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<情報教育研究班>

【研究主題】

『確かな学力を育むIT授業の在り方』

~課題解決を支援する情報機器の適切で効果的な活用を通して~

~ 目 次 ~

Ⅰ 主題設定の理由···情報1 Ⅱ 主題の意味···情報2 Ⅲ 研究の目的···情報3 Ⅳ 研究の仮···情報3 Ⅴ 研究の構想···情報4 Ⅵ 研究の経過···情報4 Ⅶ 研究の実際···情報5 〔実践事例1〕課題解決を支援するために,算数科学習過程において効果的に情報機器を活用し た実践 小学校第3 学年算数科「長方形・正方形」 ···情報5 〔実践事例2〕国語科学習課程において表現力を高めるために情報機器を活用した実践 小学校第2 学年国語科「あったらいいなこんなもの」 ···情報11 〔実践事例3〕意欲的に追求活動を行う子どもを育てるための情報機器の適切で効果的な活用を した実践 小学校第5 学年理科「台風と天気の変化」···情報17 〔実践事例4〕表現力の向上を支援する国語科学習における情報機器活用の実践 小学校第3 学年国語科『本と友だちになろう「本は友だち」』···情報23 〔実践事例5〕ソーシャルスキルを高めるシミュレーション型のデジタル教材を活用した実践 養護学校高等部第3 学年 生活単元学習「社会に出るための準備をしよう」···情報29 Ⅷ 研究の成果と課題···情報35

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「確かな学力を育む

IT授業の在り方」

∼課題解決を支援する情報機器の適切で効果的な活用を通して∼ 研究の概要 新学習指導要領での21世紀に向けた教育改革が動き出す中で,情報化社会の更なる進展を 視野に入れた指導要領改訂では,「情報教育の小・中・高を通した系統的推進」が高く挙げら れました(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku/korekara.htm)。教育界で大き な話題を呼んでいる「総合的学習の時間」における課題の一つにも「情報」が例示されている 他,新学習指導要領の総則や各教科の中に情報教育の推進が明記され,また,高等学校普通科 でも教科「情報」が必修になるなど,先進的なIT[Information Technology](情報技術)を利 用した情報教育が本格的にスタートしました。 情報教育の使命は,個人の創造性が発揮される情報化社会において,世の中で起こっている ことに対して,自分の意見をはっきり伝えることができる勇気を持った人材を育てることだと とらえます。そこで,人間のコミュニケーション力と創造性の育成を支援する道具として,情 報機器の適切で効果的な活用と※「IT授業」の充実を通して,児童・生徒が,自分の可能性を最 大限に発揮できるような授業改善を柱として研究を推進してきました。 ※IT授業:教科教育目標を達成するために情報機器を適切で効果的に活用した授業 キーワード : IT授業 情報教育 確かな学力 Ⅰ 主題設定の理由 1 社会の要請から 現代社会では,情報ネットワークをメディアとして,様々な情報が飛び交っている。高度情 報通信ネットワーク社会が進展していく中で,児童・生徒達が,コンピュータやインターネッ トを活用し,情報社会に主体的に対応できる「情報活用能力」を育成することは非常に重要で ある。 こうした,情報化に対応した教育を実現するため,IT戦略本部が策定した「e-Japan重点計画」 等に基づき,「平成17年度までに,すべての小中高等学校等が各学級の授業においてコンピ ュータを活用できる環境を整備する」ことを目標に,教育用コンピュータの整備やインターネ ットへの接続,教員研修の充実,教育用コンテンツの開発・普及,教育情報ナショナルセンタ ー機能の充実などを推進している。 さらに,文部科学省は,初等中等教育におけるITの活用の推進に関する検討会議を開き,平 成14年8月に「ITで築く確かな学力∼その実現と定着のための視点と方策∼」を出している。 その中で「∼『確かな学力』を育む場としての学校において,ITの効果的な活用は様々な新し い可能性を秘めており,我々はその可能性を追及する必要がある。」としている。 このような国の方針に対して,福岡県や久留米市においても,情報教育推進事業において, インターネットやコンピュータなどの「新しい道具」を使うことによって多様な授業が展開で きるように支援している。 このように,授業におけるITの効果的な活用が求められている現状がある。本研究班では, 情報機器の適切で効果的な活用を通して,教科教育等の目標に照らし合わせた「IT授業」を確 立させていくことが必要であると考える。そのために,授業における教材の開発・活用と情報 機器の適切で効果的な活用を具体的な手だてとして,授業者によって適切で効果的な活用がで きる授業の在り方を目指しながら,実際の授業における検証で研究・開発に取り組みたいと考 える。

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2 児童・生徒の実態から 児童・生徒を巡る状況においては,家庭でのコンピュータやインターネットを活用する環境 があり,その数が益々増加している。久留米市内においてもブロードバンド化が進み,数多く の情報に触れる機会が増えている。 このような状況において,児童・生徒の情報活用能力の育成を主眼とする情報教育(リテラ シー授業)と教科等の教育目標の達成を主眼としてITを活用する「IT授業」を充実させていく 必要がある。学校においても,総合的な学習の時間をはじめとして,調べ学習や発表といった 形での活用が行われ,児童・生徒の意識の中では,学習の中における効果的な道具としての位 置づけが定着してきている。 このように,道具という特別に意識しない使い方が授業場面で見られるようになり,コンピ ュータについて「当たり前のもの」といった意識の変化がみられる。この意識の変化を学習の 中で生かしていくための方法が求められている状況にある。 3 これまでの研究の積み上げから 昨年度まで,コンピュータのリテラシーと授業改善を見込んだ教材開発を研究の柱として, コンピュータの活用の工夫を追求してきた。コンピュータのリテラシー面では,教職員のリテ ラシー向上及び情報モラルについての研究がなされ,教材開発の分野では,課題解決学習を仕 組みながら,コンピュータで作るデジタル教材による効果的でわかる授業や活動を検証してき た。研究で明らかになってきたことは,授業におけるコンピュータの活用は,定着してきてい るものの,活用の方法や授業での効果的な教材を仕組むことが未発達であるように考える。 このことを具体的なものにするために,「IT授業」の在り方に焦点を絞ることとした。誰で もが,授業づくりの中で情報機器の適切で効果的な活用と教科の教育目標達成のための教材開 発を今年度の研究の柱としている。 以上の観点から,研究主題を『確かな学力を育むIT授業の在り方』副主題に「課題解決を支 援する情報機器の適切で効果的な活用を通して」とした。 Ⅱ 主題の意味 1 「確かな学力を育む」とは 刻々と変化する21世紀の社会環境の中,現代の児童・生徒達には,[生きる力]を身に付 けさせることが求められている。[生きる力]は,[確かな学力],[豊かな人間性],[健 康と体力]の3つの要素からなる(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku/korekar a.htm)。[生きる力]は,知識や技能はもちろんのこと,これに加えて,「学ぶ意欲や自分で 課題を見付け,自ら学び,主体的に判断し,行動し,よりよく問題解決する資質や能力」であ ると定義づけている。これを育成するために,学習活動の中で個に応じた課題を設定し,「基 礎・基本」「学ぶ意欲」「思考力」「判断力」「表現力」「知識・技能」「学び方」「問題解 決能力」「課題発見能力」「情報活用能力」までを含めた[確かな学力]を身に付けることが できる効果的な学習方法の研究や教材の活用による授業改善を主眼としながら,教育の質を高 めていくことである。 2 「IT授業」とは ITとは,情報技術[Information Technology] の略であり,主にコンピュータとその周辺機 器,ネットワークを活用する技術である。また,「IT授業」とは,「情報機器の適切で効果的 な活用を通して,教科の教育目標達成を主眼とする授業」のことである。それは,いつでも, どこでも,誰でも,コンピュータやネットワークを介しながらアクセス可能な学習支援教材や 情報機器で児童・生徒の学習を支援できる授業でもある。

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さらに,「IT授業」においては,情報機器の充実,校内LAN・サーバの設置により,コンピ ュータ室や各教室において一人ひとりに教材が用意され,ひとり学びができ,また全員が閲覧 し交流することのできる授業への改善も求められている。 このように,「IT授業」には,情報活用能力育成のための情報リテラシー授業と教科の教育 目標達成のためのIT授業とを連携させながら,児童・生徒の課題解決を支援する生きる力を育 む確かな学力を身に付けられる情報機器の適切で効果的な活用が必要とされる。 3 「課題解決を支援する」とは 「課題解決」とは,[確かな学力]の一つの要素である「課題発見能力」「問題解決能力」 を生かしながら,自分で課題を見付け,自ら学び,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を 解決できることであると考える。そのためには,児童・生徒達に自ら問題を発見する力と問題 をよりよく解決する力を身に付けさせなければならない。しかし,初めて直面する問題などに は,独力で解決することが困難であると思われる。そこで,教師の支援が必要となってくるの である。支援によって,個に応じた指導や学ぶ楽しさを味わわせることは,さらに必然性が増 し,大切なことであると思われる。つまり,「課題解決を支援する」とは,個に応じた指導の 工夫や学ぶ楽しさを味わわせる指導の工夫を通して,よりよく問題を解決する能力を伸ばすこ とである。 4 「情報機器の適切で効果的な活用」とは 学習活動において情報機器を活用するときは,児童・生徒の実態を考慮し,以下のようなこと を考えておく必要がある。 (1)どのような機器を活用するか。特性をどう活用するか。 ・コンピュータ(加工編集),デジタルカメラ(教材・導入での視覚効果),デジタルビデ オカメラ(導入などで動きのある映像でより視覚効果を高める),スキャナー(生徒作品 の画像提示),プロジェクター(教材などの拡大投影),実物投影機(実物を確認し易く させる効果)など (2)どのような教材を活用するか。 ・教師が操作し提示する教材 ・児童・生徒が操作し,活用する教材 (3)単元のどの段階で活用するか。 ・導入,展開,終末,単元全体を通して (4)1単位時間内のどの段階で活用するか。 ・導入,展開,終末,全体など これらのことを考慮に入れ,児童・生徒達の確かな学力を育む上でもっとも効率がよいと思わ れるものを選択していくことが「情報機器の適切で効果的な活用」であると考える。 Ⅲ 研究の目的 教科の教育目標達成を主眼としながら,確かな学力を身に付けさせるために,児童・生徒に おける課題解決学習の支援となる情報機器の適切で効果的な活用を通した「IT授業」の在り方 を検証する。 Ⅳ 研究の仮説 課題解決に向けた学習活動の中で,情報機器の特性を生かした「IT授業」を工夫すれば, 児童・生徒は,意欲的に学び,正しく判断し,自己の表現や思考を豊かにしようとするの で,主体的に学習に取り組み,自ら課題解決する子どもが育つであろう。

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Ⅴ 研究の構想 1 情報機器の適切で効果的な活用をした「IT授業」の検証 (1)教科の教育目標達成のための情報機器の適切で効果的な活用 (2)自らの課題解決力を育成する情報機器の適切で効果的な活用 2 情報機器を活用し,教材開発を行った「IT授業」の検証 (1)教科の教育目標達成のために情報機器を活用した教材開発 (2)情報機器を活用して課題解決を支援するための教材開発 研究構想図 Ⅵ 研究の経過 月 日 曜 内 容 月 日 曜 内 容 18 水 調査研究の進め方 5 25 水 研究主題・副主題・研究構想について 10 26 水 検証授業:豊福研究員(草野小) 古野研究員指導案審議 6 月 研究主題・副主題・研究構想について 9 水 検証授業:古野研究員(柴刈小) 向井研究員指導案審議 6 21 火 講師:大後忠志教授招聘 指導助言:研究の構想・授業構想 11 22 火 検証授業:向井研究員(久養護) 13 水 研究構想の見直し 12 19 月 検証授業のまとめ・研究のまとめ 7 26 火 授業構想について 11 水 研究紀要原稿の内容検討 11 木 検証授業について(夏季研修会) 12 金 検証授業について(夏季研修会) 1 24 火 講師:大後忠志教授招聘 指導助言:研究のまとめについて 8 23 火 第1回指導案審議(全研究員) 6 月 指導助言をうけて紀要原稿の再考 14 水 平島研究員指導案審議 21 火 研究修了報告会準備 2 27 月 研究修了報告会・研究員終了式 9 28 水 検証授業:平島研究員(山川小) 田中研究員指導案審議 3 7 火 研究紀要原稿最終提出 10 12 水 検証授業:田中研究員(水分小) 豊福研究員指導案審議 学び方・意欲 表現力 基礎・基本 判断力 思考力

教科の教育目標に応じた実践

確かな学力を身に付けた子ども

児童・生徒の実態

支援

支援

問題解決力 確 か な 学 力

課題解

決学習

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Ⅶ 研究の実際

課題解決を支援するために,算数科学習過程において

効果的に情報機器を活用した実践

小学校 第3学年 算数科 「長方形・正方形」 久留米市立山川小学校 教諭 平 島 雅 之 実践の概要 本実践は,小学校第3学年算数科「長方形・正方形」を検証単元とし,算数科学習過程における 効果的で適切な情報機器の活用を通して,課題解決を支援する IT 授業の在り方を追究するもので ある。算数科の学習活動では,学習内容と実生活との関連,児童がゆとりを持って課題を見つけた り問題を解決したりすること,学ぶことの楽しさや充実感を味わうことが重視されている。 そこで,本実践では,情報機器を活用した学習と実際の体験活動(算数的活動)の両方を1単位 時間内で行うことによって,学習内容への関心を高め主体的に課題解決ができるよう支援し,学ぶ ことの楽しさや充実感を味わわせることをねらった。具体的には,プロジェクターによる学習課題 の提示・情報機器活用自作教材による習熟といった情報機器を活用した学習場面と紙を折ったり(作 業的な算数的活動)身の回りから直角になっているものを探したり(体験的な算数的活動)する学 習場面を設定した。 キーワード:長方形・正方形,直角,情報機器活用自作教材 1 本単元の指導の立場 (1)児童の実態から 本学級の子どもたち(男子22名,女子16名)は,算数の学習に意欲的で自分の考えを積極的 に発表したり練習問題に熱心に取 り組んだりしている。 図形領域について,前学年まで に次のような学習を行ってきてい る。第1学年において,身の回り にあるいろいろな立体について。 第2学年においては,身の回りに あるいろいろなものの形について, 特に三角形と四角形。また,今年 1月に実施した第2学年の内容の CRT 学力テストの結果によると, 全国得点率76.2に対して学年得点率80.3と高い数値を示していることから,図形領域に関 する理解度は高いと言える。しかし,細かく中身を見ていくと,三角形や四角形を見つける問題の 得点率は高いものの,色板を用いた形作りの問題についてはそれほど高くないことが分かる。 コンピュータを利用した授業については,年間8時間のコンピュータリテラシーの授業を第1学 年から2年間受けてきている。お絵かきやカレンダー作りを通してマウスの使い方やアイコンの選 択操作の方法を,名刺作りや年賀状作りを通して文字パレットを利用しての仮名入力などを経験し てきている。また,第3学年になり総合的な学習の時間においてインターネットを活用した学習は 図1 図形領域得点率の比較 16年度 CRT学力テスト 図形領域得点率の全国平均との比較 学年 学年 学年 全国 全国 全国 0.0 50.0 100.0 得 点 率 学年 58.0 97.8 80.3 全国 55.3 90.5 76.2 形作り 弁別 全体 【実践事例 1】

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経験しているものの,各教科の学習においてコンピュータを活用した経験はない。しかし,コンピ ュータに関する興味・関心は高く,休み時間に教室に設置しているコンピュータを利用して遊んで いる子どもたちの姿を多く見かける。 (2)本単元でのコンピュータの位置づけ 本単元では,直角・辺の長さ・頂点などの図形を構成している要素に着目しながら,正方形,長 方形,直角三角形という基本的な図形について理解できるようにすることをねらいとしている。 これらの構成要素の中で中心となるのが「直角」である。教科書やノート,ランドセル棚など子 どもたちの身の回りには直角を持つ図形が多い。日常に多く使われる理由は,整理しやすかったり 強度が強かったりという直角の持つ機能性にあると思われる。したがって,「直角」が機能的で扱い やすいということに気づかせていくことが,本単元の学習内容の理解において必要だと考える。そ のためには,かく・並べる・折る・切るなどの活動を十分に行い,図形にふれることが大切である。 それに加えて,コンピュータを使った学習も取り入れていこうと思う。本実践では,次のような コンピュータの特性を生かそうと考えた。 ①子どもの学習意欲の喚起 ②プロジェクターによる写真の拡大提示 ③ネットワークによる児童コンピュータ画面への写真提示 ④自作教材活用による子どもの実態に合わせた学習 Microsoft 社 PowerPoint を使うことにより,子どもたち自身が操作できる教材を作ることができ る。自作教材を使うことによって,本学級の児童の実態や本時の学習内容に合わせた教材を用いて 学習することができる。 (3)具体的な支援について 本単元の指導にあたっては,図形の構成要素に着目しながら,正方形,長方形,直角三角形につ いて知り,それらをかいたり,作ったり,平面上で敷き詰めたりすることをねらいとしている。そ のためには,つかむ・見通す・広げる・深めるの4段階で学習を構成し,直角の機能性から長方形・ 正方形・直角三角形の性質,作図・敷き詰めから図形の持つ美しさの感得,学習内容の習熟と進め ていく。 つかむ段階では,コンピュータを活用した教材を使用し直角の意味・性質を理解させる。見通す 段階では,長方形・正方形・直角三角形の性質を知るとともに,頂点・辺という用語の理解及び長 方形・正方形の弁別ができるようにする。広げる段階では,作図や敷き詰めの活動を通して図形の 美しさや面の広がりを感得できるようにする。深める段階では,教科書・プリントの練習問題を使 い,学習内容の習熟を図る。 特に,本時ではコンピュータを使い課題を提示することで,学習意欲を喚起するとともに学習の 流れをつかみやすくする。また,子どもたち自身が操作する自作教材を使い,練習問題をすること で意欲を持続させながら学習内容の定着が図れるようにする。 2 目標 (1) 直角や図形を作ったり,調べたりする楽しさやよさに気づく。 (2) 構成要素に着目して,長方形,正方形,直角三角形の概念をとらえることができる。 (3) 直角,長方形,正方形,直角三角形の特長を調べたり作ったりかいたりすることができる。 (4) 長方形,正方形,直角三角形の意味(定義)や簡単な性質を理解することができる。 3 学習指導計画(全8時間) (1)本時主眼 ①進んで,紙を折って直角を作ったり身の回りにある直角のものを探したりしている。(関・意・態) ②直角の意味や用語を理解している。(知・理)

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図2 本時展開のモデル図 (2)単元指導計画 図3 単元構成図 「長方形・正方形」 全8時間 4 指導の実際 (1)授業の仮説 本時の学習過程において,次のような工夫を行う。 ・導入で,子どもたちに身近であるが,実際の物を持ってくることができない物をスクリーン上 に提示する。(情報機器活用による半具体物の提示) ・実際に紙を折り,直角を作る活動を行う。(作業的な算数的活動) ・コンピュータを活用し,本時学習内容を復習できるようにする。(情報機器活用による習熟) ・教室内で直角を探す活動を行う。(体験的な算数的活動) 以上のように,学習過程において,情報機器を活用した学習と実際の体験活動とを行えば,子ども たちは積極的に学習に取り組むので,直角の意味や用語を理解し,日常生活において直角が様々な ところで生かされていることを実感できるだろう。 (2)授業の実際 ①つかむ・見通す段階 この段階は,直角に関心を持ち,学習活動に対する意欲を持たせることをねらいとしている。 プロジェクターを使いビルの写真を3枚提示し,三角形と四角形の定義を確認したあと,その写 真の中にかくれている図形を見つけさせた。子どもたちは積極的に発表し,写真の中から,丸や三 角形,四角形などを見つけ出した。子どもたちが見つけた四角形の中から台形と長方形を取り上げ, どちらも四角形だが形に違いがあるということから,四角形の角の形に着目させた。そして,「ビル の角と同じ形を調べよう」というめあてを持たせた。 長方形の性質 辺・頂点 正方形の性質 辺・頂点 直角三角形の性質 辺・頂点

つかむ

1時間

見通す

3時間

広げる

2時間

深める

2時間 直角について知る 正方形・長方形の性 質から,直角を取り 出しその特長をつ かむ。 (本時) 作図 方眼紙を利用し た作図 敷き詰め 長方形・正方形・ 直角三角形 習熟 練習問題 教科書・プリント つかむ・見通す 広げる 深める 直角の意味や用語 の理解 日常生活において 直角が様々なとこ ろで生かされてい ることを実感 情 報 機 器 活 用 に よる学習 半具体物の提示 作業的な算数的 活動 紙を折って,直 角を作る 体験的な算数 的活動 直角を探す 情報機器活用 による学習 め あ て ビ ル の か ど の 形 と 同 じ 形 を 調 べ よ う 。

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写真1 導入時に提示した3枚のビルの写真 〈考察〉 この段階のねらいを達成するために,次の2点の支援を行った。 手だて① 直角に着目させる目的で,情報機器を活用し,3種類の写真を提示すること。 手だて② 長方形と台形を比較させ,直角に対する視点を取り出すこと。 3枚の写真を提示する際は,プロジェクターとデジタルホワイトボードを使い拡大して提示した。 デジタルホワイトボードを使用することで操作性は大いに高まったが,本校のコンピュータ室の構 造上席が後ろの方の子どもはスクリーンが見にくかったようである。したがって,子どもたちを前 の方に集めるなどの工夫が必要であった。 A 児も画面が見にくかった子どもの一人である。写真が提示されみんなで意見を出し合っている 間,立ち上がるなどして授業に参加していた。B 児は,前の方の席であったため座ったまま画面を よく見,友だちの意見をしっかり聞いていた。「ビルの角の形を調べたくなった?」という質問に対 し,A 児は「わからん,けど楽しそう。図形とかやったことないけど,好きやん。」と答えた。一方, B 児は,「うーん,わからん。」と答えている。 以上のことから,次のようなことが課題として残った。手だて①については,有効な手だてとな りうるが,その見せ方についてもう少し工夫する必要があること。手だて②については,もっと分 かりやすくどの子も調べたいと思うような工夫が必要であること。 ②広げる段階 この段階では,直角の意味や用語を理解させることをねらいとしている。 まず,写真2のように,児童用のコンピュータの画面に課題と同じビルの写真を提示し,角の部 分がどこかがすぐに分かるようにした。次に,不定形の紙を2回折り,ビルの角の形と同じ形を作 り出すという課題を与えた。そして,子どもたちは与えられた紙を折り,ビルの角と同じ形を作る 活動を行った。2回でぴったり重ねることができた子どもを前に出し,折っている様子をスクリー ンに映し全体で折り方を確認した。写真3はその様子である。最後にもう一度,スライドで紙の折 り方を確認し,このように紙を2回折ってできる角の形を直角ということをおさえた。 〈考察〉 この段階のねらいを達成するために,次の2点の支援を行った。 手だて③ 児童用コンピュータの画面に課題と同じ写真を提示すること。 手だて④ 紙を折る様子をカメラでスクリーン上に映したりスライドで説明したりするこ と。 紙を折る活動でA 児は,活動に入る前からノートに折り方を書いて隣の子に見せた。「もう始め ていい?」と聞く様子から,早くやってみたいという意欲が伝わってきた。実際にやってみると, すぐに2回折って直角を作ることができた。写真4は,折った紙の角の部分を目の前のコンピュー タの画面の写真に合わせ,角の形を確認しているC 児の写真である。このように,コンピュータの

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機能を活用することによって,自分が折った物が正確にできているかを目の前ですぐに確認するこ とができた。 B 児は,紙をじっと見たり,回したりするなどしてなかなか折ることができなかった。 やっと折り始めたが,3回4回と折ってしまった。頭の中に長方形があり,その形を作ろうとして いるようだった。写真3のようにスクリーン上で紙の折り方をおさえると,B 児は紙の折り方がだ いたい分かったと言っていた。直角という用語と意味もA 児はすぐに理解することができた。B 児 は,「何となく」という感じだった。 以上のことから,手だて③は自分の作業をすぐに確認できるという点で,手だて④は全体で作業 の確認ができるという点で有効であったと考える。 ③深める段階 この段階では,本時の学習内容を定着させることをねらいとしている。 ここでは,子どもたちを2つのグループに分け,2つの活動を同時進行で行い時間を区切って交 代した。 活動①は,コンピュータを活用した練習問題を解く活動である。 活動②は,広げる段階で作った直角を持って,身の回りの物の中から直角を探す活動である。 活動①では,Microsoft 社 PowerPoint を使い教師が自作した教材を用いて学習を行った。写真5 は,その一部である。内容は,直角になっている角をえらぶ問題と直角をふくむ図形をえらぶ問題 を作成した。子ども自身が操作できるようにしたため,自分のペースで学習を進めることができた。 活動②では,コンピュータ室のカーペット,コンピュータの画面,ホワイトボードなどを見つけ ることができた。全員が2つの活動を終えたところで,見つけた物を発表した。 〈考察〉 この段階のねらいを達成するために,次の2点の支援を行った。 活動①では,A 児 B 児に限らずほとんどの子どもが楽しく意欲的に学習することができた。直角 をふくむ図形を選ぶ問題では,間違える子どももいたため,広げる段階で作った画用紙をあてて確 かめるように指導した。活動②では,B 児も窓のサッシや掃除道具入れ,教師のシャツの模様など 手だて⑤ 教師が作ったコンピュータ活用教材を使い,学習すること。 手だて⑥ 自分で作った直角の画用紙を使い,身の回りの直角を探すこと。 写真2 課題となるビルの角の形 写真3 カメラの下で紙を折る児童 写真4 折った紙を画面に合わせている児童

直角ってどんな角?

直角になっているものをえらぼう。 ア. イ. ウ.

直角ってどんな角?

直角があるものをえらぼう。 あ い え う お か き く ヒント え 直 角 は 4 つ ! もどる ぜんぶ見つけ た人は,こっち 写真5 自作教材の一部

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たくさんの物を見つけることが でき,全体で発表することもで きた。 以上のことから,手だて⑤⑥ は子どもの意欲を高め本時の学 習内容を習熟させる上で有効で あったと考える。 (3)実践事例における全体考察 今回の検証授業では,Microsoft 社 PowerPoint を使い,課題をスクリーンに大きく提示したり自 作教材を使ったりして学習を行った。導入時での情報機器の活用によって,学習のテンポをよくす ることができた。また,情報機器を活用した二次元の活動だけで終わるのではなく,実際に紙を折 って直角を作ったり,作った紙を持って身の回りの直角を探す活動を行ったりすることで,学習し た内容が実生活においてたくさん活用されているということを実感することができた。 5 研究の成果 情報機器を活用した自作教材を使い学習過程の 工夫を行ったことは,次の2点において成果があ ったと考える。 第一に,確かな学力を身に付けさせたという点 である。図4は,単元末テストにおける直角に関 する問題の結果を得点ごとに集計したものである。 これを見ると,15点満点中15点を取った子どもが半数を超え,1問間違えて10点の子どもと 合わせるとほぼ全員ということになる。以上のことから,本時学習を通して,直角という用語の意 味を理解し,どの角が直角であるかを判断できる子どもが育ったものと考える。 第二に,学習意欲を向上させた点である。授業後のアンケートでは,「今日の算数の学習は楽しか ったですか」という問いに対して,38人中37人の子どもたちが「はい」と答えている。その理 由として,コンピュータを使った学習を挙げている子どもは26人,直角を探す活動を理由として あげている子どもは14人いた。ほとんどの子どもが,本時の学習を楽しくいきいきと学ぶことが できた。 以上のことから,算数的活動が重視される算数科学習過程において,情報機器を合わせて使って いくという学習過程の工夫が有効だったと考える。 6 今後の課題 授業前のアンケートで,「これから算数でどんな学習をしてみたいですか」と尋ねたところ,26 人の子どもたちが「パソコンで学習してみたい。」と答えている。コンピュータを使った学習に対す る子どもたちの要求の高さが伺える。これに応えるためにも,1時間の中でどのように活用してい くか,さらに教材開発を進めていくことが必要である。 参考文献 文部省 「小学校学習指導要領解説 算数編」 東洋館 平成11年 日本数学教育学会編「基礎・基本をおさえた 算数科授業作りのポイント 小学校3年」 東洋館 平成14年 赤井利行著 「子どもの活動が創り出す図形学習」 明治図書 平成14年 単元末テスト直角に関する 問題の得点別人数 0 10 20 30 15点 10点 5点 0点 得点 人 数 写真6 活動①の様子 写真7 活動②の様子 図4 単元末テストの得点別人数

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【実践事例2】

国語科学習課程において表現力を高めるために情報機器を活用した実践

小学校 第2学年 国語科「あったらいいなこんなもの」 久留米市立水分小学校 教諭 田中 靖子 実践の概要 本実践は,小学校第2学年国語科「あったらいいなこんなもの」を検証単元とし,国語科学 習課程における適切で効果的な情報機器の活用を通して,表現力を高める IT 授業の在り方を追 究するものである。国語科では,国語に対する関心を高め国語を尊重する態度を育てるととも に,豊かな言語感覚を養い,互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う能力を育成すること が重視されている。 そこで,本実践では,自分が「あったらいいな」と思うものを自分の言葉で友達に分かるよ うに話すために,自分が描いた絵をプロジェクターで大きく映し出しながら話す場を設けた。 また,子どもたちが話している様子や聞いている様子をデジタルビデオ機器で撮影し,話し方 や聞き方が良いか自己評価できるような場も設けた。これらの情報機器の活用を通して,子ど もたちが情報機器に親しみ,自分を表現する楽しさを味わうことをねらったものである。 キーワード:あったらいいなこんなもの,情報機器の活用 1 本単元の指導の立場 (1)児童の実態から 本学級の子どもたち(男子9名女子17名)は,国語の学習において音読することや物語の 登場人物になりきって動作化したりすることが大好きである。話す・聞く領域では,単元「と もこさんはどこかな」で,大事なことに気をつけて聞き意欲的に迷子を捜したり服装をヒント に迷子捜しの問題を出したりしている。自分の考えを作り友達に話したり友達の考えを自分の 考えと比べて聞いたりすることは,だれもがしたい・分かりたいと思っているが,なかなか自 分の考えを作ることができなかったり自分から進んでは話すことができなかったり,友達の考 えを注意して聞くことができなかったりしている。 情報機器を活用した授業については,2年生1学期にキューブきっず(スズキ教育ソフト社) を使ってコンピュータリテラシーの授業を受けているが,実際にデジタルビデオカメラやプロ ジェクターを含めて情報機器を活用した授業の経験は少ない。しかし,コンピュータに関する 興味関心は高く,授業を楽しみにしている。 (2)本単元でのコンピュータの位置づけ 本単元では,子どもたちの表現意欲を高め,「あったらいいな」と思うものを分かりやすく伝 えたり理解したりするために,情報機器を以下のように活用する。 ①導入段階での「ドラえもん」ビデオの視聴 ②基礎基本を作る段階でのノートを拡大するプロジェクター活用,互いの話し方・聞き方を 振り返るデジタルビデオ活用 ③基礎基本を生かす段階での「あったらいいな」と思うものの絵を拡大して提示するプロジ ェクター活用 ④基礎基本を生かす段階での発表の様子を録画するデジタルビデオ活用 (3)具体的な支援について 本単元の指導にあたっては,情報機器の活用以外に以下のような支援の工夫を行う。

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○重視する学び合い(学び方) ・二人組で「あったらいいな」と思うものを考え,絵や言葉にしたり発表練習をしたりする。 その学び方を生かして,四人組で発表し合い,最後は学級全体で発表し合う活動を重視する。 ○重視する感性(学び方) ・友だちの考えをしっかり受け止めようという姿勢で観点に注意しながら聞き,友だちの考え のよさに気づいたりさらに友だちの考えがよくなるようにアドバイスをしたりする。 ・友だちに自分の考えがよく分かるように話す声や話し方に気をつけて話す。 ○評価の工夫(学び方) ・ 話し方の観点を提示し,その観点についてどうだったかを聞き手が評価し,子ども相互に 評価し合い互いを高めていけるような評価(アドバイス)カードをつくる。 ○学習環境の工夫(支援) ・話し方,聞き方の積み上げが意識できるような学習の流れ図を提示する。 2 目標 (1) ドラえもんのポケットから出てくるいろいろな道具から空想を広げ,自分たちの生活に 「あったらいいな」と思うものを意欲的に考えて話したり,友だちが考えたものについて, 興味を持って聞いたりしようとする。 (2)①「あったらいいな」と思うものの名前や理由・様子などがよく分かるように言葉や絵に かき,話す順序や話し方に気をつけて,聞き手によく分かるように話すことができる。 ②「あったらいいな」と思うものの名前や理由・様子などを落とさずに聞き,様子や使い 方,よさなど分からないことは質問することができる。 (3) 「あったらいいな」と思うものの名前や理由・様子などがよく分かるように,目線・姿 勢・口形や主語・述語の関係に気をつけて,丁寧な言葉遣いや場に応じた声の大きさ・速 さで話すことができる。 (4) お互いの発表の様子を情報機器を使って振り返りながらくり返し発表練習することで, 言葉で伝え合うことへの自信とよさを実感することができる。 3 学習指導計画(全14時間) 資料2 単元指導計画 資料1 本時の展開

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(1)本時の主眼 自分が考えた「あったらいいな」と思うものを,聞き手によくわかるように話し方を考えて 話したり,友達の考えを分からないところは質問しながら大事なことを落とさずに聞いたりす ることができる。 4 指導の実際 (1)授業の仮説 本時の学習において,次のような情報機器の活用を行う。 ・つかむ段階での話す聞くを意識するデジタルビデオの視聴 ・つくる,ねりあう段階で,子ども達が描いていた「あったらいいな」と思うものの絵をプ ロジェクターで大型スクリーンに拡大提示 ・練り合う段階②での友達のよさやアドバイスを検証するビデオの視聴 以上のように,学習過程において情報機器を活用した学習を行えば,子ども達は意欲的に学習 に取り組み,自分の考えた「あったらいいな」と思うものを友達に伝えたり友達からくわしく 聞き出そうとするので,伝え合う楽しさや自分の考えを表現することへの自信を味わうことが できるであろう。 (2)授業の実際 ① つかむ段階 まず,写真1のようにデジタルビデオで撮影した前時の 発表や質問,聞き方の様子を全体で視聴した。そして,本 時どんなめあてで自分たちが話したり聞いたりしたいか, 話し合った。ここでは,本時の学習のめあてと見通しをも ち,学習意欲を高めるねらいがある。 <考察> 大型スクリーンでビデオを視聴したことで,検証児のA 児B児も含め子どもたちは興味深く友達の話し方や聞き方 を,見入っていた。そして,友達のいいところに気づいた 上で今までの学習で大切にしてきた話し方・聞き方の観点 で本時の自分のめあてを発表していくことができた。導入 段階で,前時の自分達の話したり聞いたりしている様子を 大画面で視聴することは,子どもたちの学習意欲を喚起し, さらに視覚を通して自分達の話し方や聞き方のよさ改善点 に気づく上で有効であった。 しかし,教師が前時の話す聞く場面の中でなぜその場面を選んだのか,特に本時子どもたち にめあてにしてほしい観点を子どもたちに伝えることは不十分だったので,もっと教師から本 時の学習でどんな話し方・聞き方を大切にするとよいかを焦点化しておくとよかった。 ② つくる段階 この段階においては,子どもたちの話す・聞く意欲や態度を高めるよう子ども達の描いた「あ ったらいいもの」の絵を,Microsoft 社 Powerpoint を使って全員の絵が大型プロジェクターに 映し出されるようにした。発表者は,大型スクリーンに写った自分の「あったらいいな」と思 うものの絵の横に置いた台の上に立ち,指示棒をもちながら自分の「有ったらいいな」と思っ 写真1 前時の発表の様子 写真2 ビデオを視聴する児童

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たものについて,友達に話していった。そのとき,発表者のペアの子が司会をして,進行した り質問者を指名したりした。子どもたちは,見覚えのある自分や友達の絵が画面に映し出され たことに喜びの声を上げた。また,発表者が決まると,その子も絵が効果音と共に大きく映し 出されて更に驚き,興味津々に友達の「あったらいいもの」について話を聞くことができた。 発表後の質問タイムでも絵を手がかりに質問する姿や感想を述べる姿も見られた。A児は,進 んで自分の「あったらいいな」と思うものを発表することができ,また友達の発表に対し進ん で質問したり感想を言ったりすることもできた。B児は,自分の「あったらいいな」と思うも のの発表したり友達への質問や感想したりどちらもできなかったが,しっかり友達の発表を聞 き,アドバイスカードを書き込むことができた。 <考察> プロジェクターで大型スクリーンにコンピュータに取り込んだ子どもたちの画像を拡大して 映し出したことで子どもたちが「あったらいいな」と思うものを友達へ発表するのに自信をも って話すことができたり,聞くほうも友達の作品がどんなものか知る手ががりにしたりするこ とができた。また,全員に話すのにペアで司会と発表をしたことで,話すことに自信をもたせ る機会を増やすことや自分たちで「あったらいいな」発表会を進行することもできた。また, 話す・聞くの観点でお互いを評価するアドバイスカードがあったことで,話す機会がなかった 子や勇気が出ない子も積極的に友達の発表を聞き,それに対する自分の意見を書くことで表現 することができた。ただ,聞いたあとの感想の内容として絵や声の大きさ,道具のよさなどが 多く,本時のめあての話し方や聞き方での感想が少なくなってしまったのに課題が残った。ま た,一人一人発表するのに,かなり時間がかかり1時間に5人の発表しか終わらなかったのも, 時間の確保の上で課題となった。 資料3 子どもたちがかいた「あったらいいもの」の絵 写真3 みんなの前で発表するA児と司会者 写真4 発表を聞くB児や児童

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③ ねりあう段階 この段階においては,本時にビデオで撮影した子どもの話し方・聞き方を一部取り出して子 どもたち全体で鑑賞する予定にしていたが,時間と打ち合わせ不足でビデオを鑑賞する場を設 けることはできなかった。そこで,最後の発表者を練習段階で話し方の詳しい子を指名して発 表を行った。聞いていた子どもたちは,今までの発表者と違い話す内容が多く,詳しいことや 話し方がわかりやすいことに感心していた。 <考察> 授業者とビデオ撮影者は別にして,授業中の子どもたちの話し方・聞き方でどんな場面を撮 影するか打ち合わせておく必要があった。人的支援として,ぜひ T・T の体制を整える必要があ った。また,話し方の上手な子を意図的に指名して発表させた後,話し方のどこが良いのかも っと具体的に価値付ける場が必要だった。時間が足りないことにあせり,押さえが弱くなって しまった。子どもの集中力が持続するのも30分が目安のようだったので,この段階でもう一 度子どもたちの意欲や活動が高まるような学び合いが必要であった。 (3)実践事例における全体考察 今回の研究において,子どもたちは楽しく「あったらいいな」と思うものを表現したり友達 の発表を興味深く聞いて質問や感想を述べたりすることができた。これは,ビデオで自分たち の話し方や聞き方を検証したり,自分たちの絵をプロジェクターを活用して大型スクリーンに 映し出したりした情報機器の適切な活用が,子どもたちの表現意欲を高め,自信をもって話す 聞く意欲を高めるのに効果的であったからであると考える。単元計画では,キューブきっず(ス ズキ教育ソフト社)で絵をコンピュータに直接書き込む学習も体験したが,これは難しい子が 多かったため無理せず紙に書いたものを Microsoft 社 Powerpoint を使ってコンピュータに取 り込んだ。子どもたちは,コンピュータで書き上げられなくてもコンピュータを使った体験を 楽しむことができたし,自分が紙に書いた絵がコンピュータに取り込まれ,大画面に映し出さ れたことをとても喜んでいた。そして,この画面の自分の絵を指示棒で指したりしながら自分 の「あったらいいな」と思うもののことを話すことができたし,聞く方も絵を手がかりに友達 が考えた「あったらいいな」と思うものをイメージすることができ,進んで質問したり感想を 述べたりすることができた。このことから,情報機器を活用した授業は,教科のねらいにそっ て,子どもたちの発達段階を踏まえて行うことが望ましく,その上で本研究のように情報機器 を活用した授業を行うことは,子どもたちの表現力を高めるために有効であったと考える。 資料4 友達へのアドバイスカード 資料5 話す・聞く の自己評価ノート

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5 研究の成果 図1は,単元末に行ったアンケートの結果をグラフ化したものである。これを見ると,本単 元で情報機器を活用した学習を行ったことは,子どもたちが意欲的に学習を取り組み,教科の ねらいである自分の考えを伝え合う楽しさや表現することへの自信を味わうのに有効であった と言える。また,子どもたちは,情報機器の活用で視覚を通して自他の表現力を確かめ合った り,コンピュータで自分の「あったらいいな」と思うものを絵に表現する体験をしたりしたこ とで情報機器のに対する興味関心を高め,情報機器のよさも味わうことができたと考える。 6 今後の課題 ○教師側が,どのような情報機器を単元(授業)のどの過程でどのように活用するかを明確にも って支援することが必要である。 ○伝え合う力を高めるには,「話す・聞く」活動を繰り返し効果的に行うことが必要である。重 点単元としての時数の確保などの工夫も必要である。 図1 学習後のアンケート結果 理由・みんなの発明品がおもしろかった。 ・練習するのが楽しかった。 ・ビデオやみんなのおもしろい道具を大きな画面 で見て楽しかった。 理由・たくさん練習した。 ・みんなが「がんばれ」とおうえんしてくれた。 ・大きな声ですらすら言えた。 ・発表後みんながほめてくれた。 理由・みんなが聞いてくれて,自分も聞きた かった。 ・みんなの発表を聞いていないと自分も 発表できない。 ・話す人が大きな声で言ってくれた。 ・みんなの考えた道具がおもしろかった。 理由・お絵かきするのが楽しかった。 ・また自分の考えたものをみんなに教え たい。 ・みんなのを見てとてもおもしろかっ 1.「あったらいいなこんなもの」の学習は楽しかったですか。 2.この学習で,話すことに自信がもてましたか。 3.この学習で,話をよく聞くことができましたか。 4.またこのようなコンピュータを使った学習がしたいですか。 コン ピ ューターを 使った授業 0 5 10 15 20 25 30 とてもしたい 少ししたい したくない コン ピ ューターを 使った授 業 話すのに自信がついた 0 5 10 15 20 25 30 とても 少し かわらない 話すのに自信がついた 楽しかった 0 5 10 15 20 25 30 はい いいえ 楽しかった 話を 聞いた 0 5 10 15 20 25 30 とても よ く あまり

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意欲的に追求活動を行う子どもを育てるための 情報機器の適切で効果的な活用をした実践 小学校 第5学年 理科 「台風と天気の変化」 久留米市立草野小学校 教諭 豊福 健一 実践の概要 本実践は,「確かな学力」を育むために学習指導におけるIT の効果的な活用が望まれている 現状において,理科の教育目標達成のためにIT を手段とした IT 授業づくりを試みた。特に「思 考力・判断力・表現力・情報活用能力」を重点項目とし,その達成のための基盤となる学習意 欲を高めるためのインターネットを利用した情報収集・活用,思考・判断を支援するための※ デジタルシートの活用,デジタルホワイトボードを使用しての発表活動を情報機器の適切で効 果的な活用と捉え実践したものである。 ※デジタルシート:インターネットから収集した画像を貼り付けるために,コンピュータの 作成した学習プリントのようなもの。 キーワード:IT 授業,インターネット,情報活用能力 1 本単元指導の立場 (1)児童の実態から 本学級の子どもたちは,少しずつではあるが「条件を整えて実験」したり「計画的に追求」 したりする学習を通して,ものの見方や考え方が深まってきている。そこで,この単元を通し て「秋の天気の変化について計画的に追求」していくことで,さらに天気についての様々な情 報と身の回りの事実とを関係づけて考えたり,説明したりできるようになれば,より科学的な 見方や考え方も深まっていくと考える。またコンピュータを活用した授業については,一太郎 スマイル(Justsystem 社),インターネットを利用した調べ活動等やデジカメを使った観察活 動などを経験しており,アンケート調査でも,約85%の子どもたちがコンピュータ・情報機 器をつかった学習に対して好きと答え,興味・関心が高い。しかし,コンピュータの操作につ いては,約59%の子どもたちがやや難しいと答えている。その理由としてインターネットで の調べ活動の時,どこを探していいのか分からない。文字を打ったりまとめたりするときなど と挙げている。そこで本単元において,以下の支援をすることで興味・関心の高いコンピュー タ・情報機器の活用が,学習意欲の向上と持続,追求活動・表現活動を豊かにし,課題解決を 支援する有効な手段と考える。 (2)本単元におけるコンピュータの位置づけ 本単元で利用する目的と根拠を明らかにしておく。 ① 学習意欲の喚起…追求活動において様々な情報を得ることができ,また表現活動においても 意欲的に編集し発表活動をすることができる。 ② 学力の定着…個別の活用ができ課題解決のための追求活動・表現活動を個別に支援すること ができる。また年間を通した活動として位置づけられ,学習を振り返ることができる。 ③ 学び方…追求活動のための情報収集・情報発信のための表現活動が学び方を身につけること につながっていく。 【実践事例3】

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(3)具体的な支援について 本単元におけるコンピュータ・情報機器についての具体的な支援の方法として, ① コンピュータ…追求活動でのインターネット,表現活動での一太郎スマイル使用。 ② サーバの活用…個人の表現物・資料を個人名でサーバに保存しておく。 ③ デジタルホワイトボードの活用…コンピュータによる表現活動をする上で,全体での指示・ 操作説明・発表に使用する。 2 目標 (1)秋の天気の変化や台風などに興味・関心を持ち,そのようすをコンピュータなどを使っ て意欲的に調べ,見いだしたきまりを生活に当てはめようとする。 (2)映像などの気象情報を活用して,時間的な変化に目を向けながら天気の変化を読みとっ たり,予想したりすることができる。 (3)秋の天気の変化や台風の動き方について,図書資料やコンピュータ等を活用して調べた り,まとめたりすることができる。 (4)秋の天気は,春の天気と同じようにおおよそ西から東へと移っていくことや台風は南か ら北の方へ動いていき強風や大雨による災害をもたらす場合があることを理解すること ができる。 3 学習指導計画(全7時間) (1)本時主眼 ① 台風などの秋の天気に興味・関心を持ち,インターネットを使って調べ,その変化について 考えを持つことができる。 ② 雲の画像などの資料をもとにして,秋の天気は春の天気と同じようにおおよそ西から東へ移 っていくことを理解することができる。 ③ 雲の動き方のきまりをもとに,次の日の天気を予想することができる。 (2)単元指導計画及び本時指導計画 資料2 本時指導計画 資料1 単元指導計画

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4 指導の実際 (1)授業の仮説 秋の天気の変化を追求していく本時学習活動において,以下のような情報機器の支援を行 えば,子どもたちは,秋の天気ついて意欲的に調べ,必要な雲の画像などの資料を選択し, 観測シートにはり付けることで,天気の変化について考察したり,自分の考察と友達の考察 を比べ合ったりするので,秋の天気の変化について理解を深め自分の追求活動への自信を味 わい,意欲的に追求活動を行う子どもが育つであろう。 (2)授業の実際 ①つかむ段階 この段階では,前時までのつながりから単元のめあて『めざせ,お天気お兄さん・お姉さん・ 気象予報士』と本時のめあて「秋の雲の動き方を調べ,天気を予想しよう。」をつかむことがで きた。次に資料3は,前時までに作成した春と夏の天気シートである。このシートにより,1 学期学習した春や夏の雲の動き方,天気の変わり方について理解を深めることができた。それ を受けて,写真1のようにデジタルホワイトボードを活用し,本時学習の進め方を確認した。 気象情報のサイトの開け方,児童用サーバからの個人の天気シートの開き方など確認し,個人 の秋の天気シート作成活動に取り組んだ。 <考察>本時に対する学習意欲は十分であり追求意欲の高まりを見せた。その理由として,前 時でのインターネット学習が興味・関心を持続するものであったこと。また,デジタルホワイ トボードで操作したことで,操作の仕方を明確に示すことができ,特に操作に不安を持ってい る子どもに対して有効であった。更に,SKYMENU(SKY 株式会社)で児童用PCを制限するなど の対策を採れば,デジタルホワイトボードで指示・説明する際に,特に貼り付け方などの操作 方法をより確かに確認することができると考えられる。 ②さぐる段階 仮説①さぐる段階において,リアルタイムで気象情報を入手できるインターネットを使った 追求活動は,子どもの学習意欲を高める上で有効であったか。 資料4は気象情報入手のために用意してお いた広島市江波山気象管の公式HPである。 このサイトは過去2年間の雲画像を保管して おり,日ごとの雲の画像を子どもたち自身が 選択し,天気シートに貼り付けることができ る。子どもたちは,このweb ページから,調 べてみたい雲画像を連続六日間選択していた。 また資料5は,雲の画像を天気シートに貼り 付けるまでの手順を示した,操作方法の手引きである。操作方法に迷ったときは,この資料5 のプリントを見て活動を続けていた。 資料3 春・夏の天気シート 写真1 操作確認の様子 資料5 取り込み手順 資料4 気象サイト

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<考察>追求活動に意欲はあっても,コンピュータで調べるweb ページ・操作方法などが分か らなくなると,意欲が低下してしまう。そこで気象情報web ページや取り込み手順を示した プリントを用意していたことは,子どもたちの学習意欲を持続させ追求活動を行っていくう えで有効な手段であったと考える。さらに追求活動を高める工夫としては,複数のweb ペー ジを用意し,選択収集活動を行えば,個人の課題によりそった追求活動となり,追求を広げ ていく点で有効であっただろうと考えられる。 仮説②さぐる段階において,インターネットから入手した画像を簡単にまとめられる観測 シートを用意したことは,子どもたちの追求活動を支援し,画像から天気の変化を考察 していく上で有効であったか。 資料6は,一太郎スマ イルのはっぴょう名人で 作成した天気シートであ る。絵や写真を貼り付け る場所に,インターネッ トで入手した雲画像を持 ってくるだけで写真がシ ートに貼り付けられる。 子どもたちにとっては,操作手順を一回デジタルホワイトボードで示すだけで,写真2のよ うに秋の天気シートを簡単に作ることができていた。資料6の右側のシートは,写真 3 の子ど もが作成したシートである。気象管 HP には,365日の雲の画像が記録されているので,資料 6のように独自の天気シートを作ることができた。写真4は,自分が作った秋の天気シートを 基に,天気シートにはない,7番目の雲の動きを予想して,明日の天気を予想している様子で ある。シートから分かること,前線と雲の関係,台風が来た時の雲の動きの速さなど,的確に とらえていた。このことから,「雲は西から東へ動いているから明日の天気は,西側に雲がない ので晴れ」という予想を立てていた。 <考察> 観測シートを用意しておいたことは,自分の調べたい雲画像を選択し,貼り付ける 活動を保障し,意欲的に追求活動する姿につながった。また雲の動きを1枚のシートで確認で きるので,雲の動きを理解し天気を予想するのに有効であったと考える。更に活動を深める方 法として,シートの大きさや写真のつなぎ方などを改善することにより,より見やすい天気シ ートになり,天気についての考察もより深めることできると考える。 ③ひろげる段階 仮説③ひろげる段階において,観測シートをプロジェクターで拡大提示したことは,見る側 を引きつけ秋の天気の変化を理解させていく上で有効であったか。 資料6 秋の天気シートと子どもが作った秋の天気シート 写真4 天気の考察様子 写真3 シートを作成する様子 写真2 雲画像を選んでいる様子

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写真5は,自分が作った秋の天気シートをもとに,雲 の動きや次の日の福岡の天気予想を,デジタルホワイト ボードで説明している様子である。児童サーバに保存し ているので,自分の天気シートを使って雲の動き方を根 拠に説明することができた。子どもたちはそれぞれ違う 天気シートを作っているので,発表している友だちの天 気シートをよく見ていた。感想の中にも,「友だちの発表 を聞いてよく分かったし,自分と違う天気シートだった ので見られてよかった。」とあった。 <考察>デジタルホワイトボードで拡大提示し,説明活動を行ったことは,説明する側にとっ ては,より理解を深め,聞く側にとっては,画面を見ながら自分の天気シート・予想と比べな がら聞くことができた。授業後の感想にも,理解が深まっている様子が分かり,手だては有効 であった。さらに効果を高めるためには,画像の拡大やスライドショーにするなどの見せ方を 工夫していくことが考えられる。 (3)実践事例における全体考察 今回の検証授業において,仮説①②③の有効性が明らかとなった。気象情報 web ページを用 意したことで追求対象を明確にし,天気シートを作っていくことで雲の動き方をより理解し, 予想活動において確かな思考判断をし,説明活動によって学習内意容の定着をはかることがで きたからではないかと考える。情報機器の適切で効果的な活用が,子どもたちの追求活動を豊 かにし,「確かな学力」を育む有効な手段として検証された。資料7の授業後のアンケート結果 でも,全員の子どもたちが「情報機器を使ったことで,楽しかった。よく分かった。」と答えて おり,次の学習への意欲にもつながっている。評価においても,94%の子どもたちが評定3 であった。更に教育効果を高める方法として,SKYMENU,天気シートの改善,デジタルホワイト ボード等の活用改善があげられる。 写真5 説明する様子 資料7 授業後のアンケート結果 webサイトを用意したことは どうだったか とてもよかった まあまあよかっ た じぶんで探した ほうがいい PCを使ったことはどうだったか とても楽しかった まあまあ楽しかっ た あまり楽しくなかっ た 楽しくなかった デジタルシートはどうだったか とても分かり やすかった まあまあ分か りやすかった あまりよくな かった よくなかった 拡大投影したことは どうだったか とても分かりや すかった まあまあ分かり やすかった あまりよくな かった よくなかった PCの操作はどうでしたか よくできた まあまあでき た あまりできな かった できなかった またPCを使って、学習を したいか とても思う まあまあ思 う あまり思わ ない 思わない

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5 研究の成果 (1)意欲的に追求活動を行う子どもを育てる IT 授業づくりの研究成果 本研究において,理科学習における実践事例のように,情報機器の適切で効果的な活用を ①インターネットによる情報収集活動(情報収集能力) ②天気シートを活用した活動(情報活用・思考判断力) ③発表活動(表現力) と捉え検証した結果,追求活動を行う子どもを育てるための支援として有効であったと証明さ れた。また実践事例で作成した天気シートは児童用サーバに個人名で保存しており,いつでも 一括印刷・閲覧することができ,学習を振り返ることができる。更に子どもたちの意識の中に, 冬の天気についても調べたいという意欲があり,本研究の目標である,「意欲的に追求活動を行 う子ども育てる」というめざす子どもの姿が達成されたといえる。 (2)「確かな学力を育む IT 授業の在り方」における研究成果 本研究は情報教育研究班主題「確かな学力を育む IT 授業の在り方」の考え方に基づくもの である。検証授業によって「意欲的に追求活動を行う子どもを育てる」ための「情報機器の適 切で効果的な活用」の有効性が,授業後のアンケート結果からも分かるように,さらに冬の天 気の追求や年間の天気シートとしての活用,他の単元学習への意欲へとつながり明らかとなっ た。「確かな学力」を育むためは,その土台となる「学ぶ意欲」が最も大切と考える。そこで, この実践事例だけでなく,理科の年間学習の中でコンピュータを中心とする情報機器を活用し てきた。アンケートの結果,92%の子どもたちが「情報機器を使って,調べ活動・発表活動 をしたい」という意欲につながっている。また情報リテラシーの面でも,96%の子どもたち が「できるようになった。」と回答している。これらのことが,次への学習意欲につながり,「確 かな学力」を育む基礎になることから,IT 授業の有効性と可能性が明らかになったと考える。 しかし,100%ではない。更に細やかな支援を考えていく必要がある。 6 今後の課題 本研究では,成果もあるが多くの課題も明らかとなった。第1に情報収集活動では,web ペ ージを用意したことが,情報選択能力に結びついているかと言う点である。複数のweb ページ から,自分の課題にそった選択を行う方が,より豊かな追求活動になったのではないか。第2 にデジタルシートの改善である。発信するという視点で見直すと改善点が明らかとなった。第 3に年間を通した活用方法の見直しである。「確かな学力」を身につけさせるためには,教科の 目標や特性に合わせたIT 授業のあり方を今後検討していく必要がある。 ※ 参考文献及びURL 文部科学省 小学校学習指導要領解説総則編(平成11 年 5 月) 文部科学省 小学校学習指導要領解説理科編(平成11 年 5 月) 大日本図書 理科教師用指導書(平成17 年 3 月) 文部科学省 小・中・高校教育に関すること(情報化への対応) URL:(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/main18_a2.htm) 文部科学省 学習指導要領における情報教育の改善内容 URL:(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/020701.pdf) 広島市江波山気象館公式ホームページ URL:(http://www.ebayama.jp/)

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