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2016
年度 卒業論文
光の空間コヒーレンスと干渉性について
理学部物理科学科 B135552 泉楓香 指導教員、主査:高橋徹
副査:志垣賢太 2017年2月 10日
要約
光が波動性と粒子性という両面の性質を持っており、波動性の帰結として干渉すること はよく知られている。一般に干渉実験の光源としてレーザー光が用いられることが多い。レ ーザー光は波動性をもつ電磁波であり干渉性を持つのは自明と考えられるが、白熱電球か らの光のような、一見波動性を持たない光でも干渉を観測できることはあまり知られてい ない。この波動性、即ち干渉性を持たない光の干渉は、一粒子干渉という量子力学の重要な 帰結である。
本実験では特に光の空間干渉性に着目し、干渉性の良いレーザー光と干渉性の無い白熱 電球からの光の違いを定量的に調べた。最初に、空間干渉性を持たない白熱電球の光でも条 件を整えることで干渉を観測できることを確認した。その後、空間干渉性を持つレーザー光 と比較することによって、光源の空間干渉性が干渉にどのように影響するのか定量的に考 察した。
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目次
1. 序論 ... 3
1-1.光の性質 ... 3
1-2.一粒子干渉 ... 3
1-3.本実験の目的... 5
1-4.展望 ... 5
2. 原理 ... 6
2-1.光のコヒーレンス ... 6
2-2.ヤングの実験... 8
2-3.スリットによる回折効果 ... 11
2-4.光源の空間コヒーレンスによる干渉縞の鮮明度の変化 ... 13
3. カメラの校正 ... 14
3-1.実験方法 ... 14
3-2.実験結果 ... 15
4. 単スリットの実験 ... 16
4-1.実験方法 ... 16
4-2.様々な仮定による干渉の見積 ... 18
4-3.レーザー光による実験結果 ... 22
4-4.白熱電球の実験結果 ... 28
5. 二重スリットの実験 ... 33
5-1.実験方法 ... 33
5-2.様々な仮定による干渉の見積 ... 35
5-3.レーザーの実験結果 ... 38
5-4.白熱電球の実験結果 ... 45
6. 考察 ... 51
6-1.光源による回折の広がり ... 51
6-2.光源による可干渉性 ... 60
6-3.光源のサイズ... 61
7. 結論 ... 62
8. 参考 ... 63
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1. 序論
1-1.光の性質
光が波動性と粒子性という両面の性質を持っており、波動性の帰結として干渉すること はよく知られている。一般に干渉実験の光源としてレーザー光が用いられることが多い。レ ーザー光は波動性をもつ電磁波であり干渉性を持つのは自明と考えられるが、白熱電球か らの光のような、一見波動性を持たない光でも干渉を観測できることはあまり知られてい ない。この波動性、即ち干渉性を持たない光の干渉は、一粒子干渉という量子力学の重要な 帰結である。
1-2.一粒子干渉
光子による一粒子干渉は、1986年にアスペらの実験によって確かめられた。
まず、粒子は空間のある特定の位置を占めており、波は広範囲に広がりをもつ。よって、
二つの場所に同時に存在するかどうかの非同時性によって粒子であることを確かめた。
図1-1のような実験セットアップを考える。光源からの光はビームスプリッターを通り、
二つの経路に分けられ、それぞれの経路の先にある検出器で光を検出する。実験は時間Tに わたって行い、それぞれの検出器における検出回数を𝑁1, 𝑁2、同時計測回数を𝑁𝑐とする。
実験の時間分解能がΔtのとき、各検出器が応答する機会は𝑇
Δ𝑡回あり、各検出器が同時に応 答できる機会も𝑇
Δ𝑡回ある。よって、各検出器が応答する確率と、同時計測される確率は、
𝑃1,2 = 𝑁1,2 (𝑇
Δ𝑡)
, 𝑃𝑐= 𝑁𝑐 (𝑇
Δ𝑡)
(1-1)
と書ける。
ここで、反相関パラメーターをAとすると、
A = 𝑃𝑐
𝑃1𝑃2= 𝑁𝑐 𝑁1𝑁2(𝑇
Δ𝑡) (1-2)
となる。
光が粒子の場合は図1-1(左)のように同時計測されないので𝑃𝑐= 0より、A=0となる。光が 波の場合は図1-1(右)のように2つの検出器が無関係にランダムに応答する。よって、同時
同時計測 ビームスプリッター
光検出器1
光検出器2
光源 反射鏡
反射鏡 同時計測
ビームスプリッター
光検出器1
光検出器2 光源
反射鏡
反射鏡
図 1-1 非同時性の実験図(左)光が粒子である場合(右)光が波である場合
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に計測される確率は一方の検出器が応答する確率ともう一方の検出器が応答する確率の単 純な積で表されるため、𝑃𝑐= 𝑃1×𝑃2となりA=1となる。
アスペらは単独光子発生光源として、カルシウム原子を利用した。カルシウム原子をエネ ルギーの高いs 状態に励起させると、すぐに基底状態に落ち込むが、途中で中間のp 状態 に落ちる。この二段階の遷移によって2つの光子が放出される。
レーザー励起したカルシウム原子からの 2段階の脱励起によって放出された 2つの光を 利用し、一方の光はタイミング信号として用い、もう一方の光をビームスプリッターに入射 させ、2つの光路に分けた後にそれぞれの光路においた2つの検出器で同時計測をした。
タイミング信号をモニターすることによって、観測したい光がビームスプリッターに確 実に入射していることが分かる。アスペらの実験でA=0という結果が得られ、光子は一粒 子であることが確認された。この非同時性の確認後、光子の発生光源はそのままで今度は2 つの光路を再び交わらせると、干渉現象が確認された。すなわちここでは 2 つの検出器の 非同時的な反応によって粒子性が確認され、その後の干渉を観測することで波動性も確か められた。
レーザー励起
𝜈2 𝜈1 高いエネルギーのs状態
基底のs状態
中間のp状態
図 1-2 カルシウムの2光子レーザー励起
同時計測 ビームスプリッター
光検出器1
光検出器2
反射鏡
反射鏡 カルシウム原子
レーザー励起 𝜈2 𝜈1
タイミング信号 信号
図 1-3 アスペらの実験セットアップ
5 1-3.本実験の目的
光子の固有の性質は発生光源に依存しないはずである。しかし、レーザー光と白熱電球か らの光では干渉性が異なっていることは明らかである。そこで本実験では光源による干渉 性の違いに着目し、干渉性の良いレーザー光と干渉性の無い白熱電球の違いを空間干渉性 の観点から定量的に調べることを目的とした。最初に、空間干渉性を持たない白熱電球の光 でも条件を整えることで干渉を観測できることを確認した。その後、空間干渉性を持つレー ザー光と比較することによって、光源の空間干渉性が干渉にどのように影響するのか定量 的に考察した。
1-4.展望
光源の干渉性は,光源の空間的および時間的広がりなどの性質を反映している。本研究は このような光の基本的な性質を簡便な光学素子で測定,評価した。これは高等学校,大学初 年における物理教育教材としても有用である。また、本研究は波動による干渉を取り扱った が,粒子干渉へ拡張し光の本質の理解に資する実験へ発展させることが可能である。
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2. 原理
2-1.光のコヒーレンス
コヒーレンスとは相関のことをいう。コヒーレンスには、同じ時刻で異なる場所間での相 関を表す空間コヒーレンスと、同じ場所で異なる時間間での相関を表す時間コヒーレンス がある。光のコヒーレンスは、波の持つ性質の一つである位相の揃い具合を表すことが多い。
今回用いた光源について以下に述べる。
・コヒーレント光源…レーザー
レーザーは増幅作用を持つ系にフィードバック機構をつけた装置である。
レーザー媒質にエネルギーを供給して励起状態の原子数を増やし、励起状態の原子数が 基底状態の原子数を上回った反転分布状態をつくる。この状態で外から励起準位と同じエ ネルギーの光を入射させると誘導放出が起こり、入射光と同じエネルギー,位相をもった光 が放出される (増幅作用)。フィードバック機構として 2枚の鏡を向かい合わせたファブリ
―ペロー共振器を例にあげる。レーザー媒質を平面鏡と半透鏡で挟み、光の一部を鏡の間で 往復させる。このとき鏡に垂直な方向に進む光以外の光は誘導放出による増幅作用をあま り受けないうちに外に出てしまい、鏡に垂直に進む光は共振器の中に閉じ込められて鏡の 中を何度も往復することになるので、その間に十分な増幅を受けて強い光となる。この場合、
光放出によりつくられた全体の平均電場によって、それと同位相の双極子が誘導され、さら にこの誘導双極子によりその位相で決まった光が放出されるということを繰り返して光波 の位相がそろってくる。光が十分に強くなると増幅利得(入力と出力の比)が飽和を示し、そ の強度が共振器の損失を上まわれば自発発振を起こす。こうして発振したレーザー光は空 間的にも時間的にもコヒーレントである。
図 2-2.反転分布と誘導放射 𝐸𝑎
𝐸𝑏
ℎ𝜈 ℎ𝜈 ℎ𝜈
𝐸2
𝐸1
ℎ𝜈
𝑁2個
𝑁1個 エネルギー
>
反転分布状態
光
誘導放射
鏡 半透鏡
レーザー媒質
励起エネルギー
図 2-1.レーザーの仕組み
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・インコヒーレント光源…白熱電球
白熱電球は大きくフィラメント、ガラス球、口金で構成されている。ガラス球中は一般に アルゴンやクリプトンといった不活性ガスが封入されている。
光は,フィラメントを構成する原子からの自然放出だが,その波長分布,強度は物体の温 度のみできまる黒体輻射によって記述できる。電球内部のフィラメントに電流が流れると フィラメントの電気抵抗によりフィラメントの温度が上昇する。上昇した温度が十分に高 い(100Wで2500K程度)場合,電球からの光は白色に見える。これが白熱電球の発光と 言われる。このように白熱電球の発光は自然放出のため、位相がばらばらの光波となってい る。つまり、白熱電球からの光はインコヒーレントである。
図 2-3.白熱電球の仕組み
電子
電気抵抗⇒温度上昇
💡
フィラメント 原子 口金ガラス球
8 2-2.ヤングの実験
図 2-4(上)のように、光源、単スリット、二重スリット、スクリーンを一直線上に並べた
ヤングの干渉実験を考える。図2-4(下)はセットアップを上からみた図である。単スリット から二重スリットまでの距離を𝑧0、二重スリットからスクリーンまでの距離をz、二重スリ ットのスリット間隔をdとする。また、スリット𝑃0, 𝑃1, 𝑃2の幅は𝑧0, 𝑧に比べて無視できると 仮定する。このときスリット𝑃1, 𝑃2に達する光の振幅と位相は等しく、角周波数は𝜔とする。
(※𝑡 = 0における𝑃0の位相は0とする。※𝑘は波数(𝑘 = 𝜔 𝑐⁄ = 2𝜋 𝜆⁄ ))スリット𝑃1, 𝑃2を通った 光の振幅を𝐴1, 𝐴2とすると、二つのスリットに光の強度(振幅の二乗)が 2 等分されたとして 𝐴1= 𝐴2= 𝐴
√2となる。
𝑃1から𝑄までの距離𝑆1、𝑃2から𝑄までの距離𝑆2は
𝑆1= 𝑃̅̅̅̅̅ = √𝑧1𝑄 2+ (𝑥 −𝑑
2)2、𝑆2= 𝑃̅̅̅̅̅ = √𝑧2𝑄 2+ (𝑥 +𝑑
2)2 (2-2-1)
と表されるから、𝑃1を通って𝑄に達する光、𝑃2を通って𝑄に達する光の変位は 𝑢1= 𝐴
√2 𝑒−𝑖𝑘𝑆1
𝑆1 、𝑢2= 𝐴
√2 𝑒−𝑖𝑘𝑆2
𝑆2 (2-2-2)
となる。
𝑄はz軸付近なので、 𝑧 ≫ 𝑥, 𝑑として近似すると、分母は𝑆1~𝑧、𝑆2~𝑧となる。指数の𝑖𝑘𝑆1、 𝑖𝑘𝑆2の部分は、テイラー展開し一次の展開まで考慮する。また、𝑥2
𝑧2、𝑑2
𝑧2は無視すると、
z
図 2-4.ヤングの実験セットアップ(上)、y軸からみた様子(下) z
光源
𝑧0 𝑧
𝑥 𝑑
2 𝑑 2 𝑃0
𝑃0 𝑃1 𝑃2
𝑃2 𝑃1
𝑄(𝑥)
𝑆2 𝑆1
y 𝑥
二重スリット
単スリット スクリーン
9 𝑆1= √𝑧2+ (𝑥 −𝑑
2)
2
~𝑧 (1 +1
2(𝑥 − 𝑑 2⁄ 𝑧 )
2
) = 𝑧 ( 1 +1
2(𝑥2− 𝑥𝑑 + (𝑑 2⁄ )2
𝑧2 )
)
~𝑧 −𝑥𝑑
2𝑧 (2-2-3)
𝑆1= √𝑧2+ (𝑥 +𝑑 2)
2
~𝑧 (1 +1
2(𝑥 + 𝑑 2⁄ 𝑧 )
2
) = 𝑧 ( 1 +1
2(𝑥2+ 𝑥𝑑 + (𝑑 2⁄ )2
𝑧2 )
)
~𝑧 +𝑥𝑑
2𝑧 (2-2-4) と近似できる。
以上をふまえて(2-2-2)は、
𝑢1~ 𝐴
√2
𝑒−𝑖𝑘(𝑧−𝑥𝑑2𝑧)
𝑧 = 𝐴
√2𝑧e−ikze𝑖𝑘𝑑2𝑧𝑥= 𝐴
√2𝑧e𝑖𝑘𝑑2𝑧𝑥 (2-2-5)
𝑢2~ 𝐴
√2
𝑒−𝑖𝑘(𝑧+𝑥𝑑2𝑧)
𝑧 = 𝐴
√2𝑧e−ikze−𝑖𝑘𝑑2𝑧𝑥= 𝐴
√2𝑧e−𝑖𝑘𝑑2𝑧𝑥 (2-2-6) となる。
したがって、𝑄における重ね合わせは u = 𝐴
√2𝑧e𝑖𝑘𝑑2𝑧𝑥+ 𝐴
√2𝑧e−𝑖𝑘𝑑2𝑧𝑥= 𝐴
√2𝑧×2 cos (𝑘𝑑
2𝑧𝑥) = 𝐴0cos (𝑘𝑑
2𝑧𝑥) (2-2-7) と書ける。(√2𝐴
𝑧 e−ikz= 𝐴0とおいた。)
𝑄における強度は、
𝐼 = |𝑢|2= 𝐴02
𝑐𝑜𝑠2(𝑘𝑑
2𝑧𝑥) = 𝐴02
×1
2{1 + cos (𝑘𝑑
𝑧 𝑥)} (2-2-8)
である。このとき、干渉縞の暗部(𝑘𝑑
𝑧 𝑥 = (2𝑛 + 1)𝜋 :nは整数)の光の強さは0になり、明 部(𝑘𝑑
𝑧 𝑥 = 2𝑛𝜋 :nは整数)の光の強さは最大𝐴02となる。
干渉縞の鮮明度を以下のように定義する。
V =𝐼𝑚𝑎𝑥−𝐼𝑚𝑖𝑛
𝐼𝑚𝑎𝑥+𝐼𝑚𝑖𝑛(0 ≤ 𝑉 ≤ 1) (2-2-9)
上の場合V =𝐴02−0
𝐴02+0=1であるから、
最も鮮明度の高い干渉縞が生じる。
図 2-5.鮮明度の高いの干渉強度 𝐼𝑚𝑖𝑛 𝐼𝑚𝑎𝑥 𝐴02
2 {1 + cos (𝑘𝑑 𝑧 𝑥)}
強度
𝑥 𝐴02
0
10 何らかの原因によって鮮明度が低下した場 合、鮮明度Vは式(2-2-8)を用いて
と表すことができる。
したがって鮮明度は光の強度の式(2-2-8)中の cosの項の因子𝑎となる。
cosの関数中の𝑘𝑑
𝑧 𝑥が2𝜋の整数倍のとき1周期となるので、干渉縞の間隔は
Δx =2𝜋𝑧 𝑘𝑑 =𝜆𝑧
𝑑 (2-2-11)
である。これは、光源の波長𝜆、二重スリットのスリット間距離𝑧、二重スリットとスクリー ンの距離dを変えない限り不変であり、鮮明度には依存しない。
𝑉 = 𝐼𝑚𝑎𝑥−𝐼𝑚𝑖𝑛
𝐼𝑚𝑎𝑥+𝐼𝑚𝑖𝑛 =
𝐴02
2 (1+𝑎)−𝐴02 2 (1−𝑎) 𝐴02
2 (1+𝑎)+𝐴02 2 (1−𝑎)
=𝑎
(2-2-10)
図 2-6.鮮明度の低い干渉強度 𝐼𝑚𝑖𝑛
𝐼𝑚𝑎𝑥
𝐴02
2 {1 +𝑎cos (𝑘𝑑 𝑧 𝑥)}
強度
𝑥 𝐴02
0
11 2-3.スリットによる回折効果
2-2 節では、二重スリットのスリット幅は二重スリットとスクリーンの距離zに比べて小 さいため無視できるとしたが、実際はスリット幅a(今回はa = 40μmのスリットを使用)をも つ。有限の幅をもつスリットを通過することで、回折の効果が干渉縞に反映される。
図2-7(上)のように光源、単スリット、スクリーンを一直線上におく。図2-7(下)はセット
アップを上からみた図である。光源から単スリット𝑃までの距離を𝑧0、単スリット𝑃からス クリーンまでの距離をzとする。また、光源は点光源と仮定し、単スリット𝑃のスリット幅a は光源から単スリットまでの距離𝑧0に比べて小さいので、スリット幅a内の各点の光の振幅 と位相は等しく平面波として扱う。
単スリット𝑃のスリット幅内における各点の振幅を𝐴1とすると、Q(x)における重ね合わせは
𝑢 = ∫ 𝐴1𝑒−𝑖𝑘√𝑧2+(𝑥−𝑥1)2
√𝑧2+ (𝑥 − 𝑥1)2
𝑎 2
−𝑎 2
𝑑𝑥1 (2-3-1)
と書ける。
𝑄(𝑥)はz軸付近なので、𝑧 ≫ 𝑥, 𝑥1として近似するとし、被積分因子の分母はzとなる。分子 の指数部分はテイラー展開し一次の展開まで考慮し、𝑥2
𝑧2、𝑥12
𝑧2は無視すると、
−𝑖𝑘√𝑧2+ (𝑥 −𝑑 2)
2
~ − 𝑖𝑘𝑧 (1 +1
2(𝑥 − 𝑥1
𝑧 )
2
)
= −𝑖𝑘𝑧 (1 +1
2(𝑥2− 2𝑥𝑥1+ 𝑥12
𝑧2 )) ~ − 𝑖𝑘(𝑧 −𝑥𝑥1
𝑧 ) (2-3-2) と近似できるから、𝑢は
図 2-7.単スリット実験のセットアップ(上)、y軸からみた様子(下) 光源
𝑧0 𝑧
𝑥
𝑥1 𝑃
𝑄(𝑥) 𝑃 𝑥1
𝑎 z
y 𝑥 単スリット スクリーン
12
𝑢~𝑢1𝑒−𝑖𝑘𝑧
𝑧 ∫ 𝑒𝑖𝑘𝑥𝑧 𝑥1
𝑎 2
−𝑎 2
𝑑𝑥1 = 𝑢1𝑒−𝑖𝑘𝑧
𝑖𝑘𝑥 (𝑒𝑖𝑘𝑥𝑎2𝑧 − 𝑒−𝑖𝑘𝑥𝑎2𝑧 )
=𝑢1𝑎𝑒−𝑖𝑘𝑧
𝑖𝑘𝑥
sin (𝑘𝑎𝑥2𝑧) 𝑘𝑎𝑥
2𝑧
= 𝐴′sinc (𝑘𝑎𝑥
2𝑧) (2-3-3)
(𝑢1𝑎𝑒−𝑖𝑘𝑧
𝑖𝑘𝑥 = 𝐴′とした。)と書ける。
したがって、このときの強度は
𝐼 = |𝑢|2 = 𝐴′2sinc 2 (𝑘𝑎𝑥
2𝑧) (2-3-4)
となる。
回折の効果によって、図2-8 のsinc2関数の項 が干渉縞に影響してくると考えられる。ただし、
上の計算では点光源、スリット内が平面波と仮 定しているため、白熱電球ではなく、平行光線で あるレーザー光の実験に対応している。
インコヒーレント光も同様に回折の効果が影響すると考えられる。しかし、インコヒーレ ント光源の空間コヒーレンスは低く、スリット内の各点の位相は光源のコヒーレンスを反 映してばらついている。よってスリット各点から生じる回折パターンはピークがずれて重 ね合わされるため、観測される回折パターンは先ほどのsinc2関数よりも広がった形になる。
A′2 I = 𝐴
′2sinc2 (𝑘𝑎𝑥 2𝑧)
x
図 2-9.インコヒーレント光の回折パターンの予想 A′2 I
x
図 2-8.𝐬𝐢𝐧𝐜𝟐(𝐱)の関数の形
13
2-4.光源の空間コヒーレンスによる干渉縞の鮮明度の変化
2-2節では、簡単のため光源は点光源、単スリット𝑃0の幅は光源から単スリットまでの距 離に比べて無視できるとした。しかし、現実には光源は点ではなく、単スリット𝑃0も幅をも つ。光源が大きさをもつと、光源の空間的に異なる各点からの光を考慮する必要がある。ま た単スリット𝑃0も幅をもち、スリット幅を広げるにつれて、光源中のより多くの点からの光 を含むことになる。同時に、幅を広くしていくと単スリット𝑃0における光の回折の効果が減 少し、光源の各点からの光は直線的に二重スリット𝑃1, 𝑃2まで達するようになる。
・コヒーレント光の場合
レーザー光は時間的にも空間的にもコヒーレンスが良く、1つのレーザーの空間的に異な るどの部分から出る光も位相がそろっている(光の初期位相を定数∅0と考えることが出来 る)。よって、𝑃0の幅を広げても二重スリット𝑃1と𝑃2それぞれのスリット内の位相に変化は なく、二重スリット𝑃1と𝑃2を通った光の干渉、すなわち鮮明度に変化はない。
・インコヒーレント光の場合
光源がインコヒーレントである白熱電球の場合、光源の各部分からの光の位相に相関が 無いため、単スリット𝑃0の幅を広くしていくと二重スリット𝑃1と𝑃2それぞれのスリットでは 位相がばらつく。そのため、鮮明度Vが低下する。
図 2-10.光源がレーザーの場合のヤングの実験
図 2-11.光源が白熱電球の場合のヤングの実験
14
3. カメラの校正
カメラはロジクール社製のC270を用いた。このカメラには300万画素のCCDチップの 前面にフォーカス用のレンズが固定されており、取り外しが可能である。実験にはスクリー ンの代わりにCCDチップで干渉パターンを観測するため、フォーカス用レンズは取り外し た。その後CCDのピクセルサイズを調べるため、焦点距離100mmの凸レンズを用いて、
1対1の像転送を行い既知の長さをピクセル数に変換することにより、カメラの校正を行っ た。
3-1.実験方法
(実験器具)
・定規(0.5mm間隔)・レンズ(焦点距離100mm)・カメラ・懐中電灯
1、図11の位置に器具を設置した。
2、懐中電灯で定規を照らし、定規からの反射光を、凸レンズを通してカメラで測定した。
3、焦点が合うようにカメラの位置を調節した。
4、カメラに映る定規のメモリとCCDのピクセル数の対応から、CCD のピクセルサイズ を算出した。。
20.0𝑐𝑚 20.0𝑐𝑚
カメラ 凸レンズ
(f=100mm) 定規
懐中電灯
図 3-1.カメラの校正セットアップ
15 3-2.実験結果
カメラの画像で1.0mmに対応するピクセル数は550ピクセルであったため、1ピクセル
は約1.8µmであることが分かった。(よって、カメラのレンズのサイズは縦2.8mm横3.7mm
である。) 今後の解析はすべて1ピクセルを1.8µmとして計算を行う。
ここで、校正誤差について考察する。
1つ目はピクセル数の誤差である。1.0mmに対応するピクセルサイズを550ピクセルと したが、これは平均をとったもので±10ピクセルほどのずれがある。±10ピクセル違うと き 1 ピクセルあたりの大きさの違いは 0.03µm 程度なので、1mm に対する相対誤差は 0.003%である。
2つ目は定規の目盛りの誤差である。定規の目盛りは約0.1mm程度の幅をもつため、測 定は目盛りの線の端から隣の目盛りの線の端までとするが、目盛り線にこの線の10分の1 程度のずれがあると考えられる。よって0.01mm(0.1mmの線の10分の1)を誤差とすると、
1mmに対する相対誤差は1%である。
以上より、今後の解析では2つ目の1%の誤差を校正誤差とする。
図 3-3.縦に射影した明るさの強度 (縦軸:強度、横軸:カメラのピクセル) 図 3-2.カメラの画像
(縦:1536ピクセル、横2084ピクセル)
図 3-4.定規の拡大 横2048ピクセル
縦1536ピクセル
1.0mm
1.0mm I
カメラのピクセル
=550ピクセル
1mm
ずれ 1
10= 0.01𝑚𝑚
0.1mm
16
4. 単スリットの実験
まず、単スリットの回折における光源の違いを見る実験を行った。
4-1.実験方法
(実験器具)
⑴ レーザー(波長632.8nm)・ピンホール①(直径R=2.0mm)・減光フィルター2枚・ピ ンホール(直径R=0.3mm~2.0mm)・単スリット(スリット幅a=40µm)・カメラ
⑵ 白熱電球(100W・100V)・ピンホール①(直径R=2.0mm)・囲い・ついたて・波長フ ィルター(λ=650nm)・ピンホール(直径R=0.3mm~2.0mm)・二重スリット(スリッ
ト幅a=40µm)・カメラ
(実験セットアップ)
各光源から 10.0cm のところにバックグラウンドを遮断するためのピンホール①(直径 R=2.0mm )をおいた。白熱電球は電球から四方に光が広がるので、その光によるバックグ ラウンドを遮断するため、白熱電球の周りを囲いでふさぎ、さらについたてを置いた。その 後、レーザー光では減光フィルターを用いて強度を調節し、白熱電球では波長フィルターで 波長選択を行った。ピンホール①から15.0cm、15.0cm、15.9cmの間隔で、大きさを変化 させるピンホール②、単スリット、観測するカメラを置いた。
図 4-1.単スリット実験のセットアップ(上)レーザー(下)白熱電球
10.0𝑐𝑚 15.0𝑐𝑚 15.0𝑐𝑚 15.9𝑐𝑚
レーザー ピンホール① 減光フィルター ピンホール② 単スリット カメラ
10.0𝑐𝑚 15.0𝑐𝑚 15.0𝑐𝑚 15.9𝑐𝑚
白熱電球 ピンホール① ピンホール② ついたて
波長フィルター
単スリット カメラ
囲い
17 (実験方法)
まず、レーザーを用いて実験を行った。ピンホール②の大きさをR=0.3mm~2.0mmまで 変化させながら、その都度カメラで光の像を撮影した。撮影したカメラの画像はグレースケ ールに変換し、色の明るさを光の強度として数値化した。数値化したデータはカメラのレン ズの縦方向に射影し、縦軸が射影した光の強度、横軸がカメラの横方向の距離となるグラフ を作成した。このグラフをもとに、単スリットの回折における強度分布を求めた。
次に、白熱電球を用いて同様に実験を行った。
最後にレーザーと白熱電球で結果を比較した。
射 影
カメラの距離(mm) 光の強度
図 4-2 単スリットの実験説明
18 4-2.様々な仮定による干渉の見積
理想的にはピンホールは無限に小さい点であり、スリット幅は無限に小さい幅であるが、
実際には有限の値を持つ。理想的な計算と実際の状況における計算との違いを見るために、
ピンホールや単スリットでの条件を変えて、スクリーン上での光強度の計算を行った。それ らをまとめたものが下記の表になる。
光源の大きさS、ピンホール①の大きさb、ピンホール②の大きさR、単スリットのスリッ ト幅a、各器具の間隔𝑧0, 𝑧1, 𝑧2, 𝑧とする。
また、光源の振幅はA、各点における変位をそれぞれ𝑢0, 𝑢1, 𝑢2, 𝑢とし、最終的に求めるカ メラ上での光の強度はIとする。(ただし、𝐼 = |𝑢|2である。)
光源 ピンホール① ピンホール② 単スリット
仮定1 S=0 b=0 R≠0(平面波が到達) a=0
仮定2 S=0 b=0 R≠0(平面波が到達) a≠0
仮定3 S=0 b≠0 R≠0 a≠0 仮定4 S≠0 無視 R≠0 a≠0
𝑢0 = ∫ 𝐴 𝑒−𝑖𝑘√(𝑠−𝑥0)2+𝑧02
√(𝑠 − 𝑥0)2+ 𝑧02
𝑆 2
−𝑆 2
𝑑𝑠 (4-2-1) 𝑢1 = ∫ 𝑢0 𝑒−𝑖𝑘√(𝑥0−𝑥1)2+𝑧12
√(𝑥0− 𝑥1)2+ 𝑧12
1
−1
𝑑𝑥0 (4-2-2)
𝑢2 = ∫ 𝑢1 𝑒−𝑖𝑘√(𝑥1−𝑥2)2+𝑧22
√(𝑥1− 𝑥2)2+ 𝑧22
𝑅 2
−𝑅 2
𝑑𝑥1 (4-2-3) 𝑢 = ∫ 𝑢2 𝑒−𝑖𝑘√(𝑥2−𝑥)2+𝑧2
√(𝑥2− 𝑥)2+ 𝑧2
𝑎 2
−𝑎 2
𝑑𝑥2 (4-2-4)
図 4-3 様々な仮定におけるセットアップの設定
𝑥
𝑧 𝑧0
𝑥0
𝑧2
𝑧1
𝑥2 𝑥1
𝑧 𝑥2 𝑎
𝑥1
𝑥0 𝑥
𝑏 𝑅 𝑆 𝑠
変位𝑢 変位𝑢1 変位𝑢2
変位𝑢0 振幅𝐴
ピンホール① ピンホール② 単スリット カメラ 光源
𝑠
19
・仮定1による計算
図 4-4 はピンホール②に平面波が入り、さらに単スリットの幅は無視できると仮定した ときの強度分布である。左図を拡大した右図にみられる上に凸の振る舞いは球面波による 立体角依存性と一致しており、スリットによる回折効果の影響は見られない。
・仮定2による計算
1.5 1.0 0.5 0.5 1.0 1.5
1. 1013 2. 1013 3. 1013 4. 1013
x(mm) I
4 2 2 4
1. 1013 2. 1013 3. 1013 4. 1013
I
x(mm)
図 4-5 仮定2におけるR=0.3mm~2.0mmのカメラのサイズ内での強度分布
図 4-6 仮定2におけるR=0.3mm~2.0mmのxを±5mmまで広げたときの強度分布 図 4-4 仮定1におけるカメラ上の強度分布(右図は左図を拡大したもの)
1.5 1.0 0.5 0.5 1.0 1.5
0.000039552 0.000039553 0.000039554 0.000039555
x(mm) I
1.5 1.0 0.5 0.0 0.5 1.0 1.5
x(mm) I
1.0
0.5
20
図4-5,4-6はピンホール②に平面波が入り、さらに単スリット幅aを考慮したときの強
度分布をピンホールの大きさを変化させて比較したものである。最大強度(x=0の時)が最も 大きいのがR=0.3mmのときであり、Rが大きくなるにつれて小さくなる(光源の振幅Aは すべて1で計算している)。いずれの場合もスリットによる回折効果がみられる。ただし、
ピンホール②の大きさを変えるとピーク強度は変化するが、回折の広がりは変化しない。
・仮定3、仮定4による計算
仮定 3では光源を点とし、仮定4 では光源に大きさがあるとした。これら二つは実験的 には異なるが光源からの距離と光源の大きさの値が異なるだけで、計算上では違いがない のでまとめて述べる。
図 4-7(青)は 光 源 の 中 心 か ら 発 光 さ れ た 光 、 つ ま り 点 光 源 と し た と き の 強 度 分 布
(R=0.3mm)である。ピンホール②に平行光線が入射するとした図 4-7(赤)の強度分布
(R=0.3mm)とほぼ同じ形である。
図 4-5 (青)仮定3における強度分布、(赤)仮定2における強度分布
1.5 1.0 0.5 0.5 1.0 1.5
1. 10 23 2. 10 23 3. 10 23
x(mm) I
21
図4-8,4-9は最大強度を青(R=0.3mm、S=0.8mm)に合わせている。図4-8,4-9より光源の
大きさやピンホールの直径を変えても、回折パターンは変わらない。
いま光源の各点の振幅と位相は等しいとしているため、光源の大きさやピンホールの直 径を変えても含まれる光の各点の位相はそろっておりよく干渉する。よって、これらの変化 に対して回折パターンは変わらない。
図 4-8 仮定4で光源の大きさが違う時の比較(青S=0.8mm、赤S=0.4mm)、R=0.3mm
図 4-9 仮定4でピンホールの直径が違う時比較(青R=0.3mm、緑=0.8mm)、S=0.8mm
1.5 1.0 0.5 0.5 1.0 1.5
2. 10 19 4. 10 19 6. 10 19 8. 10 19
x(mm) I
1.5 1.0 0.5 0.5 1.0 1.5
2. 10 19 4. 10 19 6. 10 19 8. 10 19
x(mm) I
22 4-3.レーザー光による実験結果
最初に光源をレーザーにしたときの実験結果を示す。レーザー光はコヒーレンスに優れ た光であり位相の空間依存性がほとんどないため、仮定2の結果に近いと推測する。
レーザー光 (λ = 632.8nm)
・実験データ
ピンホール②の開口部の直径 R における、カメラの画像と、カメラの画像の明るさを数 値化し縦方向に射影したグラフ(カメラの横方向の距離に対する光の強度分布)を示す。
ピンホール
②の直径R
カメラの画像
横:3.2mm、縦:2.56mm
強度のデータ(縦に射影) 横軸:x(mm)、縦軸:強度 R = 0.3mm
R = 0.4mm
R = 0.5mm
R = 0.6mm
23 R = 0.7mm
R = 0.8mm
R = 1.0mm
R = 1.2mm
R = 1.5mm
R = 2.0mm
24
・解析結果
スリットの回折効果によって光の強度分布はsinc2関数の形になると考えられる。点光源 と仮定したときの回折効果による近似的な強度分布は𝐼 = |𝑢|2= 𝐴′2𝑠𝑖𝑛𝑐2 (𝑘𝑎𝑥
2𝑧) + 𝑏 (2-3-4) である。そこでフィッティング関数をa (sin(𝑏𝑥−𝑐)
𝑏𝑥−𝑐 )2+ 𝑑として、カメラの横方向の距離に 対する光の強度分布のフィッティングを行った。フィッティングパラメーターはa, b, c, dで ある。
R = 0.3mm R = 0.4mm R = 0.5mm
R = 0.6mm R = 0.7mm R = 0.8mm
R = 1.0mm R = 1.2mm R = 1.5mm
R = 2.0mm
25
上のグラフは横軸がカメラの横方向の距離、縦軸が光の強度のグラフである。紫がカメラ の横方向の距離に対する光の強度分布のデータ、緑がフィッティングを行った結果得られ た関数である。
ここで、図4-10のように強度分布の中央のピークの一周期分 に対応する長さを回折の広がり𝑤𝑑とし、下記のように定義する。
w𝑑 =2𝜋
𝑏 (bはフィッティングパラメーター)
誤差は、カメラの校正よる 1%の誤差とフィッティングによる誤差を考慮した。ただし、
以下の図4-11のように、フィッティングを行った結果得られたデータにはフィッティング 誤差を表記した。回折の広がり𝑤𝑑の誤差は、Δ𝑤𝑑= |𝜕𝑤𝑑
𝜕𝑏| Δ𝑏より、Δ𝑤𝑑
𝑤𝑑 =Δ𝑏
𝑏である。
回折の広がりとピンホールの直径との関係を表にまとめる。
ピンホールの直径R 回折の広がり𝑤𝑑
0.3mm 6.2mm
0.4mm 8.2mm
0.5mm 7.6mm
0.6mm 7.3mm
0.7mm 5.4mm
0.8mm 5.8mm
1.0mm 6.3mm
1.2mm 6.4mm
1.5mm 6.1mm
2.0mm 6.9mm
表 4-1 回折の広がりとピンホールの大きさについて(レーザー光) 広がり=2π
図 4-6.𝐬𝐢𝐧𝐜𝟐(𝒙)の形
26
フィッティング誤差は0.59~1.0%、校正誤差は1.0%である。
2-3節では、回折の広がりは𝑤𝑑=5.03mmという予想であった。
R = 0.4mm~0.6mm, 2.0mmで回折の広がりが大きくはずれている。この原因はまだ確定し ていないが、ピンホール(特にR=0.4mm)の穴が正円になっていないなどの影響があると考 える。
ピンホールに平面波が来 る と 仮 定 し た 予 想 2
(R=0.3m)の予想グラフを 赤線で示し、実験データ青点 で示す。両者を比較すると、
実験データは予想よりも広 がった形をしている。
大きくずれている4点(R = 0.4mm~0.6mm, 2.0mm)を除き、R = 0.3mm, 0.7mm~1.5mmを 平均すると𝑤𝑑=6.03mmで予想値よりも1.0mm程度大きい値となった。1.0mmは約20パ ーセントのずれである。この原因については6.考察で述べる。
図 4-8 実験データと予想グラフの比較
図 4-7.回折の広がりとピンホールの大きさについて(レーザー光)
1.5 1.0 0.5 2000 0.5 1.0 1.5
4000 6000 8000 10000 12000
x(mm) I
4 4.5 5 5.5 6 6.5 7 7.5 8 8.5
0 0.5 1 1.5 2 2.5
wd(mm)
R(mm)
回折の広がり
予想5.03mm 平均6.03mm
27
以上より、スリットの回折の影響により光の強度分布の形状は𝑠𝑖𝑛𝑐2関数であることが確 認できた。よって、二重スリット実験のフィッティングに𝑠𝑖𝑛𝑐2関数を考慮することにする。
ただし、回折の広がりは予想値よりも大きくずれているため、𝑤𝑑はフィッティングパラメ ーターとして実験値を使う。
28 4-4.白熱電球の実験結果
続いて光源を白熱電球にしたときの実験結果を述べる。
白熱電球の光 (λ = 650nm)
・実験データ
ピンホール②の開口部の直径 R における、カメラの画像と、カメラの画像の明るさを数 値化し縦方向に射影したグラフ(カメラの横方向の距離に対する光の強度分布)を示す。
ピンホール
②の直径R
カメラの画像
横:3.2mm、縦:2.56mm
強度のデータ(縦に射影) 横軸:x(mm)、縦軸:強度 R = 0.3mm
R = 0.4mm
R = 0.5mm
R = 0.6mm
29 R = 0.7mm
R = 0.8mm
R = 1.0mm
R = 1.2mm
R = 1.5mm
R = 2.0mm