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244 * 児童青年精神医学とその近接領域 57( 2 ); (2016) 本論の目的は, 乳幼児期に 神経症 が存在しうるとすれば, どのような状態が臨床的な有用性をもって仮定できるかを探求することである その過程で, 乳幼児期の精神病理の把握の困難さを示すことも 1 つの目的とする

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Ⅰ.はじめに

 周知のように,精神障害のリストから 「神経 症」 はほとんど消滅しつつある。1992年発刊の ICD-10(World Health Organization, 1992)に 神経症性障害が見いだせるが,米国精神医学会 が出版している DSM ではⅣ-TR(American Psychiatric Association, 2000)で す で に 神 経 症 の 姿 が 消 え,2013 年 に 改 訂 さ れ た DSM-5 (American Psychiatric Association, 2013)に もその復活はない。その背景の 1 つは,神経症 をその表舞台に押し出した精神分析学の種々の 概念を,現在のエビデンスベースの精神医学や 生物学的精神医学に適応することが困難である という事情があるからであろう(しかしそれら の統合が広範な精神医学領域の進展につながる 可能性を示唆する Kandel(1999)のような学 者もいる。カンデルは,精神分析学,認知心理 学,脳科学が今後統合され,新しいレベルの精 神医学が生まれることを期待している)。  では乳幼児期の 「神経症」 についてはどのよ うな状況であろうか。古典的な精神分析理論に おいても,幼児神経症はその重要性がフロイト (1908)によって刻まれているが,中核的な乳 幼児期 0 - 3 歳ではその存在があいまいである。 さらに上記の精神医学や心理学の現状があるた めに,乳幼児期における神経症についてもまた, 概念化が困難である。実際,近年の文献の中に, 「乳幼児期の神経症」 をほとんど見いだすこと が で き な い。PubMed で neurosis と infants and toddlers とを2000年以降で検索してみると, 21文献にヒットするも(2015年11月現在),内 向・外向的問題として実際の文献には記載され ており,それら文献の中においてすら神経症 neurosis は背景として姿を現しているにすぎな い。医中誌による2000年以降の検索では,37件 がヒットした(2015年11月現在)。しかし,唯 一以下に短く紹介する本城(2011)の文献以外 では,そのほとんどが神経疾患を 「神経症」 と 表記しており,その他は母親の 「神経症」 につ いての記載である。本城(2011)は乳幼児の神 経症をとり上げ,「摂食障害」 があるかも知れ ないが,「乳幼児の障害ではどうであろうか」

特集 乳幼児精神医学

青木 豊*

乳幼児の神経症

児童青年精神医学とその近接領域 57( 2 );244─253(2016)  本論の目的は,乳幼児期に 「神経症」 が存在しうるとすれば,どのような状態が臨床的な有用性 をもって仮定できるかを探求することである。その過程で,乳幼児期の精神病理の把握の困難さを 示すことも 1 つの目的とする。そのため,まず神経症と幼児神経症概念について振り返り,次に乳 幼児期の 「神経症状態」 を仮定する。同状態は,精神障害とその時点および後の発達のリスク状態 を含む。その成立要件は,第 1 により軽症病理の状態か,あるいは後の軽症の病理のリスク状態で あること,第 2 に病因論として,心因が重要な役割を果たすこと,第 3 に関係性特異性があっても その状態を含んで良いことの 3 条件である。最後に,これら状態のより具体的な候補を挙げる。 Keywords:infancy, neurosis, “neurotic state”, relationship specificity, risk factors

*目白大学人間学部子ども学科

*〒161-8539 東京都新宿区中落合4-31-1

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に役立つこと,第 2 に乳幼児期に精神病理を概 念化することの困難さを示すことである。これ らの目的のために 「乳幼児期の神経症」 と考え られる障害や状態それぞれを,各論として記述 することはしない。  より具体的には 「乳幼児の神経症」 と題され た本論で,以下の作業を行う。 1 .精神分析か ら見た 「神経症」 の概念化について短く振り返 る。次に 2 .乳幼児の 「神経症状態」 を仮定し, 同状態の 3 つの成立要件を提示する,その要件 とは,①より軽症の状態か,あるいは後の軽症 の病理のリスク状態であること,②その状態の 病因に,心因が重要な役割を果たすこと,③関 係性特異性があってもその状態を含んで良いこ と,である。最後に, 3 .本論文においてのみ 仮定した 「神経症状態」 の候補を提示し,検討 する。 Ⅱ.伝統的な神経症概念が,乳幼児期に 適応できるか 1 .精神分析学の提示する神経症  小此木ら(2003)編集の精神分析辞典,神経 症の項によれば(岩崎,2003),まず神経症の 症状は 「本能衝動の充足を求める es,それを 禁止する超自我 superego および現実との間で 生ずる無意識的な葛藤に基づく不安に対して, 自我 ego が防衛機制を働かせた結果生じた妥 協形成物 compromise-formation と理解されて いる」。また同辞書には,当時のわが国の国際 基準研究会の診断基準についても以下のように 触れられている。「A.次の症状のうち,少な くとも 1 つが認められる:不安,恐怖,強迫, ヒステリー,心気,抑うつ,離人,その他。B. 症状のため相当期間(普通は 1 カ月以上)にわ たり,・・・・。C.原則として病識があり, 現実検討能力は保たれ,自我機能の深刻な障害 はない。D.症状ないし状態増と性格傾向の間 に関連が認められる。E.精神分裂病,感情障害, 器質性精神病,薬物中毒,てんかん,環境反応 などに起因しない」 とされている。  またラプランシュら(1977)による精神分析 との疑問がなされていると指摘している。さら に 「乳幼児が精神症状を訴えることは一般的に は考えにくい。乳幼児に何らかの精神的問題が 存在するのではないかとの推測をするのは,多 くの場合,子どもが何らかの身体的あるいは行 動上の問題を呈する場合である」 と述べ,加え て具体的な行動の問題として,睡眠障害,摂食 障害がコンサルテーションで多いとの研究を挙 げている。本城もまた同論文で,乳幼児の 「神 経症」 を明瞭には押し出していない。  また,ほとんど唯一の乳幼児期の精神障害 の診断基準である DC: 0-3R(Zero to Three, 2005)においても,乳幼児精神保健のテクスト として最も権威のある 1 つ Handbook of In-fant Mental Health(Zeanah, 2009)において も,神経症と名の付いた障害は見いだせない。  現時点では,カンデルの示唆するような大規 模な脳科学,精神分析学,認知科学の理論的統 合は,その最初期・試みの段階でしかない。さ てこのような現状において,神経症概念は臨床 領域でも応用可能な概念として死に絶えたので あろうか。一定の数の心理士はたとえば,患者 の評価の 1 つに Kernberg(1975)の理論を応 用し,神経症水準,境界水準,精神病水準とい う概念を今も用いている。精神療法を行う精神 科医や心理士で精神分析的背景をも持つものは 著者も含めて,この神経症水準や 「神経症的」 ということばを治療に役に立つ概念として現在 も使っている。少なくとも成人や児童に対する 心理検査や精神療法を行う際に,一定の人々に とっては,今なお精神分析の貢献の 1 つである 「神経症」 は死に絶えてはいないように思える。  一方,翻ってこの神経症概念をエビデンスの 上に議論すること,更に乳幼児期においてそれ を行うことは,現時点では困難であり,また著 者の力量を超えている。  そこで,「乳幼児期の神経症」 としうる状態 (「神経症状態」)をあくまで本論の中で提案し, おおよその外縁を描くことを本論の趣旨とする。 本論の主要な 2 つの目的は,第 1 にここで行わ れる概念上の整理が,一般臨床での評価や治療

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理学の創始者の 1 人とされる所以の 1 つがここ にもある。フロイトは,神経症の固着点を,乳 幼児期の比較的後期に仮定した。この固着点と は,その時点で精神疾患・障害が発症している 点では必ずしもない。繰り返すが,後の発達の 段階で固着点に退行すると精神障害を発症する のである。つまり固着点で起こっている乳幼児 の心理・社会的状態は,疾患・障害では必ずし もなく,後にそれらを生む要素すなわち危険因 子・状態と想定されている。  フロイトも前エディプス期である肛門期・口 唇期の問題を取り上げ,フロイト以降の精神分 析学者の多くが,特に口唇期の問題を中心に探 求した。たとえば,メラニークラインに始まる クライン学派,英国の独立学派は,防衛として の分裂,投影性同一視などの独創的な概念を生 んだ。米国の Kernberg(1975)は,それらの 統合を図る発達論を展開し,人格を精神病パー ソナリティオーガニゼーション Psychotic Per-sonality Organization: PPO,境界パーソナリ ティオーガニゼーション Borderline Personality Organization: BPO,神経症パーソナリティオ ーガニゼーション Neurotic Personality Orga-nization: NPO と分類した。この概念化は,当 時の精神障害の分類,症候学と精神分析的な人 格の水準(発達的固着点の時期,防衛,不安の 種類)を統合的に捉える枠組みを提示したため, 精神力動的な精神療法を行うものにとって,臨 床的価値の高い概念化であった。ここで取り上 げた理由の 1 つは精神分析学の歴史においては 用語辞典には,神経症の精神分析的疾病図式を, 図 1 のように示している。  さて神経症の症状形成からも分かるように, 3 つの es,超自我,自我という構造が成立し て初めて,神経症を発症すると考えられている。 実際,フロイトは,乳幼児期に起こる未解決な 葛藤が固着点を形成し,後にその点に 「退行」 して神経症が発症するとし,同病理については その固着点を, 2 , 3 歳の肛門期以降特に 4 , 5 歳の前学齢期においている。精神分析学ので は, 0 から 1 歳におけるより早期すなわち口唇 期の固着あるいは発達停止は,自己愛神経症を 経て,精神病の発症と関連すると考えられてき た。つまり神経症とは,心的葛藤が症状化した 心因疾患であり,患者は乳幼児期( 2 , 3 歳以 降特に 4 , 5 歳の男根エディプス期)の固着点 に,退行している病態である。また神経症は, 乳幼児期においてはより後期の固着点をリスク 因子とする,より軽症の精神病理であると考え られている。 2 .乳幼児期の神経症  これら古典的な精神分析理論から,乳幼児期 の神経症について考案を進めるため,以下の諸 点を検討する。 ①リスク要因・状態としての乳幼児期の重視: 発達病理学の観点・源流  第 1 に,古典的な精神分析学では,乳幼児期 に後の社会・情緒的発達のリスク状態が生成さ れるとの観点が明瞭である。フロイトが発達病 図1 神経症の精神分析的疾病図式(ラプランシュら,1977) 1915 現実神経症 精神神経症 転移性 自己愛 1924 現実神経症 神経症 自己愛神経症 精神病 現代の 心身症 神経症 精神病 分類 躁うつ病 パラノイア 統合失調症

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 以上まとめると,古典的精神分析理論では, 精神疾患・障害としての乳幼児 「神経症」 は, 前学齢期には発症しうる。しかし中核的な乳幼 児期 0 から 3 歳には 「神経症」 が発症するかは 曖昧であり,同時期への 「神経症」 概念の適応 は困難である。  一方,古典的な精神分析学は,神経症を含め た精神障害のリスク状態として,乳幼児期の全 時期を想定している。より後期(男根─エディ プス期)に固着が生じえる程に強い葛藤がある 場合,その時点で幼児神経症が発症するか,あ るいは後の発達段階において神経症を発症する リスク要因となると考えられている。 Ⅲ. 神経症状態 を仮定する (本論のみに適応される)  上述のように精神分析学が提示している神経 症は,少なくとも乳幼児全時期に応用すること が困難である。しかし,精神分析理論に加えて より広い理論的概念的枠組み(アタッチメント 理論を含む)を用いれば,いくつかの条件を満 たすことで乳幼児期にも 「神経症状態」 と概念 づけられる状態が想定できるかもしれない。そ こで本論のみに適応されるこの状態について以 下に, 3 つの必要条件とともに提案する。 1 )より軽症病理の状態か,あるいは後の軽症 の病理のリスク状態であること 2 )病因論として,心因が重要な役割を果たす こと 3 )関係性特異性があってもその状態を含んで 良いこと,の 3 条件である。  ここで 「状態」 と命名している理由は,同状 態に医療モデルの障害とその時点および将来の 精神病理のリスク状態とを含むためである。リ スク状態の想定は,前述の精神分析理論とより 現代的な,精神発達病理学の観点からそのよう に名づける。  乳幼児期は,発達の速度が著しく早いこと, 言語発達の限界があることなどの理由から,そ の時点での精神病理を捉えることが最も困難な 発達段階である(Zeanah et al., 1997)。その困 「神経症」 が用いられている比較的新しい概念 化であるためである。  カーンバーグの乳幼児期発達論も,乳幼児期 に神経症や境界例の病理が発症していると想定 しているわけではない。乳幼児が遺伝的に 「攻 撃性」 が強いか,そして / あるいは環境側特に 一次的養育者の養育が不適切かにより,それぞ れの発達段階に発達停止することとなる。カー ンバーグもまた,精神分析的な伝統に沿って特 定の乳幼児期に,発達の停止・停滞が生じてい ると概念化しており,その停止・停滞は発達の 「リスク因子あるいは状態」 であるとみなして いる。このように精神分析理論は概ね,病因論 として乳幼児期を極端に重視しており,その時 期に,神経症を含めた精神病理のリスク状態が 生じると仮定している。 ②男根─エディプス期での発症  第 2 に,精神障害(危険因子・状態ではな い)としての幼児期神経症は,男根─エディプ ス期の水準に達して初めて成立する(Nagera, 1970)との考えが支配的である。フロイト自身 は 4 歳 4 カ月で幼児神経症状態に陥ったハンス の症例を報告している(フロイト著作集 5 巻, 1969)。また既に述べたように,心的な三つの 構造が少なくともある程度は成立することが, 神経症の前提条件ともなっている。したがって, 中核的な乳幼児期である 0 から 3 歳において, 「神経症」 の発症は否定的である。 ③軽症性-精神病との対比  第 3 に,神経症は,他の精神病理であるうつ 病,躁うつ病,統合失調症に比べて,発達的に は乳幼児の比較的後期(肛門期からエディプス 期が中心)に固着点あるいは発達の停止・停滞 点があり,病態としては比較的軽症に属すると されている。カーンバーグの理論からも,神経 症人格オーガニゼーションの病理は,発達のよ り後期にリスク状態を有し,病態としても最も 軽いと考えられている。また神経症の項で見た ように,同病理においては,原則として病識が あり,現実検討能力は保たれ,自我機能の深刻 な障害はない。

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因よりは心因の影響力がより強調されている。 また,「神経症状態」 を発達障害と対比した障 害のなかにも位置づけるようとした場合,この 状態に心因が重要な寄与をしているとの条件を くわえることは,臨床上有益であると考えられ る。  もちろん,現在の発達病理学の共有した病因 論では,遺伝的因子と環境的因子が継時的に 相互影響した結果が,特定の時点の病理や心 理・社会的状態を決定すると考えられており (Sameroff and Fiese, 2000),心因の概念すら 容易に信頼性や妥当性を得られる概念かにも疑 問がある。そのため,上記の仮定は,あくまで 心因および環境因がより強い影響を与えると考 えられる状態を想定する。 3 )関係性特異性があってもその状態を含んで 良いこと  乳幼児期に神経症状態を想定するとき,神経 症状態が関係性特異的であるかどうという疑問 が生じる。この問題は上記の第 1 の観点-すな わち神経症の軽症性に直接つながる問題である。  関係性特異性 relationship specificity(Zeanah et al., 1997;青木ら,2003;青木,2012)とは, 乳幼児の行動を観察すると,乳幼児はおのおの 異なった養育者とおのおの異なった関係性を示 すとの概念である。換言すると,A という養育 者といる行動のパタンと,B という養育者とい る行動のパタンとでは,同一乳幼児でもかなり 異なるという特性がある。この特徴を実証的に 示した研究群の 1 つは,アタッチメント研究で ある。すなわち12カ月から18カ月の幼 A ちゃん に,ストレンジ・シチュエーション(Strange Situation Procedure: SSP)(Ainsworth et al., 1978)をその両親にそれぞれ行ったところ,乳 幼児の示すアタッチメントの型は母親と父親と の間で統計的に一致しなかった(Main and Weston, 1981;Steel et al., 1996;Suess et al., 1992;Ijzendoorn and De Wolff, 1997)。つまり, 乳幼児の母親とのアタッチメント関係と父親と のアタッチメント関係とは,独立し異なってい た。関係性特異性は,アタッチメント関係以外 難に直面して,しかし乳幼児の精神保健領域で は予防的観点も含めて,精神病理の把握のため に大きく 3 つの観点が共有されている(Zeanah and Zeanah, 2009)。第 1 が医療モデルであり, 乳幼児期にも精神障害,精神疾患を同定し,治 療しようという観点である。第 2 が,発達精神 病理学的な観点である。同モデルでは,危険因 子と保護因子(近年,レジリエンスも加えられ る)を同定して,その時期および将来の精神保 健に予防的アプローチを行おうとする。第 3 に, 関係性障害を評価し,介入しようとする観点が ある。乳幼児精神保健において,関係性は概念 的支柱の 1 つとなっており,病理を捉える際に もこの観点は必須のもととされている。乳幼児 期の 「神経症状態」 も,この 3 つの視点から考 案される。同状態は従って,医療モデルの障害 とその時点および将来の精神病理のリスク状態 を含み,同状態を関係性障害という視点からど のように捉えられるかも検討する必要がある。 1 )より軽症病理の状態か,あるいは後の軽症 の病理のリスク状態であること  この条件は,精神分析学と一般臨床的視点か らの援用である。すでに述べたように精神分析 学では,より後期の固着点がより軽症の病態を 生むと考えられており,その比較的軽症群が神 経症である。 2 )病因論として,心因および外因・環境因が 重要な役割を果たすこと  次に,児童精神科の一般臨床に適応できる 「神経症状態」 の成り立ちの第 2 条件を,フロ イトの概念化の一部と,これも古典的な病因論 から次のように本論では仮定する。すなわち神 経症状態発生には心因が重要な要因として挙げ られるとする条件である。フロイトは自身の理 論の発展の早期には,病因として心的外傷(環 境因)をより重視しており,より後期の心的表 象を強調する時期には,内的な欲動の強さに焦 点が移った。その後の精神分析学の中でも,ど ちらを強調するかは学派や論者によって異なる ようである。いずれにしろ一般的には神経症を 捉える場合は,精神病に比較するといわゆる内

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である養育が病理の主な要因となる場合は,既 に示したように関係性特異的な関係性の病理を 生む可能性が高いからである。例えば前述の愛 着障害男児の 「自己を危機にさらす」 行動は, 母親といるときのみ観察される行動であり,関 係性特異的である。そのため,この病因の 1 つ が母親の養育行動を含む環境であることが推測 された。実際同症例では,虐待が重要な病因と 評価された。更にはより広くアタッチメントの 型についても,第 1 に関係性特異的であり,第 2 に行動遺伝学の所見(O’Conner and Croft, 2001)からも,アタッチメントの型の主要な決 定要因が環境であることが示唆されている。  関係性特異的な状態であっても,その状態を 本論の神経症状態とすることは妥当であり生産 的であると考えられる。 Ⅳ. 神経症状態 の候補・リスト  まず 「神経症状態」 をより明確にするために も,同状態が DSM-5 による神経発達障害群が 含まれないことを明記する。神経発達障害群に は乳幼児期の重要な障害が含まれている,すな わち,自閉症スペクトラム障害,注意欠如・多 動性障害,知的能力障害群,コミュニケーショ ン障害群,チック障害群などである。これら障 害の一次的な病因が,脳の何らかの機能的・器 質的問題であるとのコンセンサスがあり,「神 経症状態」 の必要条件 2 )に該当しない。また この病因のために,これら障害の症状・問題行 動は関係性特異性が低い。  以下上記の 3 つの条件から,乳幼児期の 「神 経症状態」 の候補を挙げるが,その前にそれら 候補を臨床的観点から大きく 3 つに分類する。 次に 「神経症状態」 候補を 3 分類に位置づけて 挙げ,それぞれについて 「神経症状態」 に該当 するかを検討し,最終案とする。  第 1 群は,医療モデルに当てはまる障害群で あり,そのため関係性特異性も状況依存性も低 いものである。具体的な障害の候補は,DSM-5 の反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害(ア タッチメント関連障害)と心的外傷後ストレス の関係性の領域でも,多くの証拠がある(青木, 2012)。  乳幼児の問題行動が,ある養育者との関係性 の中で存在するが,他の養育者との関係性の中 で存在しないことは十分あり得ることである。 たとえば青木ら(2005)は,Zeanah and Boris (2000)の定義するアタッチメント障害の下位 分類である安全基地の歪みについて症例報告を 行っている。「自己を危機にさらす」 行動を示 す男児は,母親といるときはその症状・問題行 動を執拗に示していたが,義理の父親とのみい るとき同症状はまったく観察されなかった。ま た既に述べたように,特定の子どもが特定の養 育者と SSP により分類されるアタッチメント の型として最も非適応的であると推測される未 組織 / 無方向型 Disorganazed/Disoriented(D 型)の行動パタンを示したとしても,同一児が 他の養育者とは SSP において異なった行動パ タン(たとえば安定型のパタン)をしめすこと はあり得るし,実際われわれのグループでもそ のような子を多く観察している。とすれば,あ る 「神経症状態」 が特定の養育者との関係性で 表れても,他の養育者との関係の脈絡では観察 されなかった場合,その 「状態」 を 「神経症状 態」 と認めるか否かとの問題が生じる。この同 じ問題が,乳幼児の精神病理を捉える際,関係 性障害という観点が古典的な医療モデルとは別 に用意された理由の 1 つとなっている。医療モ デルでは,ある障害の症状や問題行動はいくつ かの状態で観察され状況依存性が低い。たとえ ば DSM-5 における注意欠如・多動症 / 注意欠 如・多動性障害の C.基準では,「不注意また は多動性-衝動性の症状のうちいくつかが 2 つ 以上の状況(例:仮定,学校,職場;友人や親 戚がいるとき;その他の活動中)において存在 する」 とされている。  そこで 「神経症状態」 の条件として,同状態 が関係性特異的であっても,含まれるとする。 というのも,この状態が 2 )で示したように, 心因が重要な役割を果たす状態と仮定している こと。そのため,乳幼児期の主要な環境の 1 つ

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and Gleason, 2010, 2015)。し た が っ て,脱 抑 制型対人交流障害は神経症状態の該当外である が,反応性愛着障害についてはその可能性をわ ずかに残している。  乳幼児期の PTSD は,多くの研究の集積に 基づいて DSM-5 で 6 歳以下の診断基準が提出 された(青木・吉松,2015)。この病態はフロ イトのいう現実神経症の 1 つと考えられる。同 病態が比較的軽症であるかどうかについては, 議論が困難である。しかし,神経症状態の候補 には残りえる。 第 2 群 障害群  この状態は,対人関係や状況依存が仮説され るが,月齢上主要な養育者との関係が生活全般 にほぼ汎化されている印象を与えるために,医 療モデルの障害にも含まれている状態である。 より具体的な候補は,睡眠障害と摂食障害の一 部である。 2 つの障害ともに,少なくともその 一部は,養育者との関係性を含めた環境要因が 主要な役割を果たす(Owens and Burnham, 2009;Benoit, 2009)。 2 つの障害の一部─例え ば他の医学的問題から摂食の障害が二次的に生 じた場合など─器質的・機能的問題が一次的要 因と考えられるため,「神経症状態」 とは言えず, 鑑別評価が必要となる。養育者との関係性が両 障害の一義的要因となる場合,同状態について は,関係性障害との観点から,Anders(1989) らは寝かしつけ障害,授乳障害と概念化してい る。一方,睡眠や摂食という主訴は,主に主要 な養育者の報告によるものである。また一般的 な乳幼児の生活では, 2 つの行動が家庭で起こ ることが最も多いと考えられる。それら理由に より,この障害群は,関係性特異性が仮説はさ れるが,医療モデルの障害の範疇に位置づけら れている可能性が高い。 第 3 群 関係性障害群  第 3 群の 「神経症状態」 は,対人関係や状況 依存性が仮説され,実際問題行動や症状が関係 性特異的あるいは状況特異的に現れる状態であ 障害である。第 2 群は,対人関係や状況依存が 仮説されるが,月齢上主要な養育者との関係が 生活全般にほぼ汎化されている印象を与えるた めに,医療モデルの障害にも含まれている状態 である。より具体的な候補は,睡眠障害と摂食 障害である。第 3 群は,対人関係や状況依存性 が仮説され,実際問題行動や症状が関係性特異 的あるいは状況特異的に現れる状態である。よ り具体的な候補は,アタッチメントの型の中で 非安定型,Zeanah and Boris(2000)のアタッ チメント障害の下位分類である安全基地の歪み, である。 第 1 群 障害群  医療モデルに当てはまる障害群であり,その ため関係性特異性も状況依存性も低い。第 2 の 条件,心因が影響していることから DSM-5 の 反応性愛着障害と脱抑制制対人交流障害(アタ ッチメント関連障害)と心的外傷後ストレス障 害とが有力な候補となる。  これら障害は,乳幼児期に発症し,DSM-5 のなかでも外因が明示されている稀有な障害で ある。  反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害はと もに DSM-5 の C アイテム 「・・不十分な養育 の極端な様式を経験して」 おり,この経験が症 状・行動障害の原因であると見なされる(D ア イテム)。一方これら 2 つの障害は,比較的軽 症の障害とは考えにくいかもしれない。ともに 極端な社会的ネグレクトに曝され発症し,アタ ッチメントの問題としては最重度の病理を持っ ていると考えられ,反応性愛着障害では選択的 アタッチメント対象すら認められない(青木・ 佐藤,2015)。一方,反応性愛着障害については, 近年の研究から少なくとも月齢24カ月以内によ り適応的な環境に移れば,その問題行動はほぼ 消失するとのコンセンサスが得られつつある (Smyke et al., 2012;Zeanah and Gleason,

2010, 2015)。かたや脱抑制型対人交流障害に ついては,適切な養育に移行したとしても回復 が困難な一群があるとの報告がある(Zeanah

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 本論文の大きな限界は,すでにいくつか記さ れている。特に神経症状態の 3 つの条件のうち 1 ) 2 )は特に概念上の問題をはらんでいる。 精神病理の原因論で,心因および環境因のみを 単純に強調することが今日ではなされない。ま た重症度についても,容易な分類は困難である。 また,本論に 「神経症状態」 として挙げられて はいないが,その候補となるものがさらにある かもしれない。選択的緘黙などもその例である。 さらには,特定の神経症状態と他の神経症状態 の併存の問題が考察されていない。たとえば, 非安定型のアタッチメントパタンを持った乳幼 児が,睡眠障害(寝かせつけ障害)を持ってい る可能性はあるであろう。  本論がしかし,乳幼児の精神病理の一端を 「神経症」 概念という観点から眺めることで, この発達段階での困難な臨床のいくつかのヒン トになれば幸いである。また今後,症例検討や 実証研究の積み重ねの上に,乳幼児期の精神病 理の概念化がより洗練されることが期待される。

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る。より具体的な候補は,アタッチメントの型 の中で非安定型,Zeanah and Boris(2000)の アタッチメント障害の下位分類である安全基地 の歪みである。  アタッチメントの非安定型,特に D 型は, その時点と後の発達における社会・情緒的発達 のリスク状態としてのコンセンサスがある (Thompson, 2008)。また,これらの状態が関係 性特異的であること,環境因が主要な発生要因 であることも既に述べた。非安定型の中で回避 型と抵抗型が,神経症状態に最も当てはまると 考えられる。というのも,これらリスク状態は, 後に述べる Disorganized type:未組織 / 無方 向型よりもより適応的であり,比較的軽症であ ると考えられるからである。未組織 / 無方向型 は,たとえば虐待がその要因として挙げられて いる。いくつかの研究から,被虐待児の虐待者 とのアタッチメントパタンはほぼ90%がこのタ イプである(Carlson et al., 1989;Crittenden, 1993;Lyons-Ruth, 1996)。さらにこれら状態 が後の発達で,解離性障害や(Carlson, 1998; Ogawa et al., 1997)や 人 格 障 害(Fonagy et al., 1996)への発展が示唆されている。従って この状態が軽症であるかの判断は保留される。 同じ論拠で,Zeanah らが提案したアタッチメ ント障害のサブタイプである安全基地の歪みも また,条件 2 )心因および環境要因の重要性, 3 )関係性特異性が認められる,の 2 条件には 該当するが, 1 )の軽症性については否定的で ある。というのも,現時点でこの病理は未組 織 / 無方向型よりも更に適応度が低いと仮説さ れ て い る た め で あ る(Boris and Zeanah, 1999)。 Ⅴ.さいごに  本論では,「乳幼児の神経症」 が現在の精神 医学の概念化の埒外に置かれていることを確認 した。しかし 「神経症」 概念の臨床的意義を背 景に,「神経症状態」 を本論に限られた形で提 案した。その過程で,乳幼児期の病理の把握の 困難さについても言及した。

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  The purpose of this article was to exam-ine what might constitute a clinically valid construct of “neurosis” among infants and toddlers, working on the assumption that such a state can exist, alongside demonstra-tion of the difficulties of capturing psychopa-thology in early childhood. Starting with a short review of the concept of neurosis per se, and that in infants and toddlers, the con-cept of a “neurotic state” was proposed. The state would include both mental disorders and risk states during infancy as well as psy-chopathologies that could become manifest in later stages of development. Three inclusive

conditions for subsistence of the state were defined as: 1) relatively low severity of pa-thology, 2) presence of psychogenic and/or extrinsic/environmental conditions as prima-ry etiological factors, and 3) allowance for re-lationship specificities. Lastly, a number of candidates for this theoretical “neurotic state” were listed and discussed.

Author’s Address Y. Aoki

Mejiro University

4-31-1 Nakaochiai, Shinjuku, Tokyo 161-8539, Japan

NEUROSISINYOUNGCHILDREN

Yutaka AOKI

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