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はじめに(pdf)

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Academic year: 2021

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はじめに

表紙の絵(口絵 1 も同図)をご覧ください.これは私の住んでいる弘前の上空から見た岩木山 (鳥瞰図)です.人工衛星(ランドサット)から撮影した画像を数値標高モデル (DEM) と重ね合わ せて,パソコンで作成しました.インターネットでグーグルマップなどを体験している方にとっ ては,鳥瞰図はそれほど目新しいものではないかもしれません.しかし,鳥瞰図がどのように作 られるかご存知でしょうか. 鳥瞰図を作成するには,3 次元の図形がわれわれの目(2 次元)にどのように映し出されるかと いう原理を知る必要があります.また,衛星画像と DEM を正確に重ね合わせて,3 次元のデー タとしなければなりません.この本を読めば,皆さんもパソコンを使って,お好みの場所の鳥瞰 図が作成できます.鳥瞰図を作成する原理やプログラムの内容も説明しますので,自分流のアレ ンジを加える意欲をもてば本書をより楽しむことができるでしょう. もちろんパソコンだけでは鳥瞰図はできません.材料(衛星画像と DEM)と道具(データ処理 およびプログラム開発環境)が必要です.衛星画像や DEM にはいろいろな種類がありますが,フ リーのデータがインターネット上で公開されています.その中でも,スペースシャトルが撮影し たデータから作成された DEM(SRTM) とランドサット衛星の正射投影画像は世界のほとんどの 陸域をカバーする質の高いデータセット (GLCF) です.本書では,これらのデータを利用します.

道具には,IDL(Interactive Data Language) という Windows をはじめ,Linux や Mac OS で も使えるコンピュータ言語を利用します.IDL はデータを対話的に処理・表示するための機能を 豊富に備えています.鳥瞰図作成のような一見複雑に見える処理も,単純な処理の積み重ねです. 全体の構成を把握し,個別的な処理の結果を確かめることにより,目標に向かって着実に進んで いくことができます.これらの処理を手続きや関数として再利用するための仕組み(プログラミ ング環境)も整っています.同じような機能をもつ言語(第 4 世代のコンピュータ言語とよばれ る)には,Mathematica(数式処理)・S 言語(統計計算)・Matlab(シミュレーション)などが あり,それぞれが得意な分野をもっているようです. IDL は画像を処理する機能が特に優れており,衛星データばかりでなく,医用データの処理に もよく使われています.データの入出力が柔軟に行えるということも,その特長です.テキスト データについては,Fortran と同じようにフォーマットを指定できます.バイナリで書かれた生 データはもちろん,いろいろな画像フォーマット(JPEG や TIF など)にも対応しています. IDL に慣れるには若干の時間を要しますが,他のコンピュータ言語の経験があれば,その習得 i

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はじめに はそれほどむずかしいものではありません.私の研究室では,研究室に配属された学生に対して, 約半年間 IDL の演習を行ってから卒業研究のテーマを与えています.本書のアイデアも,卒業研 究の課題から生まれたものです.鳥瞰図の作成には,3 次元画像処理の基本となる多くのアルゴ リズムが必要とされます.本書では,これらのアルゴリズムや IDL の機能や操作法が自然に学習 できるように工夫してみました. 第 1 章で IDL の基本的な使い方とプログラムの作成方法を説明します.第 2 章で図形の変換 や表示を具体例に基づいて学びます.3 次元データを 2 次元平面へ投影するという変換が鳥瞰図 作成の基本ですが,これだけでは自然な鳥瞰図を効率的に作成はできません.多角形の塗りつぶ し,隠面の消去,計算の効率化といった技術が必要になります.第 4 章で,これらの技術を解説 します.IDL には,これらの技術を取り込んだ SHADE SURF という,鳥瞰図を作成するプログ ラムが組み込まれています.

順序が逆になりますが,早く鳥瞰図を作成してみたいという方のために第 3 章で SHADE SURF を利用した鳥瞰図の作成を紹介します.鳥瞰図作成のための基本的な事項を確認してから,ラン ドサットの衛星画像とスペースシャトルの DEM を入手します.SHADE SURF には平行投影法 を用いて鳥瞰図を作成することから生じる不都合もあります.第 4 章では透視投影法を用いたよ り自然な鳥瞰図を作成するプログラムも作成します.

本書で利用する GLCF(Global Land Cover Facility) は,世界測地系の地図座標 (UTM) に投 影されたラスターデータで,鳥瞰図を作成するために正確に重ね合わせることもそれほどむずか しくはありません.しかしわれわれが利用できる数値地図や衛星画像には,測地系(地球の位置 や形)や地図への投影法,さらにタイプが異なるデータ(ベクトルデータ)が含まれています.第 5 章では数値地図の種類や特徴を紹介するとともに,日本測地系から世界測地系への座標変換,緯 度・経度から UTM 座標へ換算する方法を示します.第 6 章では,リモートセンシングの基本原 理と測定方式を主要な地球観測衛星の紹介もかねながら解説します.また,衛星画像の解析・応 用に必要な処理の流れを,衛星で検知する放射輝度の物理モデルに基づいて紹介します. IDL に関する文献には,販売元から提供されるマニュアルとプログラミングの基本を解説した L. E. Gumley の本があります.しかし,日本語では初心者用の入門マニュアル (Getting Started with IDL) が和訳されているだけでした.本書を通して,一人でも多くの日本の学生や若い技術 者の皆さんに,IDL のよさを知ってほしいと思います.さらにリモートセンシング,地理情報シ ステム,コンピュータグラフィックスなどの分野で開発された要素技術を IDL を通して実用的か つ体系的に結びつけることにより,応用の可能性が広がっていくことを伝えることができれば幸 いです. 本書の執筆の機会を作っていただいたジクー・データシステムズ(株)の大川満二郎氏と編集の 労をとられた共立出版(株)の小山透氏にお礼を申し上げます. 2007 年 7 月  

飯 倉 善 和

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参照

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