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GBRC Vol.38 No ことはないので パネル下面と屋根上面の風圧がほぼ等 βと隙間dの水準を表-1に示す なお 屋根勾配β 4. しくなる Pi1 Pi と考えられる これより ここで は 低層住宅屋根の一般的な屋根勾配である4.5寸勾配 はパネル下面の風圧を屋根上面の風圧で

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Academic year: 2021

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1. はじめに

住宅の屋根上に設置される一般的な太陽光発電システ ムは、屋根葺き材の上に金属製のフレームを設置し、そ の上に太陽光発電パネル(以下、パネルと称す)が取り 付けられるので、屋根葺き材上面とパネル下面の間には 隙間があることが多い(写真-1参照)。そのため、パネ ルには上面だけでなく下面にも外部風による圧力が作用 するので、平成12年建設省告示第1458号や建築物荷重指 針1)に示されている裏側が室内となることを想定した屋 根葺き材の設計用風力係数を適用できず、パネルの風荷 重は適切に設定できない。パネルの設計用風荷重は、JIS C 89552)に従って設定されることもあるが、JIS C 8955 ではパネルを外装材ではなく、構造骨組として扱ってい るため、パネルの風荷重を適切に評価できるかどうか疑 問がある。屋根上に設置されるパネルは、ひとつのモジ ュールの受圧面積が比較的小さく、かつ屋根面上に形成 される渦の影響を強く受けるため、局所的な風荷重を考 慮することが適切であろう。建築物上に設置されるパネ ルの風力係数に関する研究成果が増えてきており3),4) パネルには瞬間的に大きな風力が作用することがわかっ ているので、パネルの耐風設計にはピーク風力係数を用 いることが妥当である。なお、勾配屋根に設置されるパ ネルを対象とした研究例は非常に少ない5),6) 本研究では、切妻屋根をもつ一般的な低層住宅の屋根 上に設置されるパネルを対象とした風洞実験を行ない、 パネルの設計用ピーク風力係数について検討した。なお、 本報は日本風工学会誌の特集7)で報告した内容をもと に、ピーク風力係数の平均化時間を変更し、設計用ピー ク風力係数を再検討した。また、得られた設計用ピーク 風力係数を用いて、一般的な条件での風荷重の算定を行 なった。

2. 風洞実験方法

パネルに作用する風力fは、図-1に示すようにパネル 上面Poと下面Piの圧力差として求められる。パネルと屋 根面との隙間が小さい場合、風は隙間を横切って流れる 写真-1 太陽光発電パネルの設置状況(大和ハウス工業提供) 図-1 パネルに作用する風力の定義 *1 NAKAGAWA Naohiro :(一財)日本建築総合試験所 試験研究センター 建築物理部 耐風試験室 *2 TAKAMORI Koji :(一財)日本建築総合試験所 試験研究センター 建築物理部 耐風試験室 室長代理 *3 NISHIMURA Hiroaki :(一財)日本建築総合試験所 試験研究センター 建築物理部 耐風試験室 室長 博士(工学)

中川 尚大*

1

、高森 浩治*

2

、西村 宏昭*

3

Wind Loads for Solar Panels on a Low-rise Building

低層住宅に設置される

(2)

βと隙間dの水準を表-1に示す。なお、屋根勾配β=24.2° は、低層住宅屋根の一般的な屋根勾配である4.5寸勾配 を想定している。 想定した住宅は、図-2に示す切妻屋根をもつ2階建て の低層住宅であり、壁面の幅B:10m×奥行きD:7m× 軒高h:6m(軒の出0.6m)を基本寸法とし、奥行きDは ことはないので、パネル下面と屋根上面の風圧がほぼ等 しくなる(Pi1=Pi2)と考えられる。これより、ここで はパネル下面の風圧を屋根上面の風圧で代用することと した(f≒Po-Pi2)。なお、一般に風圧は面を押す方向を 正とし、その面に向かう方向に作用風圧を図示すること が多いが、図-1では負の圧力を示している。 パネルに作用する風力は、屋根勾配やパネルと屋根面 の隙間により変化すると考えられることから、本実験で は、屋根勾配とパネルと屋根面との隙間の変化を組み合 わせた計15ケースの測定を行なった。設定した屋根勾配 図-2 想定した低層住宅および太陽光発電パネルの配置 図-3 実験模型における屋根勾配およびパネルと屋根面との隙間を変化させるための工夫 屋根勾配β 10°、20°、24.2°、30°、40° 隙間 d 1、3、5mm(実寸の 30、90、150mm 相当) 表-1 測定ケース

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3. 実験結果

3. 1 風圧係数およびパネルの風力係数の定義

測定された各測定点の風圧は、住宅模型の屋根平均高 さHにおける平均速度圧で基準化し、式(1)の風圧係数 CPで表した。 CP=P/qH ………(1)  P :各測定点の風圧(N/m2  qH :屋根平均高さHでの平均速度圧(N/m 2 パネルの風力は、モジュール毎に配置された上面4点、 下面4点の面積平均された風圧の差圧によりモジュール 毎の風力 f を求め、式(2)の風力係数Cfで表した。なお、 後述する模型製作方法の都合上、屋根勾配によって変化 させている。通常、太陽光発電パネルは南向きの屋根面 に設置されることから、切妻屋根の片面のみにパネル模 型を設置した。太陽光発電パネルを構成するひとつのモ ジュールは、一般的なサイズである約1m2(1.06m× 0.96m)程度のものを想定し、けた行き方向10枚×張り 間方向4枚の計40枚を配置している。軒先およびけらば 端からのパネルの距離はいずれも0.3mとした。 実験模型の縮尺は、パネル部分での風圧測定の加工の 都合により1/30とした。実験模型は、ひとつの屋根模型 で屋根勾配とパネルと屋根面との隙間を変化できるよう に工夫されている。屋根勾配の変化は、図-3の(a)に示 すように棟の部分の角度を変化させることにより行なっ た。屋根面とパネルの隙間の調整はパネル模型を上下移 動させることにより行なっており、実験模型では図-3 の(b)に示すようにパネル模型を支える真鍮パイプ(導 圧パイプ)をシリコンゴムブロックで支持(接着せずに 摩擦により支持)することによって、屋根上面からの漏 気がない状態でのパネル模型の上下移動を実現してい る。なお、パネル模型の厚さは3mmである。 風圧測定点は、1モジュールにつき上面4点、下面4点 の計8点とした。風圧測定点の配置を図-4に示す。風圧 測定点を配置したモジュールは、模型形状の対称性を考 慮してパネル全体の半分に相当する20モジュールに配置 した(図-2参照)。風向角θは、パネルが設置された屋 根面が風に正対する風向をθ=0°とし、時計回りに0° ~355°の5°間隔の72風向について行なった。 各測定点に作用する風圧は、風圧測定点の位置に設け られた直径1mmの測定孔から導圧パイプ(真鍮パイ プ)および導圧チューブ(ビニールチューブ)を介して 圧力計に導いて測定した。圧力計からの電気信号は、 A/D変換器により200Hzのサンプル周波数でコンピュー タに取り込み、導圧チューブの伝達特性を用いて風圧波 形の補正を行なった後、全ての風圧時系列データをコン ピュータに保存した。風圧測定の測定条件を表-2に示 す。 風洞気流は、地表面粗度区分Ⅱに概ね相当する乱れ強 さ約20%の乱流とし、模型の風上側に設置した格子によ り気流の乱れを与えた。風洞気流の特性を図-5に示す。 風速の鉛直分布のべき指数はα=0.15程度であった。ま た、変動風速のパワースペクトルから求めた渦のスケー ルは、0.18m(実スケール換算5.4m)である。 上面測定点 下面測定点 図-4 1モジュールあたりの風圧測定点 実験風速 10m/s 風速スケール 1/2.5 時間スケール 1/12 サンプリング周波数 200Hz ローパスフィルター なし 10 分間相当のデータ数 10000 個 表-2 風圧測定条件 図-5 風洞気流

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が追従しないことがあり、Cfが瞬間的に大きくなること がある。パネルの設計風荷重は、この瞬間的な風力(ピ ーク風力)をパネルの設計用の風力係数として用いる必 要がある。そこで、パネルのピーク風力係数は、実時間 の10分間相当の風力係数の時系列を作成し、その正側お よび負側のピーク値の5回のアンサンブル平均値として 求めた。ピーク風圧の平均化時間の設定については明確 な基準はないが、モジュールが屋根面に取り付けられた 状態での固有周期に近い風圧変動までモジュールが追従 すると考えると、ピーク風圧もそれに相当する平均化時 間に設定する必要があると考えられる。そこで、本実験 では実物モジュールの固有周期を0.1 ~ 0.5秒程度である と仮定し、ピーク風圧の平均化時間を実時間の0.2秒間 (実験上の0.017秒間)相当に設定した。

3. 2 平均風圧係数

パネル上面および下面の平均風圧係数分布の例を図-7 に示す。ここでは、パネルと屋根面との隙間d=3mm(実 寸で90mm相当)の場合の屋根勾配β=10°、24.2°、40° の結果について示している。 低勾配の屋根においては風上側コーナー付近で局所的 に非常に強い負圧が発生するが、図-7に示す結果ではパ ネルの上下面ともにそのような非常に強い負圧は見られ ず、例えば屋根勾配β=10°における風向角θ=45°では パネル上面でCp=-1.0、下面でCp=-1.2程度であった(図 -7(a))。これは、パネルの設置位置が端部からセットバ ックしていること、屋根上面とパネル下面に隙間がある こと、屋根上面とパネル上面に段差があることなどが、 その要因であると考えられる。この傾向はパネルと屋根 これにより求められる風力係数は約1m2の面積平均値で ある。また、風力係数においても屋根平均高さHにおけ る速度圧qHで基準化している。  Cf= f /qH ………(2)  

f

P

(i)

u

A

(i)

u /

A

i

Σ

P

(i)

l

A

(i)

l /

A

i

Σ

f :モジュール毎の風力(N/m2) Pu 、Pl:上面および下面の各測定点の風圧(N/m2) Au 、Al:上面および下面の各測定点の負担面積(m2) A :1枚のモジュールの面積(m2)      

A

Au

(i)

i

Σ

Al

(i)

i

Σ

全測定点で同時に測定された風圧から得られたパネル 上面とパネル下面の風圧係数Cpu、Cplおよびパネル風力 Cfの時間変化の例を図-6に示す。パネル上面の風圧Cpu とパネル下面の風圧Cplの時間平均値は概ね同程度の値 を示しており、パネルの平均風力係数Cfは概ね0付近の 値となる。しかし、Cpuが瞬間的に大きくなるとき、Cpl 図-6 時系列データの例 図-7 平均風圧係数の分布(隙間d=3mm)

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どのケースにおいても大きくならない。

3. 3 ピーク風力係数

正側および負側のピーク風力係数Cfmax、 Cfminの風向 による変化の例として、屋根勾配β=10°および24.2°(い ずれも隙間d=3mm)の結果を図-8に示す。測定対象の 20枚のモジュールのピーク風力係数の測定値は、4つの 部位(けらば部、棟部、軒部、一般部)に分けて、それ ぞれ部位ごとに異なるマークで図に示している。 面との隙間が小さいd=1mmの場合でも同様であった。 屋根勾配β=24.2°における風向角θ=135°付近では、 風上側けらばから棟に沿ったエリアで屋根上面の負圧が 大きくCp=-1.5を超える値を示す(図-7(b))。この場合 においてもパネル下面には比較的強い負圧が作用してい るので、上方向への平均風力は比較的小さい。屋根勾配 β=40°の風向角θ=0°においては、パネルが風上側と なる風向で屋根の上面の広い範囲で正圧が作用するが、 パネル下面ではほとんどの部位で負圧が作用する(図-7 (c))。パネル上下面の平均風圧の差(平均風力係数)は、 図-8 ピーク風力係数の風向による変化の例

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これらの測定ケースでの正側のピーク 風力係数Cfmaxは、いずれの部位におい ても測定対象のモジュールが風上側にな る風向角θ=0°~90°で大きくなる傾 向にある。全てのモジュールでCfmaxが 最も大きい値を示すのは、どちらのケー スにおいてもけらば部近くのモジュール であり、その値はいずれも2.3程度であ る。その他の部位のモジュールにおいて もCfmaxの全風向中の最大値は概ね1.5~ 2.0を示しており、部位の違いによる差 は比較的小さいと考えられる。負側のピ ーク風力係数Cfminは、部位によって最 小値(絶対値の最大値)を示す風向が異 なるが、各部位での全風向中の最小値 は、屋根勾配β=10°の場合で-1.0~ -2.2、屋根勾配β=24.2°の場合で-1.0~ -1.7の範囲にあり、部位による差があ る。このような傾向は他の測定ケースに おいても概ね同様であった。 ピーク風力係数の全風向中の最大値お よび最小値(以下、最大・最小ピーク風 力係数と称す)の分布の例として隙間d =1~5mmにおける屋根勾配β=10°、 24.2°、40°での結果を図-9に示す。こ の図では、各パネルの風力係数をそれぞ れの位置での棒グラフで表している。最 大ピーク風力係数の分布の傾向は、屋根 勾配によって大きく変化しないが、パネ ルと屋根面との隙間の大きさで若干変化 する(図-9(a))。どのケースにおいても 概ねけらば部のパネルで大きくなり、け らば部での最大ピーク風力係数の最大値 は1.6~2.3である。けらば部で大きくな るのは、風向角θ=0°~90°の風向の 場合に下面の負圧が大きくなるので、パ ネルを下方向に押す風力が大きくなる。 その他の部位での最大ピーク風力係数の 最大値は1.2~1.9を示し、けらば部よりや や小さくなるが、部位による差は比較的 小さい。最小ピーク風力係数の分布は、 屋根勾配やパネルと屋根面との隙間の大 きさにより異なる傾向を示す(図-9(b))。 隙間d=1mmや屋根勾配β=40°では一 図-9 最大・最小ピーク風力係数分布の例

(7)

係数の最小値は、屋根勾配βの増加に伴って絶対値が減 少する傾向にあり、概ねCfmin=-1.0 ~ -2.5の範囲で変化 す る。 な お、 β =20 °付 近 の 屋 根 勾 配 で の 隙 間d= 150mm(実寸)では、負のピーク風力係数が-2.5より低 くなる(絶対値が大きくなる)場合もある。パネルと屋 根面の一般的な隙間は100mm(実寸)以下であると考 えられることから、設計に用いる負のピーク風力係数は、 屋根勾配βによりCfmin=-2.2(β=10°)から-1.3(β= 40°)に直線的に変化させた値に設定することが妥当で あると考えられる。ただし屋根勾配β=20°付近で、パ ネルと屋根面の隙間が100mm(実寸)を超える場合には、 ピーク風力係数の割増を考慮する必要がある。これらの 様な分布に近くなり、その他の屋根勾配や隙間の大きさ では棟部で大きくなる傾向にある。棟部で大きくなるの は、風向角θ=135°~180°の風向の場合であり、上面 の負圧が大きくなるのでパネルを上方向へ引く風力が大 きくなる。また最小ピーク風力係数は、屋根勾配の増加 に伴って全体的に絶対値がやや小さくなる傾向にある。 最小ピーク風力係数の最小値となる部位は、屋根勾配に よって異なる。 多くの基規準では、外装材等の設計用風力係数がゾー ニングして設定されている。しかし、本実験で得られた 太陽光発電パネルの最大ピーク風力係数の部位ごとの最 大値(けらば部、棟部、軒部、一般部の各部位での最大 値)は、部位によって顕著な差がないこと、また最小ピ ーク風力係数の各部位での最小値は、屋根勾配やパネル と屋根面との隙間によって複雑に変化することから、設 計用ピーク風力係数を設定する際のゾーニングの適用が 難しく、またその必要性も低いと考えられる。

4. 設計用ピーク風力係数の検討

各測定ケースにおける全パネルのピーク風力係数の最 大値および最小値を表-3に示す。また、それらの屋根勾 配による変化を図-10に示す。同図にはJIS C 89552) の風力係数*も併せて示している。 この結果によれば、ピーク風力係数の最大値は屋根勾 配βや隙間dに関わらず、Cfmax=2.0 ~ 2.3程度の値を示 しており、設計用の正のピーク風力係数としてはCfmax =2.3の一定値が妥当であると考えられる。ピーク風力 図-10 ピーク風力係数の全パネル中の最大値および最小値の屋根勾配βによる変化 表-3 ピーク風力係数の全パネル中の最大値および最小値

(8)

こでは表-3に示す風力係数を用いて、β=20°では-2.67、 β=24.2°では-2.38として風荷重を求めた値である。 正の風荷重は屋根勾配で変わらず0.87 kN/m2、負の風 荷重は-0.83 kN/m2(β=10°)~ -0.49 kN/m2(β=40°) となる。なお、屋根勾配β=20°付近で隙間d=100mm を超える場合では、最大で-1.01 kN/m2となる。図-12か ら分かるように、本研究でのピーク風力係数の提案値を 用いて求めた風荷重は、JIS C 8955で求められる風荷重 を大きく上回る。 なお、ここで示した風荷重は一般的な条件設定での値 値は、JIS C 8955の値を大きく上回る。 *:JIS C 8955に示された平均風力係数Cwにガスト影響係数 Gf(=2.2:地表面粗度区分Ⅱ)を乗じた値をピーク風力係数 として示した。

5. 太陽光発電パネルの設計用風荷重の算定

本研究で得られたピーク風力係数を用いて、平成12年 建設省告示第1458号により、一般的な2階建の住宅に設 置される太陽光発電パネルの設計用風荷重を試算した。 算定条件を次に示す。 [算定条件] 地表面粗度区分:Ⅲ(ZG=450m、α=0.20) 基準風速V0:34m/s(一般的な地域を想定) 基準高さH:7m(屋根平均高さ) 設計用風荷重Wは式(3)により算定する。 W=q−×Ĉf ………(3)  W :設計用風荷重[N/m2  q− :設計速度圧[N/m2   q−=0.6×Er2×V 02    Er:平均風速の鉛直分布を示す係数     Er=1.7×(H/ZG) α  Ĉf :ピーク風力係数(4章での提案値) 地表面粗度区分は平成12年建設省告示第1454号をもと に設定した。同告示では、海岸から500mより離れた地 域や海岸より500m以内の地域において建物高さが31m 以下の場合、また海岸より200m以内の地域において建 物高さが13m以下の場合は地表面粗度区分Ⅲとなる(図 -11参照)。一般的な住宅は建物高さが13m以下になるこ とから、本検討では地表面粗度区分Ⅲを採用した。なお、 風洞実験は地表面粗度区分Ⅱの気流中で行なったが、風 力係数の値は地表面粗度区分Ⅲの地表面粗度にも適用で きると考えられる。 上記により求められた風荷重の屋根勾配βによる変化 を表-4および図-12に示す。図中の太い実線は提案値の 風力係数により求めた風荷重、細い破線はJIS C 8955の 算定式により求めた風荷重である(ガスト影響係数Gfは 地表面粗度区分Ⅲの2.5を設定した)。また△は、β=20° 付近の屋根勾配で、隙間d=100mmを超える場合に、設 計用ピーク風力係数が提案値よりも大きくなるので、こ 市街地調整区域内 市街地調整区域外 (建築物の高さ) (建築物の高さ)

31m

m 3 1 m 3 1

0m 200m 500m (海岸線又は湖岸線からの距離) ※「海岸線又は湖岸線」は対岸までの距離が1500m以上のものとする 図-11 地表面粗度区分の適用範囲 図-12 設計用風荷重(kN/m2 表-4 設計用風荷重(kN/m2

(9)

であり、基準風速V0や基準高さHによって、設計用風荷 重が異なるので注意されたい。

6. まとめ

低層住宅の切妻屋根上に設置される太陽光発電パネル の風力係数を風洞実験により求め、設計用ピーク風力係 数を検討した。得られたピーク風力係数より一般的な条 件で設計用風荷重を算定した。 パネルに作用する時間平均風力係数はほぼゼロである ことが多いが、瞬間的なピーク風力係数は大きい値を示 すことがあり、これらを設計用ピーク風力係数として設 計風荷重を設定する必要がある。 正側の設計用ピーク風力係数は、屋根勾配に関わらず 2.3の一定値を設定することが妥当であると考えられる。 負側の設計用ピーク風力係数は屋根勾配10°で-2.2、屋 根勾配40°で-1.3とし、その中間の屋根勾配では10°と40° の値をもとに直線補間した値に設定することが妥当であ ると考えられる。ただし、屋根勾配が20°付近でパネル と屋根面との隙間が100mm(実寸)を超える場合には、 負の設計用ピーク風力係数を割増する必要がある。 得られた設計用ピーク風力係数をもとに一般的な2階 建住宅に設置されるパネルの設計用風荷重の試算をし た。算定条件は、地表面粗度区分Ⅲ、基準風速V034m/s、基準高さHは屋根平均高さで7mとした。正の風 荷重は屋根勾配で変わらず0.87kN/m2、負の風荷重は最 大で-0.83 kN/m2(勾配10°)であった。なお、本研究で 求められた風荷重は、JIS C 8955で求められる風荷重を 大きく上回る。 【参考文献】 1) 日本建築学会,「建築物荷重指針・同解説」,2004,p.41-p.49 2) JIS C 8955:2011「太陽電池アレイ用支持物設計標準」 3) 山本学,近藤宏二「建築物の陸屋根に複数設置した太陽電 池アレイに作用する風力特性」,第21回風工学シンポジウム 論文集,2010,p.345-p.350 4) 扇谷匠己,岡崎充隆,神田亮,「太陽光パネルに作用する風 荷重に関する研究」,日本建築学会大会学術講演梗概集(北 陸),構造Ⅰ,2010年9月,p.169-p.170 5) 西村元吾,中川尚大,高森浩治,西村宏昭,「切妻屋根に設 置される太陽電池パネルの風荷重(その1)」,日本建築学会 大会学術講演梗概集(北陸),構造Ⅰ,2010年9月,p.165- p.166 6) 中川尚大,西村元吾,高森浩治,西村宏昭,「切妻屋根に設 置される太陽電池パネルの風荷重(その2)」,日本建築学会 大会学術講演梗概集(北陸),構造Ⅰ,2010年9月,p.167- p.168 7) 高森浩治,中川尚大,山本学,吉田昭仁,奥田泰雄,中村修, 「低層住宅に設置される太陽光発電パネルのピーク風力係 数」,日本風工学会誌,第36巻,第4号(通号129号),p.382- p.389,平成23年10月 【執筆者】 *1 中川 尚大

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