわずか に増え,高校になると大幅に増加した。このこと は後述するように,教育担当者としては真剣に受
けとめ,原因を究明する必要がある。
なお男子の中学・高校は,被服製作学習者がな
かったので,調査対象からはずした。
(3)学校教育での被服製作
嚢女
43.5 23.5 30.9[コす・目・・い團蔀らでも園鰭
図4 被服製作実習のすき・きらい2.2
学生は被服製作実習を学校教育の中でどのように評価しているかをみると,図5のとおりである。
小学校
64.2 工28 216
1.4 男
一
高
男
女
卜
X N
72.2 10.Orl::[::::1::::116.1
69.0 11.1 tl:1::1:II::1:18.3
1.7 女
1.6 計
27.0 23,6 42.6 gQ・gi
xN 1
59.6 14.3 23.9
it@1
46.8 18.0 31,2 S4k
□腰目秘要圏わからない愚燃
中学校
男女計57.4 12.8 24.3 5.4
90.0 5.7
7
/
7Z2 6.1 1::::::113,0・::::::13
2,6
図5 学校教育での被服製作
岩崎恭枝他:大学生の家庭科教育観と被服製作に関する習得度
117
小・中学校では男女とも大部分が必要であると考え,特に女子は中学校で90%に達している。
高校になると,男子は「必要」と考える者が27%に減少している。女子とも同様の傾向で,小中学校
段階ではほとんどの者が「必要」と答えているが,高校になると半数以下(46.8%)となっている。ま
た「不必要」「分らない」は男子では小・中はほとんど変らないが高校になると大幅に増加している。女子では,中学校で減少し,高校ではやはり大幅に増加している。
次に「必要」「不必要」の理由についてみると,図6のとおり,男子は小・中・高校とも「基本的知 識技術の習得」を第1にあげ,2番目には「将来役立つ」としている。女子も小学校では男子同様「基 本的知識技術の習得」を第1にあげているが,中学・高校になると「将来役立つ」を第1にあげ,男子
と考え方のちがいがみられた。 小学校
なお「製作詫びを勅せる」男 554 26262・6↓・□灘灘
ノ ロ
という理由が低かったこと臆
x 53、 ,。。翻,1。。1目欝扇子で,今後の課題になると思わ
れる。
「不必要」の理由については 小・中学は男子のみで,役に立 たない(4名)家でやればよい
(3名),高校では小中学校だ けでよい(男11名,女8名)役 に立たない(男2名,女5名)
選択制にすべきだ(男11名,女
15名)などをあげていた。
(4)小学校で使用の裁縫箱
嬰女
中学校
36,6
220 工22
4.9 3−4v.4M27.8 35.4 ユ27 7.6 !6c5
國難の喜びを 味わせる 團麟について の理解
高 校
國その他
女
29.0 29.0 10,5 7 壷
t
27,0 33.3 ユ90 6.3 .1.4.3
図6 被服製作の必要な理由 小学校で被服を学習するために必要な用具の購
入状況をみると,図7のように,男女とも80%以 上が学校で一括購入している。この方法は茨城県 小学校の裁縫箱購入方法と一致している?理由は
指導しやすいとしている。個人で購入するのは,
10%程度であった。
4 技術指導に対する自信と技能の定着度
2.7 2.0
2.2
ユロユ トユ
ロ学校礪入 目醗で購入 國齢た薗無答
図7 裁縫箱の購入小学校での被服製作において必要とされる基本的な技術の指導に対してどの程度自信があるのかを聞
いた結果が図8である。
0.7
男
2.7
29.7 :::i142.6i:i:i
24.3 0.7
23.6 〉:::3酪i:i:
311
8工1.4 2.7
33.8 ::i:46.6i:;:i
ユ6.2
1.4 2.7
36.5 ::::i願臓i 18.2
0.7
10.8 :i:iiΣ6:δiiii
4.6 18.9
0.7 4.7
36.5 ::::i41,gl:i:
16.2
1.4 3.4
39.9 ::::i遺層ゴ観=i:
13.5 0.7
ユ6.9 雛昼:互iiii 33.8 22.3
0マ 1.4
45.9 ::iii鐙,aiiii 12.8
0.7
20.9 ::i:i36.5i:i:i
28.4 13.5
翻自信筋る
針の選び方
錯の持ち方
待針のうち方
しるしのっけ方
はさみの使い方
ぬいしろのとり方
布地のたて・よこ
ボタンのつけ方
採寸の仕方
ミシンの直線縫い
女
0.9 8.3 37.G :i:ii竃419 iiiii
9.1 5.2
13.0 43.5 :::i38.3:;:i:
4.8
:ii魚罐
ユ9.1 二 44.8
4.3
ユ5.7 4aO ::::i回国i
22
25.2 52.6 ::i:i19お.:i:i:
4.8
183
40.0 i:iilお講iii200 31.3 :::;:3♀,旦:i:i:i 9.ユ
2.2
38.3 5L3 i:忌1宮‡
6.1 G.4
26.1 :iiii5聡iii 王3.0
2.2
47.4 4工3 1め了i琴i
圏まあまあ自信がある圏あまり自信力・な・□ま・たく臨がな・薗無答
図8 技術指導に対する自信
O.4
O,4
女子はさすがにどの項目においても男子より高い自信をもっているが,中学・高校と被服製作をやっ
てきたので当然であろう。むしろ,その割には,低い自信ともいえる。「自信がある」と半数近い人が答え ている項目は「ミシンの直線縫い」しかなく,20%以上としても,「ボタンのつけ方」(38.3%),「は さみの使い方」(25.2%),「布地のたてよこ」(20.0%)の3項目しかない。「まあまあ目信がある」人を
加えると「針の選び方」「採寸の仕方」以外,半数以上の人がある程度の自信があることになる。男子では,20%以上の人に「自信がある」項目は「ボタンのつけ方」しかなく,「まあまあ自信があるjを加
えても「ボタンのつけ方」「はさみのつかい方」の2項目しか半数以上の人がある程度の自信があると答えていない。
このように,指導に対する自信は高いとはいえないが,
それでは実際に技能は身についているのかどうかを知るた めに,3項目について図9のような問題に答えてもらった。
その結果が図10のbである。図10のaは,bとの比較のた
めに図8から該当の結果を引き出してきたものである。男女ともに,「まち針のうち方」「布目の方向」につい
ては,正しい答えをした人の方が,「自信がある」「まあまあ 自信がある」と答えた人より多くなっている。これに対し,
「型紙のしるしっけ」は,正しい答えをした人の方が,「自 信がある」「まあまあ自信がある」と答えた人より少なくなっ ている。これは,「まあまあ自信がある」人の中には,まちが
っておぼえている人がけっこういることを示している。こ の項目の正答率は3つの項目の中で一番低く,正しい理解がなされていないようである。男子では「まち針のうち方」
に誤りがきわめて多かったが,他の2つの項目と異なり,
選択肢という答え方によるとも思われる。
ユ3.まち針の打ち方として正しいものに○印を つけて下さい。
mat 一 k一一一di
T & τ
一
14.下図のような型紙を作り布にうつす場合,
どのように型紙をおき,しるしをつけたら よいと思いますか。えんぴつ等でつけて下
さい。布おもて
等ら・
を
し
わ
削㎝餓 ㎝
15.図のような布にたいして,たて印を入れて 下さい。
みみ
ll
12i/図9
岩崎恭枝他:大学生の家庭科教育観と被服製作に関する習得度 119
1.4 33.8 撫ミ,46.、1、、 2.0 16.
ユ6.9 1{16α8姿 223
重.4 2.7
36.5 :il峰L21葦
ユ8.247
78.4 }::∬ぢ:
重.4 3.4
39.9 ;::i瓠giミ: く:『P3,5
669 ;7蕾
盈彦5:ヴ灘鰯自信がある 霞ヨまあまあ賄がある
瞬鋼あまり農信がない
騨ま・たく離がない
[]無答
a まち針のうち方 a
b 1︶
a型紙のしるしっけa
b b
a布目の方向 a
b b
女
,4・8
19.1 44.8 i:iii3ユ.3蓬
i.
804 {;亙8.3i:≡
4.3
5.7 43.0 i:iii37.oi:i:i
27.4 26.5 1{:23、鵠 22.6
2G.0 3董.3 39.6:i:i 9.1
80.4 lili 13.g菱i 5,7
わ
羅蜀Eしい
匿翻誤り
図10 技術指導に対する自信と技能の定着度 5 縫い方についての知識と技能の定着度
巨甕ほ麗しい
[コ無答
小学校家庭科において手縫いの基礎としてとりあげられているなみぬい,半返しぬい,本返しぬい,
まつりぬい・かがりぬい,袋ぬいについて,「語句は知っている」「語句も知っていて縫える」かどう かを尋ねた結果が図11のaである。図11のbは,袋ぬい以外の手縫いについて,各々の縫い方の図をみ
せ,縫い方の名称を記入してもらった結果である。
男女ともに,「語句も知っていて縫える」という人より,縫い方を正しく答えることのできた人の方 が多い。しかし,「語句は知っている」を加えると,縫い方を正しく答えることのできた人の方が少な くなる。まさに,語句のみ聞いたことがあるということで,それがどのような縫い方なのかは知らない
ということを示しているといえる。
女子の場合,袋ぬい,かがりぬい以外の,なみぬい,半返しぬい,本返しぬい,まつりぬいについて
はほぼ8割以上が「語句も知っていて縫える」し,縫い方もほとんどの人が正しく答えることができてい
男
14.2
獣3.8心
,2・7 52.0223 750
33.8 4G5 257
.4
43.9 52.7
36.5 4】.2 223
426
54
520216 568 2L6
351
F::28.41:: 36.5372 51.4\
lL5
412 Q03ト: 385
38.5 48.0 13.5
a なみぬい b
a半返しぬい
ba本返しぬい
ba まつりぬい b
aかがりぬい
ba袋ぬい
a醐語句も知っていて縫える b筆海面しい
§ミ§語句は知っている 匿董1誤
□無答 □慾 図1ユ縫い方についての知識と技能の定着度
る。ただ,半返しぬい,本返しぬいに対する「縫える」という自信のない人が2割近くいる。しかし,
これらの人の大部分が正しい縫い方を答えているので,語句も知っているし,縫い方も知ってはいるが 実際に縫うイメージが思い浮かばないということであろうか。確かに,中・高校になると,しつけとし てのなみぬいや,すそ等のまつりぬいはしても,ミシン縫いが中心となるため,半返しぬい,本返しぬ いは,まったくといっていいほどなされない。そのため,語句は知っているし,絵をみれば思い出して 正しい答えが書けるけれども,縫えるという自信は今一つということであろう。
また,かがりぬい,袋ぬいは,家庭科では必修とはなっていないので「語句も知っていて縫える」人
の割合が他と較べてかなり低い。
男子の場合,なみぬいはさすがに半数の人が「語句も知っていて縫える」し,70%の人が正しい縫い
方を答えていた。半返しぬい,本返しぬいについては約25%の人が「語句も知っていて縫え」,半
数の人が正しい縫い方を答えることができる。まつり縫いは20%の人が「語句も知っていて縫える」が 正しい縫い方を答えることのできた人は他と較べてかなり低くなっている。まつりぬいとかがりぬいをまちがえている人がかなりみられた。
6 ミシンの各部の名称の理解
ミシンの絵をみせ,各部の名称を記入してもらった結果が図12である。送り調節,上糸調節があって いれば,ダイヤルでも装置でも正答とした。送り調節装置以外は小学校で教えられている名称である。
女子の場合も,中・高校とミシンを扱ってきた割にはきわめて正答率が低いといえる。名称は知らな くても扱えるということかもしれないが,各部の働きなどをふまえたミシンという機械に対する興味や
理解は名称を知らずして生まれるとは思えない。
男
81.8 二・:::18.2::1::
75.0 :・二:::22.3::::∫
74.3 :・:::257::二:
8.1
818 ::10.1:1::
7.4
85.1 ;74モ
糸たて棒 はずみ車 送り調節ダイヤル 上糸調節装置 大びん装
3.9 女
.・;:::24.8二:::
Q.秀
71.3
:・::31.3::::: 66.5
∵:50.G:::: 50.0
33.9 ・:・::幽玉2.2 53.9
23.5 11.3:::: 65.2
閣正 匿…ヨ誤 【コ無答
図12 ミシンの各部の名称の理解
ま と め
1.小学校家庭科は,男女ともに「生活に必要な知識や技術の習得」のために必要と考えているもの が多い。申学校での家庭科は,女子はほとんどの者が必要と考えているのに対し,男子で必要と考えて いる者は約4分の3である。高校での家庭科は,女子は約7割,男子は約4割弱が必要と考えている。
小・中・高校と実際に家庭科教育を受けている女子の方に必要とする者が多く,家庭科教育は,「生活
に必要な知識・技術の習得」のため,「生活に役立つ」,「生活の基本」を教えるものとして男女とも必 要と考えられている。
2.家庭科の申での被服製作についても,女子の方が男子より必要と考えている者が多い。小・中学 校では男女とも大部分が必要であると考えているが,特に中学校での被服製作は9割の女子が必要と答 えている。高校になると,必要と考えている男子は,4人に1人となり,女子も半数に減少している。
岩崎恭枝他:大学生の家庭科教育観と被服製作に関する習得度
12ユ
男女とも被服製作の必要な理由は「基本的技術の習得」のためであり,「将来の生活に役立つ」と考え ている。
3.被服製作を学ぶ必要をみとめている者が多い割には,被服製作実習をすきと答えた者は少なく,
このことは,「製作の喜びを味わわせる」という被服製作実習の理由をあげたものが少ないことと呼応
しているようである。
4,技術指導に対する自信は女子においても高いとはいえず,男子においては教えることが現時点で は不安を感じさせるものであることがわかった。ただ,技術自体はその場になって学びながら教えるこ とができるが,そのさい,1つヱっの技術に対する理解,教えるための工夫等がどの程度なされるかが わかってできる授業として必要とされる。この点で,大学における講義を考える1つのポイントがある ように思われる。
5.被服製作における道具として,針の選び方,ミシンの名称について質問したがどちらも低い回答 であった。現在,家庭科の中では,道具については「適切で安全な取扱い方を身に付けさせる」鬼とが 目的となっているが,ものをつくるだけの授業とならないためにも,道具そのものについて学ぶことが もっと必要なのではなかろうか。道具について学んでいるとは思えず,関心もあるとは調査結果からで は思えない。
注
1)茨城県の場合にも,教育委員会指導課の調査によれば,家庭科を受けもつ教員のほぼ半数が男子であるという。
2)日本家政学会『家政学と家庭科教育に対する社会的要請(中間報告書)』 1987年,p.38。
3)前掲書,p.58。
4)岩崎恭枝・徳蔵きみ「被服教育の実態と教師の意識(21」『茨城大学教育学部教育研究所紀要』第19号,1986年 p. 1820
5)岩崎恭枝・徳蔵きみ「被服教育の実態と教師の意識(1)」『茨城大学教育学部教育研究所紀要』第18号,1985年P.90