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号 学位授与の日付 平成

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名 延東

エンドウ

洋輔

ヨウスケ

所 属 都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 観光科学域 学 位 の 種 類 博士(観光科学)

学 位 記 番 号 都市環境博 第

158

号 学位授与の日付 平成

27

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当

学 位 論 文 題 名

Industrial Tourism of Japanese Manufacturing Companies for

Branding

(日本の製造業企業におけるブランディングのための産業

観光)

論 文 審 査 委 員 主査 准教授 倉田 陽平 委員 教 授 菊地 俊夫

委員 准教授 川原 晋 委員 准教授 直井 岳人

【論文の内容の要旨】

近年、日本の製造業企業は世界の市場においてコモディティ化の問題に直面している。

日本製品は、高い品質・安全性・耐久性といった機能的価値が市場において評価されてき た。しかし競合製品が品質を向上させるにつれて、日本製品の機能的価値は競争力には繋 がらず、結果として価格競争に巻き込まれている。コモディティ化に対処するために、日 本の製造業企業には、機能的価値だけではなく、消費者が製品に対して抱くこだわりや思 い入れのような、意味的価値を付加するブランド施策が求められている。

本研究の目的は、日本の製造業企業のブランド施策として産業観光の可能性を検討する ことである。産業観光とは、産業遺産・生産現場・産業製品を観光対象とする観光形態で ある。製造業企業が運営する産業観光は、消費者との直接的な交流の拠点として、企業の 哲学や、企業・製品の歴史的・文化的背景を市場に発信することができる。このため、市 場におけるブランド認知を目指す製造業企業にとって、産業観光は効果的なブランディン グ手法として期待できる。

まず、日本の製造業企業が運営する産業観光の実態を明らかとするため、アンケートと

インタビューによる企業調査を二方面から行った。第一に、企業が製品価値における生産

現場にまで遡る背景を重視しているか把握するため、日本全国の消費財の生産地で実施さ

れる工場見学や、生産地に立地する企業博物館に対して調査を実施した。第二に、生産地

よりも都市部における産業観光に積極的な企業を評価するため、一都三県における工場見

学、企業博物館、ショールームについて調査を行った。 (なお、後者では比較のため産業財

(2)

やエネルギー関連企業にも調査を行った。 )Email・Fax・電話・郵送にて

210

施設に対し て調査依頼を行い、

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件の有効回答を得た。そして、運営実態における傾向を把握するた め、コレスポンデンス分析やクラスター分析等を行った。

分析結果から、日本の製造業企業の産業観光施設は、①一般消費者との交流を志向する フラッグシップ・マーケティング、②ロイヤル・カスタマーとの交流を志向するリレーシ ョンシップ・マーケティング、③研修や業務視察における社員・取引相手との交流を志向 するリレーションシップ・マーケティング、④地元客との交流を志向するソーシャル・マ ーケティング、⑤社会科見学の学生との交流を志向するソーシャル・マーケティング、の 各マーケティング手法に基づいていることが示唆された。そして、①の施設は観光産業と の連携に積極的であり、情報発信のため多くの消費者との交流を望んでいること、②・④ の施設は一般消費者と目される客層を集客しているが、集客ターゲットを限定しているの で、観光産業との連携や観光客の増加には消極的であること、③・⑤の施設は集客ターゲ ットが観光客ではないことから、観光産業と連携する意思が乏しいこと、が分かった。観 光産業との関係性から見れば、日本の製造業企業の産業観光 は(1)一般消費者との交流を重 視する観光志向の施設、(2)消費者の中の特定顧客との交流を志向する施設、そして (3)視 察・教育志向の施設、の

3

類型に大別できる。

類型(1)の産業観光は、集客・観光産業との連携という点で産業観光の発展に貢献すると ともに、運営する企業は市場におけるブランディングに積極的である。ニッカウイスキー 蒸溜所やミキモト真珠島のように、外国人観光客を積極的に集客し、国際市場におけるブ ランディングを図る先進的な施設も確認された。また、アルコール飲料や着物・宝飾品な どの高級品を扱う企業が、生産地の産業観光を活用して国内市場におけるブランディング に積極的に取り組んでいる傾向が見られた。これらの製品は消費財分類の中でも嗜好品と して意味的価値が求められる製品である。企業が観光産業と連携して消費者と交流し、ブ ランディングを図る場合には、類型(1)の産業観光がマーケティングの手法として適切であ り、意味的価値を付加するブランド施策として可能性を評価できる。他方で、企業がこの 戦略を選ばない場合は、類型(2) (3)のマーケティング手法が適当であると言える。既存顧客 やロイヤル・カスタマーが集客ターゲットの場合や、企業間取引や自社の社員教育が主目 的の場合は、リレーションシップ・マーケティングとしての産業観光の運用がふさわしい。

また、地域貢献を目的にとした地元客との交流や、学生団体の社会科見学の受け入れを主 目的とするならば、ソーシャル・マーケティングとしての産業観光が適切である。

従来の産業観光の研究では、その振興を前提としながら、その発展がもたらす便益につ いて議論が行われてきたが、産業観光を行う企業の戦略については議論が不十分であった。

本研究は、日本の製造業企業が現状として消費者向けの産業観光を企業戦略として活用し

ているのか、また今後活用するべきかどうかを評価した。本研究の意義は、実学的な観点

に立ち、企業の意思決定を尊重しながら産業観光の発展性・多様性を評価したことにある。

参照

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