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温帯花木の花芽形成ならびに開花調節に関する研究-香川大学学術情報リポジトリ

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温帯花木の花芽形成ならびに開花調節に閲す−る研究

五 井 正

STUDIES ON THE FLOWER FORMATION AND FORCING OF SOME

ORNAMENTAL TREES AND SHRUBS NATIVE TO EAST ASIA

MasanoriGoI

目 次 緒 第1章 自然条件下における花芽形成と開花 第1節 ツ バ キ 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第2節 サザンカ 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第3節 ボ ケ 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第4節 レンギョウ 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第5節 カイlウ 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第6節 サク ラ 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第7節 ウ メ 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第8節 モ モ 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第9節 ツツジ類 第1項 着花特性 筑2項 花芽形成過程 第10節 コデマリ 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第11節 ユキヤナギ 第1項 弟花特性 第2項 花芽形成過程 1 2 2 3 5 5 5 6 7 7 8 9 9 10 12 12 13 14 14 14 17 17 17 17 17 18 21 21 22 23 23 23 24 25 25

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第12節 フ ジ 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第13節 考察および結論 第1項 着花特性 第2項 花芽形成過程 第2草 花芽形成に関与する要因とその作用 第1節 日長と花芽形成 第1項 ツバキ類 第2項 サザンカ 第3項 ボ ケ 第4項 レンギョウ 第5項 カイドウ 第6項 サク ラ 第7項 ウ メ 第8項 モ モ 第9項 ツツジ類 第10項 コデマリ 第11項 ユキヤナギ 第12項 フ ジ 第13項 考察および結論 第2節 温度と花芽形成 二第1項 ツバキ類 1花芽形成に対する新柄の生長初期からの温度の影響(実験1) 2小 花芽発達に対する花芽始発彼の温度の影轡(実験2) 3 開花に対する低温の影響(実験3) 第2項 サザンカ 1花芽形成に対する新栴の鐘長初期からの温度の影響(実験1) 2花芽発達に対する花芽始発後の温度の影響(実験2) 3 開花に対する低温の影坪(実験3) 第3項 ポ ケ 1 花芽始発に対する新梢の生長初期からの温度の影響(実験1) 2花芽発達に対する温度の影響(実験2) 3開花に対する温度の影響(実験3) 第4項 レンギョウ 1 花芽形成に対する新柄の生長初期からの温度の影響(実験1) 2花芽発達に対する花芽始発後の温度の影響(実験2) 3開花に対する低温の影響(実鹸3) 4開花に対する温度の影響(実験4) 第5項 カイドウ 1花芽形成に対する新柄の生長初期からの温度の影準(実験1) 2 花芽発達に対する花芽始発彼の温度の影響(実験2) 3開花に対する低温の影轡(実験3) 4一 関花に対する温度の影響(実験4) 第6項 サク ラ 1花芽形成に対する新梢の生長初期からの温度の影響(実験1) 2 花芽形成に対する新杓の生長後の温度の影響(実験2) 3花芽発達に対する花芽始発後の温度の影響(実験3) 4開花に対する低温の影轡(実験4) 5開花に対する温度の影響(実畝5) 27 27 28 29 29 30 32 33 33 34 34 35 35 36 36 36 36 36 36 37 37 38 38 38 39 39 41 41 42 42 43 43 44 44 45 45 46 48 48 48 48 49 50 50 51 51 51 52 53 53

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第7項 ウ メ 54 54 55 55 55 57 57 58 58 59 60 60 60 61 61 61 62 63 64 64 64 65 65 65 65 67 67 1花芽形成に対する新梢の生長初期からの温度の影響(実験1) 2.花芽形成に対する新梢の生長後の温度の影響(実験2) 3.花芽発達に対する花芽始発後の温度の影響(実験3) 4.開花に対する低温の影響(突放4) 第8項 モ モ 1.花芽形成に対する新棺の生長初期からの温度の影響(実験1) 2,花芽形成に対する新楷の生長後の温度の影響(実験2) 3.花芽発達に対する花芽始発彼の温度の影響(実験3) 4.開花に対する低温の影響(実験4) 5開花に対する温度の影響(実験5) 第9項 ツツジ類 1花芽形成に対する新栴の生長初期からの温度の影響(実験1) 2開花に対する低温の影響(実験2) 第10項 コデマリ 1花芽始発に対する温度の影響(実験1) 2.開花に対する低温の影響(実験2) 3開花に対する温度の影響(実験3) 第11項 エ・キヤナギ 1花芽始発に対する温度の影響(実験1) 2.開花に対する低温の影響(実験2) 3 開花に対する温度の影響(実験3) 第12項 フ ジ 1花芽形成に対する新棉の生長初期からの温度の影響(実験1) 2、花芽発達に対する花芽始発後の温度の影響(実験2) 3開花に対する低温の影響(実験3) 4開花に対する温度の影響(実験4) 第13項 考察および結論 1.花芽始発と温度条件 2 花芽発達と温度条件 3 花芽発達および開花と低温の必要性 4,開花温度 67 68 68 68 70 5温帯花木の花芽の温度反応に関する】・考察 1 2 2 2 3 3 ■4 ■4 4 4 5 5 6 6 7 7 8 8 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 7 第3節 新杓の生長と花芽形成 第1項 新梢の生長開始時期と花芽形成 1 サザンカ 2. レンギョウ 3 ツツジ類 第2項 生長期における新杓の切り返しと花芽形成 1 レンギョウ 2 ツ ツ ジ 3 ユキヤナギ 第3項 新棺の生長停止と花芽形成 第4項 生長抑制物質処理と花芽形成 1 クルメッツジ 2 レンギョウ 第5項 考察および結論

第3牽 促 成

第1節 ツバキ類 第1項 自然条件下の花芽の促成可能時期

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79 81 81 82 83 83 85 86 86 86 87 87 89 89 90 92 92 92 95 97 97 97 98 98 101 101 102 103 103 104 106 107 108 108 108 109 110 110 111 111 111 112 113 第2項 冷蔵による促成 第2節 ボ ケ 第1項 自然条件下の花芽の促成可能時期 第2項 冷蔵による促成 第3節 レンギョウ 第1項 自然条件下の花芽の促成可能時期 第2項 冷蔵による促成 第3項 生長調節物質処理による促成 第4項 −100C処理による促成 第4節 カイドウ 第1項 自然条件下の花芽の促成可能時期 第2項 冷蔵による促成 第5節 サク ラ 第1項 自然条件下の花芽の促成可能時期 第2項 冷蔵による促成 第6節 モ モ 第1項 自然条件下の花芽の促成可能時期 第2項 冷蔵による促成 第7節 ツツジ類 第1項 白然条件下の花芽の促成可能時期 第2項 冷蔵による促成 第8節 コデマリ 第1項 自然条件下の花芽の促成可能時期 第2項 冷蔵による促成 第9節 ユキヤナギ 第1項 目然条件下の花芽の促成可能時期 第2項 冷蔵による促成 第10節 フ ジ 第1項 自然条件下の花芽の促成可能時期 第2項 冷蔵による促成 第11節 夫験データ一に立脚した花芽形成と開花の調節 第1項 モ モ 第2項 コデマリ 第12節 考察および結論 第1項 自然条件下の花芽の促成可能時期 第2項 冷蔵による促成 1 冷蔵開始時期 2 冷蔵温度および期間 3 冷蔵方法 第3項 促成条件 第4項 促成に関する基本的な考え方 第4章 総合考察および結論 文 献

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緒 口 世界における花井の発達史を調べると,欧米では1・2年草花 球根草花 宿根草花をどが,また日本や中国 を中心とした東アジアでは主に花木敷と宿根草花が発達したことがわかる8い21)い わが国では,とくに江.戸時代に 花井園芸が著しく発達したが,その前後を含めて,花木園芸は世界に類を見ないほど発達した町7・121) しかし, 生産花井としては,花木の重要性は限られており,現在まで生産的にも研究的にも取り残されて来た感が強い. 花木が生産花井として発達するのが遅れたのは,多くの種が東洋原産で,世界的な園芸地帯である欧米に紹介 されたのが遅かったこと,また従来の花木の利用が主に庭園への植栽に偏っていたこと,その上,生産や流通上 に問題が多いことをどによると考えられる. わが国には華道の伝統があり,古くは江∴戸時代から切り枝花木の生産が行われていたという説77)がある大正 時代には,すでに冷蔵によるボタンの促成が行われていたらしい82). 近年,花井の生産が増加し,鉢花や切り花としての花木の生産も増加しつつある.それにもかかわらず,花木 の生産はほとんど経験に頼って行われている81,略188) 外国では,鉢物を中心として花木の生産が行われており, それら花木の繁殖や開花調節に関する研究が行われているとくに,アザレア3・A,6,9,10・12,46,66,67,72,78・75即・96,100,104,105・ 107・108・111・112),ハイドランジャ1・68・88,90,91,9い03,109,110),ガ・−デエア2,15,44凪9刷8) などについては研究報告も多く,科 学的根拠に基づいた生産が検討されている。 しかし,草花類に比較して,花木の開花調節に関する問題点の多くは,まだ解決されていないい 著者は,花木 類のうちでも花井としてとくに重要と考えられる東洋原産の種の開花特性を,生理生態学的立場から究明し,合 理的な開花調節を行うことによって,生産期間を拡大しようとして研究しているい 本論文ほ,著者がこれまでに行った8属12種に関する実験結果をとりまとめたものである. 本論文をまとめるに当り,終始適切なご指導とご校閲を頂いた京都大学教授浅平端博士,前香川大学教授庵原 遜博士,岡山大学教授小西国義博士,着用をご教示と激励のお言秦を頂いた京都大学名答教授塚本洋太郎博士, 前千葉大学教授小杉椅博士に厚く御礼申し上げる.また,この研究の端緒を与えて頂いた元香川大学教授故狩野 邦雄博士には心から感謝の意を表するさらに,実験を進めるに当っては,佐藤義機氏,長谷川暗氏,田中道男 氏ほか香川大学花井園芸学研究室卒業生諸氏の多大のご協力を頂き,研究材料の管理においては森俊夫技官ほか 本学附属農場関係者のご助力を頂いたあわせて感謝の意を表する1

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・− 2 −

第1章 自然条件下における花芽形成と開花

花木の花芽が植物体上のどの位置にどのようを形態で着生し(着花特性),どのような過程を経て開花に至る か(花芽形成過程)を明らかにすることは,開花生理を究明するための駁も重要な基礎である.従来の花木の開 花調節に関する研究では,いろいろな処理や環境条件と最終的な花芽形成状態や開花との関係だけが論じられる ことが多くい,$,4・8・7,9,10・15・Aり1・略72・75・89・95,98刈108,10り0い07・108・111・112),花芽の開花反応を,花芽形成状態との関係で詳 しく研究した例は少をい12,68,鋸,1絢185,136) しかし,栄養生長を続ける茎頂と異なって,花芽では,花芽始発(flowerinitiation)から開花までの間に多く の異なる器官が分化 発達することから,種々の処理や環境条件に対する反応が球根類で見られるように花芽形 成状態によ・つて異なる可能性が高い 本車では,−・連の研究の基礎として,この研究に用いた14種の花芽形成上の特徴を観察した結果をとりまとめ た.なお,本研究では温帯花水として重要な種で,種々の処理上のとり扱いが容易であり,また花木としてはわ い性で,鉢物として利用される種を中心に用いた.それらは別表1に示した通りである‖ また,花芽観察は実体顕 微鏡による形態的観察にとどめた 花芽の発育は,花芽始発(且owerinitiation),花芽発達(flowerdevelopment一 花芽始発後金花器の完成まで),花芽完成(全花器の形成),開花(anthesis),花芽形成(nowerformation一花芽 始発から開花までの全過程)として表わした. 別表1本研究に用いた材料植物 1ツバキCα∽e〟∠αSp ヒゴツバキ:Cメ(ゆ0花立cαLい品種 太田白 ユヰツバキ:Cj(ゆOnicaLvar.decunbensSugimoto品種 雪/ト町 2サザンカCbmeHia5aSanquaThunb品種 旭の海 3ボケ ααe花0∽βJesゆβC∠0ざαNak小品種 長寿楽 4レンギョウ爪削が励αSp シナレンギョウ:F,ViridissimaLindl 5カイドウ肋J〟SSp ミカイドウ:〟∽∠cγ0椚αg㍑ゞMak.(別名ナガサキズミ) 6サクラダ7〟乃祝.ゞSp 1歳サクラ:アJα花花β。ゞよα乃αWilf.αSαゐよγα∽αHoIt 7ウメ 乃unuS mumeSieb.etZucc.品種 紅梅 8モモ凸び乃〟SSp ヤエカラモモ:PTunuSPeTこSicaBatschf.denSaMakino(別名アメントウ) (P‖Per:Sicastockescv.Densa) 9 ツツジ類Rゐ0(わ(ね乃d/0乃Sp クルメッツジ:R.obtsusumPlanCh‖ 品種 若楓 ヒラド系 品種 御代栄 10 コデマリ勒左7αeαC(‡乃わ乃よe乃Sよ二sLouT品種 ミズホ 11。ユキヤナギ即左7αβαfゐα乃あergよ去Sieb品種 紀の丸 12い フジl梢5feγよαSp −L歳フジWPoTibundaDCferanthemaHort 第1節 ツ バ キ ツバキの花芽形成は,小杉58)栗田65),富田ら117) などによって観察されている。それらによれば,品種により 多少異なるが,花芽は夏に新棉の頂芽に形成され始め秋までに完成する.ここではそれらの知見を再確認し,さ らに着花特性を詳細に調べた.

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ー・3 − ヒゴツバキとユキツバキ のさし木7∼8年生,7号鉢 植え株を戸外のカンレイ シャ(黒♯6602重)下で栽 培し,1972年5月から1973 年4月まで観察したその 結果,両者の間にほとんど 差がなかったので,ここで はヒゴツバキを中心に述べ る 第1項 着花特性 5月下旬に発芽した新梢 は,数枚∼10枚の葉を展開 し10日∼2週間で伸長を停 止したその時期に最上糞 の上に,包薬に包まれた頂 芽が認められるこの頂芽 は6月上旬までに互生する 5∼6枚のりん片(弄りん) に包まれ,翌年春に展開す る薬の原基を分化した6 月から7月にかけてよく発 達した潰芽の基部をとり巻 く2枚のりん片状包葉の一・ 方あるいは両方の腋芽が発 達しはじめ,互生する約5 枚のりん片(花芽りん片) を分化した後,がく,花弁 を分化して花芽となった (第1,2図)頂芽の頂端は すべて栄養的で,花芽には ならなかった また,いく らかの腋芽からも花芽が発 達したが,その過程は頂芽 におけると同様であった. 小杉53)は,数種のノバキ 第1図 ツバキの花芽着生位置(新梢の茎頂) 第2図 ツバキの花芽着生状態 A:頂芽の基部に発達しほじめた花芽(Fb) B:発達した花芽(1花芽) C:発達した花芽(2花芽) の花芽を観察し,花芽は頂芽の放外部のりん片の腋に分化することを認めた.花芽になり得る腋芽は新棺の伸長 中に分化するが,それらすべてが花芽になるわけではなく,一部の腋芽はりん片をわずかに分化した後,項芽の

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0:未 分 化 4:雌ずい形成 1:がく片形成 5:胚珠形成 2:花弁形成 6:花粉形成 3:雄ずい形成 7:開 花

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− 5 一 基部に埋れたままとなるこれらの観察は本実験の結果と一・致している 第2項 花芽形成過程 ツバキの花芽形成の初期段階を正確に表示することば難かしいこれは,りん片,がく,花弁原基がほとんと同 じ形態を有するためである小杉5B),粟屋65)は,りん片ば互生するが,がく,花弁は分化位置の角度が異なる ことから,その分化角度の異なる時期をもって花芽分化期としたこの判断には多少の疑問点も残るが,これま でのところ最も適切を基準と考えられるので,ここではこの基準に従った 5月17日,頂芽は発達途中で,花芽は観察されなかった6月14日には,がく,7月12日には花弁,8月9日に は輪状に多数の雄ずい,それと同時に中心部に雌ずい原基が分化し,9月6日には胚珠,10月4日には,花粉が 観察された(第3,4図)雌ずいとやくはその後も発達し続け,翌春までにそれぞれ11mm,5mm長とをった 自然条件下における開花は4月9日であったこのように,ツバキの花芽は秋までに胚珠,花粉の分化を終え, 冬の低温期にも生長し続けると考えられるなお,秋咲きツバキについては観察していないが,それらはサザン カに似た開花侍性をもつ那き)と考えられるからここでほ省いた 花 芽 形 成 3 段 階 1 1●1 ‖ 0 1・4 ‖ 9・6 奔 8・9 調 2 7・1 4 6・1 第4図 自然条件下におけるヒゴツバキの花芽形成 (品種:太田自,19721973) 第5図 サザンカの花芽着生状態 第2節 サザンカ サザンカは,ツバキと近縁で,生態的特徴も類似する8β).小杉53)は,サザンカの花芽形成をツバキと同様に 扱っており,とくにサザンカと早生系ツバキの開花特性が敷似していると報告しているそこで,本郷では, 5∼7年生サザンカ‘旭の海’を材料として観察した. 第1項 着花特性 花芽の着き方は,ツバキとほとんど同様であったが,上部の腋芽にもかなり高率で着花する点が典なった(第

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ー 6 − 5図)しかし,この青も質的な相違点ではないと考えられるので,結局,サザンカの弟花特性ほツバキに準じ ると言える 第2項 花芽形成過程 観察の結果,サザンカの花芽ほ胚珠,花粉形成後の11月上旬から開花する点を除いて,花芽形成過程上におけ る特徴はツバキと同様であった(第6,7図) このことから,サザンカの開花特性は早生系ツバキと同様であ る58,82)ことがわかった. 0:未 分 化 4:陳ずい形成 1:がく片形成 5:胴三珠形成 2:花弁形成 6:花粉形成 3:齢ずい形成 7:開 花 第6図 サザンカの花芽形成(品種:旭の海)

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− 7 − 654 花芽 形成段階 5 6 7 8 9 10 11 1」7 14 12 9 6 4 1 調 査 日(月・Eり 第7図 自然条件下におけるサザンカの花芽形成(品種 旭の海,1973) 第3節 ポ ケ ボケの花芽が8月下旬以後,前年枝または新梢の基部に形成されることばよく知られている57,62)また,白然 条件下における花芽形成についても報告されている57)しかし,着花状態については不明な点も多いそこで, 春咲きポケ‘長寿楽’のさし木後4∼5年生の株から腋芽を採取し,1973年6月∼1974年4月の花芽形成状態を磯 察した 第1項 着花特性 花芽は従来の報告通り前年枝に形成されたが,それより古い部分や充実のよい新梢にも形成された(第8図) 2年生以上の旧枝では,潜芽状の腋芽あるいは春に発芽して小さい異常斐(包状柴)を1∼2枚つけたまま伸長 第8図 ボケの花芽着生状態 A:当年枝基部の花芽(Fb) B:前年枝上の花芽(Fb)と栄養芽(Vb)

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ー 8 − 第9図 ボケの花芽形成(品種:長寿楽) 0:未 分 化 4:雄ず小形成 1:花序形成 5:雌ずい形成 2:がく片形成 3:花弁形成 6:花粉・胚珠形成 7:開 花 しをい芽が花芽とをり,当年枝では,短枝あるい は長枝の充実した部分(主に基部)の腋芽が花芽 となった この結果から,ボケの花芽が主に前年枝に形成 されるというのは適切で夜く,むしろ枝が充実し, 栄養生長が抑制された時に花芽が形成されると考 えるのが安当であろう. 第2項 花芽形成過程 前年枝について観察したところ,9月上旬に腋 芽頂端に小花原基が分化し,10月上旬に花弁が分 化したが,その後の花芽発達はおそく,11月下旬 に雌ずい,12月下∼1月下旬に花粉・胚珠が分化 し,3月下旬に開花しはじめた(第9,10図)なお, 花序により,また同一載序中でも小花により,発 達速度が異をることが認められたい 654 花芽形成段階 胡 ≡査J(月いt1) 第10図 自然条件下におけるボケの花芽形成 (品種:長寿乳1974←1975)

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ー 9 − /ト杉・近藤5i)はボケ‘東洋錦’の花芽形成を調べ,9月」二月に小花原;勘10月中旬までには雌ずい(血・部の花 芽では花粉・胚珠)が分化し,10月から3月にかけて少しづつ開花することを認めた本実験結果は,冬期間に おける開花がほとんどをかった点を除いて,小杉らの報告と−・致 した 第4節 レンギョ ウ レンギョウ類の花芽形成について調べるため Hanaoka ら28) は,レンギョウ(ダ㍑ゆ㈹Sα)およびシナレンギョウ(ダ 混沌成正わ∽)について観察し,花芽が新杓に腋生すること,6月 下旬から9月までに花芽は胚珠形成期に達するが,開花は翌年に なることを報告した ここでは,シナレンギョウについての観察結果をまとめる 1970年5月から翌年4月まではさし木5年生,また1974年5月か ら翌年4月までは7∼8年生株を用いて新梢腋芽における花芽形 成を調査した 第1項 着花特性 シナレンギョウは株立ち性で,早春から地中または地際部から の長大な徒長枝(basalshoots)と,前年枝からの比校的短かい新 棉を伸ばすこのどちらの新棺にも花芽は形成されたが,徒長枝 ではやや花芽始発が遅れる傾向があった(第11図)1 シナレンギョウは柴腋の向軸側に大きい腋芽(主腋芽),それ と集柄基部との間に小さい腋芽(副腋芽)をつける(第12図。A), これらのどちらも,栄養芽にも花芽にもなり得るが,原則として 短枝ではほとんどすべての柴腋に,また徒長枝では先端2/3∼ 第11図 シナLレンギョウの花芽着生位置 (新杓の腋芽) 3/4の葉腋に潜花する 着花状態を観察すると,まず主腋芽が花芽となり(第12図・B),条件によってはその基部の2枚のりん片の一・ 丸 または両方の内側に分化する生長点からも花芽が形成される(第12図・D)それと前後して副腋芽も花芽と なり(第12図・E),さらにその基部の2枚のりん片の内側にも花芽が発達することがある(第12図・F).ただし, これらの過程がすべての腋芽で起こるわけではなく,腋芽が栄養穿としてとどまる場合から,1葉厳に1∼6花 まで小花数はさまさまである.また,主腋芽が1∼2cm伸長後その茎頂が花芽とをることもある(第12図・G). しかし,主・副腋芽の頂端が栄養的で,そのりんペん内の花芽のみが発達することはなかった. 観察の結果では,小花数は細い枝では少なく,太い枝では多く,あるいは,早期に木化した枝では未熟枝より も多かった小 このことから,小花数は栄養的条件によって決まる可能性が強い.. また,主・副腋芽の頂端からの花芽形成と,それらの基部のりん片内腋芽からの花芽形成は時間的にずれてお り,その順序が逆転することはなかったしたがってシナレンギョウの腋芽の発育相の塩換と花数増加のための 条件は別のものであると考えられる.

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・−10− 第12図 レンギョウの君花特性(シナレンギョウ) A:腋芽(a:主腋芽,b:副腋芽) B:主腋芽の花芽形成初期 C∼G:花数増加過程 第2項 花芽形成過程 前項の通り,各腋芽に形成される花芽の原基と花数は異なるので,花芽観察は主腋芽の頂端に由来する小花に ついて行ったこれまでの報告28・61)と同様に,形態的には頂端の肥ノ引こ続いて,4枚のがく(対生の2対),花 弁,2本の雄ずい,雌ずい,花粉,胚珠の〃酎こ観察された(第13図)しかし,経特約には,年によって差があった すなわち,1970年には花芽始発が7月上旬で,11月下旬には胚珠が槻察されたのに対し,1974年には7月上旬に 票に雄ずいが,さらに9月上旬に雌ずい,10月上旬には花粉が観察されたものの,11月下旬に至っても胚珠は認 められをかった両年度とも開花は4月上旬であった(第14図) 年によって花芽形成過程が異なるのはレンギョウの花芽形成過程が温度による影響を受けやすいことを示して いる.

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0:未 分 化 4:雌ずい形成 1:がく月形成 5:胚珠形成 2:花弁形成 6:花粉形成 3:雄ずい形成 7:開 花

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12 654 花芽形成段階 就長または雌ずい長 0 5 0 5 ウ︼ l 1 0

6 7 8 9

23 7 4 1

1P 13 l1 24 調 査 日(月・lヨ) 第14図 自然条件下におけるレンギョウの花芽形成 (シナレンギョウ,1970−1971,1974) 第5節 カ イド ウ ハナカイドゥについては花岡紬が,またリンゴについては果樹の研究者17,82,122)が 花芽観察を行っているそ れらによれば,Malusの花芽は新柏の頂芽またはその直7の腋芽に形成されるが,徒長枝には形成されない 花芽ほ8月中旬ころの花芽始発から9月下∼ 10月上旬の雄ずい形成段階までは連続して発達 するが,その後は徐々にしか発達しないカイ ドウについてもリンゴについてもわずかに1月 20日に雌ずい形成が確認されている以外,10月 以後の花芽観察デ1一夕ー・は報告されていない そこで,カイドウの花芽形成の全過程を明ら かにしようとして,一般に‘一・歳カイドウ’と 言われているミカイドウの接木4∼5年生株を 用いて,1974年6月∼1975年4月まで新相の腋 芽における花芽形成を調査した 第1項 着花特性 カイドウの花芽と栄養芽を外見で見分けるの は園難である.そこで解剖して観察した結果, 従来の報告通り,花芽は新棺の頂芽とそれに近 い腋芽に多く形成されたとくにミカイドウは 短花枝ばかりでなく,徒長気味の長花枝でも多 第15図 カイドウの花芽着生状態 A:長花枝(Fb:花芽) B:短花枝(Fb:花芽)

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0:未 分 化 5:雌ずい形成 1:花序形成 6:胚珠形成 2:がく片形成 7:花粉形成 3:花弁形成 8:開 花 4:雄ずい形成 第16国 力イドウの花芽形成(ミカイドウ) 数の花を着けた(第15図)このようにハナカイドゥやリンゴより花清きがよいのほ,本種の特性とも考えられ るが,鉢植の影響によるとも考えられる 第2項 花芽形成過程 新相の頂芽や腋芽のりん片の内側には数枚の葉原基が形成される8月中旬にをると包が分化し,その後小包 が分化しはじめる蜘こは頂端部が広くをる8月下旬に,先ず頂端,それに続いて各小包の内側に小花原基が分 化する9月から10月にかけて,それぞれ5枚のがくと花弁,さらに多くの雄ずいが形成され,12月∼2月中旬 に雌ずいが発達し,3月10日までに胚珠,花粉が形成されて4月上旬に開花した(第16,17図) 秋以後の自然条件下で花芽が徐々に発達したことは,ハナカイドゥに関する花即0)の報告と一・致しているい カ イドウの花芽は冬の自然条件下においても発達し続けるようである

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−14− 654 花 芽 形 成段階 1・ 11 0・ 121 3 9・2 6 8・2 9 7●2 12 1 2 3 4

16 13 10 10 7

調 査 日(月・日) 第17図 白然条件下におけるカイドウの花芽形成 (ミカイドウ,1974−1975) 第6節 サ ク ラ 花剛0)によれば,‘ソメイヨシノ’,‘ヤエシダレ’をどの品種の花芽はカイドウと異なってすべて新柏の薬腋に 形成されるふつう長枝では基部のみに,また短枝ではほとんどの腋芽に形成されるこれらの特徴は,サクラ ンポ42)についても観察されているから,サクラの多くの品種にあてはまる.これらの報告や江口1‖によれば, 白然条件下におけるサクラの花芽形成は8月上・中旬の花序形成(小花分化)に始まり,9月下∼10月上旬の雌 ずい形成までは連続して進むが,続いて花粉が形成されるかどうかば品種によって異なる しかし,いずれにせよ,これまでの花芽形成に関する報告は秋までの観察に限られているから,ここではとく に冬から呑までの花芽発達について注意を払った。 1972年に購入した一傲ザクラ‘アサヒヤマ’を18cm鉢で養成し,1973年5月から翌年4月まで新将の腋芽 における花芽形成について観察した. 第1項 着花特性 外見的に花芽は鈍頭で肥大しており,栄養芽は尖頭の紡錘形で比較的区別しやすい1しかし,サクラの花芽の 着生位置は不定であるため,花芽の確認は注意を要した(第18図) −L歳ザクラ‘アサヒヤマ’の新楯はあまり伸長し夜い花芽ば,それら新梢のうち,短枝の腋芽のほとんど, および長枝の基部あるいは節間の詰った部分の腋芽に形成された(第18図)サクラの花芽も充実のよい枝に形 成されるようであるい 第2項 花芽形成過程 花芽形成はまず9月上旬の花序形成から始まった.サクラの腋芽はりん片の内側に葦原基を分化する.栄養芽 でばその葉原基が次第に増加するが,花芽ではそれらが数枚にをった9月上旬ごろに頂端部全体が肥大し,その 下部から先端に向って数個の突起が生じ,それぞれ小花原基となったついで,小花の両側に各1枚の小包原基

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−15−・ A:サクラ(充実した不特定腋芽)Fb:花芽 B:ウメ(充実した新杓の多くの腋芽) C:モモ(充実した新梢の基部:長軋 または全体 の腋芽) 第18図 サクラ,ウメ,モモの着花位置

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ー16− 0:未 分 化 5:雌ずい形成 1:花序形成 6:胚珠形成 2:がく片形成 7:花粉形成 3:花弁形成 8:開 花 4:雄ずい形成 第19図 サクラの花芽形成(品種:アサヒヤマ)

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が分化する.小花分化後10月下旬までに がく,花弁,雄・雌ずいが形成されるが, それ以後2月下旬までは雌ずいが生長す るだけで花芽発達段階は変化せず,3月 下旬にようやく胚珠,花粉が形成され, 4月上。中旬に開花した(第19,20図)。 この結果は,サクラの花芽形成に関す る他の報告とやや異怒るすなわち,花 芽始発期も花粉,胚珠形成期も他の 種80・62)よりかなり遅れたこれらの差は 基本的には品種差によると考えられるが, 江.口17)の主張のように気温などの気象 条件の差にもよるであろう 第7節 ウ メ ウメの花芽形成に関する研究は少をく, 江口17),花岡抑 の研究がある程度であ 花 芽 形 成 段 階 m 小花棟径または雌ずい長 m 2 0 8 6 4 l 1 0 0 0 10・3 9●5 8●8 1 7・1 1り 12 12 1 2 3 4

26 23 20 20 17

31 調 査 日(月‘日) 第20図 白然条件下におけるサクラの花芽形成 (品種:アサヒヤマ,1973−1974) る しかも,これらの報告における観察は花芽形成の全過程をとらえていないそこで,6号鉢植の在来紅梅の 接木5∼6年坐株を用いて,1974年7月から翌春2月まで新梢腋芽における花芽形成状態を調査した.. 第1項 着花特性 花芽はすべて新柏葉腋に形成された(第18図)ウメでは,腋芽そのものが花芽となる場合,腋芽は花芽とを らずレンギョウのように腋芽基部のりん片中から花芽が発達する場合とがあるり その結果,ウメの花芽は1尭腋 に1(腋芽そのものか,腋芽の腋芽)∼2個(両方のりん片内壁長点)着くことにをる 第2項 花芽形成過程 花芽形成は8月中・下旬に始まり,9月上旬にがく片,下旬に花札10月上旬に雄ずい,下旬に雌ずいが形成 された その後,雌ずいは発達し,12月下旬には花粉,胚珠が形成され,2月上旬に開花した(第21,22図). このように低温期間中に花芽が発達し,開花することば,ウメの花芽の雌ずい形成以後の発達のために低温が過 することを示しているり 第8節 モ モ モモの花芽形成に関する研究例はいくつかある17・80).それらによれば,モ・モの花芽は新梢の腋芽として8月 上・中旬から9月にかけて分化し,10月上旬までに急速に発達する‘矢口桃’では12月10日ごろに胚珠が形成さ れるらしい3=2)しかし,モモについても,1月から開花に至るまでの花芽観察は行われていをい そこで,自然におけるモモの花芽形成に関するより完全な資料を得るため,1970∼1972年にかけて接木2年生 のヤエカラモモ桃色郁の新棉腋芽における花芽形成を観察した 第1項 着花特性 花芽は他の報告80,62)と同様,腋芽に形成された(第18,23図),モモの花芽着生状態はウメに類イ以するが,反 面かなり特徴的であった。すをわち,腋芽の頂端そのものが花芽となる場合(第23図・B),腋芽の投下部の2枚

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0:未 分 化 4:雄ずい形成 1:肥 厚 期 5:雌ずい形成 2:がく片形成 6:胚珠花粉形成 3:花弁形成 7:開 花 第21図 ウメの花芽形成 のりん片の1方(第23図・C),あるいは両方(第23図・D)の内側に分化した生長点が花芽となり元の腋芽頂端 は栄養芽として残る場合がある.Bの場合にはC,Dのような二次的花芽は形成されなかった小 したがって,モ モの花芽の着生状態は,1葉厳に花芽1芽,花芽1芽十栄養芽,花芽2芽+栄養芽の3通りになる・覆お,長短 にかかわらず新梢の茎頂はすべて栄養的であった. 多くの観察結果によれば,短枝ではほとんどの薬腋に,また長枝では木化した基部の葉厳に花芽が形成された が,短枝ではBが多く,長枝ではC,Dが多かったこれらのことから,モモの着花は新栴の充実,栄養状態に よって決定されると考えられる. 第2項 花芽形成過程 外見的には・モモの花芽とをる芽(C,Dのタイプ)は早くから観察されるが,解剖してみると,8月までは包が

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19 dU 5 4 花 芽 形 成 段 階 花芽横径または雌ずい長 m 5 4 3 2 1.8 −1、1 \′ 目口 月 0= 121日 査 調 3 2 9●9 6 2 2 8・1 第22図 自然条件下におけるウメの花芽形成 (品種:在来紅楓1974−1975) 第23図 モモの花芽着生状態 A:栄養芽(腋芽) B:腋芽頂端からの花芽 C:腋芽の基部りん片の厳から発達した花芽(1花芽) D:腋芽の基部りん片の腋から発達した花芽(2花芽) Vb:栄養芽 Fb:花芽

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−20− 第24図 モモの花芽形成(ヤエカラモモ) 0:未 分 化 5:雌ずい形成 1:肥 厚 期 6:花粉形成 2:がく片形成 7:胚珠形成 3:花弁形成 8:開 花 4:雄ずい形成 分化し続けるだけで花芽そのものは認められをい 年により異なるが,包を分化し続ける腋芽頂端は9月上旬に肥厚し始め,やがてその中心を離れた部分が肥厚 し,花芽原基となった.9月下旬にはがく,花弁,10月中旬には雄。雌ずいが形成されたが,翌春2月までは雌 ずいが生長するだけであった3月中・下旬に花粉,胚珠が形成され,3月 ̄F旬に開花した(第24,25図)花芽 が雌ずい形成期にとどまることば,低温によって解除されるようであるこれは別の実験でも確かめられている. この点は,サクラと同様,花剛0)の報嘗とは一・致しをかった 花岡は‘矢口桃’において秋に胚珠形成を認めた のに対し,本実験では胚珠形成がそれより数か月遅れた従来,モモの大。小胞子は春に形成されるとされてい るが,気象条件によってはそれらが秋に形成されるのか,あるいは品種によって異なるのかについては明らかで をい.

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一 21− 花芽形成段階 第25図 自然条件下におけるモモの花芽形成 (ヤエカラモモ,1970−1971,197卜1972) 第9節 ツツジ類

ツツジの花芽形成に関しては,飯田40)の報告をほじめ,多くの例がある29′31,57,1B4)したがって〉ここで調査

する意味は少なレ潮本研究に用いる材料としての資料を得るため,クルメッツジ‘若楓,とヒラド系‘御代栄’

について観察した 第1項 着花特性

花芽は二欣,三次分枝を含むすべての茎]射こ形成された(第26臥しかし,弱小枝やふところ枝の−・部には

第26図 ノノジ類の花芽着生位置 左:ヒラド系 右:クルメソツジ

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岬 22 一 着花しなかった その他 他の報告と異をる点は認められをかった 第2項 花芽形成過程 新梢の茎頂は,はじめ薬を分化し続けるが,6月中。下旬にをると次第に節聞が短くをり,包状の菜が形成さ れる7月になると外見的に包が認められる7月下旬に頂端部のやや下方に数個の小包が分化し,ほとんど同 時にそれらの基部に小花原基が分化し,続いて茎頂も花芽とをった(第27図)各小花は10月上・中旬までに胚 珠,花粉形成期に達した後,冬を経過し・,4月上・中旬に開花し始めた(第28図)この結果はこれまでの報告57, 134)と同じであった, 第27図 クルメッツジの花芽形成(品種:若楓) 0:未 分 化 4:雄ずい形成 1:花序形成 5:雌ずい形成 2:がく片形成 6:胚珠・花粉形成 3:花弁形成 7:開 花

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23 654 花 芽 形 成 段 階 0 4・1 3 ●2 0 1・9 1 9・1 ・28 8・14 ・ 3 7 1 7●3 9 1 6・15 調査 日(月・日) 自然条件7■におけるクルメッツジの花芽形成 (品種:若楓,1973−1974) 第28図 第10節 コ デマリ 小杉・三好56)は,9月から翌春の開花までコデマリの花芽を観察し,花芽形成は秋遅く始まり,花芽は未発達 のまま越冬して,2月下旬から4月にかけて花弁,雄。雌ずい,胚珠,花粉を形成して開花に至ることを明らか にした. 本節では,小杉の報告を参考に,コデマリの花芽形成をより詳しく調べるため,‘ミズホコデマリ’を材料とし て1970∼1972年に新梢腋芽を観察した結果を述べる 第1項 着花特性 花芽は新柏の薬腋に形成された 前年枝の中・上部から伸長する新棺ではほとんどすべての腋芽が花芽とをっ たが,地際からのシ.ユートでば上部2/3∼3/4の腋芽が花芽,下部の腋芽は発達した栄養芽または潜芽となった. また,花芽は二次,三次分枝や徒長枝でもほとんど同様に形成されたことから,コデマリの花芽形成はレンギョ ウ,モモ夜どと異なって環境要因によってより影響されていると考えられる 第2項 花芽形成過程 コデマリの花芽形成ほかなり特徴的であった(第29,30図)すをわち,腋芽は秋までに多くのりん片(芽り ん)とその内部に数枚∼10放ていどの葦原基を分化した,10月∼11月上旬に薬原基に閉まれた頂端はド・−ム型と をり,その基部から先に向って30∼40佃の小花原基が分化した しかし,12月に各小花原基の外縁に1個の小包 片が分化した後は翌春の2月下旬まで花芽は停止状態となった2月から3月にかけてがく,3月中旬ごろ花弁, 下旬に堆ずい,4月上旬に雌ずい,続いて胚珠,花粉が形成され,4月下∼5月上旬に開花した腋芽の発芽期は 3月7■∼4月上旬であるから,コデマリの花芽は花茎の伸長に伴って急速に発達すると言え.るこれと似た特徴 を示す温帯花木にはアジサイ59)やフジ60)がある 小杉・三好の報告56〉では ,コデマリの花芽は花序分化からがく片形成まで急速に進み,その状態で翌春まで 停止するとされている.しかし,著者の観察では,小花分化後には小包が形成されるのみで,がく片は翌春に をってようやく観察された.花芽が停止する時期が異なった原因は不明であるが,小包形成期は開花調節上重要

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−24− 0:未 分 化 1:肥 厚 期 2:花序形成 3:小包形成 4:がく片形成 5:花弁形成 6:雄ずい形成 7:雌ずい形成 8:胚珠。花粉形成 9:開 花 第29図 コデマリの花芽形成(品種:ミズホ) であるため,花芽形成過程の1段階として考えるのがよいと考える 第11節 ユキヤナギ ユキヤナギは生態的にコデマリに類似していると考えられている31・56) しかし,自然条件下における花芽形成 状態は必ずしもそうでない小杉・三好紬は東京と香川で調査し,ユキヤナギの花芽形成はコデマリより早く 始まり,花芽発達も極めて早く,開花期も早小ことを報告した

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ー 25 − そこで,1969年および1972∼1973年に大株の ‘紀の丸’ユキヤナギの新柄の腋芽における花芽形 成について観察した 第1項 着花特性 着花特性はばほコデマリと同様であったが,6 佃前後の小花が直接前年枝の各版芽から開花する 点が異なった(第31,32図) 第2項 花芽形成過程 花芽形成は10月上旬に始まり,花芽発達は著し く早かった(第33,34図),先ず10月上旬に腋芽 頂端から第1花が,続いてその周囲に数個の小花 原基が分化した11月上旬までに,がく,花弁, 雄・雌ずいが形成されるが,冬の低温期間中は花 芽が徐々に生長するだけで花粉,胚珠は形成され ない2月から3月にかけて花粉,胚珠が形成さ れると,急速に開花に至ったこの結果は,従来 の報告56)と一・致している 以上のように,ユキヤナギの花芽形成上の特徴 はコデマリに似ているが,コデマリに比校して, 小花が急速に発達する点が異なる 花芽形成段階 4・6 3 2 3●9 3 ・2 2・9 ・26用 1・12 日 29 査 ・15 調 2 1・1 ・ 1 1 1・3 0 1 0 1・6 ‖口 第30図 自然条件7■におけるコデマリの花芽形成 (品種:ミズホ,1970−1971,1971【1972) 第32図 ユキヤナギの腋芽の形態 左:栄養芽(Vb) 中:花芽(Fb) 右:発 駕さ 第31図 ユヰヤナギの花芽着生位置(新杓の薬腋)

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− 26 − 0:未 分 化 4:雄ずい形成 1:花序形成 5:雌ずい形成 2:がく片形成 6:花粉・胚珠形成 3:花弁形成 7:開 花 第33図 ユキヤナギの花芽形成(品種:紀の丸)

(33)

ー 27・− 第12節 フ フジの花芽形成に関してもKosugiら60)の報告があ るしかし,そこでは6月までの観察結果しか述べられ ていないい・7ジの開花期は翌春の4∼5月であるから, 雌ずい以後の花芽の行動を観察する必要があるそこで, 1974∼1975年に‘−・歳フジ’の花芽始発から開花までを観 察した 第1項 着花特性 花芽は春に開花した枝の基部に存在する数菓の腋芽ま たは新梢の充実した部分の腋芽に形成された(第35図) 春に開花しても着果しをかった枝の腋芽はほとんど花芽 となり,また着花しをいが早く伸長が停止した新棺でも 同様であったり これに対し,着果した枝や弱小枝ではほ とんど花芽が認められなかった.これらの事実から,フ ジの花芽形成は新梢の充実いかんによると考えられる 花芽形成段階 3●25 へJ●6 2・5 1●6 2 1●7 1 ⊥・7

9 10

8 8 (月 日 調 査 RH 第34図 自然条件下におけるユキヤナギの花芽形成 (品種:紀の丸1969,1972−1973) 第35図・フジの花芽着生状態 A:長枝上の花芽(Fbl)と短枝上の花芽(Fb2) B:腋芽の形漕(Fb:花芽,Vb:栄養芽)

(34)

− 28 【 0:未 分 化 4:雄ずい形成 1:花序形成 5:雌ずい形成 2:がく片形成 6:胚珠。花粉形成 3:花弁形成 7:開 花 第36図 フジの花芽形成(品種:一歳) 第2項 花芽形成過程 ・フジの新梢の腋芽は急速に発達する.腋芽頂端は多くの包を分化した後,数枚の葉原基を分化し,さらに小包 を分化しながら,ドーム型とをり,基部から先端へと各小包の内側に小花を分化した(第36図)/ト花は5月下 旬∼6月に分化しはじめ,7月下旬ごろまでに花芽の先端部まで約80∼90佃に達した各小花は約30日でがく,

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−29− 丘U 5 4 花 芽 形 成 段 階 ず い 長 5 0 1 0 ・ 2 4 4・1 1 3 3●3 日 2・3 1.6 日 ほ・9査 調 9 $・1 2 7●2 4 6・2 7 5・2 第37図 自然条件下におけるフジの花芽形成 (品種:−・歳フジ,1974−1975) 花弁,雄・雌ずいを形成するが,その頃からほとんど停止する.花芽は雌ずい牒成期で越冬し,翌春3月上旬以 後に花穂として伸長しはじめた後,3月下∼4月上旬に胚珠,花粉を形成し,4月下旬に開花した(第37図)り開 花時の花穂長は,35∼40cm,小花数ほ80∼90であった このように,雌ずいまでの花芽形成が生長期の前半に急速に進み,その後翌春まで花芽が停止する例は他にを いようである 第13節 考察および結論 第1項 着花特性 小杉82)によれば,これまでに約50種60品種以上の花木の自然における花芽形成過程が調べられている.しか し,それらの報告の内容は必ずしも完全なものばかりでなく,着花特性の不明をもの,花芽形成過程の一・部分に 関するものなどが多いけ 本研究では,可能を限り詳細に着花特性と花芽形成過程を観察した. 本章に述べた10余種の着花特性を整理すると,そのほとんどは新楷に花芽を形成する.枝上の位置から見ると 先端かそれに近い2,3の腋芽のみに着花する種(ツバキ,サザンカ),新棺のほとんどの腋芽が花芽とをる種 (レンギョウ,カイドウ,ウメ,コデマリ,ユキヤナギ),基部に近い腋芽のほとんどが花芽となる種(モモ), 不特定の腋芽が花芽とをる種(サクラ,フジ)などに分類できる.これらはさらに花芽形成上の特徴によって分 類され得る1・一・方,新楷の生長状態と着花の関係をみると,全体として,生長が早く停止する枝あるいは木化が 早い枝に着花は多く,また早くなった.小杉82)はこれまでの報告をまとめて,花木の花芽の着生部位の分類を

(36)

−・・・・・30− 試みている著者の得た結果もほほその分類にあてはまるが,一・致しをい点もある‖ そこで温帯花木の着花婿性 について考察した結果はつぎのように整理された. A−1:新柏に着花する B−1:新梢の先端部に花芽,基部に栄養芽をつける. C−1:新杓の茎頂がそのまま花芽となるガーデニア82),ツツジ類,ジンチョウゲ62).

C−2:新棉の伸長停止後,頂芽およびそれに近い2,3の腋芽が形成され,その内部に花芽が形成される1

D−1:頂芽が花芽となる E−1:頂芽は桑原基分化後花芽となるい カイドウ,アジサイβ2). E−2:頂芽は葉原基を分化しをいで花芽となる.ドウダンツツジ62),モクレン62) D−2:頂芽は栄養的でその基部りん片の内側の分裂組織から花芽が形成されるツパキ,サザンカ C−3:腋芽が花芽とをる. D−3:腋芽頂端が花芽となる E−1:腋芽は葉原基分化後花芽となる.コデマリ,フジ.

E−2‥腋芽は菓原基を分化しないで花芽となるヒュウガミズキ82),ヤナギ類82),ユキヤナギ1.

D−4:腋芽頂端が花芽となり,さらにその基部りん片内の分裂組織からも花芽が形成される. E−1:腋芽は菓原基分化後花芽となる. E−2:腋芽ば黎原基を分化しをいで花芽となる.レンギョウい B−2:新相の先端部に栄養芽,基部に花芽を形成する. C−3:腋芽が花芽となる D−3:腋芽頂端が花芽となる. E−1:腋芽は薫原基分化後花芽となる. E−2:腋芽は菓原基を分化しないで花芽とをるウメ,モモ… D−5:腋芽頂端は栄養的で,基部りん片の内側の分裂組織が花芽となる E−1:腋芽は葦原基分化後花芽となる、 E−2:腋芽は薬原基を分化しないで花芽となる.モモ‖ B−3:新楷の不特定部分の腋芽が花芽とをるL. C−1:腋芽が花芽となる D−1:腋芽頂端が花芽となる. E−1:腋芽は菓原基分化後花芽となる.カイドウ(徒長枝). E−2:腋芽は桑原基を分化しをいで花芽となるモモ(徒長枝),サクラ D−6:腋芽道端は栄養的で,その基部りん片内側の分裂組織が花芽となる ウメ,モモ A−2:旧枝に着花するポケ この分類からみると,本研究の材料だけでは証明出来をい部分がある. 第2項 花芽形成過程 自然条件下における花芽形成は種類によって著しく異なったが,大別すると,サザンカに代表されるように生 長シ・−ズン中に花芽形成し開花するタイプと,生長シーズン中またはその終りから花芽を形成しはじめるが開花 はつぎの生長シーズンとなるタイプがある.前者タイプの温帯花木としては,これまでのところサザンカと早生 系ツバキ58) ,キンモクセイ55)が知られている程度で,むしろ熱帯・亜熱帯花木のザクロ81), ハクチョウゲS4),

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ー31− サルスベリ24,81),ムクゲ62)なとがよく知られている これに対し後者タイプの温帯花木は極めて多いそのよ うな温帯花木は以下のような特徴をもっている 先ず,花芽始発期からみると,フジ,レンギョウ,ツツジ ,ツバキなどは夏の高温期までに花芽形成が始まる タイプであるが,ボケ,カイドウ,ウメ,サクラ,・モモなどはむしろ高温期かそれよりやや遅くをって花芽形成 しはじめるさらにコデマリやユヰヤナギは秋の気温低下に伴って花芽形成しはじめる−・方,花芽発達状態か ら見ると,ツバキ類やツツジ類は秋までに花芽は完成期に達するが,多くの種の花芽は発達途中で冬を越し,春 に再び発達しはじめるそれらの中には,冬季中にも花芽が徐々に生長,発達する種(ボケ,レンギョウ,カイ ドウ,ウメ,ユキヤナギなど)と春の気温上男時まで花芽が全く活動しをいもの(コデマリ,フジ)とがある. これらを中心に従来の知見を加えて温帯花木の自然における花芽形成上の特徴をまとめ,以下のように整理した. A−1:生長シ・−ズン中に花芽始発から開花まで終了する B−1:高温期以前に花芽始発する。 E−1:夏に開花する ザクロ62) E−2:秋に開花するサザンカ. B−2:高温期に花芽始発する E−1:夏に開花する E′−2:秋に開花するモクセイ89) A−2:生長シ・−ズン中に花芽始発し越冬後に開花する B−1:高温期以前に花芽始発する C−1:秋末までに花芽は形態的に完成する E−3:早春に開花する∴サンシュユ・62),ミズキ62),ツバキ62),ジンチョウゲ62). E−4:中春に開花するツツジ類(クルメ,ヒラド系),ツバキ,レンギョウ E¶5:晩春∼初夏に開花する ツツジ類(サツキ),ハナズホウ62) C−2:秋末までに花芽は完成しない. D−1:冬に花芽は徐々に発達する、 E−3:早春に開花する E−4:中春に開花する E−5:晩春∼初夏に開花する D−2:冬に花芽は発達を停止する. E−3:早春に開花するハクモクレン58) E:−4:中春に開花する E−5:晩春∼初夏に開花するフジ B−2:高温期に花芽始発する C−1:秋末までに花芽は形態的に完成する E−3‥早春に開花するオウバイ62),ウメい E−4:中春に開花する.ドウダンツツジ62〉 E−5:晩春∼初夏に開花する C−2:秋末までに花芽は完成しをい D−1:冬に花芽は徐々に発達する

(38)

−32− E−3:早春に開花する E−4:中春に開花する.カイドウ,サクラ,モモ E−5:晩春∼初夏に開花する

D−2:冬に花芽は発達を停止する.

E−3:早春に開花する E−4:中春に開花する E−5:晩春∼初夏に開花する

A−3:秋に花芽始発し,越冬後に開花する

B−3:夏以後の気温低下に伴って花芽始発し,越冬後開花する

C−1:秋末までに花芽は完成する E−3:早春に開花する E−4:中春に開花する E−5:晩春∼初夏に開花する C−2:秋末までに花芽は完成しない

D−1:冬に花芽は徐々に発達する

E−3:早春に開花するボケ,ユキヤナギ E−4:中春に開花する E−5:晩春∼初夏に開花する小 アジサイ62)

D−2:冬に花芽は発達を停止する

E−3:早春に開花する E−4:中春に開花する E−5:晩春∼初夏に開花する.バイカウツギ62),コデマリ ここで,AlrBトElにあてはまるものにシ・モツケがあると考えられるが,AlrBl−El,A2−BトC2−Dl,A2−B2− CトE5,A2−B2pC2−D2,A3∼B3−Clなどに該当する温帯花木は,これまでのところ明らかにされていない 第2草 花芽形成に関与する要因とその作用 前車においては,自然条件下における花芽形成上の特性を明らかにし,また花芽形成に関与すると推定される 要因について考察した.小杉6引 は,従来の花芽観察に関する知見をもとに,花芽形成と日長との関係について も推測している、しかし,それらについての実験的根拠ほ少ない これまで花木の花芽形成要因に関してはいくつかの報告があるが,温帯花木としては,ツバキ5,27,川),か−デ エア2・15,4り1,97,118),ハイドランジア78,吋80,88・叫91,9川さ・109,110),ツツジ類∂,12,66,67,7さ,89・100,105,108,111,184,188)に関する報告 がある以外,ほとんど見るべきものがない. しかしをがら,花木の開花調節を考える場合,それぞれの種がいかをる要因によって花芽を形成し,開花する のかが明らかにされていることば必須条件であろう。自然条件下における花芽形成の観察結果から温帯花木の花 芽形成,開花に対して,日長,温度のほか新梢の充実度も影響すると考えられた そこで,本草ではこれらいくつかの内的,外的要因が花芽形成に及ぼす影響について実験した.

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− 33− 第1節 日長と花芽形成 多くの草花と異なって,花木の開花過程に日長が影響するという報告は少ない熱帯産花木は温室花井として 扱われるため,開花調節の方法が検討されているが,これまでの報告ではブ・−ゲンビレア25,26,45),ポインセチ ア11・卯8,76,94) とプルメリア106)は短日植物,サルスベリ抑とハナックバネウツギ85) は長日植物,夜香木85・101)は 長短日植物とされている また,サルスベリ24)で明らかにされたように,これらの花木はいずれも開花のために高温を必要とする.温 帯花木では,ツバキ5・74),ガ・−デエア2・15,4り1・118)ツツジ類9,12,7る,絢10い07,108・1ち4,185,186) などの常緑軌 オオペニウツ ギ抽 ,ハイドランジア78・79,叫90恥95,108,110)についての研究例はあるが,他の種類とくに落葉樹の日長反応につい ての報告はばとんど見あたらない そこで,自然温皮下で春の発芽以後に日長処理を行い,花芽形成と日長の関係を調べた. コデマリ,ユキヤナギ以外の種は鉢植えとし,1973年5月15日から10月1日まで短日(自然光10時間)または 長日(自然光10時間+2時間光中断:牛後11:00∼午前1:00)処理を行った、日長処理は以下のように行った. すなわち,日の出後10時間でシルバ州ポリトウ(0い1mm,ニ垂)で暗鬼にして日没後しや光幕を除去してこれを 短日区とし,長日区は短日区と同様の処理に加えて必要を時間だけ補光した.暗黒処理中の温度ほ,地面への散 水と排気扇の併用によって,むしろ外気温よりやや低かった.コデマリとユキヤナギは,1971年9月1日よりほ 場の大株の上に木枠を設置し,前述の方法に準じて日長処理を行った処理開始後,種類に応じて2ないし4過 ごとに着花位置の債券や腋芽を採取し,70%エタノールに貯蔵して実体顕微鏡で概察した‖ 第1項 ツバ手短 ヒゴツバキとユキツバキで観察したが,どちらの樫においても花芽形成に対する日長の効果は認められをかっ た(第38図)∴すなわち,短日長日両区の花芽形成は自然区と差がなかったBonneI5)は,C.ノ(砂0扇cαの花芽形 成は長日で,また開花は療日で促進されるとし,McEIwee74)は長日下で伸長した枝に長日下でのみ花芽が形成 されると報告した 調査日(月・日) ◎6.11 ヒゴツバキ ◎ 79 08.6 5 .4︵ 3 花芽形成段階 自然 長日 短日 日 長 自然 長日 短日 日 長 第38図 ツバキの花芽形成に対する日長の影響(1973)

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・−34− これらの報告は,ツバキが花芽形成に長日を必要とすることを示しており,本実験での結果と異をったヒゴ ツバキはCグ‘ゆ0乃去cαの形質が強いから,前二者が用いた種と同一・の日長反応を示す可能性は高い.それにもか かかわらず,日長に対する反応が異なったのは,日長時間そのものの差(Bonner:8時間,McELwee:9時間, 著者:10時間),あるいは実験湿度,日射鼓をどが影響したためであろうと考えられる小 第2項 サザンカ 雌ずい形成ごろまでの花芽形成は日長の影響をほとんど受けをかったが,雌ずいの発達,開花は短日でやや促 進された(第1嵐 39図)しかし,短日は絶対条件ではなかった1979年に花芽始発期まで自然,その後150C 短日および長日処理を行った時,短日では処理開始時に花弁∼雄。雌ずい形成時であった花芽は早く開花し,そ れより発達が遅れている花芽は落7するか,全く発達しをかった これに対し,長日では開花はやや遅れたが多 くの花芽が発達し開花したこのことから,サザンカの日長反応は,BonneI・の行ったツバキについての実験結 果とよく似ていると考えられよう、 第1表 サザンカの花芽形成に対する日長の影響(1973) 日 長 着蕾数a 開花率b 花芽枯死率b 未開花率b 短日−1* //−2** 長日−1 // −2 自然−1 //−2 % 7 3 1 1 1 5 5 2 1 2 0 6 6 6 3 3 3 2 0 0 3 6 8 4 3 3 4 5 4 ごU % 5 8 4 4 4 2 3 5 0 0 0 0 6 6 7 9 4 1 2 3 5 3 5 5 1973年4月1日から日長処理した短日は自然光10時間,長日は夜中2時間の光中阻 a:−・株あたり b:着花数に対する割合 *4月1日∼4月30日の間温室に置いたもの(150C以上) **自然温度 第39図 サザンカの開花に対する日長の影響(1973) 左2列:短日 中2列:長日 右2列:自然日長 第3項 ボ ケ 長日あるいは短日条件における花芽形成は自然条件下と同様であった(第40図).ポケはほとんど葉のない部 分に花芽形成し,しかも落葉が早く花芽形成期が遅いことば,この日長反応と表裏の関係にあると考えられる.

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35 口口 丹 日 6 3 査 乱 射 調 0 ● 4 3 2 1 0 花芽形成段階

543 花芽形成段階 日 短 ‖= 長 然 自 日 長 第40区Ⅰボケの花芽形成に対する日長の影響 (1973) 自然 長日 短日 日 長 第41図 レンギョウの花芽形成に対する日長の影響(1973) 第4項 レンギョウ 8月6日までの花芽形成は自然条件下で早く,短日長日のとちらの条件でも遅れたしかし,9月以後の花芽 形成はすべての区で同様であった(第41図) これらの結果から,花芽形成は日長よりも栄養条件と温度に影響されていることが推察される 第5項 カイドウ 自然の花芽形成期にのみ新梢腋芽を調査したが,花芽形成に対する日長の影響は明らかでなかった(第42図)・ PiringeI・Downs92)はリンゴ実生の生長と開花における日長反応を調べ,長日は分枝を抑制し,着花を促進する ことを認めたしかし,こ.の効果が分枝抑制効果による主茎の内的充実であることは明らかであり,開花におけ る日長反応として認めるにはデ1一夕ー不足である 凋査日(月・日) 0 86 ● 93 e 10 1 ㌻一一一−−−−−一々 花芽形成段階 花芽形成段階 一4 3 2 花芽形成段階 調査日:9月3日

←−● ●

自然 長日 短日 日 長 第44図 ウメの花芽形成に対す る日長の影響(1973) 短日 自然 長日 愚日 日 長 自然 長日 日 長 第42図 カイドウの花芽形成に対 策43図 サクラの花芽形成に対す する日長の影響(1973) る日長の影響(1973)

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ー 36一 策6項 サク ラ 8月6日には花芽未分化で,9月3日にはすべての区で花序形成期であったり10月1日の調査でもすべての区 でがく片形成期であった(第43図)い それ以後はサンプリングできなかったので,判断できないが,サクラはこ の時期にはほとんど落葉するので,花芽発達に対する日長の影響はをいと考えられる 第7項 ウ メ 花芽始発から雌ずい形成期まで処理したが,日長による花芽形成の差はまったくなかった(第44図).ウメの 花芽始発期は遅く,ボケなどに近いことからも日長の効果はないと考えられる. 第8項 モ モ 5月15日から新杓腋芽をサンプリングしたその結果,両日長区における花芽始発から雌ずい形成期までの花芽 形成は自然区と同様であった(第45図)PiringeT・Downs92)はモモの果樹用品種の日長反応を調べたれリンゴと 異なって開花における日長反応は認められなかった.これらの結果から,モ・毛は日長に反応しないと考えられる. 調査日(針・日) 0 8.6 ● 9 3 010.1 ノ 8−−一寸一 花芽形成段階 花芽形成段階 r一/ノし→→● 65 73 7.31 814 9,11 調査 日(月・日) 自然 長日 短日 日 長 第45図 モモの花芽形成に対する日長の 第46図 クルメッツジの花芽形成に対する日長の影響 影響(1973) (1973) 第9項 ツツジ類 クルメッツジ‘若楓’の花芽形成は短日で促進された(第46図)が,ヒラド系ツツジ‘御代栄’では日長による差 がをかった(第47図).ツツジ頬の日長反応については多くの報告があるい しかし,ツツジが短日性を示すとす る報告12,1い05・18り85)と日長反応を示さをいとする報告埼108)とがありこれまで定説がなかった横井・ト部1$り85) はアザレアの日長反応における品種間差異を検討した結果,品種により短日反応を示すものと日長に反応しない ものとがあることを明らかにしたしたがって,ツツジ類の花芽形成に対する日長の作用は品種によって異なる と考えられる, 第10項 コデマリ 9月1日からサンプリングを行ったが花芽形成と日長との関係は認められなかった(第48図)‖ 第11項 ユキヤナギ コデマリと同様に調査したが,日長の影響は全く認められなかった. コデマリとユ・キヤナギはともに秋の落葉期に花芽形成しはじめるため,開花における日長反応はほとんど考え られないが,実験結果もこれを実証した(第49図)い

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37 花芽形成段階 花芽形成段階 短日 自然 長日 日 長 調 査 日(月・日) 第47図 ヒラド系ツツジの花芽形成に対す 第4姻 コデマリの花芽形成に対する日長の影響(1971−1972) る日長の影響(1973)

9月1日より,白然温皮下で長日(自然光+2時間光

中断),短日(10時剛処理 調査日(月・l▲t) ◎ 6.11 ◎ 79 e 10 1

;‥ ̄ト‘

花芽形成段階 花芽形成段階 自然 長日 短日 日長 第50図 フジの花芽形成に対■する日 長の影響(1973) 第49図 ユキヤナギの花芽形成に対する日長の影響(1971−1972)

9月1日より,自然温度下で長日(14時間日長+2時間光中

断)と短日(10時間)処理をおこをった 第12項 フ ジ

6月11日の調査では,短日区でやや花芽形成が進んでいたが・7月以後の調査では日長による差が認められを

かった(第50図). 第13項 考察および結論

本研究で調査したのは1碩の温帯花木であるが花芽形成に関して明瞭な日長反応を示したのは,サザンカ(長

日で始発)クルメッツジ(短日性)だけで,他の種は日長にかかわらず,ほほ自然条件下におけると同様の時期

に花芽を形成した.この傾向は,とくに落薬性の種で明瞭であった・

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